この記事は、日本の仏師・三浦耀山が提唱する浮遊する仏像「ドローン仏」について紹介しています。このプロジェクトでは、小型のドローンを使って、阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩の3体の仏像を浮遊させています。
また、仏師の三浦耀山は、伝統と現代を融合させたユニークな仏像を制作することで、若い世代にも仏教文化に対する関心を高めることを目指しています。この記事では、ドローン仏の制作過程や、三浦耀山の経歴、考え方などを詳しく紹介しています。
Drone Buddha
ドローン仏
ドローン仏(Drone Buddha/ドローンブッダ)とは、日本の仏師である三浦耀山が提唱する、浮遊する仏像を実現するためのプロジェクトです。
ドローン仏に使われているドローンは、中国のRyze Tech社が製造している「TELLO」という機種です。TELLOは小型で手軽に操作できる入門向けのドローンで、高度な飛行制御技術を備えています。
ドローン仏の名前の由来は?
ドローン仏という名称になるまで、いくつかのネーミング候補がありました。その中からMAKE TEES Inc.が提案した「ドローンブッダ(日本語表記:ドローン仏)」が採用され、三浦耀山仏師からもOKが出たことでこのネーミングになりました。
3Dプリンターで制作!
ドローン仏には阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩の3体があります。これらの仏像は、三浦耀山が彫刻した木像をスキャニングし、そのデータを基に3Dプリンターで出力されました。このように、伝統的な木彫り仏像を現代の技術で再現することで、新しい表現形態を生み出すことができます。
サイズは高さ約10cmであり、中は可能な限り空洞化され、重量はわずか13グラムに収められています。このように軽量化することで、ドローンが仏像を浮遊させることが可能になります。ドローンは一定の重量までしか持ち上げることができないため、軽量化は非常に重要な要素となります。また、仏像を軽量化することで、持ち運びや展示の際の取り扱いも容易になるというメリットがあります。
ドローン仏の作り方②(3D編)
— 三浦耀山 (@biwazo) November 26, 2018
仏像を3Dスキャン、3Dプリントする→ドローンが正常に飛ぶよう極力軽量化する→彩色する
(3D化はLiQさんの全面協力により完成しました)#ドローン仏 #ナムい #スッキリ #LiQ pic.twitter.com/GbacQmTO36
ドローン仏で話題の仏師の三浦耀山さんのお地蔵様の3Dデータを、キャステム京都LiQさんから提供頂き、弊社EXTRABOLDの大型3Dプリンターで柔らかい材料で造形(高さ80cm)してみました。可愛らしくて、とても「ナムい」感じで完成しました。 pic.twitter.com/v33G5f581Z
— 原雄司@EXTRABOLD Inc. (@unosuke) November 26, 2018
試行錯誤のすえの“3D”
ドローン仏の制作過程では、最初に木製の仏像を使用しましたが、そのままでは重くてドローンに乗せることができなかったため、2年間にわたって試行錯誤が行われました。その結果、木製の仏像を3Dプリンターで樹脂製の8gに軽量化することに成功しました。
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ドローン仏の作り方③(実践編)
— 三浦耀山 (@biwazo) November 28, 2018
仏像をドローンに載せる→法要で飛ばす→ナムいことに。。
(ドローンについては株式会社MAKE TEESに全面サポートをいただきました)#ドローン仏 #ナムい #テクノ法要 #てらぱるむす #スッキリ https://t.co/TrnIt4BHGJ pic.twitter.com/GXni1AyESy
遊びじゃない!これが仏教の世界感だ!!
ドローン仏は一見、お遊びのように見えますが、実は仏教の教えと深く結びついています。
仏像がドローンに乗って空を飛ぶ様子は、仏教の教えにある阿弥陀経の「臨終来迎」という概念を表現しているとされています。
阿弥陀経には、信仰深い人が亡くなると阿弥陀如来が菩薩とともに極楽浄土からお迎えに来られると説かれています。この来迎の様子は、古くから仏画や彫刻で表現されてきました。
ドローン仏は、この来迎の様子を現代の技術で表現したもので、伝統と現代を融合した作品と言えます。
最終的には「来迎図」を再現するため、阿弥陀如来像に25体の菩薩像をドローンに乗せたいという計画があります。
仏師「三浦耀山」
1973年埼玉県生まれの三浦耀山は、会社員から仏師に転身した異色の経歴の持ち主です。
脱サラして仏師に弟子入り
1996年早稲田大学政治経済学部卒業後に一般企業に勤務。その後、「見仏記」(みうらじゅん、いとうせいこう著)を読んで仏師に憧れ、会社員を辞めて滋賀県の仏師に弟子入りしたとされています。三浦氏が滋賀県にある仏師の工房に弟子入りした後、長期にわたって修行を積み、独自の作風を確立したと言われています。
仏像修復・制作
1999年に大仏師の渡邊勢山に師事し、13年にわたる修行を経て、2012年に独立しました。現在、京都市上京区にある「土御門仏所」を拠点に、主に寺院向けの仏像彫刻や仏像修復を手がけています。また、工房や寺院などで定期的に仏像彫刻教室も開催している。
仏教を現代のテクノロジーで伝導
現在は、仏教の世界観を現代のテクノロジーを使い、わかりやすく伝えようという試みを行っています。
その一環として、三頭身の「わらべ仏」や、3Dプリンターの技術を使った「ガチャ仏」など、ユニークな仏像も制作しています。
三浦耀山は、「仏像様式は時代の最先端を取り入れた歴史があり、今の時代ならもっとわかりやすく表現できるのではないか」と語り、伝統と現代を融合した作品を制作しています。
その作品は、若い世代を中心に、仏教文化に対する関心を高めるきっかけとなっています。
「独自性よりひたしみ」
彫刻と仏像の違いや、仏像制作におけるこだわりについて、「仏像制作で重視するのは、独自性よりも人々が仏様に親しみを持ってくれること」と述べており、仏教文化を現代に伝えることを使命とし、人々に愛される仏像を制作することに力を注いでいます。また、仏師のあり方についても考えており、「技術力や独自性だけではなく、社会との関わりや人とのつながりを大切にすることが、現代の仏師に求められることではないか」という考えを持っています。彼の言葉からは、伝統と現代を融合した新しい仏教文化を創造するために、仏師たちがさらに進化する必要があることが感じられます。
実際に、三浦耀山の作品は、若い世代を中心に、仏教文化に対する関心を高めるきっかけとなっています。
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今日のスッキリで注目していただいたのは嬉しいのですが、ドローン操縦の上手いお坊さんと思っている方もいらっしゃるみたいなので、本業の仏師としての仏像彫刻写真を上げておきますね。 #ナムい #ドローン仏 #スッキリ pic.twitter.com/ANWtoNlW84
— 三浦耀山 (@biwazo) November 23, 2018
「龍岸寺」でお披露目イベント
ドローン仏は京都の龍岸寺で行われた超十夜祭の中で開催されたイベントでお披露目されました。
超十夜祭は、龍岸寺の伝統的なお祭りで、多くの人々が訪れます。このお祭りの「テクノ法要の」オープニングアクトとして、ドローン仏が登場、来場者は浮遊する仏像を目の当たりにしました。
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