【ウクライナ危機(38)】ウクライナ侵攻は聖戦!?ロシア正教会のトップが戦争を支持『キリル総主教とプーチン蜜月』

【ウクライナ危機(38)】ウクライナ侵攻は聖戦!?ロシア正教会のトップが戦争を支持『キリル総主教とプーチン蜜月』

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【ウクライナ危機(37)】NATOとロシアの代理戦争!!ロシア正教会を利用したプーチンの政治的野心『ウクライナ侵攻の要因?“ウクライナ正教会の独立”』
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いま起こっているのは「新冷戦」ではない。世界政治の最大の焦点は宗教だ!ウクライナ危機の深層、現代ロシアと宗教との関係、国際秩序の変容を文明論、歴史的視点から解き明かす。(「BOOK」データベースより)

Patriarch Kirill of Moscow

 ロシア正教会最高指導者『キリル総主教』

ВОТ ТАК/YouTube

ロシア正教会が戦争に積極的に関与し始めている。ウクライナに出征する兵士や戦車に、司祭が聖水を振りかける場面などが報じられるなど、プーチン政権との蜜月の関係に非難が相次いでいる。宗教の立場で「聖なる戦い」を演出し、国民を鼓舞するのが目的だ。

日本の仏教、ロシア正教…なぜ”人々を救済すべき”宗教が侵略戦争に積極加担するのか/PRESIDENT Online.2022

ウクライナへの戦争を支持!ロシア正教会のトップ『キリル総主教』

DW News/YouTube

 2月24日にロシアが軍事行動を開始して以来、ロシア正教会の最高指導者キリル総主教(Patriarch Kirill)は好戦的な説教を展開。

字幕:ロシア正教会司祭、ウクライナ侵攻を批判 投獄も覚悟/AFPBB News.2022

ロシア正教会のキリル総主教は2月27日、ウクライナ侵攻に言及し、「私たちは今日、ウクライナの兄弟姉妹たちとの一致を必要としている」「私たちは、平和の回復と両国民間における良き友愛関係の再構築のために祈らなければならない」と述べ、その和解が「ウクライナのモスクワ総主教区派正教会によって保障される」との確信を表明した。

民主国家の誇りと勇気――ウクライナ国民と正教会(海外通信・バチカン支局)/佼成新聞デジタル.2022

さらに、「主なる神が、ロシアの地を維持してくださいますように」と祈り、ロシアの土地には「ロシア、ウクライナ、ベラルーシと他の民族や人々が含まれる」と説明。神がロシアの地を外敵や国内の秩序の混乱から守り、「私たちの教会の一致が強められ、神の慈悲によって、あらゆる誘惑、悪魔的な挑発が退けられ、ウクライナの信仰厚き人々が平和と安穏を享受できますように」と願った。

民主国家の誇りと勇気――ウクライナ国民と正教会(海外通信・バチカン支局)/佼成新聞デジタル.2022
東方正教会は反発

ワシントン・ポストによればキリル総主教は、モスクワ大聖堂での礼拝で戦勝祈願を実施した。ロシア国家親衛隊の将軍に聖火を手渡し、祈りを捧げた。

日本の仏教、ロシア正教…なぜ”人々を救済すべき”宗教が侵略戦争に積極加担するのか/PRESIDENT Online.2022

また、ロシア正教はウクライナに侵攻する戦車や兵士らに聖水を浴びせるなど、聖戦を強調する動きが目立っている。ロシア正教会では、シリアにおける空爆の際にもロシアのミサイルに聖水をまくなど、戦争への協力姿勢を明確にしている。

日本の仏教、ロシア正教…なぜ”人々を救済すべき”宗教が侵略戦争に積極加担するのか/PRESIDENT Online.2022

こうしたロシア正教の戦争賛美の立場に、東方正教会(ロシア・中東・東欧を中心とする15の自立教会の連合体)は反発を強めている。

日本の仏教、ロシア正教…なぜ”人々を救済すべき”宗教が侵略戦争に積極加担するのか/PRESIDENT Online.2022

キリル総主教とプーチンとの蜜月関係

キリル総主教は2009年にモスクワ総主教に就任して以来、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領との関係緊密化に努め、西側の自由主義よりも保守的な価値観を重視してきた。

字幕:ロシア正教会司祭、ウクライナ侵攻を批判 投獄も覚悟/AFPBB News.2022
「驚くなかれ、私に洗礼を授けてくれたのは、あなたの父上だ」プーチンがキリル総主教に告げる

 正教会との蜜月について、プーチンが「面白い話」として逸話を紹介している。

プーチンとロシア正教会との蜜月の裏にある「子供時代の洗礼」【ウラジーミル・プーチンとは何者か】/日刊ゲンダイDIGITAL.2022

 かの映画監督に明かす。

プーチンとロシア正教会との蜜月の裏にある「子供時代の洗礼」【ウラジーミル・プーチンとは何者か】/日刊ゲンダイDIGITAL.2022

「(総主教に最近)どのような経緯でロシア正教会に入ることになったのか聞いたんだ。すると父親が司祭だったという」

プーチンとロシア正教会との蜜月の裏にある「子供時代の洗礼」【ウラジーミル・プーチンとは何者か】/日刊ゲンダイDIGITAL.2022

 いわく、大統領の故郷レニングラードの司祭。その名を聞いてピンときたプーチンは総主教に告げたそうだ。

プーチンとロシア正教会との蜜月の裏にある「子供時代の洗礼」【ウラジーミル・プーチンとは何者か】/日刊ゲンダイDIGITAL.2022

「驚くなかれ、私に洗礼を授けてくれたのは、あなたの父上だ」

プーチンとロシア正教会との蜜月の裏にある「子供時代の洗礼」【ウラジーミル・プーチンとは何者か】/日刊ゲンダイDIGITAL.2022

 プーチンとしては「奇跡」を強調したいのか。あるいは、そもそもキリルが「出世」したのはこの洗礼のためで、後から偶然聞いたように小話に仕立てたのか。

プーチンとロシア正教会との蜜月の裏にある「子供時代の洗礼」【ウラジーミル・プーチンとは何者か】/日刊ゲンダイDIGITAL.2022
「神の奇跡」キリフ総主教はプーチンを称賛した

2012年には、プーチン氏の統治こそソビエト連邦崩壊後の経済的混乱に終止符を打った「神の奇跡」だと評し、「ウラジーミル・ウラジーミロビチよ。あなたは、わが国の歴史のねじれを修正するため自ら大きな役割を果たした」と称賛した。

クレムリンに忠誠、ロシア正教会のキリル総主教/JIJI.COM.2022

宗教が政治にオープンに関与!?プーチン政権を批判する勢力を批判

 超保守派で、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とも近い関係にあるキリル総主教は、政治的姿勢を隠すことなく反体制派の抗議運動を痛烈に批判してきた。

ロシア正教会のキリル総主教、「フェミニズムは危険」/AFPBB News.2013

 ロシア正教会の聖堂でプーチン大統領を批判する曲を演奏した女性パンクバンド「プッシー・ライオット(Pussy Riot)」のメンバーが禁錮刑の判決を受けた時、キリル総主教は多くの信徒の懇願にもかかわらず厳しい判決を支持し、政府との密接な関係を浮き彫りにした。また、ロシアの人口減少に歯止めを掛ける運動の土台となる、いわゆる「家庭の価値観」を回復する政府の取り組みの擁護者でもある。

ロシア正教会のキリル総主教、「フェミニズムは危険」/AFPBB News.2013
政教分離できていない?プーチン政権とロシア正教会

ロシアはイスラム教や仏教など様々な宗教や宗派を信仰する人たちがおり、プーチン政権も表向きは「政教分離」の原則を強調する。

ロシアのラストエンペラーを描く問題作「マチルダ 禁断の恋」 上映妨害が各地で相次いだ理由とは?/HUFFPOST.2018

だが、プーチン氏自身はロシア正教会の熱心な信者で、正教会の行事に参加する様子が頻繁にテレビなどで報じられ、ロシア正教会のトップ、キリル総主教とも深い関係とされる。

ロシアのラストエンペラーを描く問題作「マチルダ 禁断の恋」 上映妨害が各地で相次いだ理由とは?/HUFFPOST.2018
政治と宗教は分けるべき?日本国憲法に明記された「政教分離」

 政教分離は、国や自治体は宗教と結びついてはならないとする憲法上の原則である。国や自治体などの「公」が関心事とするべき政治政策と宗教とを分け、「公」は宗教の布教などを行ってはならない、という意味で「政」「教」分離と呼ばれている。日本国憲法上は、20条と89条に規定がある。20条は個人の「信教の自由」を保障したうえで、この保障を確実にするために、国による宗教活動・宗教支援活動を禁止している。また89条は、このことを財政面から確実にしようとする規定で、国や自治体が公の財産を宗教団体に提供することを禁止している。

「政教分離」は文化政策・行政を萎縮させるか──孔子廟最高裁判決が文化芸術支援にもたらす影響/美術手帖.2021
アメリカから影響を受けた日本の「政教分離」だが、アメリカでは考え方が違う

 日本国憲法における「政教分離」は米国から直接の影響を受けているが、政教分離は英語ではSeparation of Church and State(教会と国家の分離)であって、Separation of Religion and State(宗教と国家の分離)ではない。米国の事情に即して言い換えれば、それは特定教会・教派と国家の分離であって、キリスト教と国家の分離ではないのである。

「日本人の知らない〈政教分離〉の多様性――宗教との向き合い方は永遠の課題」、『論座』(朝日新聞社)2001年10月号/小原克博 On-Line.2001

すなわち、国家が特定の教会や教派のために公金を使ったり、特定の教会・教派の信者を就職・参政権などで優遇することは憲法違反であるが、宗教が政治に関与することは何ら問題ではない。むしろ、多様な教会的伝統が国家形成に積極的に参与できるよう、特定の教派が突出した政治権力を行使できない枠組みを用意するという点に重点が置かれている。したがって、米国的な政教分離理解に立つ限り、特定の宗教が政治活動に参画することに違憲性はない(先の創価学会の政治参加もこの例)

「日本人の知らない〈政教分離〉の多様性――宗教との向き合い方は永遠の課題」、『論座』(朝日新聞社)2001年10月号/小原克博 On-Line.2001
むしろ世界では宗教的思想をもった政党は一般的!

世界では宗教的思想をもつ政党は一般的だ。ドイツでは宗教政党が国政で活躍し国民の理解を勝ち取っている。政権与党の「キリスト教民主同盟」は幾人もの首相を輩出し、メルケル首相も同党党首である。

「政教分離」の正しい理解なくしては、人権社会の成熟もない/WEB第三文明.2013
そもそも論で正教会は政教分離の考えは確立していない

そもそも正教会においてはカトリックやプロテスタントにおける政教分離の考えは確立しておらず、ビザンチン時代よりの政教調和という考えが今日でも根強い。

キエフ・ルーシーvs第三のローマ -正教会からみたウクライナとロシア/一般社団法人 霞関会.2019

ロシアの新たな憲法では神に言及!?

WION/YouTube

 キリル総主教は、ロシア正教会の価値観を日常生活に根付かせた。2020年に成立した新憲法に神への言及が盛り込まれたのは、その極致だ。

クレムリンに忠誠、ロシア正教会のキリル総主教/AFPBB News.2022
「私たちの国・私たちの憲法・私たちの決定」国民投票によってロシアの憲法改正が決定

2020年にロシアでは大規模な憲法改正が行われた。1月15日の議会教書演説でプーチン大統領が提案し、その直後に議会に提出された法案は急ピッチで審議され、3月14日に公布された。その後予定されていた国民投票は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響で実施が遅れたものの、最終的には約78%の賛成で承認され、7月1日に施行された。

2020年ロシア憲法改正について ―権力継承、大統領権限、ナショナリズム―/JIIA -日本国際問題研究所-.2020

この改正を確定させた全ロシア投票のスローガンは「私たちの国・私たちの憲法・私たちの決定」であった。

2020年ロシア憲法改正プロセス──プーチン個人統治体制の完成──(p.1)/永綱 憲悟.亜細亜大学.2021

 プーチン氏は改憲の際、本来不要な「全ロシア投票」を実施し、8割近い賛成を得ました。

ロシアに見る「安易な改憲」の危うさ ウクライナ侵攻の布石だったか/朝日新聞デジタル.2022
憲法の修正には本来は国民投票は必要ではなかった

しかし、「修正」には本来必要ない国民投票を実施することが、2020年憲法改正法案には規定された。憲法の規定によれば、憲法「修正」は、下院の3分の2以上、上院の4分の3以上の賛成に加え、全連邦構成主体の3分の2以上の立法機関での承認によって成立する。改正を第3章から第8章にとどめ、短期間で成立させようとしていたにもかかわらず、法的には不要な国民投票を実施するのは矛盾しているとも言える。

2020年ロシア憲法改正について ―権力継承、大統領権限、ナショナリズム―/JIIA -日本国際問題研究所-.2020

では、プーチンはなぜ、国民投票が必要でない憲法の「修正」について、あえて国民投票を実施したのだろうか。

戦争のために憲法を変える――2020年ロシア憲法改正の深層/今週の「直言」 – 平和憲法のメッセージ
あくまでロシア国民が憲法改正に賛成したという事実

(前略)プーチンがこだわったのは、国民投票で圧倒的多数の賛成を得たという事実に基づく、強力な正当性の獲得である。

戦争のために憲法を変える――2020年ロシア憲法改正の深層/今週の「直言」 – 平和憲法のメッセージ

プーチンは憲法改正を提案した教書演説の中で、国民が「最終的な決定権」を持つと述べ、ペスコフ大統領報道官も国民投票は「必須ではないが国民の考えを確かめる必要」があると述べた。このように、憲法改正に対する国民の同意を得る必要性に言及するということは、それだけ国民の憲法改正に対する反発を政権側が恐れていたことを逆説的に示している。

2020年ロシア憲法改正について ―権力継承、大統領権限、ナショナリズム―/JIIA -日本国際問題研究所-.2020
憲法改正の実態は「プーチンの国・プーチンの憲法・プーチンの決定」

だが改憲の実態は「プーチンの国・プーチンの憲法・プーチンの決定」というべきものであった。改憲プロセスは、プーチンの発議で始まり、プーチンの指示で急テンポに進み、既存法制や議会での審議手続きは軽視され、節目ごとにプーチンが半ば超法規的に決定を下すというものであった。そして改憲内容は、対外主権の強調、集権的垂直統治の貫徹、大統領権限の強化、保守愛国理念の喧伝であり、つまりはプーチンの20年間の統治の集大成であった。

2020年ロシア憲法改正プロセス──プーチン個人統治体制の完成──(p.1)/永綱 憲悟.亜細亜大学.2021
大統領権限が強化され、プーチンは選挙次第で2036年まで大統領職にとどまることができる

 2020年の改正により、大統領の権限が一段と強化された。大統領は首相を解任することができる(83条)。閣僚に対する人事権についても、首相の関与が廃止された(83 条 5.1 号の追加)。とりわけ重要な改正点は、大統領の任期に関連する3選禁止規定である。「同一人物が 2 期を超えてロシア連邦大統領を務めることはできない」( 81 条 3 項)。81条3.1項が加憲され、この憲法改正時までの任期は、3選禁止規定の対象としてカウントされないものとされた。つまりプーチンは新人候補と同じ条件で次の選挙に臨むことができ、プーチンは2036年まで大統領職にとどまることができる。

戦争のために憲法を変える――2020年ロシア憲法改正の深層/今週の「直言」 – 平和憲法のメッセージ
67条に“神”に言及

 保守主義、国家主義が際立つのが、67条に新たに加えられた条項だ。

安易な憲法改正がいかに危ういか、ロシアを見れば明らかだ/WebRONZA – 論座 – 朝日新聞デジタル.2022

 ロシア連邦を「ソ連の法的継承国」であると位置づけたうえで、「千年の歴史によって団結し、我々に理想および神への信仰、ならびにロシア国家発展の継続性を授けた祖先の記憶を保持するロシア連邦は、歴史的に形成された国家の統一を認める」と記した。さらに「ロシア連邦は祖国の防衛者を追悼し、歴史的真実の保護を保障する。祖国防衛に関する国民の功績の意義を貶めることは、認められない」と軍人をたたえ、愛国心を前面に打ち出している

安易な憲法改正がいかに危ういか、ロシアを見れば明らかだ/WebRONZA – 論座 – 朝日新聞デジタル.2022

 キリル総主教は、ロシア正教会の価値観を日常生活に根付かせた。2020年に成立した新憲法に神への言及が盛り込まれたのは、その極致だ。

クレムリンに忠誠、ロシア正教会のキリル総主教/AFPBB News.2022
一説には憲法改正の政治生命に関わる問題をロシア国民から“神論争”で覆い隠すため
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ロシアでは国家と宗教は完全に分離されてきた。共産党政権下では「宗教は人民のアヘン」とみなされ、宗教者は弾圧されてきた長い歴史がある。同時に、共産党政権下ではロシア正教が政権と癒着してきたこともあって、ソ連崩壊後もロシア正教は国民の厳しい目にさらされてきた経緯がある。それだけに、新憲法で神を登場させることに反対する国民が出てくることが予想される。

ロシアの新憲法で「神」が登場?/アゴラ 言-論プラットフォーム.2020

ロシア消息筋によれば、プーチン氏は新憲法で神を導入することを提案することで、国内で“神論争”が沸き上がることを期待、憲法改正への国民の関心をそこに誘導する一方、大統領の任期問題などの自身の政治生命に関わる問題への議論をスルーしたい狙いがあるというのだ。プーチン氏は自身の政治的野望のために神を利用している、といった辛辣な批判も聞かれる。

ロシアの新憲法で「神」が登場?/アゴラ 言-論プラットフォーム.2020
72条では“同性婚”を排除

 また、同性婚を認める国が増えつつある中、72条では婚姻制度について「男性と女性との結びつき」と新たに規定し、同性婚を排除した。

安易な憲法改正がいかに危ういか、ロシアを見れば明らかだ/WebRONZA – 論座 – 朝日新聞デジタル.2022
ちなみにキリル総主教は同性婚を非難し、同性愛は罪と宣言している

 総主教はロシアで高まる保守主義の代表的な擁護者で、同性婚を非難し、同性愛は罪だと宣言している。総主教の下、ロシア正教会は宗教的少数派に対する取り締まりを歓迎している。

クレムリンに忠誠、ロシア正教会のキリル総主教/JIJI.COM.2022

プーチンとキリル総主教は同じ地元!しかもプーチンのおかげで大富豪に!!

Saint-Petersburg, Russia

俗名グンジャエフ・ヴラジミール・ミハイロヴィッチ。1946年11月20日、レニングラード(現サンクトペテルブルグ)生まれ。

モスクワおよび全ロシアの総主教キリル プロフィール/HMV&BOOKS online

プーチン氏自身やオリガルヒ(新興財閥)、シロビキと呼ばれるインナーサークルの取り巻きたち同様、総主教もまたサンクトペテルブルクの出身だ。

ウクライナ侵攻支持するプーチン氏の後ろ盾 ロシア正教会最高指導者キリル総主教の正体/The News Lens Japan.2022

 司祭だった祖父は、旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリンの統治下で強制労働収容所に送られ、30年間を過ごした。

クレムリンに忠誠、ロシア正教会のキリル総主教/JIJI.COM.2022

 1946年生まれのキリル総主教は対照的に、教会でスピード出世を果たした。

クレムリンに忠誠、ロシア正教会のキリル総主教/JIJI.COM.2022
神学校を卒業後にスピード出世!!一気に有名人に!

1970年に神学校を卒業後、教会の中でスピード出世し、外交部門に所属していた。

ウクライナ侵攻支持するプーチン氏の後ろ盾 ロシア正教会最高指導者キリル総主教の正体/The News Lens Japan.2022

渉外部長を務めた後、テレビで宗教思想をテーマにした冠番組を持つに至った。1億1000万人超の信者を抱えるロシア正教会の最高指導者に就任した時は、すでに誰もが知る有名人になっていた。

クレムリンに忠誠、ロシア正教会のキリル総主教/JIJI.COM.2022

 テレビでは、旧ソ連が国是とした無神論によって活気を失った教会のイメージを一新し、学校や軍隊といった国家機関で教会の存在感を高めるという壮大な計画を提唱。総主教として、その構想を実現させた。

クレムリンに忠誠、ロシア正教会のキリル総主教/AFPBB News.2022
2009年 ロシア正教会モスクワ総主教に就任!プーチンを支持してきた

2009年2月、アレクシイ2世の後任として、キリル府主教はモスクワ総主教に着座。

教皇、ロシア正教会のキリル総主教と歴史的会見/Vatican Radio Archive.2016

キリル総主教は2009年にモスクワ総主教に就任して以来、一貫してプーチン氏を支持してきた。

クレムリンに忠誠、ロシア正教会のキリル総主教 /AFPBB News.2022
大統領に就任したプーチン「共産党の代わりに宗教を人身掌握のツールとして利用」

一方2000年に大統領に就任したプーチン氏は、共産党の代わりに人心を掌握するために宗教は有効であると考え、ロシア正教をバックアップした。

ロシア正教のトップは元KGB?“信仰”と“侵攻” プーチン大統領と宗教の蜜月【報道1930】/TBS NEWS DIG | TBS/JNNのニュースサイト.2022
プーチンがソ連時代没収していた莫大な資産をロシア正教会に返還!!

 ロシア正教会は、旧ソビエト連邦時代には国家保安委員会(KGB)の管理下で厳しい制限を受けていた。

字幕:ロシア正教会司祭、ウクライナ侵攻を批判 投獄も覚悟/AFPBB News.2022

2010年、プーチン政権はソ連が没収していた正教会の資産を教会に返還。教会はこれで膨大な不動産を所有する。

ロシア正教のトップは元KGB?“信仰”と“侵攻” プーチン大統領と宗教の蜜月【報道1930】/TBS NEWS DIG | TBS/JNNのニュースサイト.2022
キリル総主教は一気に大富豪になった!!

その前年に総主教に就いていたキリル氏は、いうなれば突然大富豪になったことになる。

ロシア正教のトップは元KGB?“信仰”と“侵攻” プーチン大統領と宗教の蜜月【報道1930】/TBS NEWS DIG | TBS/JNNのニュースサイト.2022

2019年ロシア独立メディア「ノーバヤ・ガゼータ」はキリル総主教の資産を40億~80億ドル(約5140兆~1兆300億円)と推算し、ロシア探査専門メディア「プロエクト(Proekt)」は2020年キリル総主教が親戚と共にロシアに287万ドル相当の不動産9軒を所有していると報じた。3万ドルのブランド時計も雑音が多い。キリル総主教は2012年「時計は持っているが着用したことはない」と話していたが、時計を着用した写真が公開されると画像操作で時計を削除した。

侵攻を支持したロシア正教会首長、世界宗教界が批判/世界日報.2022
聖職者がクレムリン宮殿に……。

 さらに、聖職者でありながらクレムリンの宮殿内に住んでいるとされ、豪奢な生活ぶりが問題視されたこともある。

「ウクライナ政権は邪悪」プーチンが心酔するロシア正教会“75歳怪僧”の正体〈元KGB工作員との噂も…〉/文春オンライン.2022
プーチンがキリル総主教を大富豪にした頃から、キリル総主教の言動は政治色が強まっていった

そして、この頃から正教会の政治色が強まり、キリル総主教とプーチン大統領の蜜月が始まる。アメリカとの関係が悪くなる中で、国内をまとめる宗教の重要性を高めるプーチン大統領。政権の意向に沿うことで、知的なブレーンがいくら離れようが地位を絶対的なものとしたキリル総主教。

ロシア正教のトップは元KGB?“信仰”と“侵攻” プーチン大統領と宗教の蜜月【報道1930】/TBS NEWS DIG | TBS/JNNのニュースサイト.2022
さらにオリガルヒの資金までも教会に流入していた

欧米メディアによれば、キリル1世は他のロシアのオリガルヒ(新興財閥)と同様、海外に資産を保有しているというから、やはり驚かされる。

宗教者とプーチン大統領の愛人が制裁される時/アゴラ 言論プラットフォーム.2022

さらにロシアの大富豪たちオリガルヒの資金も教会に入ることになるが、教会の資産の内容に関しては専門家でも、触れることのできない闇となっているという。

ロシア正教のトップは元KGB?“信仰”と“侵攻” プーチン大統領と宗教の蜜月【報道1930】/TBS NEWS DIG | TBS/JNNのニュースサイト.2022

 キリル総主教は、ロシア正教会の価値観を日常生活に根付かせた。2020年に成立した新憲法に神への言及が盛り込まれたのは、その極致だ。この憲法は、プーチン氏に2036年まで権力の座にとどまることを認めている。

クレムリンに忠誠、ロシア正教会のキリル総主教/AFPBB News.2022

ソ連時代にはKGBのエージェントだった…と言われている

CRUX/YouTube

フォーブスは2009年ソ連国家文書を引用してキリル総主教がソ連国家保安委員会(KGB)の要員だったと報じた。

侵攻を支持したロシア正教会首長、世界宗教界が批判/世界日報.2022

現在のロシア正教会総主教(最高指導者)であるキリル1世(75)は、ミハイロフというコードネームを持つ旧KGBのエージェントであったことが、過去の英紙タイムズで明らかにされている。

【論説】ロシア正教会トップの救われぬ俗物性/やまと新聞社.2022

KGBと教会指導者のつながりを調査している英国の作家フェリックス・コーリー氏はWSJ紙に、「キリルがKGBのエージェントだったことは疑いようがない」と断言。旧ソ連時代末期には、正教会をはじめとする宗教の指導者がKGBと協力することはよくあったと説明した。

ウクライナ侵攻支持するプーチン氏の後ろ盾 ロシア正教会最高指導者キリル総主教の正体/The News Lens Japan.2022
現在もロシアの諜報機関と繋がりが……。

キリル総主教は、ソ連時代にはKGB(ソ連国家保安委員会=秘密警察)と良好な関係を持ち、ソ連崩壊後はロシア愛国主義イデオロギーを称揚し、プーチン大統領の信頼が厚い。ロシア正教会幹部は、KGBの後継機関であるFSB(連邦保安庁)やSVR(対外諜報庁)とも良好な関係を維持している。

【佐藤優の世界裏舞台】正教会による代理戦争/産経ニュース.2018
KGB視点からみるとプーチンは元上司

キリルは、組織の元上司であるプーチン大統領とは当然ながら昵懇であり、今回のウクライナ侵略も全面的に理解を示し、「NATOが約束を守らず、ロシアとの国境に近づき、軍備を増強してきた。さらに、西側はウクライナの人たちを再教育してロシアの敵に作り変えようとした」と、プーチンの発言をなぞる言葉で西側諸国を批判している。

【論説】ロシア正教会トップの救われぬ俗物性/やまと新聞社.2022

プーチンと共有するロシア的な世界の見方「ルースキー・ミール」

キリル総主教とプーチン大統領を結びつけるのは、「ルースキー・ミール」(ロシア的世界)というビジョンだ。

焦点:ウクライナ侵攻による正教会の混乱、孤立するロシア総主教/REUTERS.2022
東スラブ語圏「ロシア・ベラルーシ・ウクライナ」はかつてのソ連・ロシア帝国の正当な勢力圏

「ルスキー・ミール」という言葉は11世紀に生まれたもので、現在のロシア・ベラルーシ・ウクライナの大半を含む東スラブ語圏のことを意味する。

プーチン大統領の戦争、背後に「ロシア世界」思想 米メディア「ウォールストリート・ジャーナル」が指摘/クリスチャンプレス.2022

プーチン氏にとって「ルスキー・ミール」は、旧ソ連やそれ以前のロシア帝国の領土を含むロシアの正当な勢力圏を意味する言葉だ。プーチン氏は、ウクライナ侵攻の3日前の2月21日、「ウクライナは我々にとって単なる隣国ではない。ウクライナは我々の歴史・文化・精神世界と不可分の存在だ」と語っていた。

プーチン大統領の戦争、背後に「ロシア世界」思想 米メディア「ウォールストリート・ジャーナル」が指摘/クリスチャンプレス.2022
「ルースキー・ミール」を政治的に取り組んできたプーチン!そして精神的に取り組んできたのがキリル1世

この「ルースキー・ミール」の実現を目指して、プーチン大統領が「政治的」にキリル総主教が「精神的」に取り組んできました。

【解説】プーチン氏 ロシア正教会キリル総主教と目指すのは/NHK | 日本放送協会.2022
「ロシア正教会にとってウクライナは聖地エルサレム」キリル1世はプーチンの言葉を信奉する

ロシア正教はこの言葉を信奉し、そこに宗教的色彩を加えた。その宗教的意味合いの中では、ウクライナが特別な役割を担っている。

プーチン大統領の戦争、背後に「ロシア世界」思想 米メディア「ウォールストリート・ジャーナル」が指摘/クリスチャンプレス.2022

「キーウ大公国」のウラジーミル王子は西暦988年、キリスト教に改宗し、ロシアをキリスト教化した。キリル1世はウクライナとロシアが教会法に基づいて連結されていると主張し、ウクライナの首都キーウは「エルサレム」だという。ロシア正教会はそこから誕生したのだから、その歴史的、精神的繋(つな)がりを捨て去ることはできないという論理だ。

ウクライナ侵攻は「価値観の戦い」 ロシア正教トップ プーチン氏を全面擁護/世界日報.2022
愛国心を促し、軍の指揮を高める

ロシア国内で、ルスキー・ミールは深く宗教的な響きを得ている。特に軍においては正教会の聖職者は軍の士気を高め、愛国心を促す。ロシアで核戦力を扱う陸海空の3軍には、いずれも守護聖人がいる。正教会はまた、シリア内戦におけるロシアの役割について、少数派のキリスト教徒を守るための「十字軍」だとして熱心に宣伝していたという。

プーチン大統領の戦争、背後に「ロシア世界」思想 米メディア「ウォールストリート・ジャーナル」が指摘/クリスチャンプレス.2022
この見方は「NATO vsロシア」の対立は「コンスタンティノープル vs モスクワ正教会」の対立としても展開してく

「宗教的、精神的にロシアとウクライナを西側の脅威から防衛しなければならない」とロシア正教会幹部は考えている。NATOとロシアの代理戦争がコンスタンチノープル系の正教会とモスクワ系の正教会の間で展開されていることになる。

【佐藤優の世界裏舞台】正教会による代理戦争/産経ニュース.2018
ウクライナ正教会が一部がロシア正教と関係を断絶すると……。キリル総主教がキレる

2018年、クリミア侵攻に続きウクライナ正教会の一部の教派はロシア正教会との関係を断ち切った。この行動がキリル総主教の怒りに火を付けた。

プーチン氏から見た世界、よみがえる中世の物語/CNN.co.jp.2
「ルースキー・ミール」ではモスクワが中心地……つまりウクライナ正教会はあくまで位が下

彼の帝国主義的な考え方では、ロシア、ベラルーシ、ウクライナの国家は同じものであり、その中心はモスクワにある、となる。

【前編】ウクライナとロシアの宗教戦争:キエフと手を結んだ権威コンスタンティノープルの逆襲/Yahoo!ニュース.2022

だから彼にとっては、ウクライナの教会も、従来どおりロシア教会に属する立場でなくてはならない。実際これまでは、独立教会と認められているロシア正教会のリーダーは「総主教」だが、ウクライナ正教会のリーダーは、位が下の「府主教」であった。

【前編】ウクライナとロシアの宗教戦争:キエフと手を結んだ権威コンスタンティノープルの逆襲/Yahoo!ニュース.2022
ウクライナ侵攻の数日前のプーチンの言葉と同じ見解

この見解は、2月21日のプーチン大統領の言葉と同じである。

【前編】ウクライナとロシアの宗教戦争:キエフと手を結んだ権威コンスタンティノープルの逆襲/Yahoo!ニュース.2022

プーチン大統領は、ウクライナは独立国家としての正当性がなく、ロシアの軌道に戻すべきだと主張した。「我々にとって、ウクライナは単なる隣国ではなく、我々の歴史、文化、精神空間の不可分の一部だ」という彼の言葉は、そのままキリル氏の考えが反映されている。

【前編】ウクライナとロシアの宗教戦争:キエフと手を結んだ権威コンスタンティノープルの逆襲/Yahoo!ニュース.2022

ウクライナ正教会の独立でキリル総主教ブチギレ!コンスタンティノープルと事実上の関係断絶

RTVI Новости/YouTube

 2019年1月には、ポロシェンコ大統領がかねて熱心に取り組んでいたウクライナ正教会をモスクワのキリル・モスクワ総主教聖庁より独立させることに成功する。コンスタンチノープルのバーソロミュー全地総主教がそれを公に認めたのである。正教会を通じたロシアとウクライナの一体性を主張するプーチンとキリル・モスクワ総主教にとって大きな打撃である。これに怒ったモスクワ総主教は、コンスタンチノープル全地総主教との関係を事実上断絶した。

ロシアは、なぜウクライナに侵攻したのか/一般社団法人 霞関会.2022
異例中の異例!?コンスタンティノープル総主教庁が教会の独立問題に介入

 2007年にヴィクトル・ユシチェンコ大統領(当時)が交渉に当たりましたが上手くいかず、2017年にペトロ・ポロシェンコ大統領(当時)が交渉したところ条件付きで独立を承認しました。正教会にはローマ・カトリック教皇のような世界全体を統括するような組織は存在しないため、コンスタンティノープル総主教庁が独立問題に介入するということは異例中の異例でした。

ロシアのウクライナ侵攻、原因は宗教対立!? 残酷な歴史を徹底解説!/ダイヤモンド・オンライン.2022

 これに対し、露正教会のキリル総主教も8月31日、バルトロメオ1世と会談。キリル総主教は「ウクライナ正教会は露正教会の管轄下にある以上、コンスタンチノープルにウクライナを独立させる権限はない」とする立場を伝えていた。

【ロシアを読む】ウクライナ正教会、「盟主」ロシアから独立 東方正教会に分裂危機/iza.2018

『2022年ロシアのウクライナ侵攻』では好戦的な説教を展開

Телеканал ICTV/YouTube

2月24日にロシアが軍事行動を開始して以来、キリル総主教は好戦的な説教を展開。ロシアとウクライナの歴史的な一体性を損なおうとする「敵」を制圧するため、国民に団結を呼び掛けている。

ウクライナ侵攻支持するプーチン氏の後ろ盾 ロシア正教会最高指導者キリル総主教の正体/The News Lens Japan.2022
「退廃した文化を享受する欧米社会に対するロシア側の戦い」

ロシア正教会のモスクワ総主教のキリル1世は、ロシアのウクライナ侵攻後の3月6日に、「ドンバス地方のロシア人たちは、退廃した欧米文化に長年苦しんできた。その救済のためにプーチン大統領はウクライナへの特別軍事作戦を行っている」と全面的に支持した。

ウクライナ戦争の裏にある「宗教戦争」/The Tokyo Post.2022

冷戦時代、レーガン米大統領(在職1981~89年)は共産主義世界を「悪の帝国」、民主主義世界を「善」として善悪闘争論を展開したが、キリル1世はその善悪の立場を逆転させ、同性愛を奨励し、薬物世界に溺れる退廃文化の欧米世界を「悪」とし、それに対抗するロシアを「善」の立場に置く新たな善悪闘争を呼び掛けている。

ウクライナ侵攻は「価値観の戦い」 ロシア正教トップ プーチン氏を全面擁護/世界日報.2022
ウクライナに攻めるロシア軍は十字軍!?「正義と悪の黙示録的戦い」

さらに、ウクライナ戦争は、「正義と悪の黙示録的戦い」であり、その結末は「神の加護を受けられるか否かという人類の行方を決めることになる」とまで述べている。

ウクライナ戦争の裏にある「宗教戦争」/The Tokyo Post.2022

プーチン氏にとってはロシアの政治的な復権だが、キリル総主教から見れば、いわば十字軍なのである。

焦点:ウクライナ侵攻による正教会の混乱、孤立するロシア総主教/REUTERS.2022
「ウクライナ民族を地球上から抹殺するのが貴方たちの任務である」ロシア兵士に配布

ロシア正教会は「ウクライナ民族を地球上から抹殺するのが貴方たちの任務である」と書かれた配布物をロシア軍の兵士に配っていると報じられている。

ロシア正教会、ウクライナ民族を抹殺するのがロシア軍兵士の任務/航空万能論.2022

ブリャンスク管区のロシア正教会が作成した配布物には「貴方はロシアの戦士である、貴方の任務はウクライナの民族主義から祖国を守ることだ、貴方の任務はウクライナ民族を地球上から抹殺することだ、貴方の敵は人間の魂に罪深い損害を与えるイデオロギーだ」と書かれており、この話題を取り上げたウクライナのEuromaidan Pressは「ロシア軍兵士にとって正教会関係者の指示はウクライナ民族に対する暴力に限り免罪符を与えている」と指摘しており、もはや平和なウクライナ人をナチズムから解放するという建前は何処かに消えてしまったようだ。

ロシア正教会、ウクライナ民族を抹殺するのがロシア軍兵士の任務/航空万能論.2022
ブチャの虐殺が報じられた日「ファシズムを打ち破ったのはわれわれだ。もしロシアがいなければ、世界を征服していただろう」

 4月初めの日曜日、モスクワ郊外のロシア軍大聖堂内にロシア正教会の最高指導者が立ち、ウラジーミル・プーチン大統領の戦争を支持する講話を行った。ロシア軍がウクライナの首都キーウ(キエフ)郊外の町ブチャでウクライナ市民を大量虐殺したとの報道を受け、西側の指導者らが非難したのと同じ日だった。

戦争支持するロシア正教会、プーチン氏と深い絆/ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 .2022

 「ファシズムを打ち破ったのはわれわれだ。もしロシアがいなければ、世界を征服していただろう」。モスクワ総主教キリル1世(75)は、第2次世界大戦でナチスの侵攻にロシアが勝利したことを記念する壮大な建物の中でこう語った。その脇で軍服を着た多くのロシア兵が聴き入っていた

戦争支持するロシア正教会、プーチン氏と深い絆/ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 .2022
「邪悪な勢力」過去にもウクライナとの問題で批判を強めていた

総主教キリル1世は2019年12月にも、正教会内部の一致に関わる問題として「邪悪な勢力(evil forces)」と発言している。なお「総主教」は歴史的教会の最高位聖職者を意味し、教皇と同位の教会首長を意味する。

【ウクライナ侵攻】 モスクワ総主教、ウクライナ侵攻へ言及 2022年2月28日/キリスト新聞社ホームページ.2022

 発言の背景には、正教会世界において2014年以来、特に激しくなった教会法上の問題「ウクライナ正教会の独立・自治」についての議論がある。したがってキリル1世の発言は、今回の戦争のみを背景に理解されるべきものではない。しかしロシアとウクライナ両国の歴史的・宗教的な背景、また政治と領土問題などが複雑に絡み合う最中でのロシア最高位の宗教指導者・キリル1世の発言は人々の耳目を集めざるを得ない。

【ウクライナ侵攻】 モスクワ総主教、ウクライナ侵攻へ言及 2022年2月28日/キリスト新聞社ホームページ.2022

“核兵器”に神の加護を!!ロシア正教会と兵器

The Moscow Times/YouTube

 プーチン大統領と一体になって権力をふるうキリル1世は、およそキリスト教の教えにふさわしくない言動を繰り返す。他の聖職者たちに闘争を呼び掛けたり、戦争で使われる武器を「祝福」しているというのである。

「ウクライナ政権は邪悪」プーチンが心酔するロシア正教会“75歳怪僧”の正体〈元KGB工作員との噂も…〉/文春オンライン.2022
ロシアではさまざまなものに神の加護を得るための清めの儀式が行われる

 ロシアではしばしば、神の加護を得るため、新車や新居、さらには宇宙船「ソユーズ(Soyuz)」に至るまで、あらゆる物に対し、司祭による清めの儀式が行われる。

核兵器を清める儀式、ロシア正教会が中止提案/AFPBB News.2020
「人殺しは悪だが、武器を手に底を守ることは称賛」そのため、兵士ともっている武器に神の加護を与えた

 ロシア正教会は殺人を悪とみなす一方、「武器を手に祖国を守る行為は称賛に値する」と解釈してきた。このため聖職者は兵士と彼らが所持する武器や乗り物を祝福してきた。剣、銃、戦闘機、潜水艦などすべて聖化の対象だ

「核兵器の祝福 禁止を」 ロシア正教会 改革案波紋/東京新聞.2020
ソ連崩壊にはそれは核兵器にも及んだ

 ソ連崩壊後、司祭らは軍隊や航空機、船舶に加え、カラシニコフ銃や、核弾頭の搭載が可能な弾道ミサイル「イスカンデル(Iskander)」など、さまざまな兵器に対してもこの儀式を行うようになった。

核兵器を清める儀式、ロシア正教会が中止提案/AFPBB News.2020
「核のような、兵士が乗ってもいない大量破壊兵器に加護を与えるのはおかしくないか?」ロシア正教会の中で疑念

 問題は二十世紀になって生まれた大量破壊兵器。核兵器や毒ガスや生物兵器は、大量かつ不特定の人の死をもたらす。核弾道ミサイルには兵士が乗っているわけでもない。改革派の聖職者は「大量破壊兵器を、旧来の武器と同列に扱って良いのか」と疑問を募らせてきた。

「核兵器の祝福 禁止を」 ロシア正教会 改革案波紋/東京新聞.2020
「大量破壊兵器を祝福するのはやめるべき」

そんなロシアの聖職者が「大量破壊兵器を祝福するのはやめるべき」との意見を発表し、波紋を投じています。

核兵器を守護天使と呼ぶ「アトミック正教」に対しロシア正教の司教から「核兵器を祝福するのはやめるべき」との声/Gigazine.2020
「大量破壊兵器の聖別に反対」モスクワ総主教庁が改革案を発表

モスクワ総主教庁はウェブサイト上で、「大量破壊兵器の聖別(器具を神聖なものとすること)はロシア正教の伝統に即しておらず、儀式の趣旨から逸脱しています」とする改革案を発表。

核兵器を守護天使と呼ぶ「アトミック正教」に対しロシア正教の司教から「核兵器を祝福するのはやめるべき」との声/Gigazine.2020

モスクワ総主教庁のTutunov司教は「私たちはあくまでも祖国を守る戦士として、兵士らを祝福しています。同様に、兵士が携行する武器も祝福しますが、これは武器が兵士とつながりがあるものだからです。大量破壊兵器の祝福を兵士らの祝福と同列にするべきではありません」と訴えました。

核兵器を守護天使と呼ぶ「アトミック正教」に対しロシア正教の司教から「核兵器を祝福するのはやめるべき」との声/Gigazine.2020
その一方で、核兵器への祝福取りやめに反対する声も

一方、核兵器の祝福を取り止める動きについては、激しく抵抗する意見もあります。

核兵器を守護天使と呼ぶ「アトミック正教」に対しロシア正教の司教から「核兵器を祝福するのはやめるべき」との声/Gigazine.2020

 「核兵器は素晴らしい発明。おかげで、旧ソ連時代を含めてロシアは存在し続けてこられたのだから」

「核兵器の祝福 禁止を」 ロシア正教会 改革案波紋/東京新聞.2020

 ロシア正教会で「長司祭」と呼ばれる立場の聖職者ドミトリー・スミルノフ氏(68)はこう述べ、核兵器の祝福は必要だと主張する。

「核兵器の祝福 禁止を」 ロシア正教会 改革案波紋/東京新聞.2020

ロシア正教会に存在する核兵器の守護聖人

元モスクワ総主教庁の広報担当者であるVsevolod Chaplin氏は「核兵器こそが、西側諸国による奴隷化から祖国を守る守護天使です」と述べて、核兵器の祝福に賛意を表しました。ロシア正教会にはなんと、サロフの聖セラフィムという「核兵器の守護聖人」すら存在しており、ロシアが宇宙船ソユーズMS-02を打ち上げる際には、宇宙飛行士らがお守りとして聖セラフィムの聖遺物を機内に持ち込む一幕もあったとのこと。

核兵器を守護天使と呼ぶ「アトミック正教」に対しロシア正教の司教から「核兵器を祝福するのはやめるべき」との声/Gigazine.2020
正教会の聖人「サロフの聖セラフィム」
Lives of Orthodox Saints/YouTube

サロフの聖セラフィムは、近代で最も尊崇される正教会の聖人の一人である。ニコライ2世の皇室一家は、とくに彼を崇めていた。セラフィムの没後70年の1903年に、その不朽体がサロフで見つかったのを機に、皇帝自らが積極的に働きかけて、列聖を実現している。

サロフの聖セラフィムが生まれる/ロシア・ビヨンド.2013
ロシア正教会の聖地「サロフ」
Сергей Зобнин/YouTube

 サロフの歴史は12~13世紀にさかのぼり、古くから修道院があった。

サロフに核開発センター建設/ロシア・ビヨンド.2013

帝政ロシア時代、サロフはロシア正教の聖地として知られていた。というのも、サロフ川に隣接して古い修道院が建てられていたからである。

ソ連で「原子力問題に関する特別委員会」を創設/ロシア・ビヨンド.2013

正教会で尊崇されている聖人「サロフのセラフィム」は、ここの森林で修行した。彼には熊もなついていたという言い伝えがある。

サロフに核開発センター建設/ロシア・ビヨンド.2013
聖地「サロフ」はソ連時代には秘密核兵器開発都市「アルザマス16」

サロフは、旧ソ連時代には「アルザマス16」の名前で呼ばれていた秘密核兵器開発都市だ。

【元露スパイ毒殺事件】猛毒ポロニウムはロシアの核閉鎖都市で製造されていた…暗殺国家の闇を浮き彫りにした戦慄の英報告書/産経ニュース.2016
収容所にの後にロケット弾「カチューシャ」の製造弾工場

サロフ(アルザマス16)は16世紀以来知られる有名な修道院の跡地で、帝政ロシア時代にはニコライ2世をはじめとする皇帝一家もこの地を訪れている。ボリシェヴィキによって1920年代に修道院が廃止された後も、労働コミューンや収容所が置かれた。収容所は1938年10月12日のソ連邦人民委員会議決議により、機械製造人民委員部へ移管され、1939年7月10日には、ソ連邦人民委員会議付属国防委員会が、サロフ修道院の跡地に152mm砲弾工場の建設を決めた。第二次世界大戦中、サロフの「第550号施設」(サロフ機械製造工場とも)では12時間労働2交代制が敷かれ、この工場で製造されたロケット弾「カチューシャ」の砲弾(M13)は戦争終結までに20万発に達した。第二次世界大戦中の砲弾生産に責任があったのは弾薬人民委員のБ.Л.ヴァンニコフで、「カチューシャ」用の爆薬を担当していたのがЮ.Б.ハリトンであった。この2人は1946年にサロフを核センターに改造する際、候補地を選定する役割を果たした。

冷戦の内部構造-ソ連・ロシアに内在する冷戦産業の実態-(P.36)/片桐俊浩.北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター
ソ連の原爆製造計画……核開発センターが建設
Советское телевидение. ГОСТЕЛЕРАДИОФОНД/YouTube

ソ連の原爆製造計画は、ゴーリキー州(現ニジニ・ノヴゴロド州)のサロフで、極秘のうちに行われた。1946年4月に、ここに核開発センターが建設された。サロフは後に閉鎖都市とされ、アルザマス16と名付けられて、ソ連の核開発の中心になる。

ソ連で「原子力問題に関する特別委員会」を創設/ロシア・ビヨンド.2013

第二次世界大戦中の砲弾生産に責任があったのは弾薬人民委員のБ.Л.ヴァンニコフで、「カチューシャ」用の爆薬を担当していたのがЮ.Б.ハリトンであった。この2人は1946年にサロフを核センターに改造する際、候補地を選定する役割を果たした。教の話題がタブーであったが、振り返ればアルザマス16やトムスク7などはもともとロシア正教の施設であった。特にサロフ(アルザマス16)はロシア正教随一の聖地として名高い。

冷戦の内部構造-ソ連・ロシアに内在する冷戦産業の実態-(P.36)/片桐俊浩.北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター
史上最大の水爆「ツァーリ・ボンバ」の製造した

 サロフの核開発センターは、1949年には、カザフ共和国(当時)のセミパラチンスクで、最初の原爆実験に成功し、1961年には、史上最大の水爆(通称ツァーリ・ボンバ、つまり爆弾の王様)の製造、実験に成功している。威力は広島型原爆の3300倍あった。

サロフに核開発センター建設/ロシア・ビヨンド.2013
今も核開発などの研究が行われている

 連邦崩壊後、アルザマス16は旧名のサロフに戻ったが、核開発をはじめ物理学研究は依然行われており、許可を得なければ、この街に入ることはできない。

サロフに核開発センター建設/ロシア・ビヨンド.2013

ウクライナでの争いはロシアが悪!!……ではない?プーチン支持者の見解

euronews (em português)/YouTube

 ロシアが2014年のクリミア半島奪取の時から、今回の侵攻を想定していたと見るのは、今や世界で一般的となっている。この8年間に最大8万人が死んだとも言われるウクライナ東部・南部でのウクライナ人とロシア人の争いについては、少なくとも現在では、「ロシアが悪い」という評価に異を唱える人は少ない。

戦争犯罪人と呼ばれるプーチン大統領を支えているものは?~ウクライナ侵攻/WebRONZA – 論座 – 朝日新聞デジタル.2022

 しかし、プーチン支持者の理解は異なる。それによると、発端は2016年2月だ。

戦争犯罪人と呼ばれるプーチン大統領を支えているものは?~ウクライナ侵攻/WebRONZA – 論座 – 朝日新聞デジタル.2022
ローマ教皇とロシア正教会のトップが史上初の会談

2016年2月12日、教皇フランシスコは、ロシア正教会キリル・モスクワ総主教と11世紀の東西分裂以来、和解に向けて史上初の会見をしました。

慈しみ/カトリック平塚教会
キリスト教の世界で頂点の二人が会談

キリルが15の大手ローカル正教会を率いているという事実が重大だ。キリスト教世界で最も偉いリーダー2人が会談するということになる。

なぜキリル総主教とフランシスコ法王は会談するのか/スプートニク日本ニュース.2016
1054年にキリスト教会が東西に分裂から約1000年の時

1054年のキリスト教会の東西分裂以来、ローマ法王と、東方正教会で最大の勢力を誇るロシア正教会トップの会談は初めて。

1000年越しの抱擁 背景に露の思惑 東西キリスト教トップが会談/SankeiBiz.2016
カトリックの布教拡大などでお互いの関係は悪化していた

東西の教会は1964年、当時のローマ法王パウロ6世と東方正教会のコンスタンティノープル総主教アテナゴラスが会談し、対立解消に向け前進。2014年には法王フランシスコとコンスタンティノープル総主教バルソロメオス1世が統一への努力強化をうたった共同宣言に署名していた。

ローマ法王とロシア正教トップ12日に会談 分裂後初、約1000年ぶり/日本経済新聞.2016

しかし東方正教会最多の信者を抱えるロシア正教会とは、旧ソ連諸国でのカトリック教会の布教拡大に伴い関係が悪化。先々代法王の故ヨハネ・パウロ2世らも融和に向けた努力を続けたが、会談は実現しなかった。

ローマ法王とロシア正教トップ12日に会談 分裂後初、約1000年ぶり/日本経済新聞.2016

会談は20年来の懸案だった。フランシスコ法王が先日述べたところによれば、準備は秘密裡に2年がかりで行われていた。

なぜキリル総主教とフランシスコ法王は会談するのか/スプートニク日本ニュース.2016
場所はハバナ空港

会談はキューバの首都ハバナにあるホセ・マルティ国際空港で行われた。

ローマ法王とロシア正教会総主教が初会談 教徒の保護訴え/CNN.co.jp.2016

 ハバナ空港で開催された会談では、白い帽子と聖衣に身を包んだ法王と、白い頭飾りと黒の聖衣に身を包んだキリル総主教が、抱擁して互いにキスを送った後に着席し、笑顔を見せた。

ローマ法王とロシア正教会総主教、約1000年ぶり歴史的会談/AFPBB News.2016

フランシスコ法王はキリル総主教に会うなり「やっと(会えた)」と叫び、「われわれは兄弟だ」として抱擁を交わした。

ローマ法王とロシア正教会総主教が初会談 教徒の保護訴え/CNN.co.jp.2016

 会談はキューバのラウル・カストロ国家評議会議長が仲介した。教皇は、米国とキューバの国交正常化交渉の仲介役を担った。正教会報道担当者は「中南米という新しい世界で両教会関係の新たなページを開くことを期待している」と語った。

カトリックと東方正教会の融和実現か 教皇庁 12日に会談と発表 2016年2月20日/キリスト新聞社ホームページ.2016
過激派「イスラム国」やイラク・シリアで迫害をうけるキリスト教徒保護のため連携!共同宣言に署名

 両者はイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)を念頭に、イラクやシリアで迫害を受けるキリスト教徒の保護のために連携し、暴力やテロ撲滅に向け国際社会に行動を求める共同宣言に署名。その後、総主教は「2つの教会は今日、世界のキリスト教徒保護のため積極的に協力できるようになった」と述べ、対話の継続に前向きな姿勢を示した。

1000年越しの抱擁 背景に露の思惑 東西キリスト教トップが会談/SankeiBiz.2016
バチカン・欧米との関係修?プーチンの思惑

 両者の会談は1000年近くに及ぶキリスト教会の東西分裂克服に道を開いた。歴史的会談の裏には、正教会とローマ法王庁(バチカン)との和解を欧米との関係修復に利用したいロシアのプーチン政権の思惑も見え隠れする。

1000年越しの抱擁 背景に露の思惑 東西キリスト教トップが会談/SankeiBiz.2016
この時の共同声明の中に、プーチンの演説との繋がりが!?

 実はこの時の共同宣言の中に、今回のプーチンの演説に繋がっていると思われる二つのことが含まれている。

戦争犯罪人と呼ばれるプーチン大統領を支えているものは?~ウクライナ侵攻/WebRONZA – 論座 – 朝日新聞デジタル.2022

 一つは、「ギリシャ・カトリック教とギリシャ正教の間に緊張が存在するところでは、ローマ教皇とキリル総主教の会談が双方の和解と共存の形を必要としている」である。これは、ウクライナにおけるカトリック教徒(ウクライナ人)とギリシャ正教徒(ロシア正教徒のロシア人)との関係を示唆している。

戦争犯罪人と呼ばれるプーチン大統領を支えているものは?~ウクライナ侵攻/WebRONZA – 論座 – 朝日新聞デジタル.2022

 もう一つは、「私達(ローマ教皇とキリル総主教)は、すでに多くの犠牲者を出しており、平和な住民に無数の傷を与え、社会を深い経済的・人道的危機に陥れているウクライナの敵対関係を嘆く。私達は、この紛争に関与しているすべての部分に、慎重さ、社会的連帯、そして平和の構築を目指した行動を呼びかける。私達は、ウクライナの教会に対し、社会の調和を目指し、対立に参加することを控え、紛争のさらなる発展を支援しないよう呼び掛ける」である。どちらが悪いとは書いていないが、ウクライナ人とロシア人の紛争の解決を求めている。

戦争犯罪人と呼ばれるプーチン大統領を支えているものは?~ウクライナ侵攻/WebRONZA – 論座 – 朝日新聞デジタル.2022

 そのうえで、「私達は、ウクライナのギリシャ正教間の分裂が、既存の教会の常識によって克服され、ウクライナの全ての正教徒が平和と調和のうちに生活し、ウクライナのカトリック共同体がこれに貢献し、それによって私達のキリスト教的兄弟愛がますます明らかになることを希望している」と表明している。

戦争犯罪人と呼ばれるプーチン大統領を支えているものは?~ウクライナ侵攻/WebRONZA – 論座 – 朝日新聞デジタル.2022

これを受け、「2014年のロシアによるクリミア半島奪取から今まで続くロシアによるウクライナ侵攻」というウクライナとNATO側の主張とは裏腹に、ロシア側は「2016年にローマ教皇とロシア正教総主教が止めようとしたウクライナ内戦を、ロシア軍を使って終結させる」と主張しているのである。

戦争犯罪人と呼ばれるプーチン大統領を支えているものは?~ウクライナ侵攻/WebRONZA – 論座 – 朝日新聞デジタル.2022
前進していた両教会だったが、ウクライナ侵攻でのキリル総主教の姿勢は、バチカンとの関係も悪化させてしまう

キリル総主教のプーチン氏支持の姿勢は、バチカンとの関係も悪化させた。

焦点:ウクライナ侵攻による正教会の混乱、孤立するロシア総主教/REUTERS.2022
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いま起こっているのは「新冷戦」ではない。世界政治の最大の焦点は宗教だ!ウクライナ危機の深層、現代ロシアと宗教との関係、国際秩序の変容を文明論、歴史的視点から解き明かす。(「BOOK」データベースより)

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【ウクライナ危機(39)】宗派を超え!世界中のキリスト教がロシアを批判!ついにウクライナ正教会は関係を断絶へ『孤立するロシア正教会』
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