ウクライナ危機、欧州エネルギー危機、そしてロシアの「ノルド・ストリーム2」パイプライン。これらのキーワードが交錯する中で、2021年の欧州はエネルギー危機に直面しました。
この記事では、ウクライナとロシアの関係、特にエネルギー供給における政治的な影響力の行使について深く掘り下げています。また、ロシアのガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」が欧州エネルギー危機をどのように引き起こし、それが家庭の選択にどのような影響を与えたのかについても詳しく解説しています。さらに、ロシアのプーチン大統領の政策がエネルギー危機にどのように関与しているのか、そしてその影響がどのように欧州全体に広がっているのかについても見ていきます。
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European energy crisis
欧州エネルギー危機
2021年、ウクライナとロシアの関係は、ロシアが仕掛けたとウクライナが疑うエネルギー危機の深まりとともに、一段と混乱の度合いを増していました。その混乱の背後に存在するのが、”ノルド・ストリーム2″という天然ガスパイプラインです。
このパイプラインは、ロシアから欧州への重要な天然ガス供給ルートであり、特にドイツへのガス供給において中心的な役割を果たしています。一方で、ウクライナ政府は、「ロシアがこのパイプラインを政治的な影響力を行使する手段として使用している」との見方を示しています。
欧州が揺れる!エネルギー危機で家庭の選択に迫られる
2021年、欧州は天然ガス価格と電気料金の急騰に見舞われ、「エネルギー危機」に瀕していました。多くの家庭が天然ガスに依存して暖房を行っている欧州では、この年の冬、暖房と食料のどちらを選ぶかという選択を迫られるエネルギー貧困層が増加する可能性が高まってきていたのです。
特に、暖房を天然ガスに依存する世帯比率が85%に達する英国イングランド地域では、エネルギー貧困層が全世帯の約13%、300万世帯を超えているとされます。このような状況を受けて、欧州連合(EU)は2021年10月21日から22日にかけてEU首脳会議を開催し、エネルギー危機を乗り切るための方策を議論しました。
会議では、税免除や補助金提供といった対症療法がまとめられましたが、根本的な解決策は見つからず、年末までの持ち越しとなりました。これは、今回のエネルギー危機が複合的な原因で発生したことと、EU各国のエネルギー事情が異なるため、合意できる解決策が見つからなかったからと考えられます。
EUのエネルギー危機の原因はロシアへの過度な依存!安定供給の危うさが露呈!
エネルギー危機の一因として、EUの天然ガス依存率の高さが挙げられます。ここ10年でEUにおける天然ガスの生産は半減し、2019年の輸入依存率は約90%に達しました。その中でも、ロシアからの輸入が特に大きく、EUの天然ガス総輸入量のうち、2020年(6,320万トン)で43.9%、2021年上半期(7.480万トン)で46.8%をロシア産が占めています。
この高いロシア依存は、地理的な優位性に起因します。気体状態の天然ガスの輸送コストは液化天然ガスよりも低く、欧州と地続きのロシアからはパイプラインを使用して気体状態の天然ガスを輸送することが可能です。その結果、EU域内のエネルギー供給は大きくロシアに依存する形となっています。
しかし、この依存関係がエネルギーセキュリティの観点から問題となっています。天然ガス供給の不安定性は価格変動を引き起こし、それが今回のエネルギー危機の一因となりました。特に、ノルド・ストリーム2の稼働開始とウクライナとの関係の悪化が同時に起こったロシアでは、エネルギー政策の利用を懸念する声が高まっています。
天然ガス価格高騰は意図的?後ろに見え隠れするプーチンの陰謀
このエネルギー危機は、単なる供給不足と価格高騰の結果というよりも、より複雑な政治的な要素を含んでいます。その背後には、ロシアのプーチン大統領の狡猾な政策が見え隠れしているとも言われています。
その理由の一つは、ロシアの国営ガス企業であるガスプロムが天然ガス市場に大きな影響力を持っているからです。ガスプロムは、天然ガス供給を制限し、価格の高騰を引き起こしている可能性が指摘されています。
特に注目されるのは、ロシアとドイツを結ぶ新たなガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の存在です。このプロジェクトは、事業規模が110億ドル(約1兆2000億円)に上り、スイスを拠点としたノルドストリーム2AGとガスプロムの傘下の会社が事業主体となっています。
しかし、このノルド・ストリーム2がまだ稼働していないことが、エネルギー危機を深める一因となっていると見られていたのです。
「ロシア・ウクライナガス紛争」から生まれたガスルート戦略
ロシアのガス供給ルート戦略は、欧州への影響力を強めると同時に、自身のガスビジネスを保護するという意味合いも持っています。2019年までのロシアは、ウクライナやポーランドを経由するパイプラインを使って、ガスを西欧諸国に送っていました。しかし、ウクライナやポーランドがこのパイプラインをブロックすると、ロシアのガスビジネスに影響が出ます。
過去の2005年から2006年にかけて、ロシアとウクライナ間でガス料金を巡る問題が発生した際には、西欧へのガス輸送が一時停止した経験もあります。こうした背景から、ロシアは欧州市場への安定供給を確保するために、ウクライナやポーランドを迂回する新たなルートを模索しました。
この結果、2011年にはバルト海を経由してロシアからドイツへガスを送る「ノルド・ストリーム」が完成しました。これにより、原子力発電所14基分または石炭火力発電所50基分に相当する550億立方メートルのガスが毎年ドイツへ送られることとなりました。その後も、ロシアは「ノルド・ストリーム2」とトルコ向けの「トルコストリーム」の建設を進めてきました。
これらの新たなルートが開通することで、ロシアはウクライナやポーランドを迂回して直接ドイツにガスを送り込むことが可能になります。これにより、ウクライナやポーランドによるガス供給のブロックリスクから解放されるとともに、大消費国であるドイツへの影響力を一段と強化することが可能となります。
「ノルド・ストリーム2」建設でウクライナとポーランドは通行料収入を喪失の危機
ノルド・ストリーム2の建設は、ロシアのガス輸送ルートの多様化という観点からは成功を収めていますが、一方で経由国であるウクライナとポーランドの観点からは異なる影響が及びます。
ウクライナはこれまでガスの輸送国としての地位を保ち、ガス輸送タリフから年間約20億ドルの収入を得ていました。この収入はウクライナの国家財政に大きな影響を及ぼしており、その喪失は大打撃となります。ウクライナとロシアの半国営企業ガスプロムとの契約は2024年に終了予定であり、ロシアがノルド・ストリーム2を欧州のメインパイプラインにすると、ウクライナは数十億ドル規模の輸送費損失を被ることになります。
ポーランドも同様に、ノルド・ストリーム2の建設に反対しています。これは、同パイプラインの建設により、ウクライナを通る既存ルートの利用が減ることで、同国がロシアから得ている重要な経由料を失うことから来る懸念です。
これらの国々は、特に2014年のクリミア半島併合以降、ロシアとの対立関係にあるウクライナが、ロシアがパイプラインを「危険な地政学的武器」として利用する可能性を懸念しています。ゼレンスキー大統領は「ノルド・ストリーム2はウクライナが一方的に敗者になるエネルギー戦争だ」と明言しています。
ノルド・ストリーム2は欧州にとって「もろ刃の剣」とも言えます。一方で天然ガスの安定供給が可能になる一方で、ロシアへの依存度がさらに高まることで、EU加盟国間での対ロシア関係の分断を引き起こす恐れがあります。また、ロシアは供給停止という政治的手段を用いることで、これらの国々に対する圧力を加えることが可能になります。
ロシアによるガス供給圧力の現実とは?モルドバ事例から見えるエネルギーゲームの本質
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、欧州のエネルギー危機を利用して周辺国に対する影響力を強めようとしています。これが最近のモルドバ共和国へのロシアの圧力に見られます。
モルドバ共和国は、自国のガス供給の100%をロシアに依存しており、ロシア国有企業ガスプロムとのガス供給契約が2023年9月に期限切れとなりました。これを受けてロシア政府は、モルドバに対して直ちにガス供給量を3分の2に減らす措置を取りました。さらにその後、ガスプロムはガス供給を維持する条件として、大幅な値上げをモルドバに要求しました。これによりモルドバは経済的な苦境に立たされ、最終的に緊急事態宣言を出すに至りました。
この事例からも、ロシアがエネルギー供給を政治的な圧力手段として使用できることが明らかです。特にノルド・ストリーム2の完成により、西ヨーロッパへの直接ガス供給が可能となった場合、ロシアは供給停止を容易に行うことができるようになり、これが政治的な圧力となり得ます。これはウクライナやポーランド、そして他の欧州諸国から見れば、懸念すべき問題です。
Uの自由化政策がもたらすロシアの市場支配力
EUのエネルギー政策は、市場の競争を促進し、消費者の利益を守るために、エネルギー市場の自由化を進めています。この中でEUは、特定の企業(例:ロシアのガスプロム)と固定価格で長期の供給契約を結ぶ方式から、日々のスポット価格をベースにした契約への移行を促してきました。これは市場原理に基づくものであったが、安定供給と価格のバランスに対する綿密な分析が不足していた可能性がある。
ロシアの市場支配力の強化
この政策変更は、天然ガス価格を支配するロシア側の優位性を強める結果となりました。ロシアはヨーロッパ向け天然ガスの最大の供給国であり、生産能力には十分な余裕があるため、供給量を調節することで市場価格に影響を与えることができます。
供給安定性の問題
さらに、固定価格方式の排除は、供給の安定性にも影響を及ぼします。天然ガスの生産とパイプラインの敷設は、巨額の投資と長い開発期間を必要とします。固定価格での長期契約がなくなると、これほどの投資をする意欲が減少し、供給側の数が限られることになります。
危機の要因
ロシアの市場支配力が増す一方で、ロシア自体が欧州地域への供給拡大に消極的であることが、エネルギー危機の要因となっています。スポット価格ベースの契約が主流となった結果、ロシアはその市場支配力を利用して価格を操作しやすくなりました。これにより、EUはエネルギー安全保障に対する脆弱性を露呈し、天然ガスの供給と価格の不安定性が増すこととなりました。
ロシアの天然ガス供給契約に関する論争
ロシアとの天然ガス供給については、双方から様々な見解が出ています。米エネルギー長官などは、「ロシアの市場操作が天然ガス価格の急騰の原因」と主張しています。しかし、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はこれに対して、「ロシアは長期契約を全て履行している。スポット契約に切り替えたのは欧州の需要家だ。市場価格であれば、いつでも出荷する」と反論しています。
需要家の選択とその結果
ここで重要な点は、消費者側がスポット契約が有利と判断し、その方向に舵を切ったということです。その結果、市場価格の変動により、天然ガス価格が急騰した可能性があります。これは70年代の日本の製鉄会社と似た状況で、最終的には自身の選択が裏目に出たと言えるでしょう。
ロシアの立場
一方、プーチン大統領は、2021年10月13日に、「ロシアは欧州側との契約上の義務を完全に果たしている。原因はヨーロッパ側のシステムの不備にある」と述べ、ロシアが供給を意図的に抑えているという批判に対し反論しています。また、彼は、「ロシアは全ての契約と義務を履行している。それ以上については、自発的かつ互恵的な合意次第であるべきだろう」と付け加えました。これは、追加の供給については新たな合意が必要であるというロシアの立場を示しています。
ロシア上院国際問題委員会の見解
ロシア上院国際問題委員会のコンスタンチン・コサチョフ委員長は、エネルギー危機についてのロシアの立場をさらに明確にした。彼はインタビューで、「われわれの落ち度でもないのに、ただ救済に向かうことはできない」と述べ、ロシアの責任ではないと主張した。
コサチョフ委員長は、追加供給に関して具体的な条件を明言しなかったものの、「ロシアは全ての契約と義務を履行している。それ以上については、自発的かつ互恵的な合意次第であるべきだろう」とロシアの立場を示唆するコメントをしました。
これは、ロシアがすでに契約で定められた供給を果たしているとし、追加供給についてはヨーロッパ側との協議と相互の利益に基づいて行われるべきであるという立場を示している。
このコメントは、ロシアが天然ガス供給において更なる協力の可能性には門戸を開いているものの、一方で、その条件が両者にとって公平でなければならないというメッセージを伝えています。ヨーロッパとロシアの間のエネルギー協力に関する議論は、この危機を通じてさらなる複雑さを増してきました。
プーチン大統領の発言の裏に見え隠れするノルド・ストリーム2の影響力
プーチン大統領が天然ガス供給の問題に対する解決策として間接的に示しているのは、ドイツとロシアを結ぶ新たなパイプライン、ノルド・ストリーム2の早期承認です。ロシア側はこの解釈を否定しているが、反ロシアの機運が強まる中でノルド・ストリーム2の承認を控えるドイツやEUに対して、ロシアがいらだっているのは間違いありません。
天然ガス価格の異常な値動きとロシアの影響力
2021年10月6日(欧州時間)には、天然ガスの指標価格「オランダTTF」が年初から約8倍も値上がりし、異例の状況に陥りました。この価格動きは、価格を支配する力を持つロシアが意図的に操作しているのではないかという疑惑を引き起こしました。ただプーチン大統領は、これが供給と需要のバランスの問題であり、操作の疑いを否定しました。
しかし、同日、9月に完成したばかりのヨーロッパ向け新パイプライン「ノルドストリーム2」の早期稼働と供給量拡大についてプーチン大統領が言及したところ、天然ガス価格は急落しました。この事実から、ロシアが直接的かつ間接的に天然ガス価格を支配しているという疑惑を払拭することはできません。
ノルドストリーム2の建設完了後も承認が必要な理由
ノルドストリーム2パイプラインの建設は既に完了しており、ただ一つの課題が残っています。それは、運転開始に必要な承認の取得です。この重要なエネルギープロジェクトは、ドイツのエネルギー計画において重要な位置を占めており、またロシアにとっては新たな収入源となる可能性もあります。
米独間の協議の焦点
米国当局によれば、このパイプラインは、ロシアによるウクライナに対する軍事的圧力を和らげる手段としての役割を果たす可能性もあり、このことは米独間で行われている協議の重要な焦点となりました。
プーチンの発言
エネルギー危機に見舞われている欧州への天然ガスの追加供給について、ロシアは新しく完成したノルドストリーム2パイプライン経由の輸出開始を欧州規制当局が承認しない限り、供給増を行う意向がないことを示唆しています。
プーチン大統領はテレビ中継で「ドイツの規制当局が明日供給を許可すれば、その翌日から175億立方メートルのガスの供給を開始できる」と述べました。
ノルドストリーム2の承認手続き一時停止
2021年11月16日、ドイツの規制当局は、欧州へのロシアの天然ガス供給を可能にする新たなパイプライン、ノルドストリーム2の運用開始に向けた承認手続きを一時停止したと発表しました。
承認手続きの理由と影響
ドイツ連邦ネットワーク庁(BNetzA)は、四ヶ月に及ぶ承認手続きを再開する前に、ノルドストリーム2の運営を行うスイス拠点の企業連合が、ドイツの法律に基づいたドイツの子会社を設立する必要があると指摘しています。これは、十分な資金があり、親会社であるロシア政府系の天然ガス企業、ガスプロムから独立していることを証明するためです。
政府筋は、「ノルドストリーム2の稼働開始は2022年3月まで遅れる可能性がある」と述べています。この承認の遅れにより、天然ガスの価格が再び急上昇している。
ノルド・ストリーム2の未来は危うい!バイデン政権の警告に世界が注目
米国とドイツ間の協議内容を知る米議会関係者によれば、バイデン政権は、ロシアがウクライナに侵攻した場合、ノルドストリーム2パイプラインの運転開始を認めないという確約をドイツから求めていると言います。
バイデン大統領とショルツ首相の見解
2022年2月7日にワシントンで行われた米独首脳会談において、バイデン大統領は「ロシアがウクライナに侵攻した場合、それはノルドストリーム2(NS2)の終焉を意味する」と明言しました。一方で、ショルツ首相は、米独がロシアとウクライナの情勢、そして対ロシアの経済制裁について同じ立場を取っていると語りましたが、ノルドストリーム2については直接的な言及を避けました。
ノルドストリーム2とウクライナ危機
このように、ウクライナ危機とノルドストリーム2は密接に関連しています。このパイプラインは、ロシアからヨーロッパへのガス輸送を助けることにより、ロシアのウクライナに対する影響力を強化する可能性があります。バイデン大統領のコメントは、この事実を認識し、ロシアの行動に対する強力な対応を示すものであり、ウクライナに対する任意の侵攻を防ぐ意図があります。
Nord Stream 2
ロシアの地政学プロジェクト?「ノルド・ストリーム2」
2021年9月6日、ロシアの国営エネルギー大手ガスプロムは、ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」(NS2)の建設が完成し、今後年末までの稼働に向けて試運転などの作業が実施されると発表しました。NS2の完成には、米国の方針転換が大きな役割を果たしました。
「欧州はロシア依存からの脱却を!」トランプが計画見直しを迫る
2021年1月、当時の米国のトランプ政権は、ノルドストリーム2が完成すれば、ロシアのパイプラインガスに対する依存度が高まり、ドイツがロシアの「捕虜」になるだけでなく、ロシアが欧州に大きな影響力を行使することになると主張しました。
また、ノルドストリーム2の建設作業に関与している欧州企業に対し、追加の制裁のリスクがあると警告しました。この制裁は、ドイツがロシアに巨額の資金を支払いつつ、米国がドイツをロシアから防衛するのは不公平だという主張を裏付けるものでした。また、トランプ前大統領は、欧州への米国LNG輸出を増やす意向も示しました。
ドイツとロシアの反論
これに対し、ロシア大統領府とドイツ政府は、ノルドストリーム2は商業プロジェクトであり、環境対策や安全面への配慮で石炭火力発電所や原子力発電所の閉鎖が進む中、天然ガスが必要になっていると主張しました。
トランプの一手でノルド・ストリーム2の建設が一時中断!
2019年12月、トランプ前大統領は、ノルド・ストリームの建設工事を行っていた企業を対象に制裁措置を発表し、工事が中断することになりました。しかし、その後の政権交代とともに、ノルド・ストリーム2の建設は再開され、最終的には完成を見ました。
バイデン政権もトランプ政権と一致!ノルドストリーム2に反対の姿勢を示す
バイデン政権も、前任のトランプ政権と同様に、ノルドストリーム2に反対の立場を取っています。2021年3月18日、アントニー・ブリンケン国務長官は声明を発表し、「バイデン政権は法律を順守することにコミットしている」と述べました。また、このプロジェクトに関与している企業には米国による制裁のリスクがあるため、直ちに撤退するべきだと警告を発しました。
バイデン政権の意外な決断!ノルドストリーム2に対する制裁を回避
しかし、2021年5月19日、バイデン政権はロシアとドイツを結ぶノルドストリーム2の事業会社とそのCEOに対する制裁を見送ることを決定しました。この決定は、ロシアとの関係を安定させ、中国に対してより集中的に対処するという戦略的な狙いがあったとされています。これは、バイデン政権が中国を「唯一の競争相手」と位置づけ、ロシアとの関係改善を通じて中国に対する外交的立場を強化しようとしていることを示しています。
「双方の指導者が協力すれば世界はより安全になる」とブリンケン米国務長官は、アイスランドで開かれたロシアのラブロフ外相との会談で力説しました。ラブロフは会談が建設的だったと評価し、バイデン米大統領がプーチン大統領に提案した首脳会談開催の発表は見送られましたが、「今後の(2国間関係)是正の道筋については、米ロ両大統領が決める」と語りました。
さらに、5月25日にはバイデン米大統領自らが、ノルドストリーム2の事業会社に対する制裁を見送った理由について説明しました。彼は、同事業がほぼ完了しており、制裁を発動することで欧州との関係を損ねる可能性があったからだと述べました。
ゼレンスキー大統領警鐘!ノルド・ストリーム2制裁解除は米国の敗北
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとドイツ間の新しいガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」に関連する制裁解除の可能性が、将来の米露首脳会談の主要な脅威であると主張しました。
さらに、「ノルド・ストリーム2」がすでに95%完成しており、残り5%だけが未完成であることを強調し、その制裁解除は米国の敗北、特にバイデン大統領個人の敗北となると述べ、「それ(ノルド・ストリーム2の制裁解除)はロシア連邦による地政学的な深刻な勝利、そして新たな力と影響力の分割となるであろう」と強く主張した。
ゼレンスキーは、ウクライナのパートナー国と米議会にノルド・ストリーム2に関する統一見解がないことを指摘し、この問題が単なるエネルギー安全保障だけの問題ではないと強調しました。「それは深刻なゲームである。それはエネルギー安全保障だけの話ではない。率直に行って、私は、その状況を懸念している」と強く表明した。
アメリカの意思表示!アイスランド会談でノルドストリーム2に対する懸念を再確認
2021年5月19日、アメリカ合衆国国務長官アントニー・ブリンケンとロシア外相セルゲイ・ラブロフはアイスランドのレイキャビクで会談を行いました。この会談では、1時間半以上にわたって軍備管理や「戦略的安定性」に関連する幅広い問題が話し合われました。
ブリンケン長官は、ロシアとの予測可能で安定した関係を望みつつも、ロシアがアメリカや同盟国に対して敵対的な行動を取る場合はアメリカも「対応する」と警告しました。ラブロフ外相は、両国間の関係が国際情勢に大きな影響を与えることを認識し、前向きな結果が得られる問題については協力すべきだと強調しました。
しかし、会談が始まって約30分後、アメリカがロシアの4隻の船舶とガスパイプラインプロジェクト「ノルドストリーム2」に関与する4つの団体に制裁を課すという報道が出ました。関連する企業やそのCEOには制裁が課されませんでした。
ラブロフ外相はこの報道について問われた際、具体的な回答を避けました。代わりに、ロシアの対米立場は「非常にシンプル」であり、全ての問題について議論する意図があると述べました。また、その議論は誠実かつ事実に基づき、お互いの立場を尊重することを前提とすると明言しました。
この会談は、両国間の緊張緩和と相互理解の向上を目指す一方で、ロシアの行動に対する米国の強い意志を示す場となりました。ノルドストリーム2に関する制裁は、アメリカがこのプロジェクトに対する懸念を引き続き持っていることを示すものです。
メルケル首相の最後の訪米!未解決問題に取り組み、戦略的関係を維持
2021年7月14日から16日までの間、ドイツのアンゲラ・メルケル首相がアメリカを訪問し、バイデン大統領と首脳会談を行いました。この訪問はメルケル首相の最後のアメリカ訪問であり、彼女が引退する予定のドイツの総選挙後の9月に行われました。
メルケル首相は訪問中、ホワイトハウスでバイデン大統領と会談し、経済や外交政策の未解決問題について特にアフガニスタンやイランの問題を議論しました。バイデン大統領は、ドイツと特にメルケル首相との関係修復を重視しており、これは前任のトランプ大統領がメルケル首相をヨーロッパに関する不満の的にし、緊張を引き起こした4年間に続く取り組みです。
長時間にわたる二国間の会談の後、バイデン大統領はパンデミックの中でもメルケル首相を夕食会に招待しました。両首脳は、西ドイツや他の地域で被災した人々に哀悼の意を表明しました。また、メルケル首相は訪問中にアメリカ副大統領のカマラ・ハリスとも会談しました。
この訪問は、メルケル首相が長年にわたって築いた強力な国際的地位を再確認する機会であり、ドイツとアメリカの間の戦略的関係の維持を強調する一方で、世界的な課題に対する共同の取り組みを促進する場となりました。
エネルギー安全保障を重視!アメリカとドイツがウクライナへの支援を表明
7月21日、アメリカとドイツは「ウクライナ、欧州のエネルギー安全保障、そして気候目標への支援に関する共同声明」を発表しました。この声明は、両国がロシアの違反行為や悪意ある活動に対して責任を問い、ノルドストリーム2を含むいかなるパイプラインもロシアによる攻撃的な政治目標の達成手段として悪用されないことを決定したことを明らかにしました。
共同声明では、ウクライナとロシアのガス輸送協定が2024年に期限切れとなることを受け、10年間の延長を支持することも表明しています。また、ドイツはエネルギー安全保障を含むさまざまな形でウクライナを支援するために少なくとも1億7500万ドルを提供することを約束し、ロシアがエネルギー供給を通じてウクライナを脅かす場合には制裁を含む措置を取ることも確認しました。
しかし、この共同声明はウクライナからの反対を受け、ウクライナは声明がロシアによる欧州の安全保障に破壊的な影響を及ぼし、NATOやEU加盟国の分断を深める可能性が高まるとの見解を示しました。
バイデン政権の「ノルドストリーム2」政策!地政学的な挑戦との葛藤
バイデン政権は、ほぼ完成しているノルドストリーム2パイプラインの完全な完成を阻止することは現実的ではないと認識しています。その一方で、ドイツの中国に対する立場についての協力を確保することを望んでおり、そのために一部の譲歩が行われました。しかし、アメリカとドイツの間には、ロシアによる地政学的な脅威の認識に依然として差異が存在することが明らかとなっています。
2021年7月21日、ホワイトハウスはバイデン大統領が8月30日にホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領と会談することを発表しました。この会談は、ロシアからの脅威にさらされているウクライナへの支援を示すものとなる見込みです。
ノルドストリーム2に対しては米国議会でも強い反対意見が存在します。民主党のジャン・シャヒーン上院議員は、7月21日の声明で懸念を表明し、米独合意がヨーロッパの同盟国に十分な安心感をもたらすかどうかに自信を持てないと述べました。共和党のテッド・クルーズ上院議員は、ノルドストリーム2の完成を認めるアメリカの姿勢を批判し、それはプーチン大統領にとっての勝利であり、アメリカとその同盟国にとっての災害だと述べました。
メルケル首相の総選挙への影響!解決策の模索
2021年7月21日、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、ロシアのウラジミール・プーチン大統領と電話で話し、Nord Stream 2について議論しました。彼女はウクライナへのガス供給に対してロシアが圧力をかけないよう要求したとされています。
メルケル首相は、2021年9月の総選挙でノルドストリーム2に反対するグリーン党の台頭の可能性があるため、彼女の任期中にノルドストリーム2について解決策を模索してきました。しかし、アメリカとドイツの間では、ロシアによる地政学的な脅威に関する認識の差異が依然として存在しています。
米国議会では、ノルドストリーム2に対する強い反対意見が存在しています。ジャン・シャヒーン上院議員は、米独合意がヨーロッパの同盟国に十分な安心感をもたらさないと懸念を表明しました。共和党のテッド・クルーズ上院議員は、ノルドストリーム2の完成を認めるアメリカの姿勢を批判し、それはプーチン大統領にとっての勝利であり、アメリカとその同盟国にとっての災害だと述べました。
米国政府は、ロシアがウクライナに侵攻した場合にノルドストリーム2を終了するという約束をしており、ウクライナへのロシアの攻撃に対してドイツとの連携を強調しています。ただし、バイデン政権はノルドストリーム2の建設を完了させることに対する反対を正式に撤回し、その結果、既存のウクライナのパイプラインを迂回してバルト海を通じてドイツにロシアの天然ガス供給能力を2倍にするノルドストリーム2に関して批判を浴びています。
ウクライナでメルケル首相が強調した「ノルドストリーム2」への制裁の可能性
2021年8月22日、ドイツのアンゲラ・メルケル首相がウクライナを訪問し、ロシアがノルドストリーム2ガスパイプラインをウクライナに対する武器として使用する場合、追加の制裁措置が取られる可能性があることを再度警告しました。
キエフでウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領との会談後、メルケル首相は記者会見で、「パイプラインが武器として使用される疑いが増える場合、ヨーロッパの枠組みで追加の制裁に向けて行動する」と明言しました。また、彼女はガス輸送協定が2024年以降も「できるだけ迅速に」延長されるべきだと強調しました。
ゼレンスキー大統領はノルドストリーム2を「危険な地政学的な武器」と呼び、「ウクライナはノルドストリーム2の完成によって直面する主要なリスクに直面している国です」と述べました。彼は協定の延長に関する義務があまりにも曖昧であり、より確固たる保証が必要だと主張しました。
メルケル首相はゼレンスキー大統領の懸念を認識し、「ドイツはアメリカの約束に同意しており、ノルドストリーム2がウクライナに対する武器や圧力として使われることを許さない」と強調しました。また、彼女は8月20日にロシアのウラジミール・プーチン大統領との会談で、「必要に応じて、ロシアの行動に応じてヨーロッパとして追加の制裁を実施する」と述べたことを明らかにしました。
この訪問は、ドイツとウクライナの間での緊密な協調を強調し、ロシアに対する強いメッセージを送るものでした。
ガスプロム発表!「ノルドストリーム2」の誕生
2021年9月10日、ロシアのエネルギー企業ガスプロムは、ノルドストリーム2ガスパイプラインのドイツとロシア間の建設を完了したと発表しました。ガスプロムのCEOであるアレクセイ・ミラーは、同日の朝の会議で敷設が午前8時45分に完了したと報告したと述べられています。
ただし、ドイツの規制当局はまだガスの流れを承認していません。それでも、建設段階の完了はロシアがエネルギーの輸出能力を向上させ、バルト海の北から、トルクストリームパイプラインを運営している黒海の南からヨーロッパに向けて供給できるようになったことを示しています。
スイスに拠点を置くノルドストリーム2 AGコンソーシアムは声明で、「ロシアの船舶フォルトゥナの支援を受けてパイプラインの溶接が完了した」と述べています。さらに、「必要な事前稼働活動は行われ、今年の終わりまでにパイプラインを稼働させることを目指している」と述べました。
これに対して、ウクライナでは懐疑的な反応が見られました。キエフは、モスクワがウクライナを通じたガス供給を停止した場合、ガス輸送料として数十億ドルを失う可能性があるとの懸念を示しています。ウクライナは、ノルドストリーム2の完成によってロシアがエネルギーを政治的に利用することが容易になり、自国の地位や安全保障に悪影響を及ぼすと懸念しています。
Yamal Europe
危機の要因?ドイツの天然ガス高額転売疑惑?
2021年、ヨーロッパはガソリン価格の大幅な上昇と低排出ガスの天然ガス価格が30%以上も急騰するというエネルギー危機に直面しました。この価格高騰は、一般の生活や産業活動に直接的な影響を及ぼしています。
価格上昇の原因はいくつかありますが、2020年から始まった新型コロナパンデミックからの経済回復に伴うエネルギー需要の急増、ロシアからの供給減少などが主な要因として挙げられます。特に、「ヤマル・ヨーロッパ」パイプライン、これがロシアからヨーロッパへのガス供給の主要ルートであるにも関わらず、西方向への流れが予定されている一方で東方向への流れが著しく増加しました。
緊急事態!「ヤマル・ヨーロッパ」の予約キャンセルでガス供給が大混乱
「ヤマル・ヨーロッパ」パイプラインは、ロシアからベラルーシとポーランドを経由してドイツに至る主要な天然ガス輸送路です。しかし、2021年10月30日以降、このパイプラインにおけるドイツへのガス輸送の受け入れ能力の予約が突如キャンセルされ、供給が混乱しました。
この結果、ガス輸送はドイツからポーランドに逆流し、ヨーロッパのガス先物価格は週初めから約18%上昇しました。
ロシアのプーチン大統領は、ガスプロムがこのパイプラインでの輸送能力を予約しなかった理由について、特にドイツやフランスの企業からのガス購入依頼がなかったためだと説明しました。欧州の規則に従い、ガスプロムは確定契約に加えて、ヤマルとウクライナを通じた輸送のための追加輸出能力を入札プロセスを通じて予約することが求められました。
プーチン大統領のエネルギー供給に関する声明とその影響
2021年10月20日の政府会議で、ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、消費量の減少とエネルギー価格の上昇が、ガスプロムを含むロシアの生産企業に影響を与える可能性があると述べました。彼はまた、エネルギー価格の無制限な上昇は彼らの利益にはならないとの立場を示しました。これらの発言は、国営のロシア24テレビチャンネルで放映されました。
ささにプーチン大統領は、10月27日にガスプロムに対して、ヨーロッパ諸国のガス貯蔵施設の充填を開始するよう指示しました。特に、国内の天然ガス貯蔵施設の充填が11月8日に完了する予定であり、その後すぐにヨーロッパ諸国の施設への充填を開始するよう命じました。これにより、ヨーロッパの天然ガス価格は3週間ぶりの低水準を記録しました。
11月4日には、「ヤマル・ヨーロッパ」パイプラインを通じて、ロシアからドイツへのガス輸送が再開されました。この結果、ヨーロッパのガス価格は5〜6%下落しました。パイプラインを通じたガス輸送は、顧客の需要に応じて調整されます。
エネルギー危機ついてプーチンはロシアの責任を否定
その後、プーチン大統領は、国営の天然ガス会社であるガスプロムが契約義務を適切に遂行し、ヨーロッパへの供給を12%、海外市場への供給を20%増やしていると発表しました。プーチン大統領は、ヨーロッパで発生している天然ガス危機の原因として、悪天候、地下貯蔵施設の充填不足、風力発電の稼働率低下、石油とガスへの投資不足などを挙げました。
さらに、ドイツからポーランドへのガス供給の逆流、天然ガスの再販価格が長期契約価格の3~7倍に達する状況、ポーランドからウクライナへの天然ガス供給の可能性についても、懸念を表明しました。
一方で、欧州の一部の政治家たちは、ヨーロッパの天然ガス価格が高騰している中での供給停止について、ロシア政府がロシアから直接ドイツへのガス供給を行う「ノルドストリーム2」の認可をドイツ政府や欧州連合(EU)に迫るため、意図的に欧州へのガス供給を増やさない戦略を採っていると主張しています。
しかし、ロシア政府はこれらの主張を否定し、契約上の義務を果たしていることを強調しています。ロイターが取材した欧州の企業も、ロシアが契約義務を果たしていることを確認しています。
欧州のエネルギー危機はロシアではインフレの危機
欧州のガス危機とウラジミール・プーチン大統領の欧州に対する意図との直接的な関連性は明確ではないものの、ガス危機がロシアの経済に影響を及ぼす可能性は認識されています。プーチン大統領自身が、欧州のガス危機がロシア国内の天然ガス価格を引き上げ、結果として必需品の価格上昇と深刻なインフレを引き起こす可能性があると語っています。
実際、ロシア国内では既にインフレに対する懸念が高まっています。特に食料価格の上昇が物価上昇の主要因となっており、2021年8月の年間食品価格のインフレ指数が7.7%から、同年9月には9.2%へと上昇しています。この中でも、特に果物や野菜の価格上昇が顕著です。
これらの状況から、プーチン大統領が欧州のガス危機に対して、ロシア国内の経済状況を考慮に入れて対応を考える必要があることが伺えます。欧州に対する単なる悪意ではなく、国内の経済状況とも密接に関わる問題として欧州のガス危機を捉えていると言えるでしょう。
ドイツのロシア産ガス転売が発覚?ヤマル・ヨーロッパの逆流現象で欧州が混乱
このような状況の中で、2021年12月27日には「ヤマル・ヨーロッパ」を通じてロシアから欧州への天然ガスの流れが7日間連続で逆流していることが明らかになりました。
また、2021年12月27日、欧州のエネルギー危機の中で注目すべき現象が発生しました。「ヤマル・ヨーロッパ」パイプラインを通じて、ロシアから欧州への天然ガスの流れが7日間連続で逆流する事態が観測されたのです。
このパイプラインは通常、ロシアからのガスを欧州に供給する役割を果たすものですが、その流れが逆になり、東方向へと向かってポーランドとウクライナにガスが流れる現状が明らかとなりました。つまり、この現象は、欧州のエネルギー危機の中でドイツがロシアから輸入したガスを東方向へ再販していると解釈できます。
ロシアの国営ガス大手ガスプロムは、ドイツからポーランドおよびウクライナ方向へ逆流しているガスの量が1日あたり300〜500万立方メートルであることを確認し、ガス供給は減少していないと主張しています。この状況は2022年にも続き、1月11日にも再び「ヤマル・ヨーロッパ」パイプラインを通じたガスの流れが逆流する現象が確認されました。
ガスプロムの代表者は、ガスの流れがドイツ方向へいつ戻るかについて具体的な時期を示していませんが、1月中にそのような変化が起こると予測しています。このような状況下で、ウクライナにおけるプーチン大統領の行動がロシアと欧州間の緊張を引き起こしていることは注目に値します。
しかし、欧州のガス危機がこれらの行動の結果であるのか、またはそれ以外の要因によるものなのかについては、現時点では明確な結論を導くことは難しいです。ガス供給の問題、食料価格の上昇、そして地政学的な緊張という複数の要素が絡み合い、事態は一層複雑化しています。
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