<アマゾンの守り手たち>空からの森林モニタリングがもたらす環境保全の革新【ドローン】

アマゾン地域には、自然の美しさや豊かな生態系があり、多くの人々がその魅力に惹かれています。しかし、その一方で、アマゾンの環境は違法伐採や密猟などの環境破壊に脅かされています。

その中で、スルイ族という先住民族が、自らの独自の方法で環境を守っていることをご存知ですか?

この記事では、ブラジル北部のアマゾン地域に住むスルイ族の歴史や生活、そして彼らがアマゾンを守るために行っている環境保護活動について紹介します。彼らの活動が世界にも影響を与えていることにも注目してください。自然との共存が可能な先住民族の取り組みを知ることで、私たちも環境保護の重要性を再認識することができます。

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アマゾンには、古くから現在までの、コミュニティと文化が大地や森、自然の豊かさや資源に敬意を払い発展してきた幅広く多様な経験が存在する。〔……〕本書に綴られている 数々の教訓は、血と汗、時と記憶、夏と冬、長い年月に多くの人びとが経験した苦しみと希望で満ちている。その教訓は、それらが育まれた場所であるアマゾンの地と森林と同様に、 貴重な資源である。緊急性を持って、私たちの経験が役立てられることを願っている。[マリナ・シルヴァ(環境運動家、元ブラジル連邦政府環境大臣)](「Books」出版書誌データベースより)

Surui tribe

アマゾンの守り人「スルイ族」

CNET/YouTube

「スルイ族」とは、アマゾンの先住民族のひとつであり、ブラジル北部のアマゾン川流域に住む民族です。

スルイ族は、現在約1300人であり、アマゾンの「監視人」として有名である。彼らは24万ヘクタールの広大な土地を熟知している。森の隅々までを知り尽くす彼らは、誇大な土地を熟知している。

1969年、アマゾンのスルイ族と外部世界が初めて出会う

1969年、ブラジル政府がアマゾンの開発を進める中、スルイ族と外部世界が初めて接触しました。この出会いは、彼らの生活に大きな影響を及ぼし、多くのスルイ族が外部との交流を通じて、西洋の文化や技術、言語などと触れ合う機会が増えました。

しかし、これにより、彼らの伝統的な生活や文化が変化し、独自の言語や習慣が失われる危機に直面しています。

外から病原菌が持ち込まれる

さらに彼らのような先住民族には見られない病原菌への免疫力を持っていなかったため、感染症が蔓延しました。

その結果、多くのスルイ族が命を落とすことになりました。

これ以降、外部との接触は文化や伝統の喪失だけでなく、健康や生存に関わる問題でもあるため、彼らは外部との接触をなるべく避けています。

スルイ族の土地、違法伐採者による森林破壊の脅威

スルイ族の土地は、違法伐採者によって破壊される危機さらされるようになりました。

アマゾンの豊かな資源を狙った違法伐採者たちは、森林を破壊し、先住民族の生活を脅かしています。また、違法伐採により、アマゾンの生態系が破壊されることで、地球規模の環境問題にもつながっています。

スルイ族と違法伐採者との対立

スルイ族は、違法伐採者に立ち向かうために、独自のパトロール隊を組織しました。彼らは森林を巡回し、違法伐採の証拠を収集し、当局に報告して取り締まりを求めました。しかし、違法伐採者との対立は激化し、時には暴力沙汰に発展し命を落とすこともありました。

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スルイ族、現代技術を活用しながら伝統文化を守る

実はスルイ族は、電気、ガス、インターネット、スマホ、テレビなどの現代技術を活用しています。これにより、彼らは現代社会との連携を強化し、情報交換や支援を受けることができます。また、現金収入を得るために、作物の栽培や販売などの活動も行っています。

このような取り組みは、首長のアウミールが旗を振り、伝統文化を絶やさないために、テクノロジーや現代風のアイデアを積極的に取り入れる取り組みを始めたものでした。

一部のスルイ族からは、技術の使用が文化の破壊を招くのではないかと懸念されています。首長アルミールは「部族内では、『技術は私たちの文化を滅ぼしてしまうのでは』という反応でした」と述べています。

それでもスルイ族は、伝統的な生活を維持しつつ、現代のライフスタイルに取り入れることで、自分たちの文化を守ろうとしています。伝統衣装の着用や、狩りの際の分かち合いのしきたりなど、彼らの伝統文化は今も大切に守られています。

アウミール首長、大学教育とGoogle Earthを活用しアマゾン保護に取り組む

アウミール首長は、スルイ族の中で初めて大学に進学した人物の1人です。彼は現代社会の知識を学び、スルイ族の文化やアマゾンの保護活動に役立てることを目指しています。彼の教育は、スルイ族が現代技術を活用しながら伝統文化を守るための重要な一歩となりました。

Google/YouTube
Google Earthとの出会い

アウミール首長は、ある日インターネットカフェで初めてGoogle Earthを目にしました。この地球規模の地図サービスによって、彼はアマゾンの森の状況をリアルタイムで把握することができることに気付きました。

Google Earth/YouTube
Google本社を訪問しGoogle Earthのトレーニングを求める

アウミール首長は、ブラジルのアマゾンから数千キロ離れたGoogle本社を訪れました。彼はGoogle Earthを活用した森林監視の可能性を見いだし、スルイ族のコミュニティにこの技術を広めるためにGoogleにトレーニングの提供を求めました。

Googleplex

Googleがスルイ族にトレーニングを提供!

Google Earth/YouTube

この要望に対して、Googleはスルイ族のためにGoogle Earthのトレーニングを提供することを決定しました。

スルイ族のコミュニティは、Google Earthのトレーニングを受けたことで、YouTube動画の作成方法や位置情報の付加方法、Google Earthの「カルチャーマップ」にアップロードする方法を学びました。これにより、スルイ族の歴史や文化、暮らしぶりを世界中の人々に向けて発信することができるようになりました。

アウミールさんは、「私たちは森を知っている。Googleは技術を持っている。だから私たちは森のために手を取り合った」と語っています。

この言葉は、スルイ族とGoogleが共同で取り組んでいる森林保護の取り組みを象徴しています。スルイ族はアマゾンの森を知り尽くしているが、技術的な面での支援が必要であったため、Googleが手を貸してくれたのです。

Googleとスルイ族の共同で作り上げた地図

Googleはスルイ族と共同で「スルイ・カルチャー・マップ」というプロジェクトを作成しました。このプロジェクトは、スルイ族の文化や暮らしぶりを紹介する「カルチャーマップ」です。このマップには、写真や3D動画が取り入れられており、先住民の暮らす熱帯雨林を探検することができます。

「スルイ・カルチャー・マップ」は、スルイ族の文化や伝統を広く世界に発信することができるとともに、熱帯雨林の保全にも役立ちます。熱帯雨林は地球上で最も豊かな生物多様性を持ち、地球環境の維持に非常に重要な役割を果たしています。スルイ族がその豊かな生態系を守り、世界に向けて発信することで、熱帯雨林の保全と地球環境の維持に貢献しています。

Surui Tribe/YouTube

携帯電話とOpen Data Kitで違法伐採の監視を強化

2009年にGoogleはスルイ族のもとを再訪し、携帯電話とOpen Data Kitを使った違法伐採行為の撮影方法を教えました。この技術により、スルイ族は簡単に違法伐採の証拠を収集できるようになりました。

携帯電話とOpen Data Kitを使うことで、スルイ族は位置情報付きの写真や動画を撮影できるようになりました。これにより、違法伐採の現場を正確に特定し、証拠を提供することが可能になりました。

撮影された写真や動画は、Googleの地図関連サービスにアップロードされ、公開されることによって、違法伐採者は隠れることができなくなりました。これにより、違法伐採に対する抑止力が大幅に強化されました。

Google/YouTube

「ドローン」で違法伐採の証拠を上空から撮影

スルイ族は伐採の現場に到着すると、ドローンを活用して調査を行っています。例えば、大切な木材である「ガラッパ」という木が切り倒されていた場合、スルイ族はその証拠を撮影して、位置情報とともに警察に報告します。

写真には位置情報が記録されるため、どこで伐採が行われているか特定することができます。これによって、違法伐採を行っている人々が特定され、適切な法的措置が取られることができます。

スルイ族がドローンを活用して伐採調査を行うことで、違法伐採を防止することができます。また、スルイ族の取り組みは、環境保護のための先住民族の知恵や経験を現代技術と組み合わせることができることを世界にしめしました。

Google/YouTube
Google Earth/YouTube

Open Data Kitを活用し炭素貯蔵モニタリングで持続可能な未来に貢献

スルイ族はOpen Data Kitを活用して、森林の炭素貯蔵をモニタリングしています。これにより、森林の炭素吸収量や温室効果ガス排出量の情報を正確に把握することができます。

炭素クレジット市場での取引

モニタリングによって得られたデータを基に、スルイ族は炭素クレジット市場で炭素貯蔵を取引できるようになります。これにより、環境保護活動を通じて経済的な収益を得ることが可能となります。

スルイ族は、炭素クレジット市場での取引を通じて、持続可能な未来を築くための貴重な機会を手に入れています。これにより、森林保護や環境保全活動をより効果的に進めることができるようになります。

Google Earth/YouTube

スルイ族の役割と取り組み

スルイ族は、炭素貯蔵モニタリングを通じて、アマゾンの森林保護に積極的に貢献しています。現代技術を活用しながら、環境と共生する持続可能な未来の実現に向けて取り組んでいるスルイ族の役割は、今後も注目されるでしょう。

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アマゾンには、古くから現在までの、コミュニティと文化が大地や森、自然の豊かさや資源に敬意を払い発展してきた幅広く多様な経験が存在する。〔……〕本書に綴られている 数々の教訓は、血と汗、時と記憶、夏と冬、長い年月に多くの人びとが経験した苦しみと希望で満ちている。その教訓は、それらが育まれた場所であるアマゾンの地と森林と同様に、 貴重な資源である。緊急性を持って、私たちの経験が役立てられることを願っている。[マリナ・シルヴァ(環境運動家、元ブラジル連邦政府環境大臣)](「Books」出版書誌データベースより)

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