【Qアノン陰謀論(6)】トランプ大統領のフェイクニュース攻撃!信じるべきは?

トランプ大統領と主要メディアの対立はアメリカ社会を揺るがしました。トランプのフェイクニュースという非難やメディア攻撃は、不正確な情報との戦いでした。

一方で、メディアはトランプの発言を厳しく批判し、信憑性を疑いました。

暴言王トランプ vs ヒラリー!スキャンダルと攻撃が渦巻く壮絶な大統領選!
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Trump vs The Media

「アメリカの分断」トランプ大統領とメディアの対立

CBC News: The National/YouTube

フェイクニュースとして主要メディアの報道を一蹴し、さらなる対立を煽るトランプ大統領。

その一方で、トランプの発言こそが事実ではないという批判が続くメディア。2017年頃のアメリカでは、トランプ大統領を支持するか否かが、有権者だけでなくメディアや社会全体の分断をもたらしていました。

スティーブン・バノンの影響とソーシャルメディアの影響力

トランプ大統領がメディア攻撃の手を緩めない理由は二つある。

一つ目は、最側近であるスティーブン・バノン大統領上級顧問・首席戦略官の影響である。バノンは、既存のメディアを「反対派党」と位置付け、その攻撃を指導している。

二つ目の理由は、トランプ大統領自身がソーシャルメディアを通じて非常に大きな影響力を持っていることだ。

トランプのツイッターフォロワーは約2600万人に上り、フェイスブックでは約2100万人のフォロワーがいます。合計すると4700万人もの人々が彼の発言を直接受け取っていることになります。

これにより、トランプはメディアを介さず自分の考えを直接、瞬時に発信することが可能になっている。

この「武器」を持つトランプ大統領は、メディアとの対立があっても、自分の意見を効果的に反撃することができる。

しかし、その戦略が必ずしも公平な情報伝達につながるとは限らない。

政府とロシアの不透明な関係が背景にあるとされ、真相を追及しようとするメディアとの間で、一層の対立が生まれている。

真実はどこに?メディアの信頼性と民主主義の保護

メディアの信頼性を疑う声が高まる中、真実はますます見えにくくなっていました。社会全体が情報の信頼性を疑い始めた時、それは民主主義そのものに影響を及ぼすものでした。

だからこそ、私たちは真実を追求し、真実を伝えることが重要になっていきました。そのためには、情報源を確認し、異なる視点からの情報を検証することが必要です。

そして何より、私たち個人が批判的思考を持つことが求められてきています。

トランプ大統領のSNSパワー!メディア攻撃と支持者へのアピール

トランプ大統領は、自分に批判的な既存メディアを“フェイクニュース”として非難し、その代わりにSNSで直接国民や世界に向けて自分の言葉を発信している。

この新しいコミュニケーション戦略は、彼にとって非常に効果的であるように見える。

ツイッターのフォロワー数が5000万人を超えるトランプ大統領の言葉は、翻訳されて世界中で拡散され、従来のメディアでは考えられないほどの浸透力と波及力を持っている。

トランプは、マスコミによる都合の悪い報道に対して、ツイッターを活用して即座に「フェイクだ!」と反論し、自分の主張を展開している。

そして、それが真実であるかどうかにかかわらず、彼の言葉は広く受け入れられている。

この戦略は、彼の支持者に対して特に効果的である。

NBCテレビとウォール・ストリート・ジャーナル紙の共同調査によると、米国民の53%が「メディアはトランプ政権の問題点を大げさに報じている」と考えており、共和党支持者ではなんと89%がこの見解を共有している。

これは、トランプ大統領がメディアを攻撃することで、彼の支持層を強化していることを示している。

CNN/YouTube

フェイクニュースの意味と役割

「フェイクニュース」は、単なる間違った情報、つまりmisinformationを指すだけでなく、トランプ政権のコンテクストでは、トランプにとって都合の悪い、または納得しきれない情報を指すdisinformation(意図的な誤情報)を含む。

そのため、この用語は、厳しい姿勢を取るメディアに対する攻撃の道具として頻繁に用いられている。

トランプ大統領の選出以来、この用語はアメリカだけでなく世界中で広く使われるようになっている。ただし、フェイクニュースを効果的に拡散させるためには、特定の条件が必要です。

一つは、政治的な立場を持つ多くの受信者が存在し、政治的なPR情報が広く受け入れられる環境が必要です。トランプ政権下でますます進行するアメリカの政治的分極化は、このような世論の分断を作り出しているのです。

トランプ大統領のフェイクニュース攻撃

トランプ大統領は就任以来、気に入らない記事などを「フェイクニュース」と非難するのが常である。CNNの計算によれば、トランプがフェイクニュースという言葉を使った回数は少なくとも404回に上ります。

これは平均して1日に1回以上の頻度で使われていることを意味する。フェイクニュースのほかにも、「フェイク世論調査」、「フェイクメディア」といった表現も頻繁に用いられています。

トランプはツイッターや公の場でこれらの言葉を使い、自身が不快と感じる情報を否定しています。ホワイトハウスの内部事情について描かれた本「炎と怒り」に対しては、「フェイク書籍」と言い放ちました。

トランプ前大統領の3万回以上の誤解を与える主張

米ワシントン・ポスト紙による2021年の報告では、トランプ前大統領がその任期中に3万573回もの虚偽や誤解を与える主張を行っていたとされる。

これらの数字は、トランプの4年間の大統領としての任期中に徐々に増加しており、特に最後の年に急激に増えまし。

年ごとの分析

以下はワシントン・ポスト紙が、トランプの任期中における虚偽や誤解を与える主張の数を年ごとに分析したものです。

  • 1年目: 1日平均6回
  • 2年目: 1日平均16回
  • 3年目: 1日平均22回
  • 4年目: 1日平均39回

これらのデータは、トランプが大統領としての職務を行う中で、虚偽または誤解を与える主張が増加し続けたことを示しています。

主な要因

トランプの4年目における虚偽や誤解を与える主張の増加には、主に二つの要因があるとされています。

  1. 新型コロナウイルスの感染拡大: アメリカが世界で最も多くの感染者と死者を出した中で、トランプは「ウイルスは奇跡的に消える」など、新型コロナウイルスに関して2500回以上の虚偽の主張を行っている。
  2. 大統領選の敗北: 大統領選挙での敗北もトランプの発言に影響を及ぼしたとされている。選挙の結果に関する虚偽の主張が含まれていた可能性がある。
「信じることと疑うこと「ファクトチェックと人々の心理的な挑戦

トランプが度々ファクトチェック自体をフェイクニュースと言い切るなど、主流派メディアと彼の主張との間には大きな隔たりが存在します。

ファクトチェックとは、情報や言説が事実に基づいているかどうかを検証し、その結果を公表する行為を指します。フェイクニュースの蔓延に対抗するために、ファクトチェックが重要な役割を果たします。

しかし、一方で、フェイクニュースと事実を抑制する努力には、人間の心理的側面を考慮に入れる必要があります。

CEPR(欧州経済政策研究所)の実験によれば、「事実」を示すほど、人々は反対に「フェイク」な情報を信じる傾向になることが示されています。

自分の信じることがますます強くなる「確証バイアス」という現象

これは、人間の認知バイアスの一部であり、自分の信念や前提を否定する情報に直面すると、人々は反対に自分が信じていることをさらに信じ込む傾向がある。

これは「確証バイアス」または「バックファイア効果」と呼ばれる現象であり、人々が事実と反する情報を受け入れるのを防ぐ一因となります。

ファクトチェックのジレンマ…クリントン陣営の資金投入が裏目に出たケース

2016年の米大統領選挙の際、クリントン陣営はトランプの誤った情報を修正するために大量の資金を投入しましたが、この努力が反対にトランプの主張を裏付ける結果となってしまった。

この事例は、ファクトチェックがどれだけ困難で複雑な作業であるかを示しています。

メディアとの不協和音!トランプ大統領の攻撃的姿勢

トランプが大統領時代、特にCNNなどのメディアと対立する様子は注目されました。トランプのメディアとの関係は、通常の大統領とは異なる形で展開されました。

メディアの敵対視

2017年1月、大統領当選後の初の記者会見で、トランプはCNNテレビの記者の質問を無視し、最終的に同局を「偽ニュース」と非難しました。これはトランプのメディアとの関係の性質を象徴する出来事でした。

トランプはしばしばCNNだけでなく、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなどのメディアを攻撃し、これらの報道機関を偏向報道で人心を惑わすと批判しました。

メディアを選別

トランプは、メディアを敵と味方に分ける戦略を採用していたようです。

トランプが批判的な報道を行うメディアを攻撃する一方で、自分に好意的な報道を行うメディア、たとえそれが疑わしい情報源であっても、賞賛する姿勢を見せました。

トランプの加工映像でのプロレスパフォーマンスとメディア批判

2017年、トランプはTwitterで加工された映像を投稿しました。

その映像は、プロレス会場でトランプが相手を床にたたきつけ、繰り返し殴る様子を示しています。加工された映像の中で、相手の頭部にはCNNのロゴが配置されていました。

このクリップは、2007年のWWEのイベントでトランプがオーナーのビンス・マクマホンを「攻撃」した際の映像を加工したものです。

ドナルド・トランプ・ジュニアのメディア批判動画が話題に

トランプの長男、ドナルド・トランプ・ジュニアも、親と同じようにメディア批判の姿勢を示しています。

トランプ・ジュニアはインスタグラムに、父親が戦闘機のパイロットとして描かれ、CNNのロゴがついた敵戦闘機を撃墜するという内容の加工された動画を投稿しました。

この動画は、トム・クルーズ主演の映画「トップガン」の戦闘シーンを加工したものと考えられています。

CBC News: The National/YouTube

報道の自由とは…?トランプが「フェイクニュース賞」を発表

2018年1月17日、ドナルド・トランプ米大統領は共和党のウェブサイト「GOP.com」にて「フェイクニュース賞」の受賞者を発表し、自身のツイッターで紹介した。

トランプは常に否定的な報道に対して批判的であり、2017年11月には「最も不誠実で腐敗し、ねじ曲げられた政治報道を行うテレビ局(CNNは入るが、FOXは含まれない)を競うコンテストを開催すべきだ。

勝者には『フェイクニュース・トロフィー』が授与される」とツイッターに記していた。

この度、トランプはTwitterを通じて共和党のウェブサイトに掲載された「フェイクニュース賞」の1~10位を発表した。

受賞者リストには、日ごろからトランプの怒りの矛先が向けられているCNN、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズなどの米主要メディアが名を連ねた。

中でも最も多く受賞したのはCNNで、4件の「フェイクニュース」を報じたと指摘された。

その中には、トランプが日本を訪れた際に、升に入った餌をコイのいる池に一度に落としたシーンの映像を誤って編集したという指摘が含まれていた。

しかし実際には、トランプがその行動をとる前に日本の首相、安倍晋三が同じことをしていた。また、ロシアとの関係を巡る報道に対しても「偽ニュース」の烙印を押しました。

ニューヨーク・タイムズからは、トランプが大統領に当選しても経済が回復しないだろうと指摘した記事が「フェイクニュース」として選ばれた。

また、ワシントン・ポストが支持者集会の入場が始まる前の空席が目立つ写真を掲載したことに対しても矛先を向けた。

さらに、ニューズウィークやタイム、ABCテレビの報道も「誤報」として指摘された。

トランプ大統領はこれまでにも記者を名指しで批判してきたが、「フェイクニュース賞」を紹介したツイートの数分後には、「非常に堕落し不正直なメディア報道にもかかわらず、私が尊敬する多くの偉大な記者がおり、米国民が誇るべきグッド(良質)ニュースがたくさんある」と投稿した。

これに対して、議会からは報道の自由を脅かすと批判する声が上がっています。

The Tonight Show Starring Jimmy Fallon/YouTube
トランプの速記がNHKをフェイクニュースの報道機関と指摘

2017年12月17日、ドナルド・トランプ米大統領の有力側近であり、2017年8月まで首席戦略官兼上級顧問を務めていたスティーブン・バノンが東京都内で記者会見を行いました。

その中でバノンは、フェイクニュース(偽ニュース)を広める報道機関として「NHK」の名前を挙げました。

バノンは過去にもトランプをめぐる報道に対して痛烈な批判を行っており、その対象として日本の公共放送NHKが名指しで挙げられたのは注目すべき事態です。

これは、トランプ政権とメディアとの間の対立が、国内だけでなく国際的なレベルにまで拡大していることを示しています。

トランプ大統領のメディア攻撃と国営テレビネットワーク計画

2018年11月26日、ドナルド・トランプ米大統領はツイッターでCNNを非難し、その誤った報道を世界に広めていると指摘した。

また、トランプは自国のメディアが正確な報道を行い、米国の真の姿を世界に伝えるため、国営テレビネットワーク設立の構想に言及した。

これまでCNNを「フェイクニュース」(偽ニュース)と称し、攻撃してきたトランプ大統領は、自身に都合の良いニュースを伝える国際的なメディアを欲しているとされている。

トランプはCNNについて「不公正で誤った方法で米国の姿を伝える強い力を持っている」と非難した。

そして、「私たちが実際にどれほど偉大なのか世界に知らしめるため」に、米国政府が世界的なテレビネットワークを保有することを選択肢に挙げた。

これは、国際社会に対する米国のイメージを自分たちでコントロールする試みとも解釈できる。

「トランプ大統領の就任式」観衆の実数とメディア報道の対立

2017年1月21日、ドナルド・トランプ米大統領は、自身の大統領就任式が前日に首都ワシントンD.C.で行われた際、メディアが聴衆の人数を実際より少なく見せているとして非難した。

さまざまな証拠で聴衆が少なかったことが示されているが、トランプは約150万人が集まったと主張した。

トランプはメディアに対して「超満員だったのに、あるテレビは人がいない場所を映した。『ドナルド・トランプがあまり人を集めなかった』と言った」として、その報道を批判。

さらに、「大きな代償を払うことになるだろう」とメディアを威嚇した。

同日、ショーン・スパイサー大統領報道官もメディアに対して言及し、一部のメディアが「意図的に誤った報道」に従事していると非難した。

スパイサーは、「就任式を目撃した観衆の規模は過去最大だった。以上だ。直接見た人の数でも中継で見た人の数でもだ」と語り、トランプの主張を支持した。

Business Insider/YouTube
本当の参加者数はどれくらい?

さらにドナルド・トランプ米大統領は、自身の就任式に集まった群衆が連邦議会議事堂前からワシントン記念碑まで連続していたと、CIA本部で主張しました。

しかし、ワシントン記念碑から撮影された現場の写真では、群衆がそのはるか手前で途切れているのが明確に確認できます。

首都ワシントンの当局は公式には聴衆人数を発表していませんが、ワシントン記念塔に達する規模の群衆は存在しなかったことが、テレビの映像からも明らかになっています。

複数の米メディアが、2013年のバラク・オバマ前大統領の二期目就任式と、トランプ大統領の就任式を同じ角度から撮影した写真を比較すしたところ、今回の就任式では明らかに参加者数が少なかったことが確認されました。

最終的には、今回の来訪者数は約90万人であり、これは2009年のオバマ前大統領の就任式時の約180万人の半分に過ぎないことがわかりました。

CNN/YouTube

不法移民と選挙結果の解釈」トランプが独自の陰謀論を発表

2017年に行われた大統領就任式において約150万人の聴衆が参加したとの主張がメディアからの矛盾指摘を受け、トランプ大統領陣営は「alternative facts(代替的事実・もう一つの真実)」と苦しい言い訳をした後、今度はトランプ大統領自身が大統領選挙での不正投票について論争を引き起こしました。

選挙での不法移民投票と敗北の訴え

2016年の大統領選挙で、共和党候補のトランプは総得票数で民主党候補のヒラリー・クリントン元国務長官に約290万票下回ったが、選挙人投票では306人を獲得して当選しました。

しかし、トランプ大統領はその後も総得票数での敗北を引きずり続けました。

関係者3人によると、トランプ大統領は共和党と民主党の議会指導者らを招いたホワイトハウスでのレセプションで、300万から500万人の未登録移民がヒラリー・クリントン候補に投票したために得票数で負けたと主張しました。

さらに関係者2人の情報によると、トランプ大統領はこれらの移民投票を「不法」と表現していました。

そして、その後のツイッター投稿で、トランプ大統領は「死者が有権者として登録されている」場合もあったとし、「大規模調査」を行うよう関係部局に指示したことを明らかにしました。

つまり、トランプは不法移民による投票があり、それがなければ自身が総得票数でも勝っていたと主張していたのです。

CNN/YouTube
一般投票と選挙人団の比較と不正投票の指摘

2019年11月にもトランプは同様の主張をツイッター上で展開。

「選挙人団でなくいわゆる一般投票を勝つ方が、自分にとってはよほど簡単だった。回った15州ではなく、3~4州で選挙運動すればそれで済んだのだから」とツイートし、さらに「もっと簡単に圧倒的に勝ったはずだ」とも述べました。

さらに、クリントンが勝利したバージニア州、ニューハンプシャー州、カリフォルニア州で「深刻な不正投票」があったと主張し、これについてメディアが報道しないことを批判しました。

不正投票の証拠はなし

このような強い批判を繰り返す一方で、トランプ大統領は自身の主張の証拠を一度も提供しませんでした。

ショーン・スパイサー大統領報道官も、トランプが不正投票があったと「本当に信じている」と述べていますが、証拠を提示するよう記者団から求められると、それには応じませんでした。

トランプの主張が次々と否定される

CNNのジェフ・ゼレニー記者は、トランプ大統領の不正投票の主張について「証拠は皆無」と報じ、トランプを「態度の悪い勝者」と評しましたた。

これに対し、トランプ大統領は一連のツイートとリツイートで反論し、インターネット上で数日間にわたり大きな議論を巻き起こしました。

さらに、事実関係を調査した複数の団体や個人から、トランプ大統領の主張が否定されてます。

特に、選挙結果を決定づけたとされるいくつかの重要な州の選挙管理委員会の共和党関係者らも、不正投票の証拠は見つからなかったと公に述べています。

このように、ホワイトハウスや全米各地の選挙管理委員会はは、広範囲での不正投票があったというトランプ大統領の主張は根拠がないと結論付けられています。

嘘の援護射撃

ショーン・スパイサー大統領報道官が2008年のピュー・リサーチセンターの報告書を挙げ、それが不正投票の証拠であると主張しました。

しかし、その後これも嘘だということが証明されました。そもそも2008年にピュー・リサーチセンターはそのような報告書を出していなかったのです。

「不正投票って何?」トランプ大統領と法律顧問の意見の違い

トランプ大統領自身が不正投票の存在を主張している一方で、トランプの法律顧問チームはその主張とは異なる立場を取っています。

彼らは2016年の大統領選挙について、「入手可能な全ての証拠から、選挙が不正行為やミスによって歪められたことはない」と主張しており、この事は12月1日付の法的文書に記されています。

これは、トランプ大統領の主張と彼自身の法律顧問チームとの間に深刻な食い違いが存在していることを示しています。また、不正投票の証拠がないことの証明になっています。

「トランプ大統領がうそを繰り返している」主要メディアの集中砲火

ドナルド・トランプ大統領の不正投票の主張は、アメリカのメディアとの新たな対立の火種となりました。

「トランプ大統領の主張は事実に基づかない」メディアの反証

ニューヨーク・タイムズは大統領を「嘘つき」と呼び、彼が根拠のない主張を繰り返していると報じました。

CNNはトランプが不正投票の存在を繰り返し主張する理由について、彼が完全な勝利を得ることができない事実を受け入れられないという性格にあると分析しました。

「殺人事件の発生率は過去47年で最悪」「500万人の不法移民がヒラリーに投票した」「大統領就任式に150万人集まった」など、これまでのトランプ大統領の主張は、事実に基づいていないと報じられてきました。そのたびに、メディアは反証を行ってきました。

トランプ支持者の深刻なメディア不信

しかし、トランプの支持者たちはこれらの検証を無視しており、ギャラップ社の調査によると、メディアを信頼する米国民の割合は1972年以降で最低の32%にまで落ち、共和党支持者に限るとわずか14%という結果になっています。

これは、トランプ大統領の虚偽の主張とメディアの信頼性の問題が、アメリカ社会の中でどのように絡み合っているかを示しています。

ホワイトハウスが記者の入館停止を発表

CNN/YouTube

2018年11月7日のホワイトハウスでの記者会見において、CNNのジム・アコスタ記者とトランプ大統領との間で一触即発の事件が発生しました。

中米からの移民集団について質問したアコスタ記者に対し、トランプ大統領は「正直に言って国を運営するのは私だ。君はCNNを運営する。うまくやれば視聴率も上がるはずだ」と回答しました。

その後、質問を続けるアコスタ記者に対し、「もう十分だ。マイクを置け」「君は無礼でひどい人間だ」「フェイクニュースを伝えるのは国民の敵だ」と非常に激しく反応しました。

この事件の結果、ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は、ジム・アコスタ記者のホワイトハウス入館のための記者証を「当面、使用停止にした」と発表しました。

取材中の態度や行動を理由に、ホワイトハウスが特定の記者を「出入り禁止」にするのは極めて異例なことでした。

トランプ大統領の定例会見削減と記者団の反発

この事件以前に、トランプ大統領は当選直後に一時定例会見をなくそうとしたものの、記者団の強い反発を受けて仕方なく維持していました。

しかし、それでも毎日行われていた大統領報道官の定例会見は、2日に1回、1ヵ月に10~15回程度に減らされています。ただし、懸案があるときは1日に2回行われることもあります。

このような経緯の中で、今回トランプは記者を「出入り禁止」にしたのです。

記者証停止問題で編集された動画が問題となる

ジム・アコスタ記者の記者証使用停止を正当化するため、ホワイトハウス報道官のサラ・ハッカビー・サンダースは、アコスタ記者の腕が女性スタッフに当たる動画をツイッターでシェアしました。

しかし、これが編集された動画であることが判明し、問題となりました。

専門家からは、シェアされた動画が原本ではなく、アコスタ記者の腕が女性に接触したと見える瞬間のコマが数コマ分フリーズし、それにより動作が強調されていると指摘されました。

さらに、その場面の動作の速度が速められていて、より攻撩的な動きに見えるように編集されていることも確認されました。

また、動画から音声が削除されていることも問題視され、これが編集の証拠を隠すための措置ではないかと疑われています。

陰謀論者の編集への関与が明らかに

更に衝撃的な事実として、この動画が極右派で陰謀論者として知られるアレックス・ジョーンズのウェブサイト、Infowarsのエディターによるものだと特定されました。

Infowarsやジョーンズのアカウントはツイッターや他の大手SNSから凍結されていることから、大統領報道官がその関係者の動画を公にシェアしたことは大いなる驚きをもって受け止められました。

これは、トランプ政権のメディアとの対立だけでなく、事実を歪める情報の拡散という新たな問題を浮き彫りにしました。

Washington Post/YouTube
メディア業界の結束!FOXニュースを含む多数のメディアがCNNを支持

トランプ政権とメディアの間の対立が激化する中で、CNNはジム・アコスタ記者の記者証が取り上げられたことをめぐり、トランプ政権に対して訴訟を起こしました。

この動きは、メディア業界内で広範な支持を得ることとなり、特に競合するFOXニュースを含む10以上のメディアがCNNとアコスタ記者を支持する立場を表明しました。

これらのメディアには、AP通信、USA Today、ワシントン・ポスト、ポリティコなど、米国の主要な報道機関が含まれていました。

FOXニュースの支持は特に注目されました。

FOXニュースは、通常、トランプ政権に対して友好的な報道を行っているとされていますが、この事件ではCNNの訴訟を支持し、記者証の返還を求める立場を明確にしました。

FOXニュースは、訴訟に対して法廷助言書を提出する可能性も示唆しています。

FOXニュースのジェイ・ウォレス社長は声明の中で、トランプ大統領と報道陣の間の敵対的な態度を容認しているわけではないとしながらも、自由な報道や公開の場での意見交換を支持すると強調しました。

CNN勝訴!アコスタ記者の記者証が復活

裁判所は2018年11月16日に、政権に対してアコスタ記者の記者証を復活させるよう命じました。これにより、CNNは訴訟を取り下げました。

ホワイトハウス、記者会見の新ルール導入

このCNNとトランプ政権との争いを受けて、ホワイトハウスは記者会見の新ルールを設定しました。新たなルールでは以下の4つのポイントが重視されていました。

  1. 記者は一つの質問をした後、発言権を次の記者に渡すことが必要です。これは、各記者が一つの質問に絞ることで全体の時間を効率的に利用し、できるだけ多くの記者が質問できるようにする意図があるとされています。
  2. 再質問や複数の質問は、大統領やホワイトハウス職員の裁量により許可されます。この点は、記者会見の進行にある程度の柔軟性を保つためのもので、必要と判断される場合には、追加の質問を許す余地を残しています。
  3. 「発言権を渡す」ことには、職員に適切に物理的にマイクを返すことも含まれています。これは、マイクを持つ記者が会議の進行を一方的にコントロールすることを防ぐための措置となります。
  4. ルールを守らなければ、記者証を停止や廃止する場合があるとされています。この条項は、ルールの厳守を強調するものであり、違反した場合のペナルティを明示することで、全ての記者が新ルールを遵守することを強く求めています。

これらの新ルールは、記者会見の進行を円滑にし、報道の自由と公開性を維持しつつも、各記者が適切な行動を取ることを確保することを目指していました。

ただし、これらのルールが全てのメディアからの賛同を得られるかどうか、また、実際の運用においてどのような影響を及ぼすかは不透明でした。

メディアへの暴力行為、トランプ政権下で急増

トランプ政権下で、関係者とトランプ支持者からのメディアへの攻撃が急増していきました。

BBC News Japan/YouTube
アナポリスの新聞社襲撃

2019年6月28日には、メリーランド州アナポリスの新聞社が散弾銃を持った男に襲撃され、記者や編集者など5人が殺害されるという衝撃的な事件が起きました。

これは、アメリカ国内で子供たちが狙われる学校内の銃乱射事件が多発する中、新聞社が直接的な攻撃の標的となった異例の事件でした。

トランプ大統領がしばしば「メディアは国民の敵だ!」などと激しく攻撃してきたことから、彼の言動がジャーナリストへの憎悪を助長し、このような事件を引き起こしたのではないかとの批判が高まりました。

タンパのトランプ支持者集会

2018年7月31日にフロリダ州タンパで開催されたトランプ支持者の集会では、会場で取材を行っていた報道陣が罵倒されるという事態が発生しました。

CNNのジム・アコスタ記者は、報道陣に向けられた罵倒表現が収録されたビデオをツイートし、トランプや一部の保守系メディアが煽り立てる敵意によって、人々が傷つけられる可能性があると懸念を表明しました。

アコスタ記者は「報道陣は敵ではない」と訴え、メディアへの攻撃に対する懸念を示しました。

BBCカメラマンへの暴力

さらに2019年2月11日、トランプ大統領の支持者集会で取材を行っていた英BBCのカメラマンが支持者から暴力を振るわれるという事件も発生しました。

この問題について英国のハント外相は非難し、容認できないとの立場を示しました。

事件の詳細については、カメラマンがメキシコと国境を接するテキサス州エルパソでトランプが開いた集会を撮影中、トランプのスローガン「Make America Great Again(アメリカを再び偉大な国に)」と書かれた帽子をかぶった支持者の男に強く押され、罵声を浴びせられたと伝えられています。

トランプの支持者集会では定番!?メディア攻撃が支持者に人気

トランプの支持者集会でのメディア攻撃は、予測可能なパターンを持っており、それが一部の支持者には単なるお約束以上のものとなっています。

トランプの集会には、彼にとっての定番の要素としてメディアへの攻撃が含まれており、これは多くの場合、支持者に非常に人気がある。

お約束の“セット”

トランプの集会でのメディアへの攻撃は、まるでロックバンドのコンサートでのヒット曲のように、お約束の「セット」の一部となっています。

トランプは、演説の途中で報道陣がいる場所を指差し、「あの連中はウソつきだ」「フェイクニュースだ」「国民の敵だ」と繰り返します。

これに応じて、集まった支持者は野次やブーイングを飛ばします。多くの人にとって、これは単なる楽しい儀式の一部であり、サッカーの試合で審判にブーイングをするのと同じくらい無害なものと捉えられています。

激化する敵対性

しかしながら、一部の人々にとって、これは単なるお約束ではありません。彼らはこれを真剣に受け止め、それが彼らの敵対的な行動に影響を及ぼし始めました。

時間が経つにつれて、集会でのメディア攻撃はより激しさを増しいきり、暴力的な雰囲気がますます鮮明になっていったのです。

この状況は、メディアが果たす重要な役割に対して重大な懸念を生じさせました。

ジャーナリストは、民主主義社会において情報を提供し、権力をチェックする役割を果たしているため、彼らに対する敵対的な行動は、言論の自由と報道の自由に対する脅迫行為に他なりません。

これは、政治家、市民、そしてメディア自体が責任を持って取り組むべき問題で、暴力的な行動や敵対的な言動が増加する前に、建設的な対話と理解を促進する必要が求められました。

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