【ウクライナ危機(29)】ウクライナ侵攻を止められず…制裁と武器支援の緊迫の舞台裏

今回はロシアのウクライナ侵攻、それに対する欧米の経済制裁や武器支援、そしてそれらがウクライナ危機を止めることができなかった理由について詳しく説明しています。また、NATOの対応やアメリカのバイデン大統領とロシアのプーチン大統領の対話、そしてそれらがウクライナ危機にどのような影響を与えたかについても探っていきます。

【ウクライナ危機(28)】衝撃のウクライナ危機!ロシアの侵攻計画とSNSでのプロパガンダ作戦!
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スターリン以来の長期政権を築いたプーチン。独裁者か、救国の英雄か?その評価は内外で真っ二つに割れるが、その人物像は?プーチンを直接知るKGB時代の元同僚やイスラエル情報機関の元長官など、20人の貴重な証言と最新情報をもとに、その実像に迫る。(「BOOK」データベースより)

Sanctions against Russia

「高い代償を払うことになる」欧米がロシアに経済措置を発表

BQ Prime/YouTube

ロシアのウクライナ侵攻に対し、欧米は武力行使を避けるための、あらゆる外交的手段を模索してきました。そして、この厳しい状況の中で、ロシアに対する制裁が全力で施行され、次々と武器支援が行われました。しかし、それでもなお、この戦争を止めることはできませんでした。

NATOの対応と制裁の可能性

2021年11月30日から12月1日まで、欧米の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)はラトビアのリガで外相理事会を開催し、ロシア軍がウクライナ国境に部隊を展開している問題について協議しました。これはロシアによる新たな侵略の可能性に対する懸念からの措置です。

会議では、全てのメンバー国が、ロシアがウクライナを侵攻すれば「高い代償を払うことになる」との認識で一致しました。これは、ロシアに対する軍事的な対応だけでなく、経済的な制裁の強化を含む、さまざまな可能性を示唆しています。

特に、経済制裁の実施は、NATOがロシアに強いメッセージを送る手段の一つとなることが期待されています。ロシアがウクライナに対して新たな軍事行動を開始すると、ロシア経済はさらなる打撃を受けることになることになります。この事実は、既に欧米からの制裁によって経済が圧迫されているロシアにとって、一層困難な状況に追い込まれることを意味します。

そんな中でも、NATOは武力行使を最後の手段と位置づけ、まずは外交的な解決を試みることを強調しています。これは、ウクライナの安定と欧州全体の安全を保証するための方針でした。

アメリカの対応と大統領間の対話

2021年12月3日、アメリカのバイデン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻を阻止するための対応策を準備していると述べました。これにより、アメリカがロシアのウクライナに対する潜在的な脅威に対して積極的に対処する意向を明確に示しました。バイデン大統領は、「プーチン大統領が実行に移すのを阻止する包括的で意義ある取り組みになる」と発言し、ロシアを牽制しました。

米当局者によると、具体的な対策としては、ロシアのエリート、特にプーチンの周辺の富裕層に対する新たな制裁や、ウクライナへの軍事支援の拡大が検討されています。これらの措置は、ロシアの経済をさらに圧迫し、ウクライナの防衛能力を強化することを目指しています。

一方、米ロ両国の政府関係者は、近日中にバイデン大統領とプーチン大統領の間で電話会談を計画しているとの報道がありました。ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)によれば、この会談はプーチンのインド訪問後の12月6日以降に行われる予定です。

この会談は、現在の緊張状態を緩和し、ウクライナの情勢を安定化するための重要な機会となる可能性があります。ロシア大使のアントノフは、会談が関係の安定化と情勢の沈静化を促進するだろうと述べています。

テレ東BIZ/YouTube

バイデンとプーチンの首脳会談とその結果

2021年12月7日、バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領はオンライン形式で約2時間にわたり協議を行いました。この会談は、両国間の緊張を緩和し、特にウクライナ情勢に対する共通の理解を形成することを目指していました。

会議の中で、バイデン大統領は、ロシアがウクライナに軍事侵攻をすれば欧州の同盟国とともに「強力な経済措置で対抗する」と明確に伝えました。一方、プーチン大統領は「北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を排除する信頼ある法的に定められた保証」を求める立場を再度表明しました。

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も会談に同席し、トップ同士の直接対話の重要性を強調し、事態収拾に向けたロシア側の歩み寄りに期待を寄せました。また、ウクライナへの武器供与を加速させるほか、NATOに加盟するバルト3国やルーマニア、ポーランドの軍事力強化を支援する可能性についても触れ、「東方戦線のパートナーは自国の安全に懸念を強めるだろう。米国は積極的に対応したい」と述べました。

米国はさらに経済制裁の一環として、ロシアのガスパイプライン「ノルドストリーム2」の稼働を阻止するようドイツに働きかける方針を示しました。このパイプラインはロシアとドイツを結び、プーチン大統領はその早期稼働をドイツに求めています。

さらに、報道によれば、ロシアの銀行がルーブルを外貨へ両替することの制限や、国際銀行間通信協会(SWIFT)のグローバル金融システムからロシアを切り離す措置などが検討されています。

Reuters/YouTube

「G7外務・開発相会合」緊張高まる地政学、対ロシア・対中国の統一戦略模索

2021年12月11日と12日、英国リバプールで開催されたG7外務・開発相会合では、多様な課題が討議されました。特に焦点となったのは、ウクライナと東南アジアで高まる地政学的緊張と、そこに深く関与するロシアと中国に対する戦略の統一でした。

euronews/YouTube
「ロシアとウクライナ」武力行使阻止への決意

会議の初日、議長を務めたリズ・トラス英国外相は、「侵略者には立ち向かう」と述べ、ロシアがウクライナに侵攻する可能性を阻止する決意を示しました。G7各国は、ウクライナに侵攻すれば「間違いなくその行為に対する重大な結果と厳しい代償に直面する」とする共同声明を発表しました。この声明は、ロシアに対して緊張緩和と外交手段での対応を求めるとともに、軍事活動の透明性に関する国際合意を順守するよう促しています。

「中国とASEAN」影響力拡大への対策

12日の会議では、ASEAN各国の外相が初めて参加し、中国の影響力拡大に対するG7の対策が議論されました。中国は、インフラ支援を通じて途上国に対する影響力を増大させようとしており、それに対抗する方法がG7の課題となっています。

南シナ海における中国の海洋進出と軍事拠点化を念頭に置いた議長声明では、「埋め立てなどの活動は(南シナ海)地域の平和や安定性を損なう恐れがある」と強調され、G7とASEANは「海洋安全保障や航行の自由のための協力強化を奨励する」との声明がなされました。

「日本の対応」対中国関心集中、五輪ボイコットは未定

日本の対応:対中国関心集中、五輪ボイコットは未定 日本からは林芳正外相が出席しました。在外公館への指示の内容からは、省内の関心が中国に集中していることが伺えます。新疆ウイグル自治区の人権侵害や台湾海峡の平和と安定など、中国関連の議題が重視されていたようです。

来年の2022年2月から始まる北京冬季五輪・パラリンピックについては、「外交的ボイコット」が意見交換の対象となったが、林外相は「適切な時期に総合的に判断する」と述べるにとどめていました。

欧州連合の制裁行動とウクライナ問題への態度

2021年12月13日、欧州連合(EU)加盟27か国の外相はベルギー・ブリュッセルで会合を開き、ロシアの民間軍事企業ワグネル(Wagner)に制裁を科すことを決定しました。

また、ウクライナに対する軍事攻撃があれば前例のない規模の経済的措置で応じると警告を発しました。会合で、EU加盟国の外相はワグネルに関連する8個人と3企業を既存の制裁措置の対象に直ちに追加することを承認しました。

EUによると、ワグネルの戦闘員らは、親ロシア派がウクライナの一部地域を占拠し、ウクライナ軍と戦闘を重ねてきた地域で政権軍のヘリコプターや戦闘機の撃墜に関与したと報じられています。さらに、シリアでアサド政権側に立って戦ったともされています。リビアでも武装組織と行動を共にしたとの報告があります。

EUのボレル外交安全保障上級代表は、ワグネルの行動をロシアのハイブリッド戦の具体例と指摘し、「数多くの国に脅威と不安定化をもたらしている」と発表しました。ウクライナやアフリカなど各地の紛争地帯に傭兵を送り込み、人権侵害や破壊活動を行ったとして、ワグネルに対する制裁として域内の資産を凍結し、EUへの渡航も禁じることとなりました。

ワグネルを支援しているとされるプーチンの側近である実業家プリゴジンについて、EUは2020年10月に制裁を発動し、渡航を禁止すると同時に資産を凍結しました。しかし、プリゴジンはワグネルとの関係を否定し、プーチン大統領もワグネルはロシア政府を代表する企業ではなく、ロシア政府は同社に支払いも行っていないとの立場を示しています。

ワグネルに対する制裁が発動されると、その企業との取引ができなくなりますが、ロシアに大きな影響が及ぶとは考えられていません。ワグネルについては、国連人権理事会でも2021年10月にリビアでの戦闘参加を指摘する報告書が提出されましたが、ロシア外務省は「疑わしい情報にもとづき、ロシアの信用をおとしめている」と反発しています。

RFI/YouTube
欧州と米国からのロシアへの厳しい警告

さらに、EUのフォンデアライエン欧州委員長は2021年12月15日、フランス・ストラスブールの欧州議会で、ロシアがウクライナに侵攻すれば「前例のない制裁」を科すと警告しました。これは、EUがロシアに対して一段と厳しい姿勢を示す意思表示と言えるでしょう。

同じく12月15日には、ドイツの新たな首相であるオルガフ・ショルツも初の施政方針演説で侵攻は「高い代償」を伴うと表明しました。これにより、欧州によるロシア包囲網が一層強化されることとなります。

また、アメリカもロシアへの厳しい対応を示しています。2021年12月21日、米政府はロシアがウクライナに侵攻すればロシア経済に打撃を与える厳しい輸出管理措置の導入を検討していることを発表しました。これにより、ロシアがウクライナに侵攻を続けると、その経済に大きな悪影響を及ぼす可能性が高まっています。

以上の動きは、ロシアがウクライナへの侵攻を続ける場合、国際社会から厳しい対応を受ける可能性を示しています。それぞれの国や組織がロシアに対して個別または共同で行動を起こすことで、ロシアの行動を抑止しようという試みが見て取れます。

「侵攻すれば前例のない制裁」欧州委員長がロシアに警告

2021年12月15日、フランス・ストラスブールの欧州議会でEUのフォンデアライエン欧州委員長は、ロシアがウクライナに侵攻すれば「前例のない制裁」を科すと警告しました。これは、EUがロシアに対してさらに厳しい姿勢を示すという明確な意思表示であります。

同じ日に、ドイツの新首相オルガフ・ショルツも、連邦議会での初の施政方針演説において、ロシアの侵攻は「高い代償」を伴うと表明しました。これにより、欧州によるロシアへの圧力が一層強化されることとなりました。

そして、12月21日には、米国もロシアに対する強硬な措置を示唆しました。ロシアがウクライナに侵攻する場合、ロシア経済に打撃を与える厳しい輸出管理措置の導入を検討していると発表しました。これにより、ロシアがウクライナに侵攻する可能性に対して、国際社会からの反発が強まることが予想されます。

侵攻の規模次第で制裁見送り?バイデンの失言に世界が驚愕

2023年12月19日、米国のジョー・バイデン大統領の記者会見での発言が、ロシアによるウクライナへの侵略についての国際的な議論を巻き起こしています。バイデン大統領は、「(ロシアの)小規模な侵略で私たち(NATOのこと)が何をすべきか、何をすべきでないか、という言い争いに終始するのは1つの問題だ。しかし、実際に彼らが出来ることを全て行いウクライナを侵略すればロシアにとって大惨事になるだろう」と発言しました。

これに対し、一部のジャーナリストが「ロシアによるウクライナへの侵略が小規模なら許可するのか?」と質問。バイデン大統領は、「良い質問だ。(プーチンがウクライナ侵略を小規模に留めるなら壊滅的な制裁を免れることができる)そう聞こえたかもしれないね、、、」と笑いながら回答し、世界中から驚きの声が上がりました。

この発言を受けて、アントニー・ブリンケン米国務長官は翌日、「我々は終始一貫して、非常に明確に立場を示してきた」とし、ロシアによるウクライナへのいかなる侵攻に対しても、アメリカと同盟国は「一致団結し、迅速かつ厳格な対応」を取ることになると説明しました。バイデン自身も、侵攻の規模にかかわらず「私たちはさまざまな手段を用いて、一致団結して断固対応する」と発言し、その立場を強調しました。

一方、イギリスのボリス・ジョンソン首相は、ロシアによるウクライナ侵攻は「その規模に関わらず、世界にとって大惨事になるだろう」と述べ、強い警告を発しました。また、ロシア政府は、バイデンの発言が状況をさらに不安定にする恐れがあると警告しました。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も、バイデンの発言に反応し、「大国には、小規模な侵攻や小国というものが存在しないということを再認識してもらいたい」とツイッターで述べ、「愛する人を失う悲しみに大小がないのと同じことだ」とコメントしました。

このように、バイデン大統領の発言については賛否が分かれており、その解釈について議論が巻き起こりました。バイデン大統領の言葉は問題の本質を突いていたのか、それとも誤解を招いたのか、その評価はまだ明らかになっていません。

テレNEWS/YouTube

ウクライナとロシアの間で緊張が高まる

2021年12月22日、ウクライナとロシアの間で緊張が高まる中、ウクライナのテレビ局は同国東部で政府軍が米国製対戦車ミサイル「ジャベリン」を用いた戦闘訓練を実施したと報じました。オレクサンドル・パウリューク統一部隊司令官の命令により、統一部隊作戦圏の演習場で、ジャベリンを使用した装甲対象物への砲撃演習が行われたとのことです。これは統一部隊作戦圏での演習目的でのジャベリン使用が初めてとのことです。

北大西洋条約機構(NATO)加盟を目指すウクライナは、2018年以降、米国からジャベリンや弾薬などを購入しており、ロシアの反発を招いています。

ジャベリンは肩に担いで使用できる携行性に優れた戦車破壊能力を備えた多目的ミサイルであり、射程は最大4キロに達します。また、「ファイア・アンド・フォーゲット(撃ち放し)」に対応しており、ミサイル自体に追尾機能を備えているため、兵士は発射後に直ちに撤収し身を隠すことが可能です。

一方、ウクライナとの国境沿いに展開しているロシア陸軍の戦車には見慣れない保護装置が取り付けられており、これは戦車砲塔上部へのトップアタックを防御するためのものとされています。しかし、ウクライナ陸軍は23日にジャベリンを使用した訓練を公開し、「サンシェードを導入した戦車の砲塔上部でもジャベリンは貫通できる」とアピールし、注目を集めました。

ロシアも同日、周辺地域で軍事演習を実施したと伝えられています。ロシアの黒海艦隊の「SU-30」戦闘機や「SU-24」爆撃機がクリミア半島上空で空中給油訓練を行いました。

5 канал/YouTube

バイデン米大統領、プーチン大統領との電話会談で警告

2021年12月31日、バイデン米大統領はロシアのプーチン大統領との電話会談で、ロシアによるウクライナ国境での行動が新たな制裁や欧州における米国のプレゼンス拡大につながるという認識を明確にしたと明らかにしました。

バイデン大統領は記者団に対し、「プーチン大統領がさらなる行動に出て、ウクライナに侵攻すれば、われわれは厳しい制裁を課し、北大西洋条約機構(NATO)の同盟国と連携し、欧州におけるわれわれのプレゼンスを高める。大きな代償を支払うことになる」という考えを伝えたと語りました。

さらに、解決策を模索するため、年明け1月に上級スタッフとの3回の会合を開催する方向でプーチン大統領が合意したとバイデン大統領は明らかにしました。「プーチン大統領が緊張を緩和させれば、奏功するという点も明確にした」と述べました。

TBS NEWS DIG Powered by JNN/YouTube

バイデン大統領とゼレンスキー大統領、ウクライナ問題で協調を確認

2022年1月2日、ジョー・バイデン米大統領はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との電話会談を行い、近く始まる米露2国間の戦略対話、北大西洋条約機構(NATO)とロシア、欧州安全保障協力機構(OSCE)を通じた外交努力を支持することで一致しました。

バイデン大統領は、親露派武装勢力が実効支配するウクライナ東部ドンバス地方での信頼醸成措置など、現地での緊張緩和に向けた支持を強調ました。また、ゼレンスキー大統領に対し、「ウクライナなしに物事が決まることはない」という原則を強調し、ウクライナ抜きでの交渉は行われないとの立場を明確にしました。ゼレンスキー大統領は、バイデン大統領のこの立場に対し謝意を表しました。

今回の会談は、数日前にバイデン大統領がロシアのプーチン大統領にウクライナの国境地帯での軍事的危機緩和を求めるとともに、スイスのジュネーブで米ロ当局者が対面協議を行うことが決まった後に行われました。

両者は、ウクライナがミンスク・フォーマットとノルマンディ・フォーマットの枠内で行う行動について協議し、外交的努力の重要性を強調しました。ゼレンスキー大統領は、「現在の話は、ウクライナのみの未来に関係しているのでなく、欧州の安全保障、ルールと民主的価値に基づいた世界秩序に関係していることである」と指摘しました。

さらに、ゼレンスキー大統領は米国による積極的な役割を歓迎し、「ウクライナ・NATO委員会会合を近日中に開催するとの私たちの提案を米国が支持したことを高く評価する」と述べ、そして、今月9日からジュネーブで始まる「戦略的安定対話」、12日のNATOとロシアの協議、13日のOSCE会合への支持も表明しました。

さらに両首脳は経済・エネルギー安全保障上の挑戦についても協議し、ゼレンスキー大統領はウクライナの経済改革進展や、安定性強化、脱オリガルヒを目的とした方策について報告しました。ゼレンスキー大統領は、今回の電話会談が「我々の関係の特別な性質」を明確に示し、改革、オリガルヒ支配の脱却についても議論したとツイッターで述べ、「揺るぎない支援を感謝する」とコメントしました。

WION/YouTube

「米ドイツ首脳会談」ウクライナ情勢と“ノルドストリーム2”についての議論

2022年1月5日、アントニー・ブリンケン米国務長官とアナレーナ・ベーアボックドイツ外相が、米国ワシントンD.C.で会談を行い、ウクライナの緊張状況について議論しました。この訪問は、オルフ・ショルツが首相としての任期を開始した2021年12月以来、ベーアボック外相の初めての訪米となりました。

会談前の一連の協議の一部として、ブリンケン国務長官とベーアボック外相は5日、共同記者会見を行いました。ブリンケン国務長官は、会談後の記者会見で「ロシアがウクライナを再侵攻すると、重大な結果が生じるだろう」と述べ、同盟国と協力して対ロシア措置を講じるという立場を再確認しました。これは、侵攻を考慮しているロシアに対する警告となります。

さらに、ブリンケンはロシアからドイツへの新たな天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」についても触れ、「ロシアがガス供給を行うことは困難になるだろう」と強調しました。これは、ロシアの経済にとって大打撃となる可能性を示唆しています。

一方、ベーアボック外相は、ショルツ政権が先の共同声明を順守することを確認し、「ノルドストリーム2」パイプラインの稼働を阻止する可能性について言及しました。

DW News/YouTube
「ノルド・ストリーム2の地政学的リスク」ドイツ外相がウクライナを公式訪問

1月17日、ドイツのアンナレナ・ベアボック外相が初めてウクライナを公式訪問し、ボロディミル・ゼレンスキー大統領とドミトロ・クレバ外相と会談しました。ベアボック外相は、バルト海底を通ってロシアからドイツへの天然ガス供給を担当する「ノルド・ストリーム2」パイプラインの地政学的リスクについて言及しました。

ベアボック外相は、エネルギー安全保障を強化するため、ウクライナでのグリーンエネルギーインフラの構築と代替エネルギー源の開発について議論しました。ウクライナは再生可能エネルギーの積極的な開発を進めており、EUの「グリーン」水素の主要供給国となることを目指しています。ウクライナ水素評議会によれば、ドイツ政府は近くウクライナに事務所を開設し、関連プロジェクトを実施する予定だとのことです。

ドイツが『ノルド・ストリーム2』は侵攻するなら稼働させない可能性

一方、ドイツのショルツ首相は1月18日に、「ウクライナの情勢が緊迫化していることを踏まえ、ロシアが侵攻すれば高い代償を払うことになる」と述べ、ロシアからドイツへの天然ガスを送る「ノルド・ストリーム2」パイプラインの稼働を停止する可能性についても言及しました。

また、西側諸国とロシアとの間で行われた一連の協議は平行線をたどっており、ショルツ首相はNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長とベルリンで会談し、次の措置について協議しました。

ロシアがウクライナに侵攻した場合、アメリカとEUは経済制裁を科す方針を示している。これに対し、ロシアが欧州への天然ガス輸出を制限すれば、エネルギー価格が急騰する可能性があるとされています。

制裁の対抗策としてロシアが稼働中の欧州向け天然ガスパイプラインを停止する可能性

この状況を踏まえ、バイデン政権は1月25日に、中東など世界各地から欧州への液化天然ガス(LNG)の供給ルートを確保する取り組みを進めていることを明らかにしました。ロシアがウクライナに侵攻した場合の対策としては、「ノルドストリーム2」パイプラインの起動を停止することが提案されており、これによりロシアは数百億ドルの収入を失う可能性があるとされています。

アメリカが『ノルド・ストリーム2』稼働ついてロシアに再度警告

1月17日、ドイツのアンナレナ・ベアボック外相が初めてウクライナを公式訪問し、ボロディミル・ゼレンスキー大統領とドミトロ・クレバ外相と会談しました。ベアボック外相は、バルト海底を通ってロシアからドイツへの天然ガス供給を担当する「ノルド・ストリーム2」パイプラインの地政学的リスクについて言及しました。

ベアボック外相は、エネルギー安全保障を強化するため、ウクライナでのグリーンエネルギーインフラの構築と代替エネルギー源の開発について議論しました。ウクライナは再生可能エネルギーの積極的な開発を進めており、EUの「グリーン」水素の主要供給国となることを目指しています。ウクライナ水素評議会によれば、ドイツ政府は近くウクライナに事務所を開設し、関連プロジェクトを実施する予定だとのことです。

一方、ドイツのショルツ首相は1月18日に、「ウクライナの情勢が緊迫化していることを踏まえ、ロシアが侵攻すれば高い代償を払うことになる」と述べ、ロシアからドイツへの天然ガスを送る「ノルド・ストリーム2」パイプラインの稼働を停止する可能性についても言及しました。

また、西側諸国とロシアとの間で行われた一連の協議は平行線をたどっており、ショルツ首相はNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長とベルリンで会談し、次の措置について協議しました。

ロシアがウクライナに侵攻した場合、アメリカとEUは経済制裁を科す方針を示している。これに対し、ロシアが欧州への天然ガス輸出を制限すれば、エネルギー価格が急騰する可能性があるとされています。

この状況を踏まえ、バイデン政権は25日に、中東など世界各地から欧州への液化天然ガス(LNG)の供給ルートを確保する取り組みを進めていることを明らかにしました。ロシアがウクライナに侵攻した場合の対策としては、「ノルドストリーム2」パイプラインの起動を停止することが提案されており、これによりロシアは数百億ドルの収入を失う可能性があるとされています。

CGTN/YouTube
バイデン大統領と欧州委員長が共同声明を発表…エネルギー安全保障の協力を強化

1月28日、米国のジョー・バイデン大統領と欧州連合(EU)のウルスラ・フォンデアライエン欧州委員長は、エネルギー安全保障に関する共同声明を発表しました。この声明は、欧州がロシアからの天然ガス依存を軽減し、世界の他の生産国からの調達を増やす共同の取り組みを宣言したものです。また、ロシアがウクライナに再度侵攻すれば米欧が大規模な金融・経済制裁に踏み切るという決意を再度示すものでもあります。

この共同声明は、ロシアが欧州向けの天然ガス供給を反制裁として停止する可能性に備えるためにも重要です。欧州は現在、天然ガス消費量の3割をロシア産に依存しており、供給不足と価格高騰を避けるために対策が求められています。さらに、欧州各国が一致団結してロシアへの制裁に臨むよう促す狙いもあるでしょう。

この共同声明では、「安定供給のための戦略的なエネルギー協力を強化する。欧州や周辺国の市民や企業が信頼し、入手しやすい価格でエネルギーを提供できるように連携する」と表明されています。米国は既にEUにとって最大の液化天然ガス(LNG)供給国であると指摘し、「追加供給への取り組みを各国政府や取引業者と共に進めている」と訴えています。

このような共同声明を通じて、米欧はエネルギー安全保障に関する共通の目標を持ち、ロシアの行動に対して結束し、適切な対応策を検討していく意欲を示しています。また、ジョー・バイデン大統領とウルスラ・フォンデアライエン欧州委員長の会談においても、ウクライナ情勢と「ノルド・ストリーム2」の問題が重要な議題として取り上げられることが期待されています。

バイデン大統領とカタール首長が会談…エネルギー危機とウクライナ情勢の協議

1月31日、米国のジョー・バイデン大統領は、カタールのタミム首長とホワイトハウスで会談を行い、緊迫するウクライナ情勢や欧州のエネルギー危機について話し合いました。この会談は、2022年以降でバイデン大統領が外国元首と直接会談した初めての機会であり、また、湾岸諸国の首脳とバイデン政権との対面会談が初めて行われた事例でもあります。これにより、バイデン政権がカタールを重視する方針が明らかになりました。

会談の冒頭でバイデン大統領は、米軍撤退時のアフガニスタン人の受け入れやパレスチナ・ガザ地区への支援などを引き合いに出し、「カタールは良き友人であり、信頼できる有能なパートナーだ」とカタールを評価しました。会談では、食糧危機に直面するアフガンへの人道的支援や、ウクライナ情勢悪化によるエネルギー供給の不安定化への対策についても議論されたようです。

バイデン大統領は、カタールを「北大西洋条約機構(NATO)非加盟の主要同盟国」と位置付け、関係を深化させる方針を示しました。これは、ロシアがウクライナへの侵攻を開始し、それが欧州への天然ガス供給に影響を及ぼす可能性がある中で、対策を協議するためのものと考えられています。

会談の中で、カタールは欧州連合(EU)に対し、域外への天然ガス転売を制限する必要があると主張しました。これは、ロシアのウクライナ侵攻がもたらす可能性のあるエネルギー危機を短期的に回避するための提案です。カタール及び欧州の産業筋は、転売制限が実行されない場合、EU外で緊急輸出が現物として転売され、EUのエネルギー不足が長引く可能性に対して懸念を示しています。また、昨年以来、ガスの相場上昇が始まった一部EU諸国がカタール産ガスをEU域外で転売しているとの指摘もあります。

「ノルドストリーム2」の運用を保留、欧州のエネルギー政策への整合性を調査

同日、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のヴァルディス・ドムブロフスキス副委員長(通商担当)は、ドイツとロシアを結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」の運用を保留し、同パイプラインが欧州のエネルギー政策と整合するかを調査していることを明らかにしました。

ドムブロフスキス副委員長は、「天然ガスがロシアによって武器として利用されないように、欧州はあらゆる手段を尽くす」と述べ、欧州がロシアの天然ガス供給政策に対して厳格な姿勢を示す意向を表明しました。この保留措置は、ヨーロッパのエネルギーセキュリティに対する懸念が高まる中で行われたものです。

また、欧州委員会は年2月1日にウクライナに対する1.2億ユーロの金融支援を承認する予定であるとも明らかにしました。これは、緊迫するウクライナ情勢を受けたものであり、欧州が地域の安定とウクライナの経済状況を支援する意向を示しています。欧州はウクライナへの支援を通じて、紛争の解決と平和的な対話の促進に努める姿勢を強調しています。

米英、ロシアの侵攻に対抗してウクライナへ兵器提供を発表

2022年1月17日、ロシアがウクライナとの国境沿いで軍の増強を行っている問題に対し、アメリカとイギリスがウクライナに兵器を提供することを発表しました。これはロシアによるウクライナへの潜在的な侵攻からウクライナを守るための行動です。

ABC News/YouTube
英国はさらに武器の他短期間の訓練も

この発表は、ウクライナを訪問している超党派の米上院議員らがウクライナのゼレンスキー大統領と会談した後に行われました。上院議員のリチャード・ブルメンタールは会談後、記者団に対して「プーチン大統領は自身のキャリアで最大の過ちを犯した」とし、「(ロシアがウクライナに侵攻すれば)われわれは壊滅的な影響を与える経済制裁を課すが、さらに重要なのは、われわれがウクライナ人の命や生活を守るために必要な兵器を提供することだ」と述べました。提供される兵器には対戦車ミサイル「ジャベリン」やスティンガーミサイル、小型武器などが含まれる可能性があるとされています。

また、イギリスのベン・ウォレス国防相も議会で「われわれはウクライナに対し軽装甲防御兵器システムを供給することを決定した」と指摘しました。最初のシステムは17日に供給済みで、少数の英国関係者による短期間の訓練が行われると述べました。供与する兵器の種類の詳細については明言を避けたものの、ウォレスはこれが自衛目的であり、「戦略兵器ではなく、ロシアに脅威を与えない」と主張しました。

Forces News/YouTube
駐英ウクライナ大使は感謝

駐英ウクライナ大使のヴァディム・プリスタイコは、イギリスの兵器供給と部隊派遣を歓迎し、「ウクライナが抱える一番の問題は、同国が北大西洋条約機構(NATO)の加盟国でないことだ」と話し、「ウクライナはNATOに加盟したい…私たちは欧州最大の軍隊にたった一国で対峙している」と語りました。

米国務省、バルト三国によるウクライナへのミサイル移動を許可

2022年1月19日、複数の関係筋によれば、米国務省はバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)に対し、米国製のミサイルなどをウクライナに移動することを許可しました。これは、ロシアとの間で緊張が高まっているウクライナ支援を行うための措置です。米国から購入した武器を第三国に移す場合、輸出管理規制により、米国務省の承認が必要となります。

この承認により、エストニアは対戦車ミサイル「ジャベリン」を、リトアニアは「スティンガー」ミサイルをウクライナに移すことが可能になりました。また、米国務省報道官は、エストニア、ラトビア、リトアニア、およびイギリスに対し、米国製の装備をウクライナに移すことを認めたことを明らかにしました。

米国務省の報道官は、「米国と同盟国・パートナーは協力して、ウクライナの安全保障支援を急いでいる。ウクライナのパートナーや北大西洋条約機構(NATO)同盟国と緊密に連携しており、全ての安全保障上の協力手段を創造的に活用して、ロシアの侵攻に直面しているウクライナの防衛強化を支援していく」と述べました。

さらに、バイデン政権はウクライナにロシア製の輸送用ヘリコプター「Mi-17」5機を供与する方針を議会に通知したと米当局者は述べています。これらのヘリはもともとアフガニスタン軍向けで、ウクライナで修理中だったものです。

ウクライナへの米国からの軍事支援物資が首都キエフに到着したと、在ウクライナ米国大使館は1月22日、ツイッターで明らかにしました。バルト三国も、ウクライナに米国製携帯型ミサイルを提供すると1月21日に発表しました。これらの動きは、ロシアのウクライナ侵攻を懸念する米欧が連携して軍事支援を強化していることを示しており、ロシアの反発が予想されています。

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超強力な制裁「国際金融セクターからの切り離し」

ロシアのウラジミール・プーチン大統領がウクライナに対する侵攻を仮に行った場合、その行動を阻止しようとする西側諸国が前例のない制裁パッケージを準備していました。その中には、ロシアを国際的な銀行間のシステムから切り離すという極めて強力な措置が含まれていました。

バイデン米大統領は2022年1月19日、ロシアがウクライナに侵攻した場合、ロシアの金融機関が行うドル建て取引を阻止し、ロシアを国際金融セクターから切り離す可能性があると述べました。これは、ロシアの経済に対する深刻な打撃となり、クレムリン(ロシア大統領府)を恐怖で震え上がらせる可能性があるものでした。

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「SWIFT」金融の核兵器とも称される世界的な金融メッセージングシステム

SWIFT(国際銀行間通信協会)は世界的な金融システムで重要な役割を果たす協同組合であり、11,000を超える金融機関にサービスを提供しています。SWIFTの仕組みは、銀行間の安全な通信システムとして設計され、銀行が国際送金を迅速に処理することを可能にしています。

SWIFTの仕組みはどのようなものでしょうか?

SWIFTの支払いシステムは、送金元の銀行から受取人の銀行へ支払い情報を運び、その間のコミュニケーションチャネルとして機能します。それぞれの銀行は固有のIDコードを持ち、そのコードは銀行の名前、国、都市、支店に対応しています。これにより、多くの通貨、言語、技術プロトコルで取引を行う金融機関が円滑に支払い情報を交換できるように、標準化された技術プラットフォームが提供されています。

SWIFTのグローバルバンキングにおける役割

SWIFTは、多通貨、多言語、多技術プロトコルの金融取引を円滑に行うためのグローバルな翻訳者の役割を果たし、グローバル商取引が世界経済に中心的な位置を占める要因の1つとなっています。ただし、SWIFT自体はメッセージの送受信にのみ使用され、資金を保有したり、口座を発行・管理したり、取引の決済機能を提供することはありません。

近年では、SWIFTはダッシュボードとレポートユーティリティを導入し、クライアントがメッセージ、活動、取引フロー、およびレポートの監視を動的かつリアルタイムに行えるようになっています。さらに、金融犯罪コンプライアンスに焦点を当てたコンプライアンスサービスとして、顧客対応(KYC)、制裁、およびマネーロンダリング(AML)に関するレポートとユーティリティを提供しています。

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「SWIFTとSPFS」国際送金システムの比較と対策

かつて、SWIFTへの切り離しは、イランへの制裁の一環として一定の効果を示しました。しかし、ロシアはクリミア併合後の世界的制裁の経験から、これに対する一定の対処法を用意していました、それがSPFSです。

SWIFTとSPFSについて

SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)は、国際的な銀行間通信ネットワークです。200カ国以上の国と地域で、11,000以上の金融機関が利用しています。一方、SPFS(System for Transfer of Financial Messages)は、ロシア中央銀行が開発した国内版の送金システムです。

SPFSの仕組み

SPFSはSWIFTと同様のメッセージングシステムで、SWIFTの通信チャネルに依存しないデータ送信が可能です。24時間365日稼働し、安全性と信頼性に優れた金融取引に関する電子メッセージの交換チャネルとして機能します。SPFSのクライアントは、SWIFT形式の金融メッセージを送受信したり、独自のフォーマットを使用したり、ISO 20022形式のメッセージを交換したりできます。また、取引相手のリストや受信する金融メッセージの種類を管理する機能も持っています。外国のユーザーは、直接SPFSに接続するか、あるいはサービスバレーを介して接続することが可能です。

SPFSのグローバルバンキングにおける役割

SPFSは、2014年のクリミア半島併合後にロシアがSWIFTから排除される可能性が浮上した際に設立されました。現在、主に銀行など約400のユーザーが利用しています。しかしこのユーザーの大部分はロシア国内の利用にとどまり、ティンコフ銀行やボストーチヌイ銀行など一部の大手ロシア銀行や、ウニクレディト、ドイツ銀行、ライファイゼン銀行などロシアで活動する主要な外資系銀行はまだSPFSに参加していません。

SPFSはSWIFTよりも3倍安価であるとされていますが、ネットワーク自体は平日の勤務時間中にのみ稼働し、メッセージのサイズは20kbに制限されています。このため、SPFSはSWIFTの直接的な代替というより、最終的な手段として位置づけられています。しかしながら、ロシアが独自の銀行間支払いシステムを開発したこと自体は、SWIFTからの排除に備えた重要な防衛策となっています。

加えて、ロシアは外貨準備を大幅に増やすことで対策を講じています。ロシア連邦中央銀行の外貨準備は2015年末から70%以上増加し、現在は6200億ドルを超えています。また、ロシアの外貨準備の約3分の1がユーロ、21.7%が金、13.1%が人民元となっています。これらの対策は、SWIFTからの排除に備えた重要な防衛策として機能しています。

「制裁の副作用」エネルギー危機とノルドストリーム2

制裁には常に副作用が存在します。西側諸国によるロシアへの制裁もその例外ではありません。欧州連合(EU)の各国はロシアに対する「大規模な経済・金融制裁」の必要性に同意しているものの、その具体的な形状は必ずしも一致していません。特に、SWIFTからのロシアの排除という策については、英国首相ジョンソンが「非常に強力な武器」と位置づける一方で、ドイツはこの策に否定的な立場をとっています。

2022年1月26日の下院本会議で、ロシア外相ラブロフは既に西側のドル決済に依存しない方法として開発したSWIFT代替システムが「機能している」と説明しました。また、ロシアが外貨準備のドル比率を「急激に減らしている」とも述べました。これらの事情から、既存の制裁に対する効果は徐々に薄れつつあり、その一方で制裁の副作用としてエネルギー価格の高騰が問題になっています。

この問題は特に、ドイツとロシアを結ぶ新たな天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」において顕著です。アメリカは新しいドイツ連立政権に対し、ノルドストリーム2の承認を中止するよう圧力をかけています。

ドイツは原子力からの脱却を進める一方で、ロシアからの天然ガス輸入が全体の50%以上を占めています。SWIFTからのロシアの排除によってロシア経済が機能停止に陥ると、そのガス供給が途絶え、ドイツは深刻なエネルギー危機に直面する可能性がありました。

さらに、「ノルドストリーム2」の稼働阻止という制裁が提案されていますが、これには多くの関係企業が打撃を受ける可能性があり、仮にドイツが制裁を受け入れたとしても、これによる経済的影響は避けられませんでした。このように、制裁は一見効果的な手段に見えますが、その副作用も深刻なものとなりうるため、それを適用する際には十分な検討が必要となっていたのです。

ドイツの新政権とウクライナ危機…政策のジレンマと批判

2021年12月に発足したショルツ新政権は、16年間に及ぶメルケル前政権との差異を強調する一方で、中国やロシアとの距離を保つ方針を明らかにしてきました。しかし、ロシアがウクライナ侵攻の構えを見せると、その政策に一石を投じる出来事が生じました。アメリカを中心に西側諸国の大半がウクライナ支援に回る中、ドイツの対応がロシアを利するかのように見えるとして批判が浴びせられています。

ロシアがウクライナとの国境に軍備を集結させている事態に対し、アメリカやイギリスを含む北大西洋条約機構(NATO)加盟国の多くはウクライナに武器や装備を提供、もしくは提供する意向を明らかにしています。しかし、ドイツはこれまでにウクライナからの武器提供の要請を断り、代わりに野戦病院の装備を提供すると表明しています。

この対応はさらなる批判を招きました。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、エストニア政府がウクライナにドイツ製の武器を送ろうとした際、ドイツ政府はこれを阻止したと報じられています。一方で、ドイツのランブレヒト国防相はウクライナへ人工呼吸器の提供や重傷を負ったウクライナ兵の治療をドイツの軍病院で行っていると述べ、人道的支援に努めていることを強調しました。

Hindustan Times/YouTube
ウクライナ外務省がドイツ大使に厳重抗議

ウクライナ外務省はドイツがウクライナへの防衛兵器の供給を拒否したことを受けて、ドイツ大使のアンカ・フェルドゥーセンを呼び出し、厳しく抗議したと2022年1月22日にウクライナ外務省のプレスサービスが発表しました。これはウクライナがロシアの軍事的脅威に直面している中で、ドイツがウクライナへの防衛支援を拒否したことに対するウクライナの強い不満を示すものです。

ウクライナのドミトロ・クレバ外相は以前からドイツの対応に非難の声を上げていました。クレバ外相は、ドイツがウクライナへの防衛兵器供給を拒否する一方で、ロシアによるクリミア半島の占拠に対する悲観的な発言を繰り返し、さらにはロシアを国際銀行決済システム(SWIFT)から追放する制裁案に対しても否定的な態度を示していることを問題視しています。

ドイツ海軍司令官の辞任…ウクライナ問題で物議を醸す発言

その日の夜、ウクライナ情勢についての物議を醸す発言をしたことが問題となり、ドイツ海軍のカイ=アヒム・シェーンバッハ司令官が辞任しました。シェーンバッハ司令官は、ロシアのウクライナ侵攻の可能性について否定的な発言をしたばかりか、ロシアのプーチン大統領への敬意を示す内容も述べていました。

シェーンバッハ司令官は前日の1月21日に、インドでの講演で、「プーチン大統領が真に求めているのは敬意であり、それを与えるのは簡単なことであり、おそらく彼は敬意を払うに値する人物である」と発言。さらに、ロシアが2014年に併合したクリミア半島について、「あそこはもう失われた、二度と戻ってこない」と述べていました。

これらの発言は、ロシアに対するドイツの実情が露わになったとされ、国際社会からは批判が寄せられていました。

Guardian News/YouTube
ドイツ政府、ウクライナに軍用ヘルメット5,000個提供へ…ウクライナ側は戦艦の提供なしに失望

2022年1月26日、ドイツ政府は、ウクライナに対して5,000個の軍用ヘルメットを提供すると発表しました。この提供は、ウクライナが可能性のあるロシアの侵攻に対抗するための助けとなることを期待されています。

しかしながら、ウクライナ側はドイツ製の戦艦が提供されなかったことに失望を示しています。キエフ市長のヴィタリ・クリチュコは、この提供に対して「言葉を失っています」とコメント。ドイツからのさらなる軍事支援を求めているとの意図を示しています。

Sky News/YouTube

NATO、東欧への部隊増派を発表…ロシアのウクライナ境部隊増強に対抗

北大西洋条約機構(NATO)は、2022年1月24日、ウクライナ国境付近でのロシアの軍事的な増強に対抗するため、東欧に一時的な部隊を待機させ、さらに艦隊と戦闘機を派遣すると発表しました。この措置は、ロシアによるウクライナへの潜在的な侵攻への懸念を踏まえたものです。

デンマークはバルト海にフリゲート艦を、リトアニアには4機のF-16戦闘機を派遣する予定で、オランダも2機のF-35戦闘機をブルガリアに展開します。また、フランスはルーマニアに部隊を派遣し、アメリカも東欧での軍事的存在を増強する可能性があるとのことです。

これらの部隊は、ウクライナを支援する目的ではなく、東欧の防衛力と抑止力を強化するためのものとされています。NATO事務総長イェンス・ストルテンベルグは、これらの動きが防衛的で適切な対応であり、ロシアに対して脅威を示すものではないと強調しました。

しかし、ロシア側からは、この決定はウクライナに対する緊張のエスカレーションと批判されています。ロシア軍がウクライナ国境近くに大規模な軍事的存在を保持している現状を考慮に入れると、NATOの行動はウクライナへのロシアの攻撃に備える西側諸国の準備とも解釈されています。

ANNnewsCH/YouTube
バイデン大統領、ロシアのウクライナ増強に対抗、8,500人のアメリカ軍部隊の派遣指示

2022年1月24日、アメリカ合衆国のジョー・バイデン大統領は、北大西洋条約機構(NATO)の即応部隊に対する8,500人のアメリカ軍部隊の短期派遣の準備を命じました。この命令は、ロシアがウクライナに対して侵攻する可能性があるため、東欧の抑止力と防衛を強化することを目的としています。ロシア軍がウクライナに侵攻した場合、これらのアメリカ軍部隊はNATOの迅速対応部隊と共に隣接国に派遣されます。

このアメリカ軍の派遣命令は、他のNATO加盟国の対応と並行しています。デンマークはバルト海にフリゲート艦を、リトアニアには4機のF-16戦闘機を、オランダは2機のF-35戦闘機をブルガリアに、そしてフランスは部隊をルーマニアに派遣すると発表しています。

これらの行動は防衛的な対応と見なされており、これらの部隊がウクライナを直接支援するために使用されることはありません。これはウクライナがNATOのメンバーではないためです。NATO事務総長のイェンス・ストルテンベルグは、これらの動きがロシアに対する脅威ではなく、安全環境の悪化に対応するための適切な措置であると強調しています。

その後、バイデン大統領はNATO加盟国のポーランドに対して3,000人の追加部隊の派遣を指示し、最大で3,000人のアメリカ予備軍をNATOとウクライナを支援するために欧州に派遣することを可能にする大統領令に署名しました。また、ヨーロッパに駐留するアメリカ軍に対しても、ウクライナに隣接する国々の防衛を強化するように命じています。これらの行動は、東欧における防衛体制を強化し、ロシアによるウクライナへの可能性のある侵攻に対抗するものです。

BBC News/YouTube
ウクライナ情勢についての国際協議…欧州の指導者たちとバイデン大統領が協力強化

同日、ジョー・バイデン大統領は、欧州の指導者たちとの緊急のオンライン協議を開催し、エスカレートするウクライナ情勢について話し合いました。この協議では、ロシアとの対話を通じた緊張緩和の重要性について合意されました。また、指導者たちはウクライナの主権と領土の完全性を支持し、ウクライナの国境近くでのロシアの軍事的増強に対する懸念を再確認しました。

この会議には、バイデン大統領、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのオルガ・ショルツ首相など、他の6か国の指導者たち、そしてNATOと欧州連合(EU)のトップ代表者が参加しました。さらに、ロシアによる追加の侵略行為を阻止するための共同努力についても話し合われ、その一環としてロシアに対する経済的な制裁の準備についても協議されました。

参加者たちは、欧州安全保障協力機構(OSCE)、NATO、EUを通じて欧州との綿密な協議を継続することを確認しました。NATO事務総長のイェンス・ストルテンベルグは、ロシアがウクライナに対してさらなる侵攻を行った場合には重大な結果が伴うという考えに合意したとツイートしました。

指導者たちの議論と声明は、ウクライナを支援し、ロシアの侵略を阻止するために団結した姿勢を示していました。

WION/YouTube
米国家安全保障担当副大統領補佐官「NATOが部隊移動の決定を下す」

1月25日、米国家安全保障担当副大統領補佐官のジョナサン・ファイナーは、ウクライナの状況が緊迫する中、軍部隊の移動に関する決定は全て北大西洋条約機構(NATO)が行うと述べました。ファイナーは、「バイデン大統領はウクライナに軍を派遣する意図も関心も持っていない。NATOが東部のパートナー国を支援する機構となっており、焦点はNATOにある」と語りました。

ロシアがウクライナに侵攻する前に部隊が展開される可能性があるかとの質問に対しては、「いかなる選択肢も排除していない」と応じました。これは、米国が東欧への部隊派遣の準備をしていることを反映しています。

バイデン大統領は、米国が8500人規模の部隊の東欧への派遣準備をしていることについて、「近いうちに動かすかもしれない」と発言しました。NATO加盟国でないウクライナへの派遣は否定しつつも、部隊の増派が近く始まる可能性を示唆しました。

バイデン大統領はまた、「東欧におけるNATOのプレゼンスを強化する義務がある」と強調しました。また、「はっきりさせておく。NATOが自分たちを守ってくれるのかと…誰も、NATOのどの加盟国も心配する必要はない」と述べました。一方で、バイデン大統領は、「米軍とNATOの戦力をウクライナに配備するつもりはない」と述べ、ウクライナへの米軍派遣を改めて否定しました。

ロシアへの直接制裁を検討…バイデン大統領が発表、欧州は外交的解決を追求

同日、ジョー・バイデン米国大統領は、ロシアがウクライナに侵攻した場合には、アメリカがロシアのウラジミール・プーチン大統領に直接制裁を科す可能性があると発表しました。これはNATOからの経済的・金融的制裁や軍事的対応に対する警告の後の発表であり、バイデン大統領はプーチン大統領個人に対する制裁の可能性にも言及しました。

外国の指導者への直接的な制裁は、米国によるものとしては稀な例です。しかし、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領やシリアのバシャール・アサド大統領に対する制裁、そしてかつてリビアのムアンマル・カダフィ大佐に対する制裁など、いくつかの先例があります。

バイデン大統領は、ウクライナに対するロシアの潜在的な侵攻の規模について懸念を表明し、プーチン大統領がウクライナに大規模な軍隊を送り込む場合、それは第二次世界大戦以来最大の侵攻となり、深刻な世界的な影響をもたらす可能性があると述べました。さらに、プーチン大統領の意図については不確実であるとしつつ、侵攻が行われた場合にはその結果は重大で前例のないものとなるだろうと警告しました。

一方、ドイツのオラフ・ショルツ首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領は同日、ベルリンで会談を行い、ロシア・ウクライナ国境近くの軍事的緊張を和らげるための外交的努力を継続することを確認しました。この二人の会談は、EUの重要な2か国が代表するものでした。さらに、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領も同日にテレビ放送で国民に対して冷静さを保つよう呼びかけ、ロシア、ドイツ、フランスの指導者との会談が計画されていると伝えました。

SankeiNews/YouTube
バイデン米国大統領「まもなくアメリカ軍を東欧に派遣」

1月28日、ジョー・バイデン米国大統領は、ロシアとの緊張が高まる中で、北大西洋条約機構(NATO)の同盟国を支援し、ウクライナ国境近くでのロシアの軍事的増強に対抗するため、まもなくアメリカ軍を東欧に派遣すると発表しました。

しかし、バイデン大統領はこの展開について、「大規模な部隊派遣ではない」と強調しました。具体的な部隊数や派遣の時期については明らかにされていませんが、この発言はアメリカが東欧の同盟国の安全を確保する意志を示しています。同時に、ウクライナへの直接的な軍事介入を避ける方針も続いています。

さらに翌日の29日、バイデン大統領は、ロシアの不穏な動きをにらみ、ウクライナと東欧諸国に8500人の兵士を派遣することを決めました。近年、東欧諸国には6000人のアメリカ兵が常駐しており、これにより総勢1万4500人の兵士が東欧に展開されることになります。単純に兵士の数で比較すると、NATOは劣勢に回っており、ロシア側は強気の姿勢を崩さない状況が続いています。

アメリカとイギリス、プーチン大統領に近い人物への制裁を警告

1月31日、アメリカとイギリスの政府は、ロシアがウクライナに侵攻した場合には、ロシア大統領ウラジミール・プーチンに近い個人に対して資産凍結や渡航制限を含む制裁を課す用意があると警告しました。ホワイトハウス報道官のジェン・サキは記者会見で、制裁の対象となる「パッケージ」を既に準備しており、それはプーチン政府の主要な人物やその家族を対象にしていることを明らかにしました。

サキ報道官は、この制裁はクレムリンに近い立場にある人物、特にロシア政府の意思決定や活動に関与している者たちを対象とすることを述べました。これらの制裁には、アメリカ国内にある資産の凍結やアメリカ市民との取引の禁止などが含まれることが予想されています。

また、サキ報道官は、これらの対象となる個人たちは西側との重要な財政的なつながりを持っており、したがって攻撃対象となり得ると強調しました。また、これらの制裁はロシアに対する多角的な影響を持つ広範な取り組みの一部であると述べ、さらに多くの制裁が検討されていることを示唆しました。

Al Jazeera English/YouTube

イギリス首相ジョンソン、ウクライナを訪問しロシアに対する態度を強調

2022年2月1日、イギリスのボリス・ジョンソン首相は、ロシア・ウクライナ国境近くの軍事的緊張に対応し、ウクライナを訪問した。ジョンソン首相はウクライナのウラジーミル・ゼレンスキー大統領と会談し、イギリスがウクライナの主権を支持し、ウクライナの人々が自らの統治を決定する権利を持つことを強調しました。

この訪問は、ロシアがウクライナのNATO加盟を阻止しようとする試みに対する反応の一部とも解釈できます。ジョンソン首相のウクライナ訪問の発表は、1月31日の夜にイギリス首相府から行われました。

イギリス政府はまた、ロシアとウクライナの緊張によって引き起こされるエネルギー調達に関連する潜在的な問題に備えて、ウクライナに8800万ポンド(約136億円)の支援を提供することを発表しました。

さらに、イギリスは、ロシアがウクライナに侵攻した場合にロシア当局に関連する企業や個人に広範な制裁を科す新しい制度を導入する計画であることを外務大臣のリズ・トラスが1月31日に明らかにしました。新しい立法は、ロシアの侵攻の際に効果的に制裁を科すために、対象者の範囲を広げることを目指しています。トラスは、プーチン大統領に近く政治的権力を持つ寡頭たちを財政制裁の対象とする意向を表明しました。

新しい立法は2月10日までに準備される予定であり、ロシア政府に戦略的または経済的な支援を提供する全ての者を対象とした幅広い制裁の発動を可能にすると述べました。潜在的な個人制裁には資産凍結やイギリスへの渡航制限が含まれる可能性があり、クレムリンの攻撃的で不安定化をもたらす行動に関与する者たちが重要な結果に直面することを目指しています。

また、ハンガリーを訪問中のイギリス国防相ベン・ウォーレスは、危機の解決と増大する不安定性や燃料価格、移民問題への潜在的な影響を防ぐ必要性を強調しました。ウォーレスはウクライナの主権を保護するために緊張緩和の必要性を訴えました。

一方、ロシア大統領府の報道官、ドミトリー・ペスコフは、イギリス政府による警告を「非常に憂慮すべき」と評し、投資家やイギリス企業に対する潜在的な影響を懸念しています。

EU委員長、ロシアへの追加的な制裁措置を警告

ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、2022年2月4日、ドイツの経済紙ハンデルスブラットに対するインタビューにおいて、ロシアがウクライナに対する侵攻を続ける場合、EUはロシアに対して追加的な制裁措置を取ると警告しました。

ライエン委員長は、EUが外資へのアクセスを制限することや技術製品を中心とした輸出規制を含む、強固で包括的な金融・経済制裁パッケージを準備していると述べました。具体的な制裁対象として、ロシアのプーチン大統領や、大統領に近いオリガルヒ(寡頭資本家)に対する制裁が挙げられまし

さらにフォン・デア・ライエン委員長は、人工知能・装備、量子コンピュータ、レーザー光線、宇宙旅行など、代替性が低いハイテク分野における禁輸措置も検討していることを示唆しました。

G7財務相がウクライナ緊張に対する共同声明を発表

2月14日、G7の財務相は、ウクライナの緊張が続く中で共同声明を発表しました。その中で、G7は外交的解決策を見つけるための取り組みを支持し、ウクライナの主権、領土の完全性、経済的および金融的安定を守るために団結する決意を示しました。彼らは現在の緊張を緩和するための取り組みの緊急性を強調しながら、ロシアによるウクライナへのさらなる軍事侵攻は迅速かつ協調された強力な対応に直面することになると再確認しました。必要に応じて、G7は共同措置としてロシア経済に対して重要で即時の経済的および金融的制裁を課す用意があると述べました。

この状況に対応して、G7財務相会議がドイツが現在の議長国であるところのもとで、2月18日から20日に開催されたミュンヘン安全保障会議と連動して招集されました。この会議の結果を受けて、G7の首脳会議が2月24日にオンラインで予定されています。

会議後、ドイツの外務大臣アナレーナ・バールボックは記者会見で、ロシアによる攻撃が既に決定されているかは不確実であるが、ウクライナへの脅威が具体的な現実となっていると述べました。

G7の共同声明における一体感と制裁による強力かつ協調された対応の意思表示は、ウクライナの緊張が高まる中、ロシアへの警告となっています。この声明は、ウクライナを保護し、地域の安定を維持するための国際的な団結の重要性を強調しています。

ANNnewsCH/YouTube

ウクライナ大統領がミュンヘン安全保障会議で声明を発表

2022年2月19日、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、ドイツ南部で3日間にわたって開催された第58回ミュンヘン安全保障会議で声明を発表しました。この中でゼレンスキー大統領は、ウクライナが過去に砲撃を受け、国土の一部が占領されても、ロシアに対する制裁は必要ないとの立場を明らかにしました。また、各国からの経済的および軍事的な支援を継続的に受けることの重要性を強調しました。

ゼレンスキー大統領は、多年にわたる緊張状態にもかかわらず、「我々はパニックする必要はありません」と冷静な態度を示しました。東ウクライナでの親ロシア派の挑発行為に対し、ゼレンスキー大統領は冷静かつ成熟した対応を提唱し、ロシアのウラジミール・プーチン大統領との会談や対話を通じて状況の解決を模索する意向を示しました。

プーチン大統領の意図については不確実性が残る中で、ゼレンスキー大統領は、平和的な解決を追求し、そのためにはロシアとの対話が必要であるというウクライナの姿勢を明確に示していました。

ANNnewsCH/YouTube

「ロシアが親ロシア派地域地方の独立承認」 → バイデンが第1弾の経済制裁を発表

 ロシアのプーチン大統領は2月21日、ウクライナ東部の独立派の反政府勢力が掌握している地域を独立国家とし承認ししました。

これを受けて、翌日の22日、バイデン大統領はウクライナに対するロシアの行動に対応して初めての経済制裁を発表しました。これはロシアが東ウクライナの新たなロシア派の独立を一方的に認識した後の措置であり、これがウクライナへの軍事侵攻の前兆と見られていました。

制裁の内容には、アメリカ国内におけるロシア人およびSpecially Designated Nationals (SDN)と指定されたロシアの機関の資産凍結、アメリカ人との取引の禁止、ロシア中央銀行と財務省による新しい債券の市場での金融機関の取引の禁止が含まれています。

また、制裁はロシアのエリートおよびその家族にも対象を向けました。初回の制裁対象となったのはロシアのVEB銀行とロシアの軍事銀行であるPromsvyazbankで、防衛取引を行っている銀行です。さらに、ロシアの主権債務にも制裁が課され、ロシア政府が西側からの資金調達から切断されました。

バイデン大統領は、ロシアが侵略を続ける場合、ウクライナへの更なる侵攻を含めて、追加の制裁を課すと強調しました。

これらの制裁の発表は、ロシアのウクライナへの行動に対する広範な国際的な対応の一部として行われました。イギリス、欧州連合、カナダ、ドイツ、オーストラリア、日本など、複数の国がロシアに対して制裁を課す意向を表明しました。これらの制裁の目的は、ロシアに対して圧力をかけて更なる侵略を防ぐことであり、またウクライナの主権と領土の統一を支持する国際的な連帯を示すことです

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「ノルドストリーム2」プロジェクト停止、ドイツとアメリカが制裁の一環として対ロシア行動を強化

同日、ウクライナ情勢の激化を受けて、ドイツのオラフ・ショルツ首相はロシアからの天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の承認プロセスを一時停止すると発表しました。同日、ドイツの経済および気候保護大臣ロベルト・ハーベクは、「ノルドストリーム2」プロジェクトの完全なキャンセルがロシアに対する制裁の一部として「非常に考えられる」と述べました。

続く23日、アメリカのジョー・バイデン大統領はロシアに対する制裁を拡大し、ロシアとドイツを結ぶ「ノルドストリーム2」ガスパイプラインの建設に関与する企業およびその幹部を制裁対象に指定しました。

これらの動きに対して、ロシアのエネルギー相ニコライ・シュルギノフは、プロジェクトの運営が妨げられると、関与している欧州企業が大きな損失を被る可能性があると指摘し、「誰かがこれを補償しなければならない」と述べました。「ノルドストリーム2」プロジェクトの運命は、ウクライナ情勢に対する国際的な対応の一部として、引き続き注目される事態となっています。

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ロシア、ウクライナへの全面的な侵攻を開始。米国、新たな制裁を発表

2022年2月24日、ロシアのウラジミール・プーチン大統領はウクライナ東部のロシアが支配する地域を守るための「特別軍事作戦」を宣言し、ウクライナへの全面的な侵攻を開始しました。これに対して、米国のジョー・バイデン大統領はホワイトハウスで記者会見を開き、プーチンを「侵略者」と非難し、ロシアに対する新たな制裁を発表しました。

バイデン大統領は、ロシアによるウクライナへの侵攻は「挑発も正当化も必要性もない、ウクライナの人々に対する残虐な攻撃」と述べました。プーチンの最も近い側近であるセキュリティ委員会の秘書であるニコライ・パトルシェフも制裁対象となりました。

プーチン大統領はウクライナがロシア系住民に対してジェノサイドを行っており、ウクライナ政府が西側の支配下にあるネオナチだと主張しました。さらに、ウクライナが核兵器を開発していると主張し、彼の作戦をウクライナ東部のロシア支配地域を守るために行うと述べました。

しかし、多くの専門家は、プーチンの真の意図は挑発なしに民主的な隣国に侵攻して力を行使しようとすることだと考えています。そして、プーチンによるウクライナへの侵攻は、経済制裁や地政学的な影響、人道的・経済的なコストなどの深刻な影響をもたららすことになります。

ABC News/YouTube

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2022年2月24日、軍をウクライナに派遣し、本人が「特別軍事作戦」と呼ぶものを開始した。

これと受けて、バイデン米大統領は、ホワイトハウスで記者会見し、ウクライナへの全面侵攻に踏み切ったロシアのプーチン大統領を「侵略者」と非難した。「(プーチン氏は)戦争を選び、その代償を負う」と述べ、欧州や日本と協調し、半導体などハイテク製品の対ロ輸出規制のほか、ロシアの主要2銀行を対象とする追加経済制裁発動を表明した。プーチン氏の最側近、パトルシェフ安全保障会議書記らも制裁対象に指定した。

「侵略者」とプーチン氏非難 ハイテク品輸出を規制―米大統領、対ロ追加制裁発表/JIJI.COM.2022
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スターリン以来の長期政権を築いたプーチン。独裁者か、救国の英雄か?その評価は内外で真っ二つに割れるが、その人物像は?プーチンを直接知るKGB時代の元同僚やイスラエル情報機関の元長官など、20人の貴重な証言と最新情報をもとに、その実像に迫る。(「BOOK」データベースより)
【ウクライナ危機(30)】2022年2月24日。欧州の歴史に残る暗黒の日、プーチンによるウクライナ侵攻の始まり

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