【Qアノン陰謀論(24)】「下がってスタンバイせよ」トランプ支持の凶悪組織が暗躍する裏世界とは?

この記事では、2021年1月6日のアメリカ連邦議事堂襲撃事件の背後に存在したトランプ支持の極右過激派組織や反政府組織の動きについて詳細に解説しています。

特に、ブラウド・ボーイズという組織の役割や、その思想、活動の背景、そして彼らがどのようにして社会的な影響力を持つに至ったのかについて深く掘り下げています。現代社会の政治的な分断や極右運動の台頭について理解を深めるための重要な資料となります。”

【Qアノン陰謀論(23)】アメリカの極右運動…トランプ支持者と過激派ミリシアの危険な結びつき
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白人至上主義と自国第一主義が結びついた「白人ナショナリズム」。トランプ政権の誕生以降、注目を集めるオルトライトをはじめ、さまざまな勢力が連なる反動思想だ。反共、反多文化主義、反ポリティカル・コレクトネスといった旧来の保守と共通する性格の一方、軍備拡張や対外関与、グローバル資本主義を否定する。社会の分断が深まるなか、自由主義の盟主アメリカはどこへ行くのか。草の根のリアルな動向を現地から報告。(「BOOK」データベースより)

Proud Boys

「裏切り者のペンスを絞首刑にしろ!」ブラウド・ボーイ

TODAY/YouTube

2021年1月6日、アメリカの極右・ネオファシスト組織としてしられる「プラウドボーイズ」のメンバーが、ドナルド・トランプ支持者によるアメリカ議会議事堂への襲撃に関与していました。大統領選挙でトランプ氏が敗北した後、プラウドボーイズはメンバーに抗議活動への参加を促し、トランプ氏が選挙不正を主張する声を反響させていました。

プラウドボーイズのメンバーであるニック・オックスは、議事堂内で自撮り写真をツイートし、後にその行動を軽視しました。「議事堂に侵入したわけではなく、ただ中に入ってビデオを撮っただけだ」と彼は主張しました。さらに彼は、「私たちはただ上司であるトランプ大統領の命令に従っただけだ。それに私たちは数であなたたちを圧倒していた」と付け加え、ジョー・バイデンの勝利を認めたことで「裏切り者」と呼んだ副大統領ペンスの絞首刑を求めました。

しかし、その後明らかになったことは、プラウドボーイズの一部が本気でペンス副大統領の生命を脅かす意図を持っていたことでした。また、議事堂での暴力行為の後、一部の高位のプラウドボーイズはトランプ氏を公然と非難し、彼らが孤立していることに対する彼への怒りを表明しました。

結果として、多くのプラウドボーイズのメンバーが連邦捜査局(FBI)による議事堂襲撃の捜査で起訴され、尋問を受けました。最終的に元議長のエンリケ・タリオを含む4人のトップリーダーが陰謀罪で有罪判決を受けました。

ラウドボーイズの偵察活動と攻撃の準備が明らかに!

2021年1月6日のアメリカ議会議事堂襲撃事件におけるプラウドボーイズや白人至上主義者などの過激派グループの役割については、一部が議事堂内を指示通りに迅速に進み、議場やナンシー・ペロシ議長の事務所にまで侵入したことがビデオで記録されています。

これらの行動は、事前に議事堂の内部を偵察し、攻撃のための計画を立てていた可能性を示唆しています。ミーキー・シェリル議員、元海軍パイロットで連邦検察官も務めた経験を持つ彼女は、自身のFacebookページで、襲撃の前日に同僚たちが議事堂の”偵察”ツアーをリードしているのを目撃したと明かしました。

さらに、ドキュメンタリー作家のニック・クエステッドは公聴会で、プラウドボーイズが襲撃の前の朝に議事堂を偵察したと述べています。彼らの報告によれば、数百人のプラウドボーイズが1月6日の午前中に議事堂近くに集まり、その日の午後に行われる議事堂への攻撃のための偵察活動を行ったとのことです。

プラウドボーイズ指導者の主張と元メンバーの内部証言

これらの事前の計画と準備は、検察官が提示した証拠とも一致しています。プラウドボーイズは、襲撃のために事前に計画を立て、イーサン・ノーディアンがメンバーを募り、攻撃前に資金を集めたと明らかにされています。

しかしながら、プラウドボーイズの指導者たちは、議事堂への突入計画は存在しなかったと主張し、メンバーには左派の抗議者に対してのみ自衛のために対応するよう指示していたと述べています。

一方で、元プラウドボーイズのメンバーは、1月6日のアメリカ議会議事堂での暴動前に「内戦」を予見しており、2020年の選挙敗北後もドナルド・トランプ前大統領を職に留めるために武力を使用する準備ができていたと証言しています。

プラウドボーイズの起源と活動の背景

プラウドボーイズは、カナダの極右活動家であり、Vice Mediaの共同創設者でもあるギャヴィン・マッキネスによって2016年の米国大統領選中に設立された「ました。この極右団体は「西洋の優位主義者」と自称し、男性のみをメンバーとして受け入れています。

また、「自由と銃の所有を優先する誇り高き愛国者たちの集まり」と宣言し、アメリカ全土で1万人以上のメンバーを持っているとされています。

アメリカの市民権保護団体であるSouthern Poverty Law Center(SPLC)はプラウドボーイズをヘイトグループと分類しています。彼らのメンバーは、時間の経過とともに独自の制服を採用し、黒と黄色の服装を組み合わせて街頭での衝突に備えるようになりました。

彼らのルーツは、アメリカ南北戦争終結後の1865年に設立された白人至上主義グループ、クー・クラックス・クラン(KKK)までさかのぼります。KKKは白人の優越性を主張し、「リンチ」という恐ろしい行為を通じてアフリカ系アメリカ人を攻撃しました。彼らの究極の目標は、有色人種やユダヤ人の子孫をアメリカから追放し、人種的に均質な国家を作ることでした。

プラウドボーイズの活動は、元大統領ドナルド・トランプの運命と深く結びついています。この団体は、左派との街頭暴力を通じて広く知られるようになりました。

VICE News/YouTube

極右の矢先に潜む危険、ヘイトと暴力の恐るべき現実

プラウドボーイズの特徴は、政治的暴力の推進と実行であり、その極端で挑発的な戦術、公然あるいは暗黙のうちに人種差別、イスラム嫌悪、反ユダヤ主義、女性嫌悪を組み合わせたことから、アメリカの市民権擁護団体であるSouthern Poverty Law Center(SPLC)によってヘイトグループと分類されています。

彼らの政治的イデオロギーと立場は、反共産主義、反フェミニズム、反移民主義、LGBT権利への反対、権威主義、ショビニズム、クリプト・ファシズム、イスラム嫌悪、トランプ主義などが含まれています。個々のメンバーは、Qアノンや白人至上主義を支持することも公に表明しています。

プラウドボーイズは女性嫌悪や暴力の賛美を歴史的に持ち、イスラム嫌悪や女性蔑視的な言葉遣いで知られています。彼らは「Unite the Right」ラリーなどの極右集会で他のヘイトグループと一緒に登場してきました。彼らの公的な活動の多くは、暴力を引き起こす意図を持って政治的な集会やイベントに抗議したり、参加したりすることに関わっています。

プラウドボーイズは極右派と見なされる政治的な左派との街頭での暴力に関与することで評判を得ています。彼らが参加した152のデモのうち、97が明示的に当時のトランプ大統領を支持していたとされています。

プラウドボーイズ対左派運動!激化する衝突と政治的な緊張

プラウドボーイズは、アンティファやブラック・ライブズ・マター(BLM)運動の活動家などの左派グループと激しい衝突を繰り返しています。これらの衝突は、しばしば多数の暴力事件を引き起こし、全国的に注目を集めています。

これらの衝突の中心地一つは、かつてラファイエット広場として知られていたホワイトハウス前の広場です。この広場は、ワシントンD.C.の市長によって「ブラック・ライブズ・マター・プラザ」と改名されました。この地はしばしばBLMの活動家の集まる場所となり、一部の人々はそこにテントを設置し、自身の居住地としていることもあります。

プラウドボーイズとこれらの左派運動との間の衝突は、政治的な緊張をさらに高め、国内の議論を巻き起こしています。一部では、これらの衝突は政治的な極端主義の台頭を示すものと見なされています。

TRT World/YouTube

「カナダ政府、プラウドボーイズをテロリストグループと指定!対

カナダ政府は、プラウドボーイズをテロリストグループとして指定しました。この措置は、2021年1月6日のアメリカ合衆国議会襲撃事件で彼らが重要な役割を果たしたとされることに対応してのものです。テロリスト指定は、グループの資産を凍結する権利を政府に与え、オンラインでの彼らのコンテンツを削除し、さらにはメンバーのカナダへの入国を拒否することも可能にします。

カナダの治安機関は、白人至上主義テロリスト組織であるアトムワッフェン・ディビジョンを含む他の3つの極右グループも指定しています。さらに、アルカイダの関連組織3つとイスラム国の派閥5つもテロリスト組織としてリストに掲載されています。

テロリスト組織として指定されると、そのグループの活動への参加や貢献は違法となり、政府は関連する資産の凍結や財産の差し押さえが可能となります。プラウドボーイズは、暴力的な衝突で知られる極右の男性ショビニストの過激派グループで、前トランプ政権の政策を利用し、以前の抗議活動や1月6日の合衆国議会襲撃で主要な扇動者となりました。

カナダでのテロリスト指定により、プラウドボーイズは今後、資産の差し押さえやテロ関連の刑罰に直面する可能性があります。

テレ東BIZ/YouTube

「下がってスタンバイせよ」討論会でのトランプが発言が物議を醸す

2020年の大統領選まで1カ月余りに迫った9月29日には、第一回の討論会が行われました。ここで、ドナルド・トランプ大統領と前副大統領のジョー・バイデンが激しい議論を交わしました。この討論会で注目を集めたのは、司会者のクリス・ウォレス氏がトランプ氏に対して「白人至上主義者や武装市民グループを非難し、退く(stand down)意思があるか」と問うた質問でした。

この質問に対し、トランプ氏は続けて「それはいったい私に誰を非難させたいのか」と逆に問い返しました。その際、バイデン氏が「プラウド・ボーイズだ」と発言した瞬間、トランプはカメラに向かって「プラウド・ボーイズよ、下がってスタンバイせよ」と宣言しました。この発言は全米そして世界に生中継され、プラウドボーイズのメンバーや支持者からは歓喜の声が上がりました。

トランプ大統領の発言がメンバーを鼓舞し、一体感を高める

討論会でのトランプ大統領の発言は、全米だけでなく世界にも生中継され、プラウドボーイズのメンバーやその支持者には、まるで指令を受けたように映った。プラウドボーイズの支持者であるジョー・ビッグズ氏は、トランプ氏のこの発言について「心から嬉しい」とソーシャルメディアで述べ、「歴史的なもの」と称しました。また、トランプの発言を活動への支持として歓迎しました。

その後、ソーシャルメディアの力を利用し、プラウドボーイズのメンバーは一致団結のメッセージを発信しました。米メディアによると、複数のメンバーがSNSに「われわれは準備はできている」と投稿したと伝えられています。さらに、トランプ大統領の「下がって待機せよ」という発言を引用したロゴまで作成し、リーダーであるエンリケ・タリオは、第一回大統領討論会でトランプ大統領の発言を聞いた直後に「PROUD BOYS STANDING BY(プラウド・ボーイズ、スタンバイせよ)」とプリントされたTシャツを注文しました。

このように、トランプの発言はプラウドボーイズのメンバーたちの覚悟を示すとともに、グループの一体感を強化しました。

専門家の懸念…トランプの発言が暴力行為の口実を求める人々を呼び寄せる

プラウド・ボーイズ専用のTelegramチャンネルでは、メンバーがトランプ大統領の発言を彼らの暴力的な戦術の黙示的な支持とみなしていました。新規メンバーの増加についての議論があり、一部の専門家は、「待機する」というフレーズが暴力行為を行うための口実を求める人々に対する呼びかけと解釈される可能性に懸念を表明しました。もしトランプ大統領が選挙に敗北した場合、プラウド・ボーイズはこの発言を契機として暴力的な抗議活動を主導する可能性が懸念されていました。

非難の嵐とトランプの後の反応

共和党唯一の黒人上院議員であるティム・スコット氏を含む多くの人々が、トランプ氏の発言を批判しました。スコット氏は、大統領のコメントを「失言」と評し、明確に反対の立場を取りました。

過激派運動を監視する組織であるSITE Intelligence Groupの代表であるリタ・カッツもまた、大統領の発言を厳しく非難しました。彼女は、「トランプ氏はまた白人至上主義者らに承諾を与えた」と述べ、彼の発言が過激派団体によりエンパワーメントを与える危険性を指摘しました。

これらの非難を受けて、トランプ氏は討論会から2日後の10月1日に、アメリカのテレビ番組で「プラウド・ボーイズ」を含むすべての白人至上主義者を非難すると述べました。しかし、彼のこの試みは、その発言に対する議論を収束させるには至らなかった。共和党の上級議員たちからも続く不安の声を完全には沈静化できず、その発言の影響は長く残りました。

Reuters/YouTube

「#ProudBoys」ハッシュタグの争奪戦!LGBTQ+コミュニティの声が高まる

2020年10月5日、極右団体「プラウド・ボーイズ」が使用していたハッシュタグ#ProudBoysが、意外な形でツイッターのトレンドに登場しました。それは、LGBTQ+(性的少数者)コミュニティが、ハッシュタグ#ProudBoysを自身たちのメッセージを伝えるために利用したからです。この運動は、同性愛者が自らの存在に誇りを持つべきとする考え、つまり「ゲイ・プライド」に関連する画像が、ハッシュタグ#ProudBoysとともに投稿されることから始まりました。

プラウド・ボーイズは反移民を掲げる極右団体で、ハッシュタグの名前を使っていましたが、その一方で、「プライド」または「プラウド」という単語は、LGBTQ+コミュニティの人々が自分たちのアイデンティティを表現するための言葉でもあります。

このハッシュタグ奪取運動は、ドナルド・トランプ大統領が最近の米大統領選の討論会でプラウド・ボーイズの名前を挙げたことがきっかけとなりました。この運動が始まったきっかけは、「スター・トレック」の俳優、ジョージ・タケイ氏のツイッター投稿で、彼はゲイの男性たちに対して、ソーシャルメディアで自分たちを#ProudBoysとタグ付けすることを提案しました。

この活動は、愛、ポジティブさ、そして真のプライドのメッセージを伝えるために、ハッシュタグの意味の重複を巧みに利用しており、ハッシュタグ#ProudBoysと共に、プライド・パレードの写真や、同性愛カップルの写真などがツイッター上で次々と投稿されています。

この出来事について、プラウド・ボーイズやその支持者たちは、このハッシュタグ奪取運動に対して否定的な反応を示しますが、LGBTQ+コミュニティとその支持者たちはこの運動を支持し、様々なニュースメディアで報道されました。

プラウド・ボーイズのリーダー、議事堂襲撃事件前に逮捕される

プラウド・ボーイズのリーダーのエンリケ・タリオは、フロリダ州マイアミ出身のキューバ系アメリカ人で、トランプ前大統領を支持しており、トランプの「アメリカ第一主義」のイデオロギーに賛同し、国家の利益を優先することを重視しています。

“ワシントンからポートランドまで…タリオの対立と衝突に満ちた軌跡

2021年1月、タリオはワシントンD.C.で逮捕され、デモ中にBLMの旗を焼いたとされ、さらに高容量のライフルマガジン2本を所持していたとして告発されました。

トランプ前大統領の支持者たちは、大統領選挙の結果に抗議して、全国各地で数々の暴力的なデモに関与してきました。白人至上主義を掲げるプラウド・ボーイズのグループを率いるタリオは、ワシントンからオレゴン州ポートランドまで、さまざまな場所で目立つ存在となり、ストリートでの衝突や対立に関与してきました。

しかし、タリオ自身はワシントンの裁判所は、議事堂襲撃が発生する前に都市から離れるよう命じされており、襲撃には参加していませんでした。

タリオが明かしたプラウド・ボーイズの闇と議事堂襲撃の結びつき

議事堂襲撃事件前に、タリオは保守派に好意的なソーシャルメディアプラットフォーム「Parler」(現在は廃止)で、プラウド・ボーイズが1月6日に「過去最高の数」で集まるだろうと示唆していました。彼は彼らのグループを「最も悪名高い紳士の集まり」と称しました。

そして議事堂襲撃にはプラウド・ボーイズの少なくとも5人のメンバーが関与し、その結果告発されました。FBIはタリオを1月6日の議事堂での政治的な出来事に備えて予防的措置として拘束したのでした。

その後、タリオとプラウド・ボーイズの他の3人のメンバーは、トランプを権力に留めようとするための議事堂襲撃計画で有罪となりました。これらの行為は、アメリカの政治的な地形に影響を与え、混乱を招き、公共の安全に悪影響を及ぼしました。

NBC News/YouTube

トランプとの絆の変遷!プラウド・ボーイズのリーダーが見せた興奮と失望の断章

トランプ前大統領が2020年の大統領候補者討論会で「下がって待機せよ」と発言した際、プラウド・ボーイズのリーダーであるエンリケ・タリオ氏はその言葉を喜びました。「とても興奮した」と彼は振り返り、「あの討論会の舞台上で、プラウドボーイズの名前は2回、言及された。我々は小さな団体の一つに過ぎない。だけど、その小さな団体が少しずつ社会を変え、ついにあの討論会で我々の名前は言及された」と述べました。

キャピトル襲撃が発生する前の2021年1月6日に向けて、タリオ氏は保守派に好意的なソーシャルメディアプラットフォーム「Parler」で、「プラウド・ボーイズは記録的な数になるだろう。だが、今回はひねりを効かせる」と宣言しました。この「ひねり」とは、プラウド・ボーイズの伝統的なユニフォームである黒と黄色のフレッドペリーのポロシャツ、防弾チョッキ、そしてMAGA(Make America Great Again=アメリカを再び偉大に)帽子をやめ、全身黒で目立たないようにするという意味でした。

しかし、任期が終わりに近づく中でトランプ前大統領がホワイトハウスにとどまるためにさらなる抵抗を示さなかったこと、そして5人が死亡したキャピトル襲撃をのちに批判したことに対し、プラウド・ボーイズの一部のメンバーは失望を感じました。ニューヨーク・タイムズは、彼らがトランプを「グズ」、「並外れた弱虫」と呼び、それ以来、他のメンバーに対しトランプ前大統領のイベントや共和党のイベントへの参加を控えるように要請していると報じました。

さらに彼らは、トランプ前大統領がキャピトル襲撃に関与し、その結果逮捕されたプラウド・ボーイズのメンバーを助けなかったことにも怒りを感じています。これらの出来事は、プラウド・ボーイズとそのリーダー、エンリケ・タリオ氏の見解と立場が大きく変わったことを示しています。

Oath Keepers

「目的は政府転覆!?」オース・キーパーズ

MSNBC/YouTube

オースキーパーズ(Oath Keepers)は、2009年にオバマ政権に反対する目的で設立された反政府準軍事組織です。極右の民兵組織として、彼らは軍や法執行機関のバックグラウンドを持つ人々を引き寄せてきました。また、連邦政府と西部の牧場主や炭鉱労働者との土地利用問題を巡る紛争に関与し、その存在を知られるきっかけを作りました。

オースキーパーズの中心的な信念は、彼らの忠誠心が地方や連邦政府の指導者ではなく、アメリカ合衆国憲法に対してあるというものです。その活動は、政治の裏で操作を行うエリートによって犯される犯罪を暴露することに重点を置いています。

反政府準軍事組織から連邦議事堂襲撃へ

オースキーパーズは、2021年1月6日に発生した議事堂襲撃事件に関与したことで大きな悪名を得ました。事件の映像には、この組織のメンバーの姿が捉えられています。オースキーパーズの創設者であるスチュワート・ローズは、司法省によると、襲撃前や襲撃中に極右の陰謀論者に対して指示を出していたとされています。ローズは事件中に指導的な役割を果たし、行動計画を指示し、集会を組織していました。

検察官は、オースキーパーズのメンバー9人に対する大規模なキャピトル襲撃の陰謀事件を逐次立証しています。少なくとも12人のオースキーパーズのメンバーや関係者がキャピトル襲撃に関連した陰謀の罪で起訴されており、司法手続きの文書によれば、ローズ自身も捜査の対象となっています。

2021年1月6日、オースキーパーズの21人のメンバーは、2020年の大統領選挙の認証を妨害するための広範な陰謀に参加し、米国議会議事堂を襲撃する重要な役割を果たしたとされています。この攻撃に関与したメンバーの一部は既に刑務所刑を受けています。

「スチュワート・ローズ」創設者としての軍出身者の危険な思想

オースキーパーズのリーダーであるスチュワート・ローズ氏は、民主党が投票詐欺を行い、ジョー・バイデンが大統領に選ばれたという見解を持っており、彼に対する厳しい姿勢を維持しています。「我々はバイデンを容赦しない」と彼は宣言しています。頭脳明晰でありながらも、一部からは危険な思想を持つ人物と見なされているローズ氏は、2009年にオースキーパーズを創設しました。

ローズ氏は名門イエール大学を卒業した弁護士であり、オースキーパーズを設立する前は、共和党の有力な議員の秘書をしていました。また、彼は米軍の落下傘部隊に所属していたこともある退役軍人で、その精神は組織に大きな影響を与えています。

「国内、国外からのあらゆる敵から米国憲法を守る」という売り文句で、ローズ氏は軍関係者と警察関係者を中心にリクルート活動を行いました。これによりオースキーパーズは自警団体として急速に成長し、各州に支部を作りました。それぞれの支部では軍隊レベルの訓練が行われ、大量の戦闘用武器が全国に備蓄されています。

ローズ氏は2013年に、「この国で民兵が復活する」のを見たいと述べており、彼の見解はそのままオースキーパーズの活動に反映されています。

WKMG News 6 ClickOrland/YouTube

オース・キーパーズの創設者スチュワート・ローズの逮捕と起訴

2022年1月13日、アメリカ合衆国司法省は、オース・キーパーズ(Oath Keepers)の創設者であるスチュワート・ローズを含む11人の逮捕と起訴を発表しました。これらの逮捕と起訴は、2021年1月6日の米国議会議事堂への襲撃事件に関連しています。

司法省によれば、ローズ氏と他の被告は武力による合法的な大統領権限の移行を妨害する陰謀を企てた罪で起訴されています。この事件に関連し、議会への侵入や財産損壊に関連する容疑で725人以上が逮捕されていますが、これらは議会の手続きを妨害する陰謀の容疑に関連した初の逮捕です。

2021年11月5日、ローズ氏は暗号化メッセージングアプリSignalで「内戦なしにはこれを終わらせる方法はない。既に遅い。心と体と魂を準備せよ」と発言していると報じられています。さらに、同年12月には、「この状況からは正常な政治的・法的手段では脱する方法はない」と述べているとされています。

TODAY/YouTube

オース・キーパーズと2021年1月6日の議会襲撃事件の裏側

2021年1月6日の米国議会議事堂への襲撃事件の際、極右団体オース・キーパーズ(Oath Keepers)は、バージニア州のホテルに隠された銃火器と装備品を襲撃現場に輸送する準備を進めていました。

先週、反逆罪などで逮捕されたアリゾナ州在住のエドワード・バジェホ(Edward Vallejo)氏(63歳)は、他のメンバーと共に、バージニア州アーリントンのホテルに「即応部隊(Quick Reaction Force)」を設置。武器、弾薬、そして「30日分の物資」を用意し、攻撃の指示を待っていました。

襲撃が始まった直後の午後1時38分、オース・キーパーズのリーダーであるスチュワート・ローズ(Stewart Rhodes)氏は、暗号化メッセージングアプリSignalで「トランプはただ文句を言っているだけだ。何かをする意図は見えない…だから、愛国者は自分たちでやらなければならない」と発言し、行動を呼びかけていました。

検察官によると、オース・キーパーズのチームが銃火器の武器庫を守り、必要な場合には首都の過激派に急いで武器を供給する準備をしていました。これらのチームと武器の隠し場所は、スチュワート・ローズ氏と4人の関係者が1月6日の襲撃事件で反逆陰謀の罪で起訴された米国司法省の事件の中心的な要素となっています。

危険すぎる……。議事堂襲撃事件の後にトランプへ公開書簡

さらにオース・キーパーズは、2020年12月14日に公開書簡を発表し、トランプ大統領に対して極端な手段を取るよう求めていました。この書簡は、「我々は現在、ワシントン将軍が1776年に直面したものと同等またはそれ以上の危機に直面している」という声明で始まり、トランプ大統領に対して彼の任期終了までに司令官として行動するよう要求しました。具体的には、軍隊と民兵を動員して国内外の敵、特に共産主義中国に対する反乱を鎮圧し、政府のエリートによる腐敗犯罪の秘密を暴露するよう求めていました。

2021年1月15日には、警備員を突破しようとしたトランプ支持者が逮捕され、その人物が500発の弾薬と偽造の身分証を所持していたと報じられました。

オース・キーパーズのリーダー、スチュワート・ローズはこの公開書簡を自身のウェブサイトに掲載し、裁判所の文書によれば、彼は2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃前後に暴徒と直接連絡を取っていました。ローズは2022年11月30日に、破壊的陰謀罪で有罪判決を受け、25年の懲役刑と8年の監視付き仮釈放の判決を受けました。

これまでに少なくとも14人のオース・キーパーズのメンバーや関係者が、米国の検察当局によって起訴されました。オース・キーパーズは、一部が民兵組織と関連付けられている個人の大規模で緩やかな組織と見なされています。2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃に関連する罪状で、オース・キーパーズのメンバー4人が破壊的陰謀罪などで有罪判決を受けました。

2020年11月3日の大統領選挙の後、ローズと他のメンバーは、ドナルド・トランプ大統領からジョー・バイデン大統領への平和的な権力の移行を止めるための策動を企てていたのです。

Boogaloo

「政府転覆への明確な目標と暴力的な二次内戦の恐怖」ブーガルー運動

KARE 11/YouTube

米国議会議事堂襲撃事件の後、プラウドボーイズ、Qアノン、オース・キーパーズ、そして白人至上主義の愛国者組織など、数多くの極右過激派グループが事件に関与していたことが明らかになりました。これらの中でも特に注目されたのが、ブーガルー運動であり、彼らは2つの点で顕著です。

まず、ブーガルー運動は明確な政府転覆の目標を持っています。彼らは暴力的な二次内戦、または彼らが「ブーガルー」と呼ぶものを引き起こすことを目指しています。その名前自体が、暴力的な社会的混乱や公的権威への抵抗を示唆しており、彼らは憲法を重視し、銃の所有権を強く支持しています。彼らは大きな政府や法執行機関に反対し、自己防衛のために必要なあらゆる手段を取ることを支持しています。

ブーガルー運動の危険性

ブーガルー運動は、組織化されておらず、信奉者はネオナチや白人至上主義グループを中心に、リバタリアンやアナキストも含まれます。特徴的な傾向としては、警察や政府といった公権力を嫌悪し、銃をはじめとする武器を愛好していることが挙げられます。

特筆すべき点として、ブーガルー運動のメンバーの多くが重罪歴を持っていることがあります。この事実は、一部の支持者の間で見られる法執行機関への敵意や暴力的な反政府活動に対する顕著な傾向を裏付けています。この傾向から、ブーガルー運動は他の右翼極端主義グループと比較して、より深刻な脅威とみなされる可能性があります。

由来は「暴力」「内戦」

「ブーガルー(boogaloo)」という用語は、元々は黒人とラテンアメリカの影響を融合させた音楽的なサウンドやダンスを表すものでした。近年ではゲーマーや地下の掲示板で「騒乱」や「内戦」という意味としてスラングとして使われてきました。さらに、この用語は、銃の権利を支持し、反警察や反政府の立場をとる主に白人男性によって「新たな内戦」を象徴するものとして捻じ曲げられています。

これは1984年のブレークダンス映画「Breakin’ 2: Electric Boogaloo」に由来します。元々この映画のタイトルに使われていたこの言葉が、銃支持・反警察・反公権力を掲げる白人男性を中心としたユーザーたちによってもじられ、「新たな市民戦争」を表す言葉に転化されました。この用語を用いる人々、特にブーガルー運動の支持者は、次に起きると予想される紛争が南北戦争の続きになるとの考えを示唆しています。

「ブーガルー(Boogaloo)」運動の起源と活動

「ブーガルー(Boogaloo)」運動は、2019年にアメリカの地下画像掲示板「4Chan」での投稿から生まれました。これは、同じ掲示板から現れた「Qアノン」現象と同時期に起こったものです。ソーシャルネットワーキングプラットフォームがポリシー違反としてブーガルーに関連するコンテンツを取り締まったため、支持者たちは検出を回避するために「ビッグ・イグルー(Big Igloo)」、「ブージャハディン(Boojahadeen)」、「ビッグ・ルアウ(Big Luau)」などの似たような名前を使用し始めました。その中でも「ビッグ・ルアウ」の名前が、アロハシャツを象徴とすることにつながりました。

鮮やかなアロハシャツと軍用スタイルのライフルを組み合わせた「ブーガルー」の制服を着用した武装した「ブーグボア」が抗議活動に参加する様子が見られることもあります。

VICE News/YouTube

新型コロナ抗議から黒人差別デモまで、衝突と暴力の実態

ブーガルーは、一般的な極右思想集団とは異なり、白人至上主義的な主張やキリスト教福音主義の影響が少ないことで特徴付けられます。しかし、他の極右グループよりも政府の権威を否定し、法律などによる権利の制限に強く反対する傾向があります。

2020年の新型コロナウイルスパンデミックの中でのロックダウンへの抗議や、ブラック・ライブズ・マターのデモにおいて、ブーガルは大きな注目を集めるきっかけとなり、ブーガルーボーイズやブーガルーボアと呼ばれるようになりました。

しかし、同時に一部の人々による犯罪や暴力行為が後に注目を浴びる結果となりました。

この運動に関連する人々が逮捕され、この運動に関連付けられた5つの死亡事件が報告されています。これらの人々に対する告訴内容には、殺人、火災や爆発物による損害や破壊の共謀、登録されていない銃火器の所持、平和な警察官へのテロ脅威、暴動の扇動、重大な平和の侵害、および麻薬の罪が含まれています。

特に注目すべき例として、2020年5月29日の事件があります。カリフォルニア州オークランドで行われたブラック・ライブズ・マターのデモ中に、現役の空軍軍曹が自分の車から警察官を射殺し、その後、自宅に到着した別の警察官を襲撃して射殺しました。容疑者の自宅で、「ブーグ」というスラングが容疑者自身の血で書かれた車両が発見されました。

また、2020年6月3日には、ネバダ州で「暴力を扇動した」とされる3人の過激派でありブーガルー運動のメンバーとされる人々が逮捕され、起訴されました。これらの人々は、2020年5月30日にFBI主導の対テロ作戦部隊によって逮捕された際に、火炎瓶を所持していました。

さらに、2021年1月6日の米国議会襲撃事件、警備請負業者と警察官の殺人事件、ミシガン州知事グレチェン・ウィットマーの誘拐計画、ブラック・ライブズ・マターデモへの参加に関連する事件などの、犯罪で告発されています。

CNN/YouTube

「ブーガルの一派」ラストサンズ・オブ・リバティー

「Last Sons of Liberty(自由の最後の息子たち)」という過激派グループは、ブーガルー運動の一部を構成しています。2021年1月6日のアメリカ合衆国議会襲撃の後、彼らは右派のソーシャルメディアプラットフォームであるParlerに数多くのビデオを投稿しました。これらのビデオで、彼らは議会襲撃に関与したことを「偉業」と自慢しています。

これらの衝撃的なビデオ映像には、彼らが鉄のバリケードを破る様子、片手でスマートフォンを操作し、他のメンバーが警棒を振りながら白い大理石の階段で警察官と激しい衝突を繰り広げる様子が映し出されています。これらの行動は、ブーガルー運動が政府権威に反対し、時には暴力を伴う行動を採ることを象徴するものでした。

Richmond Times-Dispatch/YouTube

国土安全保障省の挑戦…言論の自由と国家安全保障の間での対応の難しさ

トランプ大統領の任期中に彼が支持を続けた白人至上主義者達は、SNSやその他のオンラインプラットフォームを通じて、「ミリシア」と呼ばれる武装民兵組織や陰謀論者「Qアノン」などと結束を深め、新たな攻撃を計画しているとされています。

この事態に対して、アメリカ国土安全保障省は「これらのグループは、社会的分断を深める目的で陰謀論や偽情報を広める戦術を使用しています。彼らは、民主主義的な制度を脅かす可能性があります」と警告し、警戒を強めています。

国土安全保障省は、白人至上主義者やその他の極右団体がソーシャルメディアや暗号化された通信プラットフォームを通じて新たな攻撃を計画しているとの情報を確認し、公表しました。これらの団体は、前トランプ大統領の主張や政策を支持し、その一部は2021年1月の議会議事堂襲撃に関与したとされています。

また、国土安全保障省は、SNSや暗号化された通信プラットフォームを監視し、これらのグループの活動を追跡するための新たな手段を模索しています。警察や情報機関との連携も強化され、事前に計画された暴力行為を未然に防ぐ努力が続けられています。

しかし、これらの極右団体やミリシアの活動は、表現の自由と国家安全保障との間で議論があり、合衆国政府は慎重に進めざる得ない状況にいます。

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白人至上主義と自国第一主義が結びついた「白人ナショナリズム」。トランプ政権の誕生以降、注目を集めるオルトライトをはじめ、さまざまな勢力が連なる反動思想だ。反共、反多文化主義、反ポリティカル・コレクトネスといった旧来の保守と共通する性格の一方、軍備拡張や対外関与、グローバル資本主義を否定する。社会の分断が深まるなか、自由主義の盟主アメリカはどこへ行くのか。草の根のリアルな動向を現地から報告。(「BOOK」データベースより)

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