エンパイア・リーグは、MLBとは独立した運営体制を持ち、北東部のニューヨーク州やペンシルバニア州などで熱戦が繰り広げられます。選手たちは厳しい条件の中で春季キャンプやトライアウトを通じてプレーのチャンスをつかみ、シーズン中も競争が激化します。資金や遠征の負担は選手自身が負い、報酬は少ないものの、メジャーリーグへのステップアップを目指す選手たちの情熱と夢に溢れた舞台です。エンパイア・リーグの舞台裏に迫ります。
Empire League
シーズン中に選手がいなくなる!「エンパイア・リーグ」
エンパイア・リーグ(Empire League)は、北米の独立野球リーグのひとつで、アメリカ北東部とプエルトリコで展開されています。エンパイア・リーグは、メジャーリーグベースボール(MLB)のマイナーリーグとは異なり、MLBとは直接関係がなく、独自の運営体制をとっています。
レベルはペコス・リーグの上位互換
このリーグのレベルは1A程度と言われてろい、2018年現在、アメリカ独立リーグの中で、アトランティックリーグ、パシフィック・アソシエーションリーグ、キャンナムリーグ、フロンティアリーグに次ぐ位置付けにあるとされています。その下にはペコスリーグが続きます。
アメリカ北東部とプエルトリコに展開
エンパイア・リーグは、アメリカ北東部とプエルトリコに展開される独立野球リーグのひとつです。北東部では、主にニューヨーク州、ペンシルバニア州、ニュージャージー州、マサチューセッツ州、コネチカット州にチームがあり、プエルトリコではサンフアン市に本拠地を置くチームがあります。エンパイア・リーグは、メジャーリーグベースボール(MLB)のマイナーリーグとは異なり、MLBとは直接関係がなく、独自の運営体制をとっています。
兄弟で運営!!
エンパイアリーグを運営するゴンザレス兄弟は、子供向けの野球アカデミー事業も手掛けています。報道によれば、このアカデミーは、主に富裕層の子弟を対象としており、高額なコーチング料金を受け取っていると言われています。
独立リーグ「ノースカントリーリーグ」を基盤に立ち上げた
ノースカントリーリーグは、2007年に設立された独立野球リーグでしたが、財政難に陥り、2015年シーズンをもって消滅しました。
エンパイアリーグは、ゴンザレス兄弟コーチング収益を元手に、ノースカントリーリーグを受け継ぐかたちで設立したリーグである。
「キャンプの参加有料」「給料はなし or わずかばかり」
キャンプの参加有料、低報酬や無報酬であることを公言している独立野球リーグのひとつです。
これらの方針は、エンパイア・リーグが経済的に厳しい状況であるため、運営費用を抑えるために行われています。
シーズンは約2ヶ月半!
シーズン期間は、6月から8月中旬までの約2ヶ月半。この期間中に、各チームは数十試合をこなすことになります。ただし、天候不良やその他の理由によって、試合スケジュールが変更されることもあるようです。
参加費が必要な「トライアウトキャンプ」
2018年当時、エンパイアリーグには4つのチームが参加していました。また、選手たちは、リーグが主催する春季キャンプに招待され、そこで1週間のキャンプに参加し、契約を勝ち取った選手のみがリーグでプレーすることができたという制度がありました。
このような制度は、独立野球リーグにおいて一般的であり、リーグのレベルや規模によって異なる場合があります。エンパイアリーグにおいても、現在でも、選手たちは、春季キャンプやトライアウトを通じて、チーム入りを目指すことができます。
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シーズンが始まってからもさらに選手同士の競争が激化
シーズンに先駆けて、キャンプが6月5日からスタートし、200人近くの選手が120人のロースターの枠を争う。
争いはシーズン途中でも同じで、各チームのロースター枠が22人から20人に一度減ることがあります。また、上のリーグからレベルの高い選手が落ちてくることもあり、競争が激化して枠が減っていきます。
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全チーム本拠地なし!?移動先で試合
参加するチームは、全てトラベルチーム扱いす。例えば、メイン州のオールド・オーチャード・ビーチで2週間プレーした後、ニューヨーク州のプラッツバーグに移動して、そこで2週間プレーし、すぐに移動してまた2週間プレーをするという形です、
独立野球リーグでは、チームの数が限られているため、遠方のチームとの試合を行うためには、頻繁な移動が必要となります。
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もちろん移動費は自腹!
エンパイアリーグの選手たちは、滞在先として大学の寮やホテルを利用することがあり、選手たちはその費用を負担する必要はないとされています。ただし、州から州への移動の際には、選手たちは車を持っている選手の車に分乗して移動することが多く、8時間にも及ぶ長距離ドライブを行うことがあるとされています。この際、ガソリン代や交通費などは選手たちが自己負担することが多く、割り勘で負担することもあるようです。独立野球リーグでは、選手たちが自己負担で移動や滞在を行うことが多いため、経済的な負担が大きいとされています。
運営の雑用を手伝って収入を得る
選手たちは、プレー以外にもチームを運営するスポーツクラブの雑用を手伝うことがあり、わずかの賃金をもらうことができます。報酬が少なく、また選手たちは自己負担が多いため、そのような副業をしなければならないことがあります。しかし、その一方で、副業によって選手たちがチームやリーグの運営に貢献することができるため、選手たちが一体感を持ち、それがチームやリーグの発展繋がっています。
すべては上位リーグに選手を送り出すため!!選手も過酷な条件を了承済み
他の独立野球リーグとは異なり、運営者が過酷な条件を堂々と公言し、それを選手を上位リーグに送るための方法論として掲げている。このリーグに参加している選手たちも、それを承知の上でプレーしています。
優秀な選手であれば、すぐにアメリカ独立リーグ最高峰のアトランティック・リーグにピックアップされることがあるとされており、例えば、速球が155キロ出るピッチャーがいたという報道もあるようです。
このリーグに参加する優秀なピッチャーたちは、すぐにアメリカ独立リーグ最高峰のアトランティック・リーグにピックアップされていきます。過去には、スピードが155キロ程度出るピッチャーもいました。
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シーズン中に選手が他のリーグへ次々と移動する!!
独立野球リーグにおいては、上下のリーグとの選手移動が頻繁に起こることが一般的であり、エンパイアリーグにおいても、レベルの高い選手たちが上位リーグに昇格することがある一方で、下位リーグから選手が流れてくることもあるとされています。
ダメならシーズン中でも次々と解雇!結果を出せば昇格チャンス!「コールアップ」
シーズン中に成績の悪い選手は解雇され、反対に成績の良い選手は上位リーグに昇格するチャンスが与えられる。これを「コールアップ」と呼びます。
エンパイアリーグからは、同じ独立リーグで上位に位置するアトランティックリーグやカンナムリーグにコールアップされる選手が多い。
上位リーグへのコールアップは、選手たちにとって大きなチャンスであり、目標でもある。エンパイアリーグに参加する選手たちは、成績にこだわり、その可能性を追い求めている。
自他共に認める世界中の埋もれた選手の受け皿!
スポンサーシップを収入の柱の一つとしているとされています。一方で、エンパイアリーグは「世界の埋もれた人材を発掘すること」を自らの役割と自称しています。
ドラフト・アマチュア契約からもれた選手を発掘
これは、メジャーリーグやマイナーリーグに進出するためには、ドラフトやアマチュア契約などで選手を発掘することが必要であり、エンパイアリーグはそうした制度に参加できない選手たちを発掘することで、メジャーリーグやマイナーリーグに選手を送り出すことを目指している。
腕に覚えのあるベテランにマイナーで解雇された選手
腕に覚えのあるベテランだけでなく、マイナーリーグでのプレーを経験し、球団から見切りをつけられた選手たちも参加している。これらの選手たちは、野球選手としての夢を捨てきれず、再びチャンスを求めてエンパイアリーグに参加しています。
日本人も参加!!
2018年にはエンパイアリーグでプレーした日本人選手は4人しました。
- NPB経験者
- アメリカ独立リーグ、ヨーロッパリーグ経験者
- 日本国内独立リーグ、ヨーロッパリーグ、オーストラリアリーグ経験者
- 日本国内独立リーグ、ヨーロッパリーグ、オーストラリアリーグ経験者
以上のように日本人だけで、様々なリーグから夢を追いここに集まってきているのがわかります。
開幕が遅い理由は夢を追う選手のため!?
MLBのドラフトで指名されず、マイナーリーグの契約を獲得できなかったり、すでにMLBの契約を結んでいたが解雇されたりした選手。
彼らは4月半ば以降に始まる独立リーグのキャンプに参加し、契約を勝ち取るために競います。選手たちは、ふるいにかけられた後、それぞれのリーグと契約し開幕をむかえます。
6月はアマチュアドラフトがあり、その後、ルーキーリーグが開幕し、新人選手がプロ野球界にデビューし、プロリーグが出揃う。
だが、エンパイアリーグの開幕は最後の6月末。
つまり、エンパイアリーグは、そうした選手たちにとっても、再びメジャーリーグやマイナーリーグに進出するチャンスを与えてくれる場所だと言えます。
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日本でもトライアウトが開催!!
2018年シーズンのエンパイアリーグでは、ビジネスパートナーとして日本企業と提携しており、そのパートナー企業からも選手の紹介がありました。また、エンパイアリーグ側も、日本でのトライアウトを開催することで、日本からの選手獲得に積極的な姿勢を示しました。
日本でのトライアウトは2回開催され、参加者は約20人でした。その中には、日本の独立リーグでプレーしていた選手もいたようですが、多くはアメリカで開催されたトライアウトリーグに参加したものの、プロ契約を結ぶことができなかった選手たちでした。
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クリアした後の渡航費は……もちろん自腹。
エンパイアリーグでの報酬は原則なし、アメリカへの往復航空券は自腹。日本でのトライアウトに合格した場合、開幕ロースター入りが保証されますが、現地でのトライアウトを兼ねたシーズン前のキャンプには必ず参加する必要があり、参加費として日本円で10万円が必要でした。また、旅行業も営むエージェントのホームページでは、参加費だけで約40万円が必要とされていました。
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