この記事は、2020年のアメリカ大統領選挙におけるトランプ元大統領とバイデン現大統領の間で繰り広げられた激戦の結末を詳細に迫ります。開票当日である2020年11月3日に、一部の激戦州の集計遅れが見込まれる中、トランプは自身がリードしていると判断し、早期に勝利宣言を行いました。
この出来事は「レッド・ミラージュ」と例えられました。さらに、記事は選挙結果に対するトランプの早すぎる勝利宣言が招いた混乱、メディアの対立、そして全米でのデモについても詳しく説明しています。
【Qアノン陰謀論(14)】バイデンの票が一夜で増えた?陰謀論者たちが主張する選挙の真実
Trump declares victory prematurely
突然トランプが勝利宣言!!大混乱のアメリカは全米各地で抗議デモ
2020年米大統領選での大接戦は、トランプ元大統領とバイデン現大統領の間で繰り広げられた激戦の結末を未だに物語っています。開票当日である2020年11月3日に、一部の激戦州の集計遅れが見込まれる中、トランプは自身がリードしていると判断し、早期に勝利宣言を行いました。この出来事は「レッド・ミラージュ(Red Mirage・赤い蜃気楼)」と例えられました。
米大統領選で繰り広げられた「レッド・ミラージュ」とは?
「レッド・ミラージュ(Red Mirage)」は、2020年の米国大統領選挙において使用された用語であり、共和党が投票の初期段階でリードしているように見える現象を指します。
この現象は、選挙当日に行われる投票が通常共和党に有利であるのに対し、郵送での投票が民主党に有利であり、郵送投票の集計が遅れたことから発生しました。
2020年の選挙では、新型コロナウイルスの影響で郵送投票が大幅に増え、多くの民主党支持者は郵送投票を利用し、一方で多くの共和党支持者は選挙当日に投票所で投票しました。このため、開票初期には共和党候補のドナルド・トランプがリードしているように見えた地域が多かったのです。
しかし、郵送投票の集計が進むにつれ、民主党候補のジョー・バイデンが徐々に差を縮め、最終的には勝利しました。このため、トランプが当初リードしていたことが「レッド・ミラージュ」、つまり赤い蜃気楼のようだったと表現されました。
真の勝者は誰?トランプの早すぎる勝利宣言が招いた混乱
前述の通り、2020年のアメリカ大統領選挙では、開票作業が進行中であるにもかかわらず、当時の大統領であったトランプが自身の勝利を早々に宣言するという事態が生じました。しかし発言に対して、不正確かつ誤解を招く可能性があるとして、各方面から警告がなされました。
大統領選挙の主要な争点となったフロリダ州での勝利を確信したトランプ大統領は、対立候補であるジョー・バイデンが支持者に対して前向きなメッセージを伝える中、ツイッターで「今夜勝利宣言をする。大勝利だ」と発表しました。さらに、トランプ大統領は選挙結果を操作する試みがあると示唆し、「私たちは大差で勝っているが、彼らは選挙を盗もうとしている。そうはさせないぞ。投票所が閉まったあとに票を操作することはできない」と投稿したのです。
これに対し、バイデンは10分後に「この選挙の勝者を宣言するのは、私でも、ドナルド・トランプでもない。有権者だ」と反論しました。これは選挙の結果が全ての票が正確に集計されるまで確定しないという、民主主義の基本的な原則を表しています。
信じるべき情報か?警告ラベル付きツイートが広まるパラドックス
11月3日の夕方、Twitterはトランプ大統領の「選挙や他の市民行事への参加方法について誤解を招いている可能性があります」というツイートに初めて警告ラベルを表示しました。このツイートは根拠のない主張を含んでおり、選挙や他の市民イベントに関して誤解を招く可能性がありました。
ツイートは誤解を招く情報としてラベル付けされ、ユーザーは返信やいいねをすることが制限されました。同様に、Facebookもトランプの投稿にラベルを表示し、投票はまだ進行中であり、2020年の米国大統領選挙の勝者はまだ予測されていないことを強調し、注意を呼びかけました。
研究によると、警告ラベルが付いたメッセージの方が、ラベルのないメッセージよりもTwitter上で広がりやすいとされています。しかし、警告ラベルが表示されたにもかかわらず、トランプは引き続きソーシャルメディア上でフェイクを広めました。
トランプの急な勝利宣言が引き起こした選挙結果への疑念と批判
2020年11月4日、アメリカ合衆国大統領選挙の投票がまだ進行中である中、トランプ大統領は日本時間の午後4時30分ごろにホワイトハウスで演説を行いました。彼は「我が国には重大な詐欺行為があった」と宣言し、「この選挙に勝利する準備ができている。正直に言って、我々は勝利した」と述べました。
これは早まった勝利宣言であり、多くの州がまだ投票を数えており、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で数日かかると予想されていた郵送投票も含まれていました。 トランプは、メディアが既に勝者を予想したフロリダ州やテキサス州だけでなく、当時の彼の発言時点でメディアがいずれの候補者にもレースを呼びかけていなかった戦場州の東部ペンシルベニア州でも勝利を主張しました。
ペンシルベニア州を含む他の戦場州は、全体的な結果における重要な転換点とされており、CNNや他のネットワークはトランプの早まった宣言に対して批判を行いました。
アリゾナ州やペンシルベニア州などいくつかの戦場州でまだ投票が進行中であるにもかかわらず、トランプは法的措置を取る意向を示し、「最高裁判所に進むつもりだ。全ての投票を止めさせたい」と述べ、郵送投票の集計を停止することを望んでいることを示唆しました。
共和党の内紛!共和党メンバーからのトランプ勝利宣言への辛辣な批判
しかし、トランプの勝利宣言は一部の共和党員からも批判を浴びることになりました。ジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)は、トランプの“宣言”は「恥ずべきもの」であり、「大統領の発言のなかで最も無責任なものだ」と断じました。
メリーランド州のラリー・ホーガン知事も同様に批判的な見解を示し、宣言は「“言語道断、不要な行動であり、とんでもない間違いだ」「大統領は、彼自身の最悪の敵になることがある」とコメント。ホーガン知事は、早まった宣言がトランプ自身の評価を下げる可能性を指摘します。
さらに、リック・サントラム元上院議員(ペンシルベニア州選出、共和党)はCNNに対し、大統領の主張に「非常に心を痛めている」と語っています。サントラムは、トランプが「票の集計を行っている人たちが不正をはたらいている」と示唆していることは「間違っている」との見方を示し、不正の疑惑に関する明確な証拠を求める声をあげました。
共和党内での異論排除と「イエスマン」文化の浸透
一方で、トランプが共和党内の異論を排除し、「イエスマン」で固められた「トランプ党」と称される現状も見え隠れしていました。
そ次世代リーダーとされるマルコ・ルビオ上院議員は、トランプの主張に対し中立の立場を保つコメントを発表しました。「合法的に投票された票を数日かけて数えるのは不正ではない」と述べつつ、「投票に関し裁判所に異議を申し立てるのは弾圧ではない」とも付け加えた。ルビオのこの発言は、党内でのバランスを取る試みとも受け取られます。
しかし、党内でトランプの早まった勝利宣言を公然と擁護する声はあまり聞かれませんでした。この状況に対し、トランプの息子エリックはツイッターにて「共和党員はどこに行ったのか!不正と戦ってほしい」と投稿し、党内の不満といら立ちを表明しました。
「トランプは選挙を盗もうとしている」市民たちがツイッター本社前で痛烈抗議
選挙結果に対する不満は共和党内部だけでなく、一部の公衆からも声が上がりました。サンフランシスコ市にある米ツイッターの本社前では、現地時間11月4日夕方、集票作業を止めるよう求めるトランプの陣営に抗議する集会が開かれました。
集会に参加した市民たちは、「トランプは選挙を盗もうとしている」と声を合わせ、激しい非難を浴びせました。彼らはトランプとその政権からの退場を求める「#OUTNOW!(出ていけ!)」のハッシュタグをツイッター上で拡散するよう呼びかけました。
魔法のように消えた数字?トランプ大統領が選挙システムの腐敗を非難
米東部時間11月5日午後6時半(日本時間6日午前8時半)過ぎ、ドナルド・トランプ米大統領は記者会見を開き、選挙の法的闘争に持ち込む意向を改めて示しました。「法的に有効な票を数えれば、私は簡単に(この選挙を)勝てる。違法な票を組み入れれば、彼ら(民主党)は選挙を盗むことが出来る」とトランプは述べました。
トランプはまた、共和党の選挙立会人が期日前投票の集計を近距離で確認することができるようにするなど、各州で「法的な手段を講じる」と表明。トランプのこの発言は、法的闘争を通じて選挙結果に挑戦し続ける意向を示すものと解釈されます。
また、トランプは「私は多くの激戦州で明らかに勝っていた」と主張。しかし開票作業が進むにつれ「我々の数字(リード)は、魔法のように秘密裏に消えていった」と述べ、開票の進行に疑念を呈しました。
さらに彼は、集計作業を監視する共和党の選挙立会人が「60フィート(18メートル)から100フィートも離れた場所か、ビル外に追いやられた」と批判しました。これは一部の立会人が適切な監視ができなかったとの主張であり、選挙システムが「破壊され、腐敗している」と非難しました。
メディアの対立!大統領の発言を放送中断するメディアと続けるメディア
主要なアメリカの3大テレビネットワーク、ABC、NBC、CBS、および公共ラジオNPRは、トランプ大統領の選挙結果に関する発言の生中継を中断するという異例の措置を取りました。
一方で、CNNとFOXニュースはこの15分間の記者会見を全編放送しました。
これまでニュースメディアはトランプの報道方法を進化させてきました。例えば、ケーブルニュースネットワークは、トランプの集会をすべて生中継しなくなり、代わりにイベントを監視し、報道価値のある情報を視聴者に提供するようになりました。
例外的に、大統領の広範な代表取材とブリーフィングの発言は、生中継または映像が利用可能になるとすぐに放送し続けていました。
それにも関わらず、ABC、CBS、NBCといった大手放送ネットワークは、トランプ大統領が選挙の信頼性についての誤った主張をしたため、ホワイトハウスでの記者会見から中断したのです。
ツイッターがトランプ大統領の主張に警告表示を追加
トランプ大統領は、11月5日のツイッター投稿で「バイデンが最近獲得したという州は全て、投票不正と選挙不正について、法的に争う。証拠はたっぷりある。メディアを調べてみろ。我々は勝つ! アメリカ・ファーストだ!」と主張しました。
しかし、ツイッター社はこのツイートを含め、トランプの複数のツイートに対し、ユーザーへの警告表示を追加しました。「このツイートで共有されているコンテンツの一部またはすべてに異議が唱えられており、選挙や他の市民行事への参加方法について誤解を招いている可能性があります」との注意文を表示し、ユーザーへ情報の正確性を検証するよう促しました。
トランプとの異なるスタンス…コンウェイの選挙結果における立場の変化
ドナルド・トランプ米大統領の広報戦略に深く関わり、政権の初期段階で頻繁にメディアに登場し、政権のメッセージを伝える役割を担っていたケリーアン・コンウェイ。彼女は特に、大統領就任式の観客数について、ショーン・スパイサー報道官(当時)が不正確な発言をした際に「オルタナティブ・ファクト(もう1つの事実)」という言葉でこれを擁護し、話題となった。
しかし、今回の選挙においては、コンウェイがトランプ大統領とは異なる立場を取っていることが注目されている。トランプが選挙の集計を早期に停止するよう求めている一方で、コンウェイはFoxニュースの番組で、「民主党は大統領を調査し、弾劾するのに3年間費やした」と指摘し、「なぜ選挙の決着をつけるために、そんなに急ぐのか?辛抱強く待ち、深呼吸して、全ての合法的な投票を集計しましょう」と述べた。
これにより、彼女はトランプの選挙結果についての発言とは異なる立場を示し、全ての合法的な票の集計を待つべきだとの立場を明確にしました。
トランプ支持者と反対派のデモが全米で拡大し、緊張が高まる
米大統領選の開票作業に対して、郵便投票の集計中止を訴えるドナルド・トランプ大統領を支持するデモと、それに反対するデモが全米の主要都市で広がり、国内の緊張が高まっていきました。
特に、ジョー・バイデン前副大統領が11月6日朝に逆転勝利を果たした東部ペンシルベニア州では、両派の衝突が懸念されており、国民の間の溝が深まる兆しを見せています。
アリゾナ州マリコパ郡では、開票所の外に共和党支持者が集まり、「トランプ氏の得票が集計されない」という証拠がないにもかかわらずソーシャルメディアで拡散された情報に反応して集まった一部の人々が、開票所内に押し入ろうとして、職員に退去を命じられるという事態が発生しました。
「すべての投票を数えろ」バイデン支持者が投票の正確な集計を求めてデモを展開
トランプ大統領とその支持者が郵送投票の集計停止を求める一方、バイデン支持者はワシントンD.C.やニューヨークなどで「すべての投票を数えろ」と要求するデモが起こりました
また、オレゴン州ポートランドでは、全ての票の集計を求める反トランプ派の抗議行動が暴力的になっており、一部の抗議者がダウンタウンの店舗の窓を破壊しました。
デラウェア州ウィルミントンでは、選挙日にジョー・バイデンがイベントを行った場所で、彼の勝利を祝う支持者たちが集まりました。ケビン・ナビスというバイデン支持者は、選挙不正を主張するトランプを「笑いものにすぎない存在」と批判。ナビスは「私たちはバイデンにこの国を怒りや腐敗から解放してもらいたい」と訴えました。
これらの抗議活動は選挙以来続いており、一部は事前に計画されたものであり、他のものはトランプ大統領が選挙の勝利を宣言しようとしたことによってエスカレートしました。
「票を数えるな!」「票を数えろ」投票数の正確な集計を求めるトランプ支持者
アメリカの主要な選挙争点地域では、トランプ支持者が相反する要求を表明しました。ミシガン州デトロイトでは、「集計を止めろ」と要求する声が上がっていますが、アリゾナ州では、「投票を数えろ」という声が高まっています。
デトロイトでは、トランプ支持者が投票集計センターの外で集まり、サインやプラカードを掲げて、投票集計の中止を求めています。これに対して、アリゾナ州マリコパ郡では、トランプ支持者が集計の続行を主張し、「差が縮まっている、トランプが勝つ」と宣言しました。
アリゾナ州南西部フェニックスの市庁舎前では、ルイス・ピンテラなど60歳の共和党支持者が集まり、投票の集計がまだ終わっていないにもかかわらず、「赤い州(共和党州)が青い州(民主党州)に変わっている」という物語を作り出していると不満を述べています。
選挙結果への疑念!#StopTheStealがアメリカを騒がせる
トランプ支持者は、ツイッターなどのプラットフォームで「#StopTheSteal(盗みを止めろ)」というハッシュタグを使用し、民主党による架空の選挙不正を非難しています。
さらに、「StopTheSteal」という名前のFacebookグループが作成され、2020年11月5日の午前8時45分時点で26万人以上のメンバーが集まりました。午前10時30分には30万人を超え、最終的に35万人以上の参加者が集まりました。
グループメンバーの急激な増加は、他のトランプ支持グループ内での「StopTheSteal」に関する情報の共有によるものです。一部の「StopTheSteal」のメンバーは、選挙の公正性が民主党によって脅かされていると主張し、暴力行為を呼びかける投稿をしていました。「武装せよ。第2修正条項は狩猟のためではない。私たちは暴君的な政権を倒すために弾丸が必要だ」といった声明や、「私は私の銃で準備ができている。15丁のアサルトライフルを手放さない」といった発言が含まれていました。
選挙の裏側で繰り広げられる「#StopTheSteal」運動の脅威とは?
この、「#StopTheSteal」キャンペーンは2016年の大統領選挙前に始まり、共和党の政治コンサルタントであるロジャー・ストーンが、トランプが勝つか負けるかに関わらず、トランプを支持するスローガンとして開始したものであり、もし彼が負けた場合に選挙の正当性に疑問を投げかけることを目的としていました。
「StopTheSteal」運動は2020年の選挙を超えて続いており、将来の選挙に対する脅威となっています。右派メディアの人物や活動家の支援を受けて、州や地方レベルで多くのグループが選挙制度に照準を合わせています。この運動は、将来の選挙を対象としたものに変化しました。
選挙後も続く「StopTheSteal」運動
「StopTheSteal」運動は2020年の大統領選挙後も広がり続け、将来の選挙に対する脅威となっていきました。右派メディアや活動家の支援を受けて、地方や州レベルの多くのグループが選挙制度に照準を合わせ始めたのです。これらのグループは成長を懸念したFacebookはプラットフォーム上で「stop the steal(盗みを止めろ)」というフレーズを参照するコンテンツを削除するための追加の措置を取りました。
その後、「StopTheSteal」運動が主張する選挙不正の主張は、多数の共和党州の選挙公職者によって否定され、トランプ陣営とその代理人が提起した70以上の訴訟で、州および連邦の裁判所で拒絶されました。トランプ大統領自身の司法省や元司法長官のウィリアム・バーも、広範な不正の証拠はないと結論づけています。
「アメリカ大統領選の歴史的瞬間!ジョー・バイデンが勝利
2020年11月7日、BBC、CNN、AP通信、FOXニュースなどの主要メディアが、ジョー・バイデンをアメリカ合衆国大統領選挙の勝者として発表しました。バイデンは大統領選挙での勝利に必要な270の選挙人票を上回る、306票の支持を得ました。これに対して、ドナルド・トランプ前大統領は232の選挙人票を得た。
特筆すべきは、この選挙では新型コロナウイルスのパンデミックの影響で郵送投票を含む早期投票が大幅に増加し、バイデンは史上最多となる7450万票以上を獲得したことです。これは100年ぶりとなる67%の選挙投票率を達成する一因となりました。また、トランプも7000万票以上を獲得し、この選挙への大きな関心が国民間で存在したことを示しています。
ジョー・バイデンはアメリカ史上最高齢で大統領に就任した人物で、副大統領として選ばれたカマラ・ハリスはアメリカ史上初の黒人であり女性の副大統領となりました。一方、ドナルド・トランプは1992年のジョージ・H・W・ブッシュ以来、再選を果たせなかった現職大統領となりました。
結束の時!バイデンが全米へ向けてメッセージを発信
2020年11月7日の夜、ジョー・バイデンはアメリカ合衆国大統領選挙での勝利を確定させた後、デラウェア州ウィルミントンにあるチェイス・センターで勝利演説を行いました。星条旗が飾られたステージから、バイデンは「明確で説得力のある勝利」を宣言し、分裂ではなく統一を求める大統領となる意向を強調しました。
また、民主党と共和党の両方に対して、互いを悪魔化せずに共通地を見つけるよう呼びかけました。
バイデンの勝利演説は、特に全てのアメリカ人の大統領となることを約束し、国内の深い分裂を癒すための誓いにより特色づけられました。彼の演説は、彼の大統領選キャンペーンを通じて一貫して主張してきたテーマを再確認するものでした。
その一方で、集まった群衆はトランプの敗北を喜び、会場の白いフェンスには「You’re fired(あなたはクビ)」と書かれたバナーが掲げられました。これは、トランプがリアリティテレビ番組「The Apprentice」で使用していたフレーズで、トランプの敗北とその後のバイデンの勝利を象徴するものでした。
その頃、トランプはゴルフを楽しんでいた
ジョー・バイデンが大統領選挙での勝利を確定させた時、トランプはバージニア州スターリングのゴルフコースで一日を過ごしていました。
トランプは大統領になる前からゴルフに情熱を注ぎ、国内外で19のゴルフコースを所有しています。その結果、彼は多くのプロゴルファーと親しくなりました。
以下に、トランプのゴルフに関連するいくつかの重要なエピソードを挙げます:
- タイガー・ウッズとジャック・ニクラスとのゴルフ:2019年2月、トランプ大統領は、フロリダ州パームビーチにある自身のゴルフコースで、タイガー・ウッズとジャック・ニクラスと共にゴルフを楽しんだ。
- タイガー・ウッズへの大統領自由勲章授与:2019年4月、ウッズがマスターズを制したことを受けて、トランプ大統領は彼に大統領自由勲章を授与することを発表した。
- タイガー・ウッズとダスティン・ジョンソンとのゴルフ:2017年11月、トランプ大統領は、フロリダ州ジュピターのトランプナショナルゴルフクラブで、タイガー・ウッズとダスティン・ジョンソンと共にゴルフを楽しんだ。
トランプのゴルフへの関与は、その任期を通じて批判の対象となっていました。トランプがスポーツに費やす時間は、特に大統領としての任務を遂行する必要がある時期に多かったとして、多くの人々から批判を受けたのです。
敗北宣言拒否!トランプ陣営の異例の声明と選挙結果への抗議
ジョー・バイデンが大統領選挙の「勝利宣言」をした後、ドナルド・トランプは陣営を通じて声明を発表し、「この選挙はまだ終わりにはほど遠い」と主張しました。伝統的に敗北した大統領候補が行う「敗北宣言」を拒否しました。
声明では、「この選挙が全く終わっていないのは、はっきりした事実だ。ジョー・バイデンはどの州でも勝者の認定はされていない。ましてや再集計が必要な激戦州や、我々の陣営が訴訟を起こして最終的な勝者を決めるであろう州では、勝利していない」と述べられました。
敗北宣言はアメリカの政治における伝統であり、敗北した候補者が敗北を認め、勝利者を祝福するものです。敗北宣言に法的な要件はありませんが、アメリカの民主主義と選挙制度の正統性を維持するための紳士協定と見なされています。最初の敗北宣言は1896年に民主党のウィリアム・ジェニングス・ブライアンが行い、共和党のウィリアム・マッキンリーに対する祝電を送りました。
敗北宣言では、勝者への祝福、選挙結果が民主主義の機能を反映しているとの認識、そして将来の問題に対する共同の解決策に取り組むとの約束などが含まれます。勝者は勝利演説を行い、選挙戦は終了し、敵意の解消が試みられます。
敗北を受け入れ、敗北宣言を行うことは、敗北者が選挙期間中に国を分裂させる可能性のある敵意を和らげるだけでなく、過去の葛藤をリセットし、統一を促進する重要な役割を果たします。しかし、トランプはこの伝統を破り、選挙結果への挑戦を続けました。
「選挙は盗まれた」混乱の中で2日目のゴルフをプレイ
2020年11月8日、ジョー・バイデンの大統領選挙勝利宣言の翌日、トランプは2日連続でバージニア州スターリングのゴルフコースを訪れました。この日もトランプはTwitterを使い、郵送投票の不正を主張し、敗北を認める気配は見せませんでした。
モーターケードがスターリングに向かう途中、道路脇にいくつかの人々が彼に向けて批判的なメッセージやサインを掲げていました。トランプ大統領は午前11時30分前にゴルフコースに到着し、バイデンの勝利を確認する広範な報道が行われる前でした。彼は午後2時30分ごろまでゴルフコースに滞在しました。
トランプ支持者や「荷物をまとめて去れ」といったメッセージを掲げたバイデン支持者がゴルフコース周辺に集まりました。アメリカのメディアによれば、これはトランプが大統領に就任してからゴルフコースを訪れた210回目の訪問でした。
トランプ陣営のスポークスマンはCNNの報道を「事実ではない」と否定し、争点となる州での再集計を含む法的措置の継続を意図していることを示しました。彼の家族内で敗北を受け入れるべきだという意見があるとの報道に対して、トランプ陣営の高官はTwitterでそれを否定し、「事実ではない」と述べました。
ファーストレディ・メラニア・トランプが訴える
同じ日、ファーストレディのメラニア・トランプも自身の公式Twitterアカウントで投稿し、「合法的な投票はすべて数えられるべきです」と述べました。
政治的な違いを超えて…共和党の重鎮ブッシュ、バイデンを称賛
2020年11月8日、元アメリカ大統領のジョージ・W・ブッシュは、ジョー・バイデンがアメリカ合衆国大統領に選出されたことを祝いました。ブッシュは自身が共和党員であるにもかかわらず、バイデンを称賛し、「政治的な違いがあるものの、私はジョー・バイデンを良い人物と知っています。彼は自国を統一し、指導する機会を勝ち取ったのです」と述べました。
バイデンはドナルド・トランプを破り、270の選挙人投票を獲得して2020年の大統領選挙に勝利しました。バイデンと副大統領候補のカマラ・ハリスは、選挙後、デラウェア州ウィルミントンでの勝利スピーチで分裂した国に対する統一と癒しのメッセージを伝えました。
世界の指導者たちが祝福するバイデン・ハリスの勝利
世界の指導者たちも、2020年のアメリカ合衆国大統領選挙でのバイデンとハリスの勝利を祝いました。
カナダ首相のジャスティン・トルドーは、アメリカとカナダの緊密な同盟関係を強調しました。イスラエルの野党指導者ヤイール・ラピッドも、「私の友人であるジョー・バイデン大統領当選およびカマラ・ハリス副大統領当選にお祝いを申し上げます。私たちの国々の関係は…」と述べました。
カナダの外務大臣フランソワ=フィリップ・シャンパーニュも、「バイデンの選出は良いニュースです。彼の政権と非常に良好な関係を築くことができるでしょう」と述べました。
ハンガリーの首相で、トランプの再選を望んでいたオルバン首相もバイデンを祝福しました。また、14代目のダライ・ラマ法王もジョー・バイデン大統領当選を祝福しました。
トランプの個人弁護士は敗北を認めるのは間違い「選挙が盗まれた有力な証拠がある」
トランプの弁護士であるルディ・ジュリアーニは、2020年11月8日にFOXニュースで、選挙結果が不正によって捻じ曲げられたと主張しました。ジュリアーニによれば、「少なくとも3つか4つ、場合によっては10の州で選挙が盗まれたことを示す有力な証拠がある」ため、トランプが敗北を認めるのは間違いだと述べました。
しかしながら、その時点でトランプ陣営は、この「有力な証拠」を公には示していませんでした。それにもかかわらず、彼らはいくつかの重要な州で週明けの11月9日に訴訟を起こす予定だと述べていました。この訴訟は、選挙結果に対するトランプ陣営の疑念を解決するための手段であると見なされていました。
アメリカ大統領選の伝統「敗北宣言」を出さないトランプ
トランプは、バイデンの「勝利宣言」から2日経っても敗北を認めませんでした。これは、トランプ陣営が法的な戦いを続けることを選択したためです。その結果、100年以上続いてきた「敗北宣言」という伝統が揺らぎつつありました。
元奥さんの提言
この状況について、トランプの最初の妻であるイヴァナ・トランプは、トランプの敗北を受け入れずに異議を唱える姿勢に反対しています。彼女は「ゴルフを楽しみながら普通の生活を送るべきだ」とトランプにアドバイスしています。
イヴァナ・トランプはチェコスロバキア出身の元モデルで、1977年に当時不動産王だったドナルド・トランプと結婚し、1992年に離婚しました。この結婚から、ドナルド・トランプ・ジュニア、イヴァンカ、エリックという3人の子供たちがいます。
2020年11月19日、イヴァナ・トランプはアメリカのエンターテイメントメディア、Peopleに対し、「彼にはお金も権力もあり、自分の人生を楽しむ機会もある。彼には選挙での敗北を宣言するしか選択肢がない」と述べました。彼女は、元大統領がフロリダに戻り、ゴルフを楽しむなどして普通の生活を送るべきだと示唆しました。
開票が全て終了、バイデンの勝利が完全に確定
2020年11月13日、ジョー・バイデンは306の選挙人票を獲得し、ドナルド・トランプは232の選挙人票を獲得したことで、大統領選挙の勝者と宣言されました。
特に注目されたジョージア州では、バイデンがわずか0.23%の僅差、約14,000票以上の得票差で勝利しました。この結果に対して、州内では手動による再集計が予定されています。
しかし、この全体の再集計がトランプにとって、結果を覆すほどの大きな投票の変動を引き起こす可能性は見込めませんでした。再集計は一部の誤差を修正する可能性がありますが、通常、その差は数百票程度であり、大きな差を埋めるには十分でないことが多い。
つまりこの段階で、バイデンの勝利が確定したのです。これを受けて主要メディアも一斉に全州の大統領選挙の最終結果を報道しました。
不正を主張するトランプ支持者がワシントンで抗議デモ
2020年11月14日、アメリカの首都ワシントンD.C.で、ドナルド・トランプ大統領を支持する大規模な集会が開催されました。全国から集まった1万人以上のトランプ支持者が市内を行進し、ジョー・バイデンがアメリカ大統領選挙での「勝利宣言」から1週間後のこのイベントは、相当な反響を呼びました。
この行進には、ワシントンD.C.で計画されていた一連のイベントの一部でした。それらには「Women for Trump」の抗議行動、「Million MAGA March」、そして「Stop the Steal」集会が含まれていました。
集会の参加者たちは「もう十分だ!」「この選挙は盗まれた。トランプ大統領は史上最高の存在だ」といった抗議の声をあげました。多くの参加者は新型コロナウイルスの感染対策として推奨されているマスクの着用をせず、これが一部で懸念を呼びました。
陰謀論者だけじゃない!?様々な勢力が参加
参加者の中には「オース・キーパーズ」、「プラウド・ボーイズ」、「スリー・パーセンターズ」などの極右集団や、陰謀論者として知られる人物、共和党議員らが参加していました。
トランプの車列通過に大歓声!
これらに参加者は集会開始時刻の正午より前からホワイトハウス東側に集結した。 トランプはゴルフ場に向かう途上に会場近くを車列で通り、車内から手を振って大歓声を浴びた。その後ツイッターで「(参加者は)不正で腐敗した選挙を許さない」と強調した。
これに対抗するデモも行われ、一部で暴力事件が発生し、負傷者や逮捕者が出るなど、一部で秩序が乱れる場面も見られました。
参加人数100万人!?デマが日本で拡散
2020年11月16日、12万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーがトランプ支持者による日本でのデモを示すと称して画像を共有したが、これは誤報でした。この画像は、実際には2019年にカナダのトロントで行われたトロント・ラプターズのNBAチャンピオンシップ制覇を祝うパレードのものであり、ドナルド・トランプとは全く関係がありませんでした。
このパレードでは確かに100万人以上の市民が参加しましたが、これはスポーツの祝典であり、政治的なデモではありませんでした。
一方で、ワシントンD.C.で行われたトランプ支持者による集会の参加者数については、トランプ大統領自身やホワイトハウス報道官のケイリー・マクエニーが「何十万人もの人々」や「100万人以上」と主張していました。しかし、これらの数値の根拠は提供されておらず、多くの専門家や報道機関はこれらの主張に疑問を投げかけていました。
深刻なコロナ渦……大統領移行の混乱が人命に関わる!?
2020年11月12日、ドナルド・トランプ大統領はTwitterで複数のツイートを行い、「選挙不正」を繰り返し主張しました。それにもかかわらず、彼のツイートの大部分は大統領選挙に関連しており、当時急速に広がっていたCOVID-19パンデミックについてはほとんど触れていませんでした。
11月24日、彼はホワイトハウスのローズガーデンで行われた感謝祭の七面鳥を赦免する伝統的な儀式に出席しました。しかし、この場で行われた彼の演説は、主にダウ・ジョーンズ工業株平均の上昇を称賛するものであり、パンデミックについてはほとんど触れられませんでした。彼がパンデミックについて言及したのは、「中国ウイルス」と戦うアメリカ人への感謝の意を述べた一部だけでした。
翌日の11月25日、トランプ大統領は共和党の公聴会に電話で参加し、先月行われた大統領選挙を「不名誉なもの」と非難しました。彼はまた、すでに否定されている陰謀論、たとえば死者が投票したなどを持ち出しました。
同じ日、ジョー・バイデンは感謝祭を前に国民への統一を呼びかける演説を行いました。彼は「私たちはウイルスと戦っているのです。互いに戦っているのではありません」と強調し、アメリカ人にパンデミックの「疲労感」に屈することなく団結するよう呼びかけました。
バイデンは感謝祭前の11月25日の演説でパンデミックを前面に押し出し、連邦政府の「広範な権限」を活用し、就任後に「病気の進行を変える」と約束しました。これは、彼がパンデミックへの対策を前面に押し出し、国民の統一と団結を呼びかける戦略の一部と解釈できます。
バ政権移行作業が進まずコロナ対策に影響が
一方で、ジョー・バイデン次期大統領は、総務省が彼の勝利を認めずに引き起こされる移行プロセスの遅延が、新型コロナウイルスのパンデミックへの対応の遅れや死者数の増加につながる可能性があると警告しています。
現段階のバイデンは、大統領当選者に提供される機密情報のブリーフィングを受けることができず、バイデンのチームはワクチン配布計画からも排除されています。バイデンはワクチンの配布における調整と計画の重要性を強調し、「非常に大きな課題」と形容しています。
また、ホワイトハウスが大統領移行の開始を遅らせると、その計画が1か月以上、または1か月半以上遅れる可能性があり、ワクチンの配布がさらに複雑になる恐れがあると警告しています。
バイデンはトランプ政権に対し、秩序だった移行に協力するよう呼びかけており、移行の遅延が追加のコロナウイルスの死者を引き起こすリスクがあると警告しました。
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