近年、自然災害による火災の被害が増えている中、ドローンの活用が注目を集めています。その中でも、ドローンを用いた消防活動が注目されており、高所や危険な場所へのアクセスや、迅速な消火活動など、多くのメリットがあります。
この記事では、ドローンを使った消防活動の最新事情や、そのメリット、今後の展望などについて紹介します。
Drone firefighting
未来の消防技術?ドローンが火災現場で活躍する日
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近い将来、消化活動はドローンが当たり前、という時代がくるかもしれません。
現場に消防車が到着するまで約10分
火災現場に指揮車の到着してから、約10分間。現場に消防車が到着するまで、平均でそれだけの時間がかかります。
火災現場で情報収集して指示を行う車両「指揮車」
指揮車とは、火災現場などで消防隊の指揮官が使用する指揮用車両のことを指します。指揮車には、通信機材や情報収集機器、地図情報などが備えられており、消防隊員が現場の状況を正確に把握し、効率的な消火活動を行うための情報を収集するために使用されます。
指揮車は、消防車や救急車などの出動に先立って、火災現場に到着し、現場の状況を確認することから始まります。消防指揮官は、現場の状況を把握し、最適な消火方法を検討するために、指揮車の中から現場を観察し、消防隊員に適切な指示を出すことができます。
指揮車は、消火活動だけでなく、地震や洪水などの災害現場でも使用されます。指揮車は、現場での情報収集や指揮のために重要な役割を果たし、消防隊員の安全確保や迅速な災害対応を支援する重要な装備の一つです。
ドローンならこれまで以上に早く情報収集が可能
もし、この時間内にドローンを用いて周辺情報を収集し、最適な形での消防車の配備や作戦展開を考えることが出来るなら?赤外線カメラを導入したドローンで、現場の温度変化を把握し、危険箇所の確認ができるなら?消火活動全般において、ドローンを利用するのは大変効果的です。
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消防車の上から離陸!!
消防現場において、指揮車にドローンを搭載し、現場の情報収集を行うことは、迅速で正確な情報収集が可能であるため有効な活用法の一つと言えます。指揮車に搭載されたドローンは、現場全体の様子や被害状況、火災の範囲や強度などをリアルタイムで確認することができ、消防隊員が正確な情報を得て、効果的な消火活動を行うことができます。
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どんな環境でも対応可能
住宅密集地の火災において、ドローンによる上空からの情報収集によって、火災の範囲や状況、人命救助が必要な場所などを正確に把握することができます。また、垂直離着陸が可能なドローンは、地形の制限を受けずに消火弾や救援物資を運搬することができ、消防活動の迅速かつ効率的な展開に貢献することができます。
森林火災などでも、ドローンによる情報収集や物資の運搬は非常に有効です。森林消防装備の不足を補うことができる点が特に重要で、ドローンを活用することで、消火活動をより迅速かつ効果的に行うことができます。
ドローンから消火ボールをピンポイント爆撃
消火ボールは、消火剤と火薬が内部にあり、火災が発生した際に導火線を燃やして火薬を破裂させ、消火剤を散布することで火災を鎮圧するための消火具です。消火ボールは、簡単に使用できることが特徴で、火災が発生した際に即座に投げ込むことで、消火活動を迅速かつ効果的に行うことができます。
ドローンを使用して消火ボールを落とす方法は、狭いスペースや危険な場所など、消防隊員が直接アプローチすることが難しい場所でも効果的に使用することができます。また、自動的に破裂する消火ボールを設置することで、火災発生時に即座に消火活動が開始されることができます。
消火ホースを引っ張り上げて高所で直接消火
ドローンに消防車の給水ホースが取り付けられ、地上のパイロットによって遠隔操作されるというアイデアは、現在も開発が進められている技術の一つです。この技術を活用することで、消防車が到達できないような高層建築物や難易度の高い火災現場にも効果的に消火活動を行うことができます。
ただし、この技術にはまだ問題があります。例えば、バッテリーの寿命が短く、飛行時間が限られていることが挙げられます。また、遠隔操作によるドローンの操作には、高度な技術や訓練が必要であり、専門的な知識を持つパイロットが操作する必要があります。
それでも、このような技術の進歩により、今後ますます高度な消火活動が可能になると期待されます。
HARWAR「D-HOPE I」
HARWAR社製ドローン D-HOPEⅠは災害救助に特化した産業用ドローンです。
災害救助用ドローン「D-HOPEⅠ」/田中電気株式会社
(前略)お値段2000万円機体の下に様々な救命用具や消火剤などを取り付けることができ、 自動操縦で被災場所まで向かうこともできるため、今後の災害現場で注目されている。
KAT-TUN中丸雄一 中丸、ドローンマスターになる!/シューイチ オフィシャルサイト – 日本テレビ
真紅の機体で目立った「D-HOPE1」は、さまざまな装備を搭載できるドローンで、しかも1時間近い飛行時間を誇る機体です。
【後編】ドローンの最先端がここに! JapanDrone2019レポート/COMP-REX
機体の下部にさまざまな消防救助用モジュールを搭載することができ、火災現場に飛んでいき、状況に応じた救助活動をおこなうことができます。モジュールは、「消火剤投下モジュール」や「液体消火弾モジュール」(中略)「救難ハシゴモジュール」「拡声器モジュール」といった現場で活躍しそうなアイテムを搭載していったり、「36倍ズームモジュール」や「赤外線探知画像モジュール」といったカメラまで用意されています。
災害大国日本を救え!レスキュードローン最前線/DRONE STATION
株式会社センチュリーは危機管理産業展に、火災消化モジュールなどを搭載出来るドローン「D-HOPE」を出展しました。https://t.co/RkLjPVqwG8 pic.twitter.com/KKMOrijQol
— tokyo-dar (@TokyoDAR) October 14, 2018
消火用装備追加!
株式会社センチュリーは、産業用ドローン「D-HOPE I,III」に装着可能な専用アタッチメントとして、空からの消火活動を想定した「火災の見張り番・消火剤投下モジュール」(実用新案登録 第3224081号)をラインナップに追加した。
ドローンで空から消火活動!「D-HOPE I,III」専用アタッチメント「消火剤投下モジュール」と「火災の見張り番 FF-1 / FF-2」を同時発売/DRONE
消火活動に活用することで、迅速に火災現場に行き、空中から消火剤を投下することで、消火活動が困難な木造建築密集地域や通常の消火設備が使えない森林や船上などでの消火活動が可能になる。
消防車が入れない場所の消火活動に、消火剤を投下するドローンを発売/週刊BCN+
「火災の見張り番・消火剤投下モジュール」にはFPVカメラが搭載されており、リアルタイムで火災現場の状況を把握できるほか、正確に消火剤を4個別々に火元へ投下することができます
産業用ドローン「D-HOPE I,III」専用アタッチメントとして『消火剤投下モジュール』と「火災の見張り番 FF-1」、「火災の見張り番 FF-2」を同時発売/株式会社センチュリー
保管できる消火剤・FF-1/FF-2
消火剤は、国家検定合格品のABC液体消火剤を充填した「火災の見張り番FF-1」と国家検定合格品のABC粉末消火剤を充填した「火災の見張り番FF-2」を用意。発泡スチロール容器に入れて保管し、火災の際に投てきできる形状で、一般家庭や文化財施設などに設置することもできる。FF-1/FF-2とも普通火災、油火災、電気火災の全てに対応するが、FF-1は普通火災の消火に特に効果があり、FF-2は電気火災の消火に特に効果がある。
消防車が入れない場所の消火活動に、消火剤を投下するドローンを発売/週刊BCN+
いずれも、発泡スチロール容器に入れて保管し、火災の際に”投てき”できる形状であり、一般家庭や文化財施設などに設置する事も可能となっている。
ドローンで空から消火活動!「D-HOPE I,III」専用アタッチメント「消火剤投下モジュール」と「火災の見張り番 FF-1 / FF-2」を同時発売/DRONE
消火ホース搭載予定!
年内には消火ホースをドローンに搭載し、直接消防車から水や消火液を送り、消火を行うアタッチメントをリリース予定です。今後もアタッチメントを変えることにより、拡声器や救命ボート投下など様々な救助活動の場で活躍できるよう適宜実証実験を行っていく予定です。
ドローンからの消火剤投下による消火実験(株式会社センチュリー)/福島ロボットテストフィールド
EHang Holdings「EHang 216」
中国企業で米国ナスダックに上場のドローンメーカーEHang Holdingsはこのほど、消火消防機能に特化した災害対応ドローン「EHang 216F」の開発を公表しました。
600メートルの高層階も対応可能、消火用ドローン「EHang 216F」の実力/ロボファン
EHang 216Fは、操縦士なしで自律飛行可能な有人マルチコプター「EHang 216」をベースとして、ビル火災消火に必要な装備を取り付けた。
高層ビル火災に対応可能な消防ドローン「EHang 216F」–高度600mで消火活動/佐藤信彦.CNET Japan.2020
発表会では、億航216による空中消火のデモンストレーションが市消防救援支隊の施設敷地で披露された。10階建て高層建物の9階で火災が発生したという想定で、億航216は迅速な動きで5分以内に火を消し止めた。
中国の億航智能、広東省で最新の消防ドローン発表/AFP BB News
空飛ぶ車
「EHang 216」は空飛ぶ車(パッセンジャードローン/エアモビリティ)として世界的に有名なドローンで、最近では中国において自動飛行による観光飛行も成功しています。
EHangが高層消防用ドローン「EHang 216F」を発表!150ℓの水で消火活動/DroneWiki
都市部で素早く
EHangでは、216Fを都市部の消防署に配備し、半径5km以内の消火活動支援することを想定し、同社の自動操縦技術と遠隔集中管理技術を用いて、1つの火災に複数の216Fを迅速に展開できることを示唆している。
EHang、消防用ドローン「EHang 216F」発表。多発する高層階火災に有用か/DRONE
特に高層ビルが多い都市部は消防車の移動に時間がかかるので、EHang 216Fのメリットが大きい。
高層ビル火災に対応可能な消防ドローン「EHANG216F」–高度600Mで消火活動/ITちゃんねる
消火剤+消火砲
高層階の消火活動用に設計された216Fは、1回の飛行で最大150リットルの消火泡を放つ事ができる。さらに消火器爆弾を6機搭載している。
EHang、消防用ドローン「EHang 216F」発表。多発する高層階火災に有用か/DRONE
カメラで火災現場を特定してホバリングし、レーザー照準器で狙った場所にウィンドウブレーカーを発射して窓ガラスを割り、消火弾を室内へ投入。さらに、消火剤を噴射する。
高層ビル火災に対応可能な消防ドローン「EHANG216F」–高度600Mで消火活動/ITちゃんねる
消火剤は、水平方向に10m離れた場所まで届く。同時に複数のEHang 216Fを飛行させて消火に使える。
高層ビル火災に対応可能な消防ドローン「EHANG216F」–高度600Mで消火活動/ITちゃんねる
Launch of World’s FIRST Large-payload Intelligent Aerial Firefighting Solution! ?
— EHang (@ehang) July 31, 2020
“EHang 216F”,this new firefighting version of #EHang 216, is born to deal with the growing high-rise firefighting problem.
learn more:https://t.co/ajLcKy0lw1 pic.twitter.com/7K5dOlbokT
中国全土で運用!
近年、都市化と建物密度の加速により、火災の危険性が高まり、消防活動がより困難になっています。今後、「EHang 216F」を中国全土の消防署が利用され、この問題を解消していくでしょう。
EHangが高層消防用ドローン「EHang 216F」を発表!150ℓの水で消火活動/DroneWiki