中国のウイグル地域における人権侵害を告発する本記事では、2017年以降に設けられた1000以上の強制収容所と、100万人から300万人に及ぶウイグル人の収監が明らかにされます。
報告によれば、拷問、強制労働、強制不妊手術といった非人道的行為が広まっており、中国政府の主張に対しても疑問が投げかけられています。外国人記者の取材制限や報道の透明性の欠如も浮き彫りになり、国際社会に衝撃を与えています。この記事は、ウイグル地域で起きている人道的危機に関心を持ち、真相を追求したい読者に向けて提示されています。
《ウイグルクライシス(2)》習近平政権の闇…ウイグル人抑圧政策とデジタル監視の恐怖
Xinjiang internment camps
新疆ウイグル自治区における強制収容と抑圧の内幕
2017年以降、ウイグル地域では1000カ所を超える「強制収容所(再教育キャンプ)」が設けられ、報告によれば100万人から300万人のウイグル人が収容されています。彼らは外部との接触を絶たれ、ウイグルとしての文化や伝統を放棄することを強制されています。ウイグル語による日常会話まで禁じられ、中国共産党と習近平への忠誠を強制する洗脳教育が行われています。
明治大学兼任講師で現代中国史が専門の水谷尚子氏によると、「元々はイスラム学を学んだ人、イスラムの宗教指導者などが収容されてきた。しかし、現在は、ウイグルの文化や学術を担う知識人、ウイグル人の中でもトップクラスの人達、例えば著名な学者、作家、音楽家、ジャーナリスト、詩人、ミュージシャン、スポーツ選手、経済を支える著名人が収容されている」と語っています。さらに、海外で学んだウイグル人も少なくなく、日本で学び新疆の教育に携わった者や日本とつながりの深い者もいると報告されています。
市民の海外との通信は厳しく監視され、帰国した留学生が拘束される例も多いとのことです。
外国人は近づくことすら出来ない
カシュガル市の北にある町には特に巨大で警備が厳重な施設(強制収容所)があるとされており、外国人記者が取材をするために現地に向かおうとしましたが、「外国人は入れない区域」と告げられ、町に近づくことすら困難な状況でした。
実際に2014年に新疆南西部で1日に4回も拘束された外国人記者もいます。これは、中国政府がこの地域の状況についての情報を厳しく管理し、外部からの視察を制限している証拠だといえます。
ビッグデータを使い従順度によって人間を振り分ける
中国当局はビッグデータを活用してウイグル族の個人情報を収集し、それを評価しています。信仰、家族関係などが評価の対象となり、収容時には「一般管理」「厳格管理」「強化管理」の3つのグループに分けられます。各グループによって、「制服」の色や管理の厳しさが異なると言われています。
さらに、収容者がどれだけ従順に従っているかを監視し、その結果に基づいて各グループに再び振り分けるという仕組みが存在します。これは、ウイグル人に対する抑圧と制御を強化するための手段であり、その人権の侵害をさらに深める要素となっています。
「強制収容所ではない、職業技能教育訓練センターだ」
中国政府は、新疆ウイグル自治区にイスラム教徒を対象とした再教育のための強制収容所が存在するという主張を否定してきました。しかし、2019年10月10日には、これらの施設が存在し、それらが「職業技能教育訓練中心(職業訓練センター)」として法律に明記されたことを認めました。中国政府はこれらの施設を社会復帰を促進する手段と位置づけ、無料の宿泊施設、職業訓練プログラム、中国語と法律の授業を提供していると主張しています。また、これらの施設は「テロとの戦い」の一部であり、過激派の思想を改めることで新疆ウイグル自治区では2年以上テロが発生していないと述べています。
中国政府は、このプログラムが「無料の職業訓練」であり、修了後は「修了証」を発行し、就職までを斡旋していると主張しています。大勢の人々がこの機会を活かし、再就職を果たし、社会に貢献していると主張しています。それにより「社会秩序と治安が歴史上最良の状態に戻り」「民族及び宗教の間の平等、結束、調和が浸透した」とも述べています。
しかし、西側諸国では、これらの主張が受け入れられていません。人権侵害の懸念が増え、強制労働問題に対する関心も高まっています。また、「職業訓練」を終えた人々が中国全土の工場に送られ、そこで生産された製品が国際市場に流通するという事実が指摘されています。
新疆自治区で生産される「新疆綿」は世界の生産量の20%を占め、これは新疆の少数民族の労働力によって収穫されています。これらの労働が強制的なものであるという証拠が、米国やオーストラリアの研究者によって明らかにされています。
実際には、強制収容所(職業訓練センター)には、中国の法律による正当な根拠は存在しません。中国の反テロ法では、最長の拘留期間を15日と規定しており、それ以上の問題は裁判所で判断されるべきです。しかし、新疆ウイグル自治区の収容所に収監されている300万人以上の人々は、ほとんどが裁判を経ずに拘留されており、公正な審理を受けていないと広く認識されています。
中国政府の主張と現実との間には明らかな乖離があり、そのため、国際社会からの懸念と批判は増しています。
警棒、スタンガン、手錠、催涙スプレー……教育とは?
中国の報道は、新疆ウイグル自治区の「職業技能協力訓練センター」を近代的な教育機関として描いていますが、一方で、その現地の地方政府が大量の警棒、電気棒、手錠、催涙スプレーなどの警備用具を調達しているという事実が報告されています。これらの品目は一般的には教育施設で必要とされるものではなく、むしろ拘留所や刑務所で使用されるようなものです。
これらの報告は、新疆ウイグル自治区の施設が単なる教育機関ではなく、実際にはウイグル族を対象とした再教育や抑圧のための施設であるという多くの外部の主張を裏付けています。
中国政府は正当性を主張、メディアに公開
2019年4月17日と18日に、中国政府は新疆ウイグル自治区内の2つの訓練センターを国内外のメディアに公開しました。この公開取材には、朝日新聞などの一部の日本やアメリカ、韓国、シンガポールのメディア、そして中国のメディアが参加しました。取材先にはイスラム礼拝所やバザールも含まれていました。
中国政府が新疆ウイグル自治区内の「訓練センター」を一部のメディアに公開したのは、国際社会からの人権侵害の疑惑に対する反論の一環と考えられます。
しかし、取材は政府や党関係者の監視下で行われ、記者の自由な行動は制限されていました。これは、中国政府が訓練センターの内部情報を厳しくコントロールし、そのメッセージを統制しようとする意図を示しています。
中国は記事の検閲は行われていないと報告されていますが、今回、自由な取材活動が制限されたことにより、情報の透明性や信頼性に疑問を投げかける結果になりました。
中国政府は展示会でさらに正当性を主張
2021年には、中国政府は新疆ウイグル自治区で少数民族であるウイグル族を収容施設で教育したことによりテロを抑制できたと主張し、その正当性を証明するためのパネル展を海外メディアに公開しています。
「再教育キャンプ」で洗脳の日常
キャンプでの典型的な一日は、朝5時に起こされ、わずかなパンとスープを与えられることから始まります。その後、昼まで絶え間なく中国共産党を賛美し、中国の偉大さを強調し、習近平国家主席に感謝する歌を歌わされます。午後は、中国語を話せない人は中国語の授業を、中国語が堪能な人は中国でどのような裁判や刑罰が行われるかを学ぶ講義を受けさせられます。
ウイグル民族の抹消
言語、信仰、そして思考そのものを抜き去り、中国語と中国の思考法を注入する。これが中国政府が行っていることです。そして、社会組織や就業の構造、地域の在り方を中国風にする。これは民族の抹消、つまりジェノサイドです。身体は生きているけれども、ウイグル民族そのものを存在しなくさせようというものです。
ウイグル人がかせられている低賃金による強制労働
ウイグル族やその他の少数民族は、強制収容施設で厳しい環境下で働かされており、これが世界経済に大きな影響を与えていることが示唆されています。特に、太陽光パネルの製造や綿花栽培の産業で、ウイグルの強制労働が大きな役割を果たしていると報じられています。
衣類などの原料、世界三大コットン「新疆綿」
新疆ウイグル自治区は世界有数の綿花生産地で、その品質と量は全世界の綿花市場に大きな影響を及ぼしています。新疆綿とは、新疆ウイグル自治区で栽培されている超長繊維綿のことを指します。ギザ綿やピマ綿と並んで世界三大コットンとも称され、特にその品質の高さから多くのファッションブランドや繊維産業が依存しています。
新疆綿の栽培には、天山山脈からの豊富な雪解け水が不可欠で、この水はカレーズと呼ばれる天然の地下水路を通って農地に供給されます。このような特異な自然環境が、美しい白い綿花を生み出す条件を整えています。新疆綿は、その繊維長が特に長く、綿花に含まれる油分が多いことから、シルクのような美しい光沢が特徴です。また、収穫はすべて手摘みにより行われるため、一貫した高品質が維持されます。
しかしながら、この新疆ウイグル自治区には暗い現実も存在します。近年、ウイグル族を中心とする少数民族が人権侵害の疑いで強制労働に従事させられているとの指摘が国際的に高まっています。特に新疆綿の生産に関連して、強制労働の疑いが取り沙汰されており、この問題はファッション業界だけでなく、全世界に向けて重大な問題となっています。
世界中の様々なアパレル企業が関連
新疆ウイグル自治区の綿産業に関する問題は、これまでにも指摘されてきましたが、オーストラリアのシンクタンク、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が2020年3月に発表した報告書によれば、その実態はより深刻なものとなっています。報告書によれば、中国政府は数万人に上るウイグル人を新疆ウイグル自治区から中国全土の工場に移送し、強制労働が行われているとの疑いがあります。
特に注目すべきなのは、これらの工場が世界的に有名な企業83社のサプライチェーンに組み込まれているという事実です。Apple、BMW、Gap、Huawei、Nike、Samsung、Sony、Volkswagenなど、様々な業界の大手企業が、強制労働が行われている可能性のある工場と関係を持っているというのです。
ASPIの報告書によれば、このような状況は国家レベルのプログラムの一環として進行しており、強制労働を行っているとされる労働者は「過酷で隔離された生活」を送らされています。また、宗教を奉じることを禁じられ、マンダリン授業への参加が強制されているとのことです。
中国政府はこれらの報告を否定し、中国外務省の趙立堅報道官は、「この報告書は、新疆ウイグル自治区における中国政府のテロ対策を中傷する米国の反中勢力の流れである」と主張しています。また、中国政府はウイグル人の強制収容を否定し、「職業訓練センター」で学んだ人々は全員卒業し、政府の支援により現在雇用されていると述べています。
新疆綿不買運動
新疆綿不買運動は、新疆ウイグル自治区での人権侵害疑惑に対する抗議として、消費者や企業、政府などが新疆綿や新疆綿を使用した製品の購入を拒否する運動です。この運動は、ウイグル人が強制労働の下で新疆綿を生産しているとの報告が増える中で、全世界で広がりを見せています。
新疆ウイグル自治区は、世界の綿花の約20%を生産しており、多くの国際的なファッションブランドや繊維産業が新疆綿を使用しています。しかし、人権侵害の疑惑が浮上して以降、多くのブランドや企業は新疆綿の使用を停止または見直す方針を打ち出しています。
一方で、新疆綿の不買運動は、中国国内で反発を引き起こしています。特に、一部の大手ブランドが新疆綿の使用を停止すると発表した際には、中国の消費者から大規模なボイコット運動が起こりました。中国政府もまた、新疆綿不買運動を「反中運動」であると非難し、新疆綿を使用しないブランドに対して様々な形で圧力をかけています。
日本の場合、衣料品の大部分が中国で生産されているため、新疆綿問題は特に困難な課題となっています。新疆綿の使用を避けるためには、生産ラインを他の国へ移す、新たな綿花供給源を見つけるなど、大きな変更をするかの決断に迫られました。
新疆ウイグルトマト問題
新疆ウイグル自治区は、中国の主要なトマト生産地域として知られています。その砂漠気候と長日照、乾燥条件は、病害虫の発生を抑え、トマト栽培に適した環境を提供します。また、新疆は世界三大綿の一つである新疆綿と並ぶ重要なトマトの産地であり、1980年代以降、トマトの生産と加工品の製造において急速に発展しました。
しかし、新疆ウイグル自治区における人権問題は、トマト製品の輸入に対する国際的な見解を変えつつあります。ウイグル族の強制労働が疑われる中、国際社会は新疆からの農産物に対する取引を再評価し始めています。特に、新疆で生産されたトマト製品の輸入を禁止する動きが見られるようになりました。
新疆ウイグル自治区のトマト産業が直面するこれらの課題は、新疆綿の問題と類似しています。両者ともに、生産過程における人権侵害の疑いが持たれており、国際社会の目が厳しく注がれています。このような背景から、新疆ウイグル自治区の主要な産品である新疆綿とトマトは、人権問題と経済の交差点に立たされています。
強制労働と宗教への抑圧に加え、虐待と拷問の深刻な現実
ウイグル族に対する人権侵害は、低賃金による強制労働だけでなく、その生活と信仰の自由に対する深刻な侵害も含んでいます。報道によれば、強制収容所では、イスラム教徒である彼らに対して、宗教上食べることが禁止されている豚肉を無理やり食べさせるなどの行為が行われているとのことです。
さらに、身体的な虐待や拷問が行われており、それが衰弱死に至るほど深刻なものであるとも報じられています。
アメリカがウイグル自治区からの人毛製品を押収
アメリカの税関・国境取締局(CBP)は、中国の新疆ウイグル自治区から輸入されたとされる人毛製品の押収を発表した。新疆ウイグル自治区では、何百万人ものウイグル人イスラム教徒やその他の少数民族が拘禁施設に収容されているとされている。
2020年7月2日付けの声明によれば、CBPはこの押収を行い、その製品は「強制的な児童労働や投獄といった人権侵害の可能性」を示していると述べた。差し押さえられたのは13トン近くの毛髪製品で、その一部であるヘア・エクステンションの推定価格は80万ドル以上とされている。
この積荷は、ニューヨークとニュージャージーの港で差し押さえられ、刑務労働を利用して毛髪製品を製造したとされる中国の企業、ロップ・カウンティ・メイシン・ヘアプロダクト(Lop County Meixin Hair Product)社の製品であった。この差し押さえは、2020年6月17日の命令に基づいて実施された。
CBPは「製造工程には過剰な残業、賃金の搾取、移動の制限など、さまざまな強制労働の状況が存在する可能性がある」と述べている。CBPの貿易担当エグゼクティブ・アシスタント・コミッショナーであるブレンダ・スミスは、「これらの製品の製造は非常に深刻な人権侵害である」とコメントしている。
スミスはまた、「アメリカの輸入業者は、供給チェーンがアメリカ政府とアメリカの消費者が期待する人道的かつ倫理的な基準を満たしていることを保証することが絶対的に必要だ」と強調した。
タイガーチェアから電気ショックまで、ウイグル族被拘束者の証言が明かす恐怖の実態
新疆ウイグル自治区の強制収容所で受けた拷問について述べた、あるウイグル族の証言が公表されています。
その証言によれば、拷問の方法は「殴打、電気ショック、負荷が強い姿勢を取らせる、違法な身体拘束(「タイガーチェア」と呼ばれる鉄製のいすに座らせ手足をロックして動けなくするなど)、睡眠妨害、身体を壁のフックにかける、極めて低温の環境に置く、独房に入れる」などであったとされています。
「タイガーチェア」と呼ばれる拷問装置は、被拘束者が数時間から数日間にわたり、動けないように固定されるというものです。拷問の様子は、他の囚人に強制的に見せられることもあったと証言があります。
また、新疆地区の収容制度は、「中国の司法制度や国内の法律の管轄外で運営されている」とみられています。一部の被拘束者が収容所から刑務所へ移送されたとの証拠も存在します。
匿名の被拘束者が述べたところによれば、尋問の最中に複数の警官から殴打を受けて意識を失った経験があります。また、「2人の女性警官が私を別の部屋へ連れていき、テーブルの上へ寝かせ、私の体の中に警棒を入れて、電流を流した。私は失神した」との証言もあります。
また、トゥルスンと名乗る別の被拘束者は、「ある日、部屋に連れて行かれ、高い椅子に座らされた。両方の手足は固定された。当局の職員たちはヘルメットのようなものを私の頭の上に乗せ、感電させられるたびに全身が激しく震え、血管に痛みを覚えました。それ以外のことは覚えていません。口から白い泡が出てきて、意識が薄れていきました。耳に入ってきた最後の言葉は、おまえがウイグル人であることが罪なのだ」と収容所の中の出来事を語っていました。
元刑事が暴露する中国政府のウイグル族拷問
元刑事である中国人の一人が、中国政府のウイグル族に対する拷問の実態をCNNに暴露した。彼は匿名を条件に自身ジャンと名乗り取材に応じました。
そして自身が新疆ウイグル自治区でウイグル人を標的にした暴力的な取り調べに関与していたことを明かした。
ジャンによれば、警察は一軒一軒家を訪問し、ウイグル人を引きずり出し、手錠をかけて連行していた。抵抗すれば銃殺すると脅していたという。ジャン氏は、新疆ウイグル自治区の複数の地域で数年にわたって3~4回配置されたことがあると語っている。
拘留者は尋問の過程で全員が殴られ、14歳の子どもも例外ではなかったと述べた。さらに、刑事や看守の中には、拷問を楽しんでいる人間もいたと語っている。ジャン氏自身も取り調べでは特に残虐な行為を避ける必要から「悪い警官」を演じざるをえない場面があったと認めている。
ジャンは亡命先の欧州で行われたCNNとの3時間に及ぶインタビューで、新疆ウイグル自治区の収容所でウイグル族を拷問する組織的作戦について詳しく説明した。これまで中国政府は拷問の存在を一貫して否定していたが、ジャンの証言によって国際社会は中国に対してさらに疑いの目を向けるようになりました。
「地獄にいる」ウイグル族の女性たちの声
新疆ウイグル自治区出身で、ロンドンで開催された世界ウイグル会議のプロジェクトディレクターであるリマ・マフムット氏は、そこに住む女性たちは「地獄」にいると述べました。彼女は「他の大量虐殺や他の場所と同じように、女性は常に最大の標的です。大規模に起こっている非常に深刻な犯罪があります」と語った。
被害者の証言
新疆ウイグル自治区から米国に逃れたトゥルスネイ・ジアウドゥンさんは、BBCの取材に対して、「女性たちは『毎晩』、収容所の居室から連れ出され、1人、あるいは複数の覆面をした中国人の男にレイプされていた」と証言しました。ジアウドゥンさん自身も収容所で拷問を受け、3回にわたって集団レイプされたと述べました。
ウイグル族の学者アブドワリ・アユップさんは、複数の看守の指示を受けた12人以上の他の拘留者から集団レイプを受けたとCNNに語っています。
ウイグル族女性で、収容所で中国語を教えていたケルビヌール・セディクさんは、「レイプは文化と化していた。これは集団レイプで、中国警察は女性たちをレイプするだけでは飽き足らず、電気ショックを与えていた。女性たちはおぞましい拷問の犠牲となっている」と述べました。
民族絶滅を図る「強制不妊手術」「強制中絶」
過去に拘束されたことがあるトゥルスネイ・ジヤウドゥンさんは、生理が来なくなるまで注射を打たれ、尋問中には下腹部を何度も蹴られたと述べています。ジヤウドゥンさんは現在、子供を授かることができず、子宮からの出血もあり、痛みで立っていられないことがあると訴えています。
ジヤウドゥンさんによると、その収容所にいた女性たちは婦人科の検査を受けさせられ、IUDを装着させられました。そして「先生」から妊娠が発覚すれば、中絶することになると告げられたと述べています。
「強制不妊レポート」
2020年6月29日に公表された「強制不妊レポート」には、中国共産党がウイグル人の人口を減らす試みとして、ウイグル人を強制収容し、不妊手術を受けさせる悲惨な状況が詳述されています。この報告書は、ドイツの研究者エイドリアン・ゼンツ氏が新疆ウイグル自治区の状況についてまとめ、ワシントンを本拠地とするシンクタンク、ジェームスタウン財団が公表しました。
不妊手術とIUDの強制
報告書によると、中国当局はウイグル人などの少数民族の女性に対して、既定の人数を超えた妊娠を中絶することを拒否した場合、再教育施設への強制収容を科すと警告しています。また、子供の数が中国で法的に許可されている2人に達していない女性に対しても、子宮内避妊具(IUD)の装着を強制しているとされています。聞き取りに応じた女性の中には、不妊手術を強制されたと証言する人もいました。
元医師の証言
新疆ウイグル自治区で人権弾圧が行われているとされる現状について、ウイグル族出身の元医師が産経新聞のインタビューに応じ、大規模な強制不妊手術が行われていると証言しました。彼女によれば、ある日には80人に強制不妊手術を行ったとのことです。彼女自身も中国を出国する際に避妊手術を強制されたと明かしました。
ウイグル族出身の女性たちは、子供ができないという問題で元医師に相談に来るという。彼女が診察した150人以上の女性の多くは、自身が不妊手術を受けていたことを知らず、その事実を知らされると怒りや悲しみを表現したという。
強制中絶の証言
15年間新疆ウイグル自治区の病院で働いていたウイグル族の医師、Hasiyet Abdullaさんは、子供が法的な制限を超えて生まれそうになると、妊娠が強制的に終了させられると証言しました。8、9カ月の妊娠でも例外ではなく、医療スタッフが新生児を殺すことさえあったと語りました。
中国政府の否定と人権報告書
中国政府はこれらの強制不妊手術の報告を否定していますが、西日本新聞が入手した新疆ウイグル自治区政府系の研究機関幹部の論文では、ウイグル族が増えるとテロ行為を行ったり、漢族を憎んだりする可能性が高まり、「政治的リスクがより大きくなる」との指摘があるとされています。また、ウイグル族に対する強制不妊の疑惑は、米国務省の人権報告書にも記載されています。
これは「ジェノサイド条約」(集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約)違反に当たるとの指摘もあります。しかし、中国外務省は「いわゆる強制不妊は全く根拠がない」と反論しています。
再教育施設とウイグル人の子供たち
中国、新疆ウイグル自治区における「再教育施設」への強制収容の問題は、ウイグル人の子どもたちの養育問題を複雑にしています。国際人権組織ヒューマン・ライツ・ウォッチのリポートによれば、親が再教育施設に収容され、子どもたちが親族から引き離され、公営孤児院に無理矢理収容されるケースが多発しています。
ウイグル人の子どもたちが公営孤児院に強制収容される背景には、中国当局の政策が影響を与えています。新疆ウイグル自治区の書記・陳全国は2016年に「すべての孤児を2020年までに公営孤児院に収容するように」と各下級地方政府に指示を出しました。これにより、各地域で孤児院の建設ラッシュが始まり、政策達成のための孤児数ノルマが地方公務員に課されました。
しかし、この政策はウイグル人の伝統的な家族観を無視しています。ウイグル人は一族意識が強く、大家族制で、親がいなくても親族が子どもたちの養育を負う伝統があります。親族から孤児院に引き離された子どもたちは、その後、親族とほとんど面会の機会もなく、完全にウイグルの家族と切り離されて教育を受けることになります。
さらに問題なのは、中国の公営孤児院の“質”が信用できないことです。孤児院による子どもの強制労働や迫害の問題が、ニュースとして報じられることも少なくありません。
このように、再教育施設への強制収容が引き起こす問題は、親が収容されているウイグル人の子どもたちの養育問題にとどまらず、ウイグル人の伝統を無視した政策により、親族から孤児院への強制移送が行われています。さらに、孤児院の質についても深刻な疑念が持たれています。中国当局のこの行為は、国際社会から見れば明らかに人権侵害と捉えられます。
中国当局が掲げる「福祉」の名の下に行われるこの行為は、ウイグル人の子どもたちを親族から無理やり引き離し、伝統を踏みにじるものであり、国際社会の人権基準に反するものです。
「逃避と教育」ウイグル人の子どもたちとトルコの学校
トルコ、イスタンブール郊外のある学校は、中国から逃れてきたウイグル人の子どもたちにとって、自分たちの母語と文化を学べる貴重な場所となっています。しかし、この学校は同時に、親が中国で再教育施設に収容され、連絡を取ることができない子どもたちにとっては、一時的な児童養護施設の役割も果たしています。
弾圧から逃れたウイグル人親子の分断と失われた連絡
中国北西部で悪化するウイグル人に対する弾圧から逃れてきた親たちは、故郷がまだ安全だと信じて一時的に戻ることがありました。しかし、その結果、親たちは謎のネットワークに捕らわれ、再教育施設に消えてしまったのです。それ以降、彼らは自分たちの子どもたちと連絡を取ることが許されていません。
ウイグル社会学者、アブドゥレシット・セリル・カールは「2017年以降、家族が引き離される問題が本格的に明らかになり始めました。人々はただトルコとつながりがあるというだけで逮捕されていました。このため、家族はバラバラになった。子どもたちはトルコに残され、今も中国国内にいる家族とは連絡が取れない状況に置かれています」と指摘しています。
この引き離された家族の痛ましい事例は、ウイグル人に対する20年間にわたる弾圧の最新の証拠です。ウイグル人の子どもたちが自分たちの文化と言語を学び、一時的に安全を確保するこの学校は、その弾圧からの一時的な避難所となっています。
子供たちが連れていかれる先に待ち受ける「洗脳プログラム」
新疆ウイグル自治区では、ウイグル人に対する弾圧が大規模に行われ、子どもたちはその犠牲者になっています。親族が収容され、子どもたちは孤児院や寄宿舎に連れて行かれます。彼らの大部分は行方不明となり、連絡も取れない状況に陥ります。そして、中国政府に捕らえられる恐怖から、故郷への帰還もできません。
新疆ウイグル自治区宣伝局の高官、シー・グイシャンツさんは、政府の書類を発見しました。それは「夫と妻の両方が職業訓練所にいる」家庭など、「要支援グループ」のためのさまざまな助成を詳細に説明していました。また、カシュガル市が教育行政の担当者に対し、両親が収容所にいる生徒の窮乏に急いで対応するよう命じた指示書も見つけました。その指示書は、「精神的カウンセリング強化」と「生徒の思想教育強化」を学校に求めています。
親族が抵抗すれば、彼ら自身が再教育施設に送られる恐れがあります。その結果、孤児院に連れて行かれた子どもたちは親族と切り離され、ウイグルの家族との接触をほぼ失い、孤立した教育環境に置かれます。
中国の養子縁組法第4条では、孤児を「14歳未満の両親を失った子ども、両親が見つからない子ども、特別な困難から子育てができない両親の子ども」と定義しています。また、未成年の保護に関する国内法第43条では、民生部が設置した児童養護施設に孤児をケアする責任が規定されています。しかし、親族から子どもを引き離し、政府系施設に収容するための法的手続きは存在しません。
それにも関わらず、新疆ウイグル自治区の書記・陳全国は2016年に、2020年までにすべての孤児を公営孤児院に収容するよう下級地方政府に指示を出しました。これを受けて、2017年1月に政策実施ガイドラインが発表され、新疆内の各地域で100人規模の児童が収容できる“孤児院”の建設ラッシュが始まりました。また、県レベルでは収容孤児数の達成ノルマが課され、ノルマに達しない公務員は「政治成績」が減点されるシステムが導入されました。
このような状況下で、祖父母や叔父叔母など実際に保護者がいる子どもたちが無理矢理“孤児”とされ、孤児院に収容されるケースも見受けられました。家庭や親族から引き裂かれ、ウイグルのアイデンティティや文化から遠ざけられて教育を受けることになった子どもたちは、この政策の痛ましい犠牲者となっています。
中国の公式統計によれば、新疆ウイグル自治区の児童養護施設で収容されている子どもたちの数は、2017年から2019年の間にほぼ倍増しています。これは、中国政府がウイグル人とその家族を弾圧し、故郷から引き離す政策の結果と言えるでしょう。ウイグル人の子どもたちは、彼らの母語や文化を奪われ、強制的に中国の主流文化に同化させられる状況に置かれています。
イスタンブール郊外の学校が、中国から逃れたウイグル人の子どもたちにとって、自分たちの母語と文化を学ぶことができる貴重な場所となっています。しかし、その一方で、家族から引き離されてしまった子どもたちは、故郷との連絡を絶たれ、新たな生活を余儀なくされています。中国政府の人権侵害に対する国際的な非難が高まる中、ウイグル人の子どもたちとその家族の苦しみは、今も続いています。
「言語と監視の制約下で」ウイグル族子どもたちに押し付けられる人権侵害の現実
ニューヨークタイムズの2020年12月28日の報道によると、中国教育部が2017年に発表した企画文書によれば、2017年初めまでに約50万のウイグル族の児童が寄宿学校に入れられ、家族との分離を余儀なくされたことがわかった。新疆(ウイグル自治区)の町には、来年末までに大規模な寄宿学校の建設が計画されています。同文書は、寄宿学校の目的の一つとして、「学校で科学を学び、家で経を聞くという思相観念の衝突を防ぐこと」が盛り込まれています。
新疆政府は、中国当局の政策を推進するため、中国各地から数万人の教師を募集しています。ウイグル族の教育者は、抵抗すれば収容所に送られると警告されています。一部の有名な教師はすでに拘束されています。
言語奪取と監視、ウイグル族文化の消失と学校内での人権侵害
現在、新疆の学校ではウイグル語の代わりに中国語が主要言語となっています。これは、中小学校で中国語を教えている学校が3年前までは38%に過ぎなかったのに対し、現在では大半の学校が中国語の使用を徹底していることから明らかです。
ウイグル人の人権団体は、中国共産党のこの政策はウイグル族の文化を消滅させることを目指していると指摘しています。ある漢族の中学生は、学校がムスリムの生徒の監視役を漢族の生徒に任命していることを報告しました。これを「結対子」と呼び、学校の管理組織は「お互いから学び、共に進歩する」ための取り組みだと主張しています。しかし、その実態は、少数民族の生徒の行動と思想を監視することが目的であるとされています。
「教室にいるとき、教師と同級生がムスリムの生徒を見張っています。寮では別の誰かが監視しています。四六時中、監視に晒されているのです。特にラマダンの時期は、生徒を監視し、確実に食事を取るように、教師が特別に食事を提供します」とある中学生は説明しています。
家族との分離と思想統制
さらに、ムスリムの生徒が悲しい気持ちになり、同じように家族が拘束されている別のクラスメートと話をしたいときは、「ペア」の相手に報告しなければならないと述べています。もし報告を怠ると、「問題のある思想」を持っていると見なされる可能性があります。
このような報告から見ても、新疆ウイグル自治区におけるウイグル族への弾圧は深刻であり、人権侵害の問題が依然として存在していることが伺えます。子供たちは家族から引き離され、自分たちの文化や言語を尊重されず、絶え間ない監視下におかれて生活しています。これらは明らかな人権侵害であり、国際社会からの監視と対策が求められています。