未来の宅配サービスにおいて、我々はますます革新的な手法とテクノロジーの導入を目撃しています。その中でも、特に注目されているのがドローンを活用した宅配サービスです。長らく地上の配達手段が中心であった宅配業界に、空中からのアプローチが革命をもたらし、これからの未来における宅配サービスを大きく変えることが期待されています。
ドローンによる宅配は、その高速で効率的な性能から、急速に普及し始めています。運送業者や通信会社、小売業者など、さまざまな企業がこの技術を採用し、荷物の迅速な配達を可能にしています。その結果、従来の配達方法と比較して、時間短縮とコスト削減が実現され、消費者にとっても便益が増大しています。
この記事では、未来の宅配サービスにおけるドローンの役割や可能性について探り、革新的な技術がどのように私たちの日常生活に変化をもたらすかを詳しく考察してみたいと思います。
日本郵政グループ
「日本郵便」
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日本郵政グループは、郵便・貯金・保険の3つの分野において、国民生活に欠かせないサービスを提供している重要な企業グループの一つです。
日本郵便は、世界第3位の郵便取扱量を誇り、全国に2万4000局の郵便局、18万本の郵便ポスト、37万人の社員を有しています。また、1日あたり約6100万通の郵便物を、3100万カ所に毎日届けるという大規模な配送網を有しています。
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人口減少で働き手が不足!
日本は少子高齢化社会へと進んでおり、今後も生産年齢人口の減少が進む見込みです。このような社会情勢の中で、日本郵便が提供するサービスを維持するためには、業務の省人化・効率化が不可欠です。
例えば、ドローンによる宅配便の配送や、配送ロボットによる近距離配送、自動運転トラックによる長距離輸送などが提案されています。
郵便をドローンで!
日本郵便は2016年からドローンの実証実験に取り組んでいます。これは、山間部や離島などの地域での宅配便の配送にドローンを活用することを目的としたものです。実証実験では、気象条件や輸送可能な重量などを検証し、ドローンによる宅配便の実現性を検討してきました。
具体的には、長野県の南箕輪村や、兵庫県の洲本市などで実証実験が行われています。これらの地域は、山間部や離島であり、従来の宅配便の配送には課題がありました。そこで、ドローンを活用することで、宅配便の配送時間を短縮し、住民の利便性を向上させることが期待されています。
2015年から実現化に動き出した
日本郵便は、ドローン事業に着手するにあたり、2015年に日本の無人航空機の産業発展を目的とする「日本UAS産業振興協議会(JUIDA)」の研究会に参加したことがきっかけとなります。当時から、日本国内での産官学連携によるドローンの推進が急速に発展しており、日本郵便もその流れに乗り、ドローン事業に着手したと言えます。
JUIDAは、無人航空機の技術や市場の発展を促進するために設立された団体であり、日本の産業界や学界、行政などが参加しています。JUIDAは、ドローン技術の研究開発や法規制の整備などを進めることで、日本のドローン産業の発展を支援しています。
規制だらけの日本!実現にむけてはさまざまな課題があった…。
ドローンによる宅配便の配送に向けて、機体の大型化が必要になる可能性があるとしています。しかし、現在の航空法においては、1飛行ルートにつき1つの飛行申請が必要となっており、大量の飛行申請が必要になることが課題となっています。
日本郵便のオペレーション改革部の上田貴之専門役は、「例えばエリアで包括的に申請できるようになれば手間が不要になる。航空局にも働きかけをしていきたい」と述べ、航空局に対して、より効率的な飛行申請方法の導入を求めていることがわかります。
ドローンを使って郵便物を無人配送など…日本郵便、物流改革に向けたプログラムを展開https://t.co/rpN2QmWhaf#日本郵便 #サムライインキュベート
— レスポンス (@responsejp) September 5, 2017
日本郵便、ドローン配送など実現へ “配送アイデア”募集
— ITmedia NEWS (@itmedia_news) September 4, 2017
https://t.co/NLGPgVun1U pic.twitter.com/WXhKYWiKb6
Fukushima
福島でドローンを使って初の配送を開始
2018年11月7日、日本郵便は福島県南相馬市の小高郵便局と、双葉郡浪江町の浪江郵便局間でドローンによる宅配便の配送を実施。この区間は約9キロであり、荷物は2キロ以内です。
日本郵政が導入しているドローンの機体は、地上60メートル以下の高さを時速54キロメートル以下の速度で飛行可能です。また、約2キログラムの荷物を搭載できるほか、非常用パラシュートも備えています。これらの特徴から、小型の荷物や書類などを安全かつ迅速に輸送するのに適した機体といえます。
なお、飛行日は以下の通りです
毎月第2・第3週の火曜日〜木曜日
飛行予定時間 9時〜16時の間・1日に最大2往復
南相馬市の郵便局を朝9時に出発し、年賀状カタログや子どもたちの描いたドローンの絵を積んだまま、15分後に9キロ先の浪江町の郵便局に到着。
従来、この区間での荷物輸送は軽自動車によって行われており、約25分かかっていました。しかし、ドローンによる宅配便の配送を導入することで、荷物の輸送時間を大幅に短縮し、業務効率化につなげることが期待されています。
「過疎地域等における小型無人機を使用した配送実用化推進事業」
「過疎地域等における小型無人機を使用した配送実用化推進事業」は、国土交通省と環境省が共同で行っている取り組みです。この事業では、全国5地域で実証実験を行い、小型無人機を使用した配送の実用化に向けた取り組みを推進しています。実証実験では、自治体や民間事業者、地元住民などが協力して、小型無人機による配送の有効性や安全性について検証する。
実証実験の場に選ばれた1つ
公募によって選定した全国5地域で、民間事業者を代表者、当該地域の地方公共団体も含めて構成される協議会を実施主体とする、実証実験を行いました。
この実証実験の目的は、過疎地域などでの小口輸送を効率化し、CO2排出量の削減を目指すことにあります。具体的には、ドローンを使用した荷物配送の早期の実用化を図り、過疎地域での生活やビジネスの支援を目的としています。
この実証実験の場として選ばれた5つの地域の1つが、日本郵便株式会社による福島県でした。
日本初!目視なし補助者なしでの飛行!
日本郵政が福島県南相馬市と双葉郡浪江町の間で行ったドローンによる宅配便の配送においては、経路長が9キロメートルと長いため、日本初の目視外・補助者なし飛行が行われました。
航空法の規制が緩和
日本では航空法により、ドローンの飛行に関する規制が設けられています。これまで、操縦者や補助者が常に目視でドローンの機体を確認しなければならず、目視外の飛行は認められていませんでした。
しかし、2018年9月には、航空法の規制が緩和され、高度150メートル未満で、第三者が立ち入る可能性が低い場所での飛行や、規定の条件を満たす場合には目視外の飛行が認められるようになりました。
新ガイドラインでは、カメラなどのセンサーによって、遠隔操作でも安全が確保できる場合に限り、より遠くまで飛ばすことが可能となっています。
10km近くの長距離をドローンで自律飛行できる環境がようやく国内で整った。
8月26日の国土交通委員会で「航空法の一部を改正する法律案」、いわゆるドローンはじめ無人航空機の飛行ルールを定める法律案について太田国交大臣はじめ国交省に質問 … – http://t.co/TWomJ5jUoe#komei pic.twitter.com/4Sw8PZkj2v
— 中川康洋(公明党比例東海ブロック) (@nakagawa_komei) September 16, 2015
日本初!住宅の上を宅配ドローンが通過
日本郵政が福島県南相馬市と双葉郡浪江町の間で行ったドローンによる宅配便の配送においては、住宅地上空を含むルートで定期的な事業用ドローンの飛行が行われたという点が国内初の試みとなります。
ドローンによる宅配便の配送が普及していくにつれて、住宅地上空を含むルートでの飛行が増えていくことが予想されます。そのため、ドローンの安全かつ適切な飛行を実現するためには、住民への配慮が重要となります。今回の実証実験においても、住民説明会をはじめ、自治体や各種団体への事前説明、道路看板の設置など、住民や関係者に対する丁寧な配慮が行われていました。
また、ドローンが飛行する経路の下の道路についても、道路占用許可申請や使用許可申請が行われ、道路利用者の安全にも配慮されていました。今後も、ドローンの活用が進む中で、住民や関係者への配慮が求められることがあるため、適切な配慮が重要となります。
電波が届くようにアドバルーンの中継アンテナ設置
この飛行ではドローンの電波の到達範囲を超えてしまうため、途中にアドバルーンによる中継アンテナを空中に設置して、電波を中継していました。
将来的には「ゆうパケット」をドローンで!
日本郵政は、ドローンによる宅配便の配送に加え、書類や小型商品の輸送にもドローンを活用することを計画しています。具体的には、局間輸送や「ゆうパケット」の配送などに利用されることが予想されます。
「ゆうパケット」は、小型商品を郵便受けに配送するサービスであり、重量制限があるため、ドローンによる配送に適していると考えられています。
将来的には山間部での郵便物輸送などにもドローンを活用することを目指しています。
現段階では、局間輸送や「ゆうパケット」の配送など、軽量の荷物を運ぶことに主眼が置かれていますが、ドローン技術の進展や需要の拡大に伴い、今後もさまざまな用途でドローンが活用されることが期待されます。
山間部「奥多摩」で実証実験
国土交通省の「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」に基づいて、補助者を配置せずにドローンを目視外飛行させる承認を得た、日本郵便や株式会社自律制御システム研究所(ACSL)は、山間部の東京都奥多摩町の協力のもと、個人宅への郵便物の配送に関する実証実験を実施。
中山間地でドローンで配送する国内初の試み
山間部での配達先に、ドローンが実際の郵便物や荷物を届けるという新たな取り組みが行われました。機体は自律制御システム研究所(ACSL)製の「PF2」を使用し、地上30~140メートルを時速約36キロメートル以下で飛行して、1.7キログラム以内の郵便物や荷物を運びました。
日本郵便、ドローン配送を試行 - 東京・奥多摩町で、個人宅にhttps://t.co/35p2K58Hqr
— 共同通信公式 (@kyodo_official) March 17, 2020
5kmをドローンで輸送
日本郵便の担当者は「順調に飛行できた」と言うとおり、ドローンはゆっくりと着陸して、郵便物を置いた後に再び飛び立ち、無事に往復約5キロを飛行した。
従来は20分かけて標高の高い山間部まで配送していたのに対し、このドローンの配送では半分の時間で安全に配送を完了したとのこと。
実現に向けて進行中
日本郵便は、山間部や離島などの人口の少ない地域での業務効率化のため、ドローンを活用する取り組みを進めています。人手不足の懸念が強まる中、ドローンによる郵便配達を行うことで、業務の効率化を図り、将来的には荷物配送の実現につなげたい考えです。