2020年のアメリカ大統領選挙において、トランプ支持者によるジョー・バイデンに対する陰謀論が広まりました。
その中でバイデンは「小児性愛者」との名誉毀損の陰謀論に晒され、SNS上で改ざんされた動画が拡散され、性的暴行で告発されるなど、多くの疑惑にさらされることになりました。
【Qアノン陰謀論(10)】政治界に衝撃走る!陰謀論者議員が誕生!?
Joe Biden’s conspiracy
バイデンvsトランプ!陰謀論の嵐が大統領選を揺るがす!
2020年11月3日のアメリカ大統領選挙に向け、当時の大統領であるドナルド・トランプが不利な状況に直面する中、一方で民主党のジョー・バイデンは「小児性愛者」との名誉毀損を受けるという、証拠のない陰謀論に晒されました。
この根拠のない主張は、トランプとその支持者によって広められました。
SNS炎上!バイデンを小児性愛者とする改ざん動画の衝撃
疑惑の始まりは2020年8月、Facebookでジョー・バイデンを邪悪な人物として描いた改ざんされた動画が拡散されたことによります。
その動画は、バイデンが副大統領時代に市民との礼訪問を受けた際の映像をまとめたものでしたが、不適切に編集されており、バイデンが若い女の子の髪を撫で、彼女にキスをし、不気味なピアノのメロディが流れるシーンを含んでいました。
しかし、実際にはこの動画は事実を歪曲したもので、バイデンを「小児性愛者」として誤解させる目的があったと考えられます。
このような主張は極右のQアノン運動の陰謀論と一致し、彼らはさらに民主党が子供虐待リングを運営していると主張しました。
別の女性のセクハラ疑惑で告発されていた
この疑惑からさらに数ヶ月前、2020年3月に、バイデンはタラ・リードという名のバイデンの元上院事務所スタッフから性的暴行で告発されていました。
リードは1993年、当時29歳だった自身が国会議事堂の廊下でバイデンから性的な襲撃を受けたと主張しました。リードの証言によれば、バイデンは彼女を壁に押し付け、スカートの下に手を入れて彼女の体を触ったと言います。
彼女の告発の信頼性を証明するため、リードは議会で宣誓供述し、対面尋問を受ける意向を表明しましたが、一方で、ポリグラフテストには参加しないと述べました。
彼女はまた、自身がソーシャルメディアプラットフォーム「Medium」に投稿した、ロシアのプーチン大統領に関する肯定的な発言により、ロシアの工作員と非難されたことについても語りました。
さらに、彼女は死亡予告を受け、ソーシャルメディアアカウントがハッキングされたと主張しました。
しかし、バイデンによるセクハラや不適切な行為を経験したという他の証言者は現れていません。
また、タラ・リードによる最近の性的暴行の告発があるまで、バイデンに関する噂や告発を聞いたことはなかったという人々もいます。
目撃者はいなかった!でも隣人の証言は「確かにあったことだ」
リードの主張について、直接の目撃者は存在していませんが、彼女の兄弟、元近隣住民、元同僚ら3人が証言を行い、彼らは1993年当時にリードからその出来事について聞いたと主張しました。
当時リードの隣人であったリンダ・ラカスは、Business Insiderとのインタビューで、その会話の存在を確認し、「それは起こった。私は覚えている」と述べました。
ラカスは「彼女が誰と働いていて、彼がいつか大統領選挙に立候補する野望を持っており、彼女がそれらの目標を達成するのを手助けしていたことを覚えています。
スカートのことも覚えています。指のことも覚えています。彼女はひどく傷ついていました」と語りました。
しかし、これらの証言は、あくまでリードから出来事について聞いたと主張する個人の証言であり、直接的な証拠ではありません。
元夫も過去にセクハラ問題を言及
カリフォルニアのサン・ルイス・オビスポ・トリビューン紙は、1996年の裁判資料でリードの元夫が「リード氏がジョー・バイデン上院議員の事務所で遭遇したセクハラ問題」について言及していることを報じました。
その資料によるとリードは最終的に「バイデン氏の事務所の人事部長と合意し、仕事を辞めた」とのことで、元夫は「この出来事がリード氏にとって大きなトラウマであり、その影響を受けている」と書いていたと伝えられています。
そして、リードの母は1993年にCNNのテレビ番組に電話をかけ、娘が上院議員のスタッフから「不適切な行為を受けた」と述べるシーンが放送されています。
以上の証言と事象にもかかわらず、バイデン自身はこれらの告発を全面的に否定し、「絶対にそんなことはなかった」と主張しました。また、他の女性からはバイデンに対する性的暴行の証言はありませんでした。
本当?嘘?信憑性を疑う報道が……。
タラ・リードは、ニュースキャスタのメーガン・ケリーとのインタビューやその他のメディアを通じて、自身が体験したとされる性的暴行事件を公にし、ジョー・バイデンに対して大統領選挙からの撤退を求めました。
しかし、その後すぐにリードの信頼性に対する疑問が報道されるようになりました。
リードは、バイデンからの性的暴行を受けた後、バイデンの事務所のシニアスタッフ3人に報告したと述べました。一方でその3人は皆、リードからの報告を受けた記憶が無いと否定しています。
リードは、バイデンからの性的ハラスメントを直接は明言せず、上級補佐官のマリアン・ベイカーを含むシニアスタッフに報告したと語りました。
しかし、ベイカーは「そのような事実については記憶も認識もない。もしそのような事実があったのなら、私たちは女性として、そして管理職として、それに深い印象を受けて覚えていたはずだ」と語りました。
「連邦議会上院に告発書を提出した」その証言は証拠はなし
リードは、自身のセクシャルハラスメントの主張に対してジョー・バイデンの事務所スタッフが適切に対応せず、不適切な行為を繰り返すバイデンから自分を保護するための措置をとってくれなかったため、連邦議会上院に対してハラスメントの告発を行ったと主張しました
そして、この告発の後にリードは事務所での仕事を失いました。彼女はこれを解雇とみなしていました。解雇の理由については、ハラスメントの告発を行ったことが関連しているのかどうかは明らかになっていません。
さらに重要なことは、リードが上院に提出したとされる告発書の存在について、現在のところ公的な記録は見つかっていないという事実です。これにより、リードの主張の一部については、証拠不足の状態が続いています。
知人の証言では「彼女は嘘をつき?」人格的を問題視
政治に特化した米国のニュースメディア『ポリティコ』の報道によれば、タラ・リードは過去に3つの異なる名前を使用し、家賃やその他の請求を未払いのままにしたり、借金をしたりしていたとされています。
さらに、彼女が自身の教育や経歴を詐称していた疑いが生じています。これらの報告によれば、彼女は過去に家庭内暴力(DV)のエキスパートとして裁判で証言を行ったことがあり、その証言が少なくとも6つの裁判の結果に影響を及ぼしたとされています。
リードがジョー・バイデンに対する告発を担当していた弁護士がこの報道の直後に辞任したとのことです。
この弁護士は元々ドナルド・トランプ大統領の支持者で、バイデンに対する告発を大統領選挙に向けた攻撃の一部として利用する可能性があると報じられています。
さらに、リードが過去にバイデンのオフィスで働いていた経験を自慢し、バイデンを褒めていた事実も明らかになっています。
これについては、リードの知人から彼女を「人を操るのが上手で、嘘つき、そして人を利用する人物」と語る声もあります。
「公文書館に証拠があるなら明らかにされるべき」バイデンが主張
ジョー・バイデンは、タラ・リードによる性的暴行の告発に対して、関連する記録が米国国立公文書館によって公開されるように求めています。
バイデンは、声明で「もし告発に関連する記録があるなら、それは国立公文書館に保存されているはずだ」と述べました。
この声明は、主に2つのポイントを強調しました。
一つは、女性が尊重され、声を上げた時にその声が聞かれるべきであるという点。もう一つは、その証言について適切な調査が必要であるという点です。
さらに、この声明は、告発者の証言が一貫性を欠いていることを指摘し、報道機関がその発言の進化と矛盾を全体的に考察することを求めています。
リードの告発記録が見つからず、バイデンは否定。複数の元スタッフも証言
しかしながら、リードが米国上院に提出したとされる告発の記録はまだ見つかっていません。
バイデンはリードの告発を否定し、同じ時期にバイデンと一緒に働いていた何人かのスタッフも、バイデンが性的不適切行為を行ったという記憶がないと述べています。
2020年3月に、リードはバイデンによる性的暴行を告発しました。彼女は1993年にバイデンの上院事務所でスタッフアシスタントとして働いていたときに、この出来事が起こったと主張しています。
しかし、バイデンはこの主張を強く否定しています。
リードは議会で宣誓供述を行い、対面での尋問を受ける意向を表明していますが、ポリグラフテスト(嘘発見器)の受ける予定はありませんでした。
タラ・リード、議会での宣誓証言意向をツイートも脅迫によりロシア移住を決意
その後、しばらく姿を消していたリードは、2023年5月30日にロシアのモスクワで記者会見を開き、ロシアの与党メンバーであるマリア・ブチナや国営メディアとともに登壇しました。
ブチナは、2019年にアメリカで刑務所に服役した元ロシアの工作員です。リード、ロシアで初めて長い間安心感を感じ、自国ではそう感じなかったと主張しました。
彼女は、ロシアで自身の発言が尊重され、聞いてもらえると感じているとも語りました。
リードはバイデンへの告発に関連して、自身が議会で宣誓証言をする意思をツイートしました。
その結果、彼女は殺害予告などの脅迫を受け、自身の安全を確保するためにロシアへの移住を決意したと述べました。ただし、CNNは彼女への脅迫行為の存在を確認していません。
記者会見で、ブチナはリードにロシア市民権を与える可能性を示唆し、プーチン大統領にリードへの特別待遇を求める約束をしました。
リードは、アメリカの政治エリートによって構築された「幻想」を批判し、ロシアを敵視する行為に対して反対を表明しました。
過去に他の女性からもセクハラ疑惑で告発されていた!?
2019年にも、ジョー・バイデンは、不適切な身体接触に関する複数の告発に直面していました。そのうちの一つが、元ネバダ州議員のルーシー・フローレスからのものでした。
選挙時に行われたセクハラ行為の告発
フローレスは、バイデンが彼女の選挙応援に駆けつけ、両肩に手を置いて髪のにおいをかぎ、後頭部にゆっくりとキスしたと訴えました。
フローレスは『ザ・カット』誌の中で、「何が起きているのかわからなかった。とてもショックだった。動くことができず、言葉も出てこなかった。なんとかして、バイデンと離れたかった」と寄稿した記事で詳細を明らかにしました。
これらの告発は、バイデンが2020年の大統領選挙の民主党候補として支持率トップを走っていた時期に行われ、大きな非難を浴びました。
バイデンの謝罪と約束
バイデンは、これらの告発に対し、自身が他人の個人的なスペースを侵害した意図はなく、自分の行動が他人を不快にさせたとすれば、それを深く理解し、認識する必要があると述べ、謝罪しました。
バイデンはまた、自分の行動についてより注意深くなると約束しました。
ジョー・バイデンは、ルーシー・フローレスなどからの不適切な身体接触に関する告発に対して、当時の振る舞いについて説明しました。
バイデンは「長年にわたって選挙活動や公の場で、数え切れないほどの握手や抱擁を交わしてきた。親愛の情や支援の気持ち、安心感を表す手段としてだ」と述べました。
さらにバイデンは「これまでただの一度として、不適切な振る舞いをしたという認識を持ったことはない。そうした行為があったと言われれば、真摯(しんし)に耳を傾ける。しかしそれは決してこちらの意図したものではなかった」と強調しました。
これに対して、フローレスはバイデンが彼女の訴えに「耳を傾ける」としたことと、「自らの意図を明確にしている」ことを「うれしく思う」と語りました。
しかし、彼女は重要な点として、自分の主張がバイデンの振る舞いが意図的であったかどうかについてではなく、そうした振る舞いを受けた女性たちにとってどのような影響があったかに焦点を当てていると指摘しました。
バイデンがセクハラを釈明
ジョー・バイデンは2020年3月31日の声明で自身の行動について説明し、「私は長年の選挙運動や議員生活で、数え切れないほどの握手と抱擁をし、好意や支援、励ましの気持ちを示してきた。私は一度も、不適切な行動を取ったことはないと信じている」と述べました。
また、彼は女性を不快にさせる意図は無かったと弁明しました。
バイデンの親密な身体接触(スキンシップ)は有名で、他に7人の女性から同様の申し立てが相次ぎました。
これらの申し立てを受けて、バイデンは「決して不快にさせるつもりはなかったが、今後はもっと気を配り、相手との距離を尊重する」と述べ、反省の意を示しました。
当時のアメリカ大統領ドナルド・トランプは、「バイデン氏は対応すべきだ」とコメントし、「誤った告発の可能性がある。多くが冤罪(えんざい)だ」と述べました。
これはトランプ大統領自身が複数の性的暴行やセクハラ疑惑に直面していたことを考えると、興味深いコメントであると言えます。
Hunter Biden Ukraine conspiracy
波瀾万丈!?ハンター・バイデンにウクライナ疑惑が……。
バイデン家の悲劇的な歴史はよく知られており、ジョー・バイデンの息子である、ハンター・バイデンは人生の中で多くの喪失と個人的な苦闘を経験しました。
ハンター・バイデンは1972年、たった2歳の時に交通事故で母親と妹を失い、自身も重傷を負いました。ハンター・バイデンが助かった一方、1歳年上の兄は2015年に脳腫瘍で若くして46歳で亡くなりました。
兄弟は非常に親密な関係だったとされています。
ハンター・バイデンはジョージタウン大学とイェール・ロースクールを卒業した著者であり、ロビイストとして働き、さまざまな団体の役員を務め、3人の娘も育てました。
しかし、20代からアルコール依存症に苦しみ、リハビリ施設への入退院を繰り返しました。兄の死後、依存症が再発し、20年にわたる結婚生活が破綻しました。彼はコカイン中毒に陥り、その後の人生は転落の一途を辿りました。
現在のファーストレディであり継母のジル・バイデンの必死のリハビリ支援のおかげで、ハンターは何とか更生することができました。
親の影響で公職にもつきましたが(全米鉄道旅客協会副理事長など)、これらの職は長続きせず、それ以降は海外進出する米合弁企業のコンサルタントやロビイストを務めるようになりました。
しかし、彼が40代に入ると再びコカインの常習者となりました。
銃器の不法購入(薬物常習者による銃の購入は法律で禁じられています)、義姉との不倫、隠し子騒動、離婚など、彼の人生はまるでスキャンダルのデパートのように転落しました。
これらの出来事は、バイデン家の悲劇的な歴史とハンター・バイデンの複雑な人生を浮き彫りにしています。
ハンター・バイデンとモスクワ前市長夫人の疑惑
ハンター・バイデンの素行についての論争は、彼がモスクワの元市長の妻から350万ドルを受け取ったという未証明の主張によって一層燃え上がりました。
この主張は、ドナルド・トランプ前大統領によって大々的に取り上げられ、政敵であるジョー・バイデンのアキレス腱であるとされてきました。
しかし、この主張を裏付ける具体的な証拠は公には存在していません。それにもかかわらず、執念深いトランプはホワイトハウスを去った後もこの疑惑を取り上げ、ハンター・バイデンを攻撃の対象としてきました。
ハンター・バイデンとウクライナの関係
2021年11月3日の米大統領選前、ハンター・バイデンは父親、ジョー・バイデンの政敵であるドナルド・トランプ前大統領から日常的に攻撃を受けていました。
その中心的なテーマはハンターがウクライナと中国で行っていたビジネスに関するものでした。
特に、ジョー・バイデンがバラク・オバマ政権で副大統領を務めていた時期に、ハンターがウクライナのエネルギー会社、ブリスマの取締役に就任し、その立場から高額の報酬を得ていた事実が指摘されていました。
さらに、その見返りにジョー・バイデン副大統領が自身の政治力を利用して、ブリスマを捜査していたウクライナの検事を解任させ、同社に様々な利益を提供したという疑惑が浮上していました。
ハンター・バイデンの電子メール疑惑とニューヨーク・ポストの報道
2020年10月14日、アメリカのタブロイド紙ニューヨーク・ポストは、当時の大統領選挙で民主党候補者であったジョー・バイデンに対する疑惑を報道しました。
同紙はルパート・マードックが所有するメディア企業で、一貫してドナルド・トランプを支持する報道を行っていました。
ニューヨーク・ポストの報道によれば、ハンター・バイデンのパソコンから得たとされる電子メールがその疑惑の根拠となっています。
そのパソコンにはハンターが薬物を吸引し、性行為に及んでいると見られる映像も含まれていたとされています。
ニューヨーク・ポストが引用したIT専門家は、分析した電子メールや文書ファイルが何らかの手段で妨害、変更、追加された痕跡は見当たらないと述べています。
しかし、ニューヨーク・ポストはこの報道において具体的な証拠をほぼ提示しておらず、入手したデータが本物であるという確証も明らかにしていません。
同紙の報道は、個々の電子メールの断片を引用し、そこに推測を加える形でジョー・バイデンとハンター・バイデンの疑惑を伝えたものでした。
バイデン家のメールリークとその信憑性
ニューヨーク・ポストによれば、その中心となる電子メールは、2019年4月にデラウェア州のパソコン修理店で放置されていたパソコンから回収されたものです。
このパソコンの請求書にはハンター・バイデンの名前が記載されており、パソコンにはハンター・バイデンの故弟の名前を冠した「ボー・バイデン財団」のシールが貼られていたとのこと。
修理店の持ち主であるマック・アイザックによれば、差出人は水損したパソコンのデータ復元を依頼したものの、90日経っても引き取りに来なかったという。
そのため、アイザック自身がパソコンの内容を確認し、その中身の重要性に気づいたとされています。
彼はその後、FBIに通報したとされ、パソコンとハードディスクは押収されました。
しかし、アイザックはデータのコピーを取っており、それが最終的にドナルド・トランプの顧問弁護士であるルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長の関係者の手に渡ったと報じられています。
しかし、この話の信頼性には多くの専門家から疑問が投げかけられています。その理由の一つとして、アイザックがトランプ支持者であったことが報道されていることが挙げられます。
また、パソコンの実際の持ち主については依然として明らかにされていません。
Twitter・Facebookがこの投稿を削除・凍結!結果は大炎上
このハンター・バイデンに関するニューヨーク・ポストの記事について、情報入手の経緯や信頼性に疑問が投げかけられた結果、Twitter社とFacebookはそれぞれ対応を取りました。
Twitterは、「ハッキングで入手した情報の配信を禁止する」という運用規則に基づき、記事のリンクをブロックしたのです。
同社は公式アカウントでこの決定を説明し、記事内に表示されたメールアドレスや電話番号が個人情報の表示を禁止するTwitterルールに違反していること、そしてこれらの情報がハッキングの結果入手されたとされることがポリシー違反であると説明しました。
一方、Facebookは「事実関係を確認するまで記事の表示回数を減らす」と発表しました。
同社のポリシーコミュニケーション担当マネジャー、アンディ・ストーンはTwitterで、「この記事はFacebookの第三者パートナーによるファクトチェックの対象となっている。
結果が出るまでの間、Facebookでの表示を規制している」とツイートしました。
これらの対応に対してユーザーからは、「言語道断」「大企業による権力の乱用」「ソーシャルメディアは選挙結果を操作しようとしている」などの批判の声が上がっています。
さらに、記事の拡散に乗り出したトランプ陣営の公式アカウントやホワイトハウス報道官、ケイリー・マッケナニーのアカウントも一時的に凍結され、共和党からは強い反発が出ています。
トランプのソーシャルメディア企業のリンクブロックへの反発
ニューヨーク・ポストの記事のリンクブロックに対する反応として、ドナルド・トランプ大統領はフェイスブックとツイッターを非難しました。
トランプはこれらのソーシャルメディア企業が一方的に記事のリンクをブロックしたことを「不当」であると批判し、これらの企業に対して出版業界と同様の編集責任を追及できるよう、ソーシャルメディア企業によるコンテンツ編集を免責する通信品位法230条を撤廃するべきだと主張しました。
この通信品位法230条は、ユーザーが投稿したコンテンツに対するプラットフォーム企業の法的責任を免除する規定であり、トランプはこの規定を撤廃すべきだと提唱しています。
また、共和党も「ソーシャルメディアによる選挙介入だ」と主張し、ツイッターの幹部を議会に召喚する考えを明らかにしました。これらの反発により、ソーシャルメディア企業の対応が大きな社会問題となっています。
一方、批判が強まる中で、ツイッターはその措置を見直しました。当初の記事のブロックを撤回し、記事のリンクを共有する際に警告を表示する形に変更しました。
これにより、ユーザーは注意喚起の警告を見た上で記事を共有することが可能となりました。ただし、この対応についても多くの議論が呼び起こされています。
トランプのゼレンスキーへの要求が弾劾のきっかけ
ニューヨークポストの報道の数ヶ月前の2019年7月25日、トランプはゼレンスキーと電話会談を行い、この会談の中で、トランプはバイデン元副大統領とその息子ハンター・バイデンに関する疑惑の調査をゼレンスキーに要求していました。
この背景には、すでにアメリカ議会が承認していた総額3億9100万ドルの対ウクライナ武器支援のための資金供与があります。この資金供与は、トランプ大統領によって電話会談の1週間前に一時停止されていました。
そして、この電話会談の中でトランプがバイデン一家に対する調査をウクライナ政府に要求したことが明らかになり、それが政治的な圧力だという疑惑が持ち上がりました。
これが後に「ウクライナゲート(ウクライナ疑惑)」と呼ばれ、トランプの弾劾調査のきっかけとなりました。
トランプの顧問弁護士がウクライナとの協力を認める
2019年11月、ワシントンポスト紙は、トランプの個人弁護士であるルディ・ジュリアーニがウクライナの当時の検事総長ユーリー・ルツェンコとのビジネス交渉を進めていたと報道しました。
この報道によれば、ジュリアーニはウクライナの検察官と協力し、ジョー・バイデン元副大統領とその息子ハンター・バイデン、そしてマリー・ヨヴァノヴィッチ駐ウクライナ大使に対して損害を与える情報を収集していました。
ジュリアーニは、この活動を通じてウクライナにおけるトランプ政権の政策目的に関与していたとされています。
また、彼はレフ・パルナスとイゴール・フルマンという二人のウクライナ系アメリカ人ビジネスマンとも関わりを持っていました。
ジュリアーニは、収集した情報を米政府当局者やトランプ支持のコラムニストに共有していたとも報じられています。これらの行動は、政治的な意図があったのではないかとの疑惑を引き起こしました。
そしてこの疑念は、トランプ大統領の弾劾調査を引き起こす主要な要因の一部となりました。
トランプ大統領の弾劾と無罪判決
2019年12月、ドナルド・トランプ大統領は、ウクライナに対して圧力をかけ、バイデン親子の捜査を要求したとされる問題について、アメリカの議会下院で弾劾決議を受けました。
弾劾条項は二つ、職権乱用と議会に対する妨害行為について挙げられました。
これは、ウクライナに対する資金供与をバイデン親子に対する捜査と引き換えにするなど、トランプ大統領が自身の政治的利益のために職権を乱用したと主張されたためです。
しかしながら、2020年2月、弾劾審議が行われた上院では、共和党が多数を占めており、結果としてトランプ大統領は無罪とされました。
トランプ大統領の弾劾は、アメリカの政治史上史上3人目の事例でしたが、罷免された大統領はいまだに出ていません。
バイデン家をめぐってはさらに様々な陰謀論が拡散!!?
大手SNSプラットフォームであるTwitter、Facebook、Redditなどは、ユーザーが投稿する内容を厳しく監視し、場合によっては投稿を制限または削除しています。
特に大規模な制限が行われているのは、「Qアノン」と呼ばれるグループの投稿であり、このグループは根拠のない「陰謀説」を広めるトランプ支持者として知られています。
最近では、ジョー・バイデン前副大統領の息子、ハンター・バイデンが薬物依存で死亡したとの未確認の情報がQアノンから流れたり、バイデン自身が「売春や人身売買」に関与していたとする報告が上院の国土安全保障委員会から発表されたりしました。
これらの情報はバイデン陣営と民主党上院議員から「筋金入りの右翼陰謀論」として否定されました。
さらに、共和党が多数を占める上院の国土安全保障委員会と財務委員会は、ハンター・バイデンが行ったとされる疑わしい金融取引を指摘し、これがバイデン一家を恐喝やスパイ行為のリスクに晒していると主張しました。
一方、中国のSNS上では、ハンター・バイデンが未成年者と性的関係を持ったとされる画像が流出しているとの情報もあります。
【Qアノン陰謀論(12)】大統領操る闇の勢力?Qアノンとトランプ支持者によるバイデン攻撃の背景