【ウクライナ危機(43)】世界中の議会を魅了する特別な瞬間!ゼレンスキー大統領の歴史的なオンライン演説

世界中の議会を魅了する特別な瞬間 – ゼレンスキー大統領の歴史的なオンライン演説

世界が一つになる瞬間は稀であり、その瞬間が歴史に名を刻むことはさらに稀です。

ウクライナの大統領、ヴォロディミール・ゼレンスキーが世界中の議会で行ったオンライン演説は、まさにそのような瞬間でした。この記事では、ゼレンスキー大統領がどのようにして世界のリーダーと市民に訴え、何を成し遂げたのかを詳しく探ります。

【ウクライナ危機(42)】「私はここにいる」命を賭けたゼレンスキーの英雄的演説 ── 国民を鼓舞し続けた3つの感動の瞬間
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全世界が注目しているウクライナ大統領の言葉を一冊にまとめました。終わりの見えないロシア侵攻開始から、世界を動かし、人の心に訴えかける「勝利を信じることの大切さ」「つながりの大切さ」「侵略者との妥協を断固拒否する姿勢」など歯切れよく心に残るメッセージを世界に発信し続けています。世界の報道写真や美しいウクライナの大地の写真とともに紹介します。(「Books」出版書誌データベースより)

Zelensky’s online speech

歴史的瞬間!ゼレンスキー大統領の国際議会演説が世界に響く

euronews/YouTube

ウクライナの大統領ヴォロディミール・ゼレンスキーは、インターネットの力を利用して、世界の議会にオンラインで登壇し、国際的な支援を要請するという、画期的なアプローチを取りました。この行動は、技術の進歩により、全世界の指導者たちがインターネットを介して直接的にコミュニケーションを取ることが可能になったという、時代の進化を象徴しています。

ロシアによる侵略の1ヶ月後、ゼレンスキー大統領は国家の団結のシンボルとして浮かび上がりました。各国の議会で行ったスピーチを通じ、ロシア軍による侵略から自国を守るため、国際的な協力を取り付ける役割を果たしました。この取り組みによって、ゼレンスキー大統領は、世界を一つにまとめる歴史に残る名演説家として、その名を永遠に刻むこととなりました。

ゼレンスキー大統領の国際社会への戦略的アプローチ

侵攻の初日、ゼレンスキー大統領は2つの動画メッセージを公開しました。最初のメッセージでは、ウクライナの市民に向けて勇気を与え、同時にロシアの市民に、プーチン政権に対する抵抗を呼びかけました。侵攻が進行する中、ゼレンスキー大統領は各国の議会にオンラインで演説し、ウクライナへの支援を懇願し始めました。

英国、ポーランド、カナダ、アメリカ、ドイツ、イスラエル、イタリア、日本、フランス、スウェーデン… ゼレンスキー大統領は、各国の歴史や文化について語りながら、彼らの心を引き寄せ、ウクライナへの支援を求めました。

普通ならまずありえない特別な事

ゼレンスキー大統領は、各国の議会で行ったオンライン演説で、その国の歴史や自己イメージを巧妙に取り上げ、ウクライナの窮状とどのようにリンクしているかを示しました。これにより、議員たちにウクライナとその危機をより密接に関連付けて考えるよう促しています。

ロシアのウクライナ侵攻が始まってから1ヶ月以内に、ゼレンスキー大統領は少なくとも10回のオンライン演説を行いました。通常、多くの政治家にとって、他国の民主主義国家の議会での演説は一生に一度の名誉とされています。

ゼレンスキー大統領のメッセージの核心

ゼレンスキー大統領の各国議会へのメッセージの核心は、対ロシア制裁の強化と飛行禁止区域の設定を求めることでしたが、その文脈は非常に慎重に構築されました。ゼレンスキーは、各国の独自の背景と価値観に対して敬意を示しながら、ウクライナに対する支援の重要性を強調しました。

「飛行禁止区域」ゼレンスキーの切実な要求とその含意

2022年3月1日、ゼレンスキー大統領はNATOに対して、キエフや他の主要都市の上空に飛行禁止区域を設定するよう要求しました。この要求は、ロシア軍による空爆とその市民に対する破壊的な影響を阻止するためのものです。ゼレンスキー大統領はNATOとのビデオ会議で、この点について極めて緊迫した形で訴えました。

飛行禁止区域は、その名の通り、特定の航空機(この場合、ロシア機)がその空域での飛行を禁止される措置です。しかし、この措置自体が純粋に軍事的なものであり、実施するためには制空権を確立する必要があります。これは、ゼレンスキー大統領がNATOに対して「飛行禁止区域を設定してほしい」という要請は、事実上「NATOはウクライナ側に立って対ロシア戦争に参戦してほしい」と要求していると解釈できる重大な指摘です。

WION/YouTube

「リスクと現実」NATOの飛行禁止区域設定拒否

2022年3月4日、NATOはゼレンスキー大統領の飛行禁止区域設定に関する要求を公式に拒否しました。この決定は、ウクライナ国民にとって運命の瞬間であったかもしれません。

事務総長ストルテンベルグは、ウクライナの窮状を理解しているものの、NATOが飛行禁止区域を設定することは欧州全域での大規模な戦争を引き起こす可能性があり、それは避けなければならないと述べました。

また、NATOがウクライナの領空で活動すること、またはNATO軍がウクライナ領内で活動することは、同盟国間で合意された禁止事項であると強調しました。

一方、米国のブリンケン国務長官は、NATOはウクライナの領土を全面的に防衛する意向であると表明しましたが、NATOは防衛専門の同盟であり、紛争は望んでいないと強調し、仮に紛争が始まればNATOはそれに対応する準備が整っていると述べました。

ただし、これはロシアがNATO加盟国に直接攻撃を仕掛ける場合に限られ、ウクライナが直面している現状には適用されません。

この決定は、NATOが持っている圧倒的な軍事力が、加盟国の防衛に限定されるものであり、ロシアの攻撃がウクライナに限定されている限り、NATOは積極的な介入を避けるという冷徹な現実を示しました。

CBC News: The National/YouTube

「失望と緊迫感」ゼレンスキー大統領のNATO批判

2022年3月4日、ゼレンスキー大統領は、飛行禁止空域の設定に対するNATOの拒否を受けて、その対応を厳しく批判しました。

ゼレンスキー大統領は「NATOはこの決定によって、ロシア軍は空爆を続けてよいというゴーサインを示した」と述べ、さらに「今日以降、空爆で死亡するウクライナ人はNATOのせいで死ぬ。NATOの弱さのために死ぬのだ」と指摘しました。

これは、ゼレンスキー大統領がこれほど強い言葉で欧米を公然と非難した初めての瞬間であり、その言葉には強い失望感が含まれていました。

Guardian News/YouTube
プーチンの警告「制裁は宣戦布告、飛行禁止区域は破滅的結果」

3月5日、ロシアの軍事行動とその目的に対する国際的な非難が高まる中で。プーチン大統領は欧米の対ロシア制裁が宣戦布告に等しいと述べ、ウクライナに飛行禁止区域を設定する試みが世界に破滅的な結果をもたらすと警告しました。

さらにプーチンは、ウクライナが中立を保ち、ロシアを脅かさなくなるよう「非軍事化と脱ナチ化」を通じてロシア語圏を守ることが目的だと再度表明しました。

The Telegraph/YouTube

ウクライナのゼレンスキー大統領、英議会で歴史的演説

3月8日、ウクライナのゼレンスキー大統領はイギリス議会でオンライン演説を行い、ロシアによる侵攻とその影響について強く語りました。オリーブ色のTシャツを着用したゼレンスキー氏は、英国首相ジョンソンに対する感謝を示しつつ、より具体的な支援を求めました。

特に、ゼレンスキー氏はウクライナ上空に飛行禁止区域を設定するよう訴え、さらにロシアを「テロリスト国家」として認定することが必要だと主張しました。ゼレンスキーはロシアの侵攻を「私たちが始めたわけではない戦争」と称し、その結果として50人以上の子供が死亡したことなど、ウクライナの厳しい状況を訴えました。

ゼレンスキー氏は、第二次世界大戦中の英国がナチスドイツと戦い、国家を保持するために戦ったのと同様、ウクライナも国家を失うことなく戦う意義があると強調しました。また、英国の劇作家シェークスピアの『ハムレット』の中の名言「生きるべきか、死ぬべきか」に言及し「私たちは生きるべきか、そうではないのか。その答えは絶対にイエスだ」と語りました。

演説の終盤には、ゼレンスキー大統領が「我々は森で、野原で、海岸で、通りで戦う」と宣言し、議場からは喝采が沸き起こりました。

チャーチルの鼓舞、時を超えて

この言葉は、第二次世界大戦中の1940年に、ヒトラー率いるナチス・ドイツの電撃戦で英仏連合軍が苦境に立たされた際、ウィンストン・チャーチル英首相が国民を奮起させるための歴史的演説のフレーズを彷彿とさせました。

このフレーズは、2003年のイラク戦争の際にも、当時のトニー・ブレア首相によって引用され、英国での愛国心を喚起させる特別な意味を持っています。

約10分間の演説が終わると、議場の下院は立ち上がって拍手を送りました。これは、外国の首脳が英国の下院で演説を行うのは初めてのことで、涙を流す議員の姿も見受けられました。英メディアはこの演説を「歴史的なもの」で、「西側の民主主義国家を結束させる内容だった」と評価しました。

ジョンソン首相の宣言「プーチンに立ち向かう」

ウクライナのゼレンスキー大統領の歴史的な演説に続いて、イギリスの首相ボリス・ジョンソンは多くの新しい措置を発表しました。

「ゼレンスキー大統領の演説はすべての英国民の心を動かした」とジョンソン首相は述べ、英国政府がウクライナへの武器供給を推進し、ロシアのプーチン大統領とその取り巻きに対する経済制裁を強化する方針を明らかにしました。

さらに、ジョンソン首相はこの日、ロシアからの原油および石油製品の輸入を段階的に削減し、2022年末までに完全に停止すると発表し、ウクライナへの武器供給を続けるとともに「プーチン大統領が侵攻に失敗し、ウクライナが自由を取り戻すまで、外交、人道、経済のあらゆる面で対応していく」と述べ、プーチン大統領の取り巻きに対する経済的な制裁強化の方針を示しました。

UK Parliament/YouTube

ゼレンスキー大統領のポーランド議会でのオンライン演説

2022年3月11日: ウクライナのゼレンスキー大統領は、アンジェイ・ドゥダ大統領の召喚を受けて、オンラインでポーランド議会に演説し「ポーランドの兄弟」への「感謝」を明らかにし、「神が私たちを助けてこの戦争に勝てば、私たちの勝利をあなたと分かち合う」と宣言しました。

さらに「親族のあるべき姿」を示すとし、アンジェイ・ドゥダ大統領を「我が友」として称賛しました。

2008年と2010年の出来事を中心としたゼレンスキー大統領の演説

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ポーランドとの歴史的な絆を強調するため、近年の出来事を振り返りました。

2008年、ロシアがジョージアに侵攻した。ポーランドの当時の大統領、レフ・カチンスキはジョージアの首都トビリシを訪れ、重要なメッセージを伝えました。

「今日、我々はとてもよく知っている。明日にはジョージア、明後日にはウクライナ、そしてバルト三国。そして、おそらく我らポーランドのときがくるであろう」という言葉は、ヨーロッパの安全保障の脆弱性とロシアの野望を強調しています。

そして、2022年2月24日、その「明日」がウクライナに到来しました。ウクライナはロシアの脅威に直面しています。ゼレンスキー大統領は、このような状況がポーランドやバルト三国に広がることを避けるため、協力して戦う必要性を強調しました。ゼレンスキーは「私たちには力があるのです。覚えておいてください、9000万人が一緒なのです!」と述べ、ヨーロッパ全体の団結を訴えました。

ゼレンスキー大統領はまた、2010年に起きたスモレンスク近郊の事故にも言及しました。この事故では、ポーランドのレフ・カチンスキ大統領を含む多数の人々が亡くなりました。この悲劇は、ポーランドとウクライナの間の強い絆を一層強化しました。

最後に、ゼレンスキー大統領はヨーロッパの団結と安全保障の重要性を強調しました。

ゼレンスキーは「これは歴史的使命なのです。ポーランドにとって、ウクライナにとって共にヨーロッパを奈落の底からすくい上げ、脅威から救い、ヨーロッパが被害者となるのを阻止する、私たちの歴史的使命なのです」と締めくくりました。

NBC News/YouTube

「想像してほしい」カナダでは名所が都市爆撃を例にあげて心に訴える

2022年3月15日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、カナダ議会にオンラインで感情的な演説を行い、カナダの都市や名所を具体的に挙げ、ウクライナの現状を理解してほしいと訴えました。

ゼレンスキーは、ウクライナの都市がロシアの空爆を受けている現状を強調。その上で、カナダの代表的な都市や観光地が同様の攻撃を受けた場合のシチュエーションを想像させるための例を挙げました。

「想像できますか、誰かがバンクーバーに包囲網を敷いているところを。」「想像できますか、トロントの有名なCNタワーがロシアに爆撃されるところを。」というように、ゼレンスキーの訴えはカナダ国民の心に強く訴えかけるものとなった。

特に「午前4時にひどい爆発音で目を覚まし、空港や数十の都市が破壊される音をあなたやあなたの子どもたちが聞くのを想像できるだろうか」という言葉は、議場を包んでいた熱気を一気に静めました。

ゼレンスキーの演説は、カナダ国民や国際社会に対する強いメッセージとして受け止められました。特に「97人の子どもが殺されたんだ」という衝撃的な事実には、多くの人々が涙を流すほど感動しました。

飛行禁止区域の設定をNATOに要請

ゼレンスキー大統領は、この演説において、ウクライナ上空を飛行禁止区域に指定するようNATOに改めて要請した。ゼレンスキーは「空爆を止める」ための手段として飛行禁止区域の設定の必要性を強調。

「空域を閉鎖してほしい。空爆を止めてほしい。これを実現するまで、あと何発の巡航ミサイルが私たちの都市に落ちなければならないのか」と情熱的に呼びかけた。

しかし、北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、飛行禁止区域の設定を行うと、実質的には「参戦」を意味し、戦禍の拡大の危険が高まるとの懸念からこれを拒否しています。特に、ウクライナ上空を飛行禁止区域に設定すると、該当空域に侵入したロシア軍機とNATO軍が直接交戦するリスクが高まってしまいます。

このため、バイデン米大統領やNATOは「第3次世界大戦は戦わない」という立場をとり、飛行禁止区域の設定は避けていました。また、カナダのトルドー首相も「ロシア機を撃墜するためにNATOの飛行機をウクライナに送る行動は、NATOを直接紛争に巻き込むリスクがある」として、ゼレンスキー大統領の要請に応じることを慎重に選択していました。

CityNews/YouTube
カナダの支援に謝意を示し、さらなる制裁を訴え

ゼレンスキー大統領はカナダ議会での演説中、カナダが行っている対ロシア制裁やウクライナへの軍装備供与、人道支援の取り組みに対し「カナダはわれわれが切実に必要としている武器やその他の支援を提供してくれており、ロシアに対して実質的な制裁を科している」と述べ、深い感謝の意を示しました。

さらに「カナダは過去も、そして未来も我々の側に立ってくれる」と強調し、カナダを信頼できる長期的なパートナーとして称賛しました。

しかその一方で、ゼレンスキー大統領は現状の困難をも隠さず伝え、「残念ながら戦争はまだ続いており、ロシア軍はウクライナの領土から撤退していない」とも述べました。

深い絆と共同の取り組み

「戦争の拡大を避けようという声や、ウクライナがNATOに加盟したいという我々の希望に対して明確な答えを得られない」

ゼレンスキー大統領は、カナダ議会での演説中に、NATO加盟に関するウクライナの願望や現在の戦争の拡大を避ける取り組みに対する不満を公然と表明しました。

カナダとウクライナの強固な絆

実は、カナダとウクライナとの間には長い歴史と深い絆が存在しており、ウクライナにとって重要な支持国の一つです。

カナダは、1991年のウクライナの独立を最初に認めた国の一つであり、約150万人のウクライナ系移民を受け入れています。政界にはウクライナ系の代表者が存在し、特にフリーランド副首相はその一人として知られています。

G7の中でも最もロシアに批判的な立場を取っています。特に、2014年のクリミア併合後、カナダは安倍晋三首相とプーチン大統領の平和条約交渉に異議を唱えました。

また、今回のゼレンスキー大統領の演説前に、ウクライナ侵攻を支援したとされるロシア政府関係者15人に新たな制裁を発表。ジョリー外相は、「プーチン大統領には、無意味な暴力をやめる選択がある」と述べ、ロシアの指導者に対し、さらなる措置を取る用意があることを明言していました。

さらに、カナダ人義勇兵の数千人がウクライナ軍とともにロシア軍との戦闘に参加しており、カナダは米軍と協力しウクライナに武器援助も行っています。

感動と賛辞

ゼレンスキーの演説は、議員たちの心を深く打ちました。約12分間にわたるその演説の後、議員たちは一斉に立ち上がり、数分間続く長い拍手でゼレンスキー氏の勇気と決意を称賛した。演説の影響は非常に大きく、感極まった議員たちの中には涙を流しながらウクライナへのさらなる支援を訴える者もいました。

カナダのジャスティン・トルドー首相は、演説の後に「ゼレンスキー氏は民主主義の真のチャンピオンである」と賞賛しました。さらに、「ゼレンスキー氏とウクライナ国民の示す勇気には感銘を受けている。ゼレンスキーはウクライナ人の権利と、すべての民主主義国家が共有する価値を守っている」と強調しました。

ロシアのプーチン大統領に対しては「彼の人命に対する露骨な無視は絶対に許されない」と強く非難。トルドー首相は、ロシアに対して民間人を狙った不当な戦争を即座に終結させるよう強く求めた。

この日の演説は、カナダとウクライナとの間の絆をさらに強固にしました。

アメリカ連邦議会でのオンライン演説

2022年3月16日、ウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカの連邦議会にてオンラインで演説を来ないました。

この日、ゼレンスキーの映像がスクリーンに映し出されると、米国の議員たちは一斉に立ち上がり、総立ちでの拍手と声援で歓迎しました。

ゼレンスキーは初め笑顔で迎えられた歓声に応えていたが、演説が始まるとその表情は一変。厳しい表情でウクライナの現状について「首都キエフは日々、ロシア軍の空爆にさらされていますが、我々ウクライナ人は決して屈することはありません」と強い決意を示しながら語り始めました。

さらに、ゼレンスキー大統領はアメリカの建国の精神を引き合いに出し、「民主主義、独立、自由」について触れた。「これらはアメリカ人が建国当初から最も大切にしてきた価値観です。我々ウクライナ人も、まさにこのような価値観を求め、現在も守り続けています」と熱弁。ウクライナとアメリカとの共通の価値観を強調し、さらなる支援をアメリカに訴えました。

CTV News/YouTube
「飛行禁止空域」を要請で“真珠湾攻撃”と“9.11”を例に出して語りかける

ウクライナはロシア軍の増強される爆撃下にあり、その危機が日を追うごとに深まっていました。

ゼレンスキー大統領は国際社会に対し、歴史的な事件を引き合いに出し、その衝撃とウクライナが現在直面している危機の類似性を強調することで、ウクライナ上空の「飛行禁止空域」の設定を強く求めました。

この演説では「真珠湾を思い出してください。1941年12月7日のその恐ろしい朝を。アメリカの空が戦闘機で覆われ、突如として平和が奪われた瞬間を。そして9月11日を、2001年のその恐ろしい日を忘れてはならない。悪がアメリカの都市、そして自由な国の領土を攻撃の舞台に変えた瞬間を」と述べました。

ゼレンスキー大統領はこの比較を通して、「私たちの国、ウクライナも今、この瞬間、それと同じような恐怖と危機を毎日、毎夜、何週間にもわたって経験している」と強調。国際社会への協力と援助の必要性を訴えました。

「私には夢がある」キング牧師の演説を引用引用

演説中に、有名なマーティン・ルーサー・キング牧師の「I have a dream(私には夢がある)」を引用する形で、独自のメッセージを伝えたことは特筆すべきポイントとなりました。

キング牧師の名言は、アメリカの公民権運動の中での平等と正義を求める象徴的なものです。ゼレンスキー大統領がこの言葉を引用することで、ウクライナの現在の状況と公民権運動との間に深いつながりを見出し、ウクライナの困難な状況に対する理解と共感を国際社会から求める戦略的な手法として利用しました。

「I have a dream」という言葉を「I have a need.(私には必要なものがあります)」と変えることで、ゼレンスキーはウクライナの直面する現実的な危機と必要性を強調しました。特に、「私は空を守る必要がある」という言葉によって、ウクライナ上空を飛行禁止区域にするを再度要求しました。

生々しい映像の力

ゼレンスキー大統領がアメリカの連邦議会での演説中にウクライナの都市へのミサイル攻撃や、それに伴う死者や負傷者の映像を披露したことは、決して忘れられない瞬間となりました。

このアプローチは、視覚的な情報が持つ圧倒的な影響力を利用したものであり、数々の研究によってその効果が確認されています。

人は視覚情報を最も効率的に処理し、その情報を記憶に残しやすいと言われています。そのため、抽象的な数字やデータ、または単なる言葉の情報よりも、実際の映像や写真は人々の心に強い印象を与えることができます。

ゼレンスキー大統領のこの戦略は、単に情報を伝えるだけではなく、国際社会に即座の行動を取らせることを目的としていました。映像によって、米国の議員はウクライナの現状を単なる遠くの問題としてではなく、実際に起きている人道的危機として認識せざる得ませんでした。

このような戦略的な演説の構築は、目の前の危機への対応を急ぐための圧力を増加させることを狙ったものであったと考えられます。

英語で語りかけた感動的な結びの言葉

あなたは、あなたの偉大な国の指導者だ。わたしは、あなたが世界の指導者になることを望む。世界の指導者であることは、平和の指導者だ」

演説のクライマックスは、米国のジョー・バイデン大統領にむけて、英語での直接のメッセージでした。これは、アメリカが世界の平和と安全を守るために果たすリーダーシップの役割と、現在のウクライナの危機に対するその重要性を強調するものでした。

また、ゼレンスキーが最後の部分を英語で語ったことは特に印象的でした。これは、ゼレンスキーのメッセージが直接的であり、国際的な観客、特にアメリカの観客に届けられることを確実にするための意図的な選択であったと考えられます。英語での直接のアピールは、熱意と情熱を更に際立たせるもので、聴衆の感情に深く訴えかけました。

演説数時間後にアメリカは武器の追加支援を発表

ゼレンスキー大統領の議会での情熱的な演説は、アメリカの上層部のリーダーシップ、特にペロシ下院議長やバイデン大統領からの即時の反応を引き出しました。演説が、アメリカの政治家や市民に、ウクライナの困難な状況とその人々の勇気に対する共感と支持を再確認させたことは明らかです。

ペロシ下院議長のツイートは、アメリカが民主主義の原則を尊重し、その原則に基づく国々を支持するという国家のコミットメントを再確認するものでした。一方、バイデン大統領のコメントは、ゼレンスキー大統領のメッセージが説得力を持っていたこと、そして世界がウクライナの支援のために団結していることを強調しています。

しかし、実際の支援として、アメリカは8億ドルの武器供与の追加を発表しました。この決定は、ゼレンスキー大統領の演説の影響を受けてのものであると広く解釈されています。追加される武器は、ウクライナがロシアとの対立の中で必要とする重要なツールを提供するものです。

しかしながら、ゼレンスキー大統領が強く要求していた、NATOによるウクライナ上空の「飛行禁止区域」の設定や戦闘機の供与は、アメリカの新しい支援の中には盛り込まれませんでした。これは、西側諸国がロシアとの直接の軍事的対決を避けるための慎重な判断と解釈されています。

アメリカの反応と支援の詳細

ゼレンスキー大統領の議会での演説は、国際的な注意を引きつけ、特にアメリカのはウクライナ支援に大きく動きだしました。

ペロシ下院議長のツイート

ナンシー・ペロシ下院議長は、ゼレンスキー大統領の演説を聞くことが「特に光栄なこと」と評し、ツイートにて「アメリカの勇気を持って民主主義を守るウクライナの人々への支援は揺るぎない」とのメッセージを発信しました。

バイデン大統領の発表

バイデン大統領は、ホワイトハウスのプライベート・レジデンスでゼレンスキー大統領の演説を聞いた後、記者団に対して「説得力のある重要な内容だった。情熱的なメッセージに感謝したい」と述べました。更に「世界はウクライナへの支援と、プーチンに多大なる代償を払わせるという決意で団結している」との立場を明確にしました。

武器供与の詳細

ホワイトハウスは、議会演説の数時間後に8億ドル(約950億円)規模の武器供与追加を発表し、これによりアメリカのウクライナ支援は合計10億ドルに達しました。追加供与の武器としては、以下のものが挙げられます。

  • 携帯型地対空ミサイル「スティンガー」800基
  • 対戦車ミサイル「ジャヴェリン」基
  • AT4携行対戦車システム6000基
  • 戦術ドローンシステム100基
  • グレネードランチャー100門
  • ライフル銃5000丁
  • 機関銃400丁
  • ショットガン400兆
  • ボディアーマー2万5000個
  • ヘルメット2万5000個 など

しかし、ゼレンスキー大統領が強く求めていた、NATOによるウクライナ上空の「飛行禁止区域」の設定や戦闘機の供与は、今回の支援パッケージには盛り込まれませんでした。これは、西側諸国とロシアとの間の更なる軍事的緊張を避けるための配慮とみられます。

ゼレンスキー大統領の演説と日本の反応

ゼレンスキー大統領の議会での演説が心を動かすものであった一方で、2001年の9月11日のテロ事件と同列に扱ったことで、一部の日本国民の間で疑問や失望の声が生まれました。

日本にとって、真珠湾攻撃は歴史的な背景と感情が複雑に絡んでおり、それを現代の出来事や他の国の事件と同列に並べるのは明確な違和感があります。

『ワイドナショー』に出演したお笑い芸人の松本人志は、ゼレンスキー大統領のこの発言について「受け入れがたい」とコメントしました。この言葉は、多くの日本人の心情を代弁していると言えます。

一方で、アメリカ人にとっての真珠湾攻撃は、今でも心に深い傷として残っています。この出来事は、アメリカが第二次世界大戦に参戦する直接のきっかけとなったため、その影響は計り知れないものになっています。

「壁を壊して……!」ゼレンスキー大統領のドイツ連邦議会での演説

3月17日、ウクライナのゼレンスキー大統領がドイツ連邦議会においてビデオ演説を行いました。ドイツはEU最大の経済力を持ち、ロシアのエネルギーへの依存が深いため、EUにおける制裁の決定に大きな影響を持っています。

この日、トレードマークであるカーキ色のシャツ姿で登場したゼレンスキー大統領を、ドイツ連邦議会の議員たちは総立ちで歓迎しました。この歓迎の背景には、ゼレンスキー大統領が示す強いリーダーシップやウクライナ国民の勇気に対する敬意が込められていたと言えます。

ゼレンスキー大統領は演説の中で、「戦争が始まってから3週間が経過し、多くの無実の命が失われた。子どもたちもその犠牲となっている。この悲劇はヨーロッパの真ん中で現実に起きていることだ」と述べ、ウクライナ国内の深刻な状況を強く訴えました。

また、ドイツの支援に対しての感謝の意を伝えた一方で、最近のドイツとロシアの関係についての懸念を公然と示しました。

ドイツのロシアへの対応を非難

「我々は戦争が勃発する前に、ロシアがウクライナへの侵攻を思いとどまるように、厳しい経済制裁措置を発動してほしいとあなた方に要請した。しかしあなた方はロシアとの貿易を重視し、経済・経済・経済の原則を貫くだけだった」

ゼレンスキー大統領の演説は、ドイツのウクライナへの支援に関する遅れや矛盾に対する鋭い非難として注目を集めました。欧州最大の経済大国であるドイツがロシアとの関係をどう位置づけるかは、今回のウクライナ危機の中で特に顕著になった問題点の一つと言えるでしょう

経済と政策の狭間

ロシアとドイツの間には深い経済的関係が存在しており、特にエネルギー分野においてはロシアがドイツの主要な供給国となっています。そのため、厳しい経済制裁を発動するという判断は、ドイツの経済に対する打撃をも意味するため、簡単には行えない選択でした。

しかし、ウクライナからの支援要請に対するドイツの遅れや限定的な対応は、国際的な批判の的となりました。ロシアのウクライナへの侵攻の危機が高まる中、ドイツが軍事支援を行うことに躊躇した背景には、経済利益を守るという観点が影響していたと指摘する声もあります。

ウクライナの要請とドイツの対応

ゼレンスキー大統領の指摘通り、ウクライナはドイツに対して支援要請を繰り返してきました。しかし、ドイツはこの要請に対し、他の西側諸国と比べると消極的な対応をとってきたと広く認識されています。

ロシアがの侵攻してくる前、ウクライナへの軍事的脅威が高まる中で、ウクライナは、西側諸国、特にNATO加盟国からの具体的な軍事支援を求めていた。これには、ロシアの脅威に対抗するための武器や装備、訓練などが含まれる。

しかし、ドイツが初めに提供したのは、実戦での有効性に疑問符がつく5000個のヘルメットだけででした。この出来事は多くの失笑を買いました。また、駐独ウクライナ大使は「ジェスチャーとしての意味しかない」と非難しました。

ドイツのウクライナ支援「開戦後の対応と旧式武器の供与」

ドイツのウクライナへの武器支援に関する立場や行動は、他のNATO加盟国と比較して独特のものであった。開戦後に始められたこの支援は、他のNATO国に先んじられる形となり、特に注目されるのは供与された武器のタイプとその時期である。

開戦後の武器支援:開戦後、ドイツはウクライナへの武器支援を開始した。しかし、その対応はNATO(北大西洋条約機構)の加盟国の中で最も遅かった。

旧式武器の供与:ドイツが供与した武器の中に、30年以上前に製造された旧式のソ連製携帯式対空ミサイル「ストレラ」が含まれていた。(これらの武器は、社会主義時代の東ドイツ人民軍が保有していたものであり、現代の戦場での効果や信頼性には疑問符がつく)

「ノルドストリーム」問題

「経済、経済、経済!」

演説の中でゼレンスキー大統領は、ウクライナが繰り返し「ノルドストリーム」の建設はロシアの戦争準備の一環であると警告してきたにも関わらず、ドイツはこのプロジェクトを進める上で、経済的な利益を最優先してきたと非難しました。

さらに、ゼレンスキー大統領は、ドイツがウクライナの立場を十分に理解していないと感じています。ウクライナはロシアの政治的・経済的な影響下からの独立を強く望んでいるが、ドイツは「ノルドストリーム2」の計画を進めることで、このウクライナの願望を無視したとの立場を取っています。

NATO・EU加盟と欧州の「新たな壁」

ゼレンスキー大統領は、ウクライナのNATOやEUへの加盟願望が無視されていることを批判し、その背景にある欧州の新しい「分断」に警鐘を鳴らしました。

「我々が感じる新たな壁の存在により、ウクライナは隔離され、ドイツはその壁の安全な側に位置しています」とゼレンスキーは強調し、ノルドストリームに関するウクライナの警告が無視され、その結果として欧州全体の結束が崩れる可能性を指摘しました。

その上で、ゼレンスキー氏はロシアとの現在進行中のビジネス取引を問題視し「戦争の真っ只中でも、ある者たちはロシアとのビジネスを継続しています。私たちの現状が壁に遮られて見えないのでしょうか?」と問いかけました。

ゼレンスキーロシアの影響圏と自由な欧州社会との間に存在する見えざる壁を指摘し、冷戦期に存在したベルリンの壁を例に「新しく形成されつつある壁を取り払うよう」ドイツのショルツ首相らに強く訴えました。ゼレンスキーは結びとして、「もしドイツがリーダーシップを取るならば、その決断は将来の世代にも賞賛されることでしょう」と締めくくりました。

反発もあったがドイツはロシアへの方針を転換した

ゼレンスキー大統領の熱烈な演説を受け、ドイツの連邦議員たちは立ち上がって拍手を送りました。

カトリン・ゲーリング・エッカルト副議長はゼレンスキーに対し、ウクライナが民主主義を選択したこと、そしてそれがプーチン大統領が最も恐れていることであるとのメッセージを伝えました。プーチンのウクライナへの接触は既に失敗しているとエッカルト副議長は主張しました。

一方で、ゼレンスキーの非難の言葉を受けたドイツでは、批判の声も上がりました。それでも、演説からわずか8日後の3月25日には、ドイツ政府はロシアからの原油輸入を年内に停止するという方針転換を発表しました。

ドイツの主要ニュースサイトは、議会におけるこれほどの厳しい批判は前例がないとし、ショルツ首相の演説後の態度に対して疑問を投げかけた。多くのドイツ国民も、ショルツ首相の対応を問題視している。

加えて、メルケル前首相への期待と懐かしみを表現する声も一部から上がりました。その中には、メルケルならばロシアとの対話ができ、現状のような混乱は生じなかっただろうとの意見や、即座に反論しただろうとの声がありました。

CGTN/YouTube

スイスでは反戦デモ集会でオンライン演説

2022年3月19日、スイスの首都ベルンで開かれた反戦デモ集会「ウクライナと連帯し、今すぐ戦争を止めろ!」には、数多くの人々が集まっていました。特に注目されたのは、スイスのイグナツィオ・カシス連邦大統領とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の参加でした。

カシス大統領は「親愛なるウォロディミル、これだけ多くの人々が、あなたの国民が孤独でないことを示しにきた。ここにはスイス人、世界各国の人々、そして多くのウクライナ人がいる」と述べウクライナとの連帯を強調した。

更にウクライナ人に対して「あなたたちを歓迎する」との言葉を捧げ、その勇気と決意を讃えた。

カシスは続けて、ウクライナ人の民主主義、自由、平和のための闘争に心からの敬意と感銘を表明し「私たちは皆、皆さんがロシアに対抗するために団結していることにも感銘を受けている。しかし何よりも、自由という基本的価値観を守る皆さんの姿に感動している。自由は私たちの基本的価値観でもある」と語りました。

ゼレンスキー大統領のメッセージ

ゼレンスキー大統領は、慣れたドイツ語でスイス国民に向けて「私たちの自由と平和のための戦いを支援してくれていることに感謝する」と感謝の言葉を述べました。

続けて、スイスの平和と自由を称賛し、ウクライナも同じような生活を求めていると訴えた。特に2月24日以降の状況の変化を強調し「私たちウクライナ人にとってだけではない。欧州全体にとっても」との考えを述べました。

多国籍企業を非難

ゼレンスキー大統領はウクライナの苦境を強調しながらも、ロシアとのビジネスが継続している国や企業を「われわれの子供たちが死に、われわれの都市が都市が破壊されても、ロシアでのビジネスはうまくいっている」と批判しました。

ゼレンスキー大統領は、ロシアとのビジネスを続ける多国籍企業、特にスイスの食品産業のリーダーであるネスレへの疑問を投げかけました。

ネスレは世界的に「グッドフード、グッドライフ(良い食べ物、良い生活)」という標語を掲げてビジネスを展開していますが、ゼレンスキー大統領はロシアでの事業活動が通常通りに続けられていることに疑問を呈しました。

さらに、ゼレンスキー大統領はスイスの金融機関にも目を向け「この戦争を始めた人々の資金はあなたがたの銀行に預けられている。彼らの資金が凍結されるよう支援をいただきたい」と求めました。

オデッサ映画スタジオ/YouTube

「当時枯れはユダヤ人問題の最終的解決」イスラエル国会でのビデオ演説

2022年3月20日、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、イスラエル国会においてビデオを通じて演説を行った。

この演説の中で、イスラエルに対しウクライナへのミサイル防衛システムの提供を要請し、ロシアに対して更なる圧力をかけるため、ロシアへの制裁発動を求める内容を強く訴えました。

The Independent/YouTube
ユダヤ系指導者としての絆とイスラエルの複雑な立場

ゼレンスキー大統領がイスラエル国会での演説を行った際、その模様は広くテレビやオンライン、さらにはイスラエルの商都テルアビブの広場で中継されました。この出来事は、ユダヤ系国家元首としての特別な関係を象徴するものでした。

現在の世界において、ユダヤ教徒が国家元首である国はイスラエルとウクライナの2つしかぞんざいしていません。

イスラエルは、ユダヤ人が人口の70%以上を占める国で、ユダヤ人のホームランドとしての役割を果たしています。一方で、ウクライナはユダヤ系のゼレンスキー大統領が国民を鼓舞し続けている国であり、現在ロシアの侵略を受けています。

ゼレンスキー大統領は演説の中で、イスラエル国民を「兄弟たち」と呼び、この絆を強調することで支援と連帯を求めました。しかし、ゼレンスキー大統領が強く訴えている対露制裁や高度な武器の提供について、イスラエルは慎重な立場をとっています。

これには理由があります。イスラエルは中東の地政学的な状況を鑑み、ロシアとの関係を維持する必要がありました。ロシアはシリアでの軍事的介入を通じて中東における重要なプレイヤーとしての地位を確立しており、両国の関係を悪化させることは、イスラエル独自の地政学にとってリスクが伴うことでした。

このような状況下、ゼレンスキー大統領の要求に全面的に応えることは難しいというのが現実だったのです。

Zahi Shaked, Israeli tour guide צחי שקד, מורה דרך/YouTube
ナチスによるホロコーストになぞらえて支援を求めた

ゼレンスキー大統領は演説中に、ロシアのウクライナ侵攻を第二次世界大戦中のナチスによるホロコーストになぞらえ、深い感慨を込めて支援を求めました。ゼレンスキーはその言葉でユダヤ人の歴史的な苦しみと現在のウクライナの危機を結びつけることを試みた。

「クレムリンが何を言っているのか聞いて欲しい」と始め「第二次大戦時に用いられた言葉が今、モスクワで再び使われている」と続けました。

ゼレンスキーはナチスによるユダヤ人の殲滅政策、特に「ユダヤ人問題の最終的解決」というフレーズを引き合いに出し、現代のロシアがウクライナに対して用いている「ウクライナ問題の最終的解決」という言葉を用いて比較しました。

この比較は、ロシアが現在のウクライナ問題を解決しようとする姿勢を、ナチスがユダヤ人を対象としたその残虐な政策と並列して示すものでした。

ゼレンスキー大統領は、その言葉がイスラエルの人々にとってどれほど重要で感情的なものであるかを理解しており、彼らの共感を引き出すことを目的としていた可能性があります。

イスラエルに『アイアンドーム』の提供を要請

「あなたのミサイル防衛システムが最高であることは誰もが知っています。そして、あなたは間違いなく私たちの人々を助け、ウクライナ人、ウクライナ系ユダヤ人の命を救うことができます」

ユダヤ系ウクライナ人のゼレンスキー大統領は、イスラエルに対し、高性能なミサイル防空システム『アイアンドーム』の提供を直接的に要請しました。ゼレンスキーのこの要請は、ウクライナの現状とイスラエルの先進的な防空技術の間に存在する潜在的なつながりを示している。

アイアンドームとは

アイアンドームはイスラエルが開発した防空ミサイルシステムで、主にロケット弾や砲弾の迎撃を目的としています。システムは「タミル」ミサイルの20連装ランチャー、レーダー、および指揮ユニットから成り立っています。

高価な防空ミサイルを用いることの経済性を考慮し、アイアンドームは既存の兵器技術を流用して開発されました。そのため、他の防空システムに比べて調達と運用のコストが低いとされる一方、迎撃成功率の高さも特徴の一つとして知られています。

システムは2011年に配備が始まり、2012年には迎撃成功率が90%以上に達したと報じられています。

世界のユダヤ人コミュニティはアイアンドームを寄付を叫んでいる

2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻したことを受けて、イスラエル国内では表立った抗議運動が起きていました。

世界中のユダヤ人コミュニティからは、イスラエルがウクライナの支援に積極的に関与すぐよう強く要求されています。具体的には、外交的な支援や緊急病院の建設、そしてアイアンドーム兵器技術の提供などが求められていたのです。

イスラエルのテルアビブ市のロシア大使館の前では、デモ隊が「プーチンは今日のヒトラーだ」「プーチンを止めろ、戦争を止めろ」というメッセージなどの横断幕を掲げ、ウクライナへの攻撃の即時停止を要求する声を上げていました。

イスラエル国会でのビデオ演説

ウクライナのゼレンスキー大統領は、イスラエル国会での演説後のウクライナ国民向けのメッセージで、イスラエルがウクライナとロシア間の和平交渉を積極的に進めていることを公にしました。ゼレンスキーはエルサレムでの協議が実現する可能性を示唆し、「遅かれ早かれ、エルサレムでロシアとの協議が始まるだろう」との見解を示しました。

イスラエル側も、首相のナフタリ・ベネット氏をはじめとする政府高官が、ウクライナとロシアの和平のために継続的な仲介活動を行っていることが明らかになっています。特にベネット首相は、ゼレンスキー大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との間で何度も直接の通話を持ち、紛争の早期終結を目指しています。

外相のイェール・ラピド氏も、ウクライナに対する支援を約束し「できる限りの支援を続ける」と明言しており、イスラエルがウクライナとの協力を強化していることが伺えます。

ゼレンスキーの演説に批判の声も

ゼレンスキー大統領の演説において、ウクライナの現状をホロコーストと比較する表現を用いたことは、多くのイスラエルの市民や国会議員からの批判を呼び起こしました。

ホロコーストは20世紀の歴史上、最も凄惨な大量虐殺の一つとして、特にユダヤ人コミュニティにとって極めて深刻な意味を持つ出来事です。そのため、他の事件や状況と比較すること自体が不適切であると考える人々かったのです。

ゼレンスキー大統領がユダヤ人であり、祖父がホロコーストの生存者であることは、このような比較が感情的な背景を持つものであったことを示しています。しかし、その背景や感情にも関わらず、ホロコーストという歴史的事実を他の出来事と比較することに対しては、多くのイスラエルの人々が敏感に反応するのは当然のことと言えるでしょう。

ヤド・ヴァシェムの「ホロコースト記念館」のダニダヤン館長の批判は、この感情の強さを如実に示しています。ヴァシェムはゼレンスキー大統領に謝罪を求め、ホロコーストとウクライナの現状を明確に区別する必要性を強調しました。

一方で、ナフタリ・ベネット首相のコメントは、ゼレンスキー大統領の立場と痛みを理解しようとする姿勢を示しています。ベネット首相は、ホロコーストとの比較は適切ではないとしながらも、ゼレンスキー大統領の感情や状況を考慮して、その言葉の背景にある意味を理解しようとしているようです。

イタリア議会にてロシアのオリガルヒに対する行動を訴え

ゼレンスキー大統領は、2023年3月22日、イタリアの議会でスピーチを行い、イタリアに対してロシアのオリガルヒが安全な避難所として利用するのを阻止するように求めました。

戦時中のある国の国家元首がイタリアの議会でのスピーチを行うのは、イタリアの歴史上初めてであり、特別出来事になりました。

スピーチが始まる前、ゼレンスキー大統領とのビデオ通話が接続された瞬間、議場内はスタンディングオベーションとなり、大統領の言葉に対する敬意と支持を示す長い拍手が続きました。

この熱烈な歓迎に、ゼレンスキー大統領は少し照れたような笑顔を見せ、感慨深い表情を隠せない様子だった。ゼレンスキーが魅せた少し照れくさい笑顔は、人々の心をさらに掴み、ゼレンスキーとウクライナの人々への共感を一層深めることとなりました。

その後、ゼレンスキー大統領は12分間に及ぶ熱いスピーチを開始し、イタリア議会の議員たちに向けて、ロシアの侵攻を止めるための強力な支援と連帯を訴えました

イタリアの都市ジェノバを例にあげマリウポリの状況を話した

ゼレンスキー大統領の訴えは、ロシアのオリガルヒたちが経済制裁を逃れるために他国での安全な避難所を求めている現状を背景にしています。イタリア、特にそのリゾート地や豪邸が、多くのロシアの富豪たちにとっての魅力的な場所となっていることから、大統領の訴えは特に意味があるものとなりました。

「何万もの家族が破壊された」

ゼレンスキー大統領は、イタリアの議会でのビデオスピーチの冒頭で、ウクライナの人々とその家族がどれほどの困難に直面しているかを強調しました。

「包囲下にあるマリウポリはイタリアのジェノバと同じくらいの大きさの街です。ジェノバが完全に破壊され廃墟だけが残ったと想像してみてください」

ジェノバはウクライナのマリウポリと同じくイタリアの重要な港湾都市であり、イタリア人にとっては非常に身近な存在です。ゼレンスキーは、自国の戦況をイタリアに理解してもらうために、ジェノバを引き合いに出し議員に語りかけました。

「欧州においてこれらの行動はナチスによってのみ実行されました。これはただ一人の人によって企てられた。この戦争を辞めさせるにはあらゆるすべての事をする必要があるのです」

ゼレンスキー大統領のスピーチは、欧州の歴史における最も暗い時期、第二次世界大戦中のナチスの行動と、現在のロシアのウクライナ侵略を比較して、欧州と国際社会に警鐘を鳴らすものでした。

その強力なメッセージは、国際的な連帯の重要性と統一された行動の取り組みを強調しました。この状況は、ウクライナだけの問題ではなく、ヨーロッパ全体の平和と安全保障がかかっているという強い信念を表していました。

そして「ロシアは、ヨーロッパの玄関口であるウクライナをこじあけようとしているが、入れてはならない」という、この演説の中でもっとも印象的な言葉を残しました。

他にも、敬愛されているローマ教皇フランシスコとの間での電話会談にも演説中に触れ、キリスト教徒の連帯感と敬意を訴え宗教的な視点からの連帯と支援の必要性を強調しました。

「殺人者のためのリゾート地にならないようにしてほしい」

「ウクライナに戦争を持ち込んだ人たちを知っているでしょう?」

「戦いを命じた者と、それを推進した者たちです」

ゼレンスキー大統領はイタリア議会での演説中、ロシアのプーチン大統領とその支援者たちがイタリアを頻繁に訪れて休暇を楽しんでいることを指摘しました。

「殺人者たちのリゾートになってはいけない。彼らの全ての不動産、口座、シェヘラザードから小型のヨットまでを差し押さえて」

「彼らのほぼ全員がイタリアを休暇の場所として使っている。殺人者のためのリゾート地にならないようにしてほしい」

このように、ゼレンスキーはオリガルヒたちの豪華な資産の差し押さえと、銀行口座やヨットなどへのアクセスを遮断する行動をイタリアの議員たちに強く訴えかけました。

ゼレンスキー大統領の熱く感謝の言葉

ウクライナ危機を巡り、多くの欧州諸国が声を上げる中、イタリアの協力と支援は特に目立ったのもでした。

「いつか自分のところに戻ってこられるように、平和のために影響力を行使させましょう」

ゼレンスキー大統領はビデオ通話を通じたスピーチの最後に、イタリア議員たちに対する感謝の気持ちを深く伝えました。

さらに、「あなた方は70,000人以上の難民を歓迎し受け入れてくれた。その多くは子供たちであり、戦争を逃れてイタリアに避難した最初の女性はイタリアで出産しました。」という言葉で、イタリアの人々の暖かさと支援の大きさを称賛しました。

ドラギ首相の対応

ゼレンスキー大統領の熱心なスピーチに応じて、イタリアの首相ドラギは、ウクライナの人々とその抵抗の精神に敬意を表して言葉を述べました。首相は「ウクライナの人々の威厳はロシアのごう慢さに立ち向かい、ロシアに多大な犠牲を払わせている」とし、ウクライナの持つ不屈の精神を強調しました。

ドラギ首相は、ロシアへの制裁の強化を明確に支持し、その上でヨーロッパ連合(EU)との緊密な連携の重要性を強調しました。ドラギ首相の言葉は、ヨーロッパ全体が一致してウクライナを支持し、ロシアの行動に対する明確な立場を取ることの重要性を示すものでした。

イタリアとしても、ウクライナへの支援とロシアへの圧力の強化に関して一貫した姿勢を示すことで、ヨーロッパの一員としての責任を果たそうとしています。

NBC News/YouTube

「スポンサーであることを止めて」ゼレンスキー大統領のフランス国会での演説

2022年3月23日、ゼレンスキー大統領はフランス国会にてオンラインでの演説を実施しました。この大切な機会は、ウクライナが直面している危機とヨーロッパ諸国への訴えを再度強調するためのものでした。

演説の開始前には、フランスの議員たちからウクライナとその駐仏大使に対して3回のスタンディングオベーションが送られた。この行動は、フランスがウクライナに対して示す深い連帯感と支持を象徴していた。

ゼレンスキー大統領は「あなた方に、どうしたら戦争を止められるか、平和をもたらせるか、質問したい。でもその答えはあなたたちの手中にあります」と強調し、フランスや他のヨーロッパ諸国がロシアの行動に対して具体的な対策を取ることの重要性を示唆し、国際的な協力と結束の重要性を前面に押し出しました。

そして、戦争の犠牲となったウクライナ市民たちを追悼するため、一分間の黙祷を議員たちに求めました。この時の黙祷は、フランス国会の広間を満たす静寂とともに、ヨーロッパ全体の平和と統一に対する願いを感じさせるものでした。

FRANCE 24 English/YouTube
マリウポリはWW1の時のベルダンの荒廃を思い起こさせる

ゼレンスキー大統領はこの演説の中で、フランスの歴史と現在のウクライナの状況を結びつけて強烈なメッセージを送りました。

第1次世界大戦中のフランスのベルダンの悲劇とマリウポリなどのウクライナ都市の現状を比較し、「誰もが目にしたことがある第1次世界大戦の写真に写ったベルダンの荒廃を想起させる」と述べました。これはフランスの歴史的な痛みを共有し、共感を求めるための明確な戦略でした。

また、ロシア軍が市民の生活を無視し、無差別に攻撃を行っていることを強調し「ロシア軍は標的を区別しない。住宅街や病院、学校、大学を破壊している」と告発した。

フランス企業とロシア市場

「子どもや女性を殺すための出資を停止しなければなりません。価値は、利益よりも価値があるのです」

ゼレンスキー大統領の演説の中で最も注目すべき部分は、ロシアから撤退していないフランスの企業に直接名前を出して訴えたことでした。

  • ルノー:ルノーはロシアの自動車市場での影響力が大きく、人気ブランド「ラーダ」を製造するアフトワズという企業を子会社として所有している。ロシアはルノーにとって世界で2番目に大きい市場であり、その経済的な利益は非常に大きい。
  • ルロワ・メルラン:ホームセンターとしてのルロワ・メルランは、ロシアでの事業展開が盛んで、約3万6000人の従業員を抱え、約230の店舗を運営している。
  • オーシャン:スポーツ関連商品を扱うオーシャンは、ロシア市場での売上が世界全体の10%を超えるとされており、ロシア撤退は経営への大打撃を意味する。

これらの企業は、撤退すれば経営に大きな損害が生じる一方で、撤退しなければブランドや企業のイメージを損ねるリスクも増大するというジレンマに直面しています。

このような状況下で、マクロン大統領もその立場をはっきりと示すのは難しく、企業の判断を尊重する立場をとっていました。

ルノーとフランス企業のロシアでの立場

ロシアにおけるウクライナ侵攻後の経済状況は、多くの国際企業にとって難しい選択を強いている。

特に、そのような状況下で事業を続けるべきか、それとも撤退または一時的な停止を選択すべきかという問いは、企業の経済的利益とモラル的義務の間の緊張を生み出してました。

  • ルノー:フランス政府が株式の一部を保有しているため、ルノーの動きは特に注目されている。ウクライナ侵攻を受け、モスクワ近郊の工場での生産を一時停止したが、その後の生産再開の報道は、会社の経済的利益と政治的な立場の狭間でのジレンマを浮き彫りにしている。
  • 西側の大手企業:コカ・コーラやマクドナルドなど、西側の大手企業の多くがロシア市場からの撤退または事業停止を決定している。これは、これらの企業がロシアの政策に対して明確な立場を取るとともに、消費者やステークホルダーからの圧力に応える結果として現れていると言える。
  • フランスの小売り大手:オーシャンやルロワ・メルランなどのフランスの小売り大手がロシア市場での営業を継続していることは、フランス企業に特有の経済的、政治的判断が反映されている可能性がある。
ロシア軍の侵攻はフランスの国是「自由、平等、友愛」への価値観への戦争

この演説では、深い感謝と、フランスとウクライナとの間の価値観の共有が際立っていました。

ゼレンスキーは、ロシア軍の侵攻を「自由、平等、友愛」というフランスの根底にある価値観に対する攻撃として捉え、その深刻さを強調しました。ゼレンスキーの言葉は、フランスの歴史的な背景と現在の状況の間に存在する共通点を明らかにしたのです。

フランスのマクロン大統領の積極的な働きかけとリーダーシップに対し、ゼレンスキー大統領は「真のリーダーシップを発揮している」と高く評価し、その努力に感謝の意を示しました。また、マクロンに期待を寄せ「戦争を終わらせてくれることを期待している」と述べました。

フランス文化への敬意「ジャン=ポール・ベルモンド」へのオマージュ

演説の最後には、昨年亡くなったフランスの名俳優ジャン=ポール・ベルモンドを引き合いに出して、フランスの文化への深い敬意を示しました。ゼレンスキーは、ウクライナの人々が爆弾の下で命を失うような事態が許されないと強調し、ベルモンドへの敬意を表現しつつ、両国間の絆と協力の重要性を訴えて演説を締めくくりました。

ジャン=ポール・ベルモンド:フランス映画界の巨星の生涯

ジャン=ポール・ベルモンドは、フランス映画界での卓越したキャリアを持つ俳優であり、ベルモンドの演技は多くの人々を魅了し続けてきました。

ベルモンドは彫刻家の家庭に生まれ育ち、この環境がベルモンドの芸術的な才能の基盤となったと言えるでしょう。彼は国立演劇学校で学び、1957年に映画デビュー。その後、ジャンリュック・ゴダール監督の「勝手にしやがれ」での主役がそのキャリアの転機となりました。

「勝手にしやがれ」での成功を受けて、ベルモンドは再びゴダール監督と組み「気狂いピエロ」に出演。アラン・ドロンとの共演作「ボルサリーノ」も大ヒットし映画界のスターとしての地位を確立しました。

しかし、ベルモンドの輝かしいキャリアは2001年に健康問題が原因で一時中断されました。以降、ベルモンドの健康状態は完全には回復せず、映画界からは距離を置くようになりました。

ベルモンドの死はフランス全国を悲しみに包みました。マクロン大統領もベルモンドを「国の宝」と評して哀悼の意を表しました。

ルノーが突如としてロシアでの操業停止を決定

3月23日、フランスの自動車メーカーであるルノーは、ロシアのウクライナ侵攻の影響を受け、モスクワにある工場の操業を停止するとの決定を発表しました。この突然の発表は、業界や市場の予想を大きく上回るものであり、多くの関心を集めました。

ロシア市場は、ルノーにとって重要な市場の一つであったため、操業停止の決定は同社の2022年の業績見通しを大きく修正する要因となるでしょう。国際的な圧力の高まりの中で、ルノーはロシアでの事業戦略を再評価し、今回の決定に至ったと見られています。

ウクライナのクレバ外相は、ルノーがロシアの戦争行為を支援しているとの批判を行い、世界中の消費者に対してルノー製品のボイコットを呼びかけていました。しかし、ルノーのロシアでの事業停止を受けて、クレバ外は同日の夜に歓迎のメッセージをツイート。この急展開は、多くの人々に驚きをもって受け止められました。

ゼレンスキー大統領、日本国会でのオンライン演説を実施

2022年3月23日、ウクライナのゼレンスキー大統領が、日本国会においてもオンライン演説を実施した。これまで欧米諸国の議会での演説が注目を集めてきたゼレンスキー氏だが、今回の日本での演説も大きな注目を浴びました。

ゼレンスキー大統領は、ロシアに対する経済制裁の強化やウクライナへの支援を日本に対しても訴えました。圧倒的な軍事力を持つロシアに対して、決して屈することなく戦う姿は、日本人の多くの胸を打ちました。

日本のおとぎ話「桃太郎」への言及

演説の中で特に注目されたのは、ゼレンスキー大統領の妻、オレーナさんが視覚障害を持つ子どものためのオーディオブック制作に参加したエピソードです。彼女が日本のおとぎ話を朗読したことを紹介し、具体的な題名は演説時には明かされなかったが、後に「桃太郎」ということが判明したといいます。

このエピソードは、日本文化への敬意や配慮を示すものとして、多くの日本人に好意的に受け止められました。

Nippon TV News 24 Japan/YouTube

全ての議会が好意的でははなかった?演説が批判されることも

ゼレンスキー大統領の各国向けのオンライン演説は、確かに多くの国々で話題となりました。その直接的で熱意に満ちたスタイルは、多くの人々に強い印象を与え、ウクライナの困難な状況に対する国際的な共感や支援を呼び起こす一因となりました。

しかし、それぞれの国や地域、政治状況によって異なる反応が見られました。

韓国でのゼレンスキー大統領のオンライン演説

2022年4月11日、ウクライナのゼレンスキー大統領は韓国向けのオンライン演説を行ったが、その内容や演説の状況には様々な意見が出た。

韓国の国会議事堂近くの国会図書館地下講堂での演説は、多少の混乱が伺える形となった。ステージには演台と「ウクライナ大統領 国会映像演説」というプレート、そして60インチのテレビモニターが設置されたが、その配置はやや無秩序だった。予想された300人の国会議員の中から、実際には50人ほどしか参加しなかった。また、韓国政府の高官たちの姿も見られなかった。

ゼレンスキー大統領は、1950年の朝鮮戦争を振り返り、戦争を乗り越えてきた韓国の経験と現在のウクライナの状況を比較。韓国が国際社会の援助を受けて立ち直ったように、ウクライナも今、援助を求めていると述べた。特に、韓国の兵器技術を強調し、ロシアに立ち向かうための支援を要請した。

反応の冷ややかさ

この演説の間、携帯電話を操作する議員の姿が見受けられた。また、ゼレンスキー大統領の過去のオンライン演説では一般的だったスタンディングオベーションは、この日は見受けられなかった。

これは、韓国自体が北朝鮮との関係や、中国、アメリカとの複雑な外交関係を持つため、ウクライナ問題に対して慎重な立場を取る必要があったとも考えられます。

SBS 뉴스/YouTube
ギリシャではアゾフ大隊隊員のメッセージに批判が集中した

ゼレンスキー大統領のギリシャ議会へのオンライン演説は、大きな期待を背景に行われました。しかし、演説中に映し出されたアゾフ大隊隊員によるビデオメッセージは、一部の議員や公衆からの批判を引き起こしました。

アゾフ大隊は、ウクライナの内務省傘下の部隊として公式に認知されているものの、その起源は2014年に結成された極右グループであり、その経緯やネオナチ思想との関連性から議論の的となっています。ギリシャ、特に第二次世界大戦の歴史を持つ国として、ナチズムやその関連の思想には非常に敏感です。

ビデオメッセージで隊員が「私たちはギリシャ系ウクライナ人だ」と自称したことは、ゼレンスキー大統領の意図としては、ギリシャとのつながりや連帯感を強調しようとしたものと思われます。しかし、そのアプローチはむしろ逆効果となり、多くの議員や国民からの反感を買う結果となりました。

「ギリシャ議会でのネオナチ・アゾフ大隊のメンバーの演説は挑発行為だ。ナチスが国会で発言することはできない」という声が挙がる中、これはゼレンスキー大統領の演説の意図とは裏腹に、議会の一部から強い反発を生む出来事となりました。

LesvosPost.com WEB TV/YouTube
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全世界が注目しているウクライナ大統領の言葉を一冊にまとめました。終わりの見えないロシア侵攻開始から、世界を動かし、人の心に訴えかける「勝利を信じることの大切さ」「つながりの大切さ」「侵略者との妥協を断固拒否する姿勢」など歯切れよく心に残るメッセージを世界に発信し続けています。世界の報道写真や美しいウクライナの大地の写真とともに紹介します。(「Books」出版書誌データベースより)
【ウクライナ危機(44)】アジアのリーダーとして…ウォロディミル・ゼレンスキーが日本国会で語るメッセージ

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