この記事では、新大統領ゼレンスキー氏の和平への取り組みや国際的な支援の模索、G7サミットやノルマンディー形式などの国際会議についても詳しく解説していす。また、ウクライナの経済危機や抗議デモ、新型コロナウイルスの影響にも触れながら、両国の将来について考察します。ウクライナとロシアの最新動向と経済現状に迫ります。
【ウクライナ危機(18)】ウクライナの課題に立ち向かう若き大統領、ゼレンスキーの和平への取り組み
One Year of Zelensky’s Presidency
「紛争続くウクライナ」ゼレンスキーの葛藤と困難な道のり”
喜劇俳優出身で現ウクライナ大統領のヴォロディミール・ゼレンスキーは、驚くべき政治旋風を巻き起こし、国民の熱烈な支持を受けて大統領に就任しました。彼は東部での親ロシア派武装勢力との紛争終結、汚職撲滅、そして経済再生を公約に掲げ、ウクライナ人民の期待を背負いました。しかし、彼の就任から1年が過ぎ、これらの課題は未だ解決できずにいました。
ゼレンスキー大統領の政策は、紛争終結に向けたロシアとの和平交渉の停滞と、明確な汚職撲滅の成果が見えづらいという状況に直面しています。特にロシアとの交渉停滞は、ウクライナの東部での紛争を長期化させ、国民の不安を増大させています。
「失敗と成功を経て2年目へ」ゼレンスキー大統領の決意表明
2019年5月20日、「簡単な1年ではありませんでした。成功も失敗もありました。しかし、まだ始まりに過ぎず。私たちは諦めません」と、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領が自身のFacebookに投稿し、2年目への決意を表明しました。
さらに、就任1年の記者会見では、「仕事は大変だ。誰も感謝してくれない」との言葉で困難な現状を吐露。その上で「国民が支持すれば2期目も考える」と発言し、プーチンロシア大統領との会談を通じて、東部ドンバス地域の紛争解決を目指す方針を再確認しました。
ゼレンスキー大統領は2019年4月23日の大統領選挙で圧倒的な支持を得て当選しましたが、それから早1年以上。この間にも、数々の挑戦が続いています。その挑戦にも関わらず、彼の言葉は自身の行動と連動し、自らが目指す理想のウクライナを追求し続ける姿勢を示しています。
しかしながら、「国民が支持すれば2期目も考える」という新たな発言は、当初のゼレンスキー大統領の公約とは異なります。彼は大統領を1期しか務めないと明言しており、国民が望む変革を短期集中的に実行し、その後すぐに権力を譲渡するつもりだったのです。その言葉は、彼が直面している国内外の難題の大きさを反映していると考えられます。
支持率低下と厳しい課題
困難が続く中、ウクライナのゼレンスキー大統領の支持率は急速に低下していきました。就任当初に80%あったゼレンスキー大統領の支持率は、2020年7月には44%まで低下。大統領の与党「国民の僕(しもべ)」の支持率も昨年の2019年9月の65%から2020年8月には30%まで急落しています。
これと並行して、支持率が10%以下だった野党「プラットフォーム」の支持率は18%まで上昇。政党別支持率でも2位に躍り出ています。
一部のウクライナ人はゼレンスキー大統領が「新しい顔」であることを期待していましたが、現状は初めての政治家にとって厳しい挑戦となっています。特に、ロシアとの紛争や国内の経済危機といった問題に直面しており、その解決策が求められています。
『ウクライナ国際航空752便墜落事故』
2020年1月8日、イランの首都テヘラン発、ウクライナの首都キエフ行きのウクライナ国際航空752便が離陸直後に墜落し、乗員乗客176人全員が死亡しました。この事故機は、ボーイング737 ネクストジェネレーションという機体で、事故時点での機齢は約3年で、その直前に定期メンテナンスを受けていました。
当初、イランメディアは「墜落は機械トラブルによるもの」と報じていました。ウクライナ大使館も初めて事故原因を「機械トラブルによるもの」としていましたが、のちに撤回。数日後、イランはウクライナ航空機を誤射で撃墜したことを認めました。
しかし、この事故について、ウクライナとイランの両国政府の間で、事件の詳細な捜査や賠償問題を巡って見解の対立が続いています。2021年4月9日、ウクライナ外務省はイラン外務省の事件に関する発表について「現実的な証拠による裏付けのない発表は信用しない」と批判的なコメントを発表しました。
この事故は、国際間の政治的緊張とつながりを持ち、イランとウクライナ、そして関与する多数の国々にとって大きな影響を与えています。今後の捜査結果や両国間の交渉の行方に注目が集まる中、事故で亡くなった176人の遺族たちは真実と公正な処理を求めて待ち望んでいます。
犠牲者の多国籍性と事故の原因の謎
2020年1月8日、ウクライナの旅客機がイランの首都テヘランの空港を離陸した直後に墜落、乗客乗員176人全員が死亡するという悲劇が起きました。ウクライナのプリスタイコ外相によれば、犠牲者にはイラン人82人、カナダ人63人、ウクライナ人11人、スウェーデン人10人、ドイツ人と英国人が各3人と、多国籍の乗客が含まれていました。
この悲劇は、イランがイラクの米軍駐留基地をミサイル攻撃した数時間後の事であり、そのタイミングから様々な憶測が飛び交いました。事故の翌日には、テヘラン近郊で発見されたとされるTor M-1ミサイルの破片とみられる写真がネット上に流通し始めました。
ウクライナ国家安全保障当局のオレクシー・ダニーロフ長官は声明を出し、イランと協力して事故原因の調査を行っていると説明。その上で、墜落原因として考えられる要素として、Tor M-1システムとの接触、無人航空機などの飛行物体との衝突、機械の故障、そしてテロ攻撃を挙げました。
イランの謝罪と国際協力への期待
2020年1月11日、イラン政府はテヘランで1月8日に墜落したウクライナ航空PS752便が、「人的ミス」により「意図せず」撃墜されたことを認めました。この墜落事故では、乗客乗員176人全員が犠牲となりました。8日未明には、イラン革命防衛隊がイラク国内の米軍基地に多数の弾道ミサイルを発射していたという事実も明らかにされています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は同日午後、イランのロハニ大統領と電話会談を行い、終了後に大統領府のサイトで詳細を発表しました。ゼレンスキー大統領によると、ロハニ大統領はウクライナの犠牲者の家族や国民に対して哀悼の意を示し、「176人が死亡した悲劇に対するイランとしての謝罪」を述べ、完全に自国の非を認めたとのことです。
ゼレンスキー大統領は、イランが撃墜の事実を認めたことは、「今後の迅速な調査への道を開く」と評価する考えを示しました。「国際法に基づく、今後のイランとの建設的な協力に期待する」と表明し、早期の遺体の身元確認や返還を求めました。
テヘランでのデモ「アリ・ハメネイ師」の退陣を求める声
イランの首都テヘランで2020年1月11日、ウクライナ旅客機撃墜の「人的ミス」をイラン政府が認めたことに対し、学生ら数千人が抗議デモを行いました。デモ隊は旧米大使館に近いアミルカビル大学の前に集結し、最高指導者アリ・ハメネイ師の退陣と撃墜責任者の訴追を求める声を上げました。
ソーシャルメディアに投稿されたビデオには、「独裁者に死を」と唱える参加者の様子が映し出されていました。また、「この国から出て行け」とハメネイ師に向けて訴える映像も公開され、デモの規模と激しさを示しています。
この動きに対し、ドナルド・トランプ米大統領はツイッターを通じて、米政権がイラン国民の味方であることを再確認。「皆さんの抗議行動を注意深く見守り、皆さんの勇気に励まされている」と述べました。
「ウクライナ航空機撃墜と米・イランの緊張」イラン大統領と外相のコメント
イランのロウハニ大統領は、ウクライナ国際航空752便の撃墜について、「イランは悲惨な過ちを深く悔やんでいる」との遺憾の意をツイッターで表明しました。また、ジャヴァド・ザリフ外相も「米国の冒険主義で高まった緊張の中でのミス」とツイートし、根本の原因は米国にあると主張しました。
ウクライナ航空752便は、2020年1月8日午前6時頃、テヘラン近郊の国際空港を離陸した直後に墜落しました。同日午前2時ごろには、イランの革命防衛隊がイラクの米軍駐留拠点2カ所を弾道ミサイルで攻撃しており、米軍の反撃を警戒していました。
この状況は、2020年1月3日に米軍がイラクで無人機攻撃を行い、イランの革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害したことに端を発するもので、その結果、米・イラン間の緊張が最高潮に達していました。イランが1月8日に米軍拠点を攻撃した後は、報復の連鎖で全面戦争に発展することも懸念されていました。
イランとアメリカの対立…医療と制裁の葛藤
新型コロナウイルスの大流行が続く2020年、イランでは死者数が2万人を超え、中東で最多、全世界でも10位となりました。この難局の中でもアメリカからの経済制裁は続けられていました。
イラン外務省報道官は2020年4月、「トランプ政権が経済・医療テロによりイラン国民の健康を危険にさらし、人道に対する罪を犯している」とアメリカを非難しました。これに対し、トランプ政権は、医療機器は制裁の例外扱いとなっているとして報道官の発言を一蹴しました。
さらに、2023年8月19日には、ドナルド・トランプ米大統領が、2015年のイラン核合意で解除された対イラン国連制裁の復活に向けた手続きを開始したと発表しました。アメリカは既に2018年に核合意から離脱しています。
『新型コロナウイルスパンデミック』
2020年のウクライナは、他の世界各地と同様に新型コロナウイルスパンデミックの大きな影響を受けていました。
2019年12月に中国の湖北省武漢市で初の感染者が確認された新型コロナウイルスは、2020年1月半ば以降、世界中に急速に広まりました。初めはアジアの周辺国であるタイ、日本、韓国などで感染者が確認されましたが、1月下旬にはヨーロッパのフランス、ドイツ、イタリア、スペインなどでも感染が広がりました。
中国の感染者数が約1万人に達した1月末には、世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。そして、2月下旬には、ヨーロッパが新たな感染源となりました。
2月末からイタリアで、3月初めからフランス、ドイツ、スペインで感染が急拡大しました。英国でも3月中旬から急拡大が始まり、アメリカでも3月下旬には累積感染者数が中国やイタリアを抜いて世界最多となりました。
この状況を受けて、3月11日にはWHOのテドロス事務局長がパンデミック(世界的流行)相当との認識を表明しました。また、この時期からは、欧米主要国で感染防止策として外出制限などの経済活動抑制策が導入され、各種の経済対策も行われるようになりました。
これらの世界的な動きの中で、ウクライナもまた新型コロナウイルスの大規模な流行とその影響に直面しました。このパンデミックは、世界中の人々の生活に大きな影響を与え、医療体制や経済にも深刻な打撃を与えました。
帰国者の隔離問題とデモ事件
2020年2月20日、ウクライナのゾリアナ・スカレツカ保健相は、新型コロナウイルスの感染拡大に対応する一環として、中国からウクライナに帰国した72人(ウクライナ人45人と他国籍27人)と共に14日間隔離されることを発表しました。これらの帰国者は、ウイルスのアウトブレイク(大流行)が発生した中国の湖北省武漢から退避してきました。
しかし、これらの帰国者がウクライナの首都キエフに到着した際、一部の住民からは激しい反発がありました。帰国者は6台のバスに乗せられ、ポルタヴァ州中部の村、ノヴィ・サンザリーの医療施設へ移送される予定でしたが、道中でデモ隊と衝突し、一部の住民が道路を封鎖し、石を投げつけるなどの混乱が発生しました。この事件により、一部の警察官が負傷する事態となりました。
「共に過ごし、同胞の安全を保護」帰国者への保健相の声明
住民たちは、新型コロナウイルスが地域社会に広まることを恐れていました。これに対し、スカレツカ保健相はフェイスブックで声明を発表し、「退避者と2週間、同じ場所で、同じ状況の元で共に過ごす」と宣言しました。また、「退避者たちは我々の同胞だ。私たちは一つの国で暮らしており、彼らの健康と安全を保護しなければならない」と強調しました。
「恐怖を和らげ、社会の結束を保つために」ゼレンスキー大統領の訴え
ゼレンスキー大統領は、新型コロナウイルスから帰国したウクライナ人に対する反対運動が起こったことに対し、公に訴えることで国民の意識を喚起しようとしました。
ゼレンスキーはフェイスブックで声明を発表し、「我々は同じ人間。危険はない」と述べ、「乗客のほとんどは30歳以下だ。我々の多くにとって、彼らは子供のようなものだ」と情報を提供しました。これは恐らく、乗客たちが若いという事実を用いて、彼らが高いリスクを持つ高齢者ではないという事実を強調し、公衆の恐怖を和らげるためのものでしょう。
さらに、「しかし、私には言及しておきたい他の危険性がある。我々は全員人間であり、全員がウクライナ人であることを忘れてしまう危険性だ。私たちそれぞれが、エピデミック(伝染病の流行)の中で、武漢市内に残ることになった人々も含め全員がウクライナ人であることを、忘れてしまうという危険性だ」と述べました。これは、国民の不安や混乱が社会の一部を他者視し、社会的な結束を崩す可能性について警鐘を鳴らすものでした。
ウクライナ政府はこれらの声明の一部として、退避者に対する暴力行為(投石など)を行った者を処罰すると明確に表明しました。これは、公的な秩序を維持し、ウクライナ社会の一部が示す可能性のある排他的な行動を阻止する試みでした。
ウクライナにおける初の感染事例「2020年3月3日」の発表
ウクライナの保健省は、2020年3月10日時点で、国内で確認されている新型コロナウイルス感染例は、3月3日に発表された1例のみであることを公表しました。この情報は、新型コロナウイルスが世界的に拡大する中での重要なアップデートであり、国民に対する重要な情報提供となっています。
ビクトル・リャシュコ保健副大臣による3月3日の発表によれば、感染が確認されたのは、イタリアからルーマニアのスチャバを経由してウクライナに飛行機で帰国した男性で、彼の病状は良好で、合併症も発生していないとのことでした。
ウクライナの厳格な新型コロナウイルス対策
ゼレンスキー大統領は新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために厳格な対策を断行すると宣言しました。これらの対策は「緊急性があり、評判が悪くなる可能性もある」と述べられました。対策の一部として、公共交通機関、バー、レストラン、大型商業施設の休業が指示されました。
ウクライナ政府は2023年3月14日に新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、国境通過を一時的に制限する決定を採択しました。この制限措置は3月16日から開始し、外国人と無国籍者の入国が禁止されます。さらに、3月17日からは、航空、鉄道、バスなどの国際定期旅客便のための国境検問所を一時的に封鎖します。これらの措置は全て4月3日まで実施される予定です。
ただし、ウクライナの長期および一時滞在許可を保有している者、外務省の個別決定により外交代表団、領事館、国際機関の代表部などで勤務する許可を得ている者は、この入国禁止の対象外となります。
さらに、2023年3月15日には、イリヤ・イェメツ保健相が緊急演説を行いました。彼は新型コロナウイルスの拡大防止のため、次のような対策が必要だと述べました。
- 飲食店とショッピングモールの閉鎖
- 薬局と食料品店のみの営業を許可
- 国内の移動制限
- 在宅勤務の推奨
- 公共交通機関の運行体制の見直し
- 集会は10人までに制限
これらの措置は、新型コロナウイルスの拡大を防ぐための緊急対策として行われています。
「航空制限により赤ちゃんが引き取られず」代理出産大国ウクライナ問題
ウクライナは外国人向けの商業的な代理出産を認める数少ない国の一つで、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によってその状況が注目されています。パンデミックによる航空便の運航制限により、赤ちゃんを引き取るためにウクライナに訪れるはずだった外国人の親たちはそれができず、結果として生まれた赤ちゃんたちが足止めされてしまいました。
コロナ禍でウクライナ代理出産の需要急騰!親たちの困難な決断
ウクライナの代理出産業界は2000年代初頭から存在していますが、約5年前にインドとタイが外国人向けの商業的な代理出産を禁止したことにより、ウクライナへの需要が爆発的に増加しました。
ウクライナの法律は、親予定者の男性と女性がそれぞれ子供の父親と母親として登録されることを認めています。これにより、子供のパスポート取得や親予定者の国への帰国が容易になっています。この独特の法制度はウクライナを代理出産の人気国とし、現在では約50のクリニックが代理出産を提供しています。
しかしながら、新型コロナウイルスのパンデミックが発生したことでこの状況は大きく変わりました。ロックダウン(都市封鎖)の延長がクリニックに大きな負担を与え、アメリカやイギリス、中国、イタリア、スペイン、フランス、ドイツ、メキシオなど12の国々からの親たちもウクライナに到着することが困難になっています。
ビジネスとしての代理出産
ウクライナでは、代理出産は安定した産業であり、経済的な困難から抜け出すための選択肢となっている女性もいます。代理母になると約1万4000ポンド(約182万円)稼げるとされています。
虐待や汚職が問題視
しかし、代理出産業界は規制が不十分であり、虐待や汚職が問題視されています。報酬の未払いや、不適切な住環境での生活、さらには赤ちゃんが生物学的に外国人の親とは無関係であることが明らかになるケースもあります。また、一部のクリニックが代理出産を商業的な養子縁組の隠れみのに利用しているとの疑いもあります。
代理出産で生まれた赤ちゃんがロックダウンで取り残される
このような中、新型コロナウイルスの対策としてウクライナがロックダウンを実施した結果、代理出産によって生まれた赤ちゃんたちが取り残されています。ある医院が動画を公開し、首都キエフの施設で現在46人の赤ちゃんを預かっていると説明しています。これらの赤ちゃんを引き取るべき米国や英国、スペインなどの国に住む親たちは、ウクライナに入国できずに困っています。
一方で、ウクライナの外務省はCNNの取材に対し、国外に住む親が赤ちゃんを自国に引き取りたいと希望する場合には、それぞれの大使館を通じて特例措置の申請が可能だと述べています。
ウクライナ元首相ティモシェンコが感染
2020年8月23日、ウクライナの元首相で祖国党の元党首であるユリヤ・ティモシェンコ(59歳)が新型コロナウイルスに感染したことが公表されました。彼女の体温は39度まで上昇し、その病状は重篤と評されました。また、ティモシェンコの夫やその他の家族間でも感染が確認されました。
この頃のウクライナでは新型コロナウイルスの感染状況は深刻であり、感染者は10万人以上に上り、そのうち2200人が死亡していました。
その後、ティモシェンコ氏は新型コロナウイルスの最終検査で陰性と判定されましたが、肺炎の症状がまだ残っており、完全な回復にはさらに時間が必要となるとされました。
ウクライナ正教会の指導者フィラレート総主教が感染
9月4日、ウクライナ正教会キエフ聖庁のフィラレート名誉総主教(91歳)が新型コロナウイルスに感染したことを、同教会のフェイスブックの投稿で発表しました。フィラレート総主教は以前、新型コロナウイルスを同性婚に対する「神の罰」と形容していました。その後の新型コロナウイルスの検査で陽性と判定されたフィラレート総主教の健康状態は安定しており、治療が続けられています。
フィラレート総主教のこの発言に対し、ウクライナのLGBTQ+団体は、それが憎しみや差別を煽る可能性があるとして訴訟を起こし、謝罪と発言の撤回を求めました。また、世界保健機関(WHO)もこの発言を問題視し、「誤報の拡散に反対します。こうした考えは、非難と差別を引き起こす」と強く批判しました。
フィラレート総主教は「ウクライナの法律と一致している」と反論しています。ウクライナ議会は性的指向などが基本的なキリスト教の価値観に反すると主張しており、2016年には女性を保護することを目的とした欧州評議会の人権条約への支持を拒否していました。ウクライナでは同性間の関係は合法ですが、同性婚は認められていません。
ウクライナでは、新型コロナウイルスの感染者は9月9日現在で14万3000人以上が確認され、約3000人近くが死亡しています。
その後、フィラレート名誉総主教の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は回復し、最新の検査では陰性の結果が出たと報告されています。
ポロシェンコ前大統領が感染
9月29日、ウクライナの元大統領であるペトロ・ポロシェンコが新型コロナウイルスに感染したことを自身のFacebookページで発表しました。ポロシェンコ氏は現在自宅で治療を受けており、全ウクライナ国民に対し、ウイルス感染への警戒を呼びかけるメッセージを投稿しました。
「今日から自宅で治療を受けることになりました。早期の回復を心から願いつつ、全ウクライナ国民にも感染予防に十分な注意を払うよう呼びかけます。」とポロシェンコ氏は述べました。
ゼレンスキー大統領が感染
2023年11月9日、ウクライナの大統領ヴォロディミール・ゼレンスキー氏と大統領府長官イェルマーク氏が、それぞれ新型コロナウイルス(COVID-19)の感染を公表しました。
ゼレンスキー大統領は通信アプリ「テレグラム」で、「全ての隔離措置にかかわらず、コロナ検査は陽性だった。(熱が)37.5度ある」と発表しました。ただし体調は安定しており、自己隔離しながら執務を継続するという。
また、大統領府のイェルマーク長官も同日、自身が新型コロナウイルスの感染を公表しましが、二人とも無事に回復しました。
隔離制限と簡易課税制度の廃止に反対する抗議デモの勃発
12月16日、ウクライナの首都キエフの独立広場では、数百人の抗議者が夜を過ごしました。彼らは「今日はさらに多くの人々が集まることだろうと」宣言しました。
この抗議活動は、新型コロナウイルスのパンデミックに対応するための政府の隔離制限と、簡易課税制度の廃止、レジの使用義務化に対する反対を訴えています。特に中小企業主や自営業者らは、これらの政策が彼らの事業を圧迫し、生計を脅かしていると主張していました。
前日、抗議者たちは政府地区に集まり、その後キエフ中心部を行進しました。彼らは政府に対して、ビジネスへの隔離制限を緩和し、簡易課税制度を維持し、レジの使用義務化を見直すよう求めました。
『ドンバス紛争』ウクライナとロシアの対立と和平プロセスの難航
ウクライナとロシアは、東部に「特別な地位」を与えることで合意していますが、具体策については対立が続いています。ウクライナは東部での施政権回復を目指しており、ロシアは事実上の連邦制を導入させ、ウクライナの欧米接近を阻止するという思惑があります。
ゼレンスキー大統領の「対話方針」が行き詰まり、双方の歩み寄りの気配が見られない中、2020年2月18日にはウクライナ東部ルガンスク州の前線地帯で新たな戦闘が発生しました。この戦闘でウクライナ軍は兵士1人が死亡し、親露派はウクライナ兵士2人と自軍兵士4人が死亡したと報告しました。双方とも相手方に先制攻撃を非難しており、和平プロセスの難航が伺えます。
また、前年末に実施された約200人の捕虜交換以降、新たな捕虜交換は行われていません。このような状況の中での死者を伴う衝突は、和平ムードを色あせさせ、地域の緊張をさらに高めています。ウクライナ東部で続く同国軍と親ロシア派武装勢力の紛争の解決には、さらなる対話と譲歩が求められています。
ミュンヘン安全保障会議でのゼレンスキー大統領の提案と和平の障壁
2020年2月15日、ミュンヘン安全保障会議でゼレンスキー大統領は「4月に次回の会談を開きたい」と表明しましが、ロシア側はウクライナがこれまでの合意に従うことを前提にしていると主張しており、両国の間の和平に対する立場の違いが依然として存在していまいた。
ウクライナと親ロシア派武装勢力、ドンバス地域で停戦合意
しかし、2020年7月下旬には、ウクライナの東部ドンバス地域で、ウクライナ軍と親ロシア派武装勢力が停戦に入ることで合意しました。
これはウクライナ、ロシア、欧州安全保障協力機構(OSCE)からなる三者コンタクト・グループ(TCG)が、7月22日に行われた会合で合意したものでした。この協議はテレビ会議形式で行われ、親ロシア派勢力の代表も参加した。OSCEによれば、この合意には完全な停戦のための具体的な措置が含まれており、偵察活動や民間地域への重火器の配置が禁止されています。
この停戦は7月27日から開始され、ドネツクとルガンスク州の紛争地域で「完全で包括的な戦闘停止」が無期限で実施されることとなりました。さらに、新しく設立された調整機関が違反行為に対応し、懲罰措置を取ることができ、報復行為は協議が不調に終わった場合にのみ許されることになりました。
ドネツク人民共和国の人民警察のデニス・シネリニコフ署長によれば、停戦命令はすべての兵士に通知されており、違反があった場合、人民警察が直ちに対応するとしている。
ウクライナのゼレンスキー大統領とロシアのプーチン大統領は7月26日に電話会談を行い、両者は停戦合意を歓迎し、停戦を順守するための追加措置が必要であることで一致しました。
この停戦合意は、10月に予定されているウクライナの統一地方選挙を見据えた動きと考えられている。しかし、ゼレンスキー政権はこの合意を紛争の完全な終結に向けた突破口としたいと考えている一方で、過去にも停戦合意は度々破られてきた。13000人以上の犠牲者を出してきたこの紛争の行方については、未だ見通しをつけることができない状況が続いている。
停戦合意にもかかわらず、戦闘の再開の懸念が残る
戦闘が再開する懸念は依然として存在します。ウクライナ軍が、2020年7月27日の停戦発効後に親ロシア派勢力側から数回の銃撃があったと発表しており、これは地域の緊張を一層高めています。ロシアのペスコフ大統領報道官は、同日に「ロシアは紛争当事者ではない」とロシアが停戦を保証する立場にないと主張しました。
合意された停戦の文書には、「2020年7月27日 0時01分から、完全かつ包括的な停戦体制が遵守されなければならない」と明記されています。初めの数ヶ月間は戦闘行為が大幅に減少し、これは停戦合意が一定の効果をもたらしたことを示しているかもしれません。
合意された停戦の文書には、「2020年7月27日 0時01分から、完全かつ包括的な停戦体制が遵守されなければならない」と明記されています。確かに初めの数ヶ月間は戦闘行為が大幅に減少しました、これは停戦合意が一定の効果をもたらしたといえます。
しかしながら、数ヶ月が経過した後、戦闘行為は再び増加し、ウクライナ東部の地域でほぼ毎日散発的な戦闘が報告されています。これは、停戦合意が紛争地域において持続的な平和をもたらすには不十分であることの証明になっています。
『武器の不法所持』が蔓延!ウクライナでテロが発生
2014年以降、ロシアを後ろ盾とする分離独立派との紛争が続くウクライナでは、武器の不法所持が広く見られます。紛争地域では、戦闘が頻繁に発生し、不安定な政治情勢や社会経済的困難から、多くの人々が自己防衛のために武器を手に入れる傾向があります。
ウクライナ東部のドンバス地方はこの問題が特に深刻で、紛争が始まって以来、無法地帯と化しています。武器や爆発物が盛んに取引され、市民生活に深刻な影響を及ぼしています。多くの非戦闘員が無関係な戦闘に巻き込まれ、命を落とすケースも少なくありません。
不法所持された武器は、犯罪行為に利用されることが多く、その結果、治安の悪化につながっています。武器の不法所持は紛争地域における長期的な不安定要因となり、地域の安全と安定、さらにはウクライナ全体の平和を脅かしています。
「ルツク人質事件」ウクライナ大統領の交渉が事件の展開に影響
ウクライナ西部の都市ルツクで、2023年7月21日に深刻な人質事件が発生した。首都キエフから約400キロメートル離れたこの地で、午前9時(日本時間同日午後3時)ごろ、44歳のマキシム・クリボシュ容疑者がバスに乗っていた13人の乗客を人質に取り、爆発物で脅迫した。クリボシュはソーシャルメディア上で反体制宣言を掲載し、政府当局者に対してテロリストと認めることなどを要求していた。
ウクライナ内務省によれば、事件当初、クリボシュ容疑者は警察に対して発砲し、手榴弾を投げるなど攻撃的な行動を取っていた。この緊急事態に対処するため、ウクライナのゼレンスキー大統領が直接電話で交渉に乗り出した。ゼレンスキー大統領の対話により、最初に3人の人質が解放された。
犯人は「映画アースリングス」の視聴を呼びかけるよう要求
事件は異例の結末を迎えた。ゼレンスキー大統領は自身の公式Facebookページに動画を掲載し、「皆さん、2005年の映画『アースリングス』を観てください」と呼びかけた。この呼びかけに応じて、クリボシュ容疑者は残りの人質を解放した。『アースリングス』は、工業化された農業界の動物虐待について告発するドキュメンタリー映画である。動画は人質解放後に削除された。
事件自体は死傷者を出すことなく解決された。クリボシュ容疑者はテロなどの容疑で逮捕され、訴追された。ウクライナのメディア報道によれば、彼は動物愛護運動家であり、迷子の犬などを保護する活動を行っていたが、精神的に不安定であったとされている。
アバコフ内相は、「アースリングスはいい映画だが、国中を恐怖に陥れるような大騒ぎをすることなく、ただ観れば済むこと」とコメントした。
この事件は、ウクライナの社会における不安定さと政府の対応力を示すものであり、多くの議論を呼び起こした。
『経済危機』紛争とパンデミックの影響で深刻化
ウクライナの経済危機は、にさらに深刻化していました。その原因として、2014年から続く親ロシア派武装勢力との紛争と新型コロナウイルスの影響が挙げられます。これらの影響でウクライナ通貨は暴落し、外貨準備も大幅に減少したのです。
ウクライナの経済は、これらの課題を乗り越えるための大きな困難に直面しており、特に紛争によって引き起こされる社会的、経済的な不安定さは、国家の経済全体に深刻な影響を与えました。さらに、新型コロナウイルスの世界的な大流行が、ウクライナ経済にとってダブルパンチになりました。
シュミハリ首相の発表によれば、2020年の経済成長率はマイナス4.8%に落ち込むと予想されている。この経済的な落ち込みは、国内総生産(GDP)の8割近くにも及ぶ対外債務の負担を増大させている。
IMF支援なしでは回復が困難
これらの問題を解決するため、ウクライナは国際通貨基金(IMF)からの支援の再開を必要としています。もはやIMFの支援なしには、ウクライナがこれらの経済的困難から回復するのは非常に困難な状況に陥っていました。
「ウクライナの農地市場自由化」
2020年4月28日、ゼレンスキー大統領は「農地市場法案」に署名しました。この法案は3月30日にウクライナ最高会議で採択されていたもので、ウクライナ国内の農地売買を順次自由化するという内容を含んでいます。
ゼレンスキー大統領府はこの法案について、「ウクライナ市民の農地私有権の行使が保証され、農業部門への投資拡大にも貢献するだろう」とコメントし、その重要性と期待を表明しています。
農地市場法案と国際通貨基金(IMF)の関与
ウクライナにおける農地売買の自由化は、国際通貨基金(IMF)が拡大信用供与(Extended Fund Facility, EFF)という支援枠を用いた融資の再開に必要な主要な条件となっていました。この自由化を通じてウクライナは大規模な外資を呼び込む機会を得られる可能性があります。
ウクライナは農業大国で、特に「チェルノーゼム」と呼ばれる肥沃な黒土地帯が広がっており、かつては「欧州の穀倉地帯」と呼ばれるほど農業が盛んでした。しかし、2001年の新土地法以来、農地の売却は凍結されており、市場開放に対する反発も強かった。
農地市場法案に対する異なる視点
ウクライナの農地市場法案は様々な視点から評価されています。一部の人々、特に経済的な可能性を重視する人々は、法案によりウクライナは巨額の投資を引き付けることが可能となると主張しています。ウクライナは農業大国であり、肥沃な土地が広範囲にわたって存在しています。このような土地が市場に公開されれば、国内外の投資家からの大規模な投資を呼び込む機会が生まれるというのが、この視点の主張です。
一方、オリガルヒ(新興財閥)や外国人による土地の買い占めを恐れる人々もいます。彼らは、土地の自由化が結果的に社会の富の不均衡を引き起こすと主張し、ウクライナの土地が少数の富裕層や外国企業によって占有され、多くのウクライナ人がその恩恵を受けられない可能性を懸念しています。
さらに、ウクライナの国内政策が国際通貨基金(IMF)によって左右されていると批判する声もあります。これは特に野党議員からの声で、農地売買の自由化がIMFからの財政支援を受けるための条件であると主張し、「IMFの脅しに屈した」という観点から法案を批判しています。これらの議員はウクライナが自国の経済運営を主導するべきだと考えています。
「銀行関連法案」もう1つの融資条件を可決
ウクライナのゼレンスキー大統領は、就任1年目を迎え、その間に重要な経済改革を推進しました。5月13日、国際通貨基金(IMF)の融資条件である銀行関連法案が最高会議(議会)で可決されました。この法案は、2016年に国有化された大手銀行プリバトバンクに関連して、元所有者である有力財閥のトップなどが資産回復を要求できないようにする条項を含んでいます。
これにより、ウクライナはIMFからの支援再開の条件を満たし、今月中に支援が再開される見通しとなりました。
IMF、ウクライナに50億ドルの長期金融支援を提供
2020年6月9日、国際通貨基金(IMF)は、ウクライナに対する18カ月にわたる50億ドルのスタンドバイ取り決め(SBA)を正式に承認しました。第1トランシェ(分割融資)は約21億ドルとなり、2回目以降のトランシェはIMFによる4回のレビュー後に分割して供与される予定です。
IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は、このSBAがウクライナ政府が新型コロナウイルスの危機に対応し、経済の安定性と成長を維持するための大きな支えとなると語りました。ゲオルギエバ専務理事はまた、世界銀行やEUからの支援と合わせて、大規模な資金調達のニーズに対応するのに有用な手段となると付け加えました。
しかしながら、ゲオルギエバ専務理事は、「世界的な景気後退の規模や期間は不明瞭で、ウクライナ国内でも経済政策の方向性はいまだ不確かだ」と述べ、コロナ禍で経済を安定させるためにはウクライナ政府のさらなる努力が必要であると指摘しました。
IMF、世界銀行、EUの協力によるウクライナの経済振興
ウクライナは国際通貨基金(IMF)だけでなく、世界銀行や欧州連合(EU)からも支援を受けています。これらの組織は金融援助だけでなく、技術支援や政策アドバイスも提供しており、ウクライナの経済改革や社会的安定に貢献しています。
世界銀行は、農業、エネルギー、インフラストラクチャーなど様々なセクターに対するプロジェクト融資を通じてウクライナを支援しています。また、世界銀行はウクライナの政策改革を支援するための開発政策融資も提供しており、公共財政管理やエネルギーセクター改革、社会保障制度改革などがその対象となっています。
一方、EUはウクライナとの連携を強化するため、経済支援の他にも法制度改革や人権保護、環境保護など多岐にわたる分野で協力を行っています。具体的には、EUはウクライナとの自由貿易協定を通じて市場を開放し、ウクライナの商品やサービスのアクセスを向上させるとともに、EUの法制度や基準を採用することでウクライナの制度改革を支援しています。
これらの援助はウクライナの経済状況を改善するためだけでなく、地域の安定化や欧州との経済統合を進めるためのものでもありました。
『国民の僕の大敗』勝利数の減少と支持率低下の関連性
2020年10月25日、ウクライナでは統一地方選挙の投票が行われました。しかし、大ゼレンスキー大統領の政党「国民の僕」は地方選で苦戦するととになりました。
この選挙の結果、「国民の僕」は主要な9つの都市のうち2つのみでしか勝利を収めることができませんでした。特に首都キエフでは、「国民の僕」が大きな打撃を受けることになりました。
ゼレンスキー大統領の人気急落、支持率20%割れに与党も波紋
これは、ゼレンスキー大統領の支持率の低下が大きな要因となっています。ゼレンスキー氏はタレント出身で、2019年の大統領選挙では圧勝し、その後の議会選挙でも自身の政党「国民の僕」が過半数の議席を獲得しました。しかし、調査会社レイティングの世論調査によれば、一時は70%を超えていたゼレンスキー氏の支持率は、9月には29%に下がり、与党の支持率も20%を下回りました。
新型コロナ経済悪化も影響
専門家や外交筋は、生活の改善や汚職対策で具体的な成果を出せていないことが、ゼレンスキーと彼の政党の支持率低下の原因とみています。また、新型コロナウイルスによる経済の悪化も大きな影響を与えていると考えられます。
ロシアの制裁緩和動き、親ロシア派政権形成への布石
この頃、ロシアは、隣国であり敵対国であるウクライナに科してきた制裁の緩和に向けた動きを見せました。
プーチン大統領は10月14日の政府会合で、ミハイル・ミシュスチン首相から提案された対ウクライナ制裁の一部解除について、「これはロシアからウクライナへの友好的なジェスチャーであり、第一歩だ。ぜひ検討を進めてほしい」と賛意を示しました。
ロシアの経済紙「ベドモスチ」によれば、ミシュスチン首相は、プーチン大統領の指示でウクライナの親露派有力野党「野党プラットフォーム」のメドヴェドチュク党首と会談し、制裁緩和を依頼されていたと報じています。
制裁緩和の内容については、自動車製造や農業畜産関連のウクライナの大企業3社に対するロシアへの禁輸措置の解除が含まれています。
これは、10月25日に統一地方選挙を控えたウクライナで、親欧米派のゼレンスキー大統領の支持率が顕著に低下していることを背景にしています。ロシアはこの動きを機に融和の姿勢を示すことで、ウクライナ国内の反露感情を緩和し、将来的に親露派政権を再樹立する布石を打つ狙いがあると考えられます。
一方、ゼレンスキー大統領は欧米との関係強化でこの動きに対抗する構えを見せていました。
【ウクライナ危機(20)】ロシアの脅威に立ち向かうウクライナ、国際社会の支持を受けて「クリミア・プラットフォーム」を提唱