「ペコス・リーグ」メジャーでもマイナーでもない?ベースボールの本場は独立リーグも凄すぎる!(5)

「ペコス・リーグ」メジャーでもマイナーでもない?ベースボールの本場は独立リーグも凄すぎる!(5)

Appendix league

付属?アペンディックス・リーグ

今、アメリカには幾多の独立リーグがある。その中で、安定的な運営をしているものはわずかで、その他のアペンディックス(付録)リーグと呼ばれるリーグは、プロとしてはプレーレベルが低く、無報酬どころか有料で出場機会を与えるというような、一般に思われる「プロ」とはかけ離れたものさえある。

アメリカ独立リーグの現実 松坂賢氏(エンパイアリーグ国際スカウト)インタビュー(その1)/阿佐智の「アサスポ・ワールド・ベースボール」.2019

収益の要は選手が自腹のトライアウト

Empire Baseball League/YouTube

スポンサー集めや集客などがうまくいくと、リーグとしての興行が成り立ち、設備投資にも力を入れることができる。選手の給与水準も高くなり、より良い選手を獲得しやすい。

苦しくてもやめない 月給5万の野球選手/宮寺 匡広.PRESIDENT Online.2017

それに加えて、収益の大きな部分を占めるのが、選手からのトライアウト参加費だ。トライアウトとは入団テストのことである。アペンディックスリーグのほとんどは、シーズン前のトレーニング、一般にいうキャンプをトライアウトと位置づけている。

「やりがい搾取」の場なのか「原石が花開く場所」なのか?仕掛け人が語るアメリカ独立リーグ(後編)/阿佐智.Yahoo!ニュース.2019

本来、リーグ、球団がコストをかけねばならないスカウティングをビジネスにしているのだ。その「トライアウト・キャンプ」では、「プロ野球選手」という夢を抱いた若者をプロスカウトの前でプレーさせ、そのお眼鏡にかなった者にはプロ(と言ってもマイナー契約か独立リーグだが)契約を結ぶチャンスが巡ってくるのだ。

修士号を取りながらも見果てぬ夢を追い世界中を旅する「野球放浪人(ベースボール・トロッター)」(前編)/阿佐智.Yahoo!ニュース.2019

 このようなトライアウトリーグの話は、ちょうどペコスリーグができたころから聞こえてくるようになった。参加費は、1か月弱で3040万円。日本人の場合、これに往復の航空運賃がかかってくる。要するに、これら底辺リーグは、シーズン中のプロ野球興業ではなく、シーズン前のトライアウトリーグで儲けていると言っていいだろう。

海の向こうも野球が熱い! 北米独立リーグその2 アメリカ底辺リーグの実態—下—/阿佐智の「アサスポ・ワールド・ベースボール」.2015

ビジネスライク……否!それでもプロ!

「シーズン期間3か月以内」、「有料トライアウトに有料キャンプ」、「低報酬または無報酬」。これが「プロ野球」だと言われてもほとんどの人は違和感を感じるだろう。

「やりがい搾取」の場なのか「原石が花開く場所」なのか?仕掛け人が語るアメリカ独立リーグ(後編)/阿佐智.Yahoo!ニュース.2019

それでも、そこに集う選手たちは、それまでの自分から抜け出し殻を破ることを夢見て、若き日の夏をフィールドで過ごす。その姿は、冷徹な目で見れば、一種の「やりがい搾取」にも見えるのだが、彼らはその実態はどうであれ、「プロ」としてプレーする自分に陶酔し、アメリカの大地で「夢追求」を続ける。そういう彼らがプレーするリーグをアペンディックス(付録)リーグとひとは呼ぶ。

「やりがい搾取」の場なのか「原石が花開く場所」なのか?仕掛け人が語るアメリカ独立リーグ(前編)/阿佐智.Yahoo!ニュース.2019

さすが本場(笑)桁違いのプロ野球チーム数

(前略)「アペンディックス(付録)リーグ」とも呼ばれる新興リーグは、毎年のように起こっては消えている。その中でも、カリフォルニアのパシフィックアソシエーション、アリゾナを中心に展開されるペコスリーグが2010年代前半から運営を継続しており、また2016年にはエンパイアリーグ、ユナイテッドショアリーグの2リーグも発足している。

広い裾野をもつアメリカプロ野球【WORLD BASEBALL vol.4】/BASEBALL GATE.2019

 これら独立リーグの球団数は約50。メジャーからアペンディックスまで実に300近いプロチームが広大な国土の至る所で展開されているがアメリカプロ野球なのである。

広い裾野をもつアメリカプロ野球【WORLD BASEBALL vol.4】/BASEBALL GATE.2019

Pecos League

ペコス・リーグ

数ある独立リーグの中でも最底辺のリーグ

The Denver Post/YouTube

創設は2010年と新しく、当初は6チームでのスタートだったが、経営は順調で現在は12チームまで拡大している。資金難のために生まれては消える米独立リーグはMLB(メジャー・リーグ・ベースボール)を頂点とした米野球界の最底辺だが、ペコスリーグはメジャー傘下ではない独立リーグとして独自の存在感を放っている。

辺境で見た究極のアメリカンドリーム/篠原 匡.日経ビジネス電子版

リーグの由来は川の名前

Enrique Garcia/YouTube

「ペコスという名前はニューメキシコからテキサス西部を流れるペコス川から。このリーグはペコス川の流域をカバーしているのでね」

 同リーグのコミッショナーで創設者でもあるアンドリュー・ダンは言う。

辺境で見た究極のアメリカンドリーム/篠原 匡.日経ビジネス電子版

テキサス州の片田舎の地名がついたこのリーグは、テキサス、ニューメキシコの小さな町をフランチャイズとするチームで構成されている。

最底辺よりも下。「プロ野球難民」が集うペコス・リーグって何だ?/阿佐智.web Sportiva.2017

シーズンはたった2ヶ月

ペコスリーグは実質2か月の短いシーズンのプロリーグだ。

ペコスリーグを訪ねてアルパインへ(7月19日)/阿佐智の「アサスポ・ワールド・ベースボール」.2017

2か月ちょっとという短いシーズンは、7月中には終わってしまう。

七転び八起き、「ベースボールの果て」でプレーを続ける「しくじり」侍のストーリー/阿佐智.Yahoo!ニュース.2018

……ハードすぎる環境

ペコスリーグは現在6ある北米独立リーグの中でも、最も小規模なものである。リーグの規模はそのままリーグの財政規模を表す。リーグの財政規模は、そのまま選手の待遇となって現れる。

最底辺よりも下。「プロ野球難民」が集うペコス・リーグって何だ?/阿佐智.Sportiva.2017

最も薄給と言われるペコスリーグは、月々200~400ドル(約21000円~42000円程度)の給料で、2カ月半で70試合をこなす過密スケジュールだ。遠征になると小さなバンで10時間移動したあと、すぐに試合ということもある。

ロボット審判導入で話題。アメリカ独立リーグの選手給料とレベルは?/宮寺匡広.web Sportiva.2019

それどころか、報酬ももらえないことも珍しくなく、正式契約前にテスト代わりに公式戦に出場してもギャラは出ないし、スポンサーが撤退して、ない袖は振れぬとばかり、給与支払いがなくなったりすることもあったという。

海の向こうも野球が熱い! 北米独立リーグその2 アメリカ底辺リーグの実態—下—/阿佐智の「アサスポ・ワールド・ベースボール」.2015
泊まる場所はホームステイ

住居に関しては、ホームステイが用意され、食事も提供されていたが、ビジターゲームでは、通常どこのリーグでも出されるミールマネーの支給はなかった。

最底辺よりも下。「プロ野球難民」が集うペコス・リーグって何だ?/阿佐智.Sportiva.2017

経費削減のため、遠征先のホテルでは2人部屋を4人で使い、ベッドは2人で1台という過酷さだ。

苦しくてもやめない 月給5万の野球選手/宮寺 匡広.PRESIDENT Online.2017
日本人もプレイ
日経ビジネス/YouTube

それでも毎年、このリーグには日本人選手が在籍し、今年も2人の日本人選手がプレーしていた。

海の向こうも野球が熱い! 北米独立リーグその2 アメリカ底辺リーグの実態—下—/阿佐智の「アサスポ・ワールド・ベースボール」.2015

ただし、マイナーリーグで目立つラテン系の選手はほとんどいない。野球をお金稼ぎの手段と考える傾向が強い彼らにとって、このリーグは”出稼ぎ先”にもならないわけだ。

最底辺よりも下。「プロ野球難民」が集うペコス・リーグって何だ?/阿佐智.Sportiva.2017

まるで草野球?

Kiss Cactus/YouTube

このリーグに集う選手の約半数は、フリーダム・リーグ同様、大学を卒業したばかりの者で、残りがMLB傘下のマイナーを早々にリリースされた者であるという。

第7回 アメリカ独立リーグの現実:苦境に立たされる弱小リーグ(下)/独立リーグドットコム.2014

(前略)関係者から聞いた話では、球場は高校野球の練習場並み、球団の運営もプロとはほど遠いものであるという。

第7回 アメリカ独立リーグの現実:苦境に立たされる弱小リーグ(下)/独立リーグドットコム.2014

この日の観客はなんとたったの50人、草野球のような風景の中、フィールドで動き回るユニフォーム姿の若者に拍手と叱咤激励の声が飛ぶ。

七転び八起き、「ベースボールの果て」でプレーを続ける「しくじり」侍のストーリー/阿佐智.Yahoo!ニュース.2018

お客さんからカンパ

Kiss Cactus/YouTube

カンザスのカレッジリーグから転戦してきたコーリーがライトスタンドにソロホームランをたたき込む。すると、帽子を持ったスタッフが観客席を回り始めた。ご祝儀のチップを集めているのだ。5回終了時点での観客はわずかに73人。だが、1ドル札で埋まった帽子を見て、コーリーは思わず仲間とハイタッチした。

辺境で見た究極のアメリカンドリーム/篠原 匡.日経ビジネス電子版

ここからメジャーリーガーになるには……

普段はカレッジのコーチをしながら、夏休みにニューメキシコに帰ってくるという監督の話によれば、このリーグからメジャー球団と契約にこぎつけるのは、シーズンにひとりいるかいないか。しかも契約した選手も、結局は無名のマイナーリーガーとして選手生活を終えることがほとんどだという。

最底辺よりも下。「プロ野球難民」が集うペコス・リーグって何だ?/阿佐智.web Sportiva.2017

それでもここ10年間で、ペコスリーグでプレーした選手でメジャーリーグに昇格した選手はヤーミンで4人目です。

2014年時代のチームメイトがメジャーリーグデビューしました!/Yuki Yasuda Official Website.2020

これは、このリーグがいちプロ野球リーグとして機能していることの証明で、どこの球団から見向きもされなかったような選手でも、どこのタイミングで花が開くかわからないことの証明であり、いろいろなところに才能は眠っているということなんだと思います。

2014年時代のチームメイトがメジャーリーグデビューしました!/Yuki Yasuda Official Website.2020

それでも必要な素晴らしいリーグ!

「乗っていくかい。息子が降板したので、昼飯を食いに行くんだ」

 彼は、大学院に通いながら夏休みをこのリーグで過ごす息子の夢にもう少し付き合うらしい。この日のピッチングを見る限り、彼がメジャーの舞台に立つことはないだろう。それでも、そういう選手がアメリカの片隅にある小さな町に、ベースボールの火を灯していることに、この国の野球の裾野の広さを感じた。

最底辺よりも下。「プロ野球難民」が集うペコス・リーグって何だ?/阿佐智.web Sportiva.2017

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