《42~世界を変えた男~》黒人選手初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンの闘い(後編)

ジャッキー・ロビンソンは、アメリカの野球史に残る偉大な選手の一人であり、人種の壁を打ち破った象徴的な存在です。ジャッキー・ロビンソンの偉大な功績を讃えるために、メジャーリーグベースボールは全30球団で背番号「42」を永久欠番とし、毎年4月15日には「ジャッキー・ロビンソン・デー」として、全選手が背番号「42」を着用して試合に臨みます。

また、ジャッキー・ロビンソンの妻であるレイチェル・ロビンソンが設立したジャッキー・ロビンソン財団は、アフリカ系アメリカ人や有色人種の若者たちの教育やキャリア支援に取り組んでいます。さらに、日本の野球界においても、イチローがジャッキー・ロビンソンと共通する点を持ち、その功績が称えられています。

この記事では、ジャッキー・ロビンソンが残した偉大な影響力について紹介しています。

《42~世界を変えた男~》黒人選手初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンの闘い(前編)
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史上初の黒人メジャーリーガーとして幾多の差別を乗り越え、野球界の新たな1ページを切り開いた伝説のプレイヤー、ジャッキー・ロビンソンの不屈の人生を描いた感動の伝記ドラマ。彼と、彼を周囲の猛反対を押し切り起用したブルックリン・ドジャースのやり手GMブランチ・リッキーの2人が繰り広げる孤独で過酷な戦いの行方を綴る。主演はチャドウィック・ボーズマン、共演にハリソン・フォード。監督は「L.A.コンフィデンシャル」「ミスティック・リバー」などの脚本で知られるブライアン・ヘルゲランド。(「allcinema」データベースより)

Baseball Legend No. 42

永久欠番!伝説の背番号「42」

National Baseball Hall of Fame and Museum/YouTube

1997年4月15日、ジャッキー・ロビンソンのメジャーデビュー50周年を記念して、メジャーリーグベースボールは全30球団で背番号「42」を永久欠番としました。これは、彼の功績を讃えるとともに、野球史において非常に重要な出来事であり、人種の壁を打ち破った象徴的な選手である彼に敬意を表するものでした。

制定以前から42番を着用していた選手については、特例としてその選手が現役引退するまで背番号の継続使用が認められました。これにより、彼らもジャッキー・ロビンソンの偉大な功績を称えることができました。

4月15日「ジャッキー・ロビンソン・デー」

2004年に制定された「ジャッキー・ロビンソン・デー」は、彼の功績を讃え、野球界だけでなくアメリカ社会全体に影響を与えた一日として広く知られています。毎年4月15日には、メジャーリーグの全選手やコーチ、マネージャーが背番号「42」を着用して試合に臨み、ジャッキー・ロビンソンが人種の壁を打ち破った功績を称えるとともに、多様性と平等の価値を再認識する機会となっています。

MLB/YouTub

メジャーデビュー50周年を記念したクリントン大統領の演説

1997年4月15日、ジャッキー・ロビンソンのメジャーデビュー50周年を記念して、ドジャーズとメッツの間で特別な試合が行われました。5回終了後には、記念式典が開催され、当時のクリントン大統領がジャッキー・ロビンソンの奥様であるレイチェル・ロビンソンを隣に立たせて演説しました。

クリントン大統領は、次のように述べました。「ロビンソンは50年前、野球とアメリカが直面していた問題を変えました。多様な人々が共に働き、すべての人にチャンスが与えられたとき、アメリカはより強く、豊かな国になれたのです。ジャッキー・ロビンソンはまさにパイオニアとして、その道を切り開いたのでした。」

この式典は、ジャッキー・ロビンソンが持つ歴史的な意義を称えるものであり、彼の功績が現代のスポーツ界や社会に与えた影響を讃える機会となりました。

clintonlibrary42/YouTube

ケン・グリフィー・ジュニアの提案と背番号「42」のユニフォーム着用の慣習

2007年のジャッキー・ロビンソン・デーから、ケン・グリフィー・ジュニアの提案により、希望する選手全員が背番号「42」のユニフォームで試合に臨むようになりました。これは、ジャッキー・ロビンソンの功績をより多くの選手が讃えるための取り組みでした。

そして、2009年からは全選手がジャッキー・ロビンソン・デーに背番号「42」を着用するようになり、現在もこの慣習が続いています。これにより、毎年4月15日には、メジャーリーグの全選手、コーチ、マネージャーが背番号「42」を着用し続けています。

2019年「生誕100周年周年」

2019年はジャッキー・ロビンソン氏の生誕100周年であり、毎年恒例のジャッキー・ロビンソン・デー(4月15日)は特別な意味がありました。この節目の年を記念して、MLBは大手スポンサーと協力してさまざまなキャンペーンやイベントを展開しました。これは、通常よりも力を入れて彼の功績や影響力を称え、より多くの人々に彼のストーリーを伝えるための取り組みでした。

MLB/YouTube
ジャッキー・ロビンソン生誕100周年記念のバドワイザー

2019年はジャッキー・ロビンソン氏の生誕100周年であり、その記念としてオリジナルボトルが発売されました。

バドワイザー社はジャッキー・ロビンソン財団とパートナーシップを組んでおり、1本売れるごとに42セントを財団に寄付しました。

さらに、アカデミー賞受賞監督のスパイク・リー氏が手掛けたオリジナルムービー『Impact』が公開されました。

この映像は、ジャッキー・ロビンソンの言葉「他人の生活に与えた影響(インパクト)を除けば人生は重要ではない」をモチーフに制作されており、彼の娘であり財団の副委員長であるシャロン・ロビンソンがナレーションを務めています。

映像には、ドジャースの本拠地だったエベッツ・フィールドや、その跡地に建つアパート、エベッツ・フィールドを模して建設されたメッツの本拠地シティ・フィールド、そして1972年10月24日に亡くなったジャッキー・ロビンソンの墓などが登場します。

Budweiser/YouTube
ジャッキー・ロビンソンの遺産を伝える – ニューヨーク市立博物館の写真展示

ニューヨーク市立博物館はジャッキー・ロビンソンの写真を公開。これは彼の功績とメジャーリーグの歴史における役割を強調し、現代の観客に彼の遺産を伝える取り組みでした。

「野球の素晴らしい時代や米国の歴史に重要な意味を持つ瞬間に再び焦点を当てる、またとない機会」メジャー公式サイトが引用したこのコミッショナーの言葉は、ジャッキー・ロビンソンが野球界だけでなく、アメリカの歴史全体にも重要な影響を与えたことを認識していることを示しています。

写真展示は、彼の経歴や達成を通じて、野球の歴史や米国の歴史における重要な瞬間を再び浮かび上がらせることができます。

2020年 新型コロナパンデミックの中での「ジャッキー・ロビンソン・デー」

例年は4月15日に行われるジャッキー・ロビンソン・デーですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されました。2018年のアメリカンリーグMVPに輝いたムーキー・ベッツ選手やサイ・ヤング賞を獲得したデビッド・プライス投手、カブスでプレーするジェーソン・ヘイワード外野手など、多くの選手がジャッキー・ロビンソンに感謝の意を表しています。彼らはスポーツ界での抗議活動や人種差別撤廃への取り組みに期待を寄せています。

また、8月28日が特別な日である理由は、1945年の8月28日にジャッキー・ロビンソンがブルックリン・ドジャースとの入団に向けた話し合いを行い、野球界が人種差別の壁を破るきっかけとなったことがあります。さらに、1963年8月28日には、ワシントン大行進が行われ、マーティン・ルーサー・キングJr.が「私には夢がある」という名演説を行いました。このデモには20万人以上が参加し、すでに選手としてのキャリアを終え、前年に殿堂入りしたロビンソンも息子を連れて参加しました。

このように、ジャッキー・ロビンソンは野球界だけでなく、アメリカの人種差別撤廃にも大きな影響を与えた存在であり、彼の功績は今も多くの人々に語り継がれています。

MLB/YouTub

ジャッキー・ロビンソン財団

ジャッキー・ロビンソンの妻、レイチェル・ロビンソンは、彼の偉大さを受け継いで自身も素晴らしい功績を残しています。彼女は夫の死後、ジャッキー・ロビンソン財団を設立し、夫であるジャッキー・ロビンソンの遺志を継承しました。1973年に設立されたジャッキー・ロビンソン財団は、アフリカ系アメリカ人や他の有色人種の若者たちの教育やキャリアの支援を目的としています。

財団は、奨学金プログラムやリーダーシップ開発プログラムを提供し、これまでに数千人の学生たちに助けを与えてきました。また、財団は、ジャッキー・ロビンソンが達成したことや直面した困難、そしてアメリカ社会における人種問題に対する彼の見解を伝える教育資料やイベントも提供しています。

レイチェル・ロビンソンは、ジャッキー・ロビンソン財団を通じて、夫の遺志に基づいた社会貢献活動を行い、多くの人々に影響を与えています。

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イチローとジャッキー・ロビンソンが示した多様性と平等の重要性

イチローとジャッキー・ロビンソンの共通点は、その驚異的な実績と野球界での影響力にあります。2001年にシアトル・マリナーズでプレーしていたイチローは、首位打者と盗塁王を同時に獲得し、その快挙は1949年のジャッキー・ロビンソン以来、52年ぶりでした。

両選手は、その時代を代表するスター選手であり、彼らの活躍が野球界に多大な影響を与えています。イチローは日本人選手としてアメリカのメジャーリーグで成功を収め、ジャッキー・ロビンソンは黒人選手としてメジャーリーグでの人種障壁を破りました。両選手の共通点は、野球の歴史に名を刻んだ偉大な選手であるということです。また、彼らはスポーツ界において多様性や平等の重要性を示す存在でもあります。

#42 Ichiro Suzuki
最優秀新人の歴代 1位と2位

歴代1位に選出されたのは1947年にブルックリン・ドジャースでプレーしたジャッキー・ロビンソン氏で、「ロビンソンの勇気は野球界を永遠に変え、数えきれない選手たちに機会を開いた」と評価されています。

そして、堂々の2位にランクインしたのがイチロー氏でした。彼は2001年のシアトル・マリナーズ時代に打率.350、242安打、56盗塁をマークし、首位打者、盗塁王、MVPを獲得しました。その功績を称え、「彼はそれら全てを異国で成し遂げ、日本生まれの選手に対するアメリカ人の見込みをリセットした」と賛辞が送られています。このランキングは、イチローがMLB史上の名プレーヤーの中でもトップクラスの新人選手であったことを示しています。

日本では外国人選手が背負うことが多い?

日本プロ野球(NPB)では、背番号「42」が永久欠番になっていないため、外国人選手がこの番号を選ぶことがあります。

外国人選手がNPBで背番号「42」を着用することは、ジャッキー・ロビンソンの偉大さに敬意を表することであり、彼らにとって大きな意味を持つものです。この背番号を着用することで、選手たちはジャッキー・ロビンソンの精神を引き継ぎ、平等や多様性を重んじることを示すことができます。

もちろん、NPBでは背番号「42」が永久欠番ではないため、日本人選手もこの背番号を選ぶことができます。

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伝説のユニフォームが約2億円で落札!

ジャッキー・ロビンソンのブルックリン・ドジャース時代のユニフォームがオークションに出品され、205万ドル(約2億2900万円)で落札される出来事がおきました。これは、ジャッキー・ロビンソンの功績と名声がいかに高く評価されているかを示すもので、今もなお彼の影響力が色褪せず続いていることを物語っています。

映画『42~世界を変えた男~』

『42~世界を変えた男~』(原題: 42)は、2013年に公開されたアメリカの伝記映画で、ジャッキー・ロビンソンの人生と野球キャリアを描いています。この映画は、ジャッキー・ロビンソンがブルックリン・ドジャースでプレーし、黒人選手として初めてメジャーリーグに参加した選手として歴史に名を刻んだことを中心に展開されます。

監督・脚本はブライアン・ヘルゲランドが担当し、ジャッキー・ロビンソン役にはチャドウィック・ボーズマンがキャスティングされました。また、ドジャースのオーナーであり、ジャッキー・ロビンソンをメジャーリーグに起用したブランチ・リッキー役にはハリソン・フォードが出演しています。

『42~世界を変えた男~』は、ジャッキー・ロビンソンが直面した人種差別や困難、そして彼が野球界における人種障壁を打破するために戦った姿を描いています。この映画は、彼の勇気と決断力、そして歴史に名を刻んだ功績を讃える作品であり、多くの観客に感動を与えています。

ジャッキー・ロビンソンの遺産と日本のスポーツ界

テキサス・レンジャーズに所属していたダルビッシュ有投手(当時27歳)が、映画「42~世界を変えた男~」のモデルとなった故ジャッキー・ロビンソンの妻、レイチェル・ロビンソンさん(当時91歳)と会い、ジャッキー・ロビンソン・ファンデーションに42にちなんで4万2千ドルを寄付しました。

ダルビッシュはレイチェル夫人に会うことができ、ジャッキー・ロビンソン選手の功績を称えました。ダルビッシュは「ジャッキー・ロビンソン選手がいたから僕らのメジャーリーグへの道が切り開かれたと思っています」と語り、レイチェル夫人は「ジャッキーも私もあなたのような外国人選手がメジャーでプレイしていることを誇りに思っています」と応えました。

また日本のプロ野球界を代表する長嶋茂雄氏もこの映画を鑑賞し、「素晴らしい映画を見せてもらいました」と感想を述べたと伝えられています。

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史上初の黒人メジャーリーガーとして幾多の差別を乗り越え、野球界の新たな1ページを切り開いた伝説のプレイヤー、ジャッキー・ロビンソンの不屈の人生を描いた感動の伝記ドラマ。彼と、彼を周囲の猛反対を押し切り起用したブルックリン・ドジャースのやり手GMブランチ・リッキーの2人が繰り広げる孤独で過酷な戦いの行方を綴る。主演はチャドウィック・ボーズマン、共演にハリソン・フォード。監督は「L.A.コンフィデンシャル」「ミスティック・リバー」などの脚本で知られるブライアン・ヘルゲランド。(「allcinema」データベースより)

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