【史上最高のラグビー選手】最後の挑戦!2015年ワールドカップでの感動の瞬間《リッチー・マコウ④》

2015年、イングランドの地に集まった世界最高峰のラグビーチームたちは、その年の栄冠を目指して熱戦を繰り広げました。中でも特に注目されたのが、オールブラックスの伝説的キャプテン、リッチー・マコウでした。

マコウのキャリアの中で、これが最後のワールドカップとなることは周知の事実であり、ファンやプレイヤー、そしてメディアは彼の一挙手一投足を逃さずに見守っていました。

【史上最高のラグビー選手】ラグビー史に刻まれた最後の挑戦の軌跡《リッチー・マコウ③》
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ラグビー世界最強チーム“オールブラックス”の偉大なるキャプテン―その苦悩と栄光への軌跡。(「BOOK」データベースより)

2015 Rugby World Cup

「2015年W杯」リッチー・マコウ最後の伝説

Rugby World Cup/YouTube

2015年ラグビーワールドカップは、4年ごとに開催される世界最高峰のラグビーユニオンの大会の8回目として、イングランドで9月18日から10月31日の間に行われました。

今大会では、2011年大会に出場した20か国のうち、ほぼ全てが再び顔を揃えましたが、敗者復活戦ののウルグアイがロシアに勝利し、今大会に出場しました。

2015年ラグビーワールドカップの開会式

2015年9月18日の19時20分(BST・英国夏時間)、ラグビーワールドカップの開会式が、ラグビーの聖地「トゥイッケナム・スタジアム」始まりました。

開会式の演出は、2012年ロンドンオリンピックの開会式・閉会式の演出を成功させた実績を持つ、国際的にも高く評価される演出家の。キム・ギャビンが担当しました。

彼の手掛けるショーは、そのクリエイティブさと壮大さで知られ、今大会の開会式も例外ではなく、圧倒的なスケールと感動で満ち溢れ、世界中のファンや視聴者を魅了しました。

注目を浴びた「ラグビーの誕生物語」

開会式では、ラグビーの起源とされるウィリアム・ウェッブ・エリスの伝説が紹介されました。これは、ラグビーユニオンというスポーツがどのようにして生み出されたかを示す重要なエピソードです。

1823年、イギリスのラグビー校での出来事がラグビーの発祥とされています。

ウェブ・エリス少年が、当時盛んであったフットボールの試合中に、ボールを手に持って走ったという行為が、この新しいスポーツの起点となりました。このエピソードは、ラグビーがどのようにして個性的な特徴を形作ったかを物語っています。

そして、この革新的な行為から約20年後の1845年に、ラグビーとして初めてのルールが制定されました。

当時のイギリスでは、フットボールが非常に人気がありましたが、地域ごとに異なるルールでプレーされていたため、統一されたルールの必要性が高まっていました。

ウェブ・エリス少年の行為がきっかけとなり、ラグビーは独自のルールを持つスポーツとして発展していったのです。

この伝説は、ラグビーワールドカップの開会式において、多くの人々にラグビーの起源と歴史、そしてスポーツとしてのラグビーの特性を伝え、ラグビーへの理解と興味を深めるきっかけとなりました。

そして、この伝説を振り返ることで、ラグビーワールドカップがいかに特別なイベントであるか、参加者や観客に改めて感じさせる瞬間となったのです。

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「スウィング・ロー、スウィート・チャリオット」の熱唱

開会式のハイライトの一つとして、ラグビースクールの合唱団による「スウィング・ロー、スウィート・チャリオット(Swing Low, Sweet Chariot)」の熱唱が挙げられます。

この歌は、イングランドラグビーと深く結びついており、多くのイングランドのファンにとっては、試合を盛り上げる”国歌”として親しまれています

開会式でこの曲が選ばれたのは、今大会をイングランドがホストしており、ラグビーの歴史と伝統を祝う意味合いが強いからです。

ラグビースクールの合唱団による歌唱は、その歴史と伝統を象徴するものとして、開会式の雰囲気を一層盛り上げました。トゥイッケナム・スタジアムに集まった数千人のファンたちは、合唱団の熱唱に感動し、一体感を感じることができました。

過去と現在が交差するラグビー界のアイコン

「スウィング・ロー、スウィート・チャリオッ」がラグビーと関連付けられるようになったのは1980年代後半からです。特に1987年、トゥイッケナム・スタジアムでのイングランド対アイルランドの試合が記憶に新しい。

その試合でイングランド代表デビューを果たした黒人選手、クリス・オーティの見事なトライを祝して、ファンたちはこの曲を熱唱しました。

しかし、この曲の背後には奴隷制度の時代に関連する歴史があり、それが現代の文化や政治的背景と衝突することがあります。

その結果、ラグビーフットボール協会(RFU)は、この曲の使用をめぐる議論を巻き起こすことになりました。

RFUは、この曲の歴史的背景やそれにまつわる問題について、ファンや関係者を教育するための取り組みを強化する方針を示しています。

トゥイッケナムでの「スウィング・ロー、スウィート・チャリオット」の熱唱は、様々な論争や批判にもかかわらず、禁止されることはありませんでした。

それは、この曲がイングランドのラグビーファンにとってどれほど特別なものであるかを示しています。

ラグビー界の英雄が一堂に集結!

開会式は、参加国全てからの元選手が代表として招待され、その壮大さと歴史の深さを世界に示す場となりました。

特に注目されたのは、開催国イングランドを代表して出席したマーティン・ジョンソンです。

ジョンソンは、2003年のワールドカップでイングランドチームを優勝へと導いたキャプテンとして知られ、そのリーダーシップとプレースタイルで多くのファンから愛されています。

彼の出席は、イングランドラグビーの誇りを感じさせる瞬間となり、多くのファンや関係者にとって感動的でした。

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大会開幕の声!ハリー王子のスピーチが心に響く!!

英国の公式代表としてサセックス公ハリー王子が出席し、その熱烈なサポーターとしての姿を再び示しました。ハリー王子は以前、2012年の夏季パラリンピックの際にも代理として出席し、大会の開幕を宣言しています。

今大会でも、王子は情熱的なスピーチを行い、「準備はできた。試合開始」という言葉でそのスピーチを締めくくりました。

これは、参加する全てのチームとファンへのエールでもあり、大会の開始を心待ちにする全ての人々の気持ちを高まらせました。

さらに、英国のデービッド・キャメロン首相も、この大会の成功を強く信じており、ソーシャルメディアを通じて「2015年のラグビーワールドカップは史上最高のものになるだろう」との期待を示しました。

首相のこの発言は、大会の成功を期待する多くの国民の気持ちを代弁しているとも言え、英国中がこのスポーツの祭典を盛大に祝う気持ちで一杯であることが伺えます。

熱気の開幕戦!イングランド vs フィジー

開会式の後、2015年ラグビーワールドカップの開幕戦が、開催国イングランドとフィジーの対戦という華々しいカードでスタートしました。

試合開始は20時、トゥイッケナム・スタジアムの熱気は最高潮に達していました。イングランドはホームのアドバンテージを最大限に活かし、フィジーを圧倒。

イングランドのマイク・ブラウンの活躍は目を引くものがあり、2回のトライを決めるなど、その実力を証明しました。

ジョージ・フォードもPKを成功させ、イングランドは35-11というスコアで勝利を収め、ホームのスタジアムを沸かせました。

決勝トーナメントまでの道のり「グループリーグ(プールステージ)」

この年のワールドカップは、2003年、2007年、2011年と同じ形式で進行されました。20の参加チームは4つのグループ(プール)に分けられ、各グループに5チームずつ所属しています。

各チームは総当たり戦を行い、同じグループ内の他の4チームとそれぞれ1試合ずつ対戦します。

この形式は、すべてのチームが平等に同じ数の試合をすることができるという利点があり、グループステージの結果が次のラウンド進出の鍵となります。

各グループから上位2チームがノックアウトステージ(決勝トーナメント)に進出し、タイトルを目指して戦っていきます。

詳しくは以下。

  • ポイント制度:
    • 勝利: 4ポイント
    • 引き分け: 2ポイント
    • 敗北: 0ポイント
    • 1試合で4トライ以上獲得: ボーナスポイント
    • 8点差未満での敗北: ボーナスポイント

各プールとそのチーム

  • プールA:
    • オーストラリア
    • イングランド
    • ウェールズ
    • フィジー
    • ウルグアイ
  • プールB:
    • 南アフリカ
    • サモア
    • スコットランド
    • 日本
    • アメリカ
  • プールC:
    • ニュージーランド
    • アルゼンチン
    • トンガ
    • ジョージア
    • ナミビア
  • プールD:
    • フランス
    • アイルランド
    • イタリア
    • カナダ
    • ルーマニア
プールBでは日本がラグビー史上最大番狂せを起こした!

2015年ラグビーワールドカップのプールステージで、日本と伝統的なラグビー大国である南アフリカが対決しました。この試合前、多くの人々は南アフリカが圧倒的な有利と見ていました。

南アフリカは過去にワールドカップを数回制覇しており、強豪としての実績を誇っていました。一方、日本は過去のワールドカップでの成果は少なく、大きなアップセットを期待する声はほとんどありませんでした。

しかし、試合が進行するにつれ、日本は強固なディフェンスと戦略的なオフェンスで南アフリカに立ち向かいました。試合は互角に進行し、ファンたちは息を呑むような展開に目を奪われました。

そして、試合終了間際の瞬間、日本がトライを決めて南アフリカを破りました。これは、ラグビー史上最大の番狂わせとして、世界中のスポーツファンから賞賛を受けました。

この勝利は、日本ラグビーの地位を一変させるものとなり、日本のスポーツ史においても忘れられない瞬間として刻まれました。

このように素晴らしいパフォーマンスを見せた日本チームでしたが、最終的には進出ポイントでわずかに及ばず、決勝トーナメントへの進出を逃しました。

それでも、このワールドカップでの日本の活躍は、国際的なラグビーの舞台での日本の地位を向上させました。日本の今大会を通じて世界中で話題となり、新たなラグビーファンを増やすことに成功したのです。

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<プールC>ニュージーランド vs アルゼンチン

  • 日付: 2015年9月20日
  • 場所: 英国ロンドン, ウェンブリースタジアム

ニュージーランドとアルゼンチンの対戦は、両国の強豪としての実力を問うる激しい戦いとなりました。特にアルゼンチンの意地を見せるプレーは、オールブラックスを驚かせる場面も見られました。

試合結果
  • スコア: ニュージーランド 26 – 16 アルゼンチン

序盤はアルゼンチンの先制により、オールブラックスが劣勢に立たされる場面が続きましたが、持ち前の技術と連携、さらに経験豊富な先発15人の力を活かしての逆転勝利を収めました。

観客動員
  • 観衆数: 89,019人

ウェンブリースタジアムでのこの試合は、ラグビーワールドカップ史上最多の観衆を集めました。これは、2つの強豪国の対決への期待の高さと、この大会の人気を示すものでした。

ニュージーランドの先発15人

この試合のニュージーランドの先発15人は、以前のワールドカップの試合よりも経験豊富なメンバーで構成されました。特にアルゼンチンとの接戦を予想し、ヘッドコーチは最も信頼のおけるメンバーでの出場を選択しました。

試合の経過

前半の終わりには、ニュージーランドが13-12という僅差のスコアでリードしていましたが、後半戦に入ると、オールブラックスの力強いプレーと連携が光り、最終的に26-16でアルゼンチンを撃退しました。

この試合は、両国の技術と戦略の高さを証明するものであり、多くのラグビーファンに感動を与えました。

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リッチーマコウに浴びせられた大ブーイング

この試合でオールブラックスは勝利しましたが、試合に関する話題の中心はリッチー・マコウ選手が犯した明白な違反と、コンラッド・スミス選手が犯した不必要なファールでした。

これらの出来事は試合の流れに影響を与え、一時的にはオールブラックスが13人に減少しました。

前半、マコウ選手は故意に足を出してプーマスのスター選手であるフアン・マルティン・フェルナンデス・ロベ選手を倒しました。

フェルナンデス選手はこれに反応し、地面に倒れ込みました。このプレーにより、スタジアムの観客たちは怒りを爆発させました。

このプレーによりマコウは10分間の追放処分を受けました。そして、ベンチに下がりその顔がスタジアムの大型スクリーンに映し出されると、スタジアム中から大ブーイングが巻き起こりました。

その瞬間、89,000人のファンは一斉にマコウに非難の視線を向けたのです。

最終的にオールブラックスは勝利を収めましたが、試合後にマコウ選手の顔には安堵の表情が浮かび、おそらくはレッドカードを受けた場合と比べ、ほっとしたのかもしれません。

メディアの評価

イギリスのデイリー・メール紙によれば、ウェイン・バーンズ審判は試合中にTMOを一度だけ利用し、その後の判定には影響しなかったと報じられました。

実際、リッチー・マコウ選手はアルゼンチンの選手や観客に向けて挑発的な行動を取りました。試合後も彼はブーイングの対象となりました。

この記事によれば、ニュージーランドではマコウ選手は英雄とされ、ジョン・キー首相が彼を騎士にしようとしていると報道されています。

しかし、ラグビー界の他の国々ではマコウ選手を不正行為を行った選手と見なしていると指摘しています。

オーストラリアのフォックススポーツは、元イングランド代表のルイス・ムーディが、マコウ選手に対してレッドカードを出すべきだったと考えていることを報じました。

英国紙テレグラフは、ウェンブリー・スタジアムで聞かれたブーイングが「彼の物語を語った」と述べ、マコウ選手が以前にも運の良い逃げを試みたことがあるが、今回はそうではなかったと指摘しました。

ニュージーランドのウェブサイト「スタッフ」は、今回の行動を「馬鹿らしいあからさまな違反」と呼び、これにより彼の評判が悪化し、国内外の批判を引き起こしたと指摘しました。

そして、これはルールを完全に軽視した行動であると非難しました。SNS上では「マコウは詐欺師だ」などという批判の投稿が相次ぎ、炎上する騒ぎになりました。

スティーブ・ハンセン監督がこの件について語る

スティーブ・ハンセン監督は以下のように語りました。

  • 2枚のイエローカード
    「今日、2枚のイエローカードをもらったことはかなり馬鹿げたことでした。もちろん、マコウとコンラッドはあんなプレーでカードをもらうのは馬鹿げているということを十分理解しています。しかし、時にはカッとなって爆発してしまうこともあります。」
  • ブーイング
    「ここではそれが普通のことだと言えます。何年も前から起こっていることです。我々はこれをありのままに受け止めています。これは偉大な選手に対する敬意の表れでもあるからです。仮に平凡な選手であれば、誰も気にせずブーイングすら起きないでしょう。」
  • 自分のチームのパフォーマンスについて
    「確かに、私たちは酷いパフォーマンスでした。本当に酷いパフォーマンスでした。それだけでなく、ほとんどのチームには不安がありました。みんながペースから0.5秒遅れていたのです。それがワールドカップに伴うものであり、特に初戦ではそれが起こります。私たちは長い間試合をしていなかったので、もう少しエネルギーと活力が必要だと感じました。ベンチがそれを提供してくれました。」
マコウ本人の見解

リッチー・マコウはこの件について以下のように語っています。

  • 自分のイエローカードについて
    「あのイエローカードは、後から振り返っても後悔したくなるようなプレーでした。そのミスを犯した瞬間に、自分でもすぐに気づきました。それは反射的な行動であり、本来はやってはいけないことでした。その結果、自分自身が苦しむことになり、チームに不必要なプレッシャーをかけてしまいました。」
  • 観客からブーイングされたことについて
    「以前にも同じようにブーイングされたことがありますが、その都度、それに困惑しているだけでは何の進展もありません。そのような状況に直面しても、それに気を取られないようにする必要があります。ブーイングを受けた瞬間、私は自分が危険なプレーを犯し、一時的に退場(シンビン)という処分を受けていたので、反論する余地はありませんでした。」
  • アルゼンチンによってプレッシャーを受けたことについて
    「それは最初の試合ならではのことでしょう。試合の後半では、より効果的にプレーできたと思います。いくつかの改善点はありますが、それがラグビーの特性でもあります。このウェンブリーというスタジアムは、プレーするには魔法のような場所であり、最高のグラウンドの一つです。」

<プールC>ニュージーランド vs ナミビア

  • 日付: 2015年9月24日
  • 場所: イギリス・ロンドン, オリンピックスタジアム

ニュージーランドとナミビアの対戦は、オールブラックスの強さとナミビアの挑戦者としての熱意が試合の中心となりました。多くのファンが、両チームの戦いを楽しみにしていました。

試合結果
  • スコア: ニュージーランド 58 – 14 ナミビア

オールブラックスはジュリアン・サヴェア、ネーヘ・ミルナー=スカダー、サム・ケインの活躍により、58-14の大差でナミビアを撃退しました。

この勝利により、ニュージーランドはプールC首位通過への道を確実なものとしました。

「ラグビー史上最大のミスマッチ」ハンセン監督の戦術

ナミビアの選手の大半は、農家、歯科医、商人、エンジニア、ダイヤモンドトレーダー、歯科助手、自転車店の従業員など、さまざまな職業に従事しており、プロのラグビー選手ではありませんでした。

これに対してオールブラックスはラグビー界の王者として知られ、この対決はラグビー史上最大のミスマッチの一つとして注目されました。

この試合では、リッチー・マコウを含む主要選手が出場メンバーから外れ、オールブラックスは実質的にに軍で試合に臨みました。

これは、アルゼンチン戦で26対16で勝利した後、ハンセン監督がアルゼンチン戦での選手たちのパフォーマンスに不満を抱いていたためで、ナミビア戦では先発メンバーを11人変更する戦術を採りました。

マコウ選手は最終クォーターから出場し、ナミビアの主将であるジャック・バーガーが負傷で退場したにもかかわらず、オールブラックスは最後の5分間にサヴェアとフッカーのコーディー・テイラーがトライを追加しましたが、それ以外には2つのトライしか追加できませんでした。

ハンセン監督のナミビアへの評価

試合後、ハンセン監督はナミビアの選手たちについて以下のように高く評価しました。

「ナミビアが疲れてしまうと、試合は混乱しましたが、23歳のアマチュア選手が8人もいて、ラグビー界で最もプロフェッショナルなチームの1つと対戦するのであれば、それは予想されることでした。

しかし、試合の初めから、彼らはブレイクダウン、タックル、ラインアウトなどで全力を尽くしました。彼らは自分たちを本当に誇りに思うべきです。

彼らは与えられるすべてを尽くし、それが人々から求められることであり、それを達成しました」

ナミビアの選手たちはプロ選手ではないにも関わらず、オールブラックスとの試合で最善を尽くし、ラグビーの精神を示しました。ハンセン監督は彼らの努力と情熱に敬意を表したのです。

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<プールC>ニュージーランド vs ジョージア

  • 日付: 2015年10月2日
  • 場所: ウェールズ・カーディフ, ミレニアムスタジアム

この試合は、プールCでの首位を争うニュージーランドと、ラグビー発展国として成果を上げつつあるジョージアとの対戦で、多くのラグビーファンが注目していました。

試合結果
  • スコア: ニュージーランド 43 – 10 ジョージア

オールブラックスはジュリアン・サヴェア、キーラン・リード、サム・ケインといった主力選手たちのトライにより、43-10というスコアでジョージアを下しました。ジョージアも健闘しましたが、結局はニュージーランドの強さが際立った試合となりました。

リッチー・マコウが負傷退場

60分に、オールブラックスの主将であるリッチー・マコウがアルゼンチン選手の激しいタックルを受けてしまいました。

マコウは足を引きずりながらピッチを離れ、すぐに脚の2か所に氷を当てる処置が取られました。この場面は、ニュージーランドファンにとって非常に心配な瞬間でした。

しかし、マコウは試合後、「打撲が数ヶ所あっただけで、まだプレーを続けられたはずだ」と語り、大きな心配はしていない様子でした。

マコウの退場後、ジョージアは一時的に攻撃的な姿勢を強めました。しかし、オールブラックスはその攻撃に冷静に対応し、王者の風格を見せつけるプレーを展開しました。

決勝トーナメント進出が決定

ニュージーランドはこの勝利で、ボーナスポイントを獲得してラグビーワールドカップの決勝トーナメント準進出が決定しました。

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<プールC>ニュージーランド vs トンガ

  • 日付: 2015年10月9日
  • 場所: イングランド・ニューカッスル, セント・ジェームス・パーク

プールCの一戦としてのニュージーランド対トンガ戦は、大会の序盤から注目の試合の一つでした。過去の対戦や両国のラグビー文化、そしてこの大会における彼らのパフォーマンスが交錯する中での一戦であった。

試合結果
  • スコア: ニュージーランド 47 – 9 トンガ

ニュージーランドはオールブラックスとしてのプライドを持って試合に挑み、ネーヘ・ミルナー=スカダー選手、マア・ノヌ選手、ジュリアン・サヴェア選手がトライを決めるなどの活躍を見せました。

一方、トンガも健闘を見せましたが、最終的にはニュージーランドの強さに押される形となりました。

トンガの選手達と課題「ニュージーランドでの隔離と選手不足」

トンガのラグビーチームは、様々な課題を背負いながらも国際舞台での戦いに挑んでいます。その最たるものが、選手たち自身が負担しなければならないニュージーランドでの隔離費用です。

この事実は、トンガのラグビー組織の資金的な課題を明らかにしており、選手たちの情熱と献身を強く感じさせるものとなっています。

このような経済的な困難にもかかわらず、選手たちは自国を代表して国際試合に挑む誇りを持っており、その姿勢は多くのラグビーファンから高く評価されています。

しかし、資金的な問題だけでなく、選手不足という課題もトンガのチームには存在します。

そのため、イカレ・タヒ監督は独自の戦術を採用。ニュージーランドのクラブラグビーから選手を引き抜くことで、13人のデビュー選手を新たにトンガの代表チームに迎え入れました。

これは非常に大胆な戦略であり、新しい選手たちがどれだけ国際舞台でのプレッシャーに耐えることができるのか、注目のポイントとなりました。

リッチー・マコウの負傷とトンガ戦欠場

リッチー・マコウは、前回のジョージア戦での負傷が影響し、トンガとの一戦を欠場しました。

ハンセン監督は、チームの深さと強さを信じており、マコウの欠場についてもあまり心配していない様子を見せていました。

試合前の記者会見では、「これまでもホームから何度も息を呑んだ瞬間があった。しかし、我々は十分に準備されている。われわれは大丈夫だ。ファンやサポーターたちにも、過度に心配する必要はない」とコメントしていました。

さらに、「もしこれが決勝トーナメントだったら、マコウは確実にプレーしていただろう。しかし、我々のチームには非常に優れた選手が揃っており、”100パーセントの状態でない選手をフィールドに送り出すリスクを取る必要はない” と判断することができる。」とも述べてました。

伝統ダンスでの対決!「シピタウ vs ハカ」

試合前のセレモニーでの一幕は、観客たちにとって忘れられない瞬間となりました。

ワイカト・スタジアムでの試合開始前、トンガの選手たちはフィールドに立ち、伝統的なダンス「シピタウ」を披露。

シピタウはトンガの伝統的な戦いのダンスで、選手たちの団結と戦闘意欲を高めるとともに、相手に対するリスペクトを表現するものです。

その後、オールブラックスも応じ、ニュージーランドラグビーにおいて伝統的なハカを披露しました。ハカは、マオリの伝統的な戦いの踊りで、これを行うことで選手たちは一体感を高め、相手に対して自らの存在をアピールします。

セント・ジェームス・パークには、54,000人もの観客が詰めかけました。観客たちは、一度の機会で二つの美しい、力強い伝統的なダンスを目の当たりにし、その壮観なパフォーマンスに感動したことでしょう。

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プールCの展開

すでに決勝トーナメント出場を決めてたニュージーランドでしたが、この勝利でプールC全試合を勝ち抜き、その実力を見せつけました。

アルゼンチンも強さを見せ、3勝を挙げて準々決勝に進出しました。

一方で、トンガ、ジョージア、ナミビアはプールステージを突破することはできませんでした。特にトンガは、過去の大会での成績からも注目されていましたが、この大会では突破を果たすことができませんでした。

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<準々決勝>ニュージーランド vs フランス

  • 日付: 2015年10月17日
  • 場所: イングランド

ニュージーランドとフランスの間には、ラグビーワールドカップの歴史に名を刻むような試合が数多く存在しています。

2007年にはフランスがサプライズ勝利、2011年の一進一退の攻防を繰り広げた決勝戦まで、両国の対戦は常にファンの期待を超えるものとなってきました。

キャプテンのリッチー・マコウは、オールブラックスが2007年のワールドカップでフランスに敗北したことが、その後のチームの成長と進化の鍵となったと信じています。

試合結果
  • スコア: ニュージーランド 62 – 13 フランス

ジュリアン・サヴェア選手のハットトリックトライをはじめ、オールブラックスの各選手がその実力を発揮し、フランスを圧倒しました。この試合の結果は、ニュージーランドのその年のワールドカップでの強さを示すものとなり、ラグビー界全体に衝撃を与えました。

マコウの先発復帰と驚異的な経験を持つチーム

オールブラックスは先発メンバーを4人変更し、ワイアット・クロケット、ブロディ・レタリック、リッチー・マコウ、ジュリアン・サヴェアを再び先発メンバーに戻しました。

この新しいラインナップは988キャップの経験を持っており、これは、ラグビーワールドカップ決勝トーナメントにおける最も経験豊富なチームとして、そしてワールドカップの参加国全体みても2番目にキャップの多いラインナップになりました。

平均年齢も30歳弱と、2番目に古いチームであることを考慮すると、その経験は計り知れないものとなりました。

キャプテンとしての最多試合記録に並ぶ

マコウはこの試合でキャプテンとしてフィールドに立ち、ラグビーワールドカップでのキャプテンとしての最多試合記録に11回並びました。

試合後のスティーブ・ハンセン監督のインタビュー

スティーブ・ハンセン監督は試合後のインタビューで、「非常に満足のいくパフォーマンスで、1位から23位まで全員が自分の役割を果たした」と振り返りました。

ハンセンは次の対戦相手である南アフリカに対しても言及し、「(南アフリカとの対戦が)待ちきれない。我々は偉大な相手と対戦する。彼らは素晴らしいチームであり、我々は彼らとの付き合いを楽しんでいるし、彼らとの対戦を楽しむつもりだ」とコメントしました。

リッチー・マコウのインタビュー

一方で、ニュージーランド代表キャプテンのリッチー・マコウも、「強度は常にワンランク上に上がるだろうし、私たちは一週間中、ワンランク上に上がる必要があることについて話し合った」と、次の試合への意気込みを語りました。

さらに、「選手たちを誇りに思う。特に試合開始直後、我々は調子に乗ってフィールド周辺でプレッシャーをかけた」と、チームのパフォーマンスを称えました。

スプリングボクスとの因縁深い対決について

マコウにとって最も厳しい相手として常に名を連ねるのが、南アフリカ(スプリングボクス)です。

これまで146回のテストマッチを戦ってきたリッチー・マコウにとって、南アフリカ代表チームスプリングボクスとの対戦は、ラグビーキャリアにおいて特別な意味を持つものとなっています。

これまでに25回もの対戦が繰り広げられ、オールブラックスはそのうち6勝を挙げています。これにより、マコウにとってスプリングボクスは統計的に最も成功した対戦相手と言えます。

しかし、数字中の話以上に、スプリングボクスと対峙することにマコウは強い情熱を燃やしています。

マコウは次の試合で激突するスプリングボクスについて、「スプリングボクスとの対戦は、これまでプレーした中で最も厳しいラグビーの一つです」と語りました。

特に、シャルク・バーガー選手はマコウにとって印象深い存在であり、「シャルク・バーガーは私が長年にわたって幸運にも対戦できた選手であり、スプリングボクスがもたらすフィジカルの典型だ。」と高く評価しました。

その上で、「おそらくまたシビアな試合になるだろうが、私はそういう試合は好きです。あのような環境の中で、あのような激しい相手と対戦することが、自分がラグビーをする理由です」と興奮気味に語り、その言葉からは、対戦の困難さや厳しさを乗り越えることによって得られる達成感や喜びが伝わってきました。

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<準決勝>ニュージーランド vs 南アフリカ

  • 日付: 2015年10月24日
  • 場所: トゥイッケナム・スタジアム, ロンドン, イングランド

この試合は、ラグビーの伝統的な強豪であるスニュージーランド(オールブラックス)と南アフリカ(スプリングボクス)の間で行われ、世界中のラグビーファンの注目を集めました。

両国は過去にもワールドカップで激しい戦いを繰り広げ、どちらも優勝経験があります。そのため、この試合は優勝候補同士の戦いとして非常に大きな期待が寄せられていました。

試合結果
  • スコア: ニュージーランド 20 – 18 南アフリカ

試合は予想通りの緊迫した展開となり、一進一退の攻防が繰り広げられました。しかし、ジェローム・カイノとボーデン・バレットのトライにより、ニュージーランドが南アフリカを辛くも下しました。

これによって、オールブラックスは決勝トーナメントへ進出し、オーストラリアとの頂上決戦の舞台へと進みました。

マコウが決勝欠場の可能性

試合後、リッチー・マコウが決勝に出場でいきない可能性が浮上しました。

これは試合後に公開されたビデオ映像から指摘された問題で、映像の中では激しい戦いの中で、マコウの肘がスプリングボクスのフランソワ・ルーの顔面に接触した瞬間を捉えており、これが意図的なものだった場合、重大なペナルティが課される可能性があったのです。

この一件について、ハンセン監督は公然とマコウを擁護。

「オールブラックスのキャプテンとしての彼の立場を考慮すると、ピッチ上で特別な注目を受けることは避けられない。しかし、私たちはそのような状況に慣れており、正しい対応をするつもりだ」とコメントした。

一方、フランソワ・ルーは試合中に額に2つの傷を負っており、その治療のために20針を縫う手術を受けました。

フランソワ・ルーはどのようにして傷を受けたのかについて質問された際、「正確にはわからないが、おそらくラックの中での接触だったと思う」との見解を示した。

新たな映像でリッチー・マコウの欠場の危機が回避

その後、新たに映像によって、オールブラックスのキャプテン、リッチー・マコウのワールドカップ決勝欠場の危機が回避されることになりました。

当初疑われていた肘打ちは、今回公開された映像の中で、実際にはマコウの腰がフランソワ・ルーの肩に接触したことが判明したのです。

元オールブラックスでスカイスポーツの解説者であるイアン・ジョーンズは、この新たな発見についてm「驚くようなことはなく、単に事実が明らかになっただけ。

これにより、マコウは心置きなく決勝戦に臨むことができる」と感想を述べました。

一方、カンタベリーラグビーサポーターズクラブ会長のディック・テイラーは、「私は映像を何度もリプレイして確認しましたが、彼が意図的に何かをしたとは思えません。彼はチームをリードする役割を持っており、決勝戦に出場することが非常に重要だ」と安堵していました。

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次の試合で引退!?決勝戦前夜のマコウの噂

2015年のラグビーワールドカップ決勝を目前に控え、オールブラックスのリッチー・マコウは、自身の現役引退については明言を避け、ファンやメディアをさらに期待させてました。

長年に渡り、オールブラックスの中心選手として活躍してきたマコウは、今大会限りで引退するという噂がささやかれていました。

決勝戦の数日前、10月29日の記者会見では多くの人がマコウの引退発表を予想していましたが、マコウ自身は未だ決断を下していないことを示唆。

「私は仮定の話をするのが嫌いだったから、わざとその話題に触れないできた。母国に戻ってから決断を下すだろう」と述べ、引退についての決意は固めていないことを明らかにしました。

現役引退が噂されている理由の一つは、所属クラブ、クルセイダーズの来季登録メンバーにマコウの名前がなかったことです。

しかし、マコウは、現在は決勝戦に集中しており、「決勝の笛より先のことを考えないようにしている。考えたって、試合で助けになることは全くないからだ」と引退のことは考えていないと語りました。

オールブラックスが3度目のワールドカップ優勝、そして大会連覇を果たすことができれば、マコウにとって最高の幕引きとなるだろう。

この頃、マコウ自身やチーム内では、最後の試合にまつわる話はタブーとなっていました。

「個人ではなく、チームのパフォーマンスがすべて。個人の節目など脇によけておくことだ」と、マコウはチームの団結を重視している。

ハンセン監督はマコウについて「おそらく彼はラグビー界最高のプレーヤーだ」と賞賛。マコウのリーダーシップと成長に敬意を表し、マコウの未来がどうあれ、彼がラグビー界に与えた影響に感謝の意を示しました。

決勝戦に向けて、マコウは「われわれが勝てばあとはどうでもいい。どんな試合になるかは分からないが、こちらにはスペースを作ってトライを決めるゲームプランがある」と力強く語り、あくなき勝利へのこだわりを見せました。

マコウのキャリアにとって、この決勝戦がどのような意味を持つのか、決勝戦は世界中のラグビーファンが注目する世紀の決戦になりました。

All Blacks/YouTube

<決勝>ニュージーランド vs オーストラリア

  • 日付: 2015年10月31日
  • 場所: トゥイッケナム・スタジアム, ロンドン, イングランド
試合結果
  • スコア: ニュージーランド 34 – 17 オーストラリア

この決勝戦は、2011年にオールブラックスがフランスとの対戦で8対7で獲得した勝利のように、非常に重く、緊迫した雰囲気の中で繰り広げられた。

史上初めて両チームがそれぞれ2トライ以上を獲得した決勝戦となり、総計5トライが記録された。この記録は、1987年の初回大会でオールブラックスがフランスを破った際の4トライを上回るものでした。

オールブラックスからはネーヘ・ミルナー=スカダー、マア・ノヌ、ボーデン・バレットがトライを記録。一方、ワラビーズからはデビッド・ポーコックとテビタ・クリドラニが得点を挙げました。

特に注目されたのは、マア・ノヌの42分に記録したトライで、彼は決勝戦で得点した最年長選手となった。オールブラックスのベン・スミスは、ドリュー・ミッチェルに対する不適切なタックルで、決勝戦初のイエローカードを受けました。

このアドバンテージを利用して、ワラビーズは2本のコンバージョントライを決め、スコアを21-17と縮めた。しかし、オールブラックスのダン・カーターがドロップゴールで得点を挙げ、リードを広げる。

その後、カーターはペナルティでさらに3点を追加し、ボーデン・バレットもトライを挙げるなどして、オールブラックスは最終的に34対17で勝利しました。。

キャプテンのリッチー・マコウは、これが最後の試合と思われており、観衆のスタンディングオベーションを受けて試合終了1分前に交代となりました。

この試合は、ワールドカップ決勝戦としては非常に得点が多く、ファンにとっては忘れられない一戦となりました。

Rugby World Cup/YouTube

2015年ラグビーワールドカップ優勝とトロフィー

2015年のラグビーワールドカップ決勝後、選手たちが表彰台に並んでいる中、ハリー王子がオールブラックスのキャプテン、リッチー・マコウにトロフィー(ウェブ・エリス・カップ)を手渡しました。

マコウがトロフィーを天に掲げると、背後で美しい花火が打ち上げられ、その神聖な瞬間を祝福しました。選手たちは喜びのシャンパンを開け、優勝の興奮を爆発させました。

オールブラックスはラグビー史上最も偉大なチームであることを証明し、2015年のキャンペーン中に多くの記録を塗り替えました。

彼らはノックアウトステージでの最多勝利を記録し、ラグビーワールドカップで連覇を達成した初のチームとなりました。さらに、3回のワールドカップ優勝を果たした最初の国として歴史に名を刻みました。

そして、外国の地でワールドカップを優勝できないという「呪い」も打破しました。

この優勝でリッチー・マコウは特に注目されました。マコウはウェブ・エリス・カップを2度持ち上げた初の選手となり、2015年のワールドカップでの優勝によって、ワールドカップで連覇を達成した唯一のキャプテンになりました。

Rugby World Cup/YouTube
歴史的瞬間!勝利のハカ「カ・マテ」

オールブラックスの勝利の後、会場はさらなる興奮に包まれました。チームはその歴史的な連覇を祝って、伝統的なハカを披露したのです。

マコウはその偉大なキャリアの中でテストマッチでのキャプテンを数多く務め、通常はマオリ系の選手がハカのリードを務めるものですが、特別にハカのリードを務めてきました。

マコウは基本的に「カ・マテ」のハカを率いることが多く、その姿は多くのファンにとって印象的でした。

マコウは今回の勝利を祝し、「カ・マテ」を指揮しました。マコウの力強いパフォーマンスは、オールブラックスの連覇の重要性と、マオリ文化の中心的な役割を象徴していました。

この瞬間は、ファンや視聴者にとって、この大会のハイライトの一つであり、ラグビー史に刻まれるものになりました。

Rugby World Cup/YouTube

対戦相手のオーストラリアからの賞賛

ニュージーランドの勝利後、オーストラリアのメディアABCネットワークは「総合的な内容だったと言って間違いない。オールブラックスは開幕のホイッスルが鳴ったときから首位に立っており、どこから見てもチャンピオンに見えた」と報じました。

二人のレジェンドの進退

この試合では、ニュージーランドの伝説的なフライハーフ、ダン・カーターが引退を発表していました。

カーターのパフォーマンスは卓越しており、彼の貢献が評価されてマン・オブ・ザ・マッチに選ばれました。これにより、カーターは12年間にわたり112キャップを記録した輝かしいキャリアにピリオドを打ちました。

ラグビーワールドカップ2015の歴史的なキャプテン「リッチー・マコウ」

また、もう一人の偉大な選手であるリッチー・マコウもこの試合で特別な記録を達成しました。マコウは、キャプテンとして最多となる148キャップを獲得。

ワールドカップの歴史において、これほどのキャップ数と年齢の組み合わせの実績と経験を持つキャプテンが出場したことはありませんでした。

この記録は、ウェールズ代表キャプテンのアラン・ウィン・ジョーンズが149キャップ目を獲得する2020年10月31日まで、5年間破られることなく保持され続けました。

マコウは、選手としての技術やフィジカルの強さだけでなく、リーダーシップやメンタル面での強さで知られています。

そのため、マコウが2度のワールドカップ決勝戦でチームを率いるということは、その実力を証明するものであり、彼がチームの中心として活躍する姿は多くのファンや関係者にとって感動的なものでした。

34歳304日という年齢で、ワールドカップでのキャプテンとしての出場は、彼の持続的なパフォーマンスとコンディションの維持の証でもあります。

この年齢でのハイレベルなプレーは、若手選手たちにとっても大きな刺激となったことでしょう。

また、148のキャップ数は、彼の長いキャリアでの努力と献身を示すものであり、ラグビー界において非常に尊敬される数字です。

このような実績を持つマコウが、ラグビーワールドカップの決勝の舞台でプレーすることは、ファンにとっても大変な喜びであり、この大会がさらに特別なものとなった要因の一つであると言えるでしょう。

スティーブ・ハンセン監督の評価

オールブラックスのスティーブ・ハンセン監督は、リッチー・マコウとダン・カーターをニュージーランドが誇るベスト2選手と位置づけており、マコウこそが歴史上最も偉大なオールブラックスの選手であり、カーターは僅差で2位だと試合後に語りました。

その差について、「おそらく彼らを分ける唯一のことは、どちらかがフランカーであり、フランカーとしてテストマッチ148試合に出場すべきではないということです。そんなことは前代未聞です。そこでプレーするたびに体を張っているのです」と語りました。

華々しい引退を飾った決めたカーターに対して、リッチー・マコウは引退するかキャリアを続けるのか決断の時が迫っていました。

マコウ自身が引退について語る

リッチー・マコウは、ワールドカップの歓喜の渦の中で、自身の輝かしいラグビーキャリアと今後の意向について語りました。

そのコメントからは、オールブラックスへの誇りと、ラグビー界での彼のキャリアへの深い情熱が伝わってきます。

  • 勝利への喜び:「これは私のキャリアの中で最も誇らしい瞬間です。4年前のワールドカップでの優勝の後、我々は再びこの道を進むことを目指してきました。そして今、その目標を達成しました」
  • 引退についての思い:ワールドカップ後に引退が噂されている中、マコウはその思いについて明らかにしました。「私はまだこのチームの一員であり、まだそれについては考えたくない…私は今日の勝利を楽しみたいのですが、果たしてこれで十分に満足できるでしょうか?」と語り、ラグビーを続ける意志が伺えました。
  • オールブラックスへの愛:「大きくなったらオールブラックスでプレーしたいと思っていました。今でもプレーをするたびに黒いジャージを着ることがどれほど幸運であるかを実感しています」とマコウは、子供の頃からの夢とオールブラックスへの愛情を語りました。
  • キャリアの未来:「今ではプレーするたびに、一週間のうちにそれについて考える時間を取っています。最初にプレーしたときの興奮の感覚の後は、それにさらに何かを加えて、自分の何かを残したいと思うのです」マコウは、プレーするごとに自身のキャリアに新たな価値を加えていきたいとの意向も示しました

リッチー・マコウのこれらのコメントから、マコウがどのようにラグビーキャリアを捉え、どのような意志と情熱を持っているのかが明らかになりました。一方で引退については不透明でした。

Rugby World Cup/YouTube

偉大なキャリアの終わりを宣言!

2015年11月19日、オールブラックスの象徴、リッチー・マコウが、ウェリントンでの記者会見でプロラグビーの世界からの引退を発表しました。

これは、ワールドカップ2連覇に輝くオールブラックスを率いてからわずか3週間後のことでした。

それはワールドカップを2連覇に導いてからわずか3週間後、ウェリントンでの記者会見にて、この大きな決断を発表したのです。

また、この発表は、前日に亡くなったオールブラックスの伝説的な選手ジョナ・ロムーの突然の訃報から24時間も経っていない中で行わることになり、マコウは会見冒頭、故ジョナ・ロムーへの1分間の黙祷を捧げました

「今日、これを発表するのが正しいことなのか迷いましたが、私のラグビー人生に終止符を打ち、シューズを干す決断をしました。」とマコウは語りました。

「だからこそ、オールブラックスとして、そしてプロラグビー選手としての私の最後の試合が数週間前のワールドカップ決勝だったことを皆さんに知ってもらいたかった。それは私の人生の大きな節目です。」

引退への気持ち

「皆さんに、私がこの決断を下すに至った経緯や、なぜ今決断したのかを少しお話ししたいと思います」とマコウは話し始めました。

「今年の初めに、この日が来ることは予想されていて、この年が私の最後になるだろうということは特別に隠していませんでした。

しかし、心の奥底ではドアを完全に閉じることを躊躇していたのだと思います。これにはおそらく二つの理由があります。

1つ目は、ワールドカップの年に、感情によって自分を振り回されるのかが心配だったかです。だから、最終的な決断を下すことは避けました。

具体的には『これが最後だから、あれが最後だから」などとと考え始め、ベストのプレーをするために必要なことを全て果たしているのかどうかを考えてしまうかもしれなかったからです。

そのため、ドアを完全には閉めずに少しだけ開けておくことで、これが最後になると感じないようにしてきました。

2つ目は、ワールドカップは中途半端な結果は存在しません。帰国した時には、歓喜に包まれているか、とてつもなく失望するかのどちらかでした。

仮に、もし私たちが敗れて帰国した場合、オールブラックスのキャプテンとして、きちんと責任を果たせるようにしたかったのです。

ドアの外に片足を出しているような中途半端な姿ではなく、きちんとチームの先頭に立ち責任を果たさなければいけませんでした。

私は、それが正しい方法だったということを確認したかったのです。

もし結果が逆になった(優勝した)場合は、一個人ではなく、オールブラックスのチームの一員として楽しみたかったのです。そして、それが実現しました。

そのおかげで自分の決断について考える時間ができました。これまでの二週間は、ラグビー人生を少し振り返る機会を与えてくれたのです。

そして、今日ここに座ってラグビー選手としての人生に一切の後悔がないことを実感しています。

最後のゲーム、ピッチ上で最後の時間を過ごせたことに非常に満足しています」

RNZ/YouTube

リッチー・マコウ引退…。オールブラックスの歴史に名を刻む

引退を発表したリッチー・マコウの功績は、世界中の多くの人々から称賛されました。

ハンセン監督が敬意を表す

その中でも、一緒に戦ってきたハンセン監督は、オールブラックス公式ウェブサイトでマコウの偉大さに敬意を表しました。

「オールブラックスを代表して、リッチーがキャリアで達成したすべてのことを祝福します。これらすべての成功は、彼と同じぐらい優れた人物ではない達成することは不可能であり、私たちは彼の今後の幸運を祈っています。

私は、彼が史上最も偉大なオールブラックスとしてだけでなく、我々がこれまでにプレーした中で最も偉大なキャプテン、そしておそらく現代でプレーした中で最も偉大な選手として語り継がれると思っています。

148のテストでプレーすることは、特に彼がプレーするポジションでの肉体的な過酷さを考えると、それ自体が驚くべきことです。

しかし、それらの148試合ん中でもっとも印象的なのは、彼が生み出したパフォーマンスの質です。それらのテストマッチの大部分に参加してきたが、彼が低いパフォーマンスをしたことが私の記憶にはありません。

リーダーとしての類稀な能力は、これからも彼は発揮し続けるでしょう。なぜなら、リーダーシップは自然に身につくものではなく、学習して身につけるスキルだからです。

彼は私たち全員にインスピレーションを与えてくれました。彼は現役時代にオールブラックスの権威を高めただけでなく、私たちが去った後もずっと多くの人々に語り継がれるであろう不朽の遺産を残しました」

また、ハンセン監督はマコウのキャリア初期を振り返り、冗談めかして「彼はキャッチもパスもできず、走ることもできなかった」とコメントしましたが、そのエピソードはどれだけ彼が努力を積み重ねてきたかの具体例として挙げられました。

「彼は最高の時期を選んでラグビーを引退しました。彼がオールブラックスのためにしてくれたすべてに、私たちは永遠に感謝するでしょう」と最後にハンセン監督は締めくくりました。

世界ラグビーの歴史に名前が刻まれる

この他、マコウのかつての対戦相手や監督も、去った背番号7に敬意を表しました。

リッチー・マコウの引退は、ラグビー界全体に大きな影響を与えるものとなりました。その偉大キャリアは、オールブラックスの歴史だけでなく、世界ラグビーの歴史にも名を刻むこととなったのです。

不滅の伝説!リッチー・マコウの栄光

34歳のリッチ・マコウは、記録的な148回のテストに出場し、131回の勝利を収めました。そしてラグビー選手が獲得できる思いつく限りすべてのトロフィーを獲得し、15年のキャリアに終止符を打ちました。

現代のラグビーの試合や、それ以前のあらゆる時代の比類のない記録と栄誉と比較すると、マコウ最大の功績は長く第一線でプレーし続けたことかもしれません。

地方大会やスーパーラグビーへの出場を気にせず、一人で148のテストマッチを勝ち抜き、ウェブ・エリスのトロフィーを頭上に掲げて34歳で自らの意志で引退する。まさに、伝説の物語と言えるのではないでしょうか。

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ラグビー世界最強チーム“オールブラックス”の偉大なるキャプテン―その苦悩と栄光への軌跡。(「BOOK」データベースより)
【史上最高のラグビー選手】レジェンドが歩む新たなフィールド《リッチー・マコウ⑤》

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