大統領選挙において、Qアノンの信者たちはトランプ大統領を熱烈に支持し、トランプの再選を願って活動しました。
彼らはトランプ陣営の一部として選挙集会やデモに参加し、オンラインで情報を共有しました。この支持は、トランプ大統領にとって重要な選挙基盤となりました。
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Trump and QAnon
トランプ支持者とQアノン
Qアノンは、特に元大統領ドナルド・トランプの関連集会で一般的な光景となっていました。
Qアノンのシャツや帽子を身につけた参加者は至る所に見られ、さらに中には、子供をQアノンのテーマに基づいた服装で着せる親も存在します。
Qアノンの信者たちは、大手メディアの90%が邪悪な秘密結社の一部であると信じ、トランプが世界を救うための救世主として選ばれたと確信しています。
そのため、メディアのトランプバッシングが起こっている中でも、多くの愛国者が彼を支持し、Q運動は彼らに力を与え、彼らの信念のために戦い、社会の闇を暴露することを推進しています。
あるラスベガスのカップルは、Qアノンのテーマを取り入れたロンパーを着せた娘を集会に連れて行き、7月17日を「Qデー」にしました。
なぜなら、Qはアルファベットの17番目の文字だからです。
Qアノンの陰謀論は、トランプが民主党のエリートによる暗躍する闇のカバールに立ち向かっており、彼がQアノンの核心的な物語で中心的かつ英雄的な存在であるという信念に基づいています。
さらに、マイケル・フリン将軍や、彼の法的チームのメンバーであるリン・ウッドやシドニー・パウエルなど、トランプの関係者の中にも、Qアノンに由来する陰謀論を広める人物が存在します。
彼らの存在は、Qアノンの影響力が有権者だけでなく、政治の最前線にまで及んでいることを示しています。
トランプの陰謀論戦略!Qアノンを利用する危険な政治の舞台裏
ドナルド・トランプ自身がQアノンについてコメントを求められると、明確にこれを否定することはせず、代わりに「小児性愛を撲滅する」との発言で、逆にQアノン信者を煽りました。
これはQアノン信者にとって、彼らの信念が何らかの形でトランプに認められていると捉えられ、運動にさらなる勢いをもたらす結果に繋がりました。
このようなQアノンの陰謀論の広がりに対し、TwitterやFacebookなどのSNS大手企業は懸念を抱え、対策を講じるようになりました。
これらの企業は、過去数ヶ月の間にQアノン関連の投稿やアカウントを非表示にするなど、対策を強化していますしかしこのような対抗策は、信奉者たちにとっては、陰謀論の正しさを証明するものと解釈されてしまうのです。
トランプ陣営は、このようなQアノンという集団を、再選のために利用しようとしているように見えます。
これは、政治的な利益のために、事実に基づかない陰謀論を利用するという危険なゲームであり、社会に混乱をもたらす可能性があります。
トランプのQアノン関連行動
ドナルド・トランプ自身が、意図的にか偶然かは不明ながら、Qアノン支持者の発言をリツイートするという事例が過去に見られました。
さらに、彼の息子エリック・トランプもInstagramにてQアノンのミーム(拡散用の動画や画像)を投稿するなど、一部の家族もQアノンに関連した行動を示しています。
トランプ自身が、特定の数字である「17」を強調する行動も見受けられます。
例として、2018年8月1日のツイートが挙げられます。トランプはこのツイートで、ムラー特別検察官と民主党による調査を「魔女狩り」と批判しました。
しかしここで注目すべきは、それまで「13人の怒れる民主党議員」と表現していた部分を「17人の怒れる民主党議員」に変更したことです。
「17」はQアノンの信者にとって重要な数字であり、アルファベットでQが17番目の文字であるため、Qアノンと連携していると解釈されます。
これらの行動は、トランプが意図的にQアノンの支持者を煽っている、あるいは少なくともその信念を助長していると捉えることができます。
Qアノンが動く!トランプのコロナ感染に信者たちが集結
ドナルド・トランプが新型コロナウイルスに感染したと公になったとき、Qアノン信者たちの反応も注目されました。
トランプが入院したウォルター・リード米軍医療センターの前では、Qアノン信者たちが集まり、彼に声援を送っていました。
しかし、Qアノン信者の中には、トランプが実際に入院したという事実自体を疑う者もいました。
Qアノン陰謀論の一部は、トランプが故意に感染したか、あるいは感染を装って秘密の作戦を進めているという主張でした。
これは、彼らがトランプを救世主と見なし、彼が深い意味で動いていると信じることに起因すると思われます。
この時期のQアノン信者たちの行動と反応は、彼らが政治的出来事やトランプの健康状況にどれほど深く関与しているかを示しています。
これはまた、Qアノン信者が一貫してトランプを中心に据えており、彼らの信念が彼の行動と密接に結びついていることを強調しています。
Qアノンの勢い、トランプの関与!曖昧な支持が運動の広がりに与えた影響
一方で、トランプ自身は公の場でQアノンを直接支持する発言をしていません。トランプがQアノンについて具体的に言及したのは少なく、大抵は「彼らは私のことが大好きなようだ。ありがたいことだ」といった曖昧なコメントでした。
トランプが一番具体的に言及したのは、2020年8月19日のホワイトハウスでの記者会見で、「運動についてよくは知らないが、彼らは私のことが大好きなようだ。ありがたいことだ。彼らは国を愛する人たちだと聞いている」と語った時でした。
しかしこの種の曖昧な支持は、Qアノン信者たちにとっては援助と見なされました。
その結果、Qアノン運動は勢いを増し、インターネット上から実際の社会に影響を与えるようになりました。
トランプの選挙集会や共和党のキャンペーンの会場では、QアノンのTシャツを着たりプラカードを持ったりする信者たちが大勢集まるようになりました。
これらの行動から、Qアノンが再選を目指すトランプにとって重要な支持基盤となっていたことがわかります。
討論会の火種!?Qアノンを称賛する発言がSNSで拡散される
2020年のアメリカ大統領選挙が迫る中、ドナルド・トランプ大統領と民主党のジョー・バイデン前副大統領は、それぞれ2020年10月15日にタウンホール形式のテレビ集会を開催しました。
両者の集会は、新型コロナウイルス感染拡大に対するトランプ政権の対応が主な焦点となりました。
本来、この日はアメリカ大統領選挙の第2回討論会が予定されていましたが、トランプがCovid-19に感染したことで予定が変更されました。
リモート開催の提案に対し、トランプは「リモートならやらない」と拒否の意思を示しました。一方で、バイデンは予定通りに進行することを選び、ABCネットワークでタウンホール形式の集会を開催しました。
トランプもまた独自のタウンホール形式の集会を開催し、その放送はNBCネットワークが担当しました。
新型コロナウイルスとの闘いにおける曖昧な発言
トランプ大統領は自身の新型コロナウイルスに関する健康状態について数多くの疑問を残しました。その一つが、彼が最後に陰性診断を受けた日についてで、これについて彼は明確な記憶がないと語りました。
また、9月29日の第1回討論会の当日にウイルス検査を受けたかどうかも明らかにしませんでした。
これは、トランプが討論会の前にウイルス検査を受けていたかどうか、またその結果が陰性であったかどうかについて重要な疑問を投げかけることとなりました。
さらに、トランプは自身の肺に感染が見られたと医師から告げられたことを明らかにしましたが、その詳細については公表していませんでした。
トランプのこの曖昧な発言は、彼の健康状態についての憶測を増幅させる一因となりました。
このような情報の曖昧さは、大統領選挙の候補者が自身の健康状態について公開すべきという一般的な期待とは対照的であり、公衆のトランプの健康状態に対する信頼を損なう可能性がありました。
Qアノンについてのトランプ大統領の発言
NBCの司会者であるサバンナ・ガスリーは、トランプ大統領に対して「Qアノンはクレイジーで間違っている、と言えますか」と質問しました。
これに対してトランプ大統領は「Qアノンについては何も知らない」と主張しました。
「ご存知のはずです」とガスリーが食い下がると、トランプ大統領は「知らない」と繰り返し、その後「私が聞いた限り、彼らは小児性愛者に強く反対しているということだ。私はそれに賛同する」とQアノンを賞賛するようなコメントをしました。
陰謀論とリツイート…トランプ大統領とガスリーの応酬
ガスリーは、トランプがリツイートしたウサマ・ビンラディン殺害に関する陰謀論について取り上げ、「なぜこんな嘘をフォロワーに送るのか」と質問しました。
トランプは「私はたくさんのリツイートをしている。率直に言って、メディアはフェイクで腐敗している。もしソーシャルメディアがなければ…私は言葉を外に発することができない」と述べました。
これに対し、ガスリーは「その言葉が嘘なのではないか」と応酬しました。
「人々は自分で判断することができる。私はどちらかの立場をとっているわけではない」と続けるトランプに対して、ガスリーは「理解できない。あなたは大統領だ。なんでもリツイートしても許される、誰かのイカれた叔父さんじゃないんだから」と批判しました。
トランプ大統領の白人至上主義(アンティファ)に対する姿勢
トランプはさらに、「私は何年も白人至上主義を非難してきたが、あなたたちはいつも私にはその質問から始め、ジョー・バイデンにはアンティファを非難するかどうかを聞かない」と発言しました。
そして、「私は白人至上主義を非難し、アンティファを非難し、都市を焼き尽くす左派の人々を非難する。彼らは民主党が操っている」とも述べました。
前月に行われた第1回大統領候補討論会では、トランプは繰り返し白人至上主義を非難するように促されていましたが、応じていませんでした。
勇気ある司会者に対する攻撃…ガスリーへのネット上の批判と侮辱
最初の討論会がトランプの妨害で「史上最低」と評されたこともあり、ガスリーの勇気と賢明さに視聴者からは喝采が送られました。しかし、同時に、ガスリーに腹を立てた人々も存在しました。
対話集会の放送後、Googleでは「ガスリー、メスブタ」などといった組み合わせの検索が急増しました。Twitter上でも、ガスリーを「売女」といった表現で批判するコメントが飛び交いました。
また、Googleの検索エンジンでも、ガスリーの名前と「bitch」や「cunt」などの蔑称を組み合わせた検索が急増し、これらの検索ワードが一時的にトレンド入りしました。
オバマ前大統領が「Qアノン」「トランプ」「共和党」に警鐘を鳴らす
バラク・オバマ前大統領が2020年10月14日に出演したポッドキャストで、トランプと共和党に対してQアノンに活動の場を与えたと批判したことは事実です。
オバマは、「トランプは、偽情報とその拡散の原因と同義になっている」と指摘し、「Qアノンのような狂った陰謀論が共和党の主流に流れ込んでいるのを見れば、共和党系のメディア体系にもはやガードレールなどないことが分かる」と述べました。
Qアノンは、インターネット上で広まっているさまざまな陰謀論と関連しており、その多くが根拠のない批判を米民主党に向けています。
オバマは、共和党やトランプがQアノンの拡散に寄与したと主張し、Qアノンのような陰謀論が共和党の主流に入り込んでいることに懸念を表明しました。オバマはまた、共和党系のメディアが偽情報の拡散に制約を受けずに活動していることを指摘しました。
「バーサリズム陰謀論」トランプの陰謀論の政治利用
これまでも、ドナルド・トランプは大統領選挙の過程で陰謀論を利用し、政治的地位を築き上げてきました。その中でも最も注目を集めたのが「バーサリズム」です。
これは、バラク・オバマ前大統領がアメリカ国内で生まれたという公式の記録に疑義を唱える陰謀論で、オバマは実際にはケニアで生まれ、したがって大統領の適格性がないと主張するものです。
憲法の解釈に揺れる2012年大統領選挙!トランプのバーサリズム論争
この陰謀論は、2012年の大統領選挙が近づくにつれて多方面から持ち上がりました。
その中でも、不動産王であり、当時大統領選挙への意欲を示していたドナルド・トランプがこの問題を取り上げ、オバマの出生地について疑義を唱えました。
トランプはオバマの父親がケニア出身であることから、オバマもケニアで生まれおり、そのために出生証明書を公開できないというデマを流し続けました。
トランプの主張は、アメリカ合衆国憲法の規定に基づいています。
それによれば、大統領になるためには「Natural Born Citizen(米国生まれの米国人であること)」、すなわち生まれながらの市民である必要があります。
しかし、「Natural Born Citizen」の具体的な定義が憲法にはなく、外国で生まれたアメリカ市民が大統領になる資格があるかどうかは法的に明確に定義されていません。
したがって、トランプはこの不確定性を利用してオバマの出生地と市民権を疑問視しました。
これにより、テレビ番組やオンライン上で激しい議論が交わされるようになりました。
オバマの出生証明書公開により疑念は払拭も…攻撃は続く
これに対して、バラク・オバマは2011年4月27日に、自身がハワイ州で生まれたことを証明する出生証明書の原本コピーを公開しました。
2008年にはすでに「出生証明書」を公表していましたが、これはコンピュータで印刷された簡易版でした。
出生証明書を公開した際、オバマ大統領はホワイトハウスで記者会見を開き、「こんなばかげたことに時間を割くべきではない」と発言しました。
オバマはこの問題が重要な政策論争を妨げていると指摘し、来る大統領選挙に向けて自身の出生地に関する議論に終止符を打つ意向を示しました。
これらの動きにより、オバマの出生地についての疑念は払拭され、政策討論のための時間が確保されることとなりました。
オバマのこの行動は多くのメディアによって報じられ、その様子は各テレビ局によって生中継されました。それにもかかわらずトランプは、オバマ大統領の出生証明書が「偽造」であるという主張を根拠なく続けました。
トランプ、オバマ外国生まれ説を撤回
しかし、2016年6月16日にワシントンでの集会で、「オバマ大統領は米国で生まれた。以上だ」と述べ、不機嫌そうな表情でオバマが外国生まれであるという持論を撤回しました。
責任をヒラリー・クリントンに転嫁
さらに、従来の主張を転換したこの日の集会では、「最初に火を付けたのは、(民主党候補の)ヒラリー・クリントンだ」と、責任転嫁しました。
さらに、「オバマ大統領に生まれた場所を証明する書類を提出させて、この論争を終わらせたのは、何を隠そう自分だ」と逆にその成果を主張しました。
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