【ウクライナ危機(69)】「プーチンとも戦う」ベラルーシ反体制派ハッカー集団がウクライナ側で参戦!「サイバー・パルチザン」

前回記事を読む▼

【ウクライナ危機(68)】ロシア国民に真実を・・・あの国際ハッカー集団がプーチンに宣戦布告『アノニマス』
“https://diggity.info/society/ukraine-68/”
created by Rinker
アノニマスの活動により政府や企業にさまざまな被害が出たり、ウィキリークスによって各国の機密情報などが次々に暴露され、外交にも影響を及ぼしていることは知られている。これらの動きにはどのような潮流や歴史的背景があるのだろうか?気鋭の論者が「ハクティビズム」というキーワードを軸として、ネット社会を論じる。(「BOOK」データベースより)

【ウクライナ危機(69)】「プーチンとも戦う」ベラルーシ反体制派ハッカー集団がウクライナ側で参戦!「サイバー・パルチザン」

Cyber Partisans

ルカシェンコ独裁政権打倒!「サイバー・パルチザン」

Кибер-Партизаны/YouTube

強権的なベラルーシのルカシェンコ大統領に挑む反体制派ハッカー集団「サイバー・パルチザン」は、反ロシアを掲げて参戦した。

ウクライナ支援のハッカー集団を直撃「鉄道狙いロシア進軍を妨害」/日経ビジネス.2022
「ハクティビスト」

広報担当者のユリアナ・シェメトベッツさん(28)によると、サイバー・パルチザンは金銭目的でなく、政治的な思惑によってサイバー攻撃を実行する「ハクティビスト」。昨年末、ベラルーシの鉄道の情報システムに侵入し、侵攻前後の今年1月と2月に大規模なサイバー攻撃を仕掛けた。ロシア軍はベラルーシの鉄道をウクライナへの移動に利用したが、サイバー攻撃によって大幅な遅れが生じ、ウクライナ軍が防衛の準備をする時間を稼げたと主張した。

ウクライナ支援の攻撃準備 反ベラルーシのハッカー/産経ニュース.2022

聞けば、ベラルーシ生まれのその女性は、普段は米国で大学院生をしているという。昨年、知人の誘いで同集団に参加し、勉学の傍ら広報担当者としての業務を行っているらしい。「最初は怖くて断ったが、活動の意義を感じて参加を決めた」と笑顔を見せた。

【ロンドンの甃】露軍利用の鉄道狙うハッカー集団 〝戦闘状態〟女性の素顔/産経ニュース.2022
パルチザン=非正規武装勢力

 パルチザン Partisan とは正規の軍隊ではない武装勢力で、外国勢力の侵略に対する抵抗する戦いをいう。ナポレオン軍の侵入に対するスペイン民衆の抵抗がそのような形態の戦いの始まりとされ、スペイン語のゲリラが一般化した。

パルチザン/世界史の窓

ルカシェンコ独裁を打倒のため! 「サイバー・パルチザン」結成

Кибер-Партизаны/YouTube

ルカシェンコ独裁体制打倒のためにサイバー・パルチザンが結成されたのは、2020年9月に遡る。その1カ月前にルカシェンコ大統領が大統領選挙で6選を果たし、選挙不正を訴える反対派のデモを暴力的に鎮圧、数千人が逮捕された。

ベラルーシ反体制派ハッカー集団に狙われたロシア軍「鉄道輸送」/新潮社 Foresight.2022
政府系サイトを次々とハッキング

 結成直後の2020年9月には、ベラルーシ政府の複数のウェブサイトを改ざんし、体制を揶揄した画像やメッセージを投稿して注目を集めた。また2020年秋、2つの政府系メディアのウェブサイトをハッキングして、生放送中の番組を中断、その代わりに治安部隊がデモ参加者に暴力を振るっている様子が映っている動画を30分間放映している。

ベラルーシ反体制派ハッカー集団に狙われたロシア軍「鉄道輸送」/新潮社 Foresight.2022

 その後も度々サイバー攻撃を行なってきた。

ベラルーシ反体制派ハッカー集団に狙われたロシア軍「鉄道輸送」/新潮社 Foresight.2022

「ベラルーシ史上最大規模のサイバー攻撃」

Настоящее Время/YouTube

サイバーパルチザンは2021年7月26日、自身のTelegramチャンネルでベラルーシ国家保安委員会(KGB)のIvan Tertel会長、中央選挙委員会のLidiya Yermoshina委員長、上院議長のNatallya Kachanova氏、ベラルーシに亡命した元キルギス大統領のクルマンベク・バキエフ氏らのパスポート写真を公開しました。ベラルーシのパスポートは海外旅行の際だけでなく、国内では身分証明書としても使われています。

独裁国家ベラルーシの反体制派ハッカーが政権支持者を含む数百万人の個人情報を盗み出す、パスポートの写真や自宅住所まで/Gigazine.2022

パスポートのデータはベラルーシ内務省のデータベースに保存されており、サイバーパルチザンは「ベラルーシ史上最大規模のサイバー攻撃」を行って、政府高官や政権支持者を含む数百万人のパスポート写真や住所、所属する政府機関や軍の情報、家族の名前などのデータを盗み出したと述べています。今回の攻撃は、ベラルーシの一般市民に対して政権側が重大な権利侵害を行う一方、当局者が匿名性を維持することを防ぐことが目的だったとのこと。

独裁国家ベラルーシの反体制派ハッカーが政権支持者を含む数百万人の個人情報を盗み出す、パスポートの写真や自宅住所まで/Gigazine.2022

サイバーパルチザンの手元にはKGBのエージェントについてのデータもあるとして、ハッカーの1人は海外メディア・Current Timeの取材に対し、「多くのKGBエージェントは自分のデータが流出したと知ってもなお、海外で活動できるでしょうか?」とコメント。KGBエージェントの住所についても今回のハッキングで判明したため、エージェントは引っ越さなければならないだろうと主張しています。

独裁国家ベラルーシの反体制派ハッカーが政権支持者を含む数百万人の個人情報を盗み出す、パスポートの写真や自宅住所まで/Gigazine.2022

また、パスポートのデータとは別に、サイバーパルチザンはベラルーシの交通警察の記録にもアクセスし、KGBや警察が使用する車両に関するデータも取得したとしています。ハッカーはCurrent Timeに対し、「少なくとも彼ら全員が交通手段を変更する必要があります。しかし、もっと重要なのは、エージェントが今回のようなデータ流出が繰り返される可能性があると認識することです」と述べました。

独裁国家ベラルーシの反体制派ハッカーが政権支持者を含む数百万人の個人情報を盗み出す、パスポートの写真や自宅住所まで/Gigazine.2022

 さらに、ルカシェンコ大統領の最側近や情報機関幹部らの詳細な個人情報も流出。新型コロナウイルスによる国内死者数は政府が公式に認めているより数千人多いことを示唆する死亡率の統計があることも、ハッカーが入手した文書は示している。

ベラルーシ反体制派ハッカー集団、政府要人の個人情報など機密を暴露/Bloomberg.co.jp.2021

  ハッカーらはインタビューやソーシャルメディア上で、国内に設置された240余りの監視カメラを無力化したと説明。X-Appと名づけた悪意あるソフトウエアによって政府のコンピューターをダウンさせることも準備していると明らかにした。

ベラルーシ反体制派ハッカー集団、政府要人の個人情報など機密を暴露/Bloomberg.co.jp.2021

反ルカシェンコ政権「BYPOL」との連携

BYPOL – объединение силовиков Беларуси/YouTube

(前略)パルチザンは単独で活動しているわけではない。インタビューによると、ハッカー集団は、ベラルーシの司法当局者や諜報局員からなる主要グループが協力してくれたおかげで、広範囲にわたるアクセスが可能になったという。

「ほぼすべてに侵入」、独裁政権と戦うベラルーシのハッカー集団/MITテクノロジーレビュー.2021

現役の政権関係者とそのOBから構成されるBYPOLと呼ばれるグループが何カ月にもわたって綿密なアドバイスを提供している。このグループには、現在外国から支援の手を差しのべているメンバーもいる。

「ほぼすべてに侵入」、独裁政権と戦うベラルーシのハッカー集団/MITテクノロジーレビュー.2021

BYPOLは2020年10月、民主化闘争が沈静化したあとに発足。しばしば元警察官の団体とされていますが、正確には広く法執行機関の元職員と現職員数百名からなる組織で、BYPOLのサイトには法執行機関として警察、警察を管轄する内務省、国家保安委員会(日本の公安委員会みたいなものか)、軍隊、検察などを挙げています。

ベラルーシを通過するロシア軍を阻止するための鉄道戦争に、サイバー・パルチザンとBYPOLが関与—ベラルーシの民主化闘争は終わっていない-(松沢呉一)/『タグマ!』有料WEBマガジンプラットフォーム.2022

彼らは民主主義を掲げ、ベラルーシの法秩序を取り戻すことを目的とし、正当な選挙に選ばれていないルカシェンコを大統領と認めていません。

ベラルーシを通過するロシア軍を阻止するための鉄道戦争に、サイバー・パルチザンとBYPOLが関与—ベラルーシの民主化闘争は終わっていない-(松沢呉一)/『タグマ!』有料WEBマガジンプラットフォーム.2022

ウクライナ侵攻の数日前・・・ベラルーシ鉄道にサイバー攻撃

TogetherAgainstWar/YouTube

 ウクライナ情勢が緊迫化する中、ロシアとベラルーシは2月10~20日の合同軍事演習のため、ベラルーシの国有鉄道を使い、ロシア軍の装備品と部隊をウクライナ国境近くに輸送した。

ベラルーシ反体制派ハッカー集団に狙われたロシア軍/JBpress.2022

そんな中、ベラルーシ鉄道は1月24日に「技術的な理由により、ベラルーシ鉄道のオンライン発券サービスは一時的に利用できません。ご不便をおかけして申し訳ありません」と発表しました。伝えられるところによると、ベラルーシ鉄道では一般客向けのサービスだけでなく貨物列車の運行にも影響が出ているとのことです。

正義のハッカー集団が鉄道をハッキングしロシア軍撤兵を要求/Gigazine.2022

ベラルーシ鉄道は、チケットシステムの停止によって駅舎の発券場でしかチケット販売を行えない事態となった。

JCICコラム/日本サイバーセキュリティ・イノベーション委員会.2022

伝えられるところによると、ベラルーシ鉄道では一般客向けのサービスだけでなく貨物列車の運行にも影響が出ているとのことです。

正義のハッカー集団が鉄道をハッキングしロシア軍撤兵を要求/Gigazine.2022

ベラルーシ鉄道がシステムの不具合を発表したのと同日、ベラルーシのハッカー集団であるサイバーパルチザンは、ロシアで開発されたメッセージアプリのTelegramに「ベラルーシ鉄道はテロリストのルカシェンコの指揮の下、占領軍が私たちの土地に足を踏み入れるのを許している。そこで、我々は『Peklo(地獄)作戦』の一環として鉄道の運行を遅延および混乱させるため、ベラルーシ鉄道のサーバー・データベース・ワークステーションの大部分を暗号化した。バックアップも破壊した」と投稿しました。

正義のハッカー集団が鉄道をハッキングしロシア軍撤兵を要求/Gigazine.2022

Belarusian Cyber-Partisansは米Ars Technicaに対し、ベラルーシ鉄道のネットワークには多くのエントリーポイントがあり、アクセスは容易だったと語った。

ベラルーシのハクティビスト、ロシア軍阻止目的で国鉄にランサムウェア攻撃と声明/ITmedia NEWS.2022
要求は「政治犯の釈放とロシア軍のベラルーシ入りを阻止」

サイバーパルチザンはまた、Twitterにも同様の声明を投稿した上で、医療を必要とする政治犯50人の釈放とロシア軍のベラルーシ入りを阻止することを条件に、システムを復号すると宣言しています。

正義のハッカー集団が鉄道をハッキングしロシア軍撤兵を要求/Gigazine.2022

 サイバー・パルチザンの広報担当によると、ランサムウェア攻撃は、1月24日の午後11時から翌日の午前9時頃までの約10時間続いたという。ロシア軍の輸送に間接的に影響を与えるため、鉄道会社がダイヤや税関、駅の管理に使っているデータベースを暗号化または破壊した。ただし、乗客の安全のため、セキュリティ関連のシステムは攻撃しなかった、とツイッターでは主張している。

ベラルーシ反体制派ハッカー集団に狙われたロシア軍/JBpress.2022

ウクライナ侵攻が始まるとプーチンに宣戦宣言

2月24日、ベラルーシの反体制派ハッカー集団「サイバー・パルチザン」の広報担当者であるユリアナ・シェメトヴェッツは、「ロシアの独裁者がウクライナへの戦争を開始したため、『ベラルーシ戦術グループ』を作った」とツイッターで宣言した。

ウクライナ侵攻の裏で「サイバー攻撃」応酬の行方「多国籍ハッカー集団」が続々参戦している/東洋経済ONLINE.2022

「ウクライナ人とベラルーシ人の共通の敵は、プーチンとクレムリンと帝国主義的政権だ」と断じ、サイバー・パルチザンは、ウクライナ軍の支援をしているボランティアに協力すると表明した。(中略)、2月24日以降、ウクライナ国防省によって組織されているサイバー・レジスタンスたちを指している。ウクライナ政府の指示に基づき、ロシアからのサイバー攻撃の防御と、ウクライナ軍によるロシアへのサイバー攻撃の支援を行う。

ウクライナ侵攻の裏で「サイバー攻撃」応酬の行方「多国籍ハッカー集団」が続々参戦している/東洋経済ONLINE.2022

「IT軍」と連帯!

シェメトヴェッツ氏:結成したのは20年でメンバーは30~35人です。ルカシェンコ政権による不正行為を示す情報をハッキングし、暴露するなどして体制を揺さぶっています。サイバー攻撃を手掛ける者のほか、データ分析の担当者、通信傍受を回避するためのアプリの開発者などがおり、分業体制を敷いています。普段は別の仕事をしている者もいれば、サイバー・パルチザンの活動に専念しているメンバーもいます。

ウクライナ支援のハッカー集団を直撃「鉄道狙いロシア進軍を妨害」/日経ビジネス.2022

 ウクライナ侵攻以降、アジア、米国、西欧の多くの人々が私たちにコンタクトを取り、協力を申し出ています。ただロシアやベラルーシの情報機関員が味方のふりをして接近してくることも十分あり得ます。私たちは身元を調査するすべを持たず、言語の壁もあるので、協力を申し出てくれた人には我々ではなくウクライナ政府が立ち上げた「IT軍」に連絡するよう伝えています。

ウクライナ支援のハッカー集団を直撃「鉄道狙いロシア進軍を妨害」/日経ビジネス.2022

再び鉄道システムにサイバー攻撃!ロシア兵の輸送を妨害

Seytonic/YouTube

ウクライナのサイバー攻撃部隊は、ロシアによる侵攻の報復として、ロシア国内の鉄道システムや送電網など重要インフラにサイバー攻撃を仕掛ける計画だ。同部隊の取りまとめ役であるエゴール・アウシェ氏が明らかにした。

ウクライナのサイバー攻撃部隊、ロシアの鉄道・送電網妨害狙う/REUTERS.2022

「戦争を止めるためには何でもやる」と述べ、「兵器をウクライナに輸送できないようすることが狙いだ」とした。

ウクライナのサイバー攻撃部隊、ロシアの鉄道・送電網妨害狙う/REUTERS.2022

アウシェ氏率いるサイバー攻撃部隊のうわさが広がるなか、ベラルーシの反体制ハッカー集団「サイバー・パルチザン」はロシア軍兵士の輸送に使うとされるベラルーシの鉄道システムにサイバー攻撃を仕掛けることを買って出た。

ウクライナのサイバー攻撃部隊、ロシアの鉄道・送電網妨害狙う/REUTERS.2022

標的となった列車の交通は数日間「麻痺」し、キエフの北にある40マイルの車列を脆弱化させる一因となったと伝えられています。

ケネス・ギアス「ロシア・ウクライナ戦争におけるコンピュータ・ハック」を読む/IT Research Art.2022
「プーチンとも戦う」ウクライナを支援する意向

ベラルーシの反体制ハッカー集団「サイバー・パルチザン」の広報担当者、ユリアナ・シェメトヴェッツ氏(28)が産経新聞のオンライン取材に応じ、ウクライナ侵攻で、ロシア軍が部隊などの輸送に使っているとされるベラルーシの鉄道システムへのサイバー攻撃に成功したと明らかにした。「ベラルーシの独裁政権だけではなく、プーチン露大統領とも戦う」とし、ウクライナの露軍への抵抗を側面支援する意向を示した。

「プーチン氏とも戦う」 ベラルーシ・ハッカー集団 ウクライナを側面支援/産経ニュース.2022

同氏は攻撃について「『われわれはベラルーシ国内に露軍が入ることを受け入れていない』とのメッセージだ」と語った。

「プーチン氏とも戦う」 ベラルーシ・ハッカー集団 ウクライナを側面支援/産経ニュース.2022

ハッカーらは引き続き鉄道システムに侵入した状態にあり、再度の攻撃の可能性を指摘。「ロシアのインフラに直接攻撃することはない」とする一方、ウクライナ側にはロシアへのサイバー攻撃に有用な情報や知見を提供しているという。

「プーチン氏とも戦う」 ベラルーシ・ハッカー集団 ウクライナを側面支援/産経ニュース.2022
サイバー攻撃に合わせて「鉄道パルチザン」が破壊工作
ВОТ ТАК/YouTube

さらに、このサイバー攻撃と合わせて、パルチザンの関連組織が、信号や分電盤の破壊工作も展開。鉄道を確実に停止させようとしたという。

“見えない戦い”~現地取材で見えてきた「ハイブリッド戦」の実態~/NHK NEWS WEB.2022

ベラルーシでは最近、「鉄道パルチザン」と呼ばれる活動家グループがテロ容疑で逮捕された。

ベラルーシ大統領 死刑の適用範囲拡大 テロ未遂も死刑に/KWP News.2022

この団体はウクライナ国境付近のロシア軍に兵器を届けるベラルーシ鉄道の運行を妨害したと伝えられている。

ベラルーシ大統領 死刑の適用範囲拡大 テロ未遂も死刑に/KWP News.2022

ベラルーシ警察は破壊工作員 3 名の逮捕を発表し、国営テレビは、膝を撃たれてまだ出血している彼らの 「冷ややかな」映像を放送した。ウクライナ政府の存続に戦略的な役割を果たしたと思われます。

ケネス・ギアス「ロシア・ウクライナ戦争におけるコンピュータ・ハック」を読む/IT Research Art.2022
『首都攻防戦』でロシア軍撤退に追い込んだ要因の1つ

ロシア軍が最初にベラルーシ国境を越えてウクライナに流れ込んだとき、彼らは首都キーウ(キエフ)への電撃攻撃を想定して、この地域の広範な鉄道網に物資供給と増援を頼るつもりだった。

ロシア軍を撤退に追い込んだ、ベラルーシ鉄道の「秘密組織」とは?/クーリエ・ジャポン.2022

この攻撃はベラルーシの外ではほとんど注目されていない。というのも、ロシアのキーウ陥落を阻止したのは、ウクライナ軍の激しい抵抗と準備不足だったロシア軍の戦略ミスだと分析されているためだ。

ロシア軍を撤退に追い込んだ、ベラルーシ鉄道の「秘密組織」とは?/クーリエ・ジャポン.2022

しかしロシアを屈辱的な撤退に追い込んだ理由はそれだけではない。ベラルーシ鉄道の破壊工作員たちもロシア軍の補給線の混乱に拍車をかける役割を果たした。ロシア兵は侵攻からわずか数日で、食料や燃料、弾薬が底をついたまま前線に取り残されたのだ。

ロシア軍を撤退に追い込んだ、ベラルーシ鉄道の「秘密組織」とは?/クーリエ・ジャポン.2022

「IT軍」「アノニマス」とも連帯!ルカシェンコを脅かす

BBC News – Русская служба/YouTube

サイバー・パルチザンは、ウクライナIT軍ともアノニマスとも連帯しているため、これ以上、ベラルーシ政府がウクライナ戦争に踏み込むと、これらのハッカー集団を敵にすることになります。ロシアでも手こずっているのに、ベラルーシでは対処できなくなって、政府の内部資料もすべて公開され、鉄道戦争が激化しそうです。

ベラルーシを通過するロシア軍を阻止するための鉄道戦争に、サイバー・パルチザンとBYPOLが関与—ベラルーシの民主化闘争は終わっていない-(松沢呉一)/『タグマ!』有料WEBマガジンプラットフォーム.2022

この戦争の結果次第で「ルカシェンコ政権」も崩壊する可能性

今回、ロシアがウクライナに侵攻するための拠点を提供したことは、ベラルーシ国内で猛批判を巻き起こした。鉄道を破壊してロシア軍の移動を阻止する動きもあれば、サイバーパルチザンと名乗るハッカー集団によるルカシェンコ政権攻撃も激化している。また、義勇軍を組織して、ウクライナ防衛に加わるベラルーシ人もいる。

見えてきたウクライナの「勝利」…ロシア撤退で起きる「崩壊ドミノ」とは?/Newsweek.2022

ルカシェンコが、あくまでロシアのウラジーミル・プーチン大統領に同調する決断を下した以上、ロシアが敗北すれば、ルカシェンコが道連れになる可能性は十分ある。

見えてきたウクライナの「勝利」…ロシア撤退で起きる「崩壊ドミノ」とは?/Newsweek.2022
独断で戦争決定は無理?独裁者ルカシェンコを脅かす抵抗組織

独裁者でも、国民の支持の薄いルカシェンコは自分の判断だけで戦争をすることができない。それをやると国民は反発して、抵抗運動があちこちで生じます。対してプーチンは国民の支持があるため、ブーチンを信じたい国民に合わせた薄っぺらな嘘を提供しておけば、そのまま国民はついてきます。

ウクライナ・ブチャ市でのロシア軍による虐殺とプーチン甲状腺癌説-(松沢呉一)/タグマ!.2022

どちらがクーデターが起きやすいかと言えばベラルーシであることは明らかです。今現在でも、ルカシェンコに対してサイバー・パルチザン、鉄道パルチザン、BYPOLのような組織的抵抗運動が起きています。抵抗勢力は国家の中枢にまで及んでいて、ルカシェンコが国民の意思に反するようなことをやると、一層その勢力は力を得て、クーデターにまで及びかねない。

ウクライナ・ブチャ市でのロシア軍による虐殺とプーチン甲状腺癌説-(松沢呉一)/タグマ!.2022
全ては2020年の大統領選の不正と残酷な鎮圧行為から始まった
BBC News/YouTube

 2020年8月の大統領選挙でチハノフスカヤはほぼ確実に現職のルカシェンコに勝っていたが、ルカシェンコは選挙結果を捏造、自身が80%の票を得たとして居座り、その後、大きな抗議活動が起こった。ルカシェンコ政権は抗議デモにテロと大量逮捕で応え、治安特殊部隊の残酷な介入によってかろうじて政権を保った。

ウクライナ戦争で強まったベラルーシ民主化への動き/Wedge ONLINE.2022

20年以降、ベラルーシ社会は長期の抵抗のやり方を学び、海外に基盤を置く自由なメディアを作った。そして今、たぶん初めてベラルーシの抵抗勢力は武器を持ち、ウクライナで反プーチンの闘争に参加している。

ウクライナ戦争で強まったベラルーシ民主化への動き/Wedge ONLINE.2022
「チハノフスカヤ」を中心に抵抗組織が団結

抗議から2周年、すべての政治勢力はチハノフスカヤを首班とするベラルーシ亡命政府に合意し、それを作った。これはヴィルニュスの彼女の事務所、国家危機管理局、ワルシャワに基盤を置く元制服組の組織BYPOL、サイバー・パルチザンを含む抵抗組織、ウクライナで戦っているパホニア(注:ベラルーシの愛国歌)部隊を含んでいる。2年前の抗議の際に作られた調整理事会は議会の代わりになりつつある。

ウクライナ戦争で強まったベラルーシ民主化への動き/Wedge ONLINE.2022

 「ウクライナに自由や平和がなければ、ベラルーシの(反政権派の)人々が再び立ち上がることが困難になる」。チハノフスカヤ氏はインタビューでこう語った。両国は旧ソ連構成国で、ロシアの影響下に置かれているなど共通点が多い。チハノフスカヤ氏は「両国の運命は相互依存にある」と指摘。ウクライナが対ロシアで勝利すれば、ロシアの後ろ盾を失ったルカシェンコ大統領が「最も弱い立場に陥る」として、「その瞬間に反政権派が再び立ち上がり、政権を追い出さなければならない」と訴えた。

ベラルーシは「侵略の共犯者」…祖国がウクライナ攻撃の「発射台」にされた/読売新聞オンライン.2022
20万以上の武装部門が準備を完了・・・その時を待っている

 大きな変化は、亡命政府は既に武装部門(ベラルーシ人20万以上が登録済み)を持っており、機会があればルカシェンコに対し蜂起する準備ができていることである。最近まで、ベラルーシの兵士も政府の役人も代替策を持っていなかった。しかし今は、ミンスクの正統性のない政府か、20年の戦挙で過半数を得て選ばれたチハノフスカヤを首班とする正統性のある政府かの選択を持っている。ウクライナでのロシアの屈辱がクレムリンを混乱に落としいれるときに出てくる機会に、この選択は行われるだろう。

ウクライナ戦争で強まったベラルーシ民主化への動き/Wedge ONLINE.2022
created by Rinker
アノニマスの活動により政府や企業にさまざまな被害が出たり、ウィキリークスによって各国の機密情報などが次々に暴露され、外交にも影響を及ぼしていることは知られている。これらの動きにはどのような潮流や歴史的背景があるのだろうか?気鋭の論者が「ハクティビズム」というキーワードを軸として、ネット社会を論じる。(「BOOK」データベースより)

この記事の続きを読む▼

【ウクライナ危機(70)】ロシア政府を全面支持!?危険すぎるランサムウェア犯罪集団グループ『コンティ』
“https://diggity.info/society/ukraine-70/”
Previous post 【ウクライナ危機(68)】ロシア国民に真実を・・・あの国際ハッカー集団がプーチンに宣戦布告『アノニマス』
Next post 【ウクライナ危機(70)】ロシア政府を全面支持!?危険すぎるランサムウェア犯罪集団グループ『コンティ』

当サイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、GoogleやASP等のCookieが使用されています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについてはプライバシーポリシーをご覧ください

X