地雷は、戦争や紛争の結果として数多くの国々で散在し、地雷が原因で多くの犠牲者が発生しています。地雷の除去は非常に危険で時間がかかる作業であるため、技術の進歩により安全かつ効率的な地雷除去方法が求められています。その解決策の一つとして登場したのが、「Mine Kafon Drone(マイン・カフォン・ドローン)」です。この記事では、マイン・カフォン・ドローンの概要、仕組み、メリット、について解説します。
Landmine problem
【深刻】地雷問題
世界中には1億発以上の地雷が埋まっているとされている。これらは戦争や紛争によって使用され、多くの人々が死傷する危険性がある。埋まっている地域では自由な生活ができず、経済や社会の発展にも影響が出ている。国際社会では、地雷の禁止・廃絶を目指す運動が行われ、多くの国が地雷の使用・製造・貯蔵・輸出入を禁止する国際条約に署名している
ただそこで生活している人たちが被害に……。
アンゴラ、アフガニスタン、イラクなど、60カ国以上に及ぶ地雷問題では、一般市民が79%、軍人が18%、地雷処理技術者が3%の犠牲者となっています。毎日10人以上が負傷または死亡し、子供たちが遊び場を奪われています。
非人道的な兵器
地雷による被害は非常に残酷で、生き延びた被害者には、身体的な障害や心理的なトラウマが残ることが多く、長期的な支援が必要となります。また、地雷によって土地が汚染され、耕作不可能になることで、農村地域の人々の生活にも深刻な影響が及んでいます。
地雷を処理をするにして危険すぎる
地雷を除去するには、地雷の埋まっている場所を特定し、それを掘り起こして、地雷を取り除く必要があります。金属探知機などの機器を使って、地雷の存在を検知し、安全に取り外すための工具を用いることが一般的です。
除去は人の手でやつ場合が多く非常に危険
地雷除去には高度な技術や機器が必要であり、現状ではコストの問題や技術的な限界があります。一方で、人手による地雷除去は危険が伴い、作業員の命を脅かすことになります。そのため、地雷除去には長期的な取り組みと多大な投資が必要であり、国際社会の協力が不可欠とされています。
今のペースだと世界から地雷をなくすには途方もない時間がかかる
地雷を完全に取り除くことは非常に困難であり、専門家は現在機能しているすべての地雷を完全に取り除くためには100年以上かかると推定しています。
「地雷原と共に暮らしてきた男」マスード・ハッサニ
1983年生まれのマスード・ハッサニは、アフガニスタンで生まれ育ちました。地雷で傷ついた、もしくは死んだ人を知る環境で育った彼と友人たちは、何度も友人が地雷を踏むのを目撃したそうです。彼らは、安い材料で作る、小さな転がるオモチャを作って遊ぶなど、身の回りのものを使って遊んでいました。
競争していると、地雷があるので入ってはいけない遠い場所にいつも行ってしまった。父親が亡くなった14歳の時、彼をはじめ子供達の身の安全のために母親は密入国業者に託しました。4年間のあちこちでの亡命生活の後、オランダに移住し、工業デザインでは世界一と言われることもある、アイントホーフェン・デザインアカデミーに入学しました。
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ボールがコロコロ……。「地雷除去装置“Mine Kafon”」
彼は地雷問題に取り組んでいて、Mine Kafon(マイン・カフォン)という装置を制作しました。
発送は子どもの頃に手作りの玩具を作って遊んでいた経験から来ています。
この装置は、円盤状の本体につながった支柱と、その先に取り付けられた小さなブレードから構成されています。風に吹かれて移動することで、地面にある地雷を引っかけ、破壊するという仕組みです。
しかし爆発しても、失うのは足数本で、その後も転がり続けることができる優れものです。核にGPSを搭載することで、どこのルートを通ったかも確認することができます。
GPSを搭載した鉄製の核に、竹製の脚をたくさんつけたボール状のオブジェクトがあります。これは風の力で転がりますが、対人地雷を感知する重さもあります。しかし爆発しても、失うのは足数本で、その後も転がり続ける特性を持っています。そして、GPSを搭載することで、どこのルートを通ったかを確認することができる優れものです。
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1つで数機の地雷を除去!しかも安い!
これまで地雷撤去費用は一基につき1200ドル、それに比べて「Mine Kafon」の制作費用はたったの51ドルです。
「Mine Kafon」の制作費用がわずか51ドルであることは、地雷除去にかかる費用を大幅に下げることに繋がります。今までの地雷除去には、高価な専用機材や専門の技術者が必要で、膨大な費用がかかっていましたが、この装置を活用することで、より多くの地雷をより安価に除去することができるようになると期待されています。また、一度爆発しても脚が吹き飛ぶだけであるため、修理や再利用が可能な点も大きなメリットと言えます
地雷のない世界を!
ハッサニは『Mine Kafon』を開発し、地雷のない世の中で自由に走り回ることを夢見ている。
『Mine Kafon』の他にも地雷をスキャンするためのアプリやデバイスを開発しています。
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地雷除去ドローン「Mine Kafon Drone(マイン・カフォン・ドローン)」
次に開発したのは、地雷を効率よく除去できる、外観の異なる装置「マイン・カフォン・ドローン(MKD)」で、クラウドファンディング企業のKickstarterで資金調達を行い、多くの支援者からの出資を得て開発を進めました。
簡単に言えばたった1台で上空から地雷探知と地雷処理ができるドローンだ。
「マイン・カフォン・ドローン(MKD)」は、航空機に似た形状をしており、地上を飛行しながら地雷をスキャンすることができます。MKDは高感度のカメラ、GPS、磁力計などのセンサーを搭載し、地雷をスキャンするだけでなく、地雷の位置や種類、広がりを正確に認識することができます。MKDは、人工知能(AI)を搭載しており、地雷を見分けるだけでなく、地形や植生、天候などの状況に応じて最適なルートを選択することができます。MKDは、1日に約2,000平方メートルの地域をカバーすることができ、従来の地雷除去作業に比べて10倍以上の効率で地雷を除去することができます。
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3つのステップで安全に地雷除去を行う
マイン・カフォン・ドローンには、以下の3つのステップがあります。
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1.地雷原の地図を作成
マイン・カフォン・ドローンは、地雷が埋められていると推測される区域を対象に、まず地形を把握するためにその上空を飛びます。ドローンは高度なカメラやセンサー技術を利用し、地形データを収集します。収集されたデータは、3Dマッピングソフトウェアによって解析され、詳細な3Dマップが生成されます。
この3Dマップは、地雷原の概要を把握するだけでなく、地雷探知作業の精度向上にも寄与します。マップ上の地形データが正確であれば、ドローンはより正確に地雷の位置を特定し、効率的に除去作業を行うことができます。
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2.個々の地雷の位置を特定
次に、マイン・カフォン・ドローンは、高性能金属探知アームを使用して地雷を探知します。ドローンは金属探知アームを垂らし、地上わずか4センチの高さで飛行することで、地雷の存在を正確に検出します。この低高度飛行は、金属探知アームの感度を最大限に活用し、地雷の検出精度を向上させるために行われます。
地雷が検出されると、ドローンはGPSデータとともに検出された地雷の位置情報を記録します。この情報は、後の地雷除去作業に活用され、作業の安全性と効率性が向上します。地雷検出が終わると、ドローンは地雷の無力化や爆破作業に移行します。
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10 people are hurt by landmines every day. The Mine Kafon Drone project wants to end that https://t.co/dlBL9w5c83 pic.twitter.com/lj85446IwQ
— Ultimaker (@Ultimaker) July 23, 2016
3.次々と地雷の爆破!
地雷が探知されると、マイン・カフォン・ドローンは次のステップに進み、地雷の無力化・爆破作業を開始します。この際、ドローンは別のアームを使用して、小さな起爆装置を正確に地雷の上に設置します。
起爆装置が設置された後、ドローンは安全な距離まで後退し、遠隔操作によって起爆装置を作動させます。これにより、地雷は爆破され、無力化されます。このようなドローンによる地雷除去作業は、人間が直接立ち入らずに行うことができるため、作業の安全性が大幅に向上します。
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This 3D printed Mine Kafon Drone wants to free world from landmines in 10 yearshttps://t.co/tCiIYhWjMh #3dprinting pic.twitter.com/8Eb3oKAHbY
— 3Ders.org 3D Printing News (@3dersorg) July 21, 2016
マイン・カフォン・ドローンが地雷除去に革命をもたらす!
マイン・カフォン・ドローンは、地雷の検出、無力化・爆破、そして再び空中に戻って新たな地雷埋没地点を探すサイクルを繰り返します。この3段階のプロセスにより、従来の地雷除去作業に比べて約20倍の速度で地雷を処理することが可能です。この効率性の向上により、地雷除去に要する作業時間が11世紀からわずか10年に短縮されると言われています。
さらに、マイン・カフォン・ドローンの部品は3Dプリンターで量産することが可能であり、コストを抑えつつ迅速に生産ができます。このため、マイン・カフォン・ドローンは効率的な地雷除去を実現するための有力なツールとして期待されています。技術の進化と普及により、地雷問題の解決が加速し、多くの人々が安全な環境で暮らせるようになることが期待されています。