【Qアノン陰謀論(7)】ドナルド・トランプが世界最大のコロナ・インフォデミックの牽引者とされる理由

トランプ大統領のコロナ対策やマスク非着用に関する情報は、アメリカ社会を分断させ、多くの議論を巻き起こしました。彼は経済重視の姿勢からマスク着用を拒否し、デマ情報やQアノンの流布にも関与していたとされます。

さらに、トランプの行動は公衆衛生専門家や科学者との対立を生み、感染症対策の遅延につながりました。また、ワクチン接種への姿勢も賛否が分かれ、支持者の間で懐疑論が広がりました。

【Qアノン陰謀論(6)】トランプ大統領のフェイクニュース攻撃!信じるべきは?
created by Rinker
全米で大ベストセラー。歪んだ大統領を生み出した一族の「腐食の連鎖」。(「BOOK」データベースより)

Infodemic leader “Donald Trump”

インフォデミックの拡大をけん引した大統領

CNBC/YouTube

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは、科学的な議論と反対に、混乱と不確実性を広げる情報の洪水、いわゆる「インフォデミック」を引き起こしました。

米コーネル大学の研究によれば、このインフォデミックの世界的な拡大を最もけん引したのは、元米国大統領ドナルド・トランプであったとのことです。

コーネル大学の研究

2020年にはコーネル大学の研究チームが、ドナルド・トランプ元米国大統領が新型コロナウイルスに関する誤情報の拡散を世界で最もけん引したとする論文を発表しました。

3800万本の記事から見えるトランプとデマ情報の関係性

2020年10月1日に公開されたこの論文では、研究チームが2020年1月1日から5月26日までの期間に、世界中のメディアで発信された新型コロナウイルスに関する3800万本の英語の記事を分析しました。

その結果、110万本以上の記事が偽情報を掲載していたことが判明し、そのうちの37.9%(約42万3921本)にトランプに関する記述が含まれていました。

「特効薬」に関するデマ

特に目立っていたのは「特効薬」に関する偽情報で、トランプが抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンとクロロキンが新型コロナウイルス感染症の治療薬になると主張したにもかかわらず、これを支持する査読済みのデータは存在していませんでした。

また、トランプが紫外線や消毒剤が新型コロナウイルス感染症の治療に使えるかもしれないと発言した際、「特効薬」関連の誤情報に分類される記事の数が1万件から1日で3万件を超えました。

公衆衛生専門家の警鐘

新型コロナウイルスの脅威が高まる中で、トランプ元大統領のデマ情報と誇張が公衆衛生上のリスクをもたらす可能性について、公衆衛生の専門家たちは深刻な懸念を示しました。

世界保健法の専門家であり、世界保健機関(WHO)にパンデミックへの対策についてアドバイスしているローレンス・ゴスティン教授、は、BUSINESS INSIDERとのインタビューでトランプの危険性を指摘しています。

ゴスティン教授は、「トランプ氏は、過去に感染症の流行時に人々のパニックを煽るような行動を取っており、新型コロナウイルスに関しても、中国とアメリカがウイルスを完全にコントロールしていると発言するなど、人々に誤った安心感を与えている」と述べています。

さらに、ゴスティン教授はトランプの一般的なコミュニケーションスタイルについても懸念を表明しており、「真実でないことを言ったり話を誇張しがちな彼の性質は、新型コロナウイルスが流行する中、恐れている一般市民に情報を伝えなければならない時に、非常に有害である」と語っています。

このような偽情報と誇張が、公衆の判断を歪める可能性があり、感染予防や対策に対する信頼性を損なう可能性があるため、公衆衛生の専門家たちはこの問題に真剣に取り組むよう呼びかけたのです。

トランプの経済重視とコロナ軽視

2020年7月4日、米国の独立記念日のイベントで、トランプは過激左派、マルクス主義者、無政府主義者との戦いを宣言しました。

また、新型コロナウイルスについて「感染しても99%無害」という発言を行いました。この発言は科学的な根拠に欠けており、専門家からは大きな批判を受けました。

同月の初めには、予想を上回る6月の米雇用統計が発表され、トランプは急遽記者会見を開き、自身の政策により経済が力強く回復していると自画自賛しました。

これらの活動を通じて、トランプのメディア露出は一層増え、その発言が広く伝えられる機会が増えました。

しかし、その一方でトランプの誤情報と過度な自己評価は、パンデミックの真剣さを理解することを困難にし、一般市民を混乱に陥れる可能性をはらんでいました。

株価急落はコロナ報道メディアのせい?トランプの主張

トランプの選挙戦略においては、「好調な経済」が中心的な要素となっています。

トランプは、自身の選挙キャンペーンの中で、アメリカ経済の好調ぶりを頻繁に誇り、その成果を自分の政策のおかげであると主張しています。

しかし、新型コロナウイルスの脅威が明らかになるにつれ、株価は急落しました。この事態に対し、トランプは報道機関に対して不要な警戒を煽ったと強く批判しました。

2020年2月26日には、「新型コロナウイルスはフェイクニュース、レイムストリームメディアによる念仏だ」とツイッターに投稿し、メディアが大量の新型コロナウイルス関連ニュースを流すことで、彼自身に痛手を与えていると主張しました。

さらには、新型コロナウイルスの出現と、彼自身が弾劾裁判を受けていた2020年初めのタイミングを結びつける陰謀論を唱える声も出ました。

その中にはトランプの息子、エリックも含まれており、新型コロナウイルスは民主党がトランプを失脚させるためにでっち上げたものだと主張しました。

トランプ支持者の科学とメディアへの疑念

「コロナ、コロナ、コロナ。そればっかりだ。投票日が終わったら、それほど口にされなくなる」。これはトランプが演説の中で述べた言葉です。

このような発言は、トランプの支持者に、新型コロナウイルスに関する報道や警戒がトランプの選挙運動を妨害する目的で行われているという印象を与えました。

トランプの支持者の中には、「科学者やメディアはわざと大騒ぎして経済を停滞させ、選挙でトランプの足を引っ張ろうとしている」と信じる人々もいました。

トランプがメディアや科学者を公然と攻撃し続けた結果、多くのトランプや共和党の支持者は、正しい情報や科学的根拠に基づく報告に耳を塞ぐ傾向が強まりました。

情報の断片化と、一部の人々が確立された科学的知見や専門家の意見に疑念を抱くようになったことは、社会全体のパンデミックに対する対応を混乱させ、効果的な対策の実施を妨げる要因となりました。

「パニックをおこさせないため」トランプのパニック回避戦略

2020年、米国で新型コロナウイルスによる最初の死者が確認される数週間前にトランプ大統領はウイルスの危険性を認識していたにも関わらず、公の場ではこのリスクを何度も軽視する姿勢を示していたことが、著名なジャーナリスト、ボブ・ウッドワードの新著「RAGE(レイジ)怒り」によって明らかになりました。

本書はトランプが直接語った内容を詳細に記述しています。

ウッドワードによると、2020年1月下旬にトランプ大統領は側近から新型コロナウイルスの危険性について詳しい説明を受け、2月7日の電話インタビューでは「インフルエンザよりも命に関わるものだ」と述べ、その深刻さを認識していたといいます。

しかし、それから約1ヶ月後の3月10日には議会議事堂で「落ち着いて。新型ウイルスはそのうちなくなるから」と発言し、ウイルスの危険性を軽視するメッセージを送りました。

ホワイトハウスが国家非常事態を宣言した数日後の3月19日に、ウッドワードとのインタビューでトランプ大統領は、「新型ウイルスについて過小評価したかった。今でも過小評価したいと思っている。パニックを起こしたくないからね」と述べ、公の場でウイルスの危険性をあえて低く表現していたことを認めました。

created by Rinker
ウッドワード,ボブ 米国を代表するジャーナリスト。1943年生まれ、イェール大学卒。49年間にわたりワシントン・ポスト紙の記者、編集者を務め、ニクソンからトランプまで歴代大統領を取材・報道しつづけている。同紙の社会部若手記者時代に、同僚のカール・バーンスタイン記者とともにウォーターゲート事件をスクープし、ニクソン大統領退陣のきっかけを作ったことで知られる。このときの二人の活動から「調査報道」というスタイルが確立され、また同紙はピュリツァー賞を受賞した。ウッドワードはその後も記者活動を続け、2002年には9.11テロに関する報道でピュリツァー賞を再度受賞。共著を含めた19冊の著作すべてがノンフィクション書籍のベストセラーリスト入りを果たしている。現在はワシントン・ポスト紙アソシエイト・エディターの責にある(「BOOK著者紹介情報」より)

Qアノンはトランプと同調するようにデマを流布

Qアノンはトランプと同調するかのように、新型コロナウイルスに関してもは、その存在や影響を否定するなど、様々な陰謀論を展開しました。

陰謀論の一つに、新型コロナウイルスの感染拡大やその深刻さを「民主党や専門家がデマとして流し、経済を停滞させて大統領選を有利に進めようとしている」という主張があります。

更に、Qアノンは米国立アレルギー・感染症研究所の所長であるアンソニー・ファウチ博士に対しても攻撃しています。

ファウチ博士は、新型コロナウイルスに関する情報を提供し、感染拡大を防ぐための対策を提案してきましたが、Qアノンは「陰謀団体ディープステートの一員であり、トランプ大統領に対する妨害工作を行っている」という荒唐無稽の非難を受けました。

これらのデマを見聞きした一部の人々は、公衆衛生の専門家の警告や、科学的な証拠を疑うようになってしまいました。

指導者の二重基準?トランプ大統領のマスク推奨と着用拒否

2020年4月3日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、米国疾病対策センター(CDC)は、市民が外出する際に顔を覆うことを推奨する新たなガイドラインを発表しました。

それまで健康な人へのマスクの着用は勧めていませんでしたが、無症状感染者によるウイルスの拡散が明らかになり、感染拡大防止のため方針を転換しました。

同日、トランプ米大統領は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「非医療用の布」の着用を国民に勧告すると発表しました。

これまでの指針では病人以外のマスク着用は不要としていましたが、新たな勧告により方針転換となりました。

しかし、トランプ大統領はその上でマスク着用を「任意」であると強調し、「する必要はないし、私はしないことにした。

ただ、一部の人々がしたいなら、問題ない」と述べ、大統領執務室内でマスクを着用する場面は想像しがたいと説明しました。

さらに「マスクを付けたまま大統領や首相、統治者、王、女王を迎えるのは想像できない」とも述べています。記者会見の出席者にマスクをしていた人は一人もいなかったことからも、その態度が明らかでした。

ANNnewsCH/YouTube
トランプ大統領のバイデンのマスク姿への嘲笑

2020年5月25日、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)に、当時の候補者ジョー・バイデンはマスクを着用して公の場に姿を現しました。

これは2020年3月に国家非常事態宣言が発令されてい以来、初めてのことでした。

トランプ大統領は、バイデンのマスク姿の写真をリツイートし、「公の場でマスクを着用したがらない理由がこれで分かるだろう」とコメントしました。

これは、トランプ大統領が公の場でマスクを着用することを嘲笑する意図があると受け取られました。

大統領の息子であるドナルド・トランプ・ジュニアも、バイデンのマスク姿をインスタグラム上で「臭いもかぐことができない“口輪”」と揶揄しました。

これらの発言は、トランプ大統領と彼の周囲がマスクの着用に反対する立場を示すものでした。

それにもかかわらず、トランプ大統領は公の場でのマスク着用を求める米国疾病対策センター(CDC)の勧告には同意し、ホワイトハウスのスタッフにもマスクの着用を義務付けしたのです。

しかし、トランプ大統領自身や彼の側近、マイク・ペンス副大統領らは、マスクを着用しないと公言していました。

バイデンの反論とマスクの重要性

このマスク問題について、バイデンはCNNのインタビューで、「トランプ氏があのようなコメントをするのは本当のばかだ。

世界の著名な医師はみな、人が集まる場所ではマスクを着用すべきだと言っている」と反論しました。

さらにバイデンは、「世界一流の医師らはだれもが、人の集まる場所ではマスクを着けるべきだと言っている」と再度強調し、マスクを拒否する行為は人命にかかわると主張しました。

「大統領の職務は国を率いること。愚行を重ねて偽のたくましさを装うことではない」とも付け加えました。

大統領選戦略の舞台裏!トランプのマスク非着用の意図と戦略

トランプ大統領がマスクを公然と拒否する背後には、2020年の大統領選挙への戦略があったとされています。

トランプは経済活動の正常化が選挙勝利の鍵だと信じており、マスクの着用がそれを妨げると考えていたのです。

特に、共和党が伝統的に強い地域、例えば南部のフロリダ州やテキサス州などでは、「マスクをしない自由」を求める声が強く、主に白人保守層からの支持を得ていました。

2020年5月21日、トランプ大統領はミシガン州の自動車工場を視察しましたが、その際にマスクを着用せずに報道陣の前に姿を現しました。

トランプはマスクを着用しなかった理由について、「(記者がいない)他の場所では着けていた。報道陣にマスク姿を見せて喜ばせたくなかった」と説明しました。

さらに、「正直言ってマスク姿の私は、より格好良く見える」とも語りました。

同年9月29日の討論会でも、トランプ大統領はバイデンを「今まで見たことないような大きなマスクをしている」とからかい、「彼は国を閉鎖したがっている」と挑発しました。

これらの発言は、保守層へのアピールとして解釈されました。

テレ東BIZ/YouTube

ノーマスク行動の連鎖…トランプ支持者の影響と新型コロナウイルスの広がり

このように、新型コロナウイルスの流行が深刻化した2020年において、アメリカ合衆国でマスク着用に関する議論が激化しました。

政府は2020年4月初旬にマスク着用を奨励するガイドラインを発表しましたが、一部の国民は「個人の自由の侵害」としてこれに反発しました。

特に、共和党支持者やリバタリアンとして知られる人々の中には、マスク着用に抵抗感を示す者が多くいました。

トランプ前大統領自体も、公の場でマスクを着用しない姿勢を示し、民主党のジョー・バイデンとの間で、マスク着用に関して激しい言葉の応酬が繰り広げられました。

これは、感染症の対策が政治化され、特にトランプ前大統領が支持層に対して「新型コロナウイルスは大した問題ではない」「外国人を国外に出せば問題が解決する」などと語りかけていたことが背景にあるとされています。

マスクは感染防止の効果があると科学的に証明されているにもかかわらず、トランプ前大統領を含む一部の政治家や支持者にとって、マスク着用は弱さや臆病さ、政府の支配に従うことの象徴とされ、その反対が政治的な抗議行動とされました。

このような政治的な論争は、感染拡大を阻止するための効果的な対策を取ることを妨げる結果となりました。

マスク着用が広く受け入れられず、感染拡大を食い止めるための科学的根拠に基づく対策が遅れることとなったのです。

Good Morning America/YouTube

「真の男性はマスクを着用する」トランプ大統領の方針転換

新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、アメリカのマスク着用に関する議論が一層加熱しました。

トランプ大統領は初め、自身がマスクを着用しないと公言し、マスク着用を続ける民主党のバイデン前副大統領をあざ笑う姿勢を示していました。

しかし2020年6月28日、副大統領のマイク・ペンスが遊説先でマスクを着用し、公にその着用を推奨しました。この姿勢は共和党内でも広がり、有力議員たちがマスクの着用を公に呼びかけるようになりました。

下院議員のリズ・チェイニーはツイッターで父親であるディック・チェイニー元副大統領のマスク姿の写真とともに、「真の男性はマスクを着用する」と投稿しました。

その後、トランプ大統領がよく視聴しているとされるFOXニュースの朝の情報番組のキャスターが、「今後は”Masks Are Great Again(マスクは再び素晴らしい)”と読み直すべきだ」とコメントし、マスク着用の重要性を説きました。

これらの一連の動きの中で、トランプ大統領は2020年7月1日に初めてマスク着用に前向きな姿勢を示しました。

FOXビジネスネットワークでのインタビューにおいて、全米でのマスク着用の義務化は不要としながらも、「マスクの着用には大賛成だ。もし他人との距離が取れない状況にいたら、私だってマスクを着用するし、これまでもそうしてきた」と述べたのです。

NBC News/YouTube
トランプ大統領が初めて公にマスクを着用

2020年7月11日、トランプ大統領は公の場で初めてマスクを着用し、ワシントン郊外の軍の病院を訪問しました。

これまでの新型コロナウイルスの感染拡大を受けても彼はマスク着用を拒んできましたが、この日は訪問先が病院であったため、「マスクをつけるのは素晴らしいことだ」と語りました。

大統領の紋章が付いたネービーブルーのマスクを着用したトランプ大統領は、あらかじめ決められた病院内のルートを歩き、入院中の兵士や医療スタッフに「ありがとう」と声をかけました。

「病院で、多くの兵士や、場合によっては手術台から降りたばかりの人たちと話すような特殊な環境では、マスクを着けるのは素晴らしいことだと思う」と述べました。

この日、トランプ大統領は、「人との距離を確保できない場合には、マスクの着用を推奨する」と述べ、「好むと好まざるに関わらず、マスクは効果がある」と強調しました。

自身も着用に慣れてきていると説明し、複数の人と一緒にいる場合やエレベーターの中ではマスクを着用すると述べました。

最後にトランプは、「マスク着用や社会的距離確保のほか、手洗いを徹底するなどし良好な衛生状態を維持して、(感染)リスクの高い人々を守るよう」アメリカ国民に呼びかけました。

この呼びかけは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた対策として重要な一歩となりました。

トランプ大統領がマスク着用を「愛国的」と認める

2020年7月20日、ドナルド・トランプ大統領は、ツイッター上でマスク着用を「愛国的」とコメントしました。

過去数か月間、新型コロナウイルス対策の一環としてのマスク着用を拒否し続けてきたトランプ大統領が、自身がマスクを着用した写真をツイートし、その愛国的な行為を強調しました。

この投稿は、公の場でのマスク着用について彼のスタンスが変わりつつあることを示すもので、新型コロナウイルスに対するアメリカの対策を支える重要なメッセージとなりました。

「ノーマスク派 vs マスク派」アメリカにおける分断と新型コロナウイルス対策

そしてアメリカでは、マスク着用が政治的な象徴となり、社会の深刻な分断を生み出しました。

この状況は、ドナルド・トランプ大統領の発言と行動が一部のアメリカ人に対して「マスクを着用することは不必要、または個人の自由を侵害する行為である」というメッセージを送ったためです。

その後、トランプ大統領はマスク着用を推奨しましたが、それでも「マスクを着ける=反トランプ」、「マスクを着けない=親トランプ」という概念が形成されてしまいました。

例えば、ウェストバージニア州から訪れたトランプ大統領の支持者は、「マスク着用は効果があるか分からない」と述べ、トランプ大統領の否定的な見解を反映しています。

一方、フロリダ州から訪れたトランプ反対派は、「マスクを着けてソーシャルディスタンスを徹底しています」と述べ、公衆衛生専門家の意見を重視し、感染拡大防止のためにマスク着用の重要性を強調しています。

これらの対立は、アメリカ社会全体の新型コロナウイルス対策に影響を及ぼし、ウイルスの拡大防止という共通の目標を達成するための統一的な取り組みを妨げてしまいました。

トランプ大統領が警鐘!ワクチン開発の陰謀とは?

ドナルド・トランプ大統領は、2020年8月にTwitterで、米国の食品医薬品局(FDA)が自身の再選を望んでいないと主張し、また新型コロナウイルスのワクチン開発を故意に遅らせていると非難しました。

これは、彼がしばしば用いる「ディープステート」(Deep State)という用語とともに行われました。

“ディープステート”とは、一部の陰謀論者が政府内部に存在すると主張する、政策を自身の意志で操作する影の政府のことを指します。

この表現は、政権の利益に反して政策を操作しているとトランプが非難する政府職員を指すのに使われます。

大統領の主張は一部の支持者からは歓迎されましたが、野党民主党や多くの専門家からは非難の声が上がりました。特に、民主党のナンシー・ペロシ下院議長はトランプの発言を「常軌を逸している」と批判しました。

また、FDA自体も反論し、ワクチンの承認については、その安全性が確認されるまで慎重に進めると強調しました。

FDAは公衆衛生の守護者として、新しい治療法やワクチンが安全かつ効果的であることを確認する責任があります。

このプロセスを急ぐことは、患者の安全を危険に晒す可能性があるため、FDAはプロセスを厳密に遵守する必要があったのです。

Reuters/Youtube

トランプ大統領、コロナ感染!衝撃のニュースに世界が騒然

2020年10月2日未明、ドナルド・トランプ米大統領とメラニア・トランプ夫人は、新型コロナウイルスの検査で陽性と診断され、ウォルター・リード陸軍医療センターで隔離状態に入ったことを明らかにしました。

これは、大統領の側近がコロナウイルスの陽性診断を受けたことが判明した前日のことでした。

大統領はマスクの着用を推奨するようになっていましたが、公の場で自身がマスクを着用することはほとんどなく、また、他者との間に約6フィート(約182センチメートル)の距離を保つというガイドラインにも従っていなかったとされています。

トランプ大統領はツイッターに投稿し、「今夜、メラニアと私はCOVID-19(新型ウイルスによる感染症)検査で陽性と判定された。隔離と回復のプロセスを直ちに開始する。私たちは共に乗り越える!」と宣言しました。

この報告が流れると、日本でもテレビやインターネット上で次々と速報が伝えられ、ツイッター上では関連ワードが並び、人々の関心の高さと衝撃の大きさを物語りました。

大統領の主治医であるショーン・コンリー医師は、2日未明に公表したメモで、大統領とファーストレディーが回復期間中、ホワイトハウスにとどまる計画であり、医療チームが絶えず監視を続けると説明しました。

コンリー医師は、「大統領が回復の間、混乱なく職務を遂行し続けると私は予想しており、安心してほしい。今後の展開について最新情報を提供し続ける」と述べました。

Trump White House Archived/YouTube

秘密の感染!トランプ、討論会前に新型コロナに感染していた

2021年に英国の新聞「ガーディアン」は、重要な報告を公開しました。

この報告によれば、ドナルド・トランプ前米大統領は、2020年9月29日に行われた米大統領選の第1回テレビ討論会のわずか3日前、つまり9月26日に新型コロナウイルスの検査で陽性反応が出たとされています。

報告によれば、討論の直前に行われた別の検査ではトランプは陰性とされていましたが、感染の疑いがある状況でした。それにもかかわらず、トランプは討論会への出席を強行したとされています。

大炎上!トランプの傍若無人な討論会姿勢に批判殺到

討論会では、当時の民主党の大統領候補であったジョー・バイデンと約90分間にわたり激論を交わしました。

この討論会では、トランプが司会者やバイデンの発言を70回以上にわたり遮り、進行を妨害したことで、「史上最悪の討論会」と米メディアにより酷評されました。

また、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにマスクを着用していたバイデンをあざ笑うなど、トランプの姿勢に批判が集まりました。

報道によると、討論会に同行したトランプの側近であるヒックスは、討論会の前後でトランプと同じ大統領専用機に乗り、ホワイトハウスの顧問であるスティーブン・ミラーや大統領選のキャンペーン・アドバイザーのジェイソン・ミラーと”マスクなし”で接触していました。

また、討論会中、トランプの側近たちはマスクを着用せず、クリーブランド・クリニックの医師から提供されたマスクの着用も拒否したと報じられています。

討論会報道を巡るフェイクニュース論争

これらの報告は、トランプ前政権で大統領首席補佐官を務めていたマーク・メドウズの新著「The Chiefs Chief」で明らかにされたものでした。

メドウズは著作の中で、「トランプ氏を阻止する手立ては存在しなかった」と振り返っています。これは、討論会直前にトランプが陰性の検査結果を得たことから、「何の問題もなかったかのように振る舞うことができる」と感じていたからです。

トランプ自身は、この報道に対して「フェイクニュース」と反論しています。

TBS NEWS/YouTube

驚異の回復!トランプ大統領、短期間で入退院し選挙集会に復帰

トランプ前大統領は、2020年10月2日に新型コロナウイルスの検査で陽性反応が出たことを自身のツイッターで公表しました。これは、9月26日に陽性反応が出てからわずか一週間後のことでした。

トランプの妻、メラニア・トランプも同時に陽性となりました。

トランプは、同日ワシントンD.C.郊外のウォルター・リード国立軍事医療センターに入院しました。「症状が出た」とされ、ホワイトハウス内で人工呼吸器を使用したとも報じられました。

しかし、彼の入院は短期間で、同月5日には早期退院を果たしました。

さらに同月12日、トランプは「検査で陰性が2日続いた」と宣言し、フロリダ州で数千人が集まる選挙集会に「マスクなし」で復帰しました。

ホワイトハウス南庭での集会では、バルコニーから約17分間にわたり演説を行い、「体調は最高だ」と快復をアピールしました。

また、「米国はこのひどい”中国ウイルス”に打ち勝つ。ワクチンはすぐ使えるようになる。ウイルスは消えてなくなるだろう」と発言しました。彼は登場時に着けていたマスクをすぐに外しました。

ANNnewsCH/YouTube
トランプがうけた庶民には叶わぬ高額治療の現実

トランプ前大統領が新型コロナウイルスに感染した際、彼の健康状態はアメリカ国内外の関心事となりました。

トランプの医師団や側近たちは、現職の大統領が新型コロナウイルスの感染で亡くなった場合、それがアメリカという国の威信に影響を及ぼすことを認識していました。

このため、トランプは当時既に重症患者に使用されていた抗炎症薬「デキサメタゾン」や抗ウイルス薬「レムデシビル」を投与されました。

さらに、まだ未承認であった抗体薬も使用されました。これらの治療は、彼の現職の地位や巨額な富により可能となったもので、庶民には手の届かない高額な治療でした。

トランプの治療はその後も専門医によって続けられました。公的医療保険のないアメリカでは個人が支払う医療費は非常に高額です。

しかし、最高の地位と巨額な富を持つトランプだからこそ、庶民には受けられない高額な治療を受けられました。

トランプ自身が不死身ではないことを示すこの事例は、新型コロナウイルスの深刻さを改めて示すものでした。

大統領でさえも感染するリスクがあるという事実は、ウイルスが全ての人々にとって脅威であることを明確に示しています。

ホワイトハウスでマスク外しのパフォーマンス

2020年10月5日、新型コロナウイルス感染症に感染し、入院していたドナルド・トランプ前米大統領は、ウォルター・リード陸軍病院から退院し、ホワイトハウスに戻りました。

トランプがホワイトハウスに入る直前には、自身が着用していたマスクを外し、ポケットにしまいました。

その後、米国旗を背にしてヘリコプターの操縦士や記者団に敬礼し、玄関口に数分間留まりました。一部の米メディアはこの行動を記念撮影の機会と見なしました。

直後のトランプのツイートでは、Twitterで米New York Postの記者、ミランダ・デバインの記事から「大統領が選挙戦に復帰すれば、彼は民主党がしかけた汚い罠だけでなく、中国ウイルスにも打ち勝った無敵のヒーローになるだろう」というテキストを引用し、ツイートしました。

また、専用ヘリでホワイトハウスに降り立ち、バルコニーに立つ自分の映像を勇壮なBGMとともに配信し、自らを戦士のように描きました。

これらの行動は、トランプ自身の強さとリーダーシップを示す一方で、新型コロナウイルス感染症への取り組みや公衆衛生への配慮を無視しているとの批判も受けました。

この時期は、感染症対策や公衆の健康への懸念が高まっており、トランプ前大統領の行動に対する反応は賛否両論でした。

SankeiNews/YouTube

トランプの入院中ツイートがコロナ対策の信頼性を揺るがす

ドナルド・トランプ前大統領は、新型コロナウイルス感染症に罹患したにもかかわらず、その経過をTwitterなどを通じて積極的に公表し続けました。

トランプは自身の退院をTwitterで発表し、そのツイートの中で「コロナを恐れるな。コロナに人生を支配させるな。

トランプ政権の下、われわれは本当に優れた医薬品や治験を得た。私は20年前より気分がいい!」と発言しました。

このようなトランプの発言は、新型コロナウイルスに対する恐怖を和らげ、トランプ政権の病気に対する対策を強調するものでした。

このメッセージを支持し、新型コロナウイルスに対する恐怖心を緩和すべきだとする人々もいましたが、その一方でこの発言は無責任で、ウイルスの深刻性を過小評価しているとする批判も強く、特に医療界や公衆衛生の専門家からは人々がウイルスを真剣に受け止めず、推奨される予防措置に従わない可能性を高めるとの懸念が示されました。

政治的にも分断が表れ、民主党からはトランプのツイートに対する非難の声が上がりました。一部の民主党員は「ひどい発言だ」と述べ、またウイルスで死亡する人々を何らかの形で弱いと見ていると非難しました。

しかし、一部の共和党員はトランプのメッセージを受け入れ、彼を支持するために操作されたビデオを共有するなど、分裂を深める行動をとる者もいました。

コロナとインフルエンザの危険性比較に批判集中

ドナルド・トランプが2020年10月6日に新型コロナウイルスとインフルエンザの危険性を比較する投稿を行ったところ、その情報が誤りであると指摘され、SNS上では削除されました。

その投稿には、「インフルエンザの季節が近づいている!毎年多くの人が、時には10万人を超え、ワクチンを接種しているにもかかわらず、インフルエンザで亡くなっている。私たちはこの国を閉鎖するつもりなのか?いいえ、私たちはインフルエンザと共存することを学んだ。私たちがコロナと共存する方法を学んでいるように、ほとんどの人口では致死性ははるかに低いです!!!」と書かれていました。

ABC7/YouTube
証拠に基づかない!インフルエンザとコロナの死亡者数の真実

しかしながら、この主張はすぐに誤りであることが証明されました。

CNNの記者、ドニー・サリバンは、アメリカにおけるインフルエンザによる毎年の死亡者数は2万4000人から6万2000人であり、それに対して、2020年の3月から同年の10月までに新型コロナウイルスで21万人以上のアメリカ人が死亡したと指摘しました。

また、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、2019年から2020年のシーズン中にインフルエンザによる死者は約2万2000人であり、これはトランプ大統領が主張したよりも大幅に少ない数字です。

さらに、過去10年間で最も死亡者が多かったインフルエンザの季節でも、死亡者数は6万1000人に過ぎず、これも大統領の主張したよりも大幅に少ない数字でした。

バイデンとトランプの対照的なコロナ対策!感染率と死亡率の差を検証

ジョー・バイデン前副大統領は、大統領選挙期間中、マスクの着用や一部のイベントをオンラインで開催するなど、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ対策を強調していました。

対照的に、ドナルド・トランプ前大統領は対面でのイベントを主張し、マスクを定期的に着用しないスタンスを取っていました。

バイデンはワクチンと科学者の専門性を信頼していましたが、トランプはその信頼性を疑問視していました。

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)を含む複数の情報源が報告しているところによれば、2020年大統領選挙でトランプに投票した郡の新型コロナウイルス感染症による死亡率は、バイデンに投票した郡よりも高かったという事実があります。

NPR (米国公共ラジオ放送)は、前回の大統領選挙でトランプを支持した郡に住む人々が、バイデンを支持した地域に住む人々に比べて新型コロナウイルス感染症で死亡する可能性がほぼ3倍になったと報じています。

この傾向は、新型コロナウイルス感染症による死亡率の主な人口統計的リスクである年齢を調整した場合でも維持されました。

また、ABCニュースが連邦データを分析したところ、ワクチンが広く普及したことにより、トランプに投票した州の死亡率がバイデンに投票した州より38%以上高かったことが判明しました。

さらに、フォーブスの記事では、2020年の大統領選挙で共和党に投票した郡では、新型コロナウイルス感染症による死亡者数が100人当たり73人増えたと報告しています。

これは民主党に投票した人よりも多い。

この傾向の理由は複雑で、一部の専門家はワクチンに対する共和党の抵抗と、ウイルス対策全般に対する共和党のより放任主義的なアプローチを理由として挙げています。

Washington Post/YouTube

トランンプが感染症対策のトップ「ファウチ博士」を痛烈批判

ドナルド・トランプ大統領は新型コロナウイルスパンデミックの対応について多くの批判を受けてきました。

特にパンデミックの死者数が42万人を超えるという事実を指摘されるたびに、トランプは国立アレルギー感染症研究所の所長であるアンソニー・ファウチ博士や他の公衆衛生専門家を批判しました。

トランプは国が新型コロナウイルス危機の「最終段階」にあると主張しましたが、ファウチ博士はこの見解に同意せず、その結果、トランプはファウチへの批判を強めました。

これに対して、ジョー・バイデン陣営は科学の重要性を強調し、ファウチ博士の意見を尊重する立場をとりました。

これに感化されたトランプの支持者は「ファウチに火をつけろ」と集会で叫びました。これを受けてトランプは「現時点では何も言えない。しかし、彼らのアドバイスには感謝している」と応じました。

その後、トランプはファウチ博士をあくまで「善良な人」と評価しながらも、ファウチが多くの点で間違っていると若干のフォローをしました。

この対立の火種となったのは、ファウチ博士がトランプの主張を反論したときでした。

ファウチ博士は、トランプのマスク着用拒否について、「それは科学的根拠に基づくものではない」と指摘しました。また、トランプが選挙の勝利を主張したが、これは具体的な証拠によって裏付けられていませんでした。

テレ東BIZ/YouTube

「アンソニー・ファウチ博士」感染症の権威としての評価と人気の理由

ドナルド・トランプ大統領は、国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ博士がテレビに出演する度に、自身に不都合な情報を公にすると不満を表明していました。

しかし、ファウチ博士はアメリカ国民から広範囲にわたる信頼を得ており、彼を解任することは大きな反発を招く可能性があったというジレンマも存在しました。

ファウチ博士は医学研究者として50年以上の経歴を持ち、1984年からNIAIDの所長を務めてきました。

ファウチ博士はHIV、SARS、エボラ出血熱など、多くの感染症についてのアドバイスをレーガン政権から6代の大統領に対して行ってきました。

ジョージ・W・ブッシュ大統領からは、文民に贈られる最高位の勲章の一つである大統領自由勲章を授与されました。

USAトゥデイ紙はファウチ博士を「国宝」と評し、並外れた専門知識と優れたコミュニケーション能力を持つ感染症分野のエキスパートであると称賛しています。

ファウチ博士の親しみやすい口調とその人物像は、難解なウイルス感染の科学的見解から医療現場の厳しい状況まで、包み隠さず正確に伝えてくれる親族のような存在として、多くのアメリカ国民から支持されています。

特に、感染者数・死者数が全米最悪となったニューヨークでは、ブルックリン出身のファウチ博士は人気が高いです。

トランプ大統領の隣に立つ疫学のエキスパート!

大統領選挙期間中、トランプ大統領は当初、記者会見でファウチ博士を隣に立たせ、自由に発言させていました。これは「私のスタッフにはこのように疫学に精通した人物がいる」という自慢の一部でもありました。

新型コロナ対策での大統領とファウチ博士の対立激化!

ファウチ博士は全米のPCR検査数を増やすことを一貫して提唱してきましたが、トランプ大統領はしばしばその立場とは異なる見解を示してきました。

トランプ大統領はアメリカが世界で最も多くのテストを行っていると主張し、検査を受けたい者は誰でも受けることができると語っていましたが、これらの主張は誤りであったことが後に明らかになりました。

また、大統領は時にテストの必要性を軽視する発言も行ってきました。

2020年3月末、トランプ大統領が記者会見で自身の陰謀論に触れ、国務省を「ディープステート省」と呼び出した際には、会見に同席していたファウチ博士は笑いをこらえるような反応を見せました。

この映像はインターネット上で話題となりました。それにもかかわらず、ファウチ博士は2020年4月中旬まで対策チームの一員として、毎日のようにトランプ大統領とともに記者会見に参加していました。

これらの会見では、記者からの質問に答えるファウチ博士の内容が、数分前にトランプ大統領が述べたものと異なることがしばしばありました。

しかし、2020年4月24日以降、大統領は公の場に出ることが少なくなりました。

同時にファウチ博士は政権から「アラーミスト」(警戒主義者・不必要に人々を警戒させる人)というレッテルを貼られ、ほとんどのテレビ出演が禁止されました。

これはトランプ大統領とファウチ博士との間で新型コロナウイルス感染症対策に関する意見が相違していたことの一端を示していると言えます。

ファウチ博士の発言が選挙広告で歪曲…真実を無視した政治的利用に懸念

ファウチ博士の発言が勝手に切り取られ、トランプ大統領の新型コロナウイルス対策を称賛する形で政治広告に使わることもありました。

ナレーターが「トランプ大統領は新型コロナウイルスから回復している。そしてアメリカも」「我々は共に立ち上がってこの困難に立ち向かい、高齢者を守り、命を救う医薬品を記録的な速さで提供している。出費は惜しまない」と語った後、ファウチ博士が「これ以上のことができる人がいるとは想像もつかない」と発言する流れでした。

しかし、ファウチ博士の発言は2020年3月のFOXニュースでのインタビューから抜粋されたものであり、その発言は新型コロナウイルスの対策チームとの連携を評価するものでした。

この事実は広告では無視されており、ファウチ博士はこのことを非常に懸念しました。

「共和党の選挙広告で私の許可なく私の発言だとして使われたものは、数カ月前に私が連邦医療当局の対応について一般論として発言したもので、文脈を無視して使われている」と、ファウチ博士は語りました。

さらにファウチ博士は、「50年近い公職期間中に政治家候補を公に支持したことは一度もない」と付け加えることで、彼自身が自身の発言が政治的に利用されることを拒否していることを強調しました。

テレ東BIZ/YouTube
トップ科学者の生命の危機…陰謀論者からの恐怖と戦い

ファウチ博士の存在は大きな影響を与えており、公衆からの反応は様々です。

一部の人々は彼の提言を尊重し、Tシャツやマグカップ、ボブルヘッドなどのファウチ博士を讃える商品を購入して支持を表明しています。

しかし、ファウチ博士の推進する感染症対策は、全体の「自由」を制限するものであると捉えられ、特に保守派からは強い反発を受けしまいました。

新型コロナウイルス感染症をフェイクと信じる一部の人々は、ファウチ博士やその家族に対して脅迫を行っている者もいます。

これらの脅迫の影響について、ファウチ博士は公に語り、自身と家族が受けた精神的なダメージを明らかにしました。

陰謀か真実か?ファウチ博士を追及する衝撃の新刊本

特に、トランプ大統領の支持者の間ではファウチ博士に対する批判が強く、一部の人々はファウチ博士を秘密の反トランプ結社の一員とみなしています。

そんな中で、「アンチ・ファウチ博士」本も発売されヒットしました。

保守ライターのスティーブ・ディースとトッド・アーゼンの共著『悪魔に魂を売ったファウチ博士 米国史上最も強権的で危険な官僚』(“Faucian Bargain: The Most Powerful and Dangerous Bureaucrat in American History”)である。

その中の一つにロバートF.ケネディジュニア著『The Real Anthony Fauci』があります。

この本では、詐欺や納税者の窃盗、データの捏造、科学的な不正確さ、検閲、偽のモデル、誤った陽性検査結果の事前ロード、そして不適切な行為など、ファウチ博士の過去と彼が行ったとされる嘘が詳述されています。

しかし、こういった書籍の中で述べられている主張の一部は、誤解を招いたり、事実とは異なるものであるとして多くの専門家から議論や批判を受けています。

ファウチ博士の告白…トランプ政権下での苦悩とバイデン政権での解放感

アンソニー・ファウチ博士は、アメリカの感染症の権威であり、コロナウイルス危機において国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の所長として活躍しています。

ファウチ博士は2021年1月21日のホワイトハウスの記者会見で、トランプ政権時代の経験を語り、その後バイデン政権が就任した後の変化についても触れました。

トランプ政権下での科学の壁

ファウチ博士はトランプ政権時代に、科学的な見解を述べるたびに反発や圧力に直面していたと語りました。

この期間中、ファウチ博士は公衆に対して正確な情報を提供する役割を担っていましたが、政府内で科学的な見解が常に受け入れられるわけではなかったと述べました。これは、彼が声を上げるのが難しいと感じる原因となっていたようです。

ファウチ博士のバイデン政権での希望

バイデン政権下では、ファウチ博士は科学的な証拠を提示し、真実を語ることに「解放感」を感じていると述べました。

ファウチ博士は、バイデン政権が科学的な根拠に基づいた政策を強調し、専門家の意見を重視していることを評価しています。

ファウチ博士の警鐘!無視された事実が招いたパンデミックの犠牲

ファウチ博士は2021年1月22日にCNNに出演し、トランプ政権がパンデミックに対して科学に十分に耳を傾けていなかったと批判しました。

ファウチ博士は、「極めて、極めて明確に示されていた事実」が無視されていたと述べ、これが人命を犠牲にした可能性があると指摘しました。

真実を追い求めた専門家!ファウチ博士のアトランティック紙インタビュー

さらに、アトランティック紙とのインタビューでは、ファウチ博士はトランプ政権からの否定的なコメントには悩まされていなかったと述べ、医師、科学者、公衆衛生の専門家としての彼の仕事に集中していたと語りました。

ファウチ博士はまた、常に真実を語り、事実を隠すことはなかったと述べ、その一方で、その姿勢が彼があまりテレビに出なかった理由の一つだった可能性があるとも認めました。

公衆衛生の最高権威に信頼危機!!トランプ政権の情報操作の真相

2020年9月17日、米国のニューヨーク・タイムズ紙は、トランプ政権が、専門家らの反対を押し切って米疾病対策センター(CDC)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のガイダンス(検査指針)を変更し、CDCのウェブサイトに掲載したと報じました。

これはトランプ政権がこれまでに知られていた以上にアメリカ疾病対策センター(CDC)に直接的に介入していたことが明らかとなった事例でした。

そしてCDCという、米国の公衆衛生分野の最高権威組織内部の信頼危機を引き起こす一因となりました。

CNBC Television/YouTube
CDCガイダンスの改ざん

トランプ政権のアドバイザーたちは、CDCの公式メッセージの内容だけでなく、保健医療面の公式ガイダンスを1行ごとに詳細にチェックし、聖歌隊やバーやレストランでのソーシャルディスタンス(対人距離の確保)に関する記述から、公衆衛生に関する報告の要約に至るまで、CDCの科学者たちが書いた文章を変更していました。

政府介入が公衆衛生の信頼性に与える深刻な影響

これらの情報は、CDCと政府機関の現任と元職員へのインタビュー、および電子メールから明らかになりました。

政府の介入が公衆衛生のガイダンスに影響を及ぼすことは一般的には避けられるべきで、科学的根拠に基づいたガイダンスの提供が妨げられたことは、公衆衛生機関の信頼性に重大な打撃を与える可能性があります。

CDCの新ガイドラインの波紋…専門家の指摘と撤回の背景

この新しいガイドラインは、以前のCDCガイドラインとは異なり、感染症検査の数を減らす内容であり、多くの批判が寄せられました。

専門家は、この新しいガイドラインがウイルスの蔓延を抑制する取り組みを妨げる可能性があると指摘しました。

CDCは、この新しいガイドラインを後に撤回し、以前のガイドラインに戻しました。以前のガイドラインでは、新型コロナウイルス感染症の患者と接触した人は、無症状であっても検査を受ける必要があるとされていました。

「CDC vsトランプ政権」パンデミック対策を巡る分野での意見対立

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まって以来、CDCとトランプ政権との関係は緊張していました。

2020年2月、CDCの国立予防接種・呼吸器疾患センター所長ナンシー・メソニエは、ウイルスが深刻な社会的混乱を引き起こす可能性について警告した際、その発言が株式市場の下落を引き起こし、トランプ大統領を激怒させました。

また、トランプ政権は、病院データの収集や経済活動の再開に関するガイドラインなど、他の分野でもCDCに対して圧力をかけたと報告されています。

マスクガイダンスと死亡報告の改ざんに関する証言

トランプ政権期にCDCの内部で生じた複数の問題について、他のCDC当局者も口を開きました。これには、マスクの着用に関するガイダンスや子どもの感染事例や死亡に関する記者発表が阻止された事例が含まれています。

主席副所長だったアン・シューチャット博士は、”CDCの関係者は口止めされている”とのCNN報道に対して、「我々の多くがそう感じていた」と認めました。

これは、公衆衛生専門家の意見が十分に発表されなかった可能性を示しています。

CDC報告書の書き換えと公衆衛生スタッフの抵抗

2020年9月には、厚生省(HHS)の次官補だったマイケル・カプートがCDCの報告書を書き換えようとしたとの報道がありました。さらに、カプートは、CDC内にトランプ政権に反対する「部隊」が存在すると批判し、後にこれについて謝罪しました。

これらの問題に直面したCDCのスタッフは、報告書の真実性を守るために大きな努力を払ったとシューチャット博士は指摘しました。

具体的には、CDCは報告書の内容が不適切に改ざんされることを防ぐための努力を惜しみませんでした。この証言は、CDCの科学者や専門家が自身の役割と公衆衛生の保護に真剣に取り組んでいたことを示しています。

「ワクチンサミット開催」アメリカ人最優先のワクチン接種方針を打ち出す

2020年12月8日、ドナルド・トランプ大統領は「ワクチンサミット」をホワイトハウスで開催し、政府関係者やワクチンの流通を担う民間企業を集めました。

このサミットでは、米国で開発された新型コロナウイルスのワクチンを米国民に優先的に接種することを規定する大統領令に署名しました。

国外への供給は、「米国民の需要を賄える力があることを確認した後」とすると明記されました。

トランプ大統領は、「この後、大統領令に署名する。米政府はワクチンを外国に送るよりも先に米国民に優先的に配布する」と発言しました。

したがって、米国政府が調達したワクチンは、全米国民が必要とする量が確保された後に初めて国外に供給されるということになります。

一方で、トランプ政権で対策チームを指揮するアンソニー・ファウチらは、このイベントには出席しませんでした。

バイデン政権移行チームの不招待

バイデンもまた、「就任して100日で1億本のワクチンを国民に届ける」という国内重視の姿勢を示しています。しかしながら、このワクチンサミットにはバイデン次期大統領の政権移行チームの関係者は招かれませんでした。

この点について問われたトランプは、「(大統領選の)激戦州でわれわれは勝利し、不正があったため、次の政権を誰が担うのかまだ見極める必要がある。だが、次期政権がどちらであれ、われわれが成し遂げたことの恩恵を受けるだろう」と発言。

「次期政権がトランプ政権であることを願う」とも述べました。

Bloomberg Quicktake: Now/YouTube

米国で初のワクチン承認!トランプ大統領の接種意向に注目が集まる

2020年12月11日、アメリカの食品医薬品局(FDA)は、製薬大手ファイザーなどが開発した新型コロナウイルスのワクチンについて緊急使用を許可しました。

全米でのワクチン接種が始まるための出荷作業などの準備が進行中であり、世界最多の感染者数を有する米国で初のワクチンが承認されたことにより、パンデミック(世界的大流行)の収束への期待が高まりました。

一方で、トランプ大統領は、ファイザー社などが開発し、緊急使用が認可された新型コロナウイルスのワクチンについて、当面は接種しないとの意向を示しました。

トランプはツイッターで「ホワイトハウスで働く人々は、特に必要でない限りは少し後で接種すべきだ」と投稿し、「私は接種する予定はなく、適切な時期に受ける」と明らかにしました。

トランプのワクチン接種とブーイング

2020年秋に新型コロナウイルスに感染したトランプ前大統領は、回復した後、免疫を獲得したと公言していました。

しかし、それとは裏腹に、トランプと彼の妻メラニア・トランプは、2021年1月に退任する直前に、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けていたことが判明しました。この情報は当初公には発表されていませんでした。

トランプは共和党に所属しており、この党の一部の有権者はワクチンに対して否定的な意見を持っていることで知られています。

トランプがこのような行動を取った背景には、これらの有権者の世論を意識していた可能性が考えられます。

この事実は、トランプがFOXニュースの元司会者ビリー・オライリーと共に各地を訪れていた際、オライリーの番組がツイッターに投稿した動画を通じて公に知られることとなりました。

トランプ前政権は新型コロナウイルスワクチンの開発に力を入れていましたが、トランプ自身が自分が接種を受けたことについて公に語ることは少なく、ワクチンの推奨にも消極的でした。

動画では、オライリーが「大統領も私もワクチンを打っている」と述べ、続けてトランプに対して「追加接種は受けたか?」と質問しました。

トランプが「打った」と回答すると、一部からブーイングの声が上がりました。トランプは、ブーイングを鎮めるために「やめろ、やめろ」と呼びかけ、「大丈夫だ。あそこにいるとても小さい集団だ」とコメントしました。

ANNnewsCH/YouTube
「公開 vs 非公開」トランプとバイデンのワクチン接種アプローチの違い

一方で、ジョー・バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領は、昨年の2020年12月にワクチン接種を受け、その様子をテレビで生中継しました。

彼らは自身のワクチン接種を公にすることで、アメリカ国民に対してワクチンの安全性と効果性をアピールし、接種を促進することを試みました。

トランプ前大統領がワクチン接種を公にしなかった理由については、具体的に明らかにされていませんが、トランプとバイデンの異なるアプローチは、それぞれのリーダーシップスタイルと公衆衛生に対する考え方の違いを反映しているとも言えます。

トランプが変わった!?ワクチン接種を奨励し自己実績を訴える

トランプ前大統領は、2021年2月28日にフロリダ州で行った大統領後初の演説で、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けるようアメリカ国民に奨励した。

トランプは、ワクチンには痛みがないことを強調し、国民にワクチン接種を受けるよう促した。

トランプは、バイデン政権下で新型コロナウイルスワクチンの迅速な開発と配布に道を開いた「超高速(ワープ・スピード)」作戦の責任者だったと主張し、自分の実績を訴えました。

トランプ大統領はワクチンの開発と展開を頻繁に政治問題化しているが、ワクチンは効果があり、接種しても死亡することはないとも述べている。

ワクチン接種訴えに対するブーイングとアラバマ州の低い接種率

アラバマ州を含む一部の共和党支持地域では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種率が低いと報告されています。

政治的な信念や健康に対する個人的な見解がこの傾向に寄与している可能性があります。

アラバマ州は、特にワクチン接種率が低い共和党支持地域の一つであると認識されています。2021年7月時点で、アラバマ州のワクチン完全接種率は35%に留まっていました。

さらに、2021年5月には、「ワクチンパスポート」の使用を禁止する州法がアラバマ州で成立しました。ワクチンパスポートは、新型コロナウイルスワクチンの接種歴を証明するものです。

また、2021年10月には、アラバマ州の知事が、連邦政府による新型コロナウイルスワクチン義務付けに対抗するため、州司法長官に協力を求める行政命令を出しました。

これらの事実から、政治的な信念や政策がアラバマ州のワクチン接種率に影響を与えている可能性が示唆されます。

トランプのワクチン接種呼びかけと矛盾する発言

2021年8月21日にアラバマ州で開催された集会で、ドナルド・トランプは、「君たちの自由を完全に信じている。君たちがやらなければならないことをするべきだ。でもワクチンを接種することをお勧めする。私もやった。これはいいぞ」とワクチン接種を訴えました。

しかし、その発言に対して会場からはブーイングが起こりました。

トランプの支持者の多くは反マスク派としても知られており、この集会でもほとんどの参加者がマスクを着用していませんでした。

トランプはブーイングの声に対し、「それでもいいんだ。大丈夫」と返し、自身がワクチンを接種したこと、それが効果を発揮していることを強調しました。

さらに「でも、私はワクチンをたまたま接種した。これが機能しない場合は、君たちが最初に知ることになる」と冗談めかしつつ、「でも機能している。君たちには自由がある。これは維持しなければならない」とトランプは語りました。

変異種デルタ株が猛威を振るう中、トランプは「あなた方の自由は尊重するが、ワクチン接種を勧める。私は打った。ワクチンはいい。効果がある」と語り、自身の支持者にも接種するよう呼びかけたのです。

トランプのこの発言は一貫性がありませんでした。

トランプ政権が新型コロナワクチンの開発を進めたと成果をアピールする一方で、2021年9月の米紙インタビューでは追加接種について「反対ではないが、受けないだろう」と述べていたのです。

CNN/YouTube

トランプのブースター接種公表と支持者のブーイング

トランプ前米大統領は、2021年12月19日にテキサス州で開催されたイベントで、新型コロナウイルスワクチンの追加(ブースター)接種を受けたことを公表しました。

大統領在任中にワクチンが開発されたことを自身の政策の成果と位置づけ、トランプは「数千万人の生命が助かった。ワクチンがなかったなら、スペイン風邪のような事態が起こっただろう」と述べました。

トランプは1918年に欧州と米国で大流行し、約5000万人が死亡したスペイン風邪との比較を引き合いに出しました。

しかしながら、トランプの新型コロナウイルスワクチンに関するスタンスは一貫していません。

トランプはこれまで自身の政権がワクチン開発を推進したと主張しながらも、2021年9月の米紙インタビューではブースター接種について「反対ではないが、受けないだろう」と述べていました。

新型コロナウイルスの脅威を軽視するトランプの影響で、その支持者の間には反ワクチン派が多く存在します。

トランプがブースター接種を受けたことを公表したとき、一部の支持者からはブーイングが起きました。これに対してトランプは「やめてくれ」と反応し、会場を落ち着かせました。

また、イベントでは「ワクチン接種を受けたくないなら、強制されるべきではない」と強調しましたが、同時にワクチン開発の功績について「歴史的なことをした。手柄を奪われないようにしなければならない」と主張しました。

TBS NEWS/YouTube

トランプの娘がワクチン接種を報告した結果、SNSでの炎上騒動

2023年4月14日、ドナルド・トランプ前米大統領の長女イバンカ・トランプが久々にツイッターを更新しました。

この投稿は、ジョー・バイデンが大統領に就任した2021年1月末以来、約3ヶ月ぶりとなりました。その投稿内容とは、新型コロナウイルスのワクチンを接種した様子でした。

彼女は自らの腕に注射されている写真を投稿し、国民に対して自分と同じようにワクチンを接種するよう促しました。トランプ一族の中でワクチン接種を公にしたのは、イバンカが初めてとなります。

以前、トランプ自身がメラニア夫人と共に、ひそかにワクチンを接種していたと報じられていました。

しかし、この投稿に対する反応は賛否両論で、ネット上では大荒れの状態となっています。

トランプの支持者の中には、反ワクチン派や新型コロナウイルス懐疑派が多く、彼らからは「1年前はもっと利口だったのに」とワクチン接種に対する失望の声が上がっています。

また、「バイデンに感謝してるってこと?」「2024年の(大統領選)出馬を見据えて?」との疑念や批判も寄せられています。

一方、反トランプ派からは、「あなたのことは好きじゃないけど、ワクチン接種したことは正しいわ」といった肯定的な意見や、「あなたと家族はコロナをデマだと言って民主党を批判してきたせいで、多くのアメリカ人が亡くなったの覚えてる?」といった厳しい批判も見られました。

その他、個人的な健康選択を公にすることへの反感や、陰謀論めいたコメントも見られ、コメント欄は混沌とした状況になりました。

さらに、Qアノン関連のアカウントでは、「ワクチンを受けたとは言っていないぞ」「ビタミン注射ではないのか」「リベラルの間抜けをワクチンから遠ざけるために投稿したのだろう」「処刑されたのか」などといった、陰謀論者たち独特の解釈が次々と書き込まれていました。

「トランプ支持者」「ワクチン陰謀論」「Qアノン」政治とワクチン接種の相関関係

複数の研究によると、米国における政治的な所属と新型コロナウイルスワクチンへの抵抗感との間に明確な相関関係が見られることが明らかになっています。

特に、2020年の大統領選挙でドナルド・トランプ前大統領に投票した郡では、ジョー・バイデン現大統領に投票した郡と比べてワクチン接種率が低いことが確認されています。

ニューヨーク市中心部の大学生を対象にした研究では、共和党への支持がワクチン接種に対する抵抗感と強く関連していることが示されました。

さらに、ピュー研究センターによる調査では、新型コロナウイルスに関する初期の情報をトランプ前大統領やホワイトハウスのコロナウイルス対策本部から主に得ていたアメリカ人が、現在ではワクチン接種を受ける可能性が最も低いとされています。

これらの相関関係の原因は多岐にわたります。政治的な見解がワクチンの普及と新型コロナウイルス感染症の影響に関与している可能性を示唆する研究もあります。

「ディープステート」がワクチンを強制するために働いているという主張は、Qアノンの陰謀論として広まり、ワクチン接種に対する懐疑論を高めている一因と考えられます。

さらに、このパンデミックはQアノンや他の陰謀論者とカルト宗教が重なり合うことになりました。

その結果、過去の様々な陰謀論や荒唐無稽な世界観を取り込みながら、世界中に広がっていったのです。

created by Rinker
全米で大ベストセラー。歪んだ大統領を生み出した一族の「腐食の連鎖」。(「BOOK」データベースより)
【Qアノン陰謀論(8)】オバマ vsトランプ!アメリカ政治の一大スキャンダル「オバマゲート」とは!?

You might be interested in …

当サイトではプロモーションが含まれています。また、利用状況の把握や広告配信などのために、GoogleやASP等のCookieが使用されています。これ以降ページを遷移した場合、これらの設定や使用に同意したことになります。詳細はプライバシーポリシーをご覧ください

X