【ウクライナ危機(34)】ウクライナ正規軍の中に危険なネオナチ組織がいてロシア系住民をジェノサイド!!?『侵攻の口実“アゾフ連隊”』

【ウクライナ危機(34)】ウクライナ正規軍の中に危険なネオナチ組織がいてロシア系住民をジェノサイド!!?『侵攻の口実“アゾフ連隊”』

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【ウクライナ危機(33)】欧米がウクライナのファシスト“ネオナチ”を支援している!?『侵攻の口実“ネオナチとバンデラ主義”』
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泥沼化するウクライナ戦争の結末は、プーチン失脚しかあり得ない! 1990年代、KGBを退職して以降のプーチンに注視し続けてきた軍事ジャーナリスト、黒井文太郎氏によるプーチン論考の決定版。プーチンの思考、戦略はあのヒトラーと同じだという恐怖の現実。ウクライナ、そして世界情勢の行方を知るには、この男の経歴と素顔を知らなければ語ることはできない。緊急出版。(「紀伊國屋書店」データベースより)

Azov Regiment

アゾフ連隊(アゾフ大隊)

CRUX/YouTube

 ウクライナ内務省管轄下のアゾフ連隊は、元々「アゾフ大隊」と呼ばれていたが連隊に昇格。極右組織「ウクライナの愛国者」を率いていたアンドリー・ビレツキーが、2014年のドンバス戦争当時に創設した準軍事組織だ。

アゾフ連隊がドローン攻撃 キーウ目前で露戦車隊を撃退/Yahoo!ニュース.2022

アゾフ大隊の名前は、最初に大規模な戦闘を行ったアゾフ海沿岸に由来している。

Guides:#93 ウクライナの「脱ナチ化」──若林恵/Quartz.2022

「民族主義に凝り固まったネオナチ」ウクライナ侵攻での攻撃を正当化

ロシアはアゾフについて「民族主義に凝り固まったネオナチ」とのレッテルを貼って侵攻正当化の根拠としており、部隊制圧を戦果としてPRする構えだ。

マリウポリ攻防で注目の「アゾフ連隊」とは何か? ロシアは「ネオナチ」認定し侵攻を正当化/東京新聞 TOKYO Web.2022
マウリポリへの無差別攻撃
news.com.au/YouTube

 一方のロシアは、マリウポリでの無差別攻撃の口実としてアゾフを利用。住民の避難先となっていた劇場や産科小児科病院に空爆した後は「病院はアゾフの活動拠点で患者や職員はいなかった」(ラブロフ外相)と主張。市街戦による民間人の死者も「アゾフが住民を盾にしたため」と責任を転嫁している。

マリウポリ攻防で注目の「ア連隊」とは何か? ロシアは「ネオナチ」認定し侵攻を正当化/東京新聞 TOKYO Web.2022
プーチンの目標の一つ!?アゾフ大隊の本拠地「マウリポリの完全制圧」

ウクライナに侵攻しているロシア軍が南東部の港湾都市マリウポリの完全制圧を目指す背景として、ウクライナ民族主義を掲げる武装組織「アゾフ大隊」の本拠地であることが指摘されている。ウクライナの民族主義を反ロシア的だとしてナチス・ドイツになぞらえるプーチン大統領にとって、アゾフ大隊の打倒は国内に「非ナチ化」を実現したと訴える「戦果」となる。

プーチン氏、「アゾフ大隊」本拠地マリウポリに「懲罰」か…完全制圧目指す/読売新聞オンライン.2022

『ユーロ・マイダン革命』の後の『『2014年クリミア危機』……そして『ドンバス紛争』が始まった

 アゾフ大隊の誕生は2014年にさかのぼる。

「ネオナチ思想」?マリウポリで抗戦のアゾフ大隊の実像/毎日新聞.2022

 ユーロマイダンの騒乱で親露派の大統領ヤヌコヴィッチが国外脱出するやいなや、ロシアは強引な手に出た。クリミア半島を接収し住民投票のすえにロシア領としたのだ。さらに東部のドネツク・ルガンスク2州で親露派武装勢力が蜂起し、独立を宣言した。背後にロシアがいるのは誰がどう見ても明らかだった。ここから親露派勢力が占拠した東部で何年も続く内戦、東部紛争が始まった。

ウクライナには「ネオナチ」という象がいる~プーチンの「非ナチ化」プロパガンダのなかの実像【中】/論座 – 朝日新聞社の言論サイト.2022
当時のウクライナ軍は脆弱……オリガルヒが民兵組織を立ち上げる

軍が脆弱(ぜいじゃく)だったウクライナでは当時、新興財閥(オリガルヒ)が民兵組織を相次ぎ立ち上げる動きが拡大。

高い戦闘力・アゾフ大隊 露は「ネオナチ」批判/産経ニュース.2022
様々な極右団体が武装化し『ドンバス紛争』の最前線にたった

ユーロマイダンで名をあげたフーリガンと極右の連合体であるアゾフも含めて、様々な極右団体が東部紛争の最前線に、武装化して現れたのである。

ウクライナには「ネオナチ」という象がいる~プーチンの「非ナチ化」プロパガンダのなかの実像【中】/論座 – 朝日新聞社の言論サイト.2022

ロシア軍に対抗するために結成された民兵の中で、ビレツキー一派は最も規律正しく、即戦力となった。

Guides:#93 ウクライナの「脱ナチ化」──若林恵/Quartz.2022

アゾフビレスキーが率いる民兵「アゾフ」

ロシア軍に対抗するために結成された民兵の中で、ビレツキー一派は最も規律正しく、即戦力となった。戦争初期にアゾフの資金と装備を援助した金属王で前ドネツク州知事のセルゲイ・タルタは「皆が去った後も彼らは戦線を維持した」と言う。ビレツキーをはじめとするアゾフの指揮官たちは、戦場での勇敢な行動から、国民的英雄として称賛された。2014年の授賞式で、当時のペトロ・ポロシェンコ大統領は「彼らは我々の最高の戦士だ」と述べた。「最高のボランティアだ」

Guides:#93 ウクライナの「脱ナチ化」──若林恵/Quartz.2022

その年、欧州や米国から何十人もの戦闘員がアゾフに参加するためにやってきた。彼らの多くは母国のネオナチ組織で得たタトゥーや前科を背負っていた。ウクライナ当局は、彼らの多くを歓迎し、場合によっては市民権を与えた。

Guides:#93 ウクライナの「脱ナチ化」──若林恵/Quartz.2022

ビレツキーをはじめとするアゾフの指揮官たちは、戦場での勇敢な行動から、国民的英雄として称賛された。2014年の授賞式で、当時のペトロ・ポロシェンコ大統領は「彼らは我々の最高の戦士だ」と述べた。「最高のボランティアだ」

Guides:#93 ウクライナの「脱ナチ化」──若林恵/Quartz.2022

ウクライナ東部のオリガルヒが資金援助

アゾフ大隊は極右組織「ウクライナの愛国者」を以前率いていたビレツキー氏らが創設したものだが、国家から武器を与えられ、ウクライナ東部のオリガルヒ(新興財閥)から資金提供を受ける。その中にはユダヤ人実業家のイホル・コロモイスキー氏の資金も含まれる(後略)。米国務省は21年3月にコロモイスキー氏に制裁を科し、その前年には司法省が横領や詐欺の疑いで同氏を捜査対象にした。

極右「アゾフ大隊」、ウクライナの抵抗で存在感 ネオナチの過去がロシアの攻撃材料に/CNN.co.jp.2022
アゾフの活躍もあり東部のマウリポリで戦いでウクライナは初勝利!!アゾフは英雄視
AZOV media/YouTube

 士気も旺盛である極右民兵、その数一万五千人は、東部の要衝であるマリウポリの近郊での戦いで大活躍する。敗北しつづけてきたウクライナ軍だったのが、彼らのおかげで、はじめての勝利を勝ち取ることになった。

ウクライナには「ネオナチ」という象がいる~プーチンの「非ナチ化」プロパガンダのなかの実像【中】/論座 – 朝日新聞社の言論サイト.2022

戦争初期にアゾフの資金と装備を援助した金属王で前ドネツク州知事のセルゲイ・タルタは「皆が去った後も彼らは戦線を維持した」と言う。ビレツキーをはじめとするアゾフの指揮官たちは、戦場での勇敢な行動から、国民的英雄として称賛された。2014年の授賞式で、当時のペトロ・ポロシェンコ大統領は「彼らは我々の最高の戦士だ」と述べた。「最高のボランティアだ」

Guides:#93 ウクライナの「脱ナチ化」──若林恵/Quartz.2022

功績が認められたアゾフはウクライナ正規軍に編入!さらに特殊部隊「国家親衛隊」の中核を担う

AZOV media/YouTube

そしてこの功績により、アゾフは正規軍に編入され、これとは別の「国家親衛隊」という内務省管轄として特設された特殊部隊では、その中核を担う存在にまでなったのだ。

ウクライナには「ネオナチ」という象がいる~プーチンの「非ナチ化」プロパガンダのなかの実像【中】/論座 – 朝日新聞社の言論サイト.2022

国家親衛隊の任務は「国民の生命と財産の保護、治安維持、対テロ、重要施設防護等を主な任務とし、ウクライナ軍と協力しての軍事作戦による武力侵略の撃退、領土防衛等も実施する事」である。

アゾフ連隊って、今でもネオナチの極右勢力なのか。/KEISUI ART STUDIO | 山﨑惠水公式サイト.2022
マウリポリを守護している

その後マリウポリを守っている。

プーチンが歯ぎしりする「残酷部隊」…マリウポリ守る1000人の正体/中央日報.2022

正規軍になったのはいいが、部隊内の極右思想やネオナチ記章が問題に!

Радіо Свобода/YouTube

だがそうした地位に伴い、厄介な荷物もできた。一部の隊員の極右思想やネオナチの記章だ。その中には「ナチスが疑似宗教に利用した異教的シンボル」である黒い太陽や、「極右過激主義者も採用するシンボル」であるヴォルフス・アンゲル(狼の罠)も含まれるという。

極右「アゾフ大隊」、ウクライナの抵抗で存在感 ネオナチの過去がロシアの攻撃材料に/CNN.co.jp.2022
ナチスのようなシンボルマーク!?

独ドイチェベレによると、アゾフ連隊はナチスドイツ時代を思わせるシンボルを使った。ラテン文字のNとIを組み合わせたエンブレムはナチスの象徴であるハーケンクロイツ(かぎ十字)と似ている。ナチスのシンボルである「黒い太陽」のエンブレムを使ったこともある。

プーチンが歯ぎしりする「残酷部隊」…マリウポリ守る1000人の正体/中央日報.2022

このマークはウクライナの極右が好んで使うイディヤ・ナツィイ(Ідея нації/国家思想)と呼ばれるもので、1991年にウクライナ社会民族党(Соціал-національнапартіяУкраїни)が採用したのが始まりです。ダス・ライヒが由来であることは明らかですが、あくまでIとNの組み合わせということです。

ウクライナ極右勢力の発展と没落—ポストコロナのプロテスト[90]-(松沢呉一)/タグマ! – 新世代のメディア、タグマ!.2021
ルーツはたどればアゾフは元フーリガン!?

アゾフ大隊の歴史は、ハルキウのサッカークラブFCメタリスト・ハルキウのウルトラス(熱狂的なサポーターグループ)として1982年に始まったという経緯がある。

アゾフ連隊って、今でもネオナチの極右勢力なのか。/KEISUI ART STUDIO | 山﨑惠水公式サイト.2022
極右とフーリガン

 ヨーロッパのサッカーと極右グループの暴力──両者の結び付きは長い歴史を持つ。イタリアの独裁者ムソリーニは1934年のワールドカップ(W杯)をファシスト党の宣伝に使い、スペインのフランコ政権は名門クラブのレアル・マドリードを体制強化に利用した。近年はフーリガンの暴走が試合の主催者と一般のファンを悩ませている。

欧州に戻ってきたフーリガンの悪夢/Newsweek.2010

 サッカーというスポーツが人間を暴力的にしたり政治的にしたりするわけではないが、サッカーの試合では明確な象徴性と戦闘的ムード、強烈な愛国心が1つに結合する。

欧州に戻ってきたフーリガンの悪夢/Newsweek.2010

 経済的・政治的苦境にあえぐ国では、このような火種が燃え上がりやすい。そして一部の過激な政治組織にとって、サッカーの試合は貧困と怒りを抱えた失業者の若者を仲間に引き入れる格好の機会だ。

欧州に戻ってきたフーリガンの悪夢/Newsweek.2010

アゾフは結成初期には凶悪な事件を引き起こした

hromadske/YouTube

2014年のクリミア併合以来、ロシア系住民とウクライナ人の緊張が続いていた。

キエフ、オデッサ、マリウポリ包囲戦前夜:ウクライナ戦争はいま/Yahoo!ニュース.2022
『オデッサの惨劇』
Віталій Уманець/YouTube

その年の5月に起きた火災事件。

キエフ、オデッサ、マリウポリ包囲戦前夜:ウクライナ戦争はいま/Yahoo!ニュース.2022

きっかけは、市街地でサッカーファン同士の深刻な口論で、ロシア系を嫌うウクライナ人が射殺されたことだ。怒った人たちに追われた親ロシア派の分離主義者たちが労働組合会館に引きこもったが、屋根から火炎瓶が投げ込まれて火災が発生したのである。

キエフ、オデッサ、マリウポリ包囲戦前夜:ウクライナ戦争はいま/Yahoo!ニュース.2022

アメリカで放映された現場の映像では、当日オデッサで行われたサッカーの試合のフーリガンを装った政権派が親ログループを労働会館におしこめた後会館に放火し、逃れてくる親ロ派(何人かは上の階から飛び降りた)を銃で撃ち殺す場面が映されている。

ウクライナ問題について その3/キヤノングローバル戦略研究所.2014

市当局によると親ロ派が占拠した労働組合会館の放火や街頭の銃撃戦で計46人が死亡。新政権と親ロ派の対立による東部の混乱は南部にも拡大した。

ウクライナ南部の衝突、死者46人に/日本経済新聞.2014

ヤヌコビッチ政権が崩壊した2月の政変後に起こった両勢力の衝突としては最悪の惨事で、治安当局は約170人を逮捕。

ウクライナ南部の衝突、死者46人に/日本経済新聞.2014

ロシアのペスコフ大統領報道官は3日、「キエフ(新政権)と欧米が流血を招いた」と批判。25日の大統領選について「大量殺人が起こる中での選挙の話はばかげている」と認めない姿勢を示した。一方、ウクライナ保安庁の報道官は「事件は外国勢力の仕業だ」とロシア側を非難した。

ウクライナ南部の衝突、死者46人に/日本経済新聞.2014

死亡した人たちは、オデッサの住民ではなく、ロシア、あるいはオデッサから数キロ離れた所にある、モルドバとの国境にロシアがつくった自称「沿ドニエストル共和国」のパスポートを持つ人々だけだったのではないかという疑惑である。この調査と報告をめぐって、街は揺れた。

キエフ、オデッサ、マリウポリ包囲戦前夜:ウクライナ戦争はいま/Yahoo!ニュース.2022
他にも様々な襲撃に関与
ТСН/YouTube

ネオナチ政治組織である「社会国民会議」が「急進党」の協力を得て組織したアゾフによる、2014年5月9日のマリウポルの地区警察本部の襲撃は、警察と民間人に死傷者を出した。また「ライト・セクター」とドニプロペトロフスク州のオリガルヒ知事イホル・コロモイスキーによって組織された「ドニプロ大隊」は、2014年5月初旬に起きたドネツク州クラスノアルミスクにおける襲撃に関与していた。

Guides:#94 終わりなき戦争のナラティブ・前編──若林恵/Quartz Japan.2022

あまりの残虐性にアメリカではアゾフ連隊をテロ組織認定も検討

残酷性も議論の的だった。英ザ・タイムズによると、アゾフ連隊はドンバス戦争の親ロシア派捕虜をマリウポリに連行して水と電気で拷問した。国連人道問題調整事務所(OCHA)は2015年11月から2016年2月までにアゾフ連隊員が民間の建物に武器と兵力を配備し、住民らを略奪して追い出すなど国際人道法に違反したと発表した。2019年には米下院で民主党議員40人がアゾフ連隊をテロ組織に指定しようという意見を出した。

プーチンが歯ぎしりする「残酷部隊」…マリウポリ守る1000人の正体/中央日報.2022
差別主義者!?自衛組織として治安維持をする一方で暴力行為が行われた

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、アゾフ連隊による暴行や拉致(らち)、拷問、略奪、性的暴力などの犯罪行為があったと報告している。住宅街での民間人に対する暴力行為もあったという。2022年2月にはアゾフ連隊の兵士とみられる人物が、ウクライナ国家親衛隊のツイッター公式アカウントにイスラム教徒を侮辱する動画を投稿している。

「救国の英雄」か「ネオナチ」か?ウクライナ・アゾフ連隊の正体/M&A Online.2022

 現在でも自警組織として市中パトロールなどを行なっているが、その一方ではLGBTや少数民族ロマへの襲撃もしばしば行なってきた。

ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い/Yahoo!ニュース.2022
アゾフ連隊報道官は2015年には1~2割がナチス主義者だったと認めている

2015年には当時アゾフ連隊報道官だったアンドリー・ディアチェンコは「アゾフの新兵のうち10~20%がナチス主義者」と明らかにした。

プーチンが歯ぎしりする「残酷部隊」…マリウポリ守る1000人の正体/中央日報.2022

アゾフ連隊本部は政府も介入できない世界的な「白人至上主義右翼の聖地」

TIME/YouTube

それでも現在のウクライナ政府と密接な関係にあることから、その不法行為はほとんど問題にもされず、首都キエフにある本部はウクライナ政府さえ介入できない、いわば「白人右翼の聖地」の一つになっている。

ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い/Yahoo!ニュース.2022
結成当初から、世界中の白人至上主義者の戦闘員をリクルート

専門家によると、アゾフ運動は結成当初から、白人至上主義の動機を持つ外国人戦闘員を勧誘してきた。ロシアがウクライナに全面侵攻し、ゼレンスキー大統領が外国人義勇兵に戦闘参加を呼び掛けたことで、今回の戦争での過激化について懸念が持ち上がっている。

極右「アゾフ大隊」、ウクライナの抵抗で存在感 ネオナチの過去がロシアの攻撃材料に/CNN.co.jp.2022

 欧米諸国では2010年代後半から白人右翼によるテロや暴動が目立つようになったが、近年では取り締まりも強化されている。活動の場を求める白人右翼のなかには、混乱の続くウクライナや実戦経験の豊富なアゾフに惹きつけられる者も増えていて、例えば2019年NZクライストチャーチのモスクで51人を殺害したB.タラントもウクライナ行きを希望していた。

ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い/Yahoo!ニュース.2022

 なかには実際にウクライナに渡る右翼活動家も多く、アゾフ基地には欧米だけでなく中東など50カ国以上から17,000人以上が集まり、訓練を受けているとみられる。ロシア軍が国境付近に迫る状況は、アゾフがこれまで以上に大々的に活動するきっかけになり、それはさらに多くの白人右翼をウクライナに集める宣伝材料にもなるだろう。

ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い/Yahoo!ニュース.2022

ニューヨークを拠点にする外交政策研究の非営利団体(NPO)、ソウファン・センターのコリン・P・クラーク上級研究員はCNNに対し、「私の懸念は欧州の極右をはじめとする人々がウクライナの戦域で実戦経験を積み、それを狭義の欧州でのテロ攻撃に利用することだ」と述べた。

極右「アゾフ大隊」、ウクライナの抵抗で存在感 ネオナチの過去がロシアの攻撃材料に/CNN.co.jp.2022

米バズフィードは20年、ウクライナが米国を拠点とするネオナチ集団「アトムワッフェン師団」の構成員2人を国外退去処分にしたと報じた。2人はアゾフで実戦経験を積もうとしていたという。

極右「アゾフ大隊」、ウクライナの抵抗で存在感 ネオナチの過去がロシアの攻撃材料に/CNN.co.jp.2022
ウクライナ侵攻でゼレンスキーが外国人義勇兵に戦闘参加を呼びかけたことが、懸念材料に上がった

ロシアがウクライナに全面侵攻し、ゼレンスキー大統領が外国人義勇兵に戦闘参加を呼び掛けたことで、今回の戦争での過激化について懸念が持ち上がっている。

極右「アゾフ大隊」、ウクライナの抵抗で存在感 ネオナチの過去がロシアの攻撃材料に/CNN.co.jp.2022

子供に軍事訓練?サマーキャンプ

The Guardian/YouTube

14年の結成以来、アゾフ運動は民兵や子ども向けのサマーキャンプ、準軍事的な訓練拠点を含む組織に成長。国際的な極右の場として自らを宣伝しつつ、音楽祭や政治イベント、総合格闘技大会などの活動を手掛けている。

極右「アゾフ大隊」、ウクライナの抵抗で存在感 ネオナチの過去がロシアの攻撃材料に/CNN.co.jp.2022

ネオナチ・極右思想が分離で現在のアゾフ連隊は健全化?

 当時、アゾフ大隊のトップが白人至上主義者だったなどとうわさされたのは確かだ。

「アゾフ大隊、国民に極右イメージない」 元駐ウクライナ大使/毎日新聞.2022

(前略)ザ・タイムズは「アゾフ連隊が大きくなりながら極端な見方が薄まり、白人優越主義傾向は弱まった」と伝えた。ドイチェベレも「アゾフ連隊は正規軍になり極右活動と分離した。訓練過程で極右思想がある軍人は摘発されたりもするなど右翼原理主義と分離した」と伝えた。

プーチンが歯ぎしりする「残酷部隊」…マリウポリ守る1000人の正体/中央日報.2022
創始者:極右政党のトップ「アンドリー・ビレツキー」が脱隊

アゾフ連隊を立ち上げたアンドリー・ビレツキー氏は極右政党のトップで、初期の隊員には極右思想者が多かったという。ウクライナ政府もアゾフ連隊の極右色を懸念して国家親衛隊への編入に当たってアゾフ連隊に「非政治化」を求め、ビレツキー氏ら極右思想指導者は隊を去った。

「救国の英雄」か「ネオナチ」か?ウクライナ・アゾフ連隊の正体/M&A Online.2022
それでもアゾフ連隊との繋がりがあったともいわれている

だがその後、ビレツキー氏はウクライナの極右政党「ナショナル・コープス」を創設。同党はアゾフ連隊関係者が支持基盤となり、現在も同連隊と深いつながりがある。ビレツキー氏は白人国家主義の極右政治家として2014年から2019年までキエフ選出のウクライナ議会議員として活動した。2007年に出版した自著では「ウクライナで民族浄化を断行すべきだ」と過激な主張していたという。

「救国の英雄」か「ネオナチ」か?ウクライナ・アゾフ連隊の正体/M&A Online.2022
シンボルマークについてネオナチを否定し「国家理念」を意味

アゾフ指導部はネオナチとの結びつきを否定し、ヴォルフス・アンゲルの「N」と「I」は「国家理念」を意味するとしている。

極右「アゾフ大隊」、ウクライナの抵抗で存在感 ネオナチの過去がロシアの攻撃材料に/CNN.co.jp.2022
一時、アメリカがアゾフを危険なネオナチ認定、武器支援を禁止する法案を可決したが修正

 戦場の様子などもFacebookなどで発信し、欧米からも右翼活動家をリクルートするアゾフは、欧米での白人テロを誘発させかねない存在として危険視されている。実際、アメリカ議会は2015年、アゾフを「ネオナチの民兵」と位置付け、援助を禁じる法案を可決した。

ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い/Yahoo!ニュース.2022

米国は、ウクライナのロシア分離派との戦いを助けるため、2014年から資金支援と訓練を提供していたが、当時はこれを武器にまで拡大したばかりだった。

ウクライナの「外国人義勇兵」募集に潜むリスク、専門家が警告/Mashup Reporter.2022
……ロシアへの抑止力のため法案は先送り

しかし、アゾフ連隊はロシアへの抑止力として期待され、米国の支援停止は2018年まで先延ばしにされた。

「救国の英雄」か「ネオナチ」か?ウクライナ・アゾフ連隊の正体/M&A Online.2022
2018年に法案を修正しアゾフに軍事支援

(前略)2018年、国防総省からの圧力で議会は法案を修正し、それを皮切りに欧米はアゾフに軍事援助をしてきた。

ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い/Yahoo!ニュース.2022

アゾフ連隊が「ネオナチ団体ではない」と弁明したことや、ロシアによるウクライナ侵攻で同連隊の「ネオナチ問題」はうやむやになり、米国からの軍事支援も再開された。

「救国の英雄」か「ネオナチ」か?ウクライナ・アゾフ連隊の正体/M&A Online.2022
さらに欧米諸国から訓練を受ける

ジョージワシントン大学研究チームが昨年発表した報告書によると、アゾフやその下部団体のメンバーはアメリカをはじめ欧米諸国から訓練を受けており、なかにはイギリス王室メンバーも卒業生のサンドハースト王立陸軍士官学校に留学した者までいる。

ウクライナ危機の影の主役――米ロが支援する白人右翼のナワバリ争い/Yahoo!ニュース.2022

『2022年ロシアのウクライナ侵攻』マウリポリでロシア軍と戦闘!市民の犠牲はアゾフやウクライナのせい

On Demand News/YouTube

このオリガルヒから支援を得たアゾフ大隊などは、現在のロシア・ウクライナ戦争において、マリウポリの防衛などに携わっている。

(混沌のウクライナと世界2022)第1回 なぜゼレンスキーはウクライナの大統領になったのか?――人気タレントから大統領就任への社会的背景(松嵜 英也)/アジア経済研究所.2022

「ネオナチからの解放」ロシアのウクライナ侵攻の口実に使い、さらにプロパガンダを拡散

BBC News/YouTube

ウクライナ侵攻について「ネオナチからの解放」が目的だと主張するロシアは、アゾフ大隊をプロパガンダ(政治宣伝)の格好の材料として利用してきた。露軍はマリウポリの産科や劇場を攻撃した際には「アゾフ大隊が基地として利用していた」(ラブロフ外相)などと主張し、民間人攻撃を正当化した。

高い戦闘力・アゾフ大隊 露は「ネオナチ」批判/産経ニュース.2022

ウクライナのドンバス地方のものとされた炎に包まれた戦車の写真は、実際は中国で同種のロシア戦車が炎上していた事件の写真でした。ロシアメディアが「ファシズムとの戦い」をうたって義勇兵を募集した記事では、ナチス・ドイツの象徴であるカギ十字をつけた、ウクライナ国旗を掲げる戦車の写真が拡散しました。しかし、この元の写真はロイター通信が配信したもので、カギ十字は捏造(ねつぞう)されたものでした。

クリミア危機で成果も……ウクライナ侵攻、ロシア情報戦の「誤算」/毎日新聞.2022
マウリポリでの被害についてロシア軍は「すべてアゾフ連隊やウクライナ軍の仕業」

 マリウポリではロシア軍が包囲した3月1日以降、避難所となっていた劇場や病院が空爆され、市民ら2万人以上が死亡したとされる。ロシア軍は被害について「すべてアゾフ連隊やウクライナ軍の仕業」と訴えている。

ロシア、投降したアゾフ連隊を「戦争犯罪人」で訴追方針 一方的に裁く恐れ 政界に処刑求める声まで/東京新聞 TOKYO Web.2022

ロシアのプロパガンダについて……。アゾフ連隊がロシア向けにメッセージを投稿

アゾフ連隊がテレグラム・チャンネルにてロシア向け呼びかけメッセージを掲載した。

アゾフ連隊、ロシアに対してナチズムを説明/ウクルインフォルム通信.2022

呼びかけには、「私たちは、ナチズムとスターリニズムを軽蔑している。なぜなら、私たちの国は、この二つの全体主義体制と嘘のイデオロギーによって最も苦しんできたからだ。クレムリンのプロパガンダは、私たちをナチやらファシストやらと呼びつつ、自分のことはウクライナを非ナチ化しに来た『解放者』だと呼ぶ。しかし、真実はこうだ。私たちの領土にプーチン・モンスターが侵攻してきており、私たちにはそれを守る権利と義務がある。その防衛の最前線に立っているのがアゾフだ」と書かれている。

アゾフ連隊、ロシアに対してナチズムを説明/ウクルインフォルム通信.2022

さらにアゾフ連隊の隊員たちは、普通は「犯人を捕まえろ!」と最も大きな声で叫んでいるのが犯人だと指摘した。

アゾフ連隊、ロシアに対してナチズムを説明/ウクルインフォルム通信.2022

また隊員たちは、現在、世界中が大きな嘘と儚い真実の時代を生きているとし、偉大さについての幻想を作り出し、「ロシアの世界」という非人間的な考えを推進するために何十億ドルもの資金が費やさられていると指摘した。そして、その「ロシアの世界」こそが破壊、死、苦難、飢餓、恐怖をもたらしているのだとし、またこの闘いにおいて唯一の武器が真実であると指摘した。

アゾフ連隊、ロシアに対してナチズムを説明/ウクルインフォルム通信.2022

加えて、「アゾフ」とは、2014年にロシアがクリミアとルハンシク・ドネツィク両州の一部を奪取した後に、志願兵によって作られた国家警護隊の部隊であるとし、この部隊には、ウクライナ人、ロシア人、ユダヤ人、ギリシャ人、ジョージア人、クリミア・タタール人、ベラルーシ人が所属しており、過去8年間、正教徒、カトリック教徒、プロテスタント教徒、多神教教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒といった様々な宗教を信仰する人が参加してきたし、大半の隊員はロシア語で話すと説明されている。

アゾフ連隊、ロシアに対してナチズムを説明/ウクルインフォルム通信.2022

その上でアゾフは、「ナチズムとは、自由になると決めた人を殺そうとする貪欲な欲求である。それは、何らかの超民族の権利、他の民族を操る権利がある、他の国家を強姦し、略奪する権利が自分にはあるという確信である。心当たりはないか?」と尋ねている。

アゾフ連隊、ロシアに対してナチズムを説明/ウクルインフォルム通信.2022
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泥沼化するウクライナ戦争の結末は、プーチン失脚しかあり得ない! 1990年代、KGBを退職して以降のプーチンに注視し続けてきた軍事ジャーナリスト、黒井文太郎氏によるプーチン論考の決定版。プーチンの思考、戦略はあのヒトラーと同じだという恐怖の現実。ウクライナ、そして世界情勢の行方を知るには、この男の経歴と素顔を知らなければ語ることはできない。緊急出版。(「紀伊國屋書店」データベースより)

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