
観音様はアンドロイド《現代仏教》
Android Kannon Mindar
アンドロイド観音「マインダー」
「アンドロイド観音 マインダー」とは、高台寺と大阪大学が共同で開発した、仏像の観音菩薩をモチーフにした人型ロボットである。
マインダーの由来は「心」
「マインダー」の由来は、英語のマインド(心)という意味から。
マインダーは、従来の機械式のロボットとは異なり、AI(人工知能)とセンサーを搭載しており、自律的に行動することができます。
まさにアンドロイド!!
アンドロイド観音が身長195cmで、アルミを主な素材として使用、手と顔、肩がシリコンで覆われており人間の肌に似た見かけをしている。
観音様なのに衣をまとわせていない?その理由とは
アンドロイド観音に衣をまとわせない理由について後藤前執事長は、「参観者が観音様の姿を想像できる余地を残した」と説明しています。また、観音菩薩は「救いを求めるものに応じて、さまざまな姿に変化する」という教義にもとづいているため、衣をまとわせないことで観音様の姿を自由に想像することができるのかもしれません。
約1億円でご降臨なされた
駆動軸の数は26カ所で、首と顔が10カ所、両腕が14カ所、胴体が2カ所になっています。製作費は約2,500万円であり、総事業費は約1億円になっています。
25分間の説法とプロジェクションマッピング
アンドロイド観音は、仏教の経典「般若心経」に関する25分間の法話を授けるようにプログラムされており、説法中は駆動軸が26カ所ある首や顔、腕などを動かし、胴体や頭を回転させます。また、音声は女性のようにも聞こえる合成音声が使用されています。
部屋の四面に、プロジェクターを使って現代の衆生の様子が映し出され、観音様との対話形式で、説法コンテンツを進行します。
日本語を会話をし、スクリーンには英語と中国語の字幕が映し出される。
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菩薩様は人の目を見て語りかけてくる
アンドロイド観音の左目にはカメラが設置されており、まさに人間のように、相手と直接目を合わせながら話をすることができます。この機能は、アンドロイド観音が対話を通じて人々と交流するうえで非常に重要な役割を果たしています。
アンドロイドの観音様がいる場所「京都市高台寺」
アンドロイド観音がいる、京都市東山区にある高台寺は、真言宗の寺院であり、京都市内でも有数の人気観光スポットの一つです。
寺院の敷地内には多くの建物があり、中でも国宝指定されている「鐘楼」や「塔頭・光明院」は有名です。また、秋の紅葉シーズンには多くの観光客で賑わいます。高台寺からは京都市内の景色を一望することができ、特に夜景は美しいと評判です。
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はじまりは高台寺の元住職「後藤典生 執事長」
「仏様を人間に近づけることができないか」
後藤典生(てんしょう)執事長は執事長が石黒浩教授に持ちかけたのは、人間に近い形で観音様を表現することによって、現代社会に生きる人々に対する仏教の教えをより身近に感じてもらうことが目的でした。そして、大阪大学の研究チームが開発した技術を用いて、アンドロイド観音が製作されたのです。
後藤執事長は「話す仏像、動く仏像、みんなと目を合わす仏像が作れないかなと思った」、「仏像は二千年進化していない」とその思いを語っていた。
これをきっかけに現代人にも説法が広がって欲しい
アンドロイド観音によって、仏教の教えが現代の人々に伝わっていくことを期待しており、「仏像は変化する時期を迎えている」と述べています。仏教が爆発的に広まった500年後に造られた仏像から2000年間、仏像は黙し続けてきましたが、アンドロイド観音のような現代のテクノロジーを駆使した新しい仏像が現れることで、仏教の教えが今後も広がっていくことが期待されています。
「あり?なし?」これには賛否両論
斬新な試みであるアンドロイドによる仏像造りは、世界から注目を集めている。欧米のメディアも取材に訪れ、反応は多様であった。一部からは「なんでこんなことを! 人間が作るアンドロイドが神仏になっていいものか」という当惑する意見もあった。
それでも高台寺などが実施したアンケートの結果は大半が肯定的な意見となった。「最初は変な気持ちだったが、最後には受け入れられた」「想像以上に人間味を感じた」などである。一方、「観音様と言われても無理」「機械の冷たい感じを受けざるを得なかった」という意見もあった。
アンドロイド観音は仏像の進化の先にある
後藤執事長は、仏像の進化の先にアンドロイド観音が存在すると考えている。
「この世界にはね、目に見える神仏なんていないんですよ。仏教の大事な教えは、仏を追い求めることであって、仏像崇拝ではないんです」
仏像は進化する! アンドロイド観音「マインダー」がもたらす衝撃/濱野ちひろ.情報・知識&オピニオン imidas.2019
観音菩薩は自由自在に姿形を変えられる存在である
観音菩薩は、救済のためには必要な形を取ることができるとされており、多様な形で現れることができるとされています。
当然アンドロイドにもなれる
そのため、アンドロイド観音も、観音菩薩の教えに則って、救いを求める人々にとって必要な形として現れることができるとされています。
後藤執事長は、観音菩薩が変幻自在であることから、アンドロイド観音も可能だと考えたと述べています。彼は、「それならばアンドロイドの姿にもなれるだろう」「観音さまはさまざまな姿に変身してお救いくださる。マインダーはアンドロイドに変身した観音さまです」と話しました。
むしろアンドロイドだからこそ意味がある!!
またお坊さんが語る法話とは異なる理解が得られる可能性があると考えています。
法話のラストでは、観音様が自ら、”アンドロイドが説法するというこの特異な事態”について衆生に問いかけます。おそらくこの説法コンテンツを開発された和尚さん方が、「アンドロイドによる説法なんて、空(くう)っていうか、空っぽじゃないか」という批判が各方面から出ることをあらかじめ予想して、自問自答の要素を埋め込んでおいたのかもしれません。「アンドロイドには苦がないが、人間には苦がある。だから、人に共感できる。それが人間の素晴らしさである」という趣旨のメッセージで締めくくられます。
アンドロイド観音が観音様になる日/松本紹圭.彼岸寺.2019
「相手に共感する心はロボットには持ち得ない。人間であるあなたたちに備わる力だ」。般若心経を解説するアンドロイド観音「マインダー」が報道陣に公開されました。#仏教https://t.co/JLCTH7WmVb
— 毎日新聞 (@mainichi) February 24, 2019