新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、多くの人々が外出自粛や社交的距離の確保などの制限を受け、生活様式が変化しました。そんな中、従来の形式に縛られない新しい方法やスタイルが求められるようになっています。例えば、お墓参りなどの行事においても、ネット化されることで新しいスタイルが生まれています。
カメラ越しに自分のお墓にお参りする「バーチャル墓」や、遠方に住む家族や友人とリアルタイムでコミュニケーションを取れる「バーチャル霊園」など、新しい形式のお墓参りが広がりを見せています。また、スマートフォンでお墓参りができ、世界中のあらゆる場所から好きな場所を選ぶことができる「スマ墓」なども登場し、お墓参りの形式が大きく変化しています。この記事では、そんな新しいお墓参りの形式について紹介しています。
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コロナ禍のお盆のお墓参り
新型コロナウイルス感染症拡大によって、多くの人々が外出自粛や社交的距離の確保などの制限を受け、生活様式が変化しました。これに伴い、お墓参りなどの行事においても、従来の形式に縛られない新しい方法やスタイルが求められる可能性があります。
ネット墓参り
インターネットだは、生活を劇的に変化させてきたが、近頃では、お墓もネット化されている。
バーチャル空間に建てるお墓!
仮想空間にお墓を建てることは、バーチャル墓(ネット墓)と呼ばれています。
企業が提供している「バーチャル墓」というスタイルでは、従来の霊園や墓地・納骨堂に設置したウェブカメラの映像を自宅で見ることで、直接お墓に行かずに「お墓参り」が可能になっている。
バーチャル霊園(ネット霊園)
バーチャル霊園では、仮想空間上に建てられたお墓に故人を偲ぐ人々がアバターで訪れ、お墓参りをすることもできます。アバター同士で会話をすることもできるため、遠方に住む家族や友人ともリアルタイムでコミュニケーションを取ることができます。また、お墓には花や線香を供えたり、キャンドルを灯したりすることもできます。
他人には非公開のお墓ページ
バーチャル霊園では、アカウントを取得することで、故人の個別のお墓ページが用意されます。
これらのお墓ページは、そこには、故人の写真やメッセージ、思い出話などを掲載することができ、故人を偲ぶための場として利用されます。またまた、お墓ページは公開設定にすることができるため、故人の知らない人からもコメントやメッセージを受け取ることができる場合があります。
例えば「観音院」や「本寿院」といったお寺がインターネット上にお墓を開設し、遠方に住む人たちが簡単にお墓参りができるようになっています。
お骨を納めることはできない
インターネット墓は実在するお墓とは異なり、葬儀後のお骨の扱い方はご自身が決める必要がある。一般的には粉末にして散骨されることが多い。インターネット墓を利用することで、別の墓への合葬や散骨といった葬儀後のお骨の扱いについても心のよりどころを見出すことができる。
散骨は法律では認められていないが現在は罰せられることはないグレーな行為であるため、地方自治体では規制している地域がある。そのため、バーチャルお墓なども、限りなくグレーなサービスとなりそうである。
ただし、バーチャル霊園を利用することで、他人の遺骨と一緒に供養される合葬墓や散骨を選んだ際の心の支えとなる。
スマホで墓参りが可能「スマ墓」
株式会社良心石材(本社:千葉県 香取市 代表取締役:香取 良幸)が、月額500円で故人の遺骨を預かり、遺族のお好きな場所を慰霊場所(お墓)にできる『スマ墓』を始めた。
スマホでお墓参りができ、世界中のあらゆる場所から好きな場所を選ぶことができ、そこを故人の墓にしたり、思い出の場所にすることができます。
GPS情報を登録し、スマートフォンでアプリを開き遺族が訪問すると、事前に設定された写真、動画などをAR空間で閲覧することができる。
スマ墓の場合、最大15年間お骨を預かりますが、15年以内にお墓を建てることができない場合や、お骨を引き取ることを望む場合は、いつでも返却することが可能です。また、返却先は遺族が選択することができ、居住地に合わせたお墓の場所が決まるまで預かってもらうこともできます。ただし、返却には別途費用がかかる場合があります。
残されたの家族のため、元気なうちに自らメッセージを撮影する高齢者や、亡くなった親の生前の動画をアプリに登録など、様々なリクエストがあります。
誰もいない街頭にスマホを掲げると、画面内の風景に笑顔で話しかけてくるモデル女性の姿が重なってあらわれた。
— 女性自身【公式】 (@jisinjp) January 25, 2018
スマホが墓に!開発者語る「スマ墓」に込めた亡き伯父への思い – @jisinjphttps://t.co/21teZ2tHrZ
#お墓 #最前線 #スマ墓 #IT化 #女性自身 pic.twitter.com/LwLOcLukbS
『スマ墓』 月額500円で世界中をお墓に、自由なお墓参りを。 https://t.co/uJ9MO3cONc @PRTIMES_JP pic.twitter.com/s5Ye063m89
— PR TIMES (@PRTIMES_JP) August 18, 2017
未来へメッセージ
遺族や特定の人物に限定してメッセージを残すことも可能です。例えば、成人式や結婚式のタイミングで視聴するために、特定の孫や親戚にだけメッセージを残すこともできます。
本存命中の申込者が将来に渡ったメッセージを登録地に残すことも可能です。
世界では普通!?バーチャル霊園
海外でもオンラインでの遺族と故人のコミュニケーションを可能にするサービスは多数存在しています。例えば、アメリカでは「Eternal Reefs」というサービスがあり、亡くなった人の遺骨を人工のサンゴ礁に変え、海中に設置することができます。また、スペインでは「Memory Glass」というサービスがあり、亡くなった人の遺灰をガラスに封じ込めて、家族や友人がいつでも手元に置いておけるようにすることができます。このように、様々な形でオンラインを通じて遺族と故人のコミュニケーションを可能にするサービスが世界中で広がっています。
欧米では「追悼サイト」
追悼サイトは、故人の人生や功績を振り返り、故人との思い出を共有する場としても利用されています。また、葬儀の案内やお悔みの言葉を伝えることで、遠方にいる人々も参列することができます。近年では、SNSやブログなどの普及により、個人でも手軽に追悼サイトを作成することができるようになりました
SNSやオンライン上のコミュニティによる追悼や慰霊の形式が増えており、オンライン上の追悼サイトもその一つとして注目を集めています。コロナ禍では、リアルな場での葬儀やお墓参りが制限される中で、オンライン上の追悼サイトが重要な役割を果たしています。また、公的機関がオンライン上での追悼サイトの提供を始めるなど、社会的にも認知度が高まっている。
近年の追悼サイトは、遺族や友人が自由に追悼メッセージを投稿できる「参加型」の形式が主流になっています。また、故人の人生史や活動、写真などを記録し、共有することで、生前の思い出を共有する場としても利用されています。さらに、近年では追悼サイトに対して写真や動画を送付する機能が付加され、より豊かな追悼の場となっています。
隣の国!中国もコロナ禍でオンラインを利用
中国では何千年もの歴史がある伝統的な行事、「清明節」は、家族が集まって先祖の墓参りをするものです。しかし、新型コロナウイルスの感染予防のため、各地で新しい墓参りのスタイルが広まっています。
時期をずらしてインターネットで事前予約する「オフピーク墓参り」や、代行を依頼する「代理人墓参り」、ネット上で先祖を祭る「バーチャル墓参り」などです。
2020年には中国の地方政府が、お墓の掃除代行サービスの専用サイトを開設し、積極的にネット墓参りを募った。サイトでは、「献花」「焼香」などのメニューを選択でき、さらに、当局はSNS(交流サイト)などの公式アカウントで代行の様子を流している。こうしたサービスは、日本などでもあるが、今回の募集を通じて中国でも積極的な取り組みが行われている。
土地の問題で墓地建設が難しいからバーチャル墓で!香港の事情
香港では土地不足により、墓地建設が難しくなっており、先祖を祀る伝統的な墓参りも困難になっています。そこで、先祖の墓参りを「バーチャル墓」という形で提供する新しい企業が登場しています。
この企業では、先祖の写真やプロフィールをデジタル化し、スマートフォンでアクセスできる専用アプリケーションを提供しています。アプリを使えば、遠く離れた場所からでも先祖の墓参りをすることができます。また、企業側が先祖の墓参りを代行するサービスも提供しており、海外在住の家族や、身体が不自由で墓地まで行けない方々にも利用されています。
アンソニー・ヤウさん率いるiVeneration.comが、バーチャルリアリティー技術を用いてこの事業を手掛けることで、利用者は香港のあらゆる場所に墓石を設置することが可能となった。その中には、市中心部の公園のようなおよそあり得ない場所も含まれる。
「バーチャル墓」にお参りを、土地不足の香港で新事業登場 https://t.co/byIlS7aHWH pic.twitter.com/Szg88XIxst
— ロイター (@ReutersJapan) November 26, 2017
「画面上でお墓参り」台湾の取り組み
台湾の台北市のネット上に開設されている「線上祭拝」のページでは、墓苑、納骨堂、海葬など計9種類のパターンが用意されている。利用者は、一つをクリックすると、その場所の写真とともに、花を供えたり、手を合わせたりする供養の所作がイラストで示される。そして、画面上で墓参りを行うことができる。
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ペットもネット霊園で?
ペットのためのネット霊園では、オンライン上にペットのお墓ページを作成したり、遺影写真をアップロードしたり、ペットの思い出やエピソードを記録したりすることができます。また、バーチャル空間でペットのお墓参りを行うことも可能です。最近では、ペットの遺骨を預けて、その場所を慰霊場所として登録し、スマートフォンでARを通じてペットとコミュニケーションすることができるサービスもあります。ペットを家族同様に大切にしている人々にとって、心の支えとなるサービスとして注目されています。