ワクチン接種は世界的に受け入れられ、健康と生命を保護する手段として重要視されています。しかし、反ワクチンの人々の中には意図的に主張し、利益を得ようとする者も存在します。
SNS上でのフェイク情報の拡散や陰謀論の流布が問題視されています。陰謀論に共鳴する人々の心理や思考の特徴、そしてビジネスとして成り立つ陰謀論の存在も明らかになっています。
【Qアノン陰謀論(3)】パンデミック禍のワクチンデマとビル・ゲイツ陰謀論
Anti-vaccination movement
世界の健康を揺るがす反ワクチンキャンペーンの闇と利益
ワクチン接種は世界的に受け入れられ、人々の健康と生命を保護する有力な手段と認識されています。しかし、その中には反ワクチンの意図的に主張し、その活動から利益を得ようとする人々もいます。
デマに翻弄される時代…新型コロナワクチン接種とSNSフェイク拡散
新型コロナウイルスのパンデミックに伴いSNS上でのフェイク拡散は増加しました。
特に、新型コロナワクチン接種に関する施策が始まって以降、多くのインフルエンサーが誤解やデマを煽る投稿を行っています。彼らの一部は何万人ものフォロワーを持ち、大きな影響力を持っています。
その投稿内容の一部には、「接種すると遺伝子が組み換えられる」、「不妊の原因になるとファイザー社が認めた」といった事実無根の情報が含まれています。
さらには、「ワクチン接種後に体が5G電波で操られる」、「体が磁力を帯びる」といった荒唐無稽な主張も見受けられました。
コロナ陰謀論とその心理的側面
「コロナもパンデミックもフェイク」といった言葉が一部の人々にとって魅力的に感じられる背景には、様々な心理的要因が関与しています。
これらの言葉を叫ぶことで、自分自身を映画やドラマの中の主人公のように思い込むことができ、現実逃避することができるようです。
反ワクチンや陰謀論に傾倒する人々の心理には以下のような特徴が見られます。
自分は目覚めた人間
陰謀論に共鳴することで、「目覚めた」特別な人間であると感じることができます。
また、同じ考えを持つコミュニティに所属していると感じることで、自分は人とは違う特別な世界の一員であるという満足度を満たすことができます。
自分が信じる情報源以外はフェイク
陰謀論者は、多くの場合「調べた結果それが真実だ」と言いますが、その情報源は非常に偏っており、一方的な見解に過ぎないことが多い。
彼らは陰謀論が真実だと思い込んでいるため、それ以外の情報源はフェイクとみなし、遮断するという傾向が見られます。
矛盾した思考
例えば「テレビや新聞を疑え」と主張しながら、自分が信じている情報源に対してはなんの疑念も持ちません。これは明らかに矛盾した考え方であり、自分が信じたいストーリにしか目と耳を傾けていないと言えます。
操作される可能性
このような人々は、自分が正しいという確信を持って行動するものの、それを利用して金に変えようとする人々や組織の意図的なフェイクに気づかず、彼らに利用されてしまうことがあります。
人は医学的に正しい情報だけで判断、行動しない生き物
人間の意思決定や行動は、理性や事実だけでなく、感情、経験、価値観、社会的・文化的背景、そして所属するコミュニティの影響を受けます。
これらの要素は相互に関連し、複雑に絡み合って私たちの意見形成や行動に影響を与えます。
たとえば、新型コロナウイルスのような問題において、科学的根拠は重要な指針となりますが、人々の意識や行動を変えるのは容易ではありません。
なぜなら、人々は個々の経験や親しい人々からの情報、信じている価値観や信念など、多くの要素を考慮して意思決定を行うからです。
感情や価値観は、人々の行動や判断に強い影響を与えます。特に感染症のような健康に関わる問題では、人々は自分や家族の安全を心配し、恐れや不安を抱くことがあります。
また、価値観や信念に基づいて、自身や他の人々の行動を決めることもあります。これらの要素は、単に科学的な根拠だけを提供するだけでは充分な影響を与えることができません。
そのため、科学的な事実を伝えるだけでなく、感情や価値観を尊重しつつ、誤解やデマを解明することが求められています。
巧みなデマ……。偽の証拠によって騙されてしまう
新型コロナウイルスを巡る誤情報やデマは、SNS上で相当の速度で拡散されています。その中には専門的な文書が引用され、それが「動かぬ証拠」であるかのように誤解を招くものもあります。
さらに、これらのデマは一部の人々が自己利益のために意図的に拡散し、反ワクチンキャンペーンが「運動」から「産業」へと発展しているとも言えます。
医師免許を持つ一部の人々までがデマを流すという現象も見受けられます。
誤情報やデマを流す人々の動機は多様ですが、以下のような目的が主に考えられます。
- 経済的利益:ワクチンを批判することで、自分の出版物や商品に注目を引き、利益を得る。
- イデオロギーの強化:科学的な事実よりも自分の信念や価値観に基づいて主張を展開する。これにより、自分の信念を強化し、同じ考えを持つコミュニティに属する感覚を得る。
- 逃げられない状況:過去に誤ったことを発言したが、それを撤回することができず、デマを流し続けてしまう。
- 注目を集める:自分の存在を強調し、一種の名声を得るためにデマを流す。
ビジネス化されたフェイクニュースと陰謀論
新型コロナウイルスのパンデミックが広がる中、フェイクニュースや陰謀論が増加し、ビジネスとして成り立つ環境が生まれてしまったことは、大変重大な問題です。
人々が情報を求め、不安や恐れを感じる中で、これらの情報は瞬く間に拡散されました。
そして、一部の人々や組織がこれを利用し、広告収益を得るためにデマや陰謀論を流し続けているのです。このようなビジネスモデルは、社会全体への深刻な影響を与えています。
GDI(Global Disinformation Index)社の調査によれば、英語のコロナデマサイトの2020年の広告収益は25億円に達したとのことです。
特に、グーグルやOpenX、アマゾンなどの大手広告配信ネットワークを通じて、世界的なブランドが間接的にこれらのサイトに収益をもたらしていたことは問題の深刻さを示しています。
「再生回数を稼ぐため」ユーチューバーが陰謀論に走る背景と利益
YouTube上では新型コロナウイルスや有名人の死に関連する陰謀論が急増しました。
これらの中には、元々「健康法」「筋トレ」「ゲーム実況」などのジャンルで活動していたチャンネルが、より多くの視聴者を獲得し、広告収入を増やすために陰謀論のチャンネルに変わったものもあります。
この問題の背景には、視聴者の注意を引くコンテンツが広告収入を増やす可能性が高まるという、YouTubeの広告システムの仕組みがあります。
その結果、一部のチャンネルでは月収100万円にも達する推定収入を得ているとの報告もあります。
「ジョーダン・サザー」によるコロナウイルス陰謀論の拡散
2021年にQAnonの支持者でユーチューバーのジョーダン・サザーは、パーブライト研究所が2015年に申請したコロナウイルスの特許に関する情報を広めました。
彼は「この病気の発生は計画されていた?」と疑問を投げかけ、新型コロナウイルスの発生が巨大製薬会社や秘密結社の陰謀の一部であると主張しました。
また、彼はビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団がパーブライト研究所に資金提供しているという情報を用いて、陰謀論をさらに広めました。
しかしこのような主張には科学的根拠が欠けています。
特許の存在は新型コロナウイルスが人為的に作られた証拠ではありません。コロナウイルスという名前は、一群のウイルスを指し、その中にはSARSやMERS、そして新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)も含まれています。
パーブライト研究所が2015年に特許を取得したのは、鳥や豚に感染するアヒルコロナウイルスの一種で、新型コロナウイルスとは異なります。
また、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団がパーブライト研究所に対して資金提供を行ったという事実が、新型コロナウイルスの発生に関与している証拠にはなりません。
ゲイツ財団は世界中の数多くの健康や教育のプロジェクトに資金を提供しており、これはその一部に過ぎません。
マーケティングの闇…ロシアPR代理店がファイザーワクチンに対する偽情報を拡散
2021年にはいくつかのユーチューブのインフルエンサーが、ロシアのマーケティング会社「Fazze」から偽の情報を広めるよう依頼されたことを明かしました。
この依頼はファイザーとビオンテックの新型コロナウイルスワクチンに対する信頼を失墜させることを目的としており、具体的には「ファイザー製のワクチンを接種した人の死亡率はアストラゼネカ製ワクチンを接種した人の3倍である」という、事実ではない情報を広めるよう要求されました。
ユーチューブのMirko DrotschmannとLéo Grassetなど、複数のインフルエンサーがこの依頼を受けましたが、彼らは全員この提案を断りました。
偽情報を拡散する要求に加え、Fazze社はインフルエンサーに対し、情報を裏付けるデータが含まれたレポートへのリンクを貼ることを条件としました。
これらのリンク先は、ルモンド紙の記事、レディットのスレッド、エシカルハッカーのウェブサイトなど、さまざまなソースでした。
「不安と陰謀論を利用した支持拡大の試み」政治家の選挙戦略とワクチンデマ
「反ワクチン」を政治的プラットフォームの一部として用いる動きは、世界中で見受けられます。
一部の政治家や候補者は、フェイクや陰謀論を訴えることで、自分たちの支持基盤を広げようとすることがあります。これはしばしば、一部の人々の懸念材料や不安に訴える形で行われます。
たとえば、「コロナワクチンにはマイクロチップが入っており、5G電波で操作される」という主張は、科学的根拠に基づいていない陰謀論の一例です。このような情報は、一部の人々が新しい技術やワクチンに対して抱える不安を悪用しています。
日本の政治家による科学的根拠のない情報の拡散
日本でも、誤情報や陰謀論を政治の舞台で広める動きが見られるようになっています。このような情報は、一般の人々を混乱させ、科学的な根拠に基づかない恐れや不安を煽る可能性がある。
福井県の斉藤新緑県議会議員のケース
例として、福井県坂井市の斉藤新緑県議会議員を取り上げます。彼は町議を含めて30年の議員生活を経て、自民党県連のナンバー2として活動してました。
斉藤議員は、新型コロナウイルス感染症ワクチンについて、「殺人兵器」であるとの主張を含む広報紙を支援者に配布していた。これに対して、議会からは抗議や疑念の声が上がり、彼の所属する県会自民党から厳重注意がなされた。
彼の事務所で行われたインタビューでは、斉藤議員はさらに極端な発言を行った。「コロナのワクチンにはマイクロチップが入っていて、5G電波で操られる。打てば5年で死ぬ」と主張し、「菅も麻生も逮捕された。今、表に出ているのはゴムマスクやクローンだ」とも述べた。
斉藤議員はは地元の坂井市で約1万6千部の「ほっとらいん」という議会報告の冊子を配布。この中で「ワクチンは殺人兵器」「バイデンはこの世にいない」「9・11のテロはCG」などと記されていた。これらの主張は、米国の陰謀論集団「Qアノン」のものと似ており、根拠は存在しない。
福井県議「ワクチンは殺人兵器」 https://t.co/A6lCBnV6ad
— 福井新聞メディア (@fukuinpmedia) March 17, 2021
「国民主権党」の誤った主張と社会への影響
平塚正幸は、「国民主権党」の党首であり、新型コロナウイルス感染症についての誤った主張を行っています。
全世界が新型コロナウイルス(COVID-19)という未曾有のパンデミックと闘っている中、平塚正幸は、新型コロナウイルスを「ただの風邪」であり、ワクチン接種や時短営業などの感染対策は必要ないと主張しました。
また、子どものマスク着用については「健康被害が大きく、強要は虐待」と指摘しています。
「平塚正幸」の公然たる迷惑行為と混乱を招く誤った主張
平塚正幸は、2019年の参議院議員通常選挙で、「NHKから国民を守る党」公認で千葉県選挙区から立候補し、その後、同党を離党し「国民主権党」を立ち上げました。
2020年7月には東京都知事選に立候補したものの、8,997票で落選しています。
しかし、平塚の行動と主張には、広範かつ深刻な問題があります。
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが続く中、平塚はマスクを着用せずにユニクロの店舗に入店し、店員から入店を拒否された様子をYouTubeで公開するなどの行動をとりました。
これは一般的に迷惑行為と見なされます。
また、彼の新型コロナウイルスに関する主張も問題があります。
平塚は新型コロナウイルスを「ただの風邪」と誤解し、さらに「新型コロナウイルスは存在せず、メディアが作り出した架空のウイルスに過ぎない」という無根拠の主張を行っています。
科学的事実からすると、新型コロナウイルスは「ただの風邪」ではなく、全世界に広まり大量の感染者と死者を出しています。
2019年末に中国の武漢で初めて報告されて以来、2021年までには既に1億人以上が感染し、257万人以上がこのウイルスにより命を失っています。これは交通事故による死者数(約135万人)の約2倍近くにも上ります。
「STOP!PCR」「ワクチン拒否」「マスクをはずそう」クラスターフェスの危険性
平塚は都知事選中から、彼は週末ごとに渋谷のハチ公前広場で「密になろう」「マスク、ソーシャルディスタンスは必要ない」と主張する音楽フェス形式の集会を開催しています。
一見すれば無視されるかもしれない平塚正幸の行動も、実際にはSNS上で一定の支持を得ています。
そして、これにより、誤解や無知を広める危険性が増大しています。
平塚の主催するイベントでは、「STOP!PCR」、「ワクチン拒否」、「マスクを外そう」と書かれた看板や旗が掲げられ、平塚自身が和太鼓を演奏するなどの行動がSNSで拡散されています。
一方で、理解し合えない行動に対する警戒感も一部から噴出しています。
平塚の開催するイベントの周辺に近づかないよう呼びかけたり、彼平塚が訪れる可能性のある地域の人々に対して警戒を呼びかける声も上がっています。
「クラスターフェス」は、反対派や他のユーチューバーとの間で頻繁に衝突が生じており、それにより両方の陣営から逮捕者が出るという事態にまで発展しています。
これらの衝突は、警察の介入を必要とするレベルの混乱を引き起こし、その結果として一部の参加者が逮捕されています。
平塚正幸のアカウント停止とヘイトスピーチ規制の重要性
さらに、平塚自身もYouTubeのアカウントが停止となっています。
Youtubeのポリシーでは、ヘイトスピーチや誤情報の拡散など、一定の規範を逸脱した行為が行われた場合、アカウントが一時的または恒久的に停止されることがあります。
そのため、平塚のアカウント停止は、彼がYouTubeのガイドラインを遵守していなかったということを示している可能性があります。
平塚正幸の逮捕…建造物不退去容疑と抗議活動のエスカレーション
2021年11月には都議会で都民ファーストの会がコロナ対策で罰則付きの条例案を発表すると、平塚は都議会前や都民ファーストの議員宅前で抗議デモを開催し、活動を更に先鋭化させていました。
2020年12月23日、国民主権党党首の平塚正幸が建造物不退去容疑で警視庁駒込署に逮捕されました。
この逮捕は、平塚が同日、東京・文京区の日本医師会館の敷地内で「コロナはただの風邪だ!」「医師会が騒ぎ立てるのはやめろ!」と抗議活動を行い、警察の退去要請に応じなかったことが理由でした。
平塚は、2021年11月に都議会で都民ファーストの会がコロナ対策で罰則付きの条例案が発表された頃から、都議会前や都民ファーストの議員宅前で抗議デモを開催し、活動を更に先鋭化させていました。
今回の医師会館への押しかけもその一環だったと見られますが、敷地内での居座り行為が行き過ぎと判断され、結果として彼は逮捕されたのです。
「ワクチン反対の本と出版ビジネス」非科学的な情報による市場拡大
新型コロナウイルスのワクチン接種が世界各地で進められている中、一部の人々は反ワクチンの立場をとり、それを支持する本が書店で人気を博しています。
これらの本は、非科学的な主張に基づいており、過激なタイトルが付けられていることが多い。
反ワクチンの立場をとる人々は少数派ですが、彼らにアピールする本が売れれば、出版社としては利益を得ることができます。
その結果、一部の出版社は、科学的根拠に乏しい内容の本を、利益のために出版し続けています。
反ワクチン本の市場
一部のネットショッピングサイトで「新型コロナワクチン」と検索すると、反ワクチンの立場の本がおすすめ商品として表示されることがあります。
これは、反ワクチンの立場を取る人々が一定数存在し、その層にリーチすることで売上を伸ばす可能性があるためです。
ただし、これまでにも健康に関する非科学的なアドバイスを含む本は、数多く出版されており、新型コロナウイルスのワクチンに限った現象ではありません、
出版業界の課題
出版社にとって、利益を出すことが優先事項であり、過激なタイトルの本はよく売れる傾向があります。
さらに、「他社もやっている」という考えが、非科学的な本の出版を容認する要因となっている可能性もあります。
これにより、一般向けの医療本の市場では、専門家が書いた本よりも、デマが書かれた本の方が多くなってしまっています。
著名医師が反ワクチン本の執筆依頼を断った理由
ボストン在住の内科医である大西睦子医師は、ワクチンの危険性を紹介する本の執筆を依頼されたが、これを断りました。
彼女は信頼されている医師であり、もし彼女がワクチンの危険性を強調する本を書いた場合、その影響力は計り知れませんでした。
大西睦子医師が反ワクチンの立場を取る本の執筆依頼を断ったことは、科学的根拠に基づいた情報提供の重要性を再認識させるエピソードとなります。
しかし、それと同時に、著名な医師の中にもワクチンの危険性を強調する人は確かに存在しており、一般の人々が正確で信頼性の高い情報にアクセスすることの妨げになる可能性があります。
これは、医師の意見や立場も多様であり、一部の医師がワクチンに懐疑的な立場をとることがあるからです。
そのような医師が自身の立場を公にすると、特に彼らの影響力が大きい場合、一部の人々がその情報を受け入れ、ワクチン接種を避ける可能性があるのです。
「オンラインサロンに勧誘して爆益」利益優先の医師による反ワクチンビジネス
その中でも、特に悪質とみなされているケースがあります。
それは、金儲けのために、医師自身が反ワクチンを主張し、フェイクを広めるケースです。東京でクリニックを経営するある歯科医師が、起業家と協力し、会員制のオンラインサロンを運営しています。
彼は、YouTube上で「本当は怖いワクチン」などという挑発的なタイトルの動画を無料で公開し、視聴者に対して「有料会員登録」を勧めています。
有料会員となると、さらに詳細な解説動画が視聴できますが、関係者によると、その内容には「ワクチン接種により不妊になる」などの誤情報や、「ワクチンは支配階層が世界の人々を奴隷化するための手段である」という荒唐無稽な主張が含まれています。
月額会員費は2980円で、会員数は3900人以上とされています。この単純計算によると、歯科医師の月収は1000万円を超えることになります。
このようなビジネスモデルは、誤情報を広め、人々の不安を煽り、それを金銭的利益に転換するという、極めて問題のある形態です。
公衆衛生と社会全体の信頼を侵害する可能性があり、そして新型コロナウイルスのパンデミック対策を困難にするという重大な結果を招く可能性があります。
反ワクチン主義者「アンチバクサー」の根拠のない主張と社会的混乱のリスク
科学的な根拠が豊富に存在するにもかかわらず、「怖い・危ない・効果がない」と言った主張を展開し、ワクチンの有害性を訴え、接種を避けるよう呼びかける人々がいます。
これらの主張は往々にして根拠が乏しく、非現実的な情報を広めることが多い。
これらの人々は「反ワクチン派」または英語で”anti-vaxxers(アンチバクサー)”として知られ、不安や恐怖を利用して人々を誤った方向に誘導します。
反ワクチン運動は歴史的に古く、天然痘ワクチンが開発された頃から存在しています。
現代でも、反ワクチン派は世界中で活動を展開しており、時間的および地理的な広がりを持っています。陰謀論を広めることで寄付を募り、資金を集める一方、社会全体に対して混乱や不安をもたらします。
反ワクチン派の活動は、政府や公衆衛生に対する信頼を揺るがすだけでなく、感染症の拡大を助長する恐れがあります。
2020年7月にイギリスのボリス・ジョンソン首相が、医療施設訪問の際に反ワクチン派に対して「彼らは頭がおかしい」とコメントしたことは、反ワクチン派の誤情報が公衆衛生に及ぼす悪影響を示す一例です。
反ワクチン陰謀論の源泉…12人の反ワク主導者が広めるフェイク
ソーシャルメディアは世界中の人々が繋がり、情報を共有するための強力なツールですが、同時にフェイクや偏った意見の拡散にも利用されることがあります。
これは特に、ワクチンに関する議論の場合に顕著です。
パンデミックの中、反ワクチン派は自分がワクチン接種を避けるだけでなく、ソーシャルメディアを通じてフェイクを広め、一般的な人々にも影響を与え始めました。
ワクチンデマの黒幕「ディスインフォメーション・ダース」の陰謀と影響力
アメリカ・イギリスを中心に展開しているNPO、ヘイト対策センター(Center for Countering Digital Hate、CCDH)とAnti-Vax Watchという反ワクチン業界を監視する団体が共同で行った調査によれば、FacebookとTwitter上で拡散されている反ワクチンのコンテンツの約3分の2が、わずか12人の反ワクチン主義者によって作成されていることが明らかになりました。
この12人の人々は、新型コロナウイルス感染症のワクチンに関する偽情報を拡散しているとして、“ディスインフォメーション・ダース(Disinformation Dozenディスインフォメーション・ダース)”と名付けられました。
反ワクチンデマのインターネット拡散!公共衛生に対する深刻な脅威
デジタルヘイト対策センター(Center for Countering Digital Hate, CCDH)のCEOであるイムラン・アーメッドは、反ワクチン主義者によるインターネットを利用した誤情報の拡散に強く警鐘を鳴らしています。
彼は2021年3月に発表された報告書で、「インターネットという公共の場で、適切な医学的知識を持たない一部の人々が、自分たちの利益を追求するために新型コロナウイルスの危険性やワクチンの安全性について誤った情報を広めている」と指摘しました。
反ワクチン主義者がSNSを通じて恐怖と混乱を広める
反ワクチン主義者たちは、自然派の健康法を推奨し、政府の陰謀論を広め、新型コロナウイルスの存在を否定するなど、感情に訴えるメッセージを使ってワクチンや医師を貶めています。
このようなメッセージは人々の注目を集め、12人の反ワクチン主義者はFacebook、YouTube、Instagram、TwitterなどのSNSで多数のフォロワーを集めています。
これらのプラットフォームは、彼らにとって重要な活動の場となっています。
アーメッドは、「ワクチンに対するデマは公共衛生に対する直接的な脅威であり、反ワクチン主義者はSNSを使って何百万人もの人々を混乱させ、恐怖と疑念を広めています」と述べ、各SNSプラットフォームに対してすぐに行動を起こすよう訴えています。
彼は、「それぞれのSNSプラットフォームが即座に行動を起こさなければ、パンデミックが長期化し、さらに多くの人命が失われることになる」と警告しています。
デマ商法とビジネス展開!反ワクチン活動家の資金源と組織的な取り組み
反ワクチン業界は、ソーシャルメディア上で集めた大量のフォロワーを対象に、セミナーを開催したり、会費を徴収したり、サプリメントや本の販売などを通じてビジネスを展開しています。
デジタルヘイト対策センターの報告書によれば、この業界全体の年間収益は少なくとも3578万ドル(約39億円)にのぼるとされています。
さらに、アメリカの給与保護プログラム(PPP)からも、少なくとも合計151万ドル以上(約1億6600万円)の融資を受けていることが明らかにされています。
アーメッドは、12人の反ワクチン活動家たちは、それぞれ60人のスタッフを抱え、数百万ドル規模の団体を主にアメリカで運営していると説明しています。
彼らは反ワクチン主義者のためのトレーニングマニュアルを作成したり、多様な一般聴衆層に向けたメッセージを調整したり、年次会議を開催したりしています。
反ワクチン活動家のソーシャルメディア戦略と巨額収益
反ワクチン活動家たちは、ソーシャルメディアを熟知し、その利用を最大限に活かすことで巨大な影響力を築き上げています。
これらの活動家たちの合計フォロワー数は6200万人を超え、Facebookからは11億ドル(1200億円)、YouTubeから70万ドル(7700万円)、Twitterから760万ドル(約8億3000万円)という年間収益を得ていると推計されています。
収益を最も多く上げているのはジョゼフ・マーコラ医師で、彼は自身のウェブサイト上で「ワクチンが遺伝システムを破壊する」などと主張し、それらの主張がSNS上で広く共有されることで、多くの読者を引きつけています。
マーコラ医師の収益は721万ドル(約8億円)にのぼります。
また、ケネディ元大統領の甥であるロバート・F・ケネディ・ジュニアも同様に反ワクチン活動家として活動し、彼の収益は294万ドル(約3億2000万円)に上ります。
CCDHのイムラン・アーメッドCEOは、SNSが反ワクチン活動家にとって発信、動員、資金調達の戦略拠点になっていると指摘しています。
さらに、SNS企業が危険なデマの拡散に加担し、その結果得られる利益について警告を発しています。「その代償は社会が払わされることになる」と指摘し、誤情報の発信源を断つように訴えています。
「彼らは人々を殺している」バイデン大統領の強い言葉
2021年に、アメリカのジョー・バイデン大統領は12件の特定のSNSアカウントについて言及し、それらが健康に関する誤情報を拡散していると非難しました。
彼は「Facebookが人々を殺しているのではない。これらの12人が誤情報を発信している」と述べ、SNSを通じた誤情報の拡散が人々の健康に悪影響を及ぼしていると強調しました。
バイデン大統領はさらに、この種の誤情報に耳を傾けている人々が被害を受けており、これが「人々を殺している」と述べ、情報の質に対する重要性を強調しました。
彼はその情報を「悪質な情報」と称し、健康に対する深刻なリスクとしてこれを位置づけました。
反ワクチンインフルエンサーが新型コロナ感染後に死亡
米カリフォルニア州在住のスティーヴン・ハーモン(34歳)は、ワクチン反対論者として知られていました。彼はツイッターに7000人のフォロワーを持ち、ワクチン接種に関するジョークを投稿していました。
ハーモンは新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける人々を「愚か者たちは、こんなにも騙されやすい。
ワクチンを接種するなんて!」と主張し、また、米感染症対策トップのアンソニー・ファウチ博士に対して「ロープで吊るされるべき」と発言するなど、過激な言動で知られていました。
感染後の入院で人工呼吸器治療を拒否
しかし、2021年1月6日に自身が新型コロナウイルスに感染し肺炎を発症、ロサンゼルス郊外の病院に入院することになりました。
ハーモンは症状が悪化する中、「もしもあなたがこのばかげた人工呼吸器よりも神が私を癒してくれるという信仰心を持っていないのなら、このICUの部屋から出ていってくれ。
ここには恐怖や信仰の欠如のための余地はありません!」と人工呼吸器を頑なに拒否していました。
病状悪化で人工呼吸器受け入れを選択も悲劇的な結末へ
2021年7月21日に投稿されたツイートでは、「私は気管挿管を選びます。これまで全力で戦ってきましたが、残念ながら危機的な選択を迫られる状況になりました。これを行わなければならないことは非常に嫌ですが、緊急手術を強制されるよりは自らの意志で行う方がマシだと思います。いつ目が覚めるかわからないので、祈ってください。」と人工呼吸器を受け入れることを決めたと書いていました。
そして同日、回復することなくハーモンは死亡しました。
教会は医師の指導に従うよう呼びかけ
ハーモンが信仰していたヒルソング教会の創設者であるブライアン・ヒューストン牧師は、ハーモンの死を受けてツイートとインスタグラムで追悼の言葉を述べました。
「ハーモンさんはとても優しい人で、この先の未来も明るいはずでした」「彼はいつも子どもたちのサッカーの試合を見にきていました。たくさんの人たちに惜しまれるでしょう。安らかに眠ってください」
さらに、ヒューストンはメディアに対し、「命が失われることは、私たちにとって悲しむべきことであり、苦しむ人々を支えるために助けの手を差し伸べるべきです。私たちは心からの祈りを彼の家族と彼を愛する人々に捧げます」と声明を発表しました。
また、ヒューストンは「あらゆる医療問題において、私たちは教会の信者に対して医師の指導に従うよう強く促しています。私たちのスタッフ、指導者、信者の多くは既にワクチンを接種しています。」
一方で、「個人個人が、医療専門家の助言を得て行うべき個人的な決定であることを認識しています。」と付け加えました。
医師が語る、ワクチン未接種者の入院急増による医療現場の深刻な状況
「これがいかに士気を下げることか、言葉で表現できません」と、ロサンゼルスのシーダーズ・サイナイ医療センターで新型コロナウイルス患者を治療しているオレン・フリードマン医師は語っていました。
さらに「入院が必要なほど重篤な状態になっている人々のほとんどはワクチンを接種していません。」と訴えました、この頃、シーダーズ・サイナイ医療センターでは新型コロナウイルスの入院患者が10倍に増えていました。
反ワクチン活動家の死が波紋、Qアノン信者の疑問と医療スタッフへの脅迫が広がる
一方で、ハーモンの死は、彼のフォロワーや、反ワクチンの活動家、そして仲間のQアノン信者らに衝撃を与え、彼が受けていた治療についての疑問や、治療に関与した医療スタッフへの脅迫がSNS上で広がりました。
「パトリオット・ストリートファイター」の名で知られるQアノンの提唱者であるスコット・マッケイは、テレグラムで、「病院はイベルメクチンとヒドロクロロキンの投与を拒否した。ハーモンさんは殺された」と主張しました。
さらに、マッケイは「これらの医療従事者たちに恐怖を植え付ける」「われわれのニュルンベルク裁判にかける」「軍事法廷で裁かれなければ、ストリートで裁く」といった挑発的な言葉を綴っていました。
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