ウクライナ危機の最新情報をお求めの方には、必読の記事です。この記事では、ロシアの侵攻計画やSNSでのプロパガンダ作戦など、現在の状況を詳しく解説しています。また、これらが世界情勢に与える影響や、フェイクニュースの拡散とその対策、NATOのスタンスとアクションにも触れています。さらに、日本がどのように情報戦に巻き込まれているかも取り上げています。
この記事は、現代の情報戦争を理解するために貴重な情報源となるでしょう。
この記事では、プーチンの憤りやNATOの裏切り、偽旗作戦などが明らにしていきます。ロシアの侵攻計画やSNSでのプロパガンダ作戦について詳細な解説もしており、さらにフェイクニュースの拡散やその影響も深く掘り下げていきます。また、日本におけるフェイクニュースの状況にも言及します。国際情勢に関心のある方や真実を求める方には、必読の内容になっています。
【ウクライナ危機(27)】プーチンの憤り爆発!NATOによる信じられない裏切りとは?
False flag operation
情勢が悪化する中で様々なフェイクが拡散『偽旗作戦』
2022年1月末時点では、ウクライナは完全に全面的な侵攻に巻き込まれているわけではありませんが、ロシアのメディアにおいてはすでに全面的な論争が展開されていました。
ロシア政府による発表によれば、米国政府の声明はクレムリンのスポークスパーソン、ペスコフによって「プロパガンダ」として一蹴されており、ペスコフは「情報のヒステリア」「Lie(嘘)」「Fake(本物のように捏造する)偽り」といった用語を用いてアメリカを批判しています(「Fake」の言葉は現在ロシアでは一般的に使われるようになっており、英語に似た発音で使われています)。
ロシアの国営テレビ局では、地図を用いてベラルーシがNATO軍に囲まれている様子を示し、西側メディアで描かれるウクライナがロシア軍に三方から囲まれているという描写と鏡像になっています。ロシアがウクライナに対する攻撃の可能性を非難する声に対しては、「半ば神話的なロシアの脅威」や「アングロ・サクソン」からの「ロシア嫌悪」として一蹴されています。
ウクライナとロシアの状況について最近の記事には以下のようなものがあります.。
- グローバルアフェアズカナダがウクライナ侵攻に関するデマを事実に基づいて反論するページを公開しています。
- NATOはロシアのウクライナ侵攻を非難し、さらなる侵攻に対抗するための軍事計画を準備しています。
- AP通信によれば、ロシアの武装軍はウクライナ戦争においては傷ついているが打ち負かされてはいないとの報道があり、NATOはロシア、ウクライナ、ベラルーシ周辺の加盟国の安全対策を大規模に強化しています。
- ウォールストリートジャーナルが、ロシアの国営メディアがウクライナ戦争をどのように描写しているかを解説した動画を公開しています。
- 経済協力開発機構(OECD)は、ロシアによるウクライナへの侵略戦争がデマによる直接的な脅威を示しているという概要を提供する論文を公開しています。
緊張が高まるにつれTwitter上に親ロシアのフェイクニュースが急増
米国の調査会社Mitoslabが発表した新たな報告によれば、Twitter上の親ロシア派のフェイクニュースが、2021年秋以降に3000%以上増加しているという。特に、ウクライナに関する軍事的緊張が高まった2021年10月以降にその数値は急増し、今後も増加傾向が続くことが予想されている。
ロシアによる反ウクライナプロパガンダの強化とその影響
2021年7月には、アメリカの臨時ウクライナ大使クリスティーナ・クヴィエンは、ロシアがウクライナに対する反ウクライナプロパガンダを強化し、そのレベルが2014年のウクライナ侵攻直前の状況に匹敵していると指摘しました。
クヴィエンは、これはロシアが敵対者を侵略者として描き、自身の軍事行動を正当化するためのよく知られた手法であると述べた。また、ロシアのメディアは、ウクライナがロシアとの対立を刺激し、NATOとの提携によりロシアを脅かしているというフェイクニュースを広めていると警鐘を鳴らしました。
ロシアによる反ウクライナプロパガンダの強化とその影響
実際に、2021年12月にロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、いかなる証拠も示さずにアメリカの傭兵が東ウクライナにある化学物質を持ち込んだと主張しました。
この主張は、親西側のウクライナ政府を「有毒ガスが漏洩した事件」の責任者に仕立て上げるための布石と見られています。
これに対してウクライナ政府は公然とロシアが工場敷地内にガス缶を持ち込み、既存の在庫をさらに増やして、広大で錆びた施設での事故のリスクを引き起こしていると警告しました。
また、アゾフ海でのウクライナとロシアの艦船の衝突が侵攻の引き金となる可能性も懸念されています。さらに、分離主義勢力が支配する地域で、ロシア語を話す市民を標的とする「偽旗作戦」のシナリオも示されており、これによってロシアが侵攻の口実を作っていると指摘されていました。
フェイクニュースの拡散と日本
ロシアは英語圏を中心に積極的にディスインフォメーションを広めていますが、日本語の使用がフィルターとして機能し、日本ではフェイクニュースの量が相対的に少ないです。しかし、次の3つの主要チャネルを通じて、ロシア起源のフェイクニュースは日本語圏にも侵入しています:
- ロシア大使館の公式ソーシャルメディアアカウントを通じた公式チャネル。
- 「スプートニク」や「Russia Beyond」などのロシア国営メディアを介した準公式チャネル。
- ロシア起源の情報を日本語で伝える日本の専門家を介した間接的な拡散。
日本における特筆すべき点は、カテゴリー3の専門家による情報伝達において、ロシア起源のフェイクニュースが比較的高い割合で見られることです。
例えば、現在のロシアとウクライナの緊張状況については、ロシア大使館や「スプートニク」が積極的にディスインフォメーションを広めることは少ないです。しかし、カテゴリー3の日本の専門家による情報伝達を見ると、ロシア起源のフェイクニュースが過去2ヶ月間で大幅に増えていることが確認できます。
ロシア政府のアカウントがプロパガンダの発信源と判明
これらのプロパガンダキャンペーンは、ウクライナに対するロシアの長期的な情報戦争の一部であり、数年にわたって続けられています。
今では、ロシア政府の公式アカウントやクレムリンが関与するとされるメディアが、ウクライナに関する誤情報やプロパガンダの主要な発信源として特定されてます。これらのアカウントは、プラットフォームのルールを巧みにかわしながら虚偽の主張を拡散し、国内外で世論を操作しています。
Twitterの対策が逆効果?権威主義国家の利益に繋がる可能性も
このような、プロパガンダやフェイクニュースは、SNS各社の大きな課題になっています。
Twitterはフェイクニュースの拡散を抑制するため、数々のポリシーや機能の改定を行っていますが、これらの対策が逆にロシアや中国、イランなどの権威主義国家に利益をもたらし、新たなフォロワー獲得やプロパガンダの拡散を容易にする可能性があるという懸念もあります。
今、SNS上の情報を取り扱う際は、批判的な視点を持つことが求められています。事実確認や独立した調査、政府や団体が提供する正確な情報やフェイクニュースに対抗するイニシアティブ(例えばカナダ外務省の取り組みなど)が、偽情報の拡散による影響を防ぐ上で重要です。
ロシアとウクライナに対するNATOのスタンスとアクション
2021年12月1日、ラトビアの首都リガで行われた北大西洋条約機構(NATO)の外相理事会が閉幕しました。この会議では、ロシアがウクライナに侵攻すれば「高い代償を払うことになる」との共通認識が確認されました。理事会は2日間の日程で開催され、ロシアがウクライナ国境付近に軍備を増強しているとされる問題などを協議しました。この中でNATOは、ロシアがウクライナ侵攻に踏み切る可能性があるとして警戒を強めています。
NATO事務総長のイェンス・ストルテンベルグは会議で、「われわれは装甲部隊、ドローン(無人航空機)、電子戦システムと何万人もの戦闘可能なロシア軍を目前にしている」と発言し、緊張の高まりを強調しました。この発言は、ロシアのウクライナに対する軍事的な準備の実態とその重大性を示しており、国際社会に対する警告とも解釈できます。
「ウクライナ攻撃計画の証拠がある」アメリカとロシアの外交的対立
アメリカの国務長官アントニー・ブリンケンは、2021年12月1日に「ロシアがウクライナに対する重大な攻撃的行動を計画している証拠があり、強い懸念を抱いている」という声明を発表し、ロシアを非難しました。その上で、ロシアがこのような行動を起こした場合、アメリカとNATOの同盟諸国は「これまで控えてきた影響の大きいさまざまな経済措置」を取ると警告しました。
ブリンケンは「事態はきわめて深刻で、ウクライナがロシアに脅威をもたらしているなどという主張は悪い冗談では済まない」と強調。また、「ロシアはずっと侵攻を計画してきたのに、挑発を受けたと主張する」可能性についても言及しました。
ブリンケンはその翌日、スウェーデンのストックホルムでロシアの外相セルゲイ・ラブロフと会談する予定でした。しかし、ロシア側は攻撃計画を否定し、逆にNATOが緊張をあおっていると批判しました。さらにロシアは、ウクライナが国内の東部地域に数万人の兵士を集結させていると主張しました。
「2022年に侵攻計画」ワシントン・ポストが報道
2021年12月3日、ワシントン・ポストが米国の情報機関が作成した報告書からロシアが2022年早々にウクライナへの大規模な侵攻を計画している可能性がある、という報道をしました。
同報告書によれば、侵攻は多方面作戦を含むものとし、最大で約175,000人の兵力が投入されると予想されています。
報告書によると、ロシアは医療ユニットや長期戦闘に必要な補給ルートの確立をすでに完了しています。前線部隊は7日から10日間の戦闘を続けるための装備を十分に保有しており、一方で補助部隊は最大1ヶ月間の戦闘を維持する能力があるとされています。
情報機関の推計によれば、侵攻は来年初頭に発生する可能性が高く、規模はロシアが今年春に行った軍事的動員の約2倍に達すると見られています。さらに、最新の衛星画像からは、予想される兵力の約半分がすでにウクライナ国境近くに展開されていることが明らかになっています。
一方で、ロシアは2021年4月にクリミアとウクライナ国境近くに約10万人の兵力を展開していました。これは、欧州各地で行われたNATOの大規模な軍事演習に対応する形での動きと解釈されていました。
その後、ロシアの国防相セルゲイ・ショイグは部分的な撤退を命じ、一時はウクライナに再び侵攻する可能性が低くなったと見られていました。しかし、実際にはロシアは兵力を維持しており、いつでも侵攻できるように準備をしていたのです。
ロシア、アメリカの軍用偵察機による旅客機への「脅威」を非難
2021年12月5日、ロシア政府は、アメリカの軍用偵察機が黒海上空でロシアの旅客機の経路を横断し、「大惨事」を避けるための急降下を旅客機に強いたと非難しました。ロシア外務省の広報担当者であるマリア・ザハロワは、アメリカとNATOの戦闘機のロシア近くでの活動が増加し、これが民間航空交通に対する危険なリスクを増加させているとの懸念を表明しました。
ザハロワは自身のFacebookアカウントを通じて、アメリカとNATOは無罪ではなく、続けて生命を危険にさらしていると述べました。彼女の発言は、特定の事件について言及し、旅客機が「大惨事」を避けるために急降下を余儀なくされたと述べています。
この非難は、ロシア連邦航空輸送庁(ロサビアツィア)が2021年12月4日に発表した声明に続くもので、NATOの「CL600」型の偵察機が、142人の乗客と乗員を乗せたアエロフロート・ロシア航空の機体と、テルアビブ(イスラエル)からモスクワへの航空機の経路を横断したと発表していました。偵察機は経路横断中に急降下したとされています。
前日にも、ロシア、アメリカの偵察機による航空機との危険接近を非難
前日の12月4日にも、ロシア連邦航空輸送庁は声明を発表し、黒海のソチから北マケドニアの首都スコピエに向かっていた民間航空機が、偵察機との危険に近い接近を避けるために経路を変更せざるを得なかったと発表してました。航空交通管制からの無線通信に対する偵察機の応答の欠如が報告されています。
ロシア連邦航空輸送庁は、該当の偵察機を運用している国を特定していませんが、ロシア外務省の広報担当者であるマリア・ザハロワは、2021年12月5日にメッセージングアプリTelegramで、その偵察機はアメリカのものであると主張しました。
ロシア、黒海上空でアメリカの偵察機に対しSu-30戦闘機を発進
2021年12月10日、ロシア国防省は声明を発表し、アメリカの偵察機が黒海上空でロシア国境に接近したとされる行為に対し、Su-30戦闘機を発進させたと述べました。戦闘機が発進した後、アメリカの偵察機はその場を去ったと報じられています。
この出来事は、黒海周辺でのアメリカ(NATO)とロシアの軍事的な緊張が高まっている状況で発生し、ロシアの軍事力の一部としての対応と見られています。ロシア国防省は、Su-30戦闘機がアメリカの偵察機から安全な距離を飛行し、ロシアの国境から遠ざけたことを強調しました。
ロシア軍は2021年6月にも、英国の駆逐艦が「ロシアの領海」を侵犯したと主張し、警告射撃と爆弾投下を行っていました。
同日、ロシア外務省は、NATOがウクライナへの支援を示すために黒海で頻繁に軍事演習を行っていると非難しました。そして、ロシアとアメリカ・ヨーロッパとの関係が現在重要な局面にあると警告しています。これらの事件は、世界各地での緊張を高め、ロシアと西側との間の対話の必要性を一層強調しています。
ロシア、監視活動を可能にする「オープン・スカイ条約」から正式に脱退
2021年12月18日、ロシア外務省は、ロシアが「領空開放(オープン・スカイ)条約」から正式に脱退したと発表しました。この条約は、加盟国間の領空を相互に監視することを可能にしていました。ウラジーミル・プーチン大統領は6月にこの脱退法案に署名し、法案の提出から6カ月後の今日、脱退が正式に発効しました。
オープン・スカイ条約は、1992年に冷戦後の主要国であるアメリカ、ロシア、そしてヨーロッパによって署名され、2002年に発効しました。その目的は、軍事の透明性を高め、国間の信頼を築くことにありました。
ロシア外務省は声明の中で、アメリカの行動が条約の崩壊を引き起こしたと批判しました。アメリカとロシアの両方の参加がなければ、条約の効力は80%削減され、その効果が大幅に低下すると主張しています。
ロシアは、アメリカが条約の崩壊の原因であり、その結果ロシアが条約から脱退することを余儀なくされたとの立場を明らかにしました。さらに、ロシアは、アメリカがNATO(北大西洋条約機構)を通じてロシアの情報を引き続き入手できると主張し、これが脱退の決定を下す一因となったと述べています。
ジョー・バイデン大統領、ロシアのウクライナ侵攻に対する米国の立場を明確にする
2021年12月8日、米国のジョー・バイデン大統領は、ロシアがウクライナに侵攻することになった場合でも、米国はウクライナに軍隊を派遣することは考慮していないと発表しました。
ウクライナはNATOの加盟国ではないため、そのため集団防衛の規定が適用されないことがこの決定の背後にあります。バイデン大統領は米国が軍を派遣するか否かは他のNATO加盟国の対応によると強調しました。
この発表の前日、2021年12月7日に行われたジョー・バイデン大統領とロシアのウラジミール・プーチン大統領とのオンライン会談では、バイデン大統領はロシアがウクライナに侵攻した場合には前例のない経済制裁が科されることをプーチン大統領に警告しました。
バイデン大統領はプーチン大統領の反応から、彼もまた状況の深刻さを理解していると信じていると述べました。しかし、バイデン大統領は明確に、アメリカは現時点でウクライナへの潜在的なロシアの侵攻に対抗するために単独で軍事力を用いることは考慮していないと述べました。
これに加えて、バイデン大統領とプーチン大統領は、互いに対話を通じて緊張を緩和し、問題解決に向けた議論を進めるという方針に同意しました。
その一環として、NATO加盟国とロシアが関与する高レベルの対話の開催が予定されており、この対話のスケジュールに関する発表が近日中に予定されています。
また、両国は米露間の問題について詳細に対話を行う機関の設立についても合意し、ロシアは1週間以内にその提案を提示することを約束しました。
プーチン大統領はこの会談について「非常に率直で、具体的で、建設的」と評価しました。ロシアはウクライナがNATOに加盟する可能性についての懸念を改めて表明しましたが、少なくとも当面はその懸念を解消することを前提に議論を進めると述べました。
この状況は引き続き敏感で、全世界が平和的解決に向けた進展を注視しています。次の展開が待たれています。
バイデン大統領、ゼレンスキー大統領との会談で経済制裁を強調
バイデン米国大統領は2021年12月9日、ゼレンスキー大統領と1時間以上にわたる電話会談を行いました。この会談で、バイデン大統領は米露首脳会談の結果を報告し、ロシアがウクライナに侵攻する場合には、アメリカは「強力な経済的手段」をロシアに対して取るだろうと明言しました。さらに、アメリカがウクライナの主権を支持していることも改めて強調しました。
ホワイトハウスから発表された声明によれば、バイデン大統領はロシアの行動に対する深刻な懸念を表明しました。さらに、ロシアが軍事的侵略をエスカレートさせる場合には、アメリカが強力な経済措置などを通じて対応することを明確に述べました。また、両国の指導者は緊張を緩和し、紛争解決のためには外交的な解決策が最善であるとの共通認識に達しました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、バイデン大統領がロシアのウラジミール・プーチン大統領との会談内容を伝えたことを明らかにしました。また、ウクライナ東部、特に紛争が続くドンバス地域の問題解決に向けた可能性を含む議論も行われました。さらに、ウクライナの内部改革についても話し合われました。
バイデン大統領とゼレンスキー大統領の会談は、地域の危機を解決するための持続的な取り組みを強調しました。特に、ロシアとの緊張状態を平和的に解決するため、アメリカがウクライナの領土統一性と主権を支持することが強調されました。
バイデン大統領、ロシア近隣の9つのNATO加盟国との対話で防衛の調整を強調
同日、ジョー・バイデン米国大統領は、ポーランドなどロシアに地理的に近い東欧9カ国のNATO(北大西洋条約機構)加盟国の指導者との電話会談を行いました。この会談の目的は、ロシアに対する対応を調整し、地域の潜在的な安全保障上の課題について議論することでした。
会談では、各指導者はNATOの基盤である北大西洋条約の第5条に基づく集団防衛の行使を再確認しました。第5条は、一つの加盟国への攻撃は全ての加盟国への攻撃とみなされ、それに対して集団防衛措置が取られることを定めています。これにより、ウクライナへの任意の攻撃に対して一体となって強力に対応する意志が示されました。
また、指導者たちは、ロシアに地理的に近い東欧の防衛についての立場を強調しました。東欧諸国はロシアに接近しているため、ロシアがウクライナに侵入する可能性があり、それにより地域全体の安全が脅かされる可能性があります。そのため、これらのNATO加盟国の指導者たちは、ロシアとウクライナの間の緊張が続く中で、潜在的な安全保障上の課題に対処するために協力と相互支援の強化を約束しました。
第5条の発動と東欧の防衛の再確認は、NATO加盟国間の結束と地域の危機への対処能力を強調しています。これは、これらの国々がウクライナの領土の一体性と主権を支持し、ロシアとの緊張を平和的に解決するための決意を示していることを表しています。
英国国防大臣がウクライナ侵攻への警告、ロシアとの緊張を巡る発言を行う
同日、英国のベン・ウォーレス国防大臣は、ロシアのウラジミール・プーチン大統領に対し、ウクライナへの軍事侵攻が深刻かつ長期的な結果をもたらす可能性があると警告しました。彼は、ウクライナの主権を脅かす行動は、ロシア自身に対しても重大な反発と持続的な影響を及ぼすと強調しました。ウォーレスはまた、プーチンに対し、ウクライナを巡る事態が致命的な戦争にエスカレートする可能性のある行動を避けるよう訴えました。
さらに、ウォーレス国防大臣は、ロシアがNATOに囲まれているという主張を「根拠のないもの」と一蹴しました。彼は、ロシアの国土のわずか6%しかNATO加盟国と国境を接していないと指摘し、NATOが防衛同盟として存在し、設立規約に明記されているように、加盟国の自己防衛がその目的であると明確に述べました。
ウォーレス国防大臣の発言は、ロシアとウクライナの緊張が高まる中で、国際社会の結束を求めるものであり、ロシアに対する強力なメッセージとなっています。彼は、ロシアが地域の紛争をさらにエスカレートさせる場合、国際的な孤立や経済制裁などの深刻な結果が生じる可能性をロシアに認識させることで、紛争の緩和と平和的な解決を促すことを目指しています。
英国首相とロシア大統領が電話会談、ウクライナ情勢について議論
12月13日、英国のボリス・ジョンソン首相とロシアのウラジミール・プーチン大統領が電話会談を行い、ロシアのウクライナへの潜在的な軍事行動に対する懸念を議論しました。ロイターによれば、プーチン大統領は、ウクライナやその他の東欧諸国のNATOへの加盟を防ぐための「法的保証」を得るべく、交渉がすぐに開始されるべきだと主張しました。また、彼はロシア国境近くでの西側諸国の軍事展開にも触れました。
電話会談の後、ボリス・ジョンソン首相の事務所からの声明では、ジョンソン首相がウクライナ国境近くでのロシア軍の増加に対する深刻な懸念を表明し、緊張を緩和し、持続可能な解決策を模索するための外交的手段の追求の重要性を強調したことが明らかにされました。また、ジョンソン首相は英国がウクライナの領土完全性と主権を支持し、ウクライナに対する任意の不安定化行動は重大な結果をもたらす戦略的な誤りであると警告しました。
西側諸国は、ロシアの潜在的な侵攻に対応し、近隣諸国の軍事力を強化したり、経済制裁を発動したりする選択肢を検討しています。しかし、状況は非常に微妙であり、国際的なリーダーたちはロシアとウクライナの緊張がさらにエスカレートすることを防ぐため、状況の動向を綿密に監視しています。
アメリカ政府、ロシアに対しウクライナ侵攻は「高い代償」を伴うと警告
アメリカ政府の関係者は12月17日、ロシア軍のウクライナ国境への集結に対して「深刻な懸念」を表明し、自制を求める一方で、ロシアがウクライナに侵攻した場合、その行動に対する「高い代償」が伴うことを警告しました。
経済制裁の可能性に加え、抑止策としてこれまでに検討されていなかった措置も視野に入れ、対応する用意があると明らかにしました。また、来週のロシアとの会談で具体的な解決策を提案する予定であることを伝えました。
国家安全保障担当アドバイザーのジェイク・サリバンも同日に発言し、ロシアによる軍事侵攻はまだ決定されておらず、アメリカは対話の準備が整っていると強調しました。これにより、アメリカがロシアとの交渉を続け、平和的な解決策を模索する意向を示していることが明らかになりました。
ロシアとウクライナの間の緊張が高まる中、アメリカはこの状況を綿密に監視し、外交的な解決策の追求を強調しています。また、ロシアの軍事行動は重大な結果を招くことを再度強調し、制裁などの追加措置の検討とロシアとの対話への積極的な取り組みを通じてエスカレーションの防止を図っています。
ロシア、ウクライナ国境近くでの軍事演習を終了するが緊張は続く
ロシア国防省は25日、ウクライナ国境近くで行われた1か月にわたる1万人以上の兵員を動員した軍事演習が終了したと発表しました。ロシア南部軍管区は、各地域での戦闘訓練に従事していた1万人以上の兵士が通常の配置に戻ると述べました。
ロシア国防省のウェブサイトに掲載された声明によれば、軍事演習はクリミアやロストフなどウクライナ国境近くを含むロシア南部軍管区全体で行われました。ただし、新年休暇期間中でも即応状態を維持するため、一部の防空部隊と一部の黒海艦隊の配置が続けられます。
一方で、ウクライナはロシアが国境から約200キロ以内に約12万2千人の兵員を展開していると推定しています。これは数週間前の約10万人から増加しており、西側諸国とウクライナ当局はロシアが潜在的な攻撃に備えて軍事的存在を強化し続けていると見ています。
アメリカと欧州諸国、ウクライナの緊張状態について協議
アメリカの国務長官アントニー・ブリンケンは29日、フランス、ドイツ、イギリスの外相と電話会談を行い、ウクライナの緊張状態について話し合いました。彼らはロシアの軍事行動を抑止するための協力の重要性で一致しました。アメリカ国務省によれば、ブリンケン長官はロシアがウクライナに対して軍事行動を起こさないように抑止するための共同の努力の重要性を外相たちと共に再確認しました。
同日、ブリンケン長官はウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領とも会談し、アメリカがウクライナの独立を揺るがすことなく支持していることを強調しました。両者はウクライナ東部の紛争の平和的な解決策やロシアとの外交交渉について協議しました。
ゼレンスキー大統領は自身のTwitterアカウントでこの電話会談を報告し、「ブリンケン国務長官との電話会談を行いました。私たちは引き続き立場を調整し、平和を実現するための外交努力を続けることで一致しました。アメリカからウクライナがロシアの侵略に対抗するための全面的な支援を受けることを確認しました」と述べました。
ホワイトハウス報道官は30日、ジョー・バイデン大統領がロシアのウラジミール・プーチン大統領と停戦の取り決めについて話し合う予定であると発表しました。
バイデン大統領とプーチン大統領がウクライナの緊張状況について話し合う
2021年12月30日、アメリカのジョー・バイデン大統領とロシアのウラジミール・プーチン大統領が、ウクライナを巡る継続している軍事的緊張に対処するために電話会談を行いました。
これは同じ月に2回も計画された異例のことで、両国は翌年の2022年1月10日にスイスのジュネーブで高位会談を控えているため、会話の中でウクライナに関する緊張と相違が明らかになりました。
バイデン大統領はウクライナ国境での緊張の緩和を求め、もしロシアがウクライナに侵攻するならば、アメリカとその同盟国が強く対応すると警告しました。これに対して、プーチン大統領はアメリカからのさらなる経済制裁が二国間の関係を断絶させると警告しました。
しかし、バイデン大統領はウクライナ領内にミサイルシステムやその他の脅威を展開する意図はないことを明確にしました。これは、プーチン政権が脅威と捉えている問題です。
電話会談の後、アメリカ政府関係者は、両指導者が進展の可能性がある領域と合意に至らない領域を認識したと述べました。そして、アメリカとロシアは2022年1月9日から10日にジュネーブで「戦略的安定対話」を行うと発表しました。
ロシア大統領補佐官のウシャコフは、会談に満足し、それを開かれた、具体的で建設的なものと評価しました。彼は対話が否定的に捉えられることはなく、さらなる交渉のための良好な基盤になると述べました。
ウシャコフはさらに、両国が2022年1月9日にジュネーブで二国間の協議を開始し、その後2日後にブリュッセルでNATO-Russia理事会との協議を、そして1月13日にウィーンで欧州安全保障協力機構(OSCE)の枠組みで別の会合を行う予定であると明らかにしました。指導者たちは交渉期間中に定期的なコミュニケーションを維持し、二国間の協議を直接監督することで合意しました。
国連安全保障理事会の常任理事国が「核戦争と軍拡を防止する」共同声明を発表
アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリスの5つの核武装国であり、国連安全保障理事会の常任理事国でもある国々は、「核兵器国間の核戦争と軍拡を防止する」と題した共同声明を発表しました。この声明では、「核戦争に勝者は存在せず、核戦争は絶対に戦われてはならない」と強調されました。これらの5つの国は、核武装国間の戦争を回避し、戦略的なリスクを削減することが最も重要な責任であると考えています。
共同声明は、核兵器の使用が遠大な結果をもたらすことを認識し、核兵器が存在する限り、それらは防衛目的、侵略の抑止、戦争の防止のためにのみ使用されるべきだと述べています。さらに、核拡散の防止を呼びかけ、核拡散防止条約(NPT)で述べられた義務を履行することへのコミットメントを表明しています。NPTは、署名国が軍拡の停止と核軍縮に関連する効果的な措置に向けて誠実な交渉を行うことを求めています。
中国の副外相マ・チャオシュウは、共同声明の重要性を強調し、5つの核武装国の指導者がこのような宣言を発表したのは初めてだと指摘しました。また、ロシア外務省の広報担当マリア・ザハロヴァは、「この文書は私たちが提唱したものです」と述べました。
ザハロヴァはまた、現在の厳しい国際的な安全保障環境において、核武装国の指導者たちがこのような政治的な声明に合意したことは、国際的な緊張を和らげ、軍拡を抑制し、信頼を強化するための基盤を築くと強調しました。
共同声明は、1月4日にニューヨークで開催される予定だったNPT再検討会議と時期を合わせて準備されたようですが、COVID-19の感染拡大のために延期されました。アメリカ、中国、ロシアの間の深く根付いた相互不信が、核軍縮に向けた進展を困難にしています。
FRANCE 24 English/YouTube
ロシアから最後のウクライナ人記者が脱出、メディアへの圧力が高まる
1月3日、ロシアとウクライナの緊張が高まる中で、ロシア最後のウクライナ人記者が当局の圧力により同国を離れていたことが。「ノーバヤ・ガゼータ」などの報道で判明しました。
ロシアはウクライナの国境近くに軍隊を集結させており、ウクライナ人ジャーナリスト、ロマン・ツィンバリュクは個人の安全への脅威を理由にロシアを離れたと説明しています。ツィンバリュクはウクライナのUNIAN通信社のモスクワ特派員でした。
ロシアのメディアによれば、モスクワの検察当局はツィンバリュクを昨年末の2021年に「ロシア人とロシア政府に対する敵意と憎悪の扇動」を罪状として召喚していたと報じています。この出来事は、ロシアでの外国人ジャーナリストが直面する増加する圧力と監視を浮き彫りにします。特にロシアとウクライナの関係など感情的なテーマについて報じるジャーナリストにとって、状況は非常に厳しいものとなっています。
これは、ロシアにおけるメディアの制限とジャーナリストが直面する課題のより広い状況を反映しています。ロシア政府は独立ジャーナリズムの抑圧と報道の自由の制限で批判されています。ジョージアに拠点を置く独立系調査報道機関「Agentstvo」によれば、戦争が始まって約3週間で多くの独立ジャーナリストが国を脱出しています。独立ジャーナリストへの取り締まりは、ロシアにおける危機感を増幅させています。
EU代表ボレルがウクライナを訪問、紛争地域を視察
2022年1月4日、欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表(外相)はウクライナを訪問し、翌日にはウクライナのドミトロ・クレバ外相に案内されて、2014年から続く東部ルガンスクの政府軍と親露派武装集団との紛争地域を視察しました。
ボレルは訪問の目的をTwitterで説明し、ロシアがウクライナとの国境周辺に軍を増強している現状に触れながら、「ウクライナの主権と領土保全に対するEUとしての支持を表明する」と述べました。
訪問後の記者会見でボレルは、「今回の訪問は非常に良いタイミングで選ばれた。地政学的な情勢は急速に変化しており、ウクライナ国境の紛争は深刻化している。今後数日でEUの外務・国防理事会、ロシア、米国、北大西洋条約機構(NATO)との議論が始まる。そのため、私にとってはウクライナを訪れるのが決定的に重要なタイミングだ」と述べました。
また、ボレルはコンタクト・ラインの訪問で、8年にわたり続く紛争が人々の生活を変え、運命を破壊し、人々を分断していることを確認しました。この劇的な紛争により、人々は基本的なサービスへのアクセスや普通の生活・仕事をする機会に制約を受けているとの見解を示しました。
さらに、「この低烈度の戦争は多くの軍人と民間人の命を奪った」と指摘し、人々の動きを楽にするために、基本的なサービスへのアクセスや行政上の問題の解決、家族や友人を訪問する機会を提供するために、多くの人々、国際機関、非政府組織、そしてウクライナ政府の取り組みに感銘を受けたと語りました。
ロシア最後のウクライナ人特派員が当局の圧力で国を離れる
2022年1月3日、ロシアの独立メディア「ノヴァヤ・ガゼータ」などによると、ロシア在住の最後のウクライナ人特派員が当局の圧力によりロシアを離れました。この出来事は、ロシアとウクライナ間の緊張が高まり、ロシアがウクライナの国境近くに軍隊を集結させる中で起きたものです。
ウクライナを離れたこのジャーナリスト、ロマン・ツィンバリュクは、ウクライナのUNIAN通信社のモスクワ特派員で、個人の安全への脅威を理由にロシアを去ったと説明しました。
ロシアのメディア報道によれば、モスクワの検察当局はツィンバリュクを「ロシア人とロシア政府に対する敵意と憎悪を扇動した」として昨年末に召喚していたとのことです。この事件は、特にロシアとウクライナの関係など、感情的なテーマについて報道する外国人ジャーナリストがロシアで直面している増加する圧力と監視を示しています。
これは、ロシアにおけるメディアの制限とジャーナリストが直面する課題の広範な状況を反映しています。ロシア政府は独立ジャーナリズムの抑圧と報道の自由の制限で批判されています。ジョージアに拠点を置く独立系調査報道サイト「Agentstvo」によると、戦争が始まって約3週間で多くの独立ジャーナリストがロシアを脱出しています。独立ジャーナリストへの取り締まりは、ロシアにおける危機感を増幅させています。
ロシア軍がウクライナ近辺で軍事演習を実施
2022年1月11日、ロシア軍はウクライナ東部国境に近い西部軍管区で大規模な軍事演習を実施しました。この演習には約3,000人の兵士が参加し、射撃訓練などの訓練活動が行われました。演習はベルゴロドとヴォロネジ地域を含むロシアの南西部地域の4つの地域で行われ、これらはウクライナの東部国境に近接しています。約300台の戦車を含む軍事装備が演習に使用されました。
さらに、1月12日にはロシアの南部軍管区が、クリミアで軍事演習を行ったと発表しました。クリミアは国際的な紛争にもかかわらず、ロシアが事実上支配している地域です。この演習はロシアの南部地域の20以上の訓練場で実施され、射撃訓練や戦車の訓練が含まれました。
ウクライナ国境近くに約100,000人のロシア軍が展開しているという報告は、アメリカとヨーロッパの間で深刻な懸念を引き起こしており、地域の緊張をさらに高めています。ロシアの継続的な軍事演習と軍の動きは、ロシアとウクライナの状況に対する不安と不確実性を増幅させています。
アメリカがロシアの「偽旗作戦」を警告
アメリカ国防総省は2022年1月14日、ロシアがウクライナへの侵攻の口実として攻撃を演出する「偽旗作戦」を計画しているとされることを公表しました。ペンタゴンはロシアがウクライナがロシアの利益を攻撃しているように見せかけるためにエージェントを潜入させていると非難しました。このような兆候を公にすることで、アメリカ政府内部での緊急性が強調されています。
さらに、ウクライナ国防省の情報分析センターも、ロシアのスパイがウクライナ南西部地域の隣国であるモルドバからサボタージュ作戦を計画していると発表しました。これらの作戦はウクライナ国境近くに展開しているロシア軍を攻撃するものであるとされています。
アメリカ政府は1月中旬から2月中旬にかけてロシアによる潜在的な軍事侵攻を警告しており、偽旗作戦はその数週間前に実行されると予想されています。この作戦に関与するエージェントたちは都市戦と爆発物の訓練を受けていると報告されています。
また、ロシアの国営メディアとソーシャルメディアプラットフォームが、ウクライナが挑発を始めたように見せかけるために情報を捏造する動きがあるとの懸念も報告されています。これはロシアの介入を正当化し、ウクライナの分断を引き起こす可能性があるとされています。
ウクライナ国内も混乱!?ポロシェンコ前大統領が“国家反逆罪”の容疑で裁判
ウクライナのロシア軍が国境近くに集結し、同国内の政治的紛争が激化する中、緊張が高まっています。元大統領のペトロ・ポロシェンコは2022年1月17日、海外滞在からウクライナに戻り、国家反逆罪の疑いに直面しています。彼の拘留が決定されるかどうかを判断するための裁判が開始されました。
国家反逆罪の容疑にかけられていた
ポロシェンコは、2019年の大統領選挙でゼレンスキーに敗北した政治的なライバルで、2014年から2015年の任期中、ウクライナの東部ドネツク地域における規模の大きい石炭販売を通じて親ロシア派分離主義者の軍事活動を資金援助したとされ、その件で捜査を受けていました。
しかし、2021年12月にポロシェンコは捜査中にもかかわらず、ポーランドに向けてウクライナを出国していました。
2021年12月20日、ウクライナの国家捜査局は、国家反逆罪とテロ組織の支援の疑いを元ウクライナ大統領のペトロ・ポロシェンコに伝えました。国家捜査局によれば、ポロシェンコはロシアの代表者を含むいくつかの個人と事前の取り決めを通じて、「LPR」と「DPR」というテロ組織の活動を支援したと疑われています。
また、同日にウクライナの国家保安庁(SBU)も、ポロシェンコが南アフリカとの石炭供給契約をキャンセルし、ドネツク州とルハンシク州の特定地域の代表者と石炭供給契約を結んだと発表しました。
ポロシェンコはウクライナに戻る
これらの疑惑に対して、ウクライナの野党である「ヨーロッパの連帯」党は、ポロシェンコに対する国家反逆罪とテロ組織の支援の疑惑を「偽物」と呼び、現政府による野党への迫害だと主張しました。
「ヨーロッパの連帯」党の議会メンバーであるアルテム・ヘラシモフは、キエフでの記者会見で、ポロシェンコが海外出張中であり、コンスタンティノープルの普遍総主教バルトロメオス1世やポーランドの高官と会う予定だと述べました。
また、ヘラシモフは、予定されている会議や年末年始の休暇、そしてその後の出張が終わった後に、ポロシェンコがウクライナに戻ると強調しました。
元ウクライナ大統領ポロシェンコの資産凍結と裏切り罪の捜査
2021年12月、ウクライナのキエフ・ペチェールスク地区裁判所は、元ウクライナ大統領で欧州連帯党の指導者ペトロ・ポロシェンコの資産を凍結する決定を下しました。ポロシェンコは、ウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州(CADLO)からの石炭供給に関する調査の中で、不正疑惑を持たれています。裁判所は、ポロシェンコが所有する不動産を差し押さえることを決定しました。
ポロシェンコはこの疑惑を否定しており、ウクライナ当局が元国家元首に対して裏切り罪を持ち出すことは、「赤線」を越える行為だと主張しています。彼は2021年12月後半からウクライナを出国しており、裁判所の判決に対する公のコメントはこの時点ではありませんでした。
ポロシェンコの支持者は、彼の資産凍結は現政権による野党への報復行為だと主張しています。
ポロシェンコは、ウクライナ東部のモスクワ支援の反政府勢力が支配する炭鉱から、政府企業へ石炭を購入するよう助けたという告発で起訴されています。この東部紛争は、2014年にロシアがウクライナのクリミア半島を併合した数カ月後に勃発し、これまでに約14,000人の命を奪いました。
ウクライナ当局は、この石炭の購入が反政府武装勢力への資金提供につながったと主張しています。もしポロシェンコが有罪判決を受ければ、最大で15年の刑が科せられる可能性があります。
「危機に瀕している祖国を助けるために帰ってきた……」ポーランドに出国してポロシェンコが帰国
2022年1月15日、ポロシェンコはFacebookのビデオメッセージで、訴訟が続いているにもかかわらず、「1月17日午前9時10分にワルシャワからの便でウクライナに戻る」「ロシアの侵略からウクライナを守るために帰国する」と声明を発表しました。
元ウクライナ大統領ポロシェンコが帰国、裁判所での審理と緊張を引き起こす
2022年1月17日、元ウクライナ大統領のペトロ・ポロシェンコがキエフに帰国し、市内のペチェールスク地区裁判所での事前審理が行われました。
審理は、国家反逆罪とテロ活動の幇助に関連する予防措置に関するものでした。ポロシェンコの到着時には約200人の支持者が法廷の外に集まり、「キエフはポロシェンコと共に」「我々は民主主義を必要としている」「ありがとう」などのメッセージが書かれたプラカードを掲げていました。また、彼が所属する欧州連帯党の旗も群衆の中で目立っていました。
支持者たちに向けて演説したポロシェンコは、現職の大統領、ヴォロディミル・ゼレンスキーを批判しました。彼はゼレンスキーを元大統領ビクトル・ヤヌコビッチと似た独裁的な権力を行使していると非難し、ゼレンスキー政権に対抗する意向を表明しました。
現職のゼレンスキー大統領は親西洋的な姿勢で知られていますが、政権内には親露派の派閥も存在しており、政治経験に乏しい彼は操作的な影響を受けやすいとの見方もあります。ポロシェンコのキエフへの帰国とそれに伴う政治的な緊張は、ウクライナの政治的な風景の複雑さを浮き彫りにし、様々な派閥が影響力と権力を競っている状況を示しています。
元大統領ポロシェンコの裁判、キエフの裁判所が拘留を検討
2022年1月17日、ウクライナの首都キエフの裁判所は、元ウクライナ大統領ペトロ・ポロシェンコが国家反逆罪の疑いで2ヶ月間の拘留を検討することを明らかにしました。同裁判所は判決を1月19日に発表する予定です。
56歳のポロシェンコは、在任中に親ロシア派が支配するウクライナ東部地域から石炭を購入した疑いで告発されています。この購入が反政府派閥の活動を助長したと検察側は主張しています。
一方で、ポロシェンコは告訴を否認し、この調査は政治的動機に基づいていると主張しています。彼は現在のウクライナ大統領、43歳のヴォロディミル・ゼレンスキーを厳しく批判しています。
裁判の中断中、ポロシェンコは法廷の外で待つ支持者たちに演説を行い、現政府を攻撃しました。「ゼレンスキー政権は混乱しており、プーチン(ロシアの大統領)との戦いを放棄し、我々との戦いを選んだ」と彼は語りました。
同日、ウクライナ国家捜査局の広報担当者、タチアナ・サピヤンは記者会見を行い、ポロシェンコに対する刑事捜査には政治的動機はないと声明を発表しました。「政治は政治家の領域であり、事実は捜査官が扱う」と強調しました。
元大統領ポロシェンコ、キエフの裁判所が出国禁止を命令、拘留は却下
ウクライナのキエフにある裁判所は、2022年1月19日、元大統領で欧州連帯党の指導者ペトロ・ポロシェンコに対し、国家反逆罪やその他の告発に関する捜査への協力を命じ、同時に国外への出国を禁止する判決を下しました。一方、同裁判所は検察側からのポロシェンコの拘留要求を却下しました。この裁判所の決定に対し、検察側は「野党の抑圧」であると非難しています。
ポロシェンコはこの裁判所の決定を受け、引き続き政治活動を行うことを宣言しました。また、捜査が続く間も政治活動を続ける意向を示しました。
同日、キエフの裁判所がポロシェンコに対する国家反逆罪の容疑での拘留を却下したことを受けて、裁判所の外ではポロシェンコの支持者と警察との間で衝突が発生しました。支持者たちは大統領府に向かってデモを行い、現職のウクライナ大統領ヴォロディミル・ゼレンスキーに対して抗議を行いました。このデモは大統領府の入り口まで20~30メートルに迫る緊迫した状況となりました。
元大統領と現職指導者の間の政治的対立が続く中、国内の緊張が増加
ウクライナは、将来に対する不確実性が高まり、危険な状況に直面していました。それにも関わらず、元大統領と現職指導者の間には政治的な対立が続き、共闘の姿勢は見られていませんでした。
The Wall Street Journal(WSJ)は2022年1月17日の記事で、ゼレンスキー大統領が西側諸国との協議後、孤立感を抱いて国内の問題に注力していると報じました。さらに、アントニー・ブリンケン米国務長官も2022年1月19日、キエフでのゼレンスキー大統領との会談で、ウクライナの指導者がロシアに対して一体となることが重要であると強調しました。
裁判所の判決が下された後、地元のジャーナリストが元大統領であるポロシェンコに対して、ブリンケン長官の訪問のために逮捕されなかったのかと問いました。
ポロシェンコは「いいえ、司法は独立している」と回答し、これが形式的なものであったことを示唆しました。さらに、ブリンケン長官がゼレンスキー大統領を叱責した可能性があるとも述べました。これらの発言は、高位の米国公職者の存在が裁判所の判決に影響を及ぼした可能性を示唆し、司法制度の独立性に疑念を投げかけました。
このように、この頃のウクライナの状況は緊迫しており、内部の政治的な対立が、ロシアを含む外部の圧力との対処をさらに困難にしていたのです。
ロシアが親ロシア派支配地域の「ドネツク」「ルガンスク」の独立承認に動く
その頃、ロシアではウクライナの東部地域である「ドネツク人民共和国」と「ルハンシク人民共和国」の独立を認識する動きを見せていました。これらの地域は2014年から親ロシア派の武装勢力に支配されています。
2022年1月には、ロシアの共産党代表団によって、これらの地域の独立を認識する決議が提出されました。すでに60万人以上の人々がロシアの市民権を取得していますが、プーチン政権はまだこれらの地域を正式に独立した国として認識していません。
ロシアの共産党は、これらの地域を独立した国として認識することが合理的であり、道義的にも正当化されると主張しています。しかし、この決議が採択されれば、ウクライナ国境近くでのロシアの軍事増強により、地域の緊張が高まる可能性があります。また、アメリカやNATOとロシアとの関係も一層悪化する可能性があります。
共産党による決議提出のタイミングは、2022年1月21日に予定されているアメリカとロシアの外相会談に先立つものであり、ロシアが外交交渉において譲歩しない統一された立場を示しているように見えます。
また、ロシアの国家ドゥーマ議長のヴャチェスラフ・ボロジンは、来週にもプーチン大統領に対して、ウクライナ東部のこれらの地域を独立した国として認識するかどうかを検討すると発表しました。ボロジンは、ロシアはこれらの地域の住民を外部からの脅威から保護するために、正式に独立を認識する必要があると述べました。
ウクライナ東部のドンバス地域への行動を「同胞の保護」で正当化
ロシアがウクライナ東部のドンバス地域への介入を「同胞の保護」を名目に自己正当化しています。ドンバス地域は、ロシア語話者やロシア文化圏に属する人々が大多数を占めており、ロシア側は彼らを「同胞」と位置づけています。
しかし、ウクライナ東部のドンバス地域の自治権を確保するという要求は、ウクライナ政府との対立を引き起こし、合意が困難となっています。その結果、ロシアは独立を宣言したドンバス地域を一方的に支援する姿勢を取る可能性があります。これはロシアにとって、ドンバス地域をより直接的に支配し、その扱いを簡単にするための手段となり得ます。
ロシアは2014年にクリミアを併合し、ウクライナ東部のドネツクとルガンスク両州で親ロシア派の蜂起を支援した際にも、「同胞を救う」というレトリックを用いて自己正当化しました。しかしこの主張は議論の余地があります。一部のロシア語話者が組織的な弾圧や迫害を受けたという証拠は存在せず、ロシアがその主張を根拠に自らの行動を正当化したと言われています。
ウクライナ東部の親露派が占める地域を「独立国家」として承認する決議案を可決
2月15日、ロシアの下院は、ウクライナ東部の親露派が占める地域を「独立国家」として承認するようプーチン大統領に求める決議案を可決しました。ロシア政府はこれまでドネツクとルガンスクの地域を独立国家として正式に承認していませんでしたが、この決議によりその立場が変わる可能性があります。
下院のヴャチェスラフ・ヴォロジン議長は、この決議の採択について、「ドンバスの住民の安全と外部の脅威からの保護を保証し、国際平和と地域の安定を強化するための根拠を生み出す」と述べました。
ブリンケン米国務長官、ロシアの「偽旗作戦のシナリオ」に警告
2022年2月17日、アントニー・ブリンケン米国務長官は国連安全保障理事会の会議で、ロシアによる「潜在的なシナリオ」について語りました。彼はロシアが自作自演のテロ攻撃を仕掛け、その罪をロシア自身に着せる可能性について警告しました。
これらのシナリオには、化学兵器による事件や市民へのドローン攻撃が含まれると述べました。また、ロシアはロシア語を話す住民に対する大量虐殺の疑いを口実に、自称同胞を保護する名目でミサイル攻撃と地上侵攻を開始する可能性があるとも警告しました。
ブリンケンはさらに、サイバー攻撃やウクライナ全土に対する広範な爆撃も可能な行動として挙げ、その中でウクライナの首都キエフが潜在的な標的として言及されました。
ブリンケンは、米国がロシアがこのような行動に向けての準備をしていると示す情報を持っている可能性が高いと述べ、ロシアが民族浄化や大量虐殺の状況を偽造しようとする可能性があると指摘しました。また、ブリンケンはロシアを批判し、デマ情報を拡散して公衆の怒りを煽り、その潜在的な侵攻を正当化しようとしていると非難しました。
アメリカのジョー・バイデン大統領も、ロシアが侵攻の口実を作るために自作自演の事件を試みる可能性があるとの見解を示しました。さらに、ロシアが「演出された緊急会合」を開催し、危機に対処する可能性があると警告しました。
しかし、ロシア側はこれらの主張を否定し、そのような非難を裏付ける証拠はないと主張。アメリカを地域の緊張をエスカレートさせていると非難しました。
同日、親ロシア勢力がウクライナ軍からの砲撃を報告
国連安全保障理事会の会議が行われた同日に、ウクライナ東部を支配する親ロシアの武装勢力が、ウクライナ軍からの砲撃を受けたと発表しました。彼らはその報復を行ったと主張しています。この事件は、ウクライナ情勢の緊張が続く中、東部地域での紛争のエスカレーションとして、ロシアにさらなる介入の口実を与える可能性があります。
親ロシアの武装勢力によれば、砲撃は17日の朝5時30分に始まり、約2時間にわたって続いたとのことです。この攻撃は9つの集落に対して行われましたが、被害の全容はわかっていません。
一方で、ウクライナ政府は親ロシア側から16日に攻撃を受けたと主張しています。
バイデン大統領、ロシアの偽旗作戦の可能性を示唆
2022年2月18日、ジョー・バイデン米国大統領は、ウクライナ東部の親ロシア派への攻撃に関する情報が、ロシアが以前に使用してきた戦術と一致していることを示唆しました。ロシアがフラッグ作戦を実行している可能性があり、それはアメリカとその同盟国が数週間にわたり警告してきたシナリオと一致していると述べました。これは「侵略」ではなく、「救助」の名目でロシアが軍隊を派遣する可能性があるという考えです。
同じ日には、親ロシア派が「ウクライナ軍による破壊工作」を報告し、市民の避難を呼びかける映像を公開しました。しかし、後にこの映像が地域の緊張が高まる前に撮影されたものであることが判明しました。調査機関Bellingcatなどが画像データ解析を行い、この事実を確認しました。
バイデン政権は「タイガーチーム」と呼ばれる対策チームを設立し、フラッグ作戦に対抗するための戦略を立案しました。政府は、ロシア発の情報に惑わされないよう公衆に何度も呼びかけています。その一環として、機密情報を積極的に公開しています。
ウクライナ情勢における情報戦と偽旗作戦の疑い
ウクライナ情勢では情報戦が急増し、ソーシャルメディアは地域で発生したとされる行動に関連する動画や画像であふれています。しかし、日本経済新聞や調査報道機関ベリングキャットを含むいくつかの情報源が、ロシアまたは親ロシア派が支配する地域にウクライナが侵攻したとされるいくつかの動画が、実際にはフェイクである可能性を示しています。
アメリカとヨーロッパは、これらの行動をロシアによる偽旗作戦の可能性があると見ており、ロシアが自らの地域または親ロシア派の地域に攻撃を仕掛け、さらなる行動を正当化するためにこれを利用する可能性を疑っています。
1月18日には、ドネツク人民共和国の親ロシア派がウクライナ軍による攻撃がエスカレートしていると主張する映像を公開し、ロシア市民の避難計画を発表しました。しかし、日本経済新聞はこの映像のメタデータから、実際にはエスカレーション前の1月16日に撮影されたものであることを明らかにしました。
さらに1月21日、ロシアの通信社TASSはロシア軍がロシア領に侵入したウクライナ軍の車両を破壊し、ウクライナ軍兵士5人が死亡したと報じました。その後、関与したウクライナ兵士の視点からの映像がソーシャルメディアで広がりました。しかし、ベリングキャットはこの映像を分析し、その軍用車両を「BTR70M」型と特定しましたが、この型の車両はウクライナ軍が使用していないことが判明しました。この相違点から、ベリングキャットは偽旗作戦の可能性を指摘しています。
ウクライナ侵攻の前触れか!?破壊的なマルウェアとサイバー攻撃
2022年1月15日、マイクロソフトはウクライナの複数の組織が破壊的なマルウェア攻撃の標的となったと発表しました。このマルウェアは、感染したコンピュータからデータを削除し、それらを使用不能にすることを目的としています。攻撃対象には、緊急対応を担当する政府機関や、それらのサイバーセキュリティ対策をサポートするIT企業などが含まれています。
マルウェアは2022年1月13日に初めてウクライナの被害者のシステムに検出されました。マイクロソフトの脅威インテリジェンスセンター(MSTIC)は、被害を受けた数十のシステムでマルウェア攻撃の証拠を特定しましたが、調査が続く中でその数はさらに増える可能性があります。これらのシステムは、ウクライナに拠点を置く政府機関、非営利組織、情報技術機関などにわたります。
マイクロソフトは、攻撃者の正体を特定するための調査を行っており、その結果が待たれています。このようなサイバー攻撃は、ウクライナとロシアの間の緊張がエスカレートする中で、特に懸念されています。サイバーセキュリティ専門家は、これらの攻撃が国家間の紛争を悪化させ、その結果として物理的な暴力や対立を引き起こす可能性があると警告しています。
また、こうした攻撃はウクライナだけでなく、他の国々の組織に対する警鐘ともなります。組織がサイバーセキュリティを重視し、対策を強化することで、攻撃者が目的を達成することを難しくすることができます。サイバーセキュリティ対策の強化には、防御策の強化、教育と訓練の提供、定期的なセキュリティチェックの実施などが含まれます。
前日にはウクライナ政府サイトが攻撃「ロシア秘密警察に関連するハッカーグループの関与の兆候」
2023年1月14日、多数のウクライナ政府公式ウェブサイトがサイバー攻撃の標的となりました。この攻撃は、ロシア、米国、およびNATOの代表者がウクライナ情勢について進展なしに話し合いを終えた直後に発生しました。
ウクライナの教育・科学省はFacebookで、これらのウェブサイトが「国際的なサイバー攻撃」によってダウンしたと報告しました。外務省のウェブサイトは一時的なメッセージが表示され、「恐れろ、最悪の事態に備えよ」とウクライナ語、ロシア語、ポーランド語で警告していました。
内閣と緊急事態省のウェブサイトも影響を受け、約70のサイトが影響を受けました。一部のサイトでは、ウクライナ市民の個人情報を「盗んだ」と主張するメッセージが表示されました。この攻撃はウクライナ国家サイバーセキュリティセンターによって「Operation Bleeding Bear(出血するクマ作戦)」と名付けられました。
報道によると、この攻撃はベラルーシの情報機関と関連のあるハッカーグループによって行われ、ロシアの情報機関と関連のあるグループが使用するマルウェアに似た手法を使用していました。ウクライナは、この攻撃が表面上の行動であり、裏ではより破壊的な行動が進行していると見ています。
ウクライナ政府は、2014年にロシアがクリミアを併合し、東部ドンバス地域で戦争を始めて以来、何度も攻撃を受けてきました。これらの攻撃は重要なインフラにも向けられており、2015年の冬には、疑わしいロシアのハッカーグループがウクライナの一部の電力網を無効化し、約25万人のウクライナ市民が電力と暖房を失いました。2016年には、同様の攻撃が再度発生しました。
そして、2017年には、疑わしいロシアのハッカーによるNotPetyaと呼ばれる攻撃が発生しました。これは史上最も大規模なサイバー攻撃の一つで、ウクライナのデバイスだけでなく、世界中の企業に感染しました。
「ロシアが99%関与している」
EUの外交・安全保障政策上級代表であるホセップ・ボレル・フォンテレスは、「これらの攻撃は受け入れられません。ウクライナを不安定化させ、虚偽の情報を広めるために行われています」と述べ、ウクライナへの支援を約束しました。
ウクライナ政府は、政府のウェブサイトへの最近のサイバー攻撃に対する調査を開始しており、サイバーポリスはロシアが関与していると信じています。ウクライナ国家安全保障・国防会議の書記であるドミトロ・ダニロフは、「ロシアが99%関与している」と主張しています。
ウクライナ外務省の広報担当者はTwitterで、ウクライナ治安機関(SBU)がロシアの秘密機関に関連するハッカーグループの関与を示唆する予備的な情報を入手したと述べています。
ウクライナのデジタルトランスフォーメーション省がロシアを非難
2022年1月16日、ウクライナのデジタルトランスフォーメーション省は、政府のウェブサイトに対するサイバー攻撃の背後にロシア政府がいると非難する公式声明を発表しました。その声明には、「すべての証拠がロシア政府のサイバー攻撃に関与していることを示しています。モスクワは物理的およびデジタルの両面でのハイブリッド戦争を続けています」と記されています。
これに対し、ロシアのプーチン大統領のスポークスマンであるドミトリー・ペスコフは、ロシアの関与を否定。「私たちは一切関与していません。ウクライナ人はロシアのせいで天候を悪くするさえ言っている」と述べました。
ウクライナの国家安全保障・国防会議の一員であるセルギイ・デメデュークは、ロシアの関与の可能性に言及しました。「仮に、ハッカーグループ ‘UNC1151’ がこの攻撃に関与しているとしたら、このグループはベラルーシ情報部と関連し、ロシアの情報部にもつながっているサイバースパイグループです。過去にはリトアニア、ラトビア、ポーランドを標的にし、NATOに対する批判を広めてきました」と述べました。
デメデュークは、ハッキングで使用されたマルウェアがロシアの情報部と関連するハッカーグループ ‘ATP-29’ によって使用されたものと非常に類似していたと主張しました。彼はこのサイバー攻撃をロシアのより破壊的な活動から注意をそらす手段として説明しました。
政府のウェブサイトへのサイバー攻撃では、「最悪に備えよ」といったメッセージが表示されました。デメデュークは、これらのウェブサイトの改変は、裏でより破壊的な行動から注意をそらすためのものであり、これらの攻撃の結果が近い将来に感じられるだろうと警告しました。
一方、ロシアはサイバー攻撃への関与を否定し、ベラルーシ政府はUNC1151がベラルーシと関連しているというウクライナの指摘に対して直ちに反応していません。これらの事件は、サイバースペースが国際政治の新たな戦場となっていることを再確認するもので、各国がどのように対応するかが注目されます。
アメリカも犯人特定に急ぐ「これはロシアの台本の一環だ。従ってロシアの仕業と最終的に特定されても私は少しも驚かない」
2022年1月16日、アメリカの国家安全保障担当アドバイザー、ジェイク・サリバンは、ウクライナ政府のウェブサイトへのサイバー攻撃を実行したのは誰なのかを特定するためにアメリカが取り組んでおり、それが最終的にロシアの仕業であると判明しても驚かないと述べました。
サリバンは、CBSの番組「Face the Nation」でこれらの発言をし、「サイバー攻撃の加害者を特定するために努力しています。これはロシアの手口の一部です。だから最終的にロシアに帰せられることに驚かないでしょう」と述べました。さらに、「もしロシアがウクライナに対してサイバー攻撃を実行していると判明し、それが続けられる場合は、当然、同盟国と協力して適切に対応するでしょう」と説明しました。
一方、ロシアのプーチン大統領の報道官であるドミトリー・ペスコフは、ロシアのサイバー攻撃への関与を否定し、CNNに対して「ロシアはサイバー攻撃とは無関係です。ウクライナは悪天候さえロシアのせいにしています」と述べました。
同時に、ロシアがウクライナに対して多面的なアプローチを取っている中、ガーディアン紙は2022年1月16日に、一部の専門家が最近のサイバー攻撃をロシアによるウクライナへの計画された軍事侵攻の前触れと見ていると報じています。
このように、アメリカとその西側の同盟国は、ロシア軍がウクライナに侵攻する前から、ロシアまたはロシアと関連のある勢力による主要産業や重要インフラへの大規模で破壊的なサイバー攻撃に対して備えてきました。西側諸国とロシアとの間の緊張はサイバー空間においても高まり続けていたのです。
ウクライナのロシア外交官の家族が退避!!さらに各国も退避を開始
2022年1月18日、ホワイトハウス報道官のジェン・サキは、記者会見でロシアによるウクライナへの攻撃がいつでも起こり得るという懸念を表明し、その可能性が驚くべきものではないと述べました。ロシアの潜在的な行動についての緊張は高まりつつあり、西側諸国は最悪のシナリオに備えています。
また、ロシアがウクライナに駐在するロシアの外交官の家族の避難の準備をしているという情報を明らかにしました。これは、ロシアがウクライナに対する軍事行動を計画している可能性を示すさらなる兆候として受け取られます。
同じ日に、アメリカの国務長官アントニー・ブリンケンとロシアの外務大臣セルゲイ・ラブロフは電話で会談を行いました。そして、1月21日にスイスのジュネーブで直接対話を行うことが予定されています。この会談は、ウクライナ情勢に関する重要な局面を討議する場になると注目を浴びていました。
アメリカが在ウクライナ米大使館職員と職員家族に退避命令!!
2022年1月23日にアメリカ国務省がウクライナのアメリカ大使館の一部スタッフとその家族に対して避難命令を発出しました。これは、ロシアによるウクライナへの軍事行動の危険性が高まっていることを示していました。また、非必要不可欠な人員の自主的な退避も認可され、ウクライナにいるアメリカ市民に対しても出国を強く勧める通告が出されました。
これらの行動は、ロシアがウクライナへの重大な軍事行動を計画しているという情報を受け取った国務省が、地元の安全状況が非常に不安定であり、急速に悪化する可能性があると判断したことを反映しています。この地域の状況は常に監視されており、アメリカ政府は人員と市民の安全を確保するための予防措置を講じたのです。
ドイツとオーストラリアの在ウクライナ大使館から一部職員と家族が退避へ
2022年1月24日、ウクライナ外務省はドイツとオーストラリアのウクライナ大使館から、ロシアに関する懸念から一部スタッフとその家族の避難が計画されているという通知を受け取りました。また、同日、日本の外務省はウクライナ全土に対する渡航注意勧告を「レベル3(渡航の再考)」に引き上げました。これは4段階のシステムで2番目に高い警戒レベルであり、ロシアによる軍事行動の脅威が高まっていることを受けた措置です。
日本の外務省は、ウクライナに滞在している日本人に対し、状況の急変に備えて可能な限り国を離れることを強く勧めています。外務省の統計によれば、1月20日時点でウクライナには約250人の日本人が居住しています。日本政府は状況を慎重に評価し、大使館スタッフを含む市民の避難の必要性を検討する予定です。
同日に行われた欧州連合(EU)外務相理事会会合では、アメリカの国務長官アントニー・ブリンケンが招かれ、ロシアのウクライナ国境付近での軍事展開に対する戦略について協議が行われました。
アメリカはウクライナの大使館スタッフに対して自主的な避難を認可しましたが、EUは大使館スタッフに対してそうした状況は存在しないと主張しています。これにより、ロシアの軍事侵攻に対する危機感についての見解の相違が明らかになりました。
EUの外務・安全保障政策担当上級代表ジュゼップ・ボレルによれば、ブリンケンはアメリカの決定が希望する者が避難するためのものであり、公式の避難命令ではないと説明したとのことです。ボレルは、EUは情報共有と独立した評価に基づき、加盟国がこの問題について完全に一致していると述べました。
カナダが在ウクライナ大使館職員と家族が退避
2022年1月25日、カナダの外務省は、ロシアがウクライナの国境付近に軍隊を集結させていることを受けて、一時的にウクライナの大使館スタッフの家族を避難させることを決定しました。これはアメリカとイギリスに続く措置であり、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対する懸念が高まっている中での措置です。
ウクライナ外務省のスポークスマン、オレグ・ニコレンコは、外交官の家族の避難は早計であり、129の外交使節団のうち避難を発表したのはほんの一握と述べています。
在ウクライナ日本大使館職員の家族が退避
2022年1月28日、日本外務省の関係者は、ウクライナの状況の悪化により、在ウクライナ日本大使館の業務を縮小する方針を明らかにしました。在ウクライナ日本大使館のスタッフは、日本人の保護を担当する人員を除き、ウクライナの外へ避難させる予定です。
2022年1月時点でウクライナで活動していた日本企業は57社あり、主に貿易会社などの製造・卸売り事業に従事しています。2022年1月27日、住友商事が派遣された従業員とその家族を隣国に避難させ始めました。
同様に、日本車の販売も行っている伊藤忠商事もウクライナに派遣された従業員をウクライナ外に避難させる準備を始めました。他の主要な貿易会社もヨーロッパ内の他の場所にスタッフを移動させ、不測の事態に備えていました。
アメリカがベラルーシへの渡航警告と退避命令
2022年1月31日(現地時間)、CNNとロイターは、アメリカ国務省が自国の市民に対してベラルーシへの渡航を避け、ベラルーシ政府の職員の家族に避難を指示したと報じました。同日に更新された渡航勧告では、「ウクライナ国境付近での特異で懸念すべきロシアの軍事的展開と、地域の緊張が高まっていることから、ベラルーシへの渡航を検討するアメリカ市民は、状況が予測不能であることを認識すべき」と述べられています。
アメリカはすでにベラルーシを最高レベルである「レベル4」の渡航勧告として指定しています。これは、新型コロナウイルスの感染拡大と、ベラルーシの大統領で「ヨーロッパ最後の独裁政権」と呼ばれることもある、アレクサンダー・ルカシェンコによる任意的な法の執行への懸念を理由に、国への渡航を非推奨とするものです。
ロシアのウクライナ境界線への軍事力集結が懸念を引き起こす
2022年1月18日、米国国務省の高官がロシアがウクライナ近くに10万人の軍事力を集結させていることについて懸念を表明しました。「ロシアはいつでもウクライナへの攻撃を開始できる段階にある。非常に危険だ」と記者に語りました。
ホワイトハウス報道官のジェン・サキも同日の記者会見で、ウクライナの状況は「これまで以上に厳しい」と述べました。ロシア政府が昨年末から今年初めにかけてロシア大使館の職員の家族をキエフのロシア大使館から避難させる準備をしていたという情報が引用され、ロシアがウクライナへの攻撃を計画している可能性があるという懸念が増しています。
ロシアがウクライナ近くに軍事力を集結させる懸念は新しいものではありません。2014年以降、ロシアは国境を含む西部地域に2つの新しい軍管区を作り、約87,000人の部隊をそこに配置してきました。
最近の数か月間で、ウクライナの国境近くには最大で190,000人のロシア軍が集結し、そのうち約35,000人の軍人が常駐していると報告されています。このロシア軍の動きは、西側諸国とウクライナの関係者により、クレムリンが大規模な軍事行動、おそらくは侵攻の準備をしている可能性があるとの懸念を引き起こしています。
同日、ロシアとベラルーシの国防省は、2022年2月10日から20日までベラルーシ内で共同軍事演習「アライド・リゾルブ2022」を実施すると発表しました。これは、ロシアのウクライナに対する軍事的な意図についてさらなる懸念を引き起こす可能性があります。
共同軍事演習「アライド・リゾルブ2022」が実施
2月9日、共同軍事演習が始まる前にロシアがSu-35戦闘機やS-400地対空ミサイルシステムなどの最新兵器をベラルーシに展開しました。これらの演習は、「アライド・リゾルブ2022」と名付けられ、外部からの侵攻を撃退するシミュレーションが行われる予定でした。ロシア政府は演習が終了した後に兵力を撤収すると約束していました。
この共同軍事演習は、ロシアがウクライナとの国境付近に約10万人の兵力を集結させたとの懸念がある中で行われました。これらの演習は、ウクライナに対して一体となった軍事的圧力をかける試みと見られていました。演習はベラルーシで行われ、ドマノフスキー、ゴズスキー、オブズ=レスノフスキー、ブレストスキー、オシポヴィチスキーの訓練場や、バラノヴィチ、ルニネツ、リダなどの飛行場で実施されました。
2022年2月10日、共同軍事演習「アライド・リゾルブ2022」が開始され、2月20日に終了しました。演習では、ロシアとベラルーシの部隊が外部からの攻撃に対する防衛や非合法な武装勢力の破壊、および破壊工作と偵察部隊への対処を訓練しました。
演習期間の延長は、ロシアとベラルーシの国境付近での軍事活動の増加と、ウクライナ東部のドネツク・ルハンシク地域の緊張のエスカレーションによって決定されたものでした。
ロシア海軍と宇宙航空軍が大規模な軍事演習を開始
2022年1月20日、ロシア国防省はロシア海軍と宇宙航空軍が1月から2月にかけてロシア領海周辺で大規模な軍事演習を行うと発表しました。この行動は、ロシアがウクライナ国境近くの軍事プレゼンスを強化し、ウクライナとNATOに対して圧力をかけるための一環とみられています。これらの演習はロシアの領海だけでなく、地中海、北海、オホーツク海でも予定されていました。
演習には、140隻以上の艦船、60機以上の航空機、約10,000人の軍人が参加する予定でした。演習の主な目的は、国益の保護と海からの軍事的脅威に対抗するために必要な海軍と航空能力を向上させることでした。
具体的な開始日は明らかにされていませんでしたが、地中海に向かう6隻の大型揚陸艦が既に動き始めているとの報告がありました。これらの動きは、ロシアがウクライナへの軍事的圧力を増やすための戦略的な取り組みと一致しているとみられています。
東・南・北、3方向からウクライナ攻撃が可能になった
これらのロシア軍の展開により、アメリカ、欧州、およびロシアとの間の緊張が一層高まりました。
ウクライナ政府は、ロシア軍がベラルーシを含む複数の経路からウクライナに対する攻撃をかける可能性があると考えていおり、ベラルーシへの軍隊の展開により、ロシアは北からベラルーシを通じて、東からロシア国境から、そして南からクリミアを通じて、3方向からウクライナを攻撃できるようになっていました。
このエスカレートする脅威に対応して、ウクライナ国防省は予備の大隊を急速に編成し、その軍事力を強化しています。一方で、イギリス、カナダ、ドイツなどの国々がウクライナを支援し、軍事訓練や兵器供与などを行っています。
NATOは、ポーランドに核兵器が配備されれば、ロシアの核兵器に対抗するためにそれを受け入れるとの立場を示しており、地域の緊張を一層高めています。
一方、ベラルーシのアレクサンダー・ルカシェンコ大統領は、西側からの制裁を受ける中でロシアとの関係を強化しており、もしNATOがポーランドに核兵器を配備するようなら、ロシアの核兵器を自国に受け入れるとの立場を示しました。
これは、その国の地政学的な位置と組み合わせることで、緊張を高める要因となっています。
ベラルーシ国鉄ネットワークへのサイバー攻撃
2022年1月に、ベラルーシのハッカーグループ「サイバーパルチザンズ」によるベラルーシ国鉄ネットワークへのランサムウェア攻撃が報じられました。この攻撃は、「ペクロ作戦」の一環として実行され、鉄道の運行を遅らせることでウクライナ人がロシアの攻撃に対抗するための追加の時間を稼ぐ目的があったとされています。
ハッカーグループは鉄道ネットワークのサーバー、データベース、ワークステーションの大部分を暗号化し、システムの侵害とデータの暗号化により鉄道システムのルーティングやスイッチングデバイスが動作不能となりました。これにより、乗客サービスだけでなく、貨物列車の運行にも深刻な影響が出ました。鉄道ネットワークは、ロシアのロケット発射装置を含む軍事装備をミンスクなどの都市へ輸送する任務を担当していたため、この攻撃は地域の緊張を一層高めました。
その後、「サイバーパルチザンズ」はツイッターで、ベラルーシの鉄道システムを復旧させるためのディクリプションキーを持っていると主張しました。しかし、そのキーを提供する条件として、50人の政治犯の釈放やロシア軍のベラルーシ領内での活動停止を求めました。これらの要求が叶えられない場合、鉄道ネットワークはそのまま暗号化状態に留まると警告しました。
この一連の事件は、軍事的な緊張と並行して進行するサイバー戦争の激化を示しており、ウクライナ情勢の複雑さと不確実性を一層強調しています。
ルカシェンコ大統領が年次演説でアメリカとNATOをけん制
ベラルーシのアレクサンダー・ルカシェンコ大統領は、2022年1月28日の年次演説において、ウクライナに対する地域的な緊張について言及していました。
ルカシェンコ大統領は、西側諸国からの軍事的な脅威が増していると主張し、これをもって国防能力の強化が必要との考えを示しました。
さらに、彼は西側諸国がウクライナを含む旧ソ連諸国での不安定化を煽っていると批判しました。
具体的には、米国をはじめとする国々がウクライナにミサイルなどの武器を提供しており、これを口実にロシア軍のさらなる展開やウクライナへの潜在的な侵攻が懸念されていると述べました。
また、ルカシェンコ大統領は、2月20日に予定されているロシアとの共同軍事演習について「ベラルーシが直接攻撃されるか、あるいは同盟国であるロシアが攻撃された場合にのみ戦争が起こると」言及しました。また、その場合には合意に基づいて行動すると強調しました。
さらに、ルカシェンコ大統領は共同軍事演習がプーチン大統領の要請に基づいたものであり、その目的はウクライナに隣接するベラルーシの南部国境を防衛することであると説明しました。彼はこの演習が軍事侵攻の前兆ではないと強調しました。
最後に、ベラルーシとロシアとの関係の深さを強調し、「最初のパートナー」と呼んでロシアとの絆を示しました。戦争についてはあくまでベラルーシから仕掛ける意図はなく、戦争はベラルーシまたはロシアが攻撃された場合にのみ起こると述べました。
ベラルーシとロシアの共同軍事演習の延長
ベラルーシの国防省は、元々2023年2月20日に終了する予定だったロシアとの共同軍事演習の延長を発表しました。現在、ベラルーシに駐留しているロシア軍は約3万人の兵力と見られています。
この演習延長は、ウクライナに対するロシアの潜在的な侵攻に投入される可能性のあるロシア軍の早期撤退を期待していた西側諸国を落胆させるものでしょう。また、この軍事演習の延長は、米国や欧州からさらなる非難を招くことになると予想されます。
ベラルーシのスポークスマン、フレニンによれば、ベラルーシとロシアの大統領は、各国の軍の準備状況を引き続き評価することで合意しています。
フレニンは、NATOが国境近くでの軍事活動を増加させており、またウクライナ東部の緊張が高まっていることをこの決定の理由として挙げました。
さらに、フレニンは周辺国での高度な武器の迅速な展開に対応するため、ウクライナと東欧諸国の防衛を強化しようとするNATOの取り組みに対するベラルーシとロシアの立場を明らかにしました。
このような状況の中で、地域の緊張は引き続き高まったままであり、共同軍事演習の延長は地域内の緊張を一層強調しています。この軍事演習延長は、ウクライナを取り巻く状況をさらに複雑にさせました。
President Biden’s Warning: Russia’s Invasion of Ukraine
ウクライナ侵攻計画は欧米の嘘!?ロシアの主張と対立するバイデン
この頃、ロシアは英国が主張する「ロシアのウクライナ侵攻計画」をフェイクとして退け、「ばかげたこと」を拡散するのをやめるように要求していました。
英国政府は、情報評価に基づいて主張を行いましたが、それに裏付ける証拠は提供していませんでした。ロシア外務省は、英国の主張であるロシアがウクライナの政府を親ロシア派の指導者に交代させようとしているという主張を否定しました。
ロシア政府は英国を自国の領土への攻撃を誘発していると非難し、ウクライナがロシアのターゲットに攻撃した場合は報復する用意があると述べています。
しかし、アメリカの大統領であるジョー・バイデンはウクライナについて、ロシアがウクライナへの国境を越える行動は「侵略」とみなされると確信をもって警告をしていました。
バイデン大統領のウクライナ侵略への警告とホワイトハウスの声明
2022年1月19日の記者会見で、アメリカのジョー・バイデン大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナでの潜在的な行動は「侵略」と見なされるだろうと明言しました。さらに、バイデン大統領は、プーチン大統領が何らかの形で西側諸国を挑発するような行動に出れば、「深刻で重大な結果」が伴うだろうと警告しました。このコメントは、ロシアのウクライナに対する行動に対するアメリカの見解を明確に示すものでした。
その後、記者からの質問を受けて、アメリカがロシアによるウクライナへの「小規模な侵略」を容認する意図があるかという質問に対し、ホワイトハウスは同日中に公式声明を発表しました。
ホワイトハウス報道官ジェン・サキは声明の中で、「ロシア軍がウクライナ国境を越えるなら、それは侵略とみなされるだろう。その場合、アメリカとその同盟国は団結し、迅速かつ断固たる対応を行うだろうと」述べました。
この声明は、アメリカのウクライナに関する立場と、ロシアによる潜在的なさらなる行動に対する結果を明確に示すものでした。
これは、アメリカがウクライナの領土完全性と主権を維持することに強くコミットしているというメッセージを、ロシアに対して強く伝えるものであり、ロシアの任意の行動には対応があることを警告するものでした。
「危険で不安な全面戦争の時代に引き戻される」米国務長官が警鐘を鳴らす
2022年1月20日、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官はドイツの首都ベルリンを訪問し、ウクライナ情勢に対する深刻な懸念を明らかにしました。ブリンケン国務長官はロシアの行動が放置されれば、全面戦争の危険性が全世界の人々の上に立ち込め、世界がより危険で不安定な時代に逆戻りする可能性があると警告しました。
さらに、ロシアによる軍事侵攻の可能性を特に強調し、プーチン大統領が過去に明らかにした立場に基づき、ウクライナを主権国家とは認めていないと指摘しました。これらの発言は、アメリカがこの危機を綿密に監視し、ロシアがさらなる行動をとった場合には対応する準備があることを示しています。
翌日の1月21日には、アメリカとロシアはスイスのジュネーブで行われた交渉に参加し、危機の解決を目指しました。これらの交渉は、外交的な手段による危機の解決を試みる最後のチャンスと見なされていました。ガーディアン紙は、この交渉が今後の道筋を決定づけ、エスカレーションの一層の防止に重要な役割を果たすであろうと報じました。
一方、アメリカがウクライナへのロシアによる潜在的な侵略にどのような立場を取るのかは、ホワイトハウス報道官ジェン・サキの声明で明確に示されました。サキ報道官は、ロシア軍がウクライナ国境を越える行為は再びの侵略とみなされ、その場合、アメリカとその同盟国は団結して迅速かつ断固たる対応を取るだろうと述べました。
ウクライナ大統領ゼレンスキー、ロシアによる侵攻への警戒を強調
2022年1月21日、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領はThe Washington Postとのインタビューで、ロシアによるウクライナ侵攻の潜在的な可能性について深刻な懸念を表明しました。ゼレンスキーは特に、ウクライナの都市ハルキウをロシアの潜在的な標的として挙げ、ロシアがハルキウを占領すれば、それは「大規模な戦争」の引き金となる可能性があると主張しました。
また、ハルキウは現在ウクライナ政府の統制下にあるものの、ロシアがロシア語を話す住民の保護を名目にこの都市を占領しようとする可能性があると述べ、そのようなシナリオが2014年のロシアによるクリミアの併合と酷似していることを指摘しました。
そして、これは現実的な懸念であり、「占領だけでなく、大規模な戦争の始まり」につながる可能性があると述べました。
英国外務省、ロシアがウクライナ政府の転覆を画策と非難
2022年1月22日、英国外務省は声明を発表し、ロシアがウクライナ政府の指導部を揺さぶり、親ロシア派のイーヴェン・ムラエフ元議員をウクライナ政府のトップに据えようと試みていると主張しました。
ムラエフは、ビクトール・ヤヌコビッチ元政権下でウクライナの最高会議議員を務めた人物であり、彼が新たな指導者として据えられるという可能性を英政府が指摘するのは異例の事態です。
リズ・トラス英外相は、ロシアがウクライナ政府を転覆させるための活動が明るみに出てきたと指摘し、ロシアの軍事侵攻は重大な戦略的な誤りであり、深刻な犠牲をもたらすだろうと警告しました。
また、元政治家の一部が「ウクライナ攻撃計画に関与している」と発表しましたが、具体的な証拠の詳細については明らかにされていません。
これらの主張に対してロシアは、「虚偽の情報」であるとしてこれを一蹴し、英国政府に対して「ばかげた主張を広めるのをやめるよう」求めました。
ロシアのプーチン大統領、ウクライナ東部の親ロシア派からの支援要請を公表
2022年1月23日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の報道官、ドミトリー・ペスコフは、ウクライナ東部の親ロシア派武装勢力が、ウクライナ軍の攻撃に対抗するため、プーチン大統領に支援を要請していることを明らかにしました。この公表は、最近急速に悪化しているウクライナとの緊張状態の中で行われました。
一方、アメリカのジョー・バイデン政権は、ウクライナ国境近くに展開されたロシアの軍隊の約80%が攻撃準備が整った位置に既に移動し、最大戦闘態勢に入っているとの評価を公表しました。
ノルマンディー・フォーマットによるウクライナ危機会議がパリで開催
2023年1月26日、フランス・パリで、ドイツ、フランス、ロシア、ウクライナからの高官が参加する「ノルマンディー・フォーマット」の四国首脳会議が行われました。この会議では、ミンスク協定に基づいた停戦の重要性が強調され、2週間以内にドイツ・ベルリンでさらなる交渉を行うことが決定されました。ノルマンディー・フォーマットは2014年以来、ウクライナ東部での平和仲介を試みています。
ロシアの交渉団代表であるドミトリー・コザクは、停戦は「無条件」に順守されなければならないと強調しました。しかし、ウクライナ東部で多くの他の問題が未解決であることを指摘しました。コザクは、ウクライナとドネツク、ルハンシク地域との間でミンスク協定に対する解釈が異なると述べつつも、ドンバス地域での停戦は何の条件もなく順守されなければならないと強調しました。
ウクライナの交渉団代表であるアンドリイ・エルマクは、全ての関係国が永続的な停戦を支持していることを確認しました。そして、ウクライナはさらなる敵対行為の防止と国境周辺の緊張の緩和のために、24時間交渉を行う用意があると表明しました。
バイデン大統領、ウクライナに対しロシアの軍事侵攻の可能性を警告
2023年1月27日、米国のバイデン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談中に、バイデン大統領はロシアが2月にウクライナに対して軍事侵攻を行う可能性が高いと警告したと、米国政府の関係者が述べました。
ホワイトハウスの声明によれば、バイデン大統領はウクライナの経済を支援するための追加の宏観経済的支援策を検討しており、これはロシア軍が国境付近で強化されることによるウクライナの経済への圧力に対処しようとするものです。過去1年間で、米国はウクライナに対して5億ドル以上の開発援助と人道支援を提供しているとされています。
ゼレンスキー大統領は「長時間にわたる」電話会談についてツイートし、最近の外交的な緊張緩和の努力や将来の共同行動について議論したと述べました。彼はバイデン大統領への継続的な軍事支援に感謝し、またウクライナへの財政支援の可能性についても話し合われたと述べました。
バイデン大統領は、特に地面が凍結する2月にロシアの侵攻が切迫した可能性があると警告しましたが、ゼレンスキー大統領はロシアの脅威は「危険であるが曖昧である」と表現しました。
しかし、この電話会談については意見が分かれています。米国の国家安全保障会議(NSC)の報道官エミリー・ホーンは、バイデン大統領が公に2月にロシアがウクライナに対して侵攻する可能性が高いと発言し、米国は数か月前からこれに警戒を鳴らしていると強調しました。一方、ゼレンスキー大統領の報道官は、電話会談では最近の外交的な緊張緩和の努力と将来の共同行動についての詳細な議論が強調されたと述べ、米国の関係者による会談の評価を否定しました。
なお、ゼレンスキー大統領は、米英両国がウクライナから大使館職員の家族を撤収させる決定に対して、そのような措置は支援にならないと批判しました。
「パニックを煽っている」当初ゼレンスキーは欧米の警告にたいして否定的だった?
2022年1月28日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの緊張が高まる中で、エスカレーションの可能性を否定できないと認識しつつ、西側諸国の「パニック」反応を批判しました。彼はこのパニック反応がウクライナの経済に重い負担をかけていると述べました。
これに先立ち、ゼレンスキー大統領は状況を議論するために国家安全保障・国防会議を招集しました。キエフで行われた記者会見で、彼は尊敬される他国の指導者が近い将来の戦争を警告していることが、国内でのパニック感を高めていると指摘しました。しかし彼は、メディアがウクライナを戦争中の国として描写しているかもしれないが、実際には戦車が街を走っているわけではないとし、そのようなパニックは不必要だと強調しました。
「現在の状況は以前よりも緊張しているが、深刻さは報道されているほどではない」とゼレンスキー大統領は述べました。彼はエスカレーションの可能性を否定することはできないものの、国内に不必要なパニックが広がることを望んでいないと表明しました。
一方、アメリカやイギリスなどの一部の大使館職員の避難について、ゼレンスキー大統領は失望を表明しました。彼は外交官を船の船長に例え、「ウクライナがタイタニック号ではないが、外交官は国の安全に忠実であるべきだ」と示唆しました。
ゼレンスキー大統領、ウクライナ経済の不安定さに懸念を表明
ウクライナは、アメリカやイギリスなどがウクライナから大使館職員やその家族の避難を決定している中、逆に状況の鎮静化に向けて尽力してました。これは、ロシアのプーチン大統領の次の一手について100%の確証がなかったためで、この時点での欧米とウクライナで意見や認識は明確に食い違っていました。
ゼレンスキー大統領の発言は危機感にもとづいていましたが、ウクライナの安定にとって最大のリスクは「国内の不安定さ」にあると認識していました。
ウクライナでは市民や外国投資家の間で、これまでの様々な危機に対する懸念が広がり、ウクライナ通貨のフリヴニャがアメリカドルに対して急激な下落を何度も経験していました。
そのため、ゼレンスキー大統領は「何十億ドルもウクライナ経済から流出している」と述べ、通貨の具体的な言及は避けましたが、潜在的な経済的影響についての懸念を表明しました。
さらに、ゼレンスキー大統領は、アメリカやヨーロッパの指導者の危機を煽るような発言やメディア報道により、国内外での不安が広がっていると指摘しました。
そしてウクライナが直面している困難について、「経済的な安定を確保するためには40〜50億ドル(約460〜570億円)を必要とする」と述べ、財政支援の重要性を強調しました。
「ロシアのウクライナ全土侵攻準備の疑念」ウクライナと米国の見解の食い違い
2022年1月28日、アメリカのロイド・オースティン国防長官とマーク・ミリー統合参謀本部議長がペンタゴンで特別なブリーフィングを行いました。彼らはロシアが10万人以上の軍隊を集結させ、単に一部のウクライナ侵攻を準備しているだけではなく、ウクライナ全土を攻撃する段階に入ったとして、悲観的な見通しを示しました。
複数のアメリカの公式は、ロシアがウクライナ国境近くで軍隊を増強し、輸血用の血液などの医療物資を移動させていると明らかにしました。そのため、アメリカはロシアがウクライナへの侵攻を準備していると見て監視を強化しています。
これに対して、ウクライナの国防公式は1月29日にその情報を否定し、それは事実でないと主張しました。彼らはこのような「報道」は情報戦であり、社会にパニックと恐怖を広めようとする試みであると述べています。
ホワイトハウスの公式は、ウクライナがロシアからの脅威を否定し続けるなら、もし侵攻が現実になれば効果的に対応できないかもしれないと強調しました。彼らはウクライナのゼレンスキー大統領が困難な立場にあることを理解していますが、彼が脅威を率直に認め、防衛のために数十億ドルの兵器供給を求めるべきだと考えています。
輸血用の血液の準備はロシアの軍事行動の準備の指標となる可能性があると、専門家のベン・ホッジスが指摘しています。ホッジスは、退役軍人であり、現在は欧州政策分析センターのメンバーであり、これは攻撃が保証されるものではないが、ロシアは輸血用の血液の準備なしで攻撃を開始しないだろうと述べています。
ただし、ロシアの国防省はこの問題についてコメントしておらず、アメリカ国防総省もコメントを控えています。
「ウクライナ侵攻計画は完全なフィクションだ」プーチンの側近が主張
2022年1月30日、ロシアの安全保障会議書記官ニコライ・パトルシェフは、ロシアがウクライナに対する侵攻計画を立てているという主張を否定し、「純粋な虚構」と表現しました。
パトルシェフは、西側諸国によるロシアが間近に迫っている侵攻という主張を批判し、そのようなシナリオは進行中ではないと述べました。
また、ロシアが戦争を望んでいないことを強調し、これらの主張は意図的になされていると指摘しました。さらに、パトルシェフはウクライナ自体が侵攻の脅威を否定しているにもかかわらず、アメリカ政府は潜在的な犠牲を無視して武器を提供していることを指摘しました。
ウクライナ市民たちが自身の安全を守るために軍事訓練に参加
ウクライナで危機感が高まる中、市民たちは自身と家族を守るために、積極的にサバイバルや軍事訓練などのコースに参加しています。これはロシアの軍事的な動き、特にウクライナ国境に10万人以上の兵力を展開するなどの行動に対する反応としてのものです。
ウクライナ政府もまた、市民を含めた抵抗力の形成を進めています。これにより、「Territorial Defense Forces(TDF)」と呼ばれる市民から成る部隊が形成されています。これらはウクライナ軍の予備役部隊であり、場合によっては侵攻に対する直接的な防衛行動を行う可能性もあります。
ウクライナの法律は、一定の条件下で市民が自動小銃などの武器を所有することを許可しています。そのため、一部の市民は軍事訓練に本物の銃を持って参加しています。ただし、全ての参加者が銃を所有しているわけではなく、一部の参加者には木製のレプリカが提供されています。
ウクライナの首都キエフを中心に、市民向けの軍事訓練コースの需要が増加しています。参加者は火の起こし方や寒冷環境での生存、都市戦闘のシミュレーションなどを学びます。これらの技術は、日常生活での危機管理にも役立ちます。
こうした軍事訓練への参加者は、ロシアがウクライナとの国境に大規模な軍を配備して以降、急増していると言われています。2022年1月に行われたキエフ郊外の講習会では、市民が自然素材を用いて避難所を作る方法や寒冷環境での生存技術を学びました。また、キエフ市内の工場跡では約300人が初歩的な軍事訓練を受け、廃墟を利用した潜伏や待ち伏せの方法を学びました。
ウクライナ軍は、数でロシア軍に圧倒される中で、一般市民を動員した「地域防衛軍」を組織していました。これは市民が直接、武器を手に取り、侵攻するロシア軍と対峙するための組織です。
国連安全保障理事会、ウクライナ問題で公開会合
2022年1月31日、国連安全保障理事会はロシアがウクライナとの国境付近に10万人を超える軍を展開している問題について公開会合を開催しました。この会合は米国の要請により招集され、国際社会からは緊張の緩和と平和的な解決を求める声が上がりました。
会合では、米国の国連大使トーマス・グリーンフィールドがロシアの挑発的な行動を非難し、対話を通じた外交的解決を求めました。
一方で、ロシアの国連大使ネベンジャはこれに対し、10万人の軍隊の数字という情報自体に疑問符をつけ、緊張の増大を否定しました。
同時に、英国の国連大使バーバラ・ウッドワードはロシアのウクライナ周辺での軍の集結は通常の展開を超え、数十年ぶりの欧州最大の軍集結であると指摘しました。バーバラ・ウッドワードはロシアが外交的解決を模索するなら、英国は建設的な対話に参加する意欲があると述べ、一方でウクライナへの侵攻や攻撃は国際法とロシアの国連憲章に対する重大な違反となると強調しました。
中国の国連大使張軍は、ロシアと同調し、「静かな外交」を望む立場を再確認し、ロシアが軍事行動を計画していないと主張し、米欧の反応を「ヒステリックだ」と批判しました。
一方、ウクライナの国連大使セルギー・キスリツィアはロシアの言動を信用できないと強調し、ロシアの軍事的な圧力について批判を強めました。
最終的にこの会合には、中国とロシアが反対し、3カ国が棄権する中、10カ国が賛成しました。国連事務次長のディカルロは、挑発的な言説と非難によって軍事的な衝突が迫っているという疑念と不安が広がっていると述べ、戦争を回避することがウクライナから遠く離れた国にとっても全員の利益になると強調しました。
プーチン大統領、西側諸国を非難「ロシアへの侵攻計画を否定」
2022年2月1日、ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、西側諸国が意図的にロシアを戦争に引き込むシナリオを創り出し、ウクライナに対するロシアの安全上の懸念を無視していると非難しました。プーチンのこの発言は、ロシアが積極的かつ敵対的なアメリカ合衆国から自衛する必要があるとの信念を反映しています。プーチンは、アメリカは主にウクライナの安全に関心を抱いているのではなく、ロシアを封じ込めることが真の狙いだと主張しています。
この発言の背景には、ロシアがウクライナとの国境付近に10万人以上の兵士を集結させている現状があります。一方で、西側諸国はプーチンがウクライナへの侵攻を計画していると懸念していますが、ロシアはこれを否定しています。
アメリカ政府、ロシアのウクライナ侵攻予測とNATOの第5条の役割を語る
2022年2月13日、アメリカ政府の関係者は、ロシアがウクライナに対して2月16日に侵攻を計画しているという具体的な報告を確認できないと述べつつも、ロシアの動向を警戒し、予期せぬ攻撃を防ぐ意向を示しました。国家安全保障担当アドバイザーのジェイク・サリバンはCNNの番組「State of the Union」に出演し、具体的な日付を予測することは不可能だが、ロシアがウクライナに対する侵攻を非常に近い将来、おそらく冬季オリンピック終了前に行う可能性があると述べました。
さらに、サリバンはCBSの「Face the Nation」のインタビューで、北大西洋条約機構(NATO)は第5条により全領土の保護を約束しており、ロシアがこのメッセージを理解していることを強調しました。
NATOの第5条は、1949年の創設以来、30か国の同盟の中核をなし、一つまたは複数の加盟国に対する武力攻撃は全ての加盟国に対する攻撃とみなされ、全ての加盟国が北大西洋地域の安全を回復し維持するために行動を取ることが規定されています。
第5条は、これまでに1度、9.11テロ事件の後に発動されたことがあります。ただし、その他にもシリア・トルコ国境にPatriotミサイルを2012年に配備したり、2014年にロシアによるクリミア併合後にエストニア・ラトビア・リトアニア・ポーランドに軍隊を強化配置したりするなど、いくつかの場面で集団防衛措置をとっています。
ゼレンスキー大統領、ウクライナの国民結束を呼びかけ
2023年2月14日、一部の西側メディアがロシアが16日にウクライナへの侵攻を開始する可能性を示唆する報道が出る中、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、国民に対し国旗を掲げ、国歌を歌うよう呼びかけ、結束を示すよう求めました。政府関係者は侵攻の正確な日付を予測していないと説明し、報道に対して懐疑的な姿勢を示していますが、緊張はさらに高まっています。
ゼレンスキー大統領は国民へのビデオメッセージで、「16日が攻撃の日との話を聞いていますが、私たちはこの日を結束の日にします。」と強調しました。彼は特定の日付を示すことで、恐怖を植え付ける意図があると述べながらも、国民に国旗を掲げ、黄色と青のリボンを身につけ、その日に世界に結束を示すよう呼びかけました。
ゼレンスキー大統領の首席補佐官であるアンドリー・ポドリャークはロイターに対して、大統領の対応には侵攻の開始日に関する報道に対する皮肉の要素があると説明しており、「”侵攻の開始”がコンサートのツアー日程のように報じられているので、皮肉を使わざるを得ない」と述べています。
ロシア軍のウクライナ国境撤収、西側は懐疑的
2022年2月15日、ロシア軍がウクライナとの国境から部分的に撤収を始めたとの報道が広まりました。しかし、米欧メディアやオープンソースインテリジェンス(OSINT)機関はこれを確認せず、ロシア軍が依然としてウクライナ国境近くに集結していると報告しました。
ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ国境近くから「一部」撤収が始まったことを確認しましたが、西側の関係者たちはロシアが近い将来の攻撃を排除したとは考えていないと述べました。撤収の規模は不明ですが、少なくともウクライナ国境近くには依然としてロシア軍が存在しているとされています。
翌日の2022年2月16日、アメリカはロシアのウクライナ国境からの軍隊の撤収を信じておらず、モスクワが最大で7,000人の兵力を増強していると見ていると発表しました。アメリカ政府の高官は、ロシアが公に外交に従事し「緊張緩和」を主張している一方で「秘密裏に戦争の準備を進めている」と指摘しました。
同日、アメリカ政府の高官たちは記者会見を開き、ロシアの軍隊の撤収に関する説明は「誤り」であると断言しました。ロシアが公に対話と緊張緩和を呼びかける一方で、実際には戦争への動員を続けていると述べました。
また、ドイツのシャンセリー(首相官邸)は、ドイツ首相オラフ・ショルツとアメリカ大統領ジョー・バイデンが電話会談で合意した内容を明らかにしました。その内容は、ロシアが実際に軍隊の撤収動きを示さなければ状況の緊張緩和は困難だというものでした。ウクライナのゼレンスキー大統領もBBCとのインタビューで、「軍隊の撤収はまだ確認していない。私たちはただ聞いたばかりだ」と述べています。
NATO事務総長のイェンス・ストルテンベルグも同日、ロシアの一部の軍隊の撤収に関する報告に対して疑念を表明し、「地上での撤収の兆候は見られない」と述べました。
バイデン大統領、ウクライナの緊迫した状況について言及
2022年2月18日、アメリカのジョー・バイデン大統領はホワイトハウスで行われた演説で、ウクライナの緊迫した状況について言及しました。彼は記者からロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナへの侵攻を決定したと信じているかどうかを問われ、「この時点では、彼がそうしたと確信している」と述べました。
しかし、バイデン大統領はロシアに対して、依然として外交的な解決策が存在することを強調。ロシアが緊張緩和のために交渉のテーブルに戻ることが可能であると述べました。彼の発言の中で特に注目すべきは、ロシア軍が数日以内にウクライナに攻撃を開始する可能性があるとの証拠が存在するとの主張であり、特にウクライナの首都キエフが攻撃の主な対象になる可能性が高いと指摘しました。
バイデン大統領はロシアがウクライナ国境付近で軍事的な増強を続け、また、侵攻を正当化するための欺瞞的な行動が増加していることを明らかにしました。これらの動きは、アメリカとその同盟国が数週間にわたり警告してきたシナリオと一致していると述べました。
ロシアがウクライナへ侵攻すれば、アメリカと欧州は即時かつ広範に金融制裁と経済制裁を実施する準備ができているとバイデン大統領は述べました。彼は、「ロシアにその行動の代償を払わせる。西側は団結し、厳しい制裁を実施する用意がある」と警告しました。
バイデン大統領の発言に対して、ロシアの駐米大使アナトリー・アントノフはFacebookで声明を発表しました。彼はロシアがアメリカに送った回答で明確に「軍事的な侵攻」の計画はないと再度強調しました。彼はアメリカがロシアの安全保障提案の価値を軽視しようとしていると非難し、透明性のない嘘を一般市民に向けて流布しようとしているとアメリカを非難しました。
さらに、ウクライナ東部の一部を支配する親ロシアの武装勢力が住民をロシアに避難させているとの報告もありました。しかし、アントノフはこれをロシアによる即時の軍事侵攻を正当化するための宣伝と一蹴し、アメリカがロシアに対して新たな誤情報キャンペーンを開始したと非難しました。
ウクライナ東部の紛争が激化、新たな安全保障への呼びかけ
2023年2月18日、ウクライナ政府とウクライナ東部の親ロシア武装勢力との間で継続的な紛争が続いています。両者は相互に砲撃による停戦違反を非難し、この状況はロシアがさらなる侵攻の口実として利用することを懸念させています。
ウクライナ軍は、ドネツクとルハンシク地域で24時間以内に60回の砲撃を受けたと報告しており、そのうち43回は禁止された兵器を使用し、市民インフラに大きな損傷をもたらし、少なくとも5人の市民が負傷したとされています。同時に、「ドネツク人民共和国」と「ルハンシク人民共和国」では市民の避難が始まっており、ウクライナ軍による大規模な攻撃の予兆と見られています。OSCEの監視ミッションも停戦違反の増加を報告しており、緊張が高まっています。
「ドネツク人民共和国」の指導者、デニス・プシーリンは、予備部隊の徴兵を宣言し、有力な男性に対して武器を持ち、家族や女性、子供たちを守るよう呼びかけています。また、ドンバスとロシア市民全員を保護する意向を示しています。ロシアも対応に慎重であり、ベラルーシでの共同軍事演習からのロシア軍の撤収が延期されています。このような状況は非常に不安定であり、ロシアに対する即時の対応と制裁を求める声が上がっています。
ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、ミュンヘン安全保障会議で演説し、ロシアに対する西側諸国の妥協政策を批判し、ウクライナの安全保障の新しい保証を求めました。この緊張状況に対しては依然として予測不能な要素があり、さらなるエスカレーションのリスクが存在しています。
ゼレンスキー大統領、ウクライナの安全保障と国際協力を求める
2022年2月19日に開催された恒例のミュンヘン安全保障会議での演説において、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、ウクライナ国民は「パニックしていない、自分たちの生活をそのまま続けたいだけだ」と表明しました。しかし、彼は西側諸国がロシアに対して宥和政策を進めていると批判し、新たな安全保障の保証を求めました。
ゼレンスキー大統領は、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)への加盟を認めるかどうかについて明確な回答を求めました。彼は「その可能性がない間、我々は安全の保証を持ちたい」と述べました。
ウクライナ東部で続く紛争については、ウクライナ軍と親ロシア派武装集団が双方ともに停戦合意に違反する砲撃を行っていると批判しました。この状況がロシアによる侵攻の口実になる可能性があると懸念されています。この問題を解決するために、ブダペスト覚書の署名国による首脳会議が提案されていますが、ロシアの反対が予想されています。
さらに、ゼレンスキー大統領は米国、英国、フランス、ロシア、中国の5カ国(国連安保理常任理事国)に加え、ウクライナ、ドイツ、トルコを含めた8カ国の首脳会議の開催を提案しました。また、ロシアに対する迅速な制裁を求め、「100%戦争が始まると言うなら待つ必要はない」とも述べました。
情勢の緊迫する中、フランスのマクロン大統領とプーチンが電話会談
2022年2月20日、フランスのマクロン大統領とロシアのプーチン大統領は電話会談を行い、東ウクライナの緊張が続くことに対処しました。両国の指導者は、紛争当事者全てを巻き込む緊急の対話を通じて緊張緩和に向けて協力することで合意しました。また、ドイツ、フランス、ロシア、ウクライナを巻き込む包括的な平和対話の推進にも合意しました。
しかし、平和を求める合意にもかかわらず、双方の立場や状況の悪化の原因は大きく異なり、彼らの間には相違が依然として存在しています。
同日、ホワイトハウスは、バイデン大統領がロシアのウクライナ侵攻を避けることを条件に、ロシアのプーチン大統領との首脳会談を仮承認したと発表しました。この会談は、24日に予定されている米ロ外相会談でさらなる調整が行われる予定です。
また、フランス大統領の事務所も、バイデン大統領、プーチン大統領、そして自身の間の会談のアイデアを提案し、両指導者がこれを受け入れたことを発表しました。
米国政府は声明で、侵攻の瞬間まで外交努力を継続すると強調しました。また、ウクライナを包囲しているロシア軍が全面的な攻撃の準備を続けているようであり、侵攻が発生した場合には厳しい制裁を課す用意があると警告しました。
ロシアがウクライナ東部への軍事介入を決定、世界は緊張の綱引き
2022年2月22日、ロシアのプーチン大統領はロシア連邦議会議員会議での全会一致の承認を受け、ロシア軍をウクライナ東部の親ロシア地域への平和維持活動のために展開する要請を行いました。この措置は直ちに効力を持ちました。また、モスクワでの記者会見でプーチン大統領は、ロシアがウクライナ東部の親ロシア地域の独立を承認する以前に、ウクライナがミンスク協定を放棄したとしてウクライナを非難しました。
緊迫した状況に対応して、バイデン大統領は2月22日にホワイトハウスで演説を行い、「プーチン氏は軍事力を用いて領土を拡大する準備を整えている」と主張し、「これはロシアのウクライナ侵攻の始まりだ」と強く述べました。さらに、ブリンケン国務長官は2月22日に発表し、24日に予定されていたロシアのラブロフ外相とのジュネーブでの会談が中止されたと発表しました。米国は今やロシアがウクライナへの「侵攻」を開始したと認識しており、外相会談を進めることは「無意味」だと考えています。
『2022年2月24日 ロシアがウクライナ侵攻』アメリカが指摘したシナリオ通り
2023年2月24日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシア系住民を保護するという名目でウクライナでの特別な軍事作戦の実施を軍に命じました。これは事実上、ウクライナに対する戦争の開始でした。プーチンは「ドンバスで起きている悲劇的な状況と、ロシアの安全保障を確保する重要な問題に取り組む必要がある」と述べ、「作戦の目的は、ウクライナ政府による8年間にわたる嫌がらせと大量虐殺にさらされている人々を保護することだ」と発言し、この戦争行為を正当化しました。
米国は以前から、ウクライナの東部地域を支配している親ロシアの勢力が「偽旗作戦」を行う可能性があり、ウクライナからの攻撃の虚偽の主張を作り出し、それをロシアが侵攻の口実に利用すると警告し続けていました。
ロシアはこれらの偽旗作戦やウクライナ侵攻の主張について、欧米のフェイクであると主張してきましたが、蓋を開けてみれば米国の警告が的中した形となりました。
【ウクライナ危機(29)】ウクライナ侵攻を止められず…制裁と武器支援の緊迫の舞台裏