アメリカの政治的な風景において、注目を浴びているのは、極右運動とトランプ支持者、そして過激派ミリシアとの危険な結びつきです。
2020年以降、アメリカは政治的な対立や社会的な分断が激化し、その一部が極端な形で表面化しています。本記事では、この問題に焦点を当て、その背後にある要因や影響について詳しく探求していきます。
【Qアノン陰謀論(22)】Qアノン信者だけじゃない!連邦議事堂襲撃に関与した様々な組織の存在
Inside The Pro-Trump Militant Group
トランプ支持者の中にいた過激派ミリシア
極右・ネオファシストなどの過激派組織は、移民反対、民族主義、または政府への強烈な反感など、極端な政治思想を抱いています。その思想は往々にしてトランプの政策やリトリックと重なることがあります。
その中でも、特に警戒が必要なのは反政府主義を掲げる武装ミリシア組織です。彼らは、個人が武装する権利を強く主張し、自己防衛や自由を守るためには暴力も辞さないという激しい信念を持っています。
武装ミリシアは、しばしばQAnonと交錯することがあり、陰謀論を信じる人々の中には、これらのミリシアに参加する人々も含まれています。
彼らは、政府やエリート層に対する不信感を共有し、その結果、自己防衛や”真実”を求めるために武装することを選択しています。
極右過激派の中でも、特に警戒が必要なのは反政府主義を掲げる武装ミリシア組織です。
彼らは、個人が武装する権利を強く主張し、自己防衛や自由を守るためには暴力も辞さないという激しい信念を持っています。
武装ミリシアは、しばしばQアノンと交錯することがあり、陰謀論を信じる人々の中には、これらのミリシアに参加する人々も含まれています。
彼らは、政府やエリート層に対する不信感を共有し、その結果、自己防衛や”真実”を求めるために武装することを選択しています。
民兵(ミリシア)の理解とその現代的な存在
アメリカ英語では、「民兵」を意味する言葉「ミリシア(Militia)」は通常「マリッシャ」と発音されます。
この「マリッシャ」とは、「本格的に武装訓練を行っている、時にはアメリカ軍顔負けの訓練まで行っている武装集団、あるいはその個人たちのこと」と定義されています。
合衆国憲法とミリシア!権利と問題の狭間
現代の「ミリシア(民兵)」は大きく二つに分類されます。一つは、州に帰属する州兵(State National Guard)などのOrganized Militia、もう一つはそれ以外のUnorganized Militiaです。
先に述べた反政府的な武装集団は、主にこの後者のUnorganized Militiaに該当します。
このような民間人によって独自に組成された民兵組織の存在は1990年代前半から顕著になってきており、現在ではその数が200~300グループに上るとも言われています。
実は、アメリカの歴史的な文脈では、政府から独立した市民による市民のためのミリシアの存在は、合衆国憲法で認められています。
これは、権力による圧政が現れた際、共同体を保護するための手段とされていたのです。この観点から、「武器を保持または携帯する権利」が憲法修正第2条に明記されています。
しかし、今日の民兵の形は、この歴史的な意図から逸脱してしまっている可能性があります。そしてそれが、現代社会における深刻な問題を引き起こしています。
銃規制とアメリカ合衆国の銃犯罪
アメリカ合衆国では、銃による暴力が深刻な社会問題となっています。2020年には、610件もの大量射撃事件が発生し、19,411人が銃犯罪によって命を失ったとの記録があります。
さらに、この傾向は2021年にも続き、1月1日から8月18日までの期間だけでも12,868人が銃による犯罪で命を落とし、25,795人が傷を負いました。
これは、日々100人以上が銃犯罪の被害者になっていることを示しています。
大量射撃事件が発生する度に、アメリカ全国で銃規制に関する議論が活発化します。
しかし、政府にとって銃規制を進めることは、複雑な背景と共に依然として困難です。
アメリカの銃規制に関する議論は、何十年にもわたり続けられており、特に大規模な大量射撃事件が起きる度に再び注目が集まります。
アメリカの銃所持率と銃による殺人率は、他の先進民主主義国と比較しても高いとされています。多くの先進国では銃規制は厳格であり、その必要性については議論の余地がありません。
しかし、銃規制がアメリカのように激しい論争を引き起こす場所は他にありません。
銃所持権が憲法で保護されているアメリカでは、銃による殺人(大量殺人を含む)が非常に一般的であり、銃による殺人率は先進国の中でも突出して高いです。
銃規制の強化を支持する人々は、銃へのアクセスを制限することが命を救い、犯罪を減少させると主張しています。
しかし、銃の権利を主張する人々は、法を守る市民の銃所持が犯罪を減らすと主張しています。
犯罪者たちはいつどこででも銃を手に入れることができるため、自分たちの身を守るためにも銃が必要だと考えているためです。
アメリカの銃規制の議論は、この二つの見方の間で揺れ動き、その解決策は未だ明らかではありません。
「政党」「性別」「地域」銃所有とその相関関係
アメリカ合衆国における銃所有は、政党と強く相関しています。一般的に、共和党員の方が民主党員よりも銃を所有している可能性が高いことが明らかになっています。
具体的には、共和党員または共和党寄りの無党派の人々の中で、銃を所有していると回答する割合が44%に達しています。
これに対して、民主党員または民主党寄りの無党派の人々では、銃を所有していると回答する割合は20%にとどまります。
さらに、共和党支持者の中で銃を所有している人々の中では、91%が無制限の銃所持が重要だと考えています。
これに対して、民主党支持者の中では、同じ考えを持つ人はわずか43%です。多数の民主党支持者、つまり半数以上の人々は銃を持ったことがないと回答しています。
一方、共和党支持者の63%は少なくとも時折銃を携帯していると答えています。
銃の所有者には性別や地域による傾向も見られます。
銃所有は男性、特に白人男性の間で一般的であり、地域別に見ると田舎に住んでいる人々の中で、46%が銃所有者である一方、郊外に住んでいる人々では28%、都市部では19%にとどまります。
トランプ大統領の銃規制政策!変遷する立場と複雑な背景
トランプ大統領の銃規制に対する立場は複雑なものでした。彼が大統領に就任する前は、「異常者」を排除するためのバックグラウンドチェックの支持を公言していました。
しかし、大統領就任後、全米ライフル協会(NRA)の支持を受ける形で政策を変更しました。特に、2018年にNRAの年次大会に出席した際には、銃を所持する権利を保護する必要性を強く強調しました。
トランプ大統領はまた、その任期中に何度も規制緩和によって銃の利用を拡大する方向に舵を取りました。
その一例として、2019年には精神疾患を持つ人々が銃を購入する際に困難をもたらすとされたオバマ時代の規制を撤廃する法案に署名しました。
一方、民主党の候補者たちは、独自の銃規制策を積極的に提唱しています。
これは、特にテロリスト、家庭内暴力加害者、その他の暴力犯罪者、そして自分自身や他人に危険を及ぼす可能性がある人々が銃を所持しないようにするといった、銃による暴力を防止するための政策を提案することで具現化しています。
さらに一部の民主党大統領候補者は、連邦政府を通じてすべての銃所有者に対してライセンス取得を義務付けるという、より進歩的な計画を提案しています。
第二修正条項!銃規制ディレンマとアメリカのアイデンティティ
銃はアメリカの歴史を語る上で絶対に外せない要素であり、多くのアメリカ人にとっては自己のアイデンティティと誇りの源泉となっています。
1791年に採択されたアメリカ合衆国憲法の第二修正条項は、「自由な国家の安全に不可欠なよく規制された民兵の存在を考慮に入れて、人々の武器の保持および携帯の権利は侵害されない」と規定しています。
この憲法規定は法的な意味を超えて社会文化的な重みを持ち、アメリカのアイデンティティと銃所有権の関係は深く、時に議論の対象ともなっています。
調査によれば、銃を所有しているアメリカ人の約半数が、銃の所有が自分たちのアイデンティティに大きく影響を与えると考えています。
また、アメリカ人の約3分の2が少なくとも一度は銃を所有した世帯に住んでおり、およそ7割が銃を撃った経験があると答えています。
銃規制法は州によって異なります。一部の州ではほとんど銃の規制がない一方で、他の州では厳格な銃規制法を施行しています。
カリフォルニアとニュージャージーは、ギフォーズ銃規制スコアカードによれば全米で最も厳しい銃規制を持つ州とされています。
2008年には、最高裁判所がワシントンD.C.の拳銃禁止を憲法違反とし、第二修正条項によって保護された個人の銃所有権を侵害しているとする画期的な判決を下しました。
しかし、厳しい銃規制を持つカリフォルニアでも、銃による暴力事件が依然として発生しています。
専門家はこれについて、州の人口の多さや、銃規制がより緩い他の州との地理的な近接性が影響を及ぼしていると指摘しています。
第二修正条項はその解釈や適用について多くの議論を呼び、複雑な問題となっています。
銃所有はアメリカの文化やアイデンティティの一部でありますが、銃による暴力の影響と、責任ある銃所有と適切な規制の重要性も考慮する必要があります。
ミリシアと銃所有権の歴史
アメリカの歴史を辿ると、初期の時点からミリシアような民兵の存在が見受けられます。
警察や軍隊がまだ確立していなかった初期の入植時代に、人々は自衛のために自身で民兵を組織しました。
アメリカの民兵の歴史は建国以前に遡り、独立戦争の端緒となったのも、英国軍と植民地の民兵との間の戦いであるレキシントン・コンコードの戦いでした。
憲法に先立つ連合規約では、各州が民兵の維持に必要な武器や必要な物品を準備・供給することが規定されました。独立戦争の当初は連邦軍が存在せず、州兵と民兵が主戦力でした。
民兵は「ミニットマン(minute man)」とも呼ばれ、傍らに銃を置きつつ農作業を行い、招集がかかると1分で結集したことからその名がつきました。
これらの民兵こそが憲法修正条項で「自由な国の安全にとって必要」な存在とされました。
正規軍と比べ士気や戦闘能力の低さが指摘されることもありましたが、その後も民兵は連綿と存在し続け、米墨戦争やメキシコ革命、南北戦争で一定の役割を果たしました。
アメリカにはこのような独特の歴史があり、広大な国土を持ち、同じく激動の歴史を持つオーストラリアと比べても、その社会文化的DNAは大きく異なります。
オーストラリアでは銃所有が大幅に削減されていますが、これはその国の先住民がヨーロッパからの侵入者に対し組織化された反感を持たず、また移民たちがヨーロッパの軍隊と戦った歴史がないためです。
オーストラリアの独立は戦争を経ることなく得られたものであり、そのため「民兵」という概念が国民全体が武器を携帯する自由を保証するという形で拡大解釈されることはありませんでした。
しかしアメリカでは、修正条項により「国家の自由」さらに「個人の自由」を守るために銃を保有する権利が保障されています。
この考え方は、アメリカ保守主義の中で主流から排除されたジョン・バーチ協会の一部の人々によって強化されました。
その中には、協会の平和主義路線に飽き足りなかった人物たちが多く、彼らは暴力を辞さない過激志向の集団を形成していきました。
これらの人々の理念はクリスチャン・アイデンティティの思想と連動し、後のミリシア運動の源流となりました。
カルト教団の陰謀と聖戦「ブランチ・ダビディアン事件(1993.4.19)」
アメリカ人の中には、政府に対する深い疑念を持つ者が存在します。その結果、自衛のために銃を所有する権利を主張する人々が多く、政府による弾圧への恐怖がその背後にあると考えられます。
特に、ミリシアの中には、政府からの弾圧を懸念し、陰謀論を信じる者もおり、彼らは武装して山の中や荒野で生活しています。
これを示す最も有名な例として、1993年にテキサス州ウェイコで発生したブランチ・ダビディアン事件が挙げられます。
共同生活を送っていたカルト教団「ブランチ・ダビディアン」は、デビッド・コレシュが3代目教祖になると凶暴化し、終末の戦争を前提に大量の武器を保有し始めました。
コレシュは、信者だけが最終戦争を生き残ると主張し、教団の武装化を推進していきました。
1993年、ウェイコの教団本部にアメリカの連邦捜査局であるアルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(ATF)の強制捜査が入ると、激しい銃撃戦が発生しました。
その後、FBIが介入し鎮圧を試みましたが、初の強制捜査から51日後の1993年4月19日に教団本部が炎上し、コレシュを含む多数の信者が死亡する惨事に至りました。
ブランチ・ダビディアンの信者たちは、「ハルマゲドン(世界の終末)」を信じ、政府が教団を弾圧し最終戦争を仕掛けてくると予想していました。
したがって、彼らはFBIの強制捜査を政府からの宗教弾圧と捉え、自分たちの信仰を守るために聖戦を始めたと考えられます。
事件後、犠牲者の大半が自殺であったことが判明しました。また、コレシュが投降する条件として司法長官に送った手紙がFBIによって無視されていたことも明らかになりました。
これらの事実は、FBIの解決法に対する批判を引き起こしました。
退役軍人によるテロ「オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件(1995.4.19)」
ブランチ・ダビディアン事件から2年後の1995年、その影響が再びアメリカ全土に広まりました。
4月19日、26歳のアメリカ人男性ティモシー・マクヴェイがオクラホマシティの連邦政府ビル(アルフレッド・P・マーラー連邦ビル)を爆破しました。
このテロ攻撃で、ビルの一部が崩壊し、168人が死亡、650人以上が負傷しました。この事件は、9/11以前のアメリカ国内における最悪のテロ事件となりました。
当初、犯行はネオナチやイスラム過激派によるものだと考えられていましたが、実際にはアメリカ陸軍の元兵士で、湾岸戦争のベテランであったマクヴェイが犯人であったことが明らかになり、全米を驚かせました。
彼の動機は、ブランチ・ダビディアン事件に対する連邦政府への反感でした。
デビッド・コレシュの指示で行われたブランチ・ダビディアンの銃撃戦の報道は多くの若者に影響を与え、特にマクヴェイと彼の共犯者であるテリー・ニコルズは、この事件から連邦政府ビル爆破のアイデアを得たと証言しています。
主犯マクベイの刑執行後の3ヶ月後「9.11 アメリカ同時多発テロ事件が発生する」
この大惨事を受けてアメリカ政府は、マクヴェイの死刑執行を被害者の家族に公開し、国内の安全を保証しました。しかし、そのわずか3ヶ月後、9/11のテロ事件が発生しました。
連邦政府が下したブランチ・ダビディアン教団に対する決定は、悲劇の連鎖を引き起こしました。それ以来、4月19日はアメリカの歴史において忘れられない日となっています。
反政府感情と陰謀論の結びつき
現代アメリカの反政府思想の一部には、陰謀論の世界観が混ざり合う特異な形状が存在します。
一つ目の例としては、「インターネット・ジャーナリスト」アンディー・マーティン(Anthony Robert Martin Tringona)が挙げられます。
彼は、バラク・オバマがアメリカ生まれの市民でないと主張し、その結果、オバマは大統領の資格を満たさないと訴えました。彼のような主張をする人々は「バーサーズ(Birthers)」と呼ばれています。
二つ目の例は、オバマが出席したタウンホールミーティングに銃を携行して現れたアーネスト・ハンコック(Ernest Hancock)とその関係者たちです。
彼らはパレオリバタリアンの一派であり、市民から武器を奪おうとする国家の専制化に対抗するために武器を手放さないと宣言しました。
彼らは、9/11後のテロとの戦いが国家による市民に対する監視を強めたのと同じように、これは国家権力による治安の強化、市民的自由の抑圧政策の一環だと主張しました。
アメリカ合衆国の最大テロ脅威!1990年代の武装市民グループ
こういった見解は、1990年代初頭に形成され、これまでの先行組織よりも一貫した反政府のイデオロギーを持っています。これらのグループは民兵、非組織化民兵、憲法民兵と呼ばれることがあります。
1980年代にはポッシーコミタタスなどのグループも存在していましたが、1990年代初頭に政府機関との対立を経てこの運動は勢いを増しました。
1990年代中頃までに、これらのグループは全米50州で活動し、そのメンバーシップは1万人から25万人と推定されていました。
専門家は、ソーシャルメディア上の暗号化されたメッセージを通じてつながる支持者は数千人以上いると推定しています。
そのため、FBIはこれらの武装市民グループを「アメリカ合衆国における最大の国内テロリズムの脅威の一つ」と見なしています
トランプは大統領選でミリシアを煽るような発言を続けた
2020年のアメリカ大統領選挙は、新型コロナウイルス感染による影響が深刻であった。
この時期、民主党の候補者ジョー・バイデンに対して世論調査で劣勢だった当時の大統領ドナルド・トランプは、「ミシガンを解放せよ!」や「バージニアを解放せよ!」といった発言をし、ミリシアを扇動しました。
これらの発言が目立ったのは、これらの州が民主党の州知事を有していたからであり、それがトランプの発言の背後にある理由だと考えられています。
トランプの発言をきっかけに、民兵や新ナチスのようなグループが活動を活発化させ、アメリカ全土で暴力の可能性が高まりました。
武装したミリシアの姿が投票所で目撃される
実際に、選挙期間中、投票所周辺には民兵などの武装集団が集まり、全国各地でこの傾向が見られました。
これらのグループの大半は、保守派のイデオロギーを掲げるトランプ大統領を支持しており、ジョー・バイデンの支持者を威嚇する行為を行っていたと非難されました。
ミリシアのメンバーが民主党知事の拉致未遂事件で逮捕
2020年10月8日、米当局は民主党のグレッチェン・ウィットマー(Gretchen Whitmer)ミシガン州知事を拉致し、内戦を引き起こす計画を企てたとして、右派武装組織のメンバー2人を含む13人を逮捕しました。
ウィットマー氏は、この拉致計画を阻止した警察への感謝と同時に、ヘイトグループを糾弾しない当時の大統領ドナルド・トランプを強く非難しました。
逮捕されたのは、ミリシアのウルヴァリン・ウォッチメンという極右団体のメンバーで、自動小銃や軽機関銃で武装していました。
「ウルヴァリン・ウォッチメン」というネーミングは、コミック好きには馴染み深い名前でしょう。
ウルヴァリンはマーベル・コミックの「X-MEN」シリーズの人気ヒーローで、「ウォッチメン」はDCコミックスの人気作品です。
しかし、ウルヴァリンという名前には、英語でクズリ(イタチ科の動物)を意味するという、ミシガン州に繋がる意味も含まれています。
なお、ウルヴァリン・ウォッチメンは2019年11月〜2020年6月までの7カ月間、Facebook上でメンバーを募集していました。
FBIによると、彼らは2020年初頭からソーシャルメディアを通じてミシガン州政府と法執行機関を転覆しようとしていたという情報が得られていました。
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるためにウィットマー知事が導入した外出制限に対する反感が右翼に広がり、ウィットマー知事は攻撃の目標になっていました。
さらに懸念されるのは、彼らが軍隊経験者を積極的に勧誘していたという事実です。
これらの動向は、ミリシアといった右翼武装団体の脅威を示すとともに、アメリカ社会に存在する深刻な分断を象徴するものになりました。
数日後の集会でトランプはさらに煽った
2020年10月17日にミシガン州のマスキーゴンで行われた選挙遊説では、トランプは数千人の支持者に対して再選が経済の急成長をもたらし、対抗馬である民主党大統領候補ジョー・バイデンの勝利は景気後退をもたらすと語りました。
しかし、この遊説でのトランプ大統領の発言は、ミシガン州知事グレチェン・ウィットマーについてのコメントに関して批判を浴びました。
ウィットマー知事はツイートで、「これはまさに私、私の家族、他の政府関係者の命を危険にさらし、アメリカ人の命を救おうとしている間に、危険をもたらす言葉遣いです。これは止めるべきです」と述べました。
トランプ大統領は演説中、ウィットマー知事の新型コロナウイルスに関連する制限や最近の州最高裁判所の判決について言及し、「州を開放し、学校を再開させてくれ」と訴えました。
トランプのウィットマー知事に関する発言は、聴衆の中で「彼女を監禁しろ」というコールを引き起こしました。
このコールは、トランプ大統領が2016年のヒラリー・クリントンとの選挙戦で人気を博したコールに由来しています。
ミシガン州下院議長のリー・チャットフィールド氏は、その遊説に参加していたが後にツイートし、「トランプ氏は私たちの知事に対して『彼女を監禁しろ』とは叫ばなかった。
しかし、他の人々が叫んだことはあり、それは間違っていた。彼女は文字通りターゲットにされた」と述べました。
大統領選最終盤にバイデン・ハリスの殺害計画の企てで逮捕者
2020年10月21日、メリーランド州の男性がジョー・バイデン民主党大統領候補およびカマラ・ハリス副大統領候補への誘拐と殺害の脅迫容疑で逮捕、起訴されました。
この男性はジェームズ・デイル・リードとして特定され、自宅の監視カメラに映っている姿から、フレデリック(メリーランド州)の一軒家の玄関先に脅迫の手紙を残したとされています。
その家の庭にはバイデン・ハリスの選挙看板が置かれていました。
この手書きのメモには候補者および彼らの支持者に対するグラフィックな脅迫が書かれていました。
しかし、シークレットサービスが提出した刑事告発書には、リードが実際に脅迫を実行するために取った手段については記述されていませんでした。
この事件は、選挙戦が最終盤に差し掛かり、国内が政治的に極度に分断されていた時期に発生しました。
リードは大統領および副大統領の重要な候補者であるジョセフ・バイデンとカマラ・ハリスに対して殺害と誘拐、および身体的な害を加えることを脅迫した容疑で起訴されました。
トランプ支持者の異常な行動…政治的対立と暴力のエスカレーション
さらに2021年10月30日、テキサス州の高速道路でトランプ支持者による車列がジョー・バイデン陣営のバスを囲むという異常な事件が起こりました。
トランプは自身のツイッターにこの事件の動画を投稿し、「愛国者たちは何も悪いことをしていない」と述べました。
また、「FBIは、民主党が支配する都市で火をつけ、市民を傷つけるテロリストを捜査すべきだ」とも投稿しました。
これらの投稿は、トランプが直接的に支持者に暴動を扇動したわけではないものの、その行動を黙認、または奨励したと受け取られました。
また、2021年11月1日には、ニューヨーク州でトランプ支持者がハドソン川にかかる橋上で車を停め、旗を振りながら交通を止めるという行動を起こしました。
そして、ジョージア州では、「ミリシア」と呼ばれる武装市民グループの存在が浮かび上がりました。彼らの存在により、民主党の集会が直前に中止となりました。
これらの行動は選挙結果に影響を与え、その後の社会の混乱を招きました。
特にトランプ氏自身が選挙結果について「選挙が盗まれた」という未証明の主張をし、自分が正当な勝者であると主張するなど、選挙後の不安定な状況を助長しました。
多くの専門家は、トランプの言動が選挙不信を煽り、その結果、政治的な分裂と不安定を引き起こしたとの見解を示しています。
選挙が不正によって”盗まれた”との主張は、選挙結果の信憑性に疑問を投げかけ、その結果、多くの市民が選挙システムと民主主義そのものに対する信頼を失いました。
また、これらの行動により、激化した政治的な対立と分裂がさらに悪化しました。
ミリシアの存在やトランプ支持者の行動は、政治的な意見の対立がただの意見の相違ではなく、暴力的な行動へとエスカレートしてしまう可能性を示唆しています。
【Qアノン陰謀論(24)】「下がってスタンバイせよ」トランプ支持の凶悪組織が暗躍する裏世界とは?