【ウクライナ危機(63)】将来的な脅威!?義勇兵の名の下に戦場に集まってくる危険な人々『テロのリスク』

【ウクライナ危機(63)】将来的な脅威!?義勇兵の名の下に戦場に集まってくる危険な人々『テロのリスク』

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【ウクライナ危機(62)】義勇兵?志願兵?それとも傭兵?ロシアのために中東の国々から1万6000人の戦闘員『シリア人傭兵』
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Terrorism Risk

義勇兵がいつかテロリストに!?欧米が懸念する「テロリスク」

Aryan Guard in Kensington 2

ロシア軍によるウクライナ侵攻が続く中、「外国人義勇兵」がウクライナ軍に続々と加わっている。ウクライナはロシア軍と戦う人材を歓迎する一方、一部の欧米諸国は義勇兵が捕虜となった場合、解決をめぐってロシアとの新たな火種が生じる事態を懸念。戦闘に参加した義勇兵が過激化し、テロのリスクにつながる恐れを指摘する声も出ている。

外国人義勇兵、ウクライナに集結 露との火種にも/産経ニュース.2022

過去に過激派は戦地で実践経験を積み テロを引き起こした

 過激思想に染まり、戦闘に参加する――。この図式は従来、イスラム過激派に感化された欧州の若者らが過激派組織「イスラム国」(IS)などに参加するため、シリアやイラクに渡るケースが知られてきた。

ウクライナが欧州極右過激派の「戦場の実験場」に 政府軍、親露派双方に「従軍」/毎日新聞.2020

かつてのシリア内戦に際し、多くの国からイスラム過激組織のメンバーが戦闘に加わった。そうして実戦経験を積み、銃火器の扱いや仕掛け爆弾の製造法などを習得して、各国に散っていったのである。

英米は「第二のシリア化」を憂えている 気になるプーチン政権の「余命」その4/Japan In-depth.2022

この戦いは2011年に始まって今も完全には収束していないわけだが、この間イスラム過激派によるテロが後を絶たないことは、広く知られる通りだ。

英米は「第二のシリア化」を憂えている 気になるプーチン政権の「余命」その4/Japan In-depth.2022

ウクライナで戦う白人至上主義者

つまり、今次のウクライナにおける戦いにおいて、白人至上主義の過激派が実戦経経験を積み、それを自国に持ち帰ってフィードバックして行くのではないか、と英米などは警戒しているわけだが、我々日本人にとっても、これはあまり気持ちのよい話ではない。

英米は「第二のシリア化」を憂えている 気になるプーチン政権の「余命」その4/Japan In-depth.2022

ドイツの日刊紙『ディー・ターゲスツァイトゥング』も、3月3日の記事でウクライナの戦争にドイツの極右が参加しているという問題を報じている。ドイツ政府はこうした戦争参加を認めていないが、力ずくで参加を食い止めることまではできない。左翼党の議員マルティナ・レンナーは、こうしたナオナチの活動家がウクライナで戦闘経験を積むことはドイツ政治に悪い影響を与えるのではないか、と述べている。

世界中の極右を引き寄せるウクライナ義勇軍は新たなファシズムの温床か/Newsweek.2022

すでに欧米では過激派によるテロ事件が多発中

Radio Free Europe/Radio Liberty/YouTube

 欧米ではすでにイスラーム過激派によるものより、白人極右によるテロ事件の方が多くなっている。コロナ対策が厳しすぎると不満を募らせ、2020年にミシガン州知事の誘拐を試みたプラウド・ボーイズや、2021年に連邦議会議事堂を占拠したQ-Aにon支持者をはじめ、現在の体制をひっくり返す「内戦」を主張する勢力も珍しくない。

ウクライナ「義勇兵」を各国がスルーする理由――「自国民の安全」だけか?/Yahoo!ニュース.2022

そのため、ロシアによる侵攻の前から、欧米各国の政府はウクライナの外国人戦闘員に神経を尖らせてきた。今回の当事者の一角を占めるNATOも2017年の時点で、シリアとウクライナに共通する現象として外国人戦闘員を取り上げ、その安全保障上のリスクに関する調査・研究を行なってきた。

ウクライナ「義勇兵」を各国がスルーする理由――「自国民の安全」だけか?/Yahoo!ニュース.2022

侵攻前からすでにウクライナには危険な人たちが続々と集結!?

 なぜウクライナ「義勇兵」が欧米の過激派の育成になるのか。端的にいえば、これまでに「自由と民主主義のため」というより「白人世界を陰謀から守るため」ウクライナに集まる者が数多くいたからだ。

ウクライナ「義勇兵」を各国がスルーする理由――「自国民の安全」だけか?/Yahoo!ニュース.2022

安全保障問題研究で知られる米シンクタンク「ソウファン・グループ」は2019年9月に出した報告書で、ウクライナ紛争が始まった14年から19年6月までに最大1万7000人以上の外国人戦闘員がウクライナ政府軍と親露派の双方に参加したと推計した。ロシア人が約1万5000人と大半を占めるが、残りの約2000人のうち、旧ソ連・東欧を除く西欧出身者は最大約480人。内訳は最大でドイツ165人▽フランス65人▽イタリア55人▽オーストリア50人――など。北米や南米などからの参加者も一定数いる模様だ。

ウクライナが欧州極右過激派の「戦場の実験場」に 政府軍、親露派双方に「従軍」/毎日新聞.2020

ロシア側の極右集団「ロシア帝国運動」

AP Archive/YouTube

彼らは立場上「民間人」だが、実質的には外国人戦闘員だ。とりわけ多いのがロシアから流入した白人右翼で、その影にいるのが「ロシア帝国運動」である。

ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い/Newsweek.2022

ロシア帝国運動は2002年に発足した白人右翼団体で、LGBTやムスリムにしばしば暴行を加えたりするだけでなく、プーチン政権に批判的な民主派の襲撃も行なってきた。

ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い/Yahoo!ニュース.2022
サンクトペテルブルグで軍人訓練

 国務省によると、RIMはロシア・サンクトペテルブルクにある2カ所の訓練施設で、ネオナチや白人至上主義者向けの民兵訓練を提供。

米、ロシア国家主義団体をテロ犯指定 白人至上主義に初適用/産経ニュース.2020
訓練後にウクライナでの紛争に参加

訓練を修了した者の中には,ウクライナ紛争に参加した者もいるとされる。

極右過激主義者の脅威の高まりと国際的なつながり/公安調査庁

3月に発表されたCEPの報告書によると、ウクライナ紛争での戦闘を目的に14年ごろウクライナに渡った「極右や国家主義的信条を持つ」欧米人数百人のうち、大半の過激派義勇兵は親ロ派分離主義者の側で戦ったとされる。

極右「アゾフ大隊」、ウクライナの抵抗で存在感 ネオナチの過去がロシアの攻撃材料に/CNN.co.jp.2022
訓練後には爆弾テロの実行犯に

2016年と17年には訓練を受けたスウェーデン人の男2人が帰国後に爆弾テロを実行したという。

米、ロシア国家主義団体をテロ犯指定 白人至上主義に初適用/産経ニュース.2020
プーチンの下部組織?様々な国でテロ組織に認定

 ロシアの極右団体、ロシア帝国運動はプーチン政権の事実上の下部組織ともみなされているが、SNSなどでヘイトメッセージやフェイクニュースを発信し続け、多くの国で「テロ組織」に指定されている。

プーチンとの蜜月を否定する欧米の「友人」たち――フランス大統領選への余波/Yahoo!ニュース.2022
メンバーは中には「民間軍事企業ワーグナー・グループ(ワグネル)の傭兵としても活動している人も!

ロシア帝国運動のメンバーは民間軍事企業(言い換えると傭兵軍団)「ワーグナー・グループ」の「社員」として、シリア、リビア、中央アフリカなどの戦場で活動しているが、ウクライナ東部もその一部である。

ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い/Newsweek.20
アメリカが特別指定国際テロリストに指定
Fox News/YouTube

2020年4月6日(アメリカ時間)アメリカ国務省はロシア、サンクトペテルブルクを拠点に活動を行う白人至上主義者グループをテロ組織として指定しました。今回テロ組織として指定されたのはRussian Imperial Movement (RIM)と呼ばれるグループと同組織の指導者ら3人です。

ロシア白人至上主義グループのテロ組織指定

 国務省対テロ部門のネイサン・セールス(Nathan Sales)調整官は「米国が白人至上主義団体をテロ組織に指定するのは初めてで、同団体の脅威がどれほど深刻かを示している」と述べた。

米、ロシア極右団体を国際テロ組織指定 白人至上主義に初適用/AFPBB News.2020

記者団とのテレビ会見で、「RIMは依然、欧州全域で同じ思想を持つネオナチや白人至上主義者に対して活発に訓練を行なっている。他の欧州諸国から人材を発掘してきており、現在も継続していることをわれわれは認識している」と述べた。

米が露国家主義団体をテロ組織に指定、白人至上主義系で初/Newsweek.2020

 セールス氏によると、テキサス州エルパソ(El Paso)でのヒスパニック系住民に対する襲撃や、ニュージーランド・クライストチャーチ(Christchurch)でのイスラム教徒に対する襲撃などを受け、国務省は世界で台頭する白人至上主義団体による暴力に強く警戒しているという。

米、ロシア極右団体を国際テロ組織指定 白人至上主義に初適用/AFPBB News.2020

ロシア帝国運動の軍事訓練で生み出された凶悪組織「ルシッチ」

Tribunnews/YouTube

Rusichはロシア軍のエリート部隊とされる空挺部隊で訓練を受けた30歳のAleksei Milchakovと33歳のYan Petrovskyがロシア帝国運動の戦闘部門であるロシア帝国軍団が運営する準軍事訓練プログラムを卒業した後、2014年にサンクトペテルブルクで設立した組織です。

ロシア傭兵部隊ワグネルのネオナチ部隊Rusich/ミリレポ.2022

ルシッチの創設者ミルチャコフは冷酷であることが知られていた。タイムズ紙の報道によると、彼は殺された敵兵の耳を切り落とす恐ろしい写真を頻繁にアップロードした。

残酷なロシアのネオナチ兵士がトロフィーのために敵の耳を切り落とし、家に持ち帰り、今プーチンがウクライナと戦うのを助ける/VOI.2022

ワグネル内での役割は「破壊工作と攻撃偵察グループ」とされ、2014年から始まったウクライナ東部紛争ではルガンスクとドネツクの人民共和国の分離主義組織に加わりウクライナ軍と戦います。そこでの功績で名声を得ますが、合わせて行われた残虐な行為で世界で悪評を得ます。彼らは殺害したウクライナ兵の遺体から耳を切り落とし、遺体に火をつける様子を自撮りし、SNSに投稿しました。その他、捕虜の拷問を行っていたとウクライナの人権団体は訴えています。

ロシア傭兵部隊ワグネルのネオナチ部隊Rusich/ミリレポ.2022

ウクライナ側の元極右組織「アゾフ連隊」

TIME/YouTube

民間人の立場を隠れ蓑に軍事活動を活発化させるロシア帝国運動は、ウクライナでエスカレートする緊張と対立の、いわば影の主役とさえいえる。

ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い/Newsweek.2022

 ただし、影の主役はウクライナ側にもいる。ウクライナの右翼団体アゾフ連隊だ。

ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い/Yahoo!ニュース.2022
極右団体の頃のアゾフが世界から集まった白人右翼に軍事訓練

(前略)2014年のクリミア危機以降、ウクライナには「アゾフ大隊(Azov Battalion)」と呼ばれる極右組織が勢力を拡大し、同組織の軍事訓練に参加するため、米国や英国、イタリアやドイツ、スウェーデンやノルウェー、ブラジルなどから支持者たちが集結した(後略)

「ウクライナの外国人義勇兵」増加で高まる、世界的なテロリスク/ダイヤモンド・オンライン.2022

 近年、国境を越えた極右勢力の動向においては、ウクライナのアゾフ大隊をはじめ、米国のアトムワッフェン・ディビジョン(Atomwaffen Division)、ライズ・アバブ・ムーブメント(Rise Above Movement)、ザ・ベース(The Base)、英国のナショナル・アクション(National Action)、ロシアのロシアン・インペリアル・ムーブメント(Russian Imperial Movement)、北欧のノルディック・レジスタンス・ムーブメント(Nordic Resistance Movement)などが代表的な白人至上主義的な極右勢力に挙げられる。

「ウクライナの外国人義勇兵」増加で高まる、世界的なテロリスク/ダイヤモンド・オンライン.2022
帰国後に実際にテロを引き起こしたケースも

 また、アゾフ大隊がアトムワッフェン・ディビジョンやライズ・アバブ・ムーブメントのメンバーを軍事訓練のために受け入れたり、ロシアン・インペリアル・ムーブメントが開催する軍事訓練に参加したノルディック・レジスタンス・ムーブメントのメンバーがスウェーデン国内で移民・難民施設を襲撃したテロも報告されるなど、こういった極右組織は相互の交流を深め、緩やかなネットワークを形成している。

「ウクライナの外国人義勇兵」増加で高まる、世界的なテロリスク/ダイヤモンド・オンライン.2022
今のアゾフは正規軍!白人極右と関係をもっている可能性は低い

アゾフ大隊は既にウクライナ国家親衛隊に統合されており、過去のように白人極右過激派の受け皿になる可能性は低いと思われる。

ウクライナ「外国人義勇兵、武器供与、実戦機会」で高まる世界のテロリスク/幻冬舎ゴールドオンライン

しかし、ウクライナで国際的なネットワークを構築した彼らが、ジハード主義者のように帰国後に自国内で活動をエスカレートさせるリスク(イスラム国の時ほどにはならないだろうが)は排除できないとみる研究者も少なくない。

ウクライナ「外国人義勇兵、武器供与、実戦機会」で高まる世界のテロリスク/幻冬舎ゴールドオンライン

「世界は裏から支配されている」外国人戦闘員の陰謀論者たち

 ウクライナには東部ドンバス地方の分離を目指す勢力と、これを阻止してウクライナの統一を維持しようとする勢力がある。このうち東部の分離派はロシアの支援を、統一派は欧米の支援をそれぞれ受けて戦闘を繰り広げてきたが、そのどちらにも白人過激派が外国人戦闘員として加わっているのだ。

「ロシアの侵攻がなければOK」か――ウクライナがテロ輸出国になる脅威/Yahoo!ニュース.2022

 しかし、立場は違っていても、外国人戦闘員の多くは「CIA、メディア、ユダヤ人などを中心とする一部エリートが真実から市民の目をあざむき、世界を支配している」というQ-Anon的な陰謀論に感化されている点で共通する。

「ロシアの侵攻がなければOK」か――ウクライナがテロ輸出国になる脅威/Yahoo!ニュース.2022

 例えば、分離派の取材をした英ガーディアンのインタビューに、テキサス出身の元アメリカ軍人で、麻薬密輸で投獄された経験もある外国人戦闘員は、そもそもクリミア危機がCIAやユダヤ人の陰謀だと断定している。

「ロシアの侵攻がなければOK」か――ウクライナがテロ輸出国になる脅威/Yahoo!ニュース.2022
陰謀論者が引き起こす過激な行動・暴力行為やテロ

 陰謀論が、しばしば過激な行動、暴力、テロに関連することは多くの研究が示している。なぜなら、彼らは往々にして「反対意見を表明するためには暴力が許容されることもある」という反社会的な信念を抱いているからだ。そのため、犯罪行動への抵抗感が薄れると言われている。特に、自分たちが「正義」であると信じている場合に、それは激化しやすい。

過激化する反ワクチン集団「神真都Q」を放置してはいけない理由/Yahoo!ニュース.2022
日本でも広がった陰謀論

 ウクライナ戦争などにより世界の激震が続くにつれ、日本国内の一部ではこの戦争や国際情勢全般にからんで陰謀説が広がり始めた。その多くがアメリカ側の動きに関してである。たとえば「ウクライナ戦争を仕掛けたのはアメリカのネオコンやディープステートだ」という説である。ロシア軍のウクライナ侵略の真の張本人はロシアではなく、アメリカ側の秘密勢力だという主張なのだ。

陰謀説の危険 その1 被害妄想の構図/Japan In-depth.2022

この種の主張は普通にみても根拠はない。その主唱者たちも具体的な証拠は示さない。ワシントンに長年、駐在してアメリカの国政を考察してきた私からみても、いまのアメリカでバイデン政権やロシアのプーチン大統領を動かす「ネオコン」とか「ディープステート」という秘密勢力が実在し、アメリカ、ロシアの両国の現政府に特定な行動をとらせる、などという気配はツユほどもない。

陰謀説の危険 その1 被害妄想の構図/Japan In-depth.2022
やば・・・。軍事経験の必要性を考えてウクライナにやってきた陰謀論者

陰謀論を信じやすい人には、特定の特徴やマインドセットがあることが明らかになっている。実際、ある1つの陰謀論を信じやすい人は、他の陰謀論も信じやすいというエビデンスはたくさんある。

過激化する反ワクチン集団「神真都Q」を放置してはいけない理由/Yahoo!ニュース.2022

 一方、同じく陰謀論に感化されていても、やや異なる経路で外国人戦闘員になる者もある。自分の出身国での軍事活動を見すえて、実戦経験を積むためにウクライナにやってくる者たちだ。

「ロシアの侵攻がなければOK」か――ウクライナがテロ輸出国になる脅威/Yahoo!ニュース.2022

 2019年にドンバスに入り、統一派の外国人戦闘員になったバージニア出身の20歳の若者は、米ヴァイスの取材に「ザ・ベース(The Base)の一員としてここにきた」と認めている。

「ロシアの侵攻がなければOK」か――ウクライナがテロ輸出国になる脅威/Yahoo!ニュース.2022

 ザ・ベースはアメリカの極右団体だが、黒人などを排除し、「CIAやユダヤ人に握られる現体制」を打倒するための軍事訓練を呼びかけている点に特徴があり、ワシントン州などに広大な射撃訓練場を保有している。

「ロシアの侵攻がなければOK」か――ウクライナがテロ輸出国になる脅威/Yahoo!ニュース.2022

アルカイダ系組織がウクライナ入り

newsreader24/YouTube

2011年に「アラブの春」が波及して以降、「今世紀最悪の人道危機」と呼ばれて久しいシリア内戦において、シリア政府、そしてそれを全面支援してきたロシアへのルサンチマンに苛まれたシリアの市民(を自称する活動家)のなかにも、暴力の応酬に身を投じようとする者が残念ながら現れ始めている。

シリアの反体制派戦闘員がウクライナでロシアと戦う意思を表明、ウクライナ国籍のシリア人も民兵を結成/Yahoo!ニュース.2022
シャーム解放機構 a.k.a 旧ヌスラ戦線

最初の声が上がったのは、アル=カーイダ系組織のシャーム解放機構(旧シャームの民のヌスラ戦線)が軍事・治安権限を握り、自由と尊厳の実現をめざす「シリア革命」の最後の牙城と目されるイドリブ県だ。

シリアの反体制派戦闘員がウクライナでロシアと戦う意思を表明、ウクライナ国籍のシリア人も民兵を結成/Yahoo!ニュース.2022
ロシア軍による空爆が繰り返されている

(前略)反体制派が実効支配するイドリブ(Idlib)県アリハ(Ariha)では、今でもロシア軍による空爆が繰り返されている。

シリアの救助ボランティア団体、ウクライナ向け動画製作/AFPBB News.2022
国連が記載する国際組織「テロ組織」

だが、同地の軍事・治安権限を握っているシャーム解放機構は、日本の公安調査庁がウクライナのアゾフ大隊を「国際テロリズム要覧2021」から削除したのとは異なり、国連安保理決議第1267号(1999年10月15日採択)委員会(通称アル=カーイダ制裁委員会)によって国際テロ組織に今も記載されており、米国もFTO(外国テロ組織)に指定している。

ロシアが武力攻撃を行っているのはウクライナだけではない:シリアで続く諸外国の小競り合い/Yahoo!.2022
ロシアとの戦いは「ジハード」

イドリブ県はアサド政権打倒を目指すイスラム過激派の拠点で、アサド政権を支えるロシアに対する敵意は強い。複数の過激派組織は、ロシアへの「ジハード」(聖戦)と位置づけ、ウクライナ政府への支援を宣言している。

ロシアがシリアで戦闘員募集か…報酬200~300ドルでウクライナへ派遣計画/読売新聞オンライン.2022

シリア政府に反対の立場をとるレバノンのニュース・サイトのムドンが2月28日にアレッポ県の反体制派軍事筋の話として伝えたところによると、「解放区」の住民は、ウクライナの戦況に並々ならぬ関心を示し、あたかもそれが自分たちの戦いであるかのように感じているという。住民らは、ロシア軍が敗北し、ウクライナ上空でシリア軍戦闘機が撃墜され、戦車や兵員輸送車が街道や市内で焼かれるさまを目にすることを心待ちにしているのだという。

ウクライナでのロシアに対する「名誉ある戦い」を「ジハード」にしようとするシリアのイスラーム過激派/Yahoo!ニュース.2022

同筋によると、「解放区」を拠点とする反体制派の多くは、リビアやアゼルバイジャン・アルメニアをめぐってロシアとトルコが対立した際に、トルコによってシリア国民軍(Turkish-backed Free Syrian Army)の戦闘員が傭兵として国外に派遣されたことを嫌ってきた。だが、ロシア軍が2月24日にウクライナで特殊軍事作戦を行うとして侵攻したことで、多くの住民が、ウクライナ側に立って戦闘に参加することを「名誉ある戦い」と捉え、シリア政府の転覆と自由、尊厳の実現をめざす「シリア革命」を利すると考えるようになっている。

ウクライナでのロシアに対する「名誉ある戦い」を「ジハード」にしようとするシリアのイスラーム過激派/Yahoo!ニュース.2022

シブル特別顧問の発言は、ロシアを支持するシリア政府のプロパガンダかもしれない。だが、「解放区」で広まるウクライナでの戦闘参加を是認する機運がかたちを得て、「独裁者プーチン」に対するウクライナの「正義の戦い」であったはずの反抗に、アル=カーイダを含む過激派が加わるような事態が発生すれば、「民主化」と称されていた抗議運動がアル=カーイダによってハイジャックされ、「今世紀最悪の人道危機」と称された混乱に至ったシリア内戦の二の舞になりかねない。

ウクライナでのロシアに対する「名誉ある戦い」を「ジハード」にしようとするシリアのイスラーム過激派/Yahoo!ニュース.2022
ロシアがウクライナを掌握でも過激派がゲリラ化する恐れ

シリア内戦は、多国籍の戦闘員やイスラム過激派が泥沼化を招いてきた。ロシアがウクライナを掌握すれば、過激派がゲリラ化する恐れがある。停戦が実現しても過激派が現地で影響力を広げる可能性がある。

ロシアがシリアで戦闘員募集か…報酬200~300ドルでウクライナへ派遣計画/読売新聞オンライン.2022

【問題】この戦争が終わった後、支援された大量の武器はいったいどこへ・・・?

また、大量の武器が諸外国からウクライナに投入されているが、それが十分に管理されているのかも心配だ。以前、欧州ではユーゴ紛争で行方が不明となった武器がその後、欧州で発生したテロ事件で使用されたことがあるが、高性能の武器が闇市で取引され、一部の白人極右過激派などに渡る恐れもある。

ウクライナ「外国人義勇兵、武器供与、実戦機会」で高まる世界のテロリスク/幻冬舎ゴールドオンライン
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ヨーロッパやアメリカからIS などの武装勢力に参入した若者たち、その親、送還・逮捕された若者たちの更生に関わる人々に取材。なぜ宗教に関係のない若者たちがテロ組織に加わったのか。ピュリツァー賞、ナショナル・ブック・アワードのファイナリストによる注目作。(「Books」出版書誌データベースより)

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【ウクライナ危機(64)】チェチェンの凶悪部隊カディロフツィがロシア側で参戦・・・。率いるのはプーチンの忠犬『ラムザン・カディロフ』
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