
【ウクライナ危機(75)】 “第二次世界大戦”以来の壮絶な戦闘が始まる『ドンバスの戦い』
War in Donbas
ドンバスの戦い
「第二次世界大戦のような戦闘になる」とも言われ、戦力を集中させる攻防戦が始まっているウクライナ“東部”。
激闘の東部戦線 ウクライナ“見えない戦場”の実態/NHK.2022
ウクライナ国家警備隊の部隊がBBCに提供した映像には、まるで第2次世界大戦中の街並みを再現したかのような廃墟が移っていた。砲撃で破壊された家並。人と動物の死体だけが横たわる通り。そして、過去の世界大戦経験者と同じような症状の人たち。つまり、砲弾ショック(戦争神経症)だ。ルビジュネを脱出した兵の多くが、手足の震えと絶え間ない頭痛に悩まされている。
ウクライナ東部主要都市へロシアが「容赦ない攻撃」 「遠くから見ていた」とBBC記者/BBCニュース.2022
首都陥落作戦に失敗したロシア軍部隊が撤収!そして東部ドンバスに戦力を向けた・・・。
2022年2月24日、ロシアとウクライナの戦争が始まった。ロシア軍はキーウ北方、ハルキウ方面、ドンバス方面、クリミア半島の4方向からウクライナに侵攻した。しかし予想外の頑強なウクライナ軍の抵抗と巧妙な作戦指揮、そしておそらくウクライナ軍を過小評価していたが故の補給の困難や士気の低下にロシアは苦しんだ。南部の要衝、ヘルソンの攻略には成功し、東部のルハンシク州でも占領地域を拡大させてきたが、ドネツク州ではウクライナ軍の防御陣地を突破できず、またキーウ周辺でもウクライナ軍の反撃により包囲を阻止された。こうした状況に直面し、ロシアは東部ドンバス地方への攻勢に集中するとして3月末にキーウ方面の部隊をベラルーシ国境まで撤収させ、作戦の再構築を図った。
ウクライナ「運命の3週間」となる「ドンバス会戦」の行方/新潮社 Foresight.2022
「東部ドンバス地域での戦いが始まった」(2022年4月18日)
4月18日、ゼレンスキー大統領は「東部ドンバス地域での戦いが始まった」と宣言。
“24時間戦闘が続いている”【激戦地・アブジイフカ市軍事行政府トップ】/NHK みんなでプラス.2022
ゼレンスキー大統領の側近、アンドリー・イェルマク氏も「戦争の第2段階が始まった」と指摘。「ウクライナ軍を信じてほしい。ウクライナ軍は強靭だ」と対話アプリのテレグラムに投稿した。
ロシア、「ドンバス戦争」開始 東部を新たに攻撃=ウクライナ大統領/REUTERS.2022
これに先立ち、国家安全保障・国防会議のダニロフ書記が「ドネツク、ルガンスク、ハリコフ地域のほぼ全ての前線で、ロシア軍が今朝、ウクライナ軍の防衛線を突破しようとした」と述べ、ロシア軍が18日朝にウクライナ東部で新たな攻勢を開始したとの見方を示していた。
ロシア、「ドンバス戦争」開始 東部を新たに攻撃=ウクライナ大統領/REUTERS.2022
また、ルハンスク州のクレミンナはロシア軍に占拠されたが、そのほかの地域ではウクライナ軍が持ちこたえているとした。
ロシア軍、東部ドンバスで本格攻撃を開始 ゼレンスキー氏が演説/BBCニュース.2022
その翌日、東部の激戦地で軍事行政府のトップを務めるビタリー・バラバシさんに話を聞くと、「戦闘は最も激しいフェーズに突入した」と証言しました。街には避難できない人が数多く残され、ロシア軍は住宅を徹底的に破壊しにかかっているといいます。
“24時間戦闘が続いている”【激戦地・アブジイフカ市軍事行政府トップ】/NHK みんなでプラス.2022
激戦地マリウポリ「アゾフスタリ製鉄所」
南東部の要衝マリウポリでは、ロシア軍が完全制圧に向けて攻勢を強めており、アゾフスタリ製鉄所で攻防が繰り広げられているとみられている。
ロシア軍、東部ドンバスで本格攻撃を開始 ゼレンスキー氏が演説/BBCニュース.2022
ロシア軍の東部制圧への部隊再編が完了
ウクライナ国防省報道官によると、ロシア軍は東部制圧に向けた部隊再編を完了。航空機の飛行回数が1・5倍以上増え、空爆が増強された。ロシアのウクライナ侵攻が新たな局面に入る中、せめぎ合いが増している。
「ドンバスの戦い」開始、ゼレンスキー大統領声明 ロシア、東部制圧のため軍再編完了/産経ニュース.2022
戦況は2014年からの『ドンバス紛争』と同じ様相に・・・。ただ今回の相手はロシア
ウクライナの戦局は膠着(こうちゃく)しているが、戦いは2014年から続くウクライナ東部ドンバス地⽅の内戦の形に戻りつつある。
【毎日新聞・政治プレミア】ウクライナ戦争の出口を探る/日本総研.2022
2014年、クリミアがロシアに一方的に併合されると、親ロシア派の武装勢力などが議会などを占拠。ウクライナからの独立を表明します。その後、8年にわたってウクライナ軍との間で武力衝突が発生。市民を含む1万4,000人が犠牲になりました。
激闘の東部戦線 ウクライナ“見えない戦場”の実態/クローズアップ現代 全記録 – NHK.2022
当時と現在の違いは、親露分離派勢⼒が⽀配する「ルガンスク⼈⺠共和国」「ドネツク⼈⺠共和国」をロシアが承認したことに加え、ロシアの直接軍事作戦により実効⽀配している地域を⼤幅に増やしたことであり、双⽅が正⾯衝突する「ロシア・ウクライナ戦争」へ変わったことだ。
【毎日新聞・政治プレミア】ウクライナ戦争の出口を探る/日本総研.2022
首都攻防戦では、ゲリラ的な戦法によってロシア軍撃退に成功した
侵攻開始から数週間、ウクライナ側は首都キーウ(キエフ)を含む同国北部への攻勢を何とか食い止めることができた。
ウクライナ東部に迫る戦車戦、大規模な衝突か/ウォール・ストリート・ジャーナル.2022
ロシア第1次攻勢の際、ウクライナ軍は歩兵携行式対戦車ミサイルや肩撃ち式地対空ミサイルを携帯した8~10名の分隊規模の部隊を多数展開させ、建物や廃墟を利用した待ち伏せ攻撃を行うことで、ロシア軍の戦車や装甲兵員輸送車、攻撃ヘリコプターなどに大損害を与えました。このような「迎撃戦」成功の背景には、ウクライナ民間人らによるスマホなどでの情報提供に加えて、アメリカを始めとしたNATO(北大西洋条約機構)側の詳細な戦場偵察情報の提供があったとも言われます。
ウクライナ「ドンバスの戦い」は本格的な戦車戦になるか ロシアの「力押し」有利な戦局に?/乗りものニュース.2022
こういった戦況が、首都キーウ(キエフ)攻略からロシア軍が目標を切り替えた理由のひとつになっているようです。ロシア軍はいったん後退して再編成のうえ、クリミア半島への「回廊」の打通を目指し侵攻地域をドンバス方面へ変更しました。
ウクライナ「ドンバスの戦い」は本格的な戦車戦になるか ロシアの「力押し」有利な戦局に?/乗りものニュース.2022
東部ドンバスで予想されたのは“第二次世界大戦以来最大の戦車戦”
ポーランドのマテウシュ・モラビエツキ首相は、ヨーロッパで第二次大戦以来最大の戦車戦が起きる可能性について、警告を発した。
ウクライナで目前に迫る史上最大級の戦車戦/Newsweek.2022
ブルームバーグによれば、モラビエツキは4月11日、ベルギーのアレクサンダー・デクルオ首相との記者会見で、ウクライナ紛争において、戦車戦が「目の前に迫っている」と述べた。
ウクライナで目前に迫る史上最大級の戦車戦/Newsweek.2022
モラビエツキは続けて、国際的な観測筋が、ロシアはまもなくウクライナ東部のドンバス地方で攻撃を開始すると予想していることを指摘し、EU加盟国にウクライナへのさらなる軍事支援を呼びかけた。
ウクライナで目前に迫る史上最大級の戦車戦/Newsweek.2022
「最も決定的な戦いが始まろうとしている。それは同時に、この地域における第二次大戦以来最大の戦車戦になるだろう」と、モラビエツキは語った。
ウクライナで目前に迫る史上最大級の戦車戦/Newsweek.2022
かつてナチス・ドイツのがおこなった壮絶な戦車戦
戦車は第一次世界大戦のときに誕生した。この戦争を特徴づけていたこう着状態にしびれを切らしたイギリスの技術者たちが思いついたのが、緩衝地帯を横切ってドイツの防衛を突破できる無限軌道車だった。設計士たちは、履帯(りたい)が巻かれた菱形の車両を開発した。
「戦車」の繊細な歴史─最初から時代遅れと言われつつなぜか廃れない兵器/クーリエ・ジャポン.2022
(前略)第二次世界大戦時には各国がこぞって、様々な特徴を持った戦車を開発していきました。
第二次世界大戦の主力戦車たち/ミリタリーショップ レプマート
「クルスクの戦い」
1943年7〜8月、ロシアでソ連とドイツが激突したクルスクの戦いは、史上最大の戦車戦とされる
【画像】 【続編】戦車は葬られた墓からよみがえりつづける怪物だ/クーリエ・ジャポン.2022
第2次世界大戦中の1943年、ソビエト連邦の都市であるクルスク周辺で、ナチスドイツ軍とソ連軍(赤軍)との間で行われた、「史上最大の戦車戦」とも謂われる戦闘。ドイツ側約2,800輌、ソ連側約3,000輌の合計約6,000輌の戦車が戦闘に参加した。ドイツ軍の作戦名「ツィタデレ(城塞)作戦」と呼ばれるこの戦いは、独ソ戦でドイツ軍が大規模な攻勢に出た最後の戦闘であった。
タンク・ソルジャーズ【完全版】 DVD-BOX 史上最大の戦車戦に挑んだ兵士たち /アルバトロス・フィルム
独ソ戦では43年のクルスクの戦い以降、ソ連軍が大反攻に出た。ロシアとウクライナの国境は当時の戦線とほぼ同じだ。今回も同じ土地を同じ方向から攻めているので、表面的には似てくる。80年たっても軍を動かしやすい場所はほぼ決まってくるからだ。首都キーウ(キエフ)や東部ハリコフなどは独ソ戦でも激戦地だった。
ウクライナ侵攻と独ソ戦に不気味な類似点 ベストセラー著者の憂慮/毎日新聞.2022
東部は戦車が稼働しやすい広大な平地!!力と力の勝負ならロシアに軍配があがる
ドンバスでの戦闘が、かつての第2次世界大戦に似た戦車戦で行われるものとみられる理由は、ドンバス地域の独特な地形のためだ。大都市があちこちに位置し兵力の進撃を防ぐウクライナ北部とは違い、東部は広大な平地で構成されている。身を隠せる市街地や森がなく、防御は容易ではない。
ウクライナのドンバス攻防戦、戦車動員した第2次大戦の様相になる可能性/hankyoreh japan.2022
問題はロシアの戦力だ。ロシアはキーウなどを占領し、ウォロディミル・ゼレンスキー政権を除去しようとしていた第1段階の作戦で、戦車約500台を失ったと分析される。しかし、世界の軍事力を分析する機関「グローバル・ファイヤーパワー」の資料によると、ロシア軍の戦車保有台数は1万2000台で、ウクライナの2600台に大きく勝っている。
ウクライナのドンバス攻防戦、戦車動員した第2次大戦の様相になる可能性/hankyoreh japan.2022
さらにロシア軍は自軍の基地に近い!今回の戦いは補給路が短く・土地勘がある状況
両国の軍隊は今回、大規模な兵力と機甲部隊の展開に適した開けた地形での戦いに臨む。ロシア軍は同国西部にある自軍の基地に近い場所で戦うことになる。これは、物資の補給路が短くなることと、指揮官がよく知る土地で戦うことを意味する。
ウクライナ東部に迫る戦車戦、大規模な衝突か/ダイヤモンド・オンライン.2022
ロシア軍は問題のあった指揮系統を改善して戦闘に望む
また、ロシア軍は指揮系統に問題を抱えていたが、これを改善してきた。ロシア軍は軍管区単位で作戦を進めていたことで、複数の軍管区の部隊が投入され大規模作戦が行われているウクライナ戦争では連携が不十分だったことも苦戦の一因とされる。これに対し、4月9日にウクライナでの戦争を統括する司令官が初めて任命された。しかも任命されたアレクサンドル・ドゥボルニコフ南部軍管区司令官は、シリア内戦に介入した際に空爆などで多数の民間人を殺している。こうした人物をもってくるのは、ウクライナ側に対する「恐怖心の植え付け」の意味もあるだろう。
【軍事のツボ】特別版7 局面転換したウクライナ戦争、西側の重装備供与が意味すること/zakzak.2022
ウクライナ側はさらに強い兵器が必要だった
湾岸戦争で終焉を迎えたと考えられていた、重装備の部隊同士が正面からぶつかり合う戦闘が繰り広げられればウクライナ軍が力負けする可能性が高く、西側は供与する兵器のレベルを上げざるを得ない。
【軍事のツボ】特別版7 局面転換したウクライナ戦争、西側の重装備供与が意味すること/zakzak.2022
アメリカやNATOはウクライナに新たな武器支援
ウクライナは、戦争の性格の変化を予測し、米国などに要求する兵器の性格を変えてきた。クレバ外相は7日のNATO外相会合で、ロシアの全面攻撃に対抗できるよう「我々はより多くの防空システムと、より多くの対戦車兵器、そしてより強力な兵器を望む」と述べた。それを受け、米国などの支援内容も変わった。米国などNATOはこれまで、少数の歩兵が隠蔽・遮蔽物の後ろに隠れ、敵の戦車や航空機を狙えるよう、携帯用対空・対戦車兵器を供給してきた。しかし最近になり、ロシアの機甲部隊に正面から対抗できるよう、大型の攻撃兵器を供給している。
ウクライナのドンバス攻防戦、戦車動員した第2次大戦の様相になる可能性/hankyoreh japan.2022
「ドンバスの戦い」を前に欧州からウクライナへ新たな兵器が続々と到着!
米国防総省は、ドンバス地域の戦闘を前にウクライナへ提供を約束した兵器の一部がこの日、欧州に到着したと明らかにした。米国が提供する8億ドル(約9868億ウォン)規模の追加軍事援助は、155ミリりゅう弾砲18門と砲弾4万発、ロシア製ヘリコプター11機、装甲車200台、「自殺ドローン」300機などからなるが、これらは主に開けた土地で展開される地上戦に備える兵器だ。カービー報道官は、ウクライナ軍が使ったことのない155ミリりゅう弾砲は、米軍が数日以内にウクライナ国外で使用法を教える計画だと語った。同氏は「小人数のウクライナ人がりゅう弾砲の使用訓練を受けて帰り、仲間たちに教えることになるだろう」と述べた。
米「ロシア、ドンバス地域ではより攻撃的に」「ウクライナ軍に米国製兵器使用訓練」/hankyoreh japan.2022
武器を供給する一方、バイデン大統領(アメリカ)はウクライナを訪問する計画はない
一方、ホワイトハウスは同日、ジョー・バイデン大統領がウクライナを訪問する計画はないことを改めて明らかにした。これは前日に放送されたCNNのインタビューで、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が「バイデン大統領はウクライナを訪問すると思う」と述べたことに対する回答の性格を持つ。またホワイトハウスは、バイデン大統領が同盟国およびパートナー国の首脳との19日のオンライン会議で、ウクライナに対する支援策とロシアに対する圧迫政策を論議すると明らかにした。
米「ロシア、ドンバス地域ではより攻撃的に」「ウクライナ軍に米国製兵器使用訓練」/hankyoreh japan.2022
支援された兵器の中で最注目は大砲!!
今、世界の軍事関係者は「榴弾(りゅうだん)砲」に注目している。北大西洋条約機構(NATO)に加盟する各国が、ウクライナに続々と榴弾砲を送っているからだ。
ウクライナ軍に提供される榴弾砲「M777」、砲弾「エクスカリバー」の強烈過ぎる破壊力 兵器の装備でもロシア軍は惨敗/デイリー新潮.2022
そ戦車すら破壊する破壊する威力を持つ兵器「砲榴弾(りゅうだん)砲」
「榴弾砲は、一般の人がイメージする“大砲”に最も近いかもしれません。戦車砲の射程距離は最大でも5キロですが、NATOの155ミリ榴弾砲なら40キロ先の目標を砲撃できます。敵の戦車の弾が届かない安全地帯から攻撃できるわけです。155ミリ榴弾砲は、最も威力の強い火砲の一つです。集中砲火を浴びせた時の破壊力は凄まじく、たとえ戦車といえどもひとたまりもありません」(同・軍事ジャーナリスト)
ウクライナ軍に提供される榴弾砲「M777」、砲弾「エクスカリバー」の強烈過ぎる破壊力 兵器の装備でもロシア軍は惨敗/デイリー新潮.2022
二度の世界大戦でもっとも兵士を殺傷した兵器としても知られる
20世紀に人類が経験した2度の世界大戦、その両方でもっとも多くの兵士を殺傷した兵器はなんだろうか? 銃だろうか、それとも航空機の爆弾だろうか。答えは「砲」だ。
ウクライナに供与された榴弾砲「M777」は、戦況の“ゲームチェンジャー”になるのか/文春オンライン.2022
英グリニッジ大学名誉教授のクリス・ベラミー氏によれば、20世紀の主要な戦場でもっとも兵士を殺傷したのは、砲を操る砲兵だという。第1次世界大戦の西部戦線では英軍の死傷者の58%が砲弾によるもので、第2次世界大戦の北アフリカ戦線ではその比率は75%にまで達したという。朝鮮戦争では米軍の死傷者の60%近くが砲弾によるもので、これらの数字からも砲が戦場で破壊をもたらしていたことがわかるだろう。
ウクライナに供与された榴弾砲「M777」は、戦況の“ゲームチェンジャー”になるのか/文春オンライン.2022
砲撃戦!!?いかに敵を足止め出来るかで勝敗が決する様相に!!
ロシアとウクライナの戦争は「砲兵戦」の様相も帯びている。
焦点:ロシア軍は損害甚大、「大規模動員か敗北か」との指摘も/REUTERS.2022
(前略)2022年2月24日に開始されたロシア軍の侵攻(筆者はこれをロシア第1次攻勢と仮称します)では、ウクライナ軍は戦闘地域に市街地が多いという地形的な事情から、肩撃ち式の対戦車火器や対空ミサイル発射機を携帯した8~10名の分隊規模の部隊を多数前線に展開させ、建物や廃墟を利用した待ち伏せ攻撃で、ロシア軍の戦車を始めとした各種AFV、攻撃ヘリコプターなどに大損害を与えることに成功しました。
続々集まるNATO規格「155mm砲」でウクライナどう戦う? 対ロシア第二ラウンドへ/乗りものニュース.2022
ただ、このときの戦いでは、まだ自国の民間人が残る市街地に大規模な砲撃を加えるわけにはいかなかったので、ウクライナ軍の砲兵に大きな出番はなかったと言えるでしょう。
続々集まるNATO規格「155mm砲」でウクライナどう戦う? 対ロシア第二ラウンドへ/乗りものニュース.2022
しかし、ロシアが戦線を縮小・整理し、第2ラウンドともいえるドンバス地域で戦いを行う場合、その戦場は開けた場所が多く、市街地での戦いで活躍した対戦車・対空歩兵分隊の「隠れ家」が一転して少ないエリアとなります。そのため、ロシア第1次攻勢と同じ戦い方が難しくなるのです。そこで役に立つのが、昔ながらの砲撃による、敵の侵攻阻止、いわゆる「足止め」です。
続々集まるNATO規格「155mm砲」でウクライナどう戦う? 対ロシア第二ラウンドへ/乗りものニュース.2022
主役は砲兵
第2次世界大戦以降の重戦力同士の戦いは、徹底的に空爆と砲兵射撃をしてから戦車部隊を突進させるという方式で行われていました。しかし今回のウクライナ戦争では、両軍共に航空優勢を獲れない状態で、上空にはドローンが飛び交っています。戦場は砲兵が主役の状況になっています。
なぜウクライナは多連装ロケットシステム(MLRS)を欲しがるのか?/週プレNEWS.2022
ロシア軍はまず『ZSU23』対空戦車でウクライナ軍のドローンを撃墜し、それと同時に大量の火砲を使って攻撃準備射撃、攻撃支援射撃を開始します。その後、戦車部隊を進撃させ敵陣を蹂躙するという、第1次世界大戦的な戦闘の様相を呈しています。
なぜウクライナは多連装ロケットシステム(MLRS)を欲しがるのか?/週プレNEWS.2022
イギリスが開発した次世代の砲「りゅう弾砲(M777)」
ロシア軍を押し返すため、ウクライナ軍への武器の供与を急ぐ欧米各国。中でも注目を集めているのが、4月、アメリカなどが供与を発表した、りゅう弾砲”M777″です。
激闘の東部戦線 ウクライナ“見えない戦場”の実態/クローズアップ現代 全記録 – NHK.2022
M777はイギリスが海外輸出用として2000年代前半に開発した次世代砲で、アメリカ陸軍と海兵隊は数百門単位で採用しました。現在は、これまで使用してきたM198 155mm牽引式榴弾砲と順次交代している最中です。
神出鬼没「空飛ぶ砲兵」爆誕? 米がウクライナに供与の「M777」榴弾砲の驚くべき使い道/乗りものニュース.2022
戦況を一変させる兵器
かつてアメリカ陸軍の陸軍野戦砲兵学校の校長を務めたこともある退役少将のブライアン・マッキーナンは、4月25日付けの「ディフェンス・ワン」記事で、榴弾砲は「ロシア側の軽装甲機動車や支援車両や大砲」への攻撃に効果的だと語っている。「ロシア軍の攻撃能力を削ぐ上で、大きな力を発揮する武器になると思う」
ウクライナ軍が使い始めた米M777榴弾砲の威力/Newsweek.2022
同様に、イギリスの王立防衛安全保障研究所(RUSI)が4月22日に発表した報告書は、ウクライナ軍の総司令官、ヴァレリー・ザルジニー大将の上席顧問をつとめる人物の発言を引用している。「対戦車ミサイルには、ロシア軍の進軍を遅らせる効果があったが、壊滅させたのは我々の大砲だ。ロシアの部隊を崩壊させたのは大砲だった」
ウクライナ軍が使い始めた米M777榴弾砲の威力/Newsweek.2022
第二次大戦中に連合国軍がオランダで実施した「マーケット・ガーデン作戦」に関する著書を持つR.G.ポウルセンは、5月10日に投稿したツイートで、M777を「戦況を一変させる兵器(ゲームチェンジャー)」と呼んだ。
ウクライナ軍が使い始めた米M777榴弾砲の威力/Newsweek.2022
ロシア軍の“砲”よりも遠くから射撃が可能
M777はロシア軍の大砲より5キロメートルほどさらに遠く、そしてさらに正確に弾丸を打ち込むことができる。ここに衛星利用測位システム(GPS)誘導発射体を使えば16キロメートルさらに遠く発射することができる。NATOの弾丸と互換性があるという点も長所だ。これまでウクライナが使っていた大砲はロシアで製造された弾薬を使っていたため弾薬切れの恐れがあったが、これからはNATOを通じて弾丸の支援を受けられるようになった。この榴弾砲を最初に配備した第55砲兵旅団の司令官は「この武器は我々をさらに勝利に近づけてくれる」と明らかにした。
さらに遠く正確に…「米国M777榴弾砲」“輸血”されたウクライナ、戦況も変えるか/中央日報.2022
さらに、これまでの砲よりはるかに軽量
最大の特徴はチタン合金をふんだんに使って実現させた驚くほどの軽さで、標準型でわずか3.7t、改良型のM777A2で4.2tに抑えています。
神出鬼没「空飛ぶ砲兵」爆誕? 米がウクライナに供与の「M777」榴弾砲の驚くべき使い道/乗りものニュース.2022
ライバルの火砲と比べると、前述のM198は約7.2t、ロシアの2A65は7t(旧ソ連/ロシア製は152mm)、旧西ドイツ/イギリス/イタリアが共同開発し陸上自衛隊も採用するFH-70は7.8~9.6t(短距離自走が可能な補助エンジンを持つためやや重い)など、おおむね7t台が相場です。つまりM777はそれらに対しほぼ半分~6掛けの軽さということで、もちろん155/152mm砲クラスでは最軽量を誇ります。
神出鬼没「空飛ぶ砲兵」爆誕? 米がウクライナに供与の「M777」榴弾砲の驚くべき使い道/乗りものニュース.2022
普通のヘリで輸送可能!さらに少人数で操作ができる
「M777が登場する前、アメリカ軍はM198を使っていましたが、こちらも重量は7・1トンありました。これだけの重さだと、ヘリコプターなら大型機でないと運べません。ところが、M777が半分の重さになったことで、一般的な汎用ヘリでの輸送が可能になったのです。更に、M198は11人の砲員が必要でしたが、M777は5人と省人化されました。1人でも兵士が貴重なウクライナ軍にとっては、まさに朗報でしょう」(同・軍事ジャーナリスト)
ウクライナ軍に提供される榴弾砲「M777」、砲弾「エクスカリバー」の強烈過ぎる破壊力 兵器の装備でもロシア軍は惨敗/デイリー新潮.2022
米軍がウクライナ兵へM777の訓練
米国防総省によると米軍はウクライナ軍に対し、東部ドンバス地域などでの戦いで有効とされる打撃力の強い榴弾(りゅうだん)砲の使用訓練を数日以内に開始する見通しで、側面支援を急ぐ。
「ドンバスの戦い」開始、ゼレンスキー大統領声明 ロシア、東部制圧のため軍再編完了/産経ニュース.2022
米国はウクライナ兵200人に対し、M777の操作訓練を完了させた。
西側諸国「6月反攻」に秘密兵器 ゼレンスキー大統領、東部苦戦に「装備の差」主張 これまでで最も殺傷力が高い榴弾砲供与か 「8月までは一進一退」識者/IZA.2022
M777は実際に有効性を発揮していく
ウクライナは、より強力で射程の長い兵器を供与をするよう求めてきたが、実際に投入された大砲が前線での有効性を立証している。南部のミコライウ(Mykolaiv)軍管区のドミトロ・プレテンチューク(Dmytro Pletenchuk)大尉はAFPの最近のインタビューで、M777は「蒸気機関車から電気自動車に乗り換えたようなものだ」と語った。
米の榴弾砲など西側供与の兵器が威力 ウクライナ/AFPBB News.2022
プレテンチューク大尉は、西側から供与された新たな兵器について「敵側は極めて有効に使われている状況をとても嘆かわしく思っている」と指摘した。
米の榴弾砲など西側供与の兵器が威力 ウクライナ/AFPBB News.2022
ウクライナが防衛する都市ミコライウと同市の東側に陣取るロシア軍の戦闘は、長距離の砲撃戦になっている。ミコライウは、南部の都市オデーサ(Odessa)に向けた戦略的なとりでの役割を果たしており、同大尉は「ミコライウを死守する」と述べた。
米の榴弾砲など西側供与の兵器が威力 ウクライナ/AFPBB News.2022
打ち込む砲弾も高性能!その名もエクスカリバー
重量と砲員の削減だけでもメリットは計り知れない。だが最大のポイントは、砲弾の性能だという。
ウクライナ軍に提供される榴弾砲「M777」、砲弾「エクスカリバー」の強烈過ぎる破壊力 兵器の装備でもロシア軍は惨敗/デイリー新潮.2022
GPSでロックオン!!翼を広げ標的にむかっていく誘導砲弾
Excaliburは、GPSを使った誘導砲弾。風の影響など初弾を命中させるのが困難な通常砲弾と異なり、発射後に展開する安定翼がついており、ロックオンされた目標へ向け、GPS誘導によりミサイル並みの精密射撃が可能だ。各国軍隊で主力火砲として導入されている155mm砲からの発射が可能で、多機能信管により爆発タイミングが設定でき、さまざまな用途に対応できる。
米Raytheon、誘導砲弾「Excalibur」で射程距離新記録を達成/fabcross for エンジニア
抜群の耐久性
エクスカリバーの誘導部分は米国のレイセオン社、本体はスウェーデンのBAEシステムズ・ボフォース社が開発した。慣性(加速度)を測るレーザージャイロ(ハネウェル社のHG1930ガンハード)は、重力加速度の2万倍の加速にも耐える。
護衛艦の精密誘導砲弾で離島防衛を強化 – 第375号(2015年3月2日特別号)/小川和久の『NEWSを疑え!』 – ニコニコチャンネル.2015
標的の上空に到達後、真下に方向転換し落下
エクスカリバーは発射直後に尾部の安定翼8枚を開いて、尾部の空気抵抗を減らす。その後、滑空用の安定翼4枚を開いて、弾道に沿って落下する場合よりも遠くへ滑空し、目標の上空で方向を真下に転換して落下する。
護衛艦の精密誘導砲弾で離島防衛を強化 – 第375号(2015年3月2日特別号)/小川和久の『NEWSを疑え!』 – ニコニコチャンネル.2015
驚愕の命中率!
M982エクスカリバー砲弾は最大射程57キロ、誤差2mの命中率だ。
ウクライナ戦争でアメリカが得る、”値千金の実戦データ”とは? 元アメリカ陸軍大尉が解説/週プレNEWS.2022
「この砲弾は今までの撃ちっ放しの砲弾と異なり、小型翼を複数装備して滑空し、GPS誘導で正確に着弾します。
ウクライナ戦争でアメリカが得る、”値千金の実戦データ”とは? 元アメリカ陸軍大尉が解説/週プレNEWS.2022
正直な話、155mm砲弾の着弾位置が目標の2m先だろうが10m先だろうが、狙われた敵兵は死んでしまいます。しかし、誤差2mという高い精度は、目標近くで近接航空支援を行う特殊部隊員にとっては、自分の安全が保障されて非常に有難いのものなのです」
ウクライナ戦争でアメリカが得る、”値千金の実戦データ”とは? 元アメリカ陸軍大尉が解説/週プレNEWS.2022
市街地でも民間人の巻き添えにする危険がなく使用可能
精密に誘導され、垂直に落下するエクスカリバー砲弾は、谷間の目標や、無誘導砲弾であれば民間人を巻き添えにする危険がある市街地の目標も砲撃することができる。米軍は味方から150メートルしか離れていない敵も、エクスカリバーで砲撃している。
護衛艦の精密誘導砲弾で離島防衛を強化 – 第375号(2015年3月2日特別号)/小川和久の『NEWSを疑え!』 – ニコニコチャンネル.2015
さらにM777以外でも使用可能
(前略)M777以外にもフランスが提供を明かしたカエサル、オランダが提供を準備しているPzH2000でも使用できるためウクライナ軍にとって強力な武器になるだろう。
カナダ、ウクライナに榴弾砲M777×4門とエクスカリバー砲弾を提供/航空万能論.2022
エクスカリバー弾については、他の155mm榴弾砲や自走砲でも使用可能なので、特段M777に限った特徴ではありませんが、既述のようにM777は空輸がしやすいうえ、自走砲よりも当然安く、コスパに優れた兵器と言えるでしょう。
M777榴弾砲,威力,精度,射程,価格,自衛隊,ウクライナ,米軍/海洋国防記.2022
一方で、訓練が不十分と見る軍事専門家も
だが、軍事専門家たちは現在の戦場でM777が100%威力を発揮するわけではないという分析だ。米国はウクライナにM777を90門を提供したが、戦場では12門ほどだけしか使用されていない。提供された榴弾砲をすべて使えるほどウクライナ軍の訓練が充分ではないためだ。
さらに遠く正確に…「米国M777榴弾砲」“輸血”されたウクライナ、戦況も変えるか/中央日報.2022
米国はウクライナ軍200人余り程度を訓練させたがこのうち半分ほどが戦線に配備され、残りは同僚兵士を訓練するために投入された。同紙はウクライナに提供されたすべての大砲が戦場で十分に効果を発揮するためには少なくとも2週間は追加で必要だと分析した。
さらに遠く正確に…「米国M777榴弾砲」“輸血”されたウクライナ、戦況も変えるか/中央日報.2022
“ドローン”で標的を特定、“M777”で遠距離から“エクスカリバー” でロックオンして攻撃
ウクライナはまた、ロシア軍の進軍を妨害するためのドローンも入手している。これらのドローンは偵察に用いられ、標的を特定後、大砲で攻撃する。
ウクライナ軍が使い始めた米M777榴弾砲の威力/Newsweek.2022
ロシア最大の祝日「対独戦勝記念日」に合わせる思惑か!?
さて、5月9日には、「対独戦勝記念日」がある。これは、ソ連がナチスドイツに勝利したことを祝う、ロシアで最大の祝日だ。
プーチンの「核使用の可能性」が、5月9日を前に高まっている理由/ダイヤモンド・オンライン.2022
ロシアでは、70年以上前の勝利を、あたかも「昨日戦争に勝利したかのように」祝う。ロシア国民は、戦死した自分の祖父母、父母の写真を掲げ、市街を大行進する。
プーチンの「核使用の可能性」が、5月9日を前に高まっている理由/ダイヤモンド・オンライン.2022
プーチンとしては、この日までに、大きな戦果を上げたいところだろう。
プーチンの「核使用の可能性」が、5月9日を前に高まっている理由/ダイヤモンド・オンライン.2022
実はプーチン大統領、こうした記念日を大事にしているんです。 例えば、2月23日は「祖国防衛の日」。翌日にウクライナ侵攻を開始しました。また3月18日の「クリミア併合を祝う記念日」でも、演説で軍事行動の正当性をアピールしました。そして5月9日の「戦勝記念日」に、勝利宣言を狙っていると言われています。
【解説】記念日を大切に?プーチン大統領の狙いは… ロシアの「戦勝記念日」5月9日にあわせて“勝利宣言”の可能性/日テレNEWS.2022
こうした中、4月18日にウクライナ東部ドンバスでの戦いが始まった。
プーチンの「核使用の可能性」が、5月9日を前に高まっている理由/ダイヤモンド・オンライン.2022
しかしウクライナは徹底抗戦です。戦闘は長期化するとの見方もあります。それでもプーチン大統領は「勝った」、あるいは「ここまで成果をあげた」とアピールする可能性があり、そんな思惑通りに進むのか世界が注目しています。
【解説】記念日を大切に?プーチン大統領の狙いは… ロシアの「戦勝記念日」5月9日にあわせて“勝利宣言”の可能性/日テレNEWS.2022
映画『ドンバス』が日本で緊急公開
4年前に日本で上映されなかった映画が、5月に緊急公開された。その後、上映が全国各地に広がる作品のタイトルは「ドンバス」。
特集ワイド:ウクライナ侵攻 映画「ドンバス」が映し出すもの ナショナリズムの暴力性 「世界市民」目線、貫く監督/毎日新聞.2022
2018年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部⾨で監督賞を受賞した同作品を世に問うたのは、1964年ベラルーシ生まれのセルゲイ・ロズニツァ監督だ。
ウクライナを描いた映画「ドンバス」 元日本人住民が語る8年前の真実/Forbes JAPAN.2022
もともとロシア系住民が多かったドンバスでは、2014年に親ロシア派勢力によって武装蜂起が起こり、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国を自称し、独立を宣言。インターネット上には、そのような中での人々の生活を伝える動画が公開されていました。それらを下敷きにした13のエピソードから、映画は構成されています
真実はどこに。正義はどこに。ウクライナ戦争につながる2014年からの紛争を描く映画『ドンバス』が突きつける、21世紀の戦争/greenz.jp.2022
「ハイブリッド戦争」
2014年のロシアによるクリミア侵攻時から、「ハイブリッド戦争」という言葉がメディアに登場し始めました。
ウクライナを描いた映画「ドンバス」 元日本人住民が語る8年前の真実/Forbes JAPAN.2022
これは、軍隊や兵器による従来型のハードな戦闘ではなく、サイバー攻撃や政治介入、情報操作、フェイクニュースの拡散などのソフトな手法によって、人心や社会の操作、市民の扇動などを引き起こし、より広範囲な戦果を得ることを目的としたものです。
ウクライナを描いた映画「ドンバス」 元日本人住民が語る8年前の真実/Forbes JAPAN.2022
この作品では、ハイブリッド戦争の強力な「武器」のひとつであるプロパガンダがどうつくられ、その背後で誰が暗躍し、人々はどのように洗脳されていくのか。フェイクニュースの発信や拡散、市民への影響とその浸透、定着に至るまでの過程で何が起こるのかが描かれています。
ウクライナを描いた映画「ドンバス」 元日本人住民が語る8年前の真実/Forbes JAPAN.2022
「フェイクニュース」「プロパガンダ」が蔓延する情報戦
現実の親ロシア派勢力とウクライナ軍の武力衝突では、フェイクニュースやプロパガンダを駆使して情報戦が繰り広げられた。戦時下で思想統制や世論誘導に翻弄(ほんろう)される人々や、抑圧や暴力が日常化した社会に憎しみや不信を募らせていく人々。スクリーンを通してその姿を見ていると、公開から4年後に起こるウクライナ侵攻を予見していたかのようである。
特集ワイド:ウクライナ侵攻 映画「ドンバス」が映し出すもの ナショナリズムの暴力性 「世界市民」目線、貫く監督/毎日新聞.2022