ウクライナ大統領選挙に関する鮮烈な出来事をご紹介します。人気コメディアンであるヴォロディミル・ゼレンスキー氏が、意外な形で政治の舞台に登場し、圧倒的な勝利を収めました。彼の背景とビジョンは新風を巻き起こし、ウクライナの政治状況を一変させる可能性があります。
ゼレンスキー氏の新党「国民の僕(しもべ)」の台頭や、政治の汚職と闘う決意など、彼の躍進を支える要素も紹介します。さらに、ウクライナの現状や紛争解決の模索など、大統領選挙の舞台裏に隠された驚きのエピソードも明らかにします。この壮大なストーリーは、ウクライナ国民の期待と希望に満ちており、国際社会からも注目されています。
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2019 Ukrainian presidential election
【伝説】2019年ウクライナ大統領選挙
東欧、特にウクライナの政治情勢は、歴史的な葛藤や民族の対立が絡み合っており、その複雑さは一言で表現するのが困難です。2019年、この動乱の中から1人の候補者が国民の信任を勝ち取り、ウクライナの新たな大統領となりました。それがヴォロディミール・ゼレンスキーです。
ゼレンスキーは、彼が大統領となる前には、コメディアンでありテレビプロデューサーであり、大統領役を演じたテレビドラマの主役でもありました。彼の政治的な経歴はほとんどなく、ウクライナの伝統的なエリートに対する反感と、腐敗への無念さが彼を支持する推進力となりました。
「対ロ強硬姿勢と国民の生活圧迫」ポロシェンコの時代
2014年に市民デモが引き起こした政権の崩壊の後、ペトロ・ポロシェンコがウクライナの大統領に就任しました。彼の政策は対ロシア強硬姿勢を前面に押し出し、軍の強化と親欧米、改革路線の継続を訴えた。しかしこれらの政策は必ずしも国民の期待に応えるものではなく、特に公共料金の引き上げが国民の生活を圧迫し、多くのウクライナ国民を苦境に陥れました。
また、ポロシェンコ政権の下で汚職政治家の処分が進まなかったことも国民の信頼を失わせ、支持離れを招きました。このような背景から、ゼレンスキー氏が「腐敗の撲滅」を掲げた際には、多くのウクライナ国民からの支持を集めることに繋がりました。
2019年の大統領選挙では、ロシアが2014年に併合を宣言した南部クリミア半島や、東部の親ロシア武装勢力が実効支配する地域では投票が実施されませんでした。特に東部では親ロ派との紛争が続き、これまでに1万3千人が死亡するなど、深刻な人道的危機を招いています。
ポロシェンコの任期は5年間でしたが、その間にウクライナは国内外の困難な課題に直面しました。
「軍」「言語「信教」ポロシェンコ政権の挑戦
2019年の選挙戦を控えて、ポロシェンコ政権は「軍・言語・信教」という標語を掲げ、ウクライナの独立性とアイデンティティの強化を目指しました。
「軍」のキーワードは、ウクライナ軍の再建とロシアの軍事的脅威に対抗する意味を含んでいました。ポロシェンコは国防力の強化を通じて、ウクライナの主権を保護する決意を示しました。
「言語」は、ウクライナ語の地位を盤石にするという目指す政策を象徴していました。ソビエト連邦の時代の名残りとして、ウクライナでは依然としてロシア語の使用が広く見られましたが、ポロシェンコ政権はウクライナ語の国家言語としての地位を強化しようとしました。
そして「信教」は、ウクライナの正教会がロシア正教会から独立することを目指していました。これはウクライナの精神的独立性を高め、ロシアの宗教的な影響力を排除することを目指していたのです。
これらの政策により、ポロシェンコはロシアの圧力や影響を排して、ウクライナをより明確に独自の国民国家として確立することを目指しました。さらに、近年中に欧州連合(EU)への加入申請を行い、北大西洋条約機構(NATO)加盟のプロセスも開始すると訴え、ウクライナの西方志向を強調しました。
ウクライナ正教会の独立!宗教的な対立から自立へ
2019年1月、ウクライナ正教会は重大な一歩を踏み出しました。それは、ロシア正教会の影響下からの独立でした。この決定は、両国間の対立が宗教の領域にまで広がる一方で、ウクライナの自主性とアイデンティティの強化を象徴していました。
このウクライナ正教会の独立決定に至るまでには、複数の重要なステップがありました。全地総主教バルソロメオス1世とその側近たちは、2019年10月11日までの3日間にわたり、ウクライナ正教会のロシア正教会からの独立を認めるかどうかについて協議を続けました。
この決定を歓迎したのは、当時のウクライナ大統領ペトロ・ポロシェンコでした。ポロシェンコ政権は米国の支援を受けており、ロシアや分離派と4年間にわたってウクライナ東部で武力衝突を続けていました。
「EUとNATO加盟への挑戦」憲法改正とポロシェンコの挫折
2019年2月、ウクライナの最高会議はポロシェンコ大統領が提出した憲法改正案を可決しました。この改正案は、ウクライナのEUとNATOへの加盟路線をウクライナ憲法に明記するものでした。この結果、憲法序文にはウクライナ民族の欧州アイデンティティとウクライナの欧州・欧州大西洋路線の不可逆性に関する文言が追加されました。
さらに、憲法第102条には、「ウクライナ大統領は、ウクライナのEUとNATOへの完全な加盟に向けた国家の戦略的方針の実現を保証する者である」との文言も追加されました。
この方針はゼレンスキーが大統領も引き継ぐ
これらの親欧米路線の懸命なアピールにもかかわらず、ポロシェンコは2019年3月と4月に行われた大統領選挙に敗れることになります。
しかし、この選挙では対外路線の選択はほとんど争点にならず、ポロシェンコに取って代わったゼレンスキー大統領も、方針を大きく変えることはありませんでした。ゼレンスキー大統領もまた、ウクライナのEUとNATOへの加盟という国家の戦略的方針を続けることを表明し、ウクライナの西方志向は維持されたのです。
44名が名乗りを上げる!ウクライナ大統領選挙の驚異的な候補者数
2019年2月8日、中央選挙管理委員会は3月31日に予定されていた大統領選挙の候補者登録プロセスを終了しました。申請したのは合計92人で、その中から44名が候補者として正式に登録されました。24名が政党推薦の候補者、7名が政治・市民団体の代表者、13名が無所属の候補者という構成でした。
しかし、44名の候補者を掲載するために投票用紙はなんと長さ1メートル15センチにも及びました。これはウクライナの選挙史上、最も長い投票用紙で、2004年の最長記録だった67センチを大きく上回るものでした。現地のニュースレポートによれば、この投票用紙はまるで巻物やトイレットペーパーのように長大で、ウクライナの選挙が新たな挑戦に直面していることを示していました。
三つどもえのウクライナ大統領選挙
2019年のウクライナ大統領選挙の主な争点は、事実上の戦争状態にある隣国ロシアとの関係でした。この選挙戦は、現職のポロシェンコ大統領、失脚から復活を遂げたティモシェンコ元首相、そして人気コメディアンのゼレンスキー氏という、三つどもえの構図になる見通しだったのです。
三人以外の候補者の支持率は最高でも9%にとどまっていました。そのため、3月31日の第1回投票で過半数を得る候補が出なかった場合、上位2人による決選投票に進むことがほぼ確実となっていました。
これら3人の候補者は、全員が親欧米・反露路線を掲げていました。しかし、その主張には微妙な温度差が見られました。ポロシェンコ大統領はロシアとの対決姿勢を鮮明にし、ティモシェンコ元首相は経済問題に重点を置き、ゼレンスキー氏は政治の刷新を訴えていました。これらの微妙な差異が、選挙結果にどのような影響を及ぼすかが注目されました。
EUとNATOへの失われた夢「ポロシェンコ」政権の課題と批判
ポロシェンコ氏は、2014年のウクライナ政変後に失脚した親露派のヤヌコビッチ元大統領の後継者として、親欧米・反露路線を掲げて大統領に当選しました。彼の最大の目標は、ウクライナの欧州連合(EU)および北大西洋条約機構(NATO)への加盟だったのです。
しかしこれらの目標は、彼の任期中に実現することはありませんでした。ウクライナ国内では、低所得者の困難、不十分な社会保障、そして公共料金の値上げなどへの不満が高まっていました。
ポロシェンコの政策の中には、改革が不徹底であるとの批判も多く存在しています。ウクライナの有力財閥(オリガルヒ)の利権はそのまま維持され、その事業に有利な法律や規制が新たに採用されたりしていました。さらに、現役閣僚や政治家、高級官僚の財産蓄積、汚職、そしてオリガルヒとの癒着の問題も相変わらず報道されていました。
「パナマ文書」にポロシェンコ自身の名前が登場したことも、彼に対する信頼を失わせる一因となりました。これにより、彼がウクライナ有数の資産家であり続けていることが明らかになったのです。
元首相「ティモシェンコ」ロシアの影と再選に向けた挑戦
ユリア・ティモシェンコは、2004年の「オレンジ革命」により成立した親欧米派政権で首相を務めました。しかし、その後に就任したヤヌコビッチ政権下では職権乱用罪で有罪とされ、実刑を受けました。2014年の政変により釈放されると、彼女は政界に復帰しました。
2019年の大統領選挙では、ロシアを批判しつつも、ポロシェンコ氏ほど強硬な路線は取らず、平和実現や所得増、公共料金の値下げを訴えて支持を拡大しました。
しかし、彼女の過去の実業家時代のロシア国営企業との深い関係から、「ロシアの手先ではないか」との疑惑がウクライナ国内に存在します。特に、2018年11月にロシアがウクライナに対して経済制裁を発動した際、ティモシェンコ氏が制裁対象になり、ポロシェンコ氏が含まれなかったことは、不信感を増大させました。
「ロシアはポロシェンコ氏の再選を防ぐために、ティモシェンコ氏を制裁対象にして彼女のロシアの手先との疑いを払拭し、その当選を支援しようとしたのではないか」との憶測が広がりました。
ティモシェンコと現職のポロシェンコが決選投票に進むと予想されていました。そして、ティモシェンコを警戒する有権者が現職の安定感に引き寄せられ、またオリガルヒや地方ボスの支援・動員を取り付けたポロシェンコが再選する可能性が高いと見られていました。
コメディアンが政治の舞台へ「ゼレンスキー」の対外政策と挑戦
最後の一人、ヴォロディミル・ゼレンスキーは、ウクライナのテレビドラマで教師が大統領に転身する役を演じ、その人気を背景に2019年の大統領選挙に名乗りを上げました。彼は政治経験がないコメディアンでしたが、それが彼の魅力の一部となりました。
彼は2018年12月に「大統領になれば、(ウクライナ東部を実効支配する)親露派勢力との紛争は武力ではなく対話で終わらせる」と発言しました。また、ウクライナ国内で進行中のロシアの芸術や文化に対する規制には反対の姿勢を明らかにしました。
しかし、2019年1月、ウクライナのテレビ局は調査報道を通じて、ゼレンスキー氏とロシアとの商取引関係を指摘しました。これを受けてゼレンスキー氏は、ロシア企業が所有するキプロス企業の株式を保有していることを認め、これを売却することを誓いました。
彼の政策と個人的な背景は、親ロシア的とも親欧米的とも解釈できるため、彼が大統領になった場合のウクライナの対外政策は不確定要素が多いと言えます。
ウクライナの選挙警戒…ロシアのサイバー攻撃とゼレンスキー氏のイメージ戦略
ロシアによる選挙介入の警戒が高まる中、ウクライナはサイバーセキュリティを強化する措置を講じています。ウクライナ国家保安庁は最近、キエフの本部で欧州連合(EU)と共に、海外からのサイバー攻撃を撃退する訓練を実施したと報道されています。この訓練は、EUのハッカー役がウクライナの中央選挙管理委員会を攻撃し、ウクライナのスタッフがそれを無効化するという内容でした。
ウクライナ政府機関のコンピューターへの不正アクセス攻撃が近月で増えていることが国家保安庁の職員により報告されており、専門家はこれを「ロシアによるサイバー攻撃」と指摘しています。米国のボルカー・ウクライナ担当特別代表は、ロシアがウクライナ大統領選で現職のポロシェンコ大統領の再選を阻止し、新政権と取引をしようとしている可能性があるとの見解を示しています。
ここでゼレンスキー氏にスポットライトが当たります。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、2004年から始まったリアリティショー「アプレンティス」で冷酷な経営者役を好演し、これが若い有権者に強力なリーダーシップのイメージを刷り込む結果となり、彼の大統領選挙でのイメージ形成に寄与しました。
ウクライナのコメディアンであるゼレンスキー氏もまた、ウクライナのテレビドラマで大統領になる教師を演じることで、大統領選挙での自身のイメージを構築しています。ゼレンスキー氏のアプローチは、トランプ大統領のものと比較してさらに徹底していると評価する声もあります。
ゼレンスキー現象!政治経験ゼロのタレントが独走!
クリミア半島の併合や親ロシア派との紛争が続くウクライナで、政治経験ゼロのタレントであるボロディミル・ゼレンスキー氏が大統領選の先頭を走っている現状は、確かに非常にユニークな状況と言えます。ゼレンスキー氏は専らインターネットを使った発信を行い、政治風刺ショーを続けています。彼のアプローチは、従来の政治手法とは異なる新たな形を提示しており、特にウクライナを支援する国際機関や欧米の国々も、彼の政策について探り始めています。
タレント、文化人、スポーツ選手などが政界に進出することは、世界的に見ても珍しい事態ではないですね。アメリカでは元俳優のロナルド・レーガンが大統領を務め、映画「ターミネーター」のアーノルド・シュワルツェネッガーもカリフォルニア州知事を務めました。日本でも、テレビタレントが政治家に転身するケースは多く、お笑い出身者が大阪府知事や宮崎県知事を務めたこともあります。
しかし、ウクライナで現在進行中の状況はさらに特異です。大衆の人気を博すコメディアンが大統領選の主要候補となり、しかも支持率でトップに立つという事態は、非常に珍しいケースと言えるでしょう。
ゼレンスキーの公約は「腐敗したシステムの破壊」「ミンスク合意の実行」
ボロディミル・ゼレンスキー氏の選挙キャンペーンは、ウクライナの政治・経済のあり方に変革を求める公約を中心に展開されました。彼は、ウクライナ社会を支配してきた富豪やオリガルヒたちの影響力を排除すると約束し、これにより現職のペトロ・ポロシェンコ大統領との違いを強調しました。
また、ゼレンスキー氏は2015年の「ミンスク合意」の実行を進めることを約束しています。この合意はウクライナ政府と同国東部の親ロシア派との間で、紛争の解決に向けて結ばれたものです。
しかし、ゼレンスキー氏がロシアのウラジーミル・プーチン大統領にどのように対抗するのか、彼がプーチン大統領と対話を進め、紛争解決につなげる能力があるのかについては、疑問の声も出ています。プーチン大統領は経験豊かな政治家であり、またロシアはウクライナにとって非常に重要な隣国であるため、その対応はウクライナの未来を左右する重要な要素となります。
一方、ゼレンスキー氏は欧米との協調路線を維持すると明言しており、これはポロシェンコ政権の政策を引き続き支持するという意味でもあります。
「ゼレンスキー vs ポロシェンコ」 大統領選は一騎討ちに!!
ウクライナの大統領選初投票が2019年3月31日に締め切られ、初の大統領選挙となったコメディアンのボロディミル・ゼレンスキー氏が現職のペトロ・ポロシェンコ大統領を上回る得票率を獲得し、トップに立つ結果となりました。ウクライナ選挙管理委員会の発表によれば、開票率100%でゼレンスキー氏の得票率は30.24%で、ポロシェンコ大統領の得票率は15.95%でした。
しかしながら、どちらの候補者も過半数の得票を得ることはできず、次のステップとして4月21日に上位2候補による決選投票が行われることになりました。
3位には元首相のユリア・ティモシェンコ氏がつけたものの、得票率は13%にとどまり、決選投票に進むことはできませんでした。ティモシェンコ氏は記者会見でゼレンスキー氏がトップに立ったことを認めました。
選挙の結果を受けてゼレンスキー氏はキエフの本部で記者会見を開き、「これは大きな勝利への一歩にすぎない」と述べ、決選投票に向けての決意を示しました。一方のポロシェンコ大統領も「決選投票への闘いを始める」と宣言しました。
しかし、現職のポロシェンコ大統領が3位以下の候補者に協力を呼びかけたものの、現状では新たな政治を模索するゼレンスキー氏を支持する勢力が増えている状況となっています。
ゼレンスキーの人気急上昇!ウクライナ大統領選での新たな政治スタイル
ウクライナの大統領選挙の決選投票が2019年4月21日に行われることになり、有権者への直接的な露出を避けつつも選挙戦を続けている新進気鋭のコメディアン、ボロディミル・ゼレンスキー氏(41)が高い支持を得ています。彼の人気はその高い知名度と、「政治刷新」のイメージによるもので、現在の支持率は50%を超えています。
これに対して、現職のペトロ・ポロシェンコ大統領(53)は、ゼレンスキー氏の急速な台頭に対する焦りを隠せていない様子です。ポロシェンコ大統領は、再選を果たすために選挙戦を続けていますが、新たな風を求める有権者の間でゼレンスキー氏が高い人気を博しているため、その競争は難しいものとなっています。
ゼレンスキー氏が直接の露出を避けつつ選挙戦を進めるスタイルは、従来の政治家とは異なるアプローチであり、これが彼の「政治刷新」のイメージをさらに強化しているとも考えられます。
オリンピック・スタジアムで直接討論会に合意
現職のペトロ・ポロシェンコ大統領は、決選投票前に選挙戦の勢いを取り戻そうと、自身の経験や弁舌を強調しています。彼は政治経験が浅いライバルであるボロディミル・ゼレンスキー氏を大統領選討論会に招きました。しかしゼレンスキー氏は数々の条件を提示しました。その中には、双方の血液検査の実施や、首都キエフにある70,000人収容のオリンピック・スタジアムで討論会を開催することなどが含まれていました。これらの条件はポロシェンコ氏によって受け入れられました。
ウクライナは活気に満ちた民主主義を誇りとしています。国内ではしばしば議会での取っ組み合いやその他の政治的なショーが展開されます。しかし、多くの人々は今回の大統領選挙が行き過ぎではないかと心配しています。特に、討論会に関するこれまでにない要求は、政治的な演出としては一歩進んだもので、その結果として何が生じるかについては不確実性が高まっています。
なぜ(笑)討論前にはゼレンスキーとポロシェンコが血液検査
ウクライナ大統領選挙の決選投票に向けて、対立候補である人気コメディアンのボロディミル・ゼレンスキー氏と現職のペトロ・ポロシェンコ大統領は、4月5日に首都キエフで血液検査を受けました。これは、血中のアルコールや麻薬の濃度を調べるもので、その様子はライブ中継されるという異例の事態となりました。
この血液検査の披露は、選挙戦がメディアに注目されるショーと化していることを示す一方で、政治の健全さと透明性を証明しようとする試みでもありました。医師によると、両候補者の血液検査結果には問題がなかったとのことです。
しかし、このようなパフォーマンスが選挙結果にどのような影響を及ぼすか、また、政治的なショー化がウクライナの民主主義にどのような影響を及ぼすかは、まだ不確かな状況です。
ポロシェンコがテレビ討論会に乗り込み挑発
ウクライナの現職大統領ペトロ・ポロシェンコ氏は、4月11日の夜に、予定されていなかったテレビの政治討論番組に突然出演し、人気コメディアンで大統領選挙の対立候補であるボロディミル・ゼレンスキー氏に直接討論を呼びかけました。
しかし、局スタッフが連絡を取ったところ、ゼレンスキー氏はウクライナを離れてパリにいることが判明しました。電話での2人の会話は、討論会の開催方法についての争いで終わりました。
この一連の出来事は、選挙戦の中での戦略的な駆け引きと見ることができます。ポロシェンコ氏は自身の経験と誠実さを強調し、新進気鋭のゼレンスキー氏と直接対峙する機会を求めました。一方、ゼレンスキー氏は一般的な政治的なスクリプトを避け、予測不能な戦略を用いて、自身の「政治的な外部人」のイメージを強化しようとしました。
ポロシェンコが勝手に討論会を開催
4月21日に決まるウクライナ大統領選の決選投票に先駆けて、現職のポロシェンコ大統領は4月14日、一方的に提案した討論会のために首都キエフのスタジアムを訪れました。しかし、ライバルである人気コメディアンのヴォロディミル・ゼレンスキー候補は現れず、討論会は不発に終わりました。
このスタジアム討論会には約5000人が集まり、ポロシェンコ氏は40分間待つと述べて、その間に国内外の記者からの質問に答えました。ポロシェンコ氏は、もしゼレンスキー氏が決選投票で当選した場合、「ウクライナ国民の選択」を尊重すると発言しましたが、同時に国の未来を憂慮するとも述べました。
5000人がスタジアムに集結
この討論会は、ポロシェンコ氏がゼレンスキー氏との直接対決を求めて一方的に提案したものでしたが、ゼレンスキー氏は現れませんでした。ポロシェンコ氏は、会場に現れなかったゼレンスキー氏を厳しい質問から逃げたと非難しました。
ゼレンスキーとポロシェンコの討論会がオリンピック・スタジアムで生中継
ウクライナの大統領選挙の2回目の投票前の2019年4月19日に、候補者であるヴォロディミル・ゼレンスキー氏と現職のペトロ・ポロシェンコ大統領は、キエフのオリンピック・スタジアムで公開討論会を開催し、それはライブで中継されました。この討論会には、両陣営の支持者を含む約22,000人が集まり、約10,000人の警官によって厳重な警備が施されていました。
討論会はオリンピック・スタジアムで1時間にわたり行われ、その中でゼレンスキー氏とポロシェンコ氏はウクライナの将来、特に欧州連合(EU)とロシアとの緩衝地帯とされる地域での紛争について意見を交わしました。これらの討論は、数週間にわたり続いてきたウクライナでのセンセーショナルな選挙運動の締めくくりになりました。
「私は政治家ではない普通の人間だ」「古いシステムを壊すために立候補した」
公開討論会で、コメディアンであり候補者のヴォロディミル・ゼレンスキー氏は、「私は政治家ではない」と明言し、「私はこの体制を破壊するために来た普通の人間だ」と述べました。彼は自身が外部の候補者であり、既存の政治体制に挑戦することを強調しました。
彼は前回の2014年選挙で現職のペトロ・ポロシェンコ大統領に投票したことは失敗だったとし、「あなたの政権下で生まれた古いシステムを壊すために立候補した」と強く主張しました。ゼレンスキー氏は、ウクライナ政治の腐敗と不公正を象徴するものとしてポロシェンコ氏を非難しました。
さらにゼレンスキー氏はポロシェンコ氏に対して、「私はあなたの過ちと約束の結果だ」と強く主張しました。これらの発言は、聴衆からの喝采を引き出し、一部からはやじが飛び交いました。
「経験のないゼレンスキーではプーチンに対抗できない」
現職のペトロ・ポロシェンコ大統領は、公開討論会で、ヴォロディミル・ゼレンスキー氏の政治的な経験不足を批判しました。ポロシェンコ氏はゼレンスキー氏が兵役を回避したことを指摘し、その上で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対抗するためには政治的な経験と手練手管が必要だと主張しました。
「プーチン大統領はウクライナをロシア帝国に引き込む願望がある。これにどう対抗するのかをゼレンスキー氏が知らないなら、そのリスクは排除せねばならない」と述べ、ゼレンスキー氏の経験不足がウクライナにとってのリスクであると主張しました。
さらにポロシェンコ氏は、ゼレンスキー氏が出演しているテレビ番組を所有する実業家イーゴリ・コロモイスキー氏との結びつきについても問題提起しました。これは、ゼレンスキー氏が既存の政治的な権力構造の一部であるという主張を裏付けるものであり、彼の改革者としてのイメージを弱めるものとなりました。
「プーチンに決してひざまずかない、ウクライナの人々にだけひざまずく」
ヴォロディミル・ゼレンスキー氏は、公開討論会でウクライナの国防とクリミア問題について、ペトロ・ポロシェンコ大統領の統治能力を厳しく問い詰めました。特に、ドンバス地域での紛争解決の失敗を批判しました。
対するポロシェンコ氏は、ゼレンスキー氏が大統領になった場合でも何も成し遂げられないだろうと反論し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対して膝を折るしかないだろうと揶揄しました。
この揶揄を聞いたゼレンスキー氏は、衝撃的な行動に出ました。彼は2歩前に進み、突然ひざまずき、「プーチン大統領に決してひざまずかない。ウクライナの人々にだけひざまずく」と宣言しました。この行動は、討論会を見ていた多くのウクライナ人の心を打ち、ゼレンスキー氏の指導力と決断力を印象付けました。
ゼレンスキーが圧倒的勝利!新時代の幕開けへ!!
いよいよ運命の大統領選挙の決選投票が2019年4月21日に始まりました。ゼレンスキーとポロシェンコ、それぞれが異なる背景とビジョンを持っており、投票結果によって、ウクライナの政治状況がどのように変わるかが、注目されれていました。
出口調査の結果、ゼレンスキー(当時41歳)の得票率が73%で、現職のペトロ・ポロシェンコ大統領の26%を大きく上回り、ゼレンスキーの圧倒的な勝利が確定しました。
「皆さんの期待を裏切らない」ゼレンスキーが勝利宣言
ゼレンスキー氏が出口調査の結果を聞いたとき、彼は溢れる喜びに飛び跳ね、周囲からの拍手の中で喜びを共有した。彼の妻エレナや選挙スタッフと共に抱擁を交わし、彼は「私は皆さんの期待を裏切らないと約束します」と述べ、国民の強力な支持に感謝の意を示しました。キエフの選挙キャンペーン本部でのスピーチでは、「まだ大統領としては正式に認められていませんが、ウクライナの一市民として、旧ソビエトのすべての国にこう言いたい。見て下さい、何でも可能です!」と力強く語りました。
一方、ポロシェンコは自身の選挙結果が「明確」であることを認め、「対手への祝福の言葉が十分に存在する」と語った上で、政治的経験のない新大統領の元でのウクライナへの国際的な支援を呼び掛けました。
ゼレンスキーは後の記者会見で、「大統領の車列が交通渋滞を引き起こすのは避けたい」と述べました、これはゼレンスキーが演じる人気テレビドラマ「国民のしもべ」の庶民的な感覚を持つ大統領像への言及とも取れる発言でした。
世界からの祝福、プーチン大統領は沈黙を保つ
ゼレンスキー氏の圧倒的な勝利を受け、国際社会から祝福の声が上がった。アメリカのトランプ大統領や欧州連合のトゥスク理事会議長などの欧米首脳から祝意が寄せられ、CIS地域ではアルメニアのパシニャン首相らも電話や祝電を贈った。一方、ロシアからは、外務省報道官のザハロワ氏が「ウクライナでの再起動」に期待感を示し、会計検査院議長のクドリン氏はロシアとウクライナ間の対話の再開を望む旨をツイートした。
しかし、ロシアのプーチン大統領は祝賀のメッセージは送りませんでした。それは演説で、「すべてが可能だ」とメッセージを発し、長期にわたる一党支配が続く旧ソ連諸国に政権交代の可能性を示唆したことで、ロシアのプーチン大統領を刺激したためでした。
ドラマの主人公が現実の大統領に…ウクライナ選挙の驚愕ストーリー
この選挙期間中に人気ドラマ「国民のしもべ」の新シリーズが放映され、このタイミングは一部で「通常の選挙運動を超えている」と議論を巻き起こしました。
ドラマと現実が平行して進行するという異例の状況が展開されました。ゼレンスキーが演じていたのは、正義感溢れる教師から大統領になったキャラクターで、2015年からこのドラマの放映が始まりました。
ゼレンスキーはこの役に出会うまで政治とは無縁でしたが、2018年の年末に大統領選への出馬を宣言し、以降一貫して現職をリードし、圧倒的な勝利を収めました。つまり嘘のような話ですが、ドラマで大統領を演じた人物が実際に大統領になったのです。
ウクライナ国民の不満と新風の政治スタイル
新顔のゼレンスキーが大統領の座を獲得することができた大きな理由は、彼が政界における新顔であることが挙げられる。彼の選挙戦はスタイル重視で、政策提案はごくわずかに限られていました。それにもかかわらず、彼は多くのウクライナ国民から支持を集めることができたのです。
その理由は、貧困や汚職、そして5年に及ぶウクライナ東部の紛争で1万3000人以上の犠牲者を出したことに対する有権者の不満があった。当初、ゼレンスキーの選挙戦は多くの人々に真剣に受け止められていませんでしたが、ゼレンスキーが語りかけた言葉は、政治の汚職や腐敗に不満を持つ有権者の心を、少しつづとらえていきました。
ゼレンスキー大統領の新党、議会進出のための障壁と対立
新たに結成された党「国民の僕(しもべ)」を指導するゼレンスキーは、この時点では議会に議席を持っていませんでした。大統領選挙で得票率70%以上という彼の圧倒的な人気を活かし、新たな議会を形成し、協力的な立場を持つ議員を迎え入れることが、ゼレンスキー新大統領にとって最優先事項でした。
しかし、既存の政党はこの動きに抵抗しました。大統領就任式の前日である5月17日には、ポロシェンコ政権と連立を組んでいた国民戦線が連立政権を離脱しました。このタイミングでの離脱は、議会選挙を早期に実施しようとするゼレンスキーへの圧力と捉えられます。
ウクライナ新大統領にゼレンスキー!史上最年少で就任
2019年5月20日にウクライナで実施された大統領選挙で、ヴォロディーミル・ゼレンスキー氏が圧勝し、新大統領に就任しました。ゼレンスキー氏は前大統領のペトロ・ポロシェンコ氏に大差をつけ、ソビエト連邦が崩壊して以降のウクライナで最も若い大統領となりました。
内閣を非難し紛争終結を訴える
キエフの国会議事堂で開催された就任式では、ゼレンスキー新大統領は憲法と聖書に手を置き、”ウクライナの主権と独立を保護する”と宣誓しました。この宣誓式が行われる議会の前の公園には、歩いて議会に入る新大統領を見るために、数多くの支持者やファンが集まりました。その演説の中でゼレンスキー氏は、東部で起こっている親ロシア派との紛争を終わらせることを最優先の課題とし、一方で「政府自体が問題を引き起こしている」と現行の内閣を厳しく非難しました。
国民の信任に応える!ゼレンスキー大統領の就任演説
ゼレンスキー大統領は、就任演説の中で、公共の利益を追求する政治家こそが国民の信任に値すると語り、選挙で訴えていた汚職の撲滅に改めて言及しました。また、彼は「私たちはサッカーでアイスランド人のように、国防ではイスラエル人のように、そして技術においては日本人のようになるべきだ」と述べ、各国の長所を積極的に採り入れることの重要性を訴えました。さらに、「私たちは違いを乗り越えて全員が幸せになるために、スイス人のようになるべきだ」と述べました。
ウクライナ東部の戦闘については停戦を示唆
最も重要な課題として、5年間続いている東部でのロシア系武装集団との戦争の停止を掲げました。「この戦争を私たちが始めたわけではないが、それを終わらせる責任は私たちにある」と強調し、その決意を示しました。分離主義者たちはゼレンスキー大統領との対話に開放的な姿勢を見せています。さらに、ゼレンスキー大統領は、「ロシアとの対話を始めるための第一歩は、ロシアによって併合されたクリミア半島の回復とウクライナのすべての捕虜の帰還である」との立場を明らかにしました。
議員の特権廃止に向けて動く
演説中に、ゼレンスキー大統領は「28年にわたる贈収賄や国民の財産の横領を許容する政治制度に、人々はすでに疲れ果てている」と明言し、現議会と政府への激しい批判を続けました。さらに、彼は議会に対し、議員の訴追免責権を廃止する法案と公務員の不正な財産蓄積を禁止する法案を、選挙前の2ヶ月以内に承認するように要請しました。
ポロシェンコ政権下での内閣総辞職を呼びかける
また、前任のポロシェンコ大統領を支持していたクリムキン外相、ポルトラク国防相、そしてトゥルチノフ国家安全保障防衛会議書記は20日までに退任の意向を示しましたが。さらに、全閣僚の即時辞職を求めました。
「我々は欧州への道を選んだ」EUとNATOへの加盟路線
ウクライナは、地政学的にロシアとヨーロッパの間に位置する重要な地点にあります。2014年には、親ロシア派政権が倒れ、ウクライナはEUとNATOへの加盟を目指す方向性を強化しました。新たに就任したゼレンスキー大統領も、その方針を引き継ぎ、その就任演説では「私たちはヨーロッパへの道を選択した」と述べました。
プーチン大統領、ゼレンスキー就任に祝福の言葉なし!東
ウラジーミル・プーチンロシア大統領は、ゼレンスキー氏の大統領就任を祝う意志を示さなかった。しかしながら、彼は「ウクライナ南東部での内戦の解決とロシアとウクライナの関係の正常化が最優先」と述べ、これらの課題の解決を期待していると発言した。
また、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は、2015年にウクライナ政府と親ロシア派との間で締結されたミンスク合意の実行と「全員対全員」の原則に基づいた捕虜交換をゼレンスキー大統領に求めました。
ウクライナ政治に激震!ゼレンスキー大統領、演説で議会解散を宣言
ゼレンスキー大統領は、議会を解散し、予定されていた10月の議会選挙を前倒しにすると、就任演説の中で発表しました。議会で過半数の議席を確保できずに政権を維持できるかどうかについては、すでに疑問の声が上がっていました。
現在のウクライナ最高議会の任期は2019年11月27日までで、議会選挙は本来10月27日に予定されていました。しかし、ゼレンスキー大統領が議会を解散すると宣言したため、今後60日以内に臨時の議会選挙が開催されることになります。
解散宣言の背後には、現在の高い支持率を利用して議会で自身の勢力を固め、政策決定における主導権を握ることを狙っていると考えられます。ゼレンスキー大統領は、自らの政党を立ち上げたばかりで、現議会にはまだ基盤がありません。重要な閣僚の人事についても議会の承認が必要です。
ただし、議会の解散が条件を満たしているかどうかについては不透明な部分もあり、議会との協議が必要になる可能性もあります。
ゼレンスキー大統領の大胆な一手!7月21日に議会選挙が実施
5月21日、ゼレンスキー大統領が「最高会議」(ベルホブナ・ラダ)の選挙を7月21日に実施するという大統領令に署名しました。ゼレンスキーは「現在の最高会議の議席構成に対する国民の支持率は僅か4%で、信頼されていない」と主張し、選挙を早急に実施する必要性を強調しました。次回の議会選挙は2014年10月以降で、約5年ぶりとなります。
もともと議会選挙は10月下旬に予定されていましたが、ゼレンスキー大統領が議会の影響力を早期に確保するため、選挙日程を前倒しにしたと見られます。ゼレンスキー大統領は大統領令に署名する前に、「議会への信頼度が非常に低いため解散を決定した」と大統領府のウェブサイトで説明していました。
ゼレンスキー大統領の命運をかけた戦い!最高会議選挙が開幕
7月21日に最高会議選挙が開催されました。ゼレンスキー大統領にとって、東部での親ロシア派武装勢力との紛争の終結、そして事実上戦争状態にあるロシアのプーチン大統領と対峙するためには、堅固な政府基盤が必要となります。この選挙では、与党が単独で過半数の議席を獲得できるかが注目されました。
民主主義の壁!ウクライナ選挙で親ロシア派が選挙を妨害
ウクライナの議会は一院制で、定数は450名です。それは比例代表制と小選挙区制の並立という形をとっています。しかし、ロシアやその支持者が事実上の支配を行っている地域では選挙が行われず、その結果、今回の選挙では424議席が競争の対象となりました。
新政党が圧倒的勝利!ウクライナ政治に新たな展開
出口調査の結果、ボロディミル・ゼレンスキー大統領が率いる新政党「国民のしもべ」は、比例代表と小選挙区の両方を含めて240から250議席を獲得し、単独過半数を確保する見込みとなりました。
これまで政党は議席を持っていませんでした。ゼレンスキー大統領は、出口調査の結果を受けて「私は国民を失望させない」と表明しました。また、彼は汚職の根絶、東部地域で続く親ロシア派武装勢力との紛争の解決、そして事実上の戦争状態にあるロシアに拘束されているウクライナ国民の解放といった公約を再確認しました。
これらの結果は、ウクライナの政治が新たな段階に進んでいることを示しています。国民の間で既存の政治家への不信感が高まっており、新たな政治勢力が台頭しています。その一例として、人気ロック歌手スヴャトスラフ・ワカルチュク氏が立ち上げた新党「声」が注目されています。「声」は、西派寄りの政策を掲げ、この選挙で議席獲得に必要な5%以上の得票率を得ました。
ゼレンスキー大統領とワカルチュクは共に、ウクライナの政治に新たな風を吹き込むという意志を明確にしています。そして、ゼレンスキー大統領は、選挙結果を受けて、「声」を含む連立政権の結成を模索しはじめました。
ゼレンスキー大統領率いる「国民の僕」が単独過半数を獲得!
ボロディミル・ゼレンスキー大統領が率いる新政党「国民の僕」は、ウクライナの最高会議選挙で大躍進を遂げ、第一党の座につきました。ウクライナが1991年にソビエト連邦から独立して以来、単独で過半数を確保した政党が誕生するのは初めてのことです。
地元メディアによると、「国民のしもべ」は424の議席のうち、単独で過半数を占める254議席を獲得し、前例のない圧勝を収めました。ゼレンスキー大統領は単独過半数を確保できない場合には、親欧米派の他党と連立政権を組む可能性を示唆していましたが、単独過半数が確保できたことにより、「連立交渉は時期尚早」と陣営は表明しました。
新政党「国民のしもべ」は、これまで議席を持たなかったため、議席数はゼロからのスタートでした。また、政治経験のない市民出身の候補者も多数当選を果たしました。これらの結果は、まるでドラマのような光景が現実になったかのような感覚を覚えさせます。
ゼレンスキー大統領は選挙の夜、記者会見を開き、「人々の期待を裏切らないことが最優先」としました。また、「戦争を止め、我々の捕虜を帰還させる」と述べ、東部を占拠する武装勢力の後ろ盾であるロシアとの交渉に意欲を示しました。
ウクライナが新たな展望へ!政治と経済に好影響”
出馬表明からわずか4ヵ月後、ゼレンスキー氏はウクライナ独立以来最大の多数派を形成しました。ゼレンスキーの支持者は選挙結果を歓迎し、キエフの金融スペシャリストであるオレナ・モスカレンコは「私たちの国が変わるだろう」とコメントしました。
ウクライナの市場でも、新政権による政治の安定に対する期待が広がっており、ウクライナのドル建て国債は2018年初め以来の高値に上昇しました。これらの動きから、ゼレンスキー政権の誕生がウクライナの政治と経済に新たな変革をもたらすことが期待されています。
“驚きの躍進!親ロシア政党が第二党に!ウクライナ政治に影響力を持つ
2019年のウクライナ大統領選挙では、ボロディミル・ゼレンスキー大統領の「国民のしもべ」が大勝しましたが、その一方で親ロシア政党「野党プラットフォーム―生活党」が第二党に躍進したことも注目に値します。大統領新党に票を奪われる中、野党生活党は得票率を伸ばし、堅実に票を集めました。
野党生活党の指導者であるヴィクトル・メドヴェドチュクは、ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領と親密な関係にあります。この選挙結果からは、ウクライナの政治の中で、ロシアとの関係改善を求める声が一定数存在することが伺えます。
ロシアとの結びつきが浮かび上がる!「メドヴェドチュク」が党を牽引
欧米のメディアによれば、ウクライナの親ロ派新党「野党プラットフォーム―生活党」の幹部であるビクトル・メドベチュク氏はロシアの大統領ウラジーミル・プーチンと深い関係を持っているとされています。メドベチュク氏はプーチン氏と近しい新興財閥オリガルヒの一員で、彼の娘の洗礼式にプーチン氏が立ち会ったほど。その関係は、「ゴッドファーザー」(名付け親)とも形容されています。
プーチン大統領は2019年7月18日、ウクライナ議会選挙の3日前に、「ロシア・ウクライナ関係の全面的な回復へあなたの党を含めてどの政党とも協力する」とメドベチュク氏に述べました。これは、ウクライナの政治状況におけるロシアの影響力を示す一例ともいえます。
「野党プラットフォーム―生活党」は親ロ派勢力が集まった新党で、ロシア系住民や対ロ関係の改善を期待する住民が多く、東部地域を主な地盤としています。ロシアはこの政党の議席獲得を利用し、ゼレンスキー政権の欧州統合路線にブレーキをかけようとした。これに向けて、ロシアは議会選挙に様々な工作を展開していました。
ロシアとのつながり浮き彫り!メドヴェドチュクがガスプロムとテレビ局との連携
「野党プラットフォーム―生活党」の指導者ビクトル・メドヴェドチュク氏の活動は、ロシアとの強固なつながりを明らかにしています。2019年6月7日には、ロシアの国営ガス会社ガスプロムのミレル社長がメドヴェドチュク氏に対して、ウクライナ向けのガス価格を25%引き下げる意向を示しました。
さらに、メドヴェドチュク氏が所有するテレビ局とロシア国営テレビは、ウクライナとロシアの国民が参加する対話番組を共同で企画しました。しかし、この番組はウクライナの大統領ヴォロディミル・ゼレンスキーの強い反対に遭い、結果的に7月12日にロシア側だけで放送されました。
メドヴェドチュク氏は一貫して、クレムリンの対ウクライナ政策と合致した公約を掲げ続けています。これらの出来事は、彼の政治戦略がいかにロシアと密接に連携しているかを示しています。
政治素人のゼレンスキー政権が本格始動!!でもその道は前途多難?
経験不足と国内外の挑戦
2019年のウクライナの選挙の結果は、有権者が現状の政治に対する不満を抱き、変革を求めたことを明確に示しています。しかし、新たに選出されたヴォロディミル・ゼレンスキー大統領自身が「政治的素人」であり、ゼレンスキーの党員も政策経験が豊富とは言えません。ゼレンスキーらは多くの課題に直面することになります。
ウクライナの権力構造では、国内政策は議会が主導し、大統領は防衛と外交政策を監督します。ゼレンスキー大統領には国際情勢に関する知識がほとんどなく、ロシアのプーチン大統領による試練が待っています。ゼレンスキーはしっかりとした立場を保持し、背骨を維持しなければなりません。
また、ゼレンスキー大統領は、国際通貨基金(IMF)との支援交渉も行わなければなりません。そして、国内の改革が急務です。法の支配を改善し、更に多くの国有企業の民営化を進め、財産法を自由化する必要があります。腐敗は経済成長を阻害する大きな要因であり、ゼレンスキー大統領は腐敗の撲滅、東部の紛争停止、ウクライナ捕虜の帰還を重要課題としています。
国民は生活改善を求めていますが、公共料金の引き下げなど、特にガス料金の引き下げは、IMFの融資との関連で慎重にならなければなりません。ゼレンスキー大統領自身だけでなく、彼の陣営も政治経験が乏しいという現実に直面しています。適切な人材を選出し、それを統率する能力がゼレンスキー大統領にあるのかどうかは、現時点では不確かでした。
【ウクライナ危機(16)】コメディの舞台からウクライナの救世主へ『ウォロディミル・ゼレンスキー』の驚異的な軌跡