2018年、数々の偉大な記録を持ち、世界中のファンから愛されるイチローは、突如として「会長付特別補佐」という役職につき、今季選手としてのシーズンに終わり告げました。
年齢による限界がささやかれる中、イチローの胸には、再びフィールドで戦うという熱い決意が隠されていました。
《イチロー引退の日(1)》44歳でマリナーズ復帰!レジェンドの新たな挑戦!!
ICHIRO’S LAST GAME
会長付特別補佐イチローの新たな日常
2018年5月3日、イチローは「会長付特別補佐」という新しい役職に就くことが発表されました。
しかし、イチローの野球への情熱や日常の生活態度に変化をもたらすことはありませんでした。
新しい役職になっても、イチローはいつものように球場へ足を運び、変わらずに練習に取り組んでいたのです。
会長付特別補佐イチローの主な役割は、若手選手を中心としたチームのアドバイスや指導でした。その豊富な経験と知識は、若手の選手たちにとって非常に貴重なものとなりました。
幻と消えた大谷翔平との真剣勝負
衝撃的なニュースが報道された翌日、5月4日から始まるのマリナーズとエンゼルスの間で行われる3連戦は、アメリカ国内だけでなく、日本でも注目の試合となっていました。
移籍1年目の大谷翔平と、長い間MLBでの活躍を続けてきたイチロー。大谷翔平の登板が予測されていた中、二人の日本人スター選手の対決は日本のプロ野球ファンからも大きな関心を集めていました。
イチローは、シアトルでの成功を経て、ニューヨーク・ヤンキースやマイアミ・マーリンズでのプレイを経て再びマリナーズに戻ってきたベテラン選手。
一方の大谷翔平は、日本での成功を収めた後、エンゼルスに移籍し、ピッチャーとしてだけでなく、打者としてもその才能を証明している若手選手。
二人のプレースタイルは異なるものの、その実力とキャリアは日本野球界の誇りとも言える存在です。
そのため、試合前からチケットの需要が急増。多くの日本人ファンが、この特別な瞬間を目の当たりにするために、日本からシアトルへと足を運んでいました。
しかし、連戦の最終日に大谷翔平の先発が決まった瞬間、その興奮と期待は一変することになりました。
マリナーズはイチローをメジャーの25人枠から外すという決定を下したのです。
日本国内はもちろん、世界中の多くのファンがその理由を問い求め、「なぜ、このタイミングだったのか」という疑問と失望の声が上がりました。
イチロー、大谷の投球を注目。対戦の希望も
5月6日、イチローはシアトルの本拠地で、圧巻のパフォーマンスを見せる23歳の大谷の投球を、ベンチの裏から熱心にテレビで視聴していました。
試合後のインタビューで、イチローは大谷との対戦について質問されました。「テレビだから、難しい」と言いつつ、その後「そりゃ対戦したいですよ」と即答。
イチローの打者としての本能が刺激されていることは明らかでした。イチローは大谷の投球について「(日本球界最速の)165キロを投げる能力は、やはり特別だ」と絶賛しました。
しかし、イチローはテレビでの観戦には限界があるとも語りました。
「テレビで見るのと実際に対戦するのは全く違う。直接の対戦なら、ボールの動きや質感を直接感じることができる。」と語りながら、その欲求を隠すことはできませんでした。
そして、大谷について「投打両方で欠点が見当たらない」と称賛。
さらに、大谷の身長について触れ、「194センチのおじいちゃんになることが欠点かもしれない。でもそれはまだ先の話だ。現時点で彼に欠点は見当たらない」と、ジョークを交えつつ大谷の才能を賞賛しました。
大谷翔平、アイドル・イチローからの賞賛に感慨深く
大谷翔平は、長い間憧れてきた野球のレジェンド、イチローからの称賛とコメントに心からの感謝を表しました。
「そう言ってもらえるのはすごくありがたい」と、彼はその言葉を噛み締め、表情がわずかに緩みました。
イチローからの賞賛は、間違いなく彼の心に深く響いた瞬間であり、その感情が顔に表れました。
「今回もしかしたら、できるかもしれないと思っていた」大谷は、言葉を選びながらも、イチローとの対戦をどれほど意味深く感じているのかを表現しました。
大谷の中には、その対戦がいつか実現するかもしれないという期待が輝いていました。
また、「僕自身もやるなかで勉強になることもたくさんあると思う」と、常に学びの姿勢を忘れない若手選手らしい謙虚さも垣間見えました。
大谷翔平とイチロー「新旧世代交代の瞬間」
スポーツの世界では常に新旧の波が寄せられる。
実力を持つベテランが舞台を支え、若手の才能が台頭してくる。この繰り返しの中で、日本プロ野球界における二つの異なる世代が交わる瞬間が訪れた。
イチローと大谷翔平の間の関わり合いは、ただの先輩と後輩のそれではない。
イチローは、「雲の上の人」と称され、その輝かしいキャリアで世界中のファンを魅了し続けてきました。
一方で、大谷翔平は、「速いボールを投げる、遠くへ飛ばす」だけでなく、何か特別なものを持っているとイチローに評価されていました。
大谷がプロ入りして間もない頃から、この2人の間には親交が存在します。
日本ハムにおいて打撃コーチを務めていた林孝哉を通じて、二人は何度も食事を共にし、互いを知り、尊重しあってきました。
メジャーを代表する打者であるイチローと、160キロを超える快速球を投げる投手である大谷との対決は、私たちが見ることはできませんでした。
しかし、この2人が築き上げてきた友情と尊敬は、2人が直接対決しないという事実を超越したものとなっている。
この友情と尊敬は、日本野球界に新しい風をもたらすことだろう。新旧の交代が続く中で、イチローから大谷へとバトンが渡され、新しい歴史が築かれていく。
世代交代がもたらす感傷と新しい希望は、ファンを次のエピソードへと導く。イチローと大谷の関係性が示すように、新しい才能への道を開くことが、スポーツに新たな物語と刺激をもたらす。
Respect between a rookie and a legend. pic.twitter.com/yZUGeUQ4Py
— MLB (@MLB) July 6, 2018
変わらずに続くルーティン
今のイチローがフロント側だということは、あくまで役職だけの話である。選手として27年間こなしてきたルーティンは何も変わっていなませんでした。
イチローが球場に到着する時間は変わらず、遠征時は約3時間、ホーム時は4時間前。
ロッカールームでの準備や室内打撃ケージでのバッティングも変わることなく継続されています。
そして、チーム練習ではチームメートと一緒にストレッチを行い、キャッチボール、守備練習、打撃練習などの練習メニューをこなしています。
チーム練習がない日であっても、イチローは通訳を連れてグラウンドに姿を現し、試合前のキャッチボールなどお馴染みのルーティンをこなしています。
変わらない観客の期待
観客の目に映るイチローの姿も変わらないものでした。
イチローがフィールドに足を踏み入た瞬間、大歓声と拍手が湧き起こり、子供たちの目はキラキラと輝き、大人たちも少年のような表情でイチローの動きを追う。
しかし、試合が始まるとイチローの姿はダッグアウトの奥に消えてしまいます。
イチローの名前がスタメンに上がることもなく、代打として登場することもありません。
かつての主役がダッグアウトの奥に姿を隠していることは、多くのファンにとって少し物足りなさを感じさせるかもしれません。しかし、試合が終わり勝利が決まった時、その景色は一変します。
マリナーズが勝利を収めると、選手たちはマウンドに集まり、共にその瞬間を祝います。
そして、その中で特別な存在として現れるのがイチローです。ダッグアウトから飛び出し、マウンドで独特の投球フォームを模倣するような動作を披露します。
その後、イチローチームメートたちと一緒に勝利の喜びを共有します。この一連の動きは、新しいイチローの「ルーティン」として、ファンたちにとって欠かせない瞬間となっています。
試合中も欠かさずトレーニング
試合が進行している間、ダッグアウト裏のイチローはただ休息しているわけではありません。
驚くべきことに、フロントの一員になってもなお、イチローは常に次の試合や来シーズンを見据え、黙々と練習を行なっていたのです。
イチローはベンチスタートだった時のルーティンを引き継ぎ、3回と6回に室内打撃ケージへと向かい、バッティングの練習をしていました。
ホームのセーフコ・フィールドで開催される試合の際には、特殊マシン(B.M.L.Tカムマシン)を使用して初動負荷のトレーニングも欠かさすことはありませんでした。
さらに、セーフコ・フィールドにはケージが2つあり、試合開始と同時に1つが利用可能になるため、イチローはこれを利用して、スローイング練習として約200球の投げ込みをルーティンに組み込みました。
MLBの規則とイチローの特異な状況
メジャーリーグベースボール(MLB)には、選手、コーチ、スタッフ、さらにはオーナーや球団経営陣に関する多くの規則が存在します。
試合に関するものや、球団の経営に関するものなど、様々な規定が取り決められています。
特に試合中にベンチに入れる人数や、ユニフォームを着ることができる者などには明確なルールが設けられています。
2000年代半ばまで、これらのルールは存在していたものの、その強制力は今ほど強くはなく、特定のインストラクターやベテランプレイヤー(例:ジョニー・ペスキー)が試合中にベンチに座ることを許可されていた時期もありました。
しかし、2007年からルールが厳格化され、ベンチにいることが許される人数や役職がより明確に定義されるようになりました。
そんな中で、今のイチローの状況は非常に特別なものでした。
フロントの一員としてチームに同行していたイチローでしたが、通常、フロントの人間は試合中にユニフォームを着てフィールドに出ることはまずありません。
それでも、イチローの場合は認められていたのです。
これは、野球界の生きる伝説として世界中の野球ファンやプレイヤーからリスペクトされている、イチローならではの現象と言っても過言ではないでしょう。
一方で、イチロー本人は「ゲーム中はダメだけど、ゲーム終わっているから大丈夫」と述べており、この特別な取り決めは規則上の適用範囲や条件に基づいている可能性もあります。
打撃投手デビュー
しかし、試合前練習に参加し、選手たちと同じ視線で試合を見つめ続けているイチローは、6月5日の敵地アストロズ戦の試合前練習で、打撃投手としてフィールドに立ちました。
この日のイチローの投球は、選手たちだけでなく、スタッフやファンをも驚かせました。
イチローも通訳を通じて、「初めてだったが、ケージの中には投げ込めた。これからもっと良くなると思う」と自信を見せました。
マリナーズの監督スコット・サービスは、イチローのこの新しい役割に対する期待を込めて、練習の姿勢や能力を称賛。
「彼が1日200球投げて練習しているのを知らなかった。彼は準備が整っている。もし我々が頼んだら、彼は1時間は投げることができるよ」と話しました。
メジャーでの投手経験
投手としてのイチローは、2015年のマーリンズ時代にメジャー初登板してます。その時は、最速約87.9マイル(141.4キロ)速球と様々な変化球を見せていました。
しかし、打撃投手としてのイチローの姿勢は、この時とは違うものでした。
「自分が投手である時は、人が自分の球をヒットにするのは望んでいない。
でも今日は彼らがヒットにするのを望んでいた」とイチローは自分に与えられた新たな役割に対して答えました。
打撃投手としての始まり
ある日、セーフコ・フィールドでの試合中、打撃ケージで練習をしていたアンドリュー・ロマインに、イチローが声をかけました。これが打撃投手イチローの始まりでした。
ロマインは昨シーズン、タイガースで様々なポジションを守りながらも、このシーズンは打率.157と不振に苦しんでいました。
イチローはロマインが無我夢中で練習をしているのを見て、「投げてほしいか?」と自ら打撃投手を申し出ました。
突然のレジェンドからの提案に驚くロマインは、最初は断ったものの、イチローの真摯な姿勢に心を打たれ、そのオファーを受け入れました。
この日の出来事をロマインは、「殿堂入りするような選手からのオファーを断るわけにはいかない。これは子供や孫に語り継ぐ価値のある経験だ」と興奮しながら語っています。
それからは、二人の特別な関係が始まりました。毎日、練習のためにボールを投げ合う二人。ロマインが打ち終わると、役割が逆転。今度はロマインがイチローの打撃投手となりました。
イチローの投球に関して、ロマインはそのスピードに驚き、少し遅くしてほしいとお願いしたこともありました。イチローはそれに快く応じ、すぐに調整してくれたといいます。
このようにして、イチローの打撃投手としての活動は始まったのです。
打撃投手イチローの日常
打撃投手イチローは、驚異的な日常を送っています。試合が進行中であろうと、イチローはベンチ裏の打撃ケージで、控えの選手たちのための打撃投手を行っています。
打撃投手としての仕事も組み込まれた新たなイチローのルーティンは厳しく、早朝練習では3人の選手に対して150球以上を投げこみ、その後にチームの全体練習に参加。
ストレッチからキャッチボール、外野練習、そして打撃練習と、一日をフルに使ってトレーニングに励んでいます。
そんな忙しい毎日を過ごす44歳のイチローに衰えた様子は見られませんでした。
その証拠に、打撃投手としてデビューした同じに日の打撃練習でライトスタンド2階席に軽々と打球を飛ばしてみせたのです。
また、エンゼルス戦の試合前の打撃練習では、柵越えを連発。24歳の大谷翔平を圧倒する一幕もありました。この驚異的なパフォーマンスは、今季のオールスターゲームでのホームランダービー出場を打診する声も上がるほどでした。
メジャーリーグの長い歴史の中で、打撃投手として練習に参加した後に、自らの打撃練習もこなすという選手は、イチローだけでしょう。
Great afternoon to take a couple hacks, huh Ichiro?#TrueToTheBlue pic.twitter.com/gtKNCOmnSP
— Seattle Mariners (@Mariners) July 18, 2018
プロフェッショナルイチロー、打撃投手のためのトレーニング
また、イチローは、急遽、監督から打撃投手の依頼があるかもしれないということを想定し、以前から自身のルーティンに投げ込みをいれていたというから脅かされるばかりです。
チームを鼓舞しファンを盛り上げるイチローの姿
マリナーズは、今シーズン好調を維持していました。その要因の一つに、は選手としての出場していないイチローの存在が考えられます。
好調を維持するマリナーズの背景
イチローは試合開始直前のダグアウトで、選手一人一人の特有ハンドシェイクを行い、選手たちを鼓舞してチームの士気を高めています。
#Ichiro always makes me laugh with his series of very loud and custom dugout greetings before games #Mariners pic.twitter.com/ALxb2yixg6
— Lindsey Wasson 📸 (@lindseywasson) June 17, 2018
ヤンキースタジアムでの変装劇
敵地ヤンキース戦では、イチローはサングラスと付けひげで変装し、ダッグアウトに潜入。
規定で試合中ダッグアウトに入ってはいけないイチローでしたが、その規定を巧妙に回避し、ファンを楽しませました。
後に、これは「今季最後のヤンキースタジアムへの試合だったので、最後に一目観たかった」のでは憶測が流れました。
Ichiro pulled a Bobby Valentine today against the Yankees. Well played! #Mariners #Yankees #mustache #MLB #baseball #seattle #disguise pic.twitter.com/4MO0iiFM5a
— Mr. Free Thinker (@Mr_Free_Thinker) June 22, 2018
セーフィコフィールドでのコスプレ披露
そして、マリナーズの本拠地、セーフィコフィールドのクラブハウスでは。イチローを始めとする6人の選手が米プロレス団体「WWE」のスター選手のコスプレを披露。
イチローはドクロマークのベストや短パン、帽子を後ろに被った姿で登場。普段はクールなイメージの強い彼の、この意外な姿にファンは驚きと喜びを隠せなかったようです。
マスコットとバトル
マリナーズとレンジャーズの試合前には、楽しい“場外乱闘”が繰り広げられました。
どこからともなく枕を持ち出した、レンジャースのマスコット「レンジャーズ・キャプテン」が、マリナーズのダッグアウトに挑発的に近づいてくると、枕をもったイチローが登場。
なんと枕を使った乱闘が始まったのです。
しかも、仕掛けたのはイチローからでした。見事な身のこなしで反撃をかわすイチローに、選手たちは大爆笑、観客もこの珍しい光景に大いに盛り上がりました。
イチローが魅せる、お茶目な一幕!
ある日、エドガー・マルティネス打撃コーチがスタンドのファンへの挨拶をしている背後で、カメラの存在に気づいたイチローがお茶目な“ゲッツ”ポーズを披露。
このユーモアたっぷりのシーンはSNSに投稿され、ファンからは、熱狂的なコメントが殺到しました。
We 👀 you, Ichi. #TrueToTheBlue pic.twitter.com/F8dvzpsXLP
— Seattle Mariners (@Mariners) September 29, 2018
岩隈投手の最後のピッチングに捕手として受け取る
マリナーズの岩隈久志投手(37歳)が、今季限りでの退団を正式に発表しました。岩隈投手は昨秋、右肩手術を受け、その後マイナー契約を結んでいました。
イチローは、岩隈投手との別れを惜しみ、岩隈投手の熱心なトレーニングへの取り組みや、マーリンズに在籍していた時期の交流について触れ、「もう1回一緒にやりたかった」との感慨深いコメントを寄せました。
さらに、昨年のシアトル遠征時に岩隈投手からの「戻ってきてくださいよ」との言葉が、イチローにとって大きな支えとなっていたと明かしました。
そして、9月26日には、退団が決まった岩隈投手がシアトルの本拠地で、感動的な始球式を行いました。その場面で捕手役を務めたのは、イチロー。
岩隈はノーバウンドの投球を行った後、イチローと抱き合い、球場中からは大きな拍手と歓声が巻き起こりました。
家族が見守る中での始球式となった岩隈は、「このまま(試合で)投げたかった。こういう日を用意してくれたことに感謝でいっぱい。その気持ちを込めて投げさせていただいた」と感謝の言葉を述べました。
さらに、イチローは岩隈に「お疲れさま」と声をかけ、スタジアムの大型スクリーンには2015年に岩隈が達成したノーヒットノーランの瞬間の映像が流れた。
これには、多くのファンが涙を流しながら見入っていたという。
Hisahsi Iwakuma threw the ceremonial first pitch tonight for Mariners. Ichiro catches for him. pic.twitter.com/CvX7pqGHma
— TJ Cotterill (@TJCotterill) September 27, 2018
過去の偉業に米国メディアが称賛の声
多くの米国メディアがイチローの偉業を振り返り、その卓越したキャリアを称賛しました。
多くの記事や特集で彼のハイライトが取り上げられ、SNS上でも多くのファンから感謝のメッセージが寄せられています。
稀代のヒットメーカー
MLB公式サイトの動画コーナー「Cut4」が、イチローのメジャーでの通算3089安打の打球方向を振り返る分布図動画を紹介し、ファンの間でその美しさが話題となりました
この動画は、MLB公式サイトのダレン・ウィルマンによって作成されたもので、1分29秒の間にイチローの全3089本の安打が広角に散らばる様子が魅力的に描写されています。
Cut4は「時間の経過とともにイチローのMLBでの全ヒットを振り返るこの図はなんとも魅惑的だ」と高く評価して紹介しました。
本塁打こそライト方向に集中していますが、その他の打球は内野を含むフィールド全体に分散しており、イチローがどんな場所にでもヒットを打てることを証明するものでした。
I got a ton of requests for this…. A time lapse for every hit of Ichiro's @mlb career. pic.twitter.com/w8uhzlSnp0
— Daren Willman (@darenw) May 6, 2018
「ワンバウンド打ち」
MLB公式アカウントは、オリックス時代の伝説のワンバウンド打ちを動画で紹介。
動画には2012年頃に放送されたテレビCMのシーンも収録。
このCMでイチローは、マウンドからホームベース上に立てられた4本のバットに連続して命中させる神技を披露しました。
MLB公式ツイッターはこれらのシーンを「イチローがベストだ」と称して公開。多くのファンからのコメントが寄せられました。
Ichiro is the best. #FlashbackFriday pic.twitter.com/Nm0EsOb8k1
— MLB (@MLB) May 4, 2018
伝説の送球「レーザービーム」
MLB公式アカウントは最も驚きを与えた補殺動画を公開、この中でイチローの伝説の送球も含まれていました。
このプレーは、イチローがMLBデビュー1年目を迎えた2001年4月11日、オークランド・アスレチックスとの試合。
8回1死一塁の同点状況で右前に飛んだ打球をイチローが捕球すると、三塁へダイレクト送球。
ファーストランナーのテレンス・ロングを刺しました。この驚愕の早急に、実況アナウンサーは「レーザービームだ!」と絶叫、このプレーはイチローの名前をMLBにとどろかせることになりました。
オリックス時代の「レーザービーム」
また、オリックス時代の送球も紹介されました。
9月20日にマリナーズの公式アカウントが「#TBT(Throw Back Thursday・昔を振り返る木曜日)」の企画として、オリックス時代のイチローの強肩映像を公開、ファンの間で話題となりました
この映像には、オリックス時代のイチロー選手が右翼から三塁へ打球を送り、ダイエー時代の城島健司選手を刺すシーンが収録されています
ファンからは、2001年4月11日のアスレチックス戦で披露されたイチローの伝説的な“レーザービーム”プレーとその映像を比較するコメントや、彼のプレーへの賛辞が多数寄せられている。
このオリックス時代の映像は、伝説の“レーザービーム”から18年前のものであるが、それでも今見てもそのプレーには驚愕させられる。
米国のファンもこの貴重な映像に大変満足している様子が伺える。
Time is a flat circle.
— Seattle Mariners (@Mariners) September 20, 2018
Ichiro in Japan—doing his thing. #TBT pic.twitter.com/nAFfLGeoaY
2002年の「スパイダーマンキャッチ」
超人的なファインプレーが繰り広げられるMLB。
その中でも外野手の派手なプレーは、観客を沸かせる大きな要因となっています。特に「ホームランキャッチ」は、観客から大喝采を浴びています。
MLB公式ツイッターとインスタグラムは、「FBF(フラッシュ・バック・フライデー)」の企画で、MLBの歴史に刻まれたホームランキャッチの映像集を公開しました。
その中で、イチローがスパイダーマンのようにフェンスをよじ登り、ホームランボールをキャッチしたプレーが注目されました。
そのプレーが生まれたのは、2002年5月2日のエンゼルスとの試合。7回、エンゼルスのギャレット・アンダーソンのバットから飛び出した大飛球は、一瞬、ホームランと思われた。
しかし、その打球を追いかけたイチローが、フェンスに足をかけて超人的なプレーでキャッチ。この人間離れしたプレーは、多くのファンを驚愕させました。
44歳になったイチローのホームランキャッチ
2018年シーズンも、メジャーリーグベースボール(MLB)ではこれらのスーパーキャッチが多く見られました。
MLB公式サイトのスペイン語版ツイッターは、「#DomingoDefensivo(守備の日曜日)」と称し、外野手たちによるフェンス際での見事なキャッチの数々を1分27秒の動画にまとめて公開しました。
その動画のオープニングを飾ったのが、今シーズン開幕2戦目の44歳イチローによるホームランキャッチでした。
3月31日のインディアンス戦で、ラミレスのホームランと思われる大飛球を、ジャンピングキャッチで見事に捕りました。
このプレイは、6年ぶりにセーフコ・フィールドに帰ってきたイチローへのマリナーズファンの期待を一瞬にして超えるものであり、スタンディングオベーションを受けました。
Este #DomingoDefensivo nos hace recordar algunas de las mejores atrapadas en la pared de la temporada 2018. 😱😱😱 #LasMayores pic.twitter.com/6CNZs5pm9q
— LasMayores (@LasMayores) December 10, 2018
「秘密のジム」
MLBでの長いレギュラーシーズンは、選手たちにとって非常に厳しいものであり、健康に過ごすことがプレイヤーにとっては大きな課題となるため、普段からトレーニングを欠かしません。
中には、個性的かつ特殊なトレーニングを行う選手もいます。MLB公式サイト「Cut4」は、その中から「MLBスターが見せた最もクレイジーなトレーニング7選」と題した特集を発表しました
この中の一人にイチローが選ばれました。イチローは、体の柔軟性を保つために「初動負荷理論」を採用し、特殊なトレーニング器具を使用しています。
この取り組みが広く知られるようになったのは、2017年にフロリダ州ジュピターでのスプリングトレーニング中に、コンテナの中に機材を運び込みを専用ジムを設置した時です。
この施設は「イチローの秘密ジム」と称され、チームメートの間でも人気になりました。
Future Hall of Famer Ichiro Suzuki working out with own equipment transported from Japan to #Marlins trailer pic.twitter.com/OVXG6Z1SOx
— Bob Nightengale (@BNightengale) March 3, 2017
マリナーズ史上最高の年「2001年」
MLBには、各球団が誇る記録的なシーズンが存在しています。
MLB公式サイトは、そうした特別なシーズンに焦点を当てた「各球団最高のシーズン」という特集を組み、ファンに30球団それぞれの最も輝かしい瞬間を紹介しました。
その中で、シアトル・マリナーズは2001年のシーズンが選ばれました。
2001年は、マリナーズにイチローが入団した年です。
オリックスから海を渡った若者は、細い体、アメリカ人が見たことない打ち方(振り子打法)などから、当初はまったく期待されていませんでしたが、いざ開幕を迎えるとMVPと新人王を同時受賞、さらに首位打者を獲得するなどの大活躍。
自らの力で批判的な声を大歓声に変えてしまいました。
イチローの活躍もあり、マリナーズは勝ちに勝ち、1906年のカブスに並ぶシーズン116勝を記録。
2位のアスレチックスは102勝もしたが、マリナーズは14ゲームの差をつけア・リーグ西地区を制しました。
マリナーズ公式、イチローとルー・ピネラ監督の懐かしのツーショットを公開
また、マリナーズの公式インスタグラムが、2001年メジャーリーグでデビューしたばかりのイチローと、当時のマリナーズ監督ルー・ピネラとの貴重なツーショット写真を公開し、大きな反響を受けました。
公開された写真は、その伝説となった年のピネラ監督がイチローの肩を抱き、2人が見つめあっている姿が写し出されています。
この投稿は、近年米国で人気の「#TBT」(Throwback Thursday)という企画の一環として行われたもの。
インスタグラムのキャプションには「Buds.」という言葉が「#TBT」のハッシュタグとともに添えられていて、2人の強い絆を感じさせるものでした。
公開された名将とレジェンドのツーショット写真に、たくさんファンから懐かしむ声が続々と届けられました。
新たなステージでも輝く「サポート役としての活躍と未来への期待」
今季のイチローは、選手としての出場が減少した一方、その存在感や影響力でマリナーズにポジティブな影響を与えました。
会長付特別補佐として、様々なサポートを行い、チームの雰囲気作りや選手たちのモチベーションを大きく向上させていたのです。
特に、偉大な選手であるイチローの野球への姿勢や取り組みを、身近で体感できることは特に、若手選手にとっては素晴らしい経験になっています。
また、スタジアムの雰囲気を和ませるイチローのお茶目な一面や、イチローからの貴重なアドバイスは、チームにとって非常に価値あるものとなっています。
「できることは全部やったので、疲れています。一日が終わって帰るときにはもうくたくた。それがその日の目標でしたから。それを完遂したと言えるでしょうね」
イチローがフィールドからその姿が消えてから5カ月。9月30日のシーズン最終戦の後、イチローは今シーズンをこのように振り返りました。
新たな役職を得て、試合に出られない中でも自分が目指していることを続けることの重要性を学び、それを実感しているようでした。
イチローへの発言
そして、翌10月1日に行われた恒例のシーズン総括会見でディポトGMは、イチローに関して以下のような興味深い発言をしました。
「アリゾナのキャンプ地ピオリアで彼の打席に立つ姿を期待している。その段階で彼の状態を判断するが、来年3月の東京での開幕カードでイチローが再び選手として活躍する姿を想像するのは難しくない」
ディポトGMは、イチローが選手としての復帰を果たす可能性を示唆しており、その後の取材でも「気にするのは彼の体の状態だけ」との見解を明かしました。
地元シアトルの記者の中には、イチローをマイナー契約の招待選手としてキャンプに招聘する可能性を予測する者もいました。
しかし、現段階ではディポトGMは来季の具体的な契約について明言を避けていました。
イチロー45歳の誕生日、MLBが伝説のキャッチ動画で祝福
10月22日、シアトル・マリナーズの永遠のヒーロー、イチローが45歳の誕生日を迎えました。
この日、多くのファンや関係者から様々な形で祝福の言葉が寄せられる中、MLB公式ツイッターも特別な形で彼の誕生日を祝いました。
公式ツイッターは、過去にイチローが見せた伝説のホームランキャッチの動画を再度投稿。
この素晴らしいプレイを添えて、「誕生日おめでとう、イチロー! このキャッチくらい素晴らしい日になることを願っているよ」というメッセージをファンに伝えました。
この投稿には瞬く間に多くのリツイートやいいねが集まり、イチローへの愛と尊敬の気持ちを多くのファンが共有していることが伝わってきました。
I-CHI-RO! I-CHI-RO! I-CHI-RO!#OTD in 2001, Ichiro took home the MVP—to go with a lot more—after his first season in the Majors. pic.twitter.com/sOG2oFF1dq
— Seattle Mariners (@Mariners) November 21, 2018
マリナーズ・イチローが日本での開幕シリーズ出場へ
イチローの2019年の開幕戦でベンチ入りについて、マリナーズのジェリー・ディポトGMはほぼ決定しているというような発言をしました。
ディポトGMは、2018年10月31日にMLB公式サイトを通じて、2019年3月の東京ドームでのアスレチックスとの開幕シリーズで、もしコンディションが良ければイチローがベンチ入りする可能性があると発言。
「来季開幕までまだまだ時間があり、ピオリア(マリナーズのキャンプ地)でイチローが打席に立っているのを見ることになるだろう。その段階でチームの様子を見る予定だが、彼がフィールドにいたとしても驚きではない」と付け加えました。
さらに、イチローのメジャーリーグと日本プロ野球での経験と指導的役割が評価され、「彼がロースター入りすることは、我々の球団にとっても日本プロ野球にとっても正しいことであり、イチローにとっても正しいことだと信じている」との考えを示しました。
更に2018年11月6日、カリフォルニア州カールズバッドでのGM会議でディポトGMは、「イチローが日本に行き、登録メンバーに名前が入るものと思っている」と再度表明しました。
ただし、アメリカに戻ってのイチローのレギュラーシーズンについては「その後のことは分からない」とお茶を濁しました。
イチロー、2018年の教訓を子供たちへ伝える
2018年12月23日、イチローは「第23回イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式にて子供たちと共にフィールドに立ち、自らの体験をもとにした力強い言葉を贈りました。
その背後には、自身が経験した2018年の困難と転機、そしてそれを乗り越えてきた姿勢があった。
「今年の僕は大きな人生の転機がありました」と始めたイチロー。
イチローがマリナーズに戻った後、試合に出場できなくなった5月の経験は、イチローにとって大きな試練の一つでした。
それでもイチローは1人でトレーニングを続け、「手を抜くことも簡単にできてしまう。そこで手を抜いてしまうと、シーズン終えた時に自分に負けてしまったような感覚が残る」と語り、続けてきた厳しい自己管理の大切さを伝えました。
「みんなに伝えたいことは」イチローは続けます、「自分ができると思ったことは、必ずできるとは限らない。でも、自分ができないと思ってしまったら、それは絶対にできない、ということを覚えておいて欲しいと思います」この言葉には、自分自身と向き合い、挑戦し続けることの重要性が込められていました。
イチローはまた、「その人がどんな人間か、というのは、人が見ているところで見える姿ではなくて、人が見えないところでどんな自分であれるか、ということがその人であるような気がします」とも語り、見えないところでの努力と正直さも強調。
自身が体現してきた真摯な取り組みとプロフェッショナルスピリットを次世代に託しました。
来年の2019年、東京ドームでの開幕戦では再び選手としてフィールドに立つ予定のイチロー。
「今年最後、それは自分でできたんじゃないかと思っていて、それで来年の春に向けて自主トレを続けている状態です」とコメントし、50歳までの現役に挑戦に意欲を見せました。
《イチロー引退の日(3)》マイナー契約から再びメジャーへ!45歳の新たなスタートライン