【ウクライナ危機(49)】「戦争」「侵攻」はNGワード!?プーチン政権に逆らえば罰金に懲役まで……。ロシアの情報統制は言論弾圧にまで発展していった『ディストピア』

【ウクライナ危機(49)】「戦争」「侵攻」はNGワード!?プーチン政権に逆らえば罰金に懲役まで……。ロシアの情報統制は言論弾圧にまで発展していった『ディストピア』

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【ウクライナ危機(48)】「STOP PUTIN」声を上げたロシア国民を次々と拘束……その中には老人や子供までも『ロシアで広がった反戦デモ』
“https://diggity.info/society/ukraine-48/”

Russia’s Now Totally in Putin’s Hands

情報統制の中でプーチンのロシア

Reuters/YouTube

ロシアでは2月24日にウクライナへの軍事侵攻を開始して以降、情報統制が一段と厳しくなった。

ロシア、軍事の虚偽情報に最大15年の刑 議会が法案採択/日本経済新聞.2022

ロシアのテレビ局は連邦政府の監督機関「通信・IT・マスメディア監督サービス」から、政府の公式見解に沿った報道をするよう、義務付けられている。

ロシア、軍の「偽情報」報道に刑罰 BBCなど西側主要メディアはロシアでの活動を中止/BBCニュース.2022

現在ロシア政府が国内で放送を許可するのは、政府側の発表をそのまま報じる国営放送局のみ。

ロシアでフェイクニュース法 各国メディアが報道・取材活動中止/民放online.2022

ロシアの国営テレビは、ウクライナの状況を「戦争」とは呼ばない。その代わり、ロシア軍による攻撃は軍事インフラを標的とした非軍事化作戦、あるいは「両人民共和国を防衛するための特別(軍事)作戦」と表現される。

ロシア、軍の「偽情報」報道に刑罰 BBCなど西側主要メディアはロシアでの活動を中止/BBCニュース.2

 「この国に残るということは、人質になるようなもの」――。ウクライナ侵攻を続けるロシアでは、言論への弾圧が激しさを増している。反戦デモに参加すれば、次々と警察に拘束される。ウクライナでのロシアの軍事行動を「戦争」と呼ぶことすら法改正で禁じられた。

ロシアに住むこと 「国家の人質のようなもの」 ある女性の告白/毎日新聞.2022

また、抑圧は当局によって行われるだけとは限らず、「裏切り者」と認識された人々に対する嫌がらせや脅迫の例も報告されている(Спектр 2022)。戦争に反対する声を上げることへのハードルはきわめて高くなっているのである。

(混沌のウクライナと世界2022)第2回 ウクライナ侵攻とロシア国内の反戦デモ(油本 真理)/アジア経済研究所.2022

「ウクライナ関連報道は国の公式発表のみ情報源にせよ」ウクライナ侵攻と同時に情報統制が開始

2月24日、ロシアの連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁は全メディアに対し、ウクライナ侵攻の報道では、国の公式発表のみを情報源とするよう命じた。違反したメディアには、ウェブサイトの閉鎖と6万2600ドル(約720万円)以下の罰金が課される。

ロシア連邦:ウクライナ侵攻に反対するメディアの検閲と市民の弾圧/AMNESTY.2022

早々に妨害を受けたのは、Ekho MoskvyやTV Rainなどロシア国内に残る数少ない独立系放送局。

ロシアでフェイクニュース法 各国メディアが報道・取材活動中止/民放online.2022
ロシア国内の独立系メディアは次々と閉鎖……国営のメディアに置き換わっていった

国内最後の独立系ラジオ局、エコ・モスクビーは、連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁(ロスコムナゾール)から「過激派」、「偽情報を流していると」と告発され、3月3日に閉鎖されました。当局はエコ・モスクビーのウェブサイトへのアクセスを遮断、ラジオ放送も中止し、代わりに国営のラジオ・スプートニクと置き換えました。

メディア統制でウクライナの戦争を隠すロシア/アメリカン・ビュー.2022

2021年にムラトフ編集長がノーベル平和賞を受賞した独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」にも圧力がかかっている。国防省は2月26日、「欧米の情報圧力」でロシア軍に不利な報道をしないよう同紙に求めた。

ロシア、軍事の虚偽情報に最大15年の刑 議会が法案採択/日本経済新聞.2022

2月28日、チェコのプラハに拠点を置くロシア語の報道番組Current Time TVが、今回の紛争について「公的に重要な情報を不確かに」報道したとして、監督庁は同社のウェブサイトを遮断した。

ロシア連邦:ウクライナ侵攻に反対するメディアの検閲と市民の弾圧/AMNESTY.2022

アメリカの主要SNSをシャットダウン

WION/YouTube

ロシアは2月24日以降、「ツイッター(Twitter)」へのアクセスを制限したり、米メタの「フェイスブック(Facebook)」と「インスタグラム(Instagram)」を遮断したりするなどして情報統制を強めた。

ロシア、YouTube遮断やネット断絶計画せず 「我が国はグローバルインターネットの一部」/Yahoo!ニュース.2022

ウクライナ侵攻について「戦争」「侵攻」と報じたメディアの記事に削除命令

 ロシア通信監督局は2月26日、ウクライナでのロシアの軍事作戦を「戦争」や「侵攻」などと報じたとして、独立系の新聞やラジオ、インターネットテレビ合わせて10社に記事の削除を命じた。昨年のノーベル平和賞受賞者ドミトリー・ムラトフ氏が編集長を務める「ノーバヤ・ガゼータ」も含まれる。

メディア統制強めるロシア、「戦争」「侵攻」削除命令…閲覧できないサイトも/読売新聞オンライン.2022

 同局は「砲撃や民間人の犠牲に関し、事実と一致しない情報を信頼できる情報として伝えた」と理由を説明した。そして記事を削除しなければ、ウェブサイトの閲覧を制限し、最高500万ルーブル(約520万円)の罰金を科すと警告した。

メディア統制強めるロシア、「戦争」「侵攻」削除命令…閲覧できないサイトも/読売新聞オンライン.2022

 外国メディアの記事をロシア語に翻訳して引用する際も、原文にある「戦争」や「侵攻」などを使ってはならないもよう。当局は声明で「メディアは信頼できる、現実に即した情報を流布するように」と翼賛報道を求めた。大規模戦闘の実態や、プーチン氏の覇権拡大の意図を隠す狙いとみられる。

「戦争」「侵攻」表現に罰金 ロシア、メディア統制/中日新聞.2022

 外国人も対象で、メディアが侵攻や戦争といった言葉を使うことを事実上禁じている。

ロシア情報統制 反戦世論の圧殺許されぬ/新潟日報.2022

「ロシアの安全を脅かす活動へのいかなる支援も国家反逆罪」ロシアの検察庁が声明を発表

2月27日、検察庁が、「外国政府、国際団体、外国の団体、あるいはその代表者による、ロシア連邦の安全を脅かす活動へのいかなる支援も国家反逆罪に問う」という脅迫まがいの声明を出した。

ロシア連邦:ウクライナ侵攻に反対するメディアの検閲と市民の弾圧/AMNESTY.2022

侵攻開始から4日間、ロシア警察は全土に拡大する反戦デモに武力で応じ、ロシアの人権団体OVDインフォによると、少なくとも67の市や町で5,900人以上が拘束された。

ロシア連邦:ウクライナ侵攻に反対するメディアの検閲と市民の弾圧/AMNESTY.2022

2月24日には、政治哲学者グリゴリ・ユディンさんが警察に殴打されて意識を失い、一時入院した。

ロシア連邦:ウクライナ侵攻に反対するメディアの検閲と市民の弾圧/AMNESTY.2022

欧米の国営ニュースサイトをアクセスを遮断

ロシア通信規制当局「ロスコムナゾル」は3月4日、欧米の国営ニュースサイトへのアクセスを遮断した。これによりロシア国内からは、英BBC、米ボイス・オブ・アメリカ、独ドイチェ・ヴェレなどが閲覧不可となった。

ロシア情報統制、闇ネット「ダークウェブ」が公平な情報を届ける光に/Newsweek.2022

真実ですらフェイクニュースとして逮捕される可能性がある法案が成立

WION/YouTube

3月4日、プーチンはロシア軍について虚偽の情報を流したものに最長15年の懲役を科す厳しい法律に署名しました。

メディア統制でウクライナの戦争を隠すロシア/アメリカン・ビュー.2022

法案は政権与党の議員らが2日に提案したばかりで、異例のスピード成立だ。

ロシアで新法成立、「戦争」「侵攻」と表現した報道に厳罰…外国メディアのサイト遮断/読売新聞オンライン.2022

たとえ真実であっても、為政者にとって不都合な報道はすべてフェイクニュースと断定されるおそれがある。

『赤い闇』と『一九八四年』、プーチン大統領の言論弾圧で「ディストピア」の悪夢/nippon.com.2022
ウクライナ侵攻を「戦争」「侵攻」と表現したら罪

 プーチン政権は今回の侵攻を、ウクライナ東部の虐げられた住民を救う「特殊軍事作戦」とうたっている。露当局は、政権の意向に沿わず、「戦争」「侵攻」といった表現を使った報道を「虚偽」とみなす。

ロシアで新法成立、「戦争」「侵攻」と表現した報道に厳罰…外国メディアのサイト遮断/読売新聞オンライン.2022

 当局はすでに国内の独立系メディアに対し、記事の削除を求めたり、ウェブサイトを遮断したりして排除してきた。新法は露国内の外国人も対象としており、外国メディアも処罰される可能性が出てきた。

ロシアで新法成立、「戦争」「侵攻」と表現した報道に厳罰…外国メディアのサイト遮断/読売新聞オンライン.2022

テレビ局ドーシチ(ロシア語で「雨」)の職員たちは、新しい法律への抗議として、チャイコフスキーの白鳥の湖の曲を流しながら放送局を後にしました。ソ連時代、政治指導者が亡くなった時に放送局の全チャンネルが流した曲です。同じ曲が、1991年のソ連崩壊時にも流れまし

メディア統制でウクライナの戦争を隠すロシア/アメリカン・ビュー.2022
ロシアへの制裁を訴える行為は罪

 刑法には、対露制裁を外国政府などに訴える行為を違法とし、最長3年の禁錮刑を科す規定も加えられた。ウクライナ侵攻直後から露国内で広がった反戦デモを抑え込む狙いもある。

ロシアで新法成立、「戦争」「侵攻」と表現した報道に厳罰…外国メディアのサイト遮断/読売新聞オンライン.2022

欧米や日本のメディアは報道自粛に追い込まれた

この決定に、欧米や日本の大手メディアが、報道自粛に追い込まれた。

『赤い闇』と『一九八四年』、プーチン大統領の言論弾圧で「ディストピア」の悪夢/nippon.com.2022

メディアはロシア事業を休止・国外からの提供を余儀なくされた

BBCは「独立系ジャーナリズムを違法とする以上、仕事を停止する以外にない。今後、ロシア向けのサービスは国外から提供する」と述べました。

ロシア、虚偽の報道に15年の懲役・・・欧米メディアは活動停止、「モスクワのこだま」も解散/Media Innovation.2022

他にもニューヨーク・タイムズ紙、CNN、ワシントン・ポスト紙、ブルームバーグ、ABCニューズ、ディスカバリーといったアメリカの独立系報道機関が、新しい法律のためにロシアでの事業休止を決定しました。

メディア統制でウクライナの戦争を隠すロシア/アメリカン・ビュー.2022

ブルームバーグのジョン・ミックレスウエイト編集長は「ロシア国内での取材を停止することを残念に思っています。独立した記者を犯罪者に変えるような法律の下では通常のジャーナリズムを維持不可能です」と述べています。

ロシア、虚偽の報道に15年の懲役・・・欧米メディアは活動停止、「モスクワのこだま」も解散/Media Innovation.2022

 昨年、ノーベル平和賞を受賞したジャーナリスト、ムラトフ氏が率いるロシアの独立系新聞ノーバヤ・ガゼータも「記者の安全を守るため」として、侵攻に関するいくつかの記事を削除したと発表した。同紙は政権への批判を繰り広げ、記者ら6人が暗殺されているが、政府側の圧力で記事削除に踏み切るのは異例。

ロシアが言論統制強化、「偽情報」流せば懲役15年 TwitterやFacebookも遮断 不都合な報道封じる狙い/東京新聞 TOKYO Web.2022
TikTokもロシアでの配信などを停止
Hindustan Times/YouTube

TikTokは、ロシアで2022年3月4日に可決された「フェイクニュース法」に対応し、ロシアでのライブストリーム配信とコンテンツ共有をすべて停止した。

TikTokもライブ配信などを停止…ロシア「フェイクニュース法」で報道機関に影響/Business Insider Japan.2022

TikTokは3月6日、ウェブサイトでこの発表を行い、自らを「人々が計り知れない悲劇と孤立に直面している戦闘の中で救済と人のつながりを提供する存在」だと考えているが、この法律が施行されればロシアでのコンテンツを停止する以外「選択肢がない」と述べた。

TikTokもライブ配信などを停止…ロシア「フェイクニュース法」で報道機関に影響/Business Insider Japan.2022

「当社の最優先事項は、当社の従業員とユーザーの安全であり、ロシアの新しいフェイクニュース法を考慮すると、この法律の影響を検討する間、ロシアにおける当社の動画サービスへのライブストリーミングと新しいコンテンツ配信を停止せざるを得ない」と同社は述べている。

TikTokもライブ配信などを停止…ロシア「フェイクニュース法」で報道機関に影響/Business Insider Japan.2022

文化・芸術団体の反戦メッセジー投稿が削除させられていった

 報道機関だけではなく、文化・芸術団体も反戦メッセージを含む投稿をウェブサイトから削除させられていった。

「戦争」という言葉は使用禁止…言論弾圧下の母国に対しロシア語圏作家が語ったこととは/Book Bang.2022
個人レベルでは自主的に過去の投稿を削除する人も多かった

個人単位でも過去の投稿を削除する人が多く、なかにはアカウント自体を消してしまう人もいた。あんなに溢れていた反戦声明も、悲痛な無数のコメントも、まるでその事実そのものが存在しなかったかのようにインターネット空間から消されていく。さらにはインターネット回線自体を制限する方針も打ち出された。

「戦争」という言葉は使用禁止…言論弾圧下の母国に対しロシア語圏作家が語ったこととは/Book Bang.2022

ロシアでは「反戦」というキーワードが徐々ネット上から消えいていった

ロシア国内でインターネットで検索されたことばを調べたところ、「反戦」に関することばの検索がウクライナへの軍事侵攻が始まったことし2月に急激に増加したあと、先月には大きく減少していたことが分かり、専門家は「反戦運動を厳しく取り締まるなど、ロシアの市民社会への抑圧がより一層強まっていることを示している」と話しています。

ロシア ネット検索で「反戦」に関することば減少 抑圧強化か/NHK | 日本放送協会.2022

インターネットのアクセスデータ分析の支援を行っている「シミラーウェブジャパン」は、ロシア国内にあるパソコンからロシア語で検索されたことばの回数について、ことし1月以降の変化を調べました。

ロシア ネット検索で「反戦」に関することば減少 抑圧強化か/NHK | 日本放送協会.2022

ウェブサイトやアプリから匿名で収集したデータなどから、特定のことばの検索回数を推計したところ、「ウクライナ」は、主に「最新ニュース」といったことばとともに検索されていて、関連のことばと合わせた検索の回数は、軍事侵攻が始まったことし2月には、推計値で520万余りと1月のおよそ13倍に急増しましたが、その後は減少傾向となり先月(4月)には220万余りと2月の半数以下にまで減少していました。

ロシア ネット検索で「反戦」に関することば減少 抑圧強化か/NHK | 日本放送協会.2022

また「反戦」ということばは、主に「抗議」や「請願」、署名サイトの名前などと合わせて検索されていて、関連のことばと合わせた検索の回数はことし2月には推計値で96万余りと1月のおよそ10倍に増加しましたが、同じくその後は減少していて先月にはおよそ11万と2月の8分の1以下にまで減少していました。

ロシア ネット検索で「反戦」に関することば減少 抑圧強化か/NHK | 日本放送協会.2022

この状況でもプーチン支持率は上昇!?ロシアを離れようとする人も……。

ウクライナ侵攻を巡り、ロシア国内と海外のメディアの報道姿勢は大きく異なっているが、多くのロシア国民は政府に好意的なメディアから情報を得ている。

ロシアでデモ参加者100人超拘束 国外脱出も増加、フィンランド行き列車は連日満席/Newsweek.2022

ロシアの世論調査機関VTsIOMによると、プーチン大統領の支持率は2月27日までの1週間に6%ポイント上昇し、70%となった。ロシア大統領府に調査結果を提供しているFOMでも、大統領の支持率は同期間に7%ポイント上昇し71%となった。

ロシアでデモ参加者100人超拘束 国外脱出も増加、フィンランド行き列車は連日満席/Newsweek.2022

こうした中、ロシアと西側諸国の対立拡大を懸念し、ロシアを離れようとする人も多く見られる。

ロシアでデモ参加者100人超拘束 国外脱出も増加、フィンランド行き列車は連日満席/Newsweek.2022

Dystopian Russia

予言していた!?ディストピアとロシア文学

Stage Russia HD/YouTube

 開戦後の3月16日にはプーチン氏が語った言葉は象徴的だ。

プーチン氏の異様な「被害者意識」と「猜疑心」 現実から乖離したその世界観とは/AERA.dot. 2022

「ロシアの国民は、クズや裏切り者を真の愛国者と見分けて、口に飛び込んだブヨのように吐き出すことができる」

プーチン氏の異様な「被害者意識」と「猜疑心」 現実から乖離したその世界観とは/AERA.dot. 2022

 国内の反政権勢力に対する底知れぬ憎悪。相互監視と密告が奨励される、21世紀とは思えないディストピアをプーチン氏は作りだそうとしているようだ。

プーチン氏の異様な「被害者意識」と「猜疑心」 現実から乖離したその世界観とは/AERA.dot. 2022

ソ連時代は検問されていた!?ロシア文学とディストピア

 歴史的に、ユートピア/ディストピアのジャンルは、ロシア文学ではあまり例となる作品がなかった。例としてはチェルヌイシェフスキーの『何を為すべきか』という作品がある。ザミャーチンの『われら』、ストルガツキー兄弟の作品、そしてプラトーノフの作品もあるが、せいぜいその程度だ。しかし、ソ連が崩壊し、国家による検閲がなくなってこのジャンルが頭角を現したことにより、何もかもが変わった。多くの優れた作品は翻訳ですでに出回っており、ディストピアのファンにとっては必読となっていた。

ロシアの暗黒郷の傑作選/ロシア・ビヨンド.2022

ロシア文学の大物「ウラジーミル・ソローキン」

近未来を描いた小説は「風刺」か「予言」か。ロシア人作家のウラジーミル・ソローキン氏(66)が2000年代以降に執筆した近未来小説が、ウクライナ侵攻で注目されている。帝政の復活、言論弾圧などディストピア(反理想郷)として描かれた事柄が、現実味を増しているというのだ。

特集ワイド:帝政復活、言論弾圧のディストピア小説 露の行く末を予言?/毎日新聞.2022

ディストピアと言ったらソローキンが話に出てこないはずがない。彼は現代ロシア文学の大物で、このジャンルで10年以上作品を執筆してきた人だ。

ロシアの暗黒郷の傑作選/ロシア・ビヨンド.2022

モスクワのアンダーグラウンド芸術にルーツを持ち、暴力やエロスが氾濫する過激な作品は検閲が緩んだペレストロイカ期ですら活字にできず、ソ連崩壊後の90年代にようやく国内で出版が始まった。

人気作家に広がるプーチン支持 政権批判が薄れたロシア文学=松下隆志/週刊エコノミスト Online.2022

過去40年にわたり、ウラジーミル・ソローキン(66)の作品は、ロシアで考え得る限りのありとあらゆる政治的・社会的タブーに風穴を開けてきた。

ロシアの「ディストピア」を予見した作家ウラジーミル・ソローキンの懸念/クーリエ・ジャポン.2022

ディストピア小説「親衛隊士の日」

 2028年の帝政ロシア。ソローキン2006年の小説『親衛隊士の日』では、帝政が復活したクレムリンの壁や赤の広場は白く塗り替えられ、生まれ変わった《白の広場》を、親衛隊士=オプリーチニクたちが闊歩する。彼らは赤いメルセデスを駆って帝国版図を行き交い、叛逆者たちを殺戮する。その様はイヴァン雷帝(在位1533~86年)の治世下ツァーリだけに忠誠を誓った親衛隊による虐殺行為そのものの再現であると同時に、2006年の本書刊行時2期目へ入り統制強化に乗り出たプーチン体制から窺えるロシアの未来像を鋭く諷刺した。ロシア語に大量の中国語が混ざり込む描写のリアリティたるや、ウクライナ侵攻後のロシアがすでに宿命づけられた今後の中国依存をまさに預言しきっている。

【映画評】 ルーシの呼び声(3)『アトランティス』『リフレクション』『ナワリヌイ』《特集上映:ウクライナの大地から》 2022年7月6日/キリスト新聞.2022
続編「砂糖のクレムリン」

 この小説には『砂糖のクレムリン』という続編がある。この本はロシアで権威ある賞をいくつも受賞しており、2013年には国際ブッカー賞にノミネートされた。

ロシアの暗黒郷の傑作選/ロシア・ビヨンド.2022

プーチンを批判「過去からのモンスター」

その過激な慧眼の持ち主が2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻という暴挙を受け、全世界に向けて発信した「過去からのモンスター」というエッセイが『文藝』の2022年夏号に緊急掲載されています。

プーチンのようなモンスターの理解には、文学の力を借りよ。ソローキンの過激な慧眼、ハルムスの凍りつく笑い(書評家・豊崎由美)/QJWeb.2022

〈自分自身の絶対的な権力、帝国的な攻撃性、ソ連崩壊のルサンチマンによってあおり立てられた敵意、西側の民主主義に対する憎悪をたっぷりと吸い込みながら〉年を追うごとに力を蓄え成長していったプーチンという名のモンスターが、最初は魅力的で健全な指導者としてロシア国民の前に登場したこと。その後、16世紀にイワン雷帝という〈偏執病や数多くの悪徳に取り憑かれた野心的で残酷なツァーリ〉が作り上げた権力のピラミッドを、この怪物がいかに登りつめ、権力を獲得して以降、どのように人格や思想、施政方針を変容させていったかを、ソローキンはわかりやすい比喩と共に明らかにしています。

プーチンのようなモンスターの理解には、文学の力を借りよ。ソローキンの過激な慧眼、ハルムスの凍りつく笑い(書評家・豊崎由美)/QJWeb.2022

〈彼は破滅の運命にある──なぜなら自由と民主主義の世界は彼の陰鬱で暗い小世界よりも大きいからだ。破滅の運命にある──なぜなら彼が新しい中世を、腐敗を、嘘と人間的自由の蹂躙を求めているからだ。なぜなら彼は過去だからだ。〉

プーチンのようなモンスターの理解には、文学の力を借りよ。ソローキンの過激な慧眼、ハルムスの凍りつく笑い(書評家・豊崎由美)/QJWeb.2022

ロシア史の中で文学は文学の域を超える存在

 ロシアの歴史の中で文学はつねに単なる文学以上のものであり、作家は社会の批判者として道徳的な役割を演じてきた。社会主義サークルに属していたドストエフスキーは逮捕されて一度は死刑になりかけ、後にシベリアに流刑された。非暴力や反戦主義を唱えたトルストイは専制や教会を鋭く糾弾し、皇帝をもしのぐほどの世界的権威となった。ソ連時代には国家のイデオロギーによって創作の自由が厳しく制限され、数多くの作家が弾圧の犠牲となった。収容所の過酷な実態を暴いてノーベル文学賞を受賞したソルジェニーツィンはアメリカに亡命し、海の向こうから国家という巨大な存在と文字通りペン一本で闘った。

人気作家に広がるプーチン支持 政権批判が薄れたロシア文学=松下隆志/週刊エコノミスト Online.2022

「文学中心主義」とも呼ばれるこのような伝統はソ連の崩壊によって危機に陥った。1980年代後半、当時のゴルバチョフ書記長が進めたペレストロイカ(改革)期には、数百万部という驚異的な部数を記録した各種文芸誌も、91年にソ連がなくなると数千~数万部まで部数を落とした。作家は創作の自由を得た一方、市場経済の導入により文学はビジネス化し、ミステリーやSFなど大衆ジャンルが台頭する中でいわゆる純文学は苦戦を強いられることになった。かつてのように社会に絶大な影響力を及ぼすような作家は存在せず、道徳的権威としての作家像は廃れた。よくも悪くも、ソ連崩壊によってロシア文学は「普通」になったように見えたのだ。

人気作家に広がるプーチン支持 政権批判が薄れたロシア文学=松下隆志/週刊エコノミスト Online.2022

 風向きが変わったのは21世紀に入ってからだ。プーチン政権下でテレビ局など独立系のメディアが次々に国家の管理下に置かれ、正面から政権批判を行うことが難しくなった。公然と検閲が行われていたわけではないものの、権力の介入を警戒した作家たちはフィクションの中で「プーチンのロシア」の将来を思い描いた。

人気作家に広がるプーチン支持 政権批判が薄れたロシア文学=松下隆志/週刊エコノミスト Online.2022
ウクライナ侵攻では反戦の意を表明

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアでもアーティストや美術館が次々に反戦の意を表明した。多数の美術関係者が反戦のオープンレターに署名し、プーシキン美術館の副館長らが戦争に抗議して辞任。モスクワのガレージ現代美術館は「日常が続いているという幻想を支持できない」と述べ、終戦まで展示活動を休止している。また、プーシキン美術館は、国立の美術館でありながら、2月27日にFacebookやInstagramの公式ページで声明を出し、「この数日の事態の急速な動きに衝撃を受けています。美術館は記憶と文化の施設として、異なる視点を持ちながらも犠牲者や人々の苦しみを最小限に抑えたいと願う人々を一刻も早く和解させるために、平和で相互の尊敬に満ちた対話を可能にするよう、あらゆる努力を続けていきます」と述べた。

ウクライナ侵攻後、ロシアのアーティストの現在。反戦と芸術について2作家が語ることとは/Tokyo Art Beat.2022
取り締まり強化後のロシアでは削除していった

3月4日、ロシア軍に関する「虚偽情報」を広める行為に対して最大15年の禁固刑を科す法案がロシア議会で可決されると、自分や家族の身を守るために反戦のメッセージをウェブから削除する動きが広まった。この時期にも反戦を主題とするドローイングを発表し続けたパーヴェル・オジェリノフ(1979年生)のような作家も少なからずいたが、直接的な表現ではなく、悲しみや絶望を表す比喩的な表現によって反戦の意を示す作品や投稿が目立つようになった。しかし、戦争が長期化し、いっそう残酷化するなか、多くのアーティストがふたたび反戦の意を明確に示すようになり、これまで戦争に関する発言を避けてきた作家たちでさえ、戦争を批判する作品やテクストを公開している。

ウクライナ侵攻後、ロシアのアーティストの現在。反戦と芸術について2作家が語ることとは/Tokyo Art Beat.2022
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二〇二八年のロシア―。復活した“帝国”で特権を享受する親衛隊士たち。貴族屋敷への押し込み、謎の魚の集団トリップ、不思議な能力をもつ天眼女、ちらつく中国の影、蒸し風呂の儀式…。『青い脂』の怪物が投じる近未来のあやしいヴィジョン(「BOOK」データベースより)

Marina Ovsyannikova 

ディストピア下で国営テレビスタッフが生放送中に反戦を訴える!!

Guardian News/YouTube

ロシア国内に向け生放送中のテレビ番組で、まさに体を張って反戦を訴えた女性スタッフがいた。

「戦争はダメ」ロシア国営テレビ生放送に乱入 女性スタッフが命がけの抗議「ロシア人がだまされている」/nippon.com.2022

3月14日夜、ロシアの国営テレビでキャスターがニュースを生放送で読み上げる最中、突如現れた女性。

ロシア国営テレビに「反戦」訴える女性乱入 専門家「取り締まれないほどの反戦広がりを象徴」/FNNプライムオンライン.2022

女性は、ニュースを読み上げるキャスターの背後で、ロシア語と英語で「戦争反対。戦争をやめろ。プロパガンダを信じるな。この人たちはあなたにうそをついている」と書いたプラカードを掲げ、「戦争やめろ。戦争反対」と叫んだ。

ロシア国営テレビの生放送に反戦訴える女性、数秒間映り込む/REUTERS.2022

ロシア国営メディアは厳しい統制下にあるため、こうした出来事が起こるのは極めてまれ。

ロシアTVで抗議の女性、独紙の記者に/AFPBB News.2022

これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「この女性に関する限り、これはフーリガン行為だ」と述べた。

ロシア国営テレビで反戦訴えた女性に罰金280ドル=裁判所/REUTERS.2022
第1チャンネルのスタッフ「マリーナ・オフシャンニコワ」

人権団体「OVDインフォ(OVD-Info)」によると、女性は第1チャンネルのエディター、マリーナ・オフシャンニコワ(Marina Ovsyannikova)さん。

ロシア政府系TVに女性職員乱入 「反戦」訴え/AFPBB News.2022

この44歳のジャーナリストには2人の子供がいる、夫は「ロシア・ツデー」(RT)に勤務しているという。

ロシアで“反戦”抗議デモが広がる時/アゴラ.2022
ソ連時代から続く番組「ブレーミャ」

オフシャンニコワさんは14日夜、ニュース番組「ブレーミャ」の放送中、テレビカメラに向かい「戦争反対」と叫び「プロパガンダを信じるな。彼らはうそをついている」などと書かれた紙を広げてみせた。

生放送で抗議の露テレビ局員、刑事罰の恐れも/サンスポ.2022

ブレーミャは、時間、時代の意味で、ソ連時代から現在にいたるまで、ほぼ半世紀近く続いている。ソ連時代は、当局のプロパガンダの主な手段の一つだった。

ニュース番組「ブレーミャ」 放映開始/ロシア・ビヨンド.2013

ちなみに、タイトルバックで流れる、ファンファーレが印象的な音楽は、20世紀後半を代表する作曲家、ゲオルギー・スヴィリードフが映画「時よ進め!」のために作曲したもの。

ニュース番組「ブレーミャ」 放映開始/ロシア・ビヨンド.2013

警察当局に拘束

複数の報道機関が、その後オフシャニコワが警察当局に拘束されたことを報じている。

ロシア国営テレビの生放送でスタッフ女性が反戦を訴える/Newsweek.2022

タス通信によると、同テレビ局は「職務上の調査を行っている」と声明を発表した。

生放送に割り込み侵攻反対訴えた女性に約3万3000円罰金刑 ロシア、オフシャンニコワさん「狂気止めるのは私たち」/サンスポ.2022

拘束後に事前録画していた動画がネット上に拡散!!

オフシャニコワ氏が身柄を拘束されたすぐ後、同氏が事前に録画していた動画がネット上で拡散した。

ロシア国営放送でスタッフが乱入し「戦争反対」を叫ぶ。「プロパガンダを信じないで」/HUFFPOST.2022
独立系メディア「メドゥーサ」の編集長ががTwitterに投稿した

独立系ニュースサイト「メドゥーサ」の編集者ケヴィン・ロスロックは、オフシャニコワが事前に録画していたビデオメッセージをツイッターに投稿。

ロシア国営テレビの生放送でスタッフ女性が反戦を訴える/Newsweek.2022
全文

今ウクライナで起きていることは犯罪だ。そしてロシアは侵略国家だ。その侵略の責任は、プーチン大統領にある。私の父はウクライナ人で、母はロシア人だ。これまで一度も敵対したことはない。(ロシアとウクライナの国旗の色があしらわれた)私の首にかかるネックレスは、ロシアが今すぐに、同胞を殺す戦争を止めねばならないという象徴だ。私たち兄弟国は、まだ和解ができるはずだ。

「プーチン氏の暴挙を止められるのはロシア人の力だけ」 生放送乱入の局員の反戦発言全文/産経新聞.2022

残念ながら、私は過去何年もの間「第1チャンネル」で働き、クレムリンのプロパガンダを広めてきた。今は、それを本当に恥ずかしいと思っている。テレビ画面を通じ、ウソを伝えることを許してきたことを恥じている。国民を、何も考えないようにすることを許してきたことを恥じている。

「プーチン氏の暴挙を止められるのはロシア人の力だけ」 生放送乱入の局員の反戦発言全文/産経新聞.2022

2014年(のクリミア併合の際)、問題の初期のころにおいて私たちは沈黙し、デモに参加しませんでした。その時、政権はナヴァリヌイ氏を毒殺しようとしました。

「ロシアは『兄弟殺し』戦争やめよ」生放送で抗議した女性、事前に思い語る【全文】/朝日新聞GLOBE+.2022

私たちはこの非人道的な体制を見ているだけでした。そして今、全世界が私たちに背を向けています。私たちの子孫、将来世代はこの兄弟殺しの戦争という恥をぬぐい去ることはできないでしょう。

「ロシアは『兄弟殺し』戦争やめよ」生放送で抗議した女性、事前に思い語る【全文】/朝日新聞GLOBE+.2022

私たちは、考えることも賢くもあるロシア人です。私たちの力だけがこの狂気を止めることができるのです。

「ロシアは『兄弟殺し』戦争やめよ」生放送で抗議した女性、事前に思い語る【全文】/朝日新聞GLOBE+.2022
世界中がこの動画を視聴!

ロシアの反体制派ナワリヌイ氏の広報担当者はツイッターで女性の行動を称賛し、ニュース番組に映り込んだ動画を投稿すると、すぐに再生回数が260万回を超えた。

ロシア国営テレビの生放送に反戦訴える女性、数秒間映り込む/REUTERS.2022
世界からこの行動を讃える声が!その中にはゼレンスキーも!

オフシャンニコワさんの極めて異例の抗議行動に対しては、ウクライナのゼレンスキー大統領が14日のビデオ演説で「真実を広めることをやめないロシア人たちに感謝している。第1チャンネルのスタジオに現れた女性にもだ」と述べるなど、世界から勇気をたたえる声が相次いでいる。フランスのマクロン大統領も、大使館での保護や亡命による保護などの支援を表明。プーチン氏との次の会談で提案するなどとしている。

ロシア国営テレビ生放送で反戦訴えた女性に3万3000円罰金刑、15日に裁判所へ出廷 英報道/日刊スポーツ.2022
国連が声明を発表

ロシアの国営テレビのニュース番組の放送中に反戦を訴え、拘束された職員のマリーナ・オフシャンニコワさんについて、国連人権高等弁務官事務所の報道官は15日に行われた記者会見の中で、「彼女が表現の自由の権利を行使したことについて、報復を受けないよう当局に対して強く要請する」と述べて、今後もロシア当局の対応を注視する姿勢を示しました。

反戦訴えたロシア国営テレビ職員 報復受けないよう国連が要請/NHK | 日本放送協会.2022

ロシア国内ではこの抗議活動は報道規制によって正確には伝えることができなかった

報道を厳しく規制する法律のせいで、ロシアのメディアはオフシャニコワ氏の抗議活動をそのまま報じることができない。

ロシア国営放送でスタッフが乱入し「戦争反対」を叫ぶ。「プロパガンダを信じないで」/HUFFPOST.2022

そのため、ロシアの新聞ノーヴァヤ・ガゼータなどは、反戦メッセージを読めない状態にして、オフシャニコワ氏の行動を伝えた。

ロシア国営放送でスタッフが乱入し「戦争反対」を叫ぶ。「プロパガンダを信じないで」/HUFFPOST.2022
ロシア国内では賛否が分かれる

   オフシャンニコワさんの行動について、モスクワ市民に聞いたところ、「とても大胆な行動。尊敬に値すると思います」という若い男性の意見の一方で、高齢の女性は「何の感想もないわ。バカな女だと思う」と批判。「その話題は話したくない」という高齢の男性もいた。

ロシアTV「反戦」女性への反応 「バカな女」「尊敬に値」…「スッキリ」が伝えたモスクワ市民の声/J-CASTテレビウォッチ.2022

裁版がおこなわれ判決の結果は罰金刑!

Guardian News/YouTube

ロシアの裁判所は15日、国営テレビ「チャンネル1」の女性従業員マリーナ・オフシャンニコワさんがスタジオでの生放送中に映り込み、反戦を訴えた行為は抗議活動に関する法律に違反するとして、オフシャンニコワさんに対し3万ルーブル(280ドル)の罰金刑を科した。

ロシア国営テレビで反戦訴えた女性に罰金280ドル=裁判所/REUTERS.2022
「私自身による反戦の決意です」釈放後には報道陣に訴えた

彼女は15日、モスクワ市内で裁判を受け、3万ルーブル(約3万3000円)の罰金刑を科せられて釈放された。

ロシアで“反戦”抗議デモが広がる時/アゴラ.2022

その後、拘束された国営テレビスタッフの女性は、裁判所から出ると報道陣に向かってこう訴えた。

「尋問14時間続いた」ロシア国営テレビで“反戦”女性を罰金で釈放…厳罰「15年禁錮刑」の恐れも/nippon.com.2022

「私自身による反戦の決意です。ロシアが侵略を始めたのは気に入りません。非常に残酷でした。尋問が14時間以上続きました。家族や親族との連絡も許されませんでした。今日はただ休みたいです」

「尋問14時間続いた」ロシア国営テレビで“反戦”女性を罰金で釈放…厳罰「15年禁錮刑」の恐れも/nippon.com.2022

彼女は逮捕された後、ほぼ24時間、行方不明だった。

ロシアで“反戦”抗議デモが広がる時/アゴラ.2022
罰金だけで終わりじゃない?訴追される可能性

女性は釈放されたが、ロシアのウォロジン下院議長は「あらゆる厳格さをもって」訴追するよう法執行機関に求めており、さらなる法的問題に直面する可能性がある。

ロシア国営テレビで反戦訴えた女性に罰金3万円、さらに厳格な処罰も/Bloomberg.2022

モスクワの複数のメディアによると、今回の罰金刑は最初の1歩に過ぎず、彼女は後日、ウクライナ侵攻に関する偽情報を広げたという理由で、新たに施行された刑法に基づいて最大15年の禁錮刑を受けるのでないか、と懸念されている。

ロシアで“反戦”抗議デモが広がる時/アゴラ.2022
罰金刑はあくまで録画動画投稿だけの判決

ニューヨーク・タイムズ(NYT)はモスクワの弁護士会会長であるセルゲイ・バダムシンの言葉を引用して、彼女の罰金は3万ルーブルで、その対象はオンエアの中断ではなく、デモの理由を説明する事前に録画した映像だったとしている。

生放送で反戦を訴えたロシア国営テレビのスタッフ釈放…14時間に及ぶ尋問、罰金3万ルーブル/Business Insider Japan.2022

フランスのマクロン大統領が亡命を打診

L’Obs/YouTube

こうしたなか、フランスのマクロン大統領は15日、オフシャンニコワさんが亡命を希望した場合、受け入れたいとの考えを示しました。

TVで“反戦”の女性、別の罪で約3万円の罰金/日テレNEWS.2022

マクロン氏は「仏大使館での保護、あるいは亡命による保護を提案するため、外交手続きを始める。プーチン露大統領と次に会談する際、この解決策を提案する」と述べた。オフシャンニコワさんの現在の状況や、仕事を続けられるのかどうかについても、情報提供を求める考えを示した。仏西部で、ウクライナ難民受け入れ施設を視察した時に語った。

露テレビ女性の亡命受け入れ表明 仏大統領「プーチン氏に提案する」/産経ニュース.2022
「私は愛国者。家族と一緒に暮らしたい」フランスメディアのインタビューでロシアに残ることを表明

ロシアの国営テレビの生放送中に反戦のメッセージを掲げ、当局に拘束された女性が、フランスメディアのインタビューに応じ、「愛国者としてロシアに残る」と述べました。

国営テレビで“反戦”訴えの女性「愛国者としてロシアに残る」/日テレNEWS.2022

マクロン仏大統領はオフシャンニコワさんの亡命受け入れの用意があると表明していたが、オフシャンニコワさんは「提案は受け入れない。私は愛国者。家族と一緒に暮らしたい」と発言した。ロシアで「偽情報」を流布したとして禁錮刑が科される可能性があることについて問われると、「とても怖い。だが、私は社会のクズに加わりたくなかった」と述べ、ロシアのプロパガンダ(政治宣伝)への嫌悪感を示した。

露国営テレビの反戦女性、米欧メディア出演「クズになりたくない」/iza.2022

世界の様々なメディアの取材を受け、この出来事について語った

ドイツ誌シュピーゲルのインタビューでは、自身がソ連時代、ウクライナ南部オデッサで生まれたことに触れた。ロシアの侵攻は「兄弟国に対する戦争」だと言い、停戦を訴えた。米CNNテレビ、英BBC放送、米紙ウォールストリート・ジャーナル、英紙ガーディアンなどでもインタビューを受けた。

露国営テレビの反戦女性、米欧メディア出演「クズになりたくない」/iza.2022
ロイター通信のインタビュー

ロシア国営テレビ「チャンネル1」の生放送中に映り込み、反戦を訴えた女性従業員のマリーナ・オフシャンニコワさん(43)は16日、ロイターに対し、身の危険を感じているとしつつも、自身の抗議によって政府のプロパガンダに対して国民の目が開かれることを望んでいると語った。

「ロシア国民は目を開いて!」 テレビで反戦抗議の女性は父親がウクライナ人だった/REUTERS.2022

14日の騒動後初のインタビューで「英雄のように感じていることは全くない。この犠牲が無駄にならず、人々には目を開いてほしい」とした上で、「自分の行動の正当性を信じているが、今はこれから対応しなければならない問題の大きさを理解しており、自分の安全を非常に心配している」と述べた。

「ロシア国民は目を開いて!」 テレビで反戦抗議の女性は父親がウクライナ人だった/REUTERS.2022
アメリカのメディアABCの番組に出演
ABC News/YouTube

ロシア国営テレビで反戦を訴えたジャーナリスト、マリーナ・オフシャンニコワ(Marina Ovsyannikova)氏が、米ABCの番組に出演し、抗議に至った経緯や、亡命についての考えを語った。

ロシア国営TVの反戦女性、亡命提案断ったワケ/Mashup Reporter.2022

 オフシャンニコワさんは、他人と示し合わせて抗議に及んだわけではないとしつつ、局内では多くのスタッフがロシア政府への強い不満を共有していると指摘。「政府系テレビでのプロパガンダは、ますますゆがんだものとなっている」と打ち明けた。

ロシア国民は「声を上げて」 侵攻抗議の元テレビ局スタッフ/JIJI.COM.2022

 また、街頭での抗議に参加することも考えたが、参加者が拘束され刑事罰に問われる様子を見てやり方を変えたと説明。「ロシア国民が戦争に反対していることを全世界に示し、これ(政府系テレビの放送)がプロパガンダだとロシア国民に示すことができるかもしれない」という思いに至ったと話した。

ロシア国民は「声を上げて」 侵攻抗議の元テレビ局スタッフ/JIJI.COM.2022
CNNのインタビュー「沈黙し続けることができない、後戻りできない段階だった」
CNN/YouTube

CNNのインタビューにも、政府のプロパガンダに対する不満が募っていたと明かした。不満の感覚が年々増し、自身の信念と、放送で語る内容に「不協和を感じていた」と述べ、ウクライナへの侵攻は「沈黙し続けることができない、後戻りできない段階だった」と説明した。

ロシア国営TVの反戦女性、亡命提案断ったワケ/Mashup Reporter.2022
BBC「プロパガンダを信じないように訴えたかった」
BBC News/YouTube

ロシア国営テレビ「第1チャンネル」のニュース番組の放送中に露軍のウクライナ侵攻に抗議したテレビ局職員マリーナ・オフシャンニコワさんが17日、英BBCなどの取材に応じ、ロシア国民に対し良いて「プロパガンダを信じないように訴えたかった」と述べた。プーチン政権に都合の良い情報を信じる人が多い現状に危機感を募らせたことが、抗議行動の理由だったという。

プーチン政権に都合良い情報「信じる人多い現状に危機感」…露テレビ局職員「私は愛国者」/読売新聞オンライン.2022
フランス24ではロシアに残ることの他に、今の仕事を退職することを語った
FRANCE 24 English/YouTube

オフシャンニコワさんは17日、フランスメディアのインタビューに応じ、『愛国者』としてロシアに残ることを明らかにしました。国営テレビでの仕事は辞めるということで、同じように反戦を訴える同僚も辞めるとしています。

国営テレビで“反戦”訴えの女性「愛国者としてロシアに残る/日テレNEWS.2022
ドイツの週刊誌シュピーゲルでもロシアに残る意向を表明

 また独週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)が同日掲載したインタビューでは「この国を離れたくない。私は愛国者だ」と述べ、ロシアにとどまる意向を表明。今回は自分一人で行動を起こしたが、多くの同僚が内心では自分に同情していると思うと語った。

ロシアTVで抗議の女性辞職 亡命は否定 「私は愛国者」/AFPBB News.2022
「計画は90%成功しないと思った」ロシアの独立系新聞ノーバヤ・ガゼータのインタビューで語った

ロシア政府系テレビ「第1チャンネル」のニュース番組中に反戦メッセージを掲げた番組編集者オフシャンニコワさんが独立系新聞ノーバヤ・ガゼータのインタビューで、メッセージは自ら書き、警備の目に付かないように、上着の袖に隠してスタジオに入ったと述べた。「計画は90%成功しないと思った」と明かした。21日付同紙が伝えた。

オフシャンニコワさん「計画は90%成功しないと思った」 袖に反戦メッセージの紙隠しスタジオ入り/サンスポ.2022

「恐ろしかったが、(政権のプロパガンダを報じる)番組を止めなければならないという強い衝動に駆られた」と振り返った。侵攻開始後、欧米の情報に触れ、辞職を決意。抗議行動で多くの市民が拘束される中「より効果的な方法を考えた」とした。

オフシャンニコワさん「計画は90%成功しないと思った」 袖に反戦メッセージの紙隠しスタジオ入り/サンスポ.2022

英語で「戦争反対」、ロシア語で「プロパガンダを信じないで」などと書いた理由について、欧米人に対してロシア人の反戦の意思を示し、ロシア国民に対しては、目を覚ますように訴えるためだったと話した。

オフシャンニコワさん「計画は90%成功しないと思った」 袖に反戦メッセージの紙隠しスタジオ入り/サンスポ.20
「国とわれわれを裏切った」チャンネル1は非難した

一方、チャンネル1の報道部門のトップKirill Kleimyonov氏は21日の番組で、オフシャンニコワ氏は、抗議活動の前に英国大使館と連絡を取っていたと主張。「国とわれわれを裏切った」と非難した。

ロシア国営TVの反戦女性、亡命提案断ったワケ/Mashup Reporter.2022

ロシア国内では「イギリスのスパイと報道され身の危険」日本の番組でもインタビュー

日テレNEWS/YouTube

ロシアの国営テレビの生放送中に反戦メッセージを掲げた女性が、日本テレビの単独インタビューに応じ、行動を起こすに至った思いを語りました。

生放送で“反戦”の女性「ロシア人の大部分は反戦」 単独インタビュー/日テレNews.2022

オフシャンニコワさん「不満がどんどんたまっていました。コートを仕事場に持ち込んで、スタジオに駆け込むときに取り出して、プラカードを広げました」

生放送で“反戦”の女性「ロシア人の大部分は反戦」 単独インタビュー/日テレNews.2022

ロシアの国営テレビの元スタッフ・オフシャンニコワさん。生放送で反戦を訴えたのは、抗議デモに参加しても治安当局の取り締まりが厳しく、「効果がない」と判断したためだといいます。

生放送で“反戦”の女性「ロシア人の大部分は反戦」 単独インタビュー/日テレNews.2022

ただ、オフシャンニコワさんは今、ロシア国内で「イギリスのスパイ」などと報道されていて、身の危険を感じると話しました。

生放送で“反戦”の女性「ロシア人の大部分は反戦」 単独インタビュー/日テレNews.2022

ドイツ大手メディアのフリーランス特派員として契約

ドイツの大手メディアグループ『アクセル・シュプリンガー』は4月11日、同社が発行する『ディ・ヴェルト』紙のフリーランス特派員として、マリーナさんと契約したことを明かした。マリーナさんは、ロシアとウクライナから報道にあたるという。

「拘束された日々は、とても不安だった」“戦争反対”を訴えたロシア女性、ドイツ紙の特派員に抜擢/BuzzFeed JAPAN.2022

米CBCニュースなどが報じたもので、オフシャンニコワさんはフリーランスの記者としてウクライナとロシアからニュースを寄稿すると共に同紙が所有するテレビのニュースチャンネルにも出演する予定だという。ニューヨーク・ポスト紙によると、同紙は一面にオフシャンニコワさんの写真と共になぜ反戦を訴える行為に至ったのかやロシア政府のプロパガンダについて記した最初のコラムを掲載し、反戦抗議が自身の人生をどのように変えたのか説明しているという。

“NO WAR”オフシャンニコワさん、ドイツ紙特派員に採用「自由を守ることは私の責務」/日刊スポーツ.2022

オフシャンニコワさんは、「現在、ウクライナにいる勇敢な人々が強固に守ろうとしているもの、つまり自由を支持している。その自由を守ることはジャーナリストとしての私の責務だと思っている。ディ・ウェルトのためにそれができることをうれしく思います」とコメント。

“NO WAR”オフシャンニコワさん、ドイツ紙特派員に採用「自由を守ることは私の責務」/日刊スポーツ.2022

ウェルト紙のポシャルト編集長は「国家の抑圧にもかかわらず、ジャーナリズムの最も重要な倫理を守った」と称賛。オフシャンニコワさんも「自由を守る責務をウェルト紙で果たせることをうれしく思う」とコメントを発表した。

放送中抗議のロシア女性、独紙記者に 「戦争反対」のオフシャンニコワさん/JIJI.COM.2022

現地ドイツでは、オフシャンニコワ氏がロシアのテレビで抗議活動をした直後「素晴らしい女性」という声のほか、「なんとかドイツで保護できないか」という声もあった。そのため今回オフシャンニコワ氏がドイツメディアで働くことが決まると「ほかのメディアでは知り得ない現実を知ることができる」「思い切って事実を伝えてほしい」と期待する声が多い。

「戦争反対」生放送で抗議したロシア人女性、ドイツメディアの特派員に 現地では解雇を求める運動も/リアルライブ.2022

ヴァーツラフ・ハヴェル人権賞を受賞

Радио Свобода/YouTube

5月25日、マリーナ・オフシャンニコワはオスロでヴァーツラフ・ハヴェル人権賞を受賞しました。 この賞は、人権擁護における優れた行為を称えるために、欧州評議会の議会により、毎年授与されます。

ロシア国営テレビ・チャンネル1で反戦メッセージを流させた、同局元従業員マリーナ・オヴシアンニコワMarina Ovsyannikovaその後:欧州評議会からVaclav Havel Human Rights Prize 人権賞を与えられた/マイクロストック.2022

「私はロシアとウクライナ、どちらで投獄されるべきか」ウクライナ入りするもバッシングを受ける(2022年6月)

オフシャンニコワさんは、先ごろ、独WELTの記者としてウクライナ入りしたのですが、ウクライナ当局からは歓迎されず、Facebookでもバッシングされまくってます。叩いているのは親ロシア派も、親ウクライナ派もどっちもいます。

親ロシア派からも反ロシア派からも叩かれるマリーナ・オフシャンニコワ—「ウクライナ人とロシア人は兄弟姉妹みたいな関係」では済まない-(松沢呉一)/新世代のメディア、タグマ!.2022

 オフシャンニコワさんは、父親がウクライナ人で南部オデーサの出身であるものの、今回の訪問目的は不明だ。このため、インターファクス・ウクライナ通信が1日に首都キーウで記者会見の開催を発表したところ、一部の報道関係者らから「不適切だ」との声が上がり、中止に追い込まれた。自身のSNSで3日にオデーサを訪れたと紹介していたオフシャンニコワさんは、6日には「私はロシアとウクライナ、どちらで投獄されるべきか」と書き込み、複雑な胸中をのぞかせた。

「私はロシアとウクライナ、どちらで投獄されるべきか」番組中に抗議の元女性職員/読売新聞オンライン.2022
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ユヴァル・ノア・ハラリ、トマ・ピケティ、ノーム・チョムスキー、フランシス・フクヤマ、ジョージ・ソロスなど世界の賢人12人によるウクライナ戦争についての最新論考を緊急出版。戦争が起きた背景、プーチンの狙い、これからの世界秩序について、日々の報道では見えてこない深い視座を得られるだろう。(「Books」出版書誌データベースより)

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【ウクライナ危機(50)】ロシアの残忍行為を見かねた欧米はついに“金融の核兵器”と呼ばれる経済制裁の実施を決定『SWIFT排除』
“https://diggity.info/society/ukraine-50/”
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