今回は、トランプ大統領との絆や、新人議員の衝撃的な登場について詳しくご紹介します。2020年の調査結果から明らかになった共和党支持者のQアノンへの信念や、陰謀論が共和党内で広まっている現状や、Qアノンの主張が政治的な意思決定に与える潜在的な影響、そして共和党議員の中でQアノンを信奉する人物の存在についても取り上げていきます。
【Qアノン陰謀論（９）】「彼らは私のことが大好きなようだ。ありがたいことだ」大統領選を左右する！？Qアノンの影響力
Republicans & QAnon followers
トランプ大統領との絆！Qアノン新人議員の衝撃登場
2020年に行われた米調査会社デイリー・コスとCiviqsによる共同世論調査の結果が示すところによれば、共和党支持者の3人に1人（33％）が、「エリート層とディープステート（闇の政府）」に関するQアノンの主張を「ほぼ真実だと思う」と回答し、さらに23％が「一部は真実だろう」と答えていたという。
Qアノンは真実か妄想か？共和党支持者の心に刻む信念
この調査は、2020年の8月29日から9月1日にかけて実施され、米国の成人1368人から回答を得ました。その結果は、両党間での認識のギャップを明らかにしました。
Qアノンは政治的エリートや政府機関が秘密裏に悪事を働いているとする陰謀論を広める運動で、その主張は通常、確固たる証拠に欠けている。それでもなお、この調査結果はQアノンのメッセージが共和党支持者の間で広く受け入れられていたことを示している。
この調査は、2020年の政治的状況における陰謀論の影響力を示すものであり、現在でもその影響が続いている可能性が示唆されている。一部の専門家は、Qアノンに対する共感が政治的な極端主義や偽情報の拡散を助長し、社会に混乱をもたらす潜在的なリスクについて警告している。
一方で、Qアノン支持者は彼らの信念が真実であり、大手メディアや政府がこれを隠蔽しようとしていると主張している。これらの信念は、国内の政治的な分断を更に深める要因となっている可能性があります。
「民主党 vs 共和党」ロシアゲートで分かれる政治的な見方
さらに、この調査によれば、米国の政治的な分断は、トランプ大統領とロシアとの関連性についての見方にも表れている。民主党支持者の60％がロシアがトランプに関する情報を漏洩したと信じている一方で、共和党支持者のほぼ同率がトランプ政権を弱体化させるための「選出されていない公務員」による組織的な取り組みがあったと回答している。
トランプ大統領とロシアとの共謀疑惑は、ここ数年間、米国内で激しい議論の的となっており、一部の関係者や政治アナリストは、トランプ陣営とロシアとの間には何らかの形での共謀があったと主張しています。
トランプ陣営とロシアとの間で広範な協力の証拠が報告されているものの、これを「共謀」と呼ぶかどうかは法的には定義されておらず、見解が分かれています。
民主党支持者の多くがロシアとトランプ陣営との関与を強く信じていることは、2016年の大統領選挙やロバート・モラーによる「ロシアゲート」の調査によって高まった懸念を反映している可能性があります。
一方、共和党支持者の多くが「選出されていない公務員」によるトランプ政権の弱体化を信じていることは、「ディープステート」に関するQアノンなどの陰謀論と一致する可能性があり、これが政権への支持を強化しているかもしれません。
科学との対立…共和党支持者のCOVID-19デマの深刻さとは？
新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に関するデマの広がりは、特に共和党支持者の間で顕著であることが示されています。デイリー・コスとCiviqsの世論調査によれば、共和党支持者の48％がCOVID-19はインフルエンザより危険な病気ではないと回答しています。また、42％が抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンがCOVID-19に対して有効で安全だと信じている。
これらの見解は、科学的なエビデンスと大きく食い違っています。2020年7月、トランプ大統領は新型コロナウイルス患者にヒドロキシクロロキンの使用を控えるよう医学界が広く警告する中、自分にダメージを与える政治的動機に基づいたものだと主張しました。しかし、世界保健機関（WHO）は2021年3月2日、抗マラリア薬の「ヒドロキシクロロキン」について、新型コロナウイルス感染症を防ぐ目的では使わないことを「強く勧告する」と発表しました。
これは、6千人以上が参加した6つの臨床試験（治験）の分析結果に基づくもので、新型コロナウイルスの入院や死亡を減らす効果がないことが「高い確実性」をもって示されたからです。また、ヒドロキシクロロキンが感染自体を防ぐ効果がないことも、「中程度の確実性」をもって確認されました。これらの結果は英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル（BMJ）で発表されました。
右翼メディアとQアノン！政治的イデオロギーと信頼性の驚くべき関連性
ピュー・リサーチ・センターが2021年に行った調査で、米国の政治的イデオロギーは個々のニュースソースへの信頼性を大きく左右していることがわかりました。調査結果によれば、ABC、CBS、NBCといった3大ネットワークよりもニュースマックスなどの右翼メディアを信頼している人は、Qアノン信者である可能性が8.8倍高いとのこと。
調査では、回答者に30の異なるニュースソースに対する認識と信頼について尋ねられました。その後、彼らは聞いたことのあるニュースソースだけを表示するグリッドを見て、政治や選挙のニュースに関して信頼できるニュースソースを選びました。また、信頼していない情報源を示すグリッドを見て、その情報源を信頼していないことを示すことも求められました。
この調査では、民主党員は一般に共和党員よりも主流の報道機関を信頼していることが明らかになりました。特に、CNNは民主党員の間で最も信頼されているニュースソースでしたが、共和党員の間では最も信頼されていないニュースソースでした。一方で、フォックスニュースは共和党員の間で最も信頼されているニュースソースでしたが、民主党員の間では最も信頼されていないニュースソースでした。
この調査は、政治的イデオロギーがどのように情報の摂取と解釈に影響を与えるかを示しています。
ホワイトハウス内にも陰謀論者！？Qアノンと政策決定の危険な結びつき
2021年のFrance Infoの報道によれば、ホワイトハウス内部にはダン・スカヴィーノ通信副長官、ルドルフ・ジュリアーニ大統領法律顧問、ブラッド・パースケール（2016年と2020年の大統領選挙でトランプ大統領のデジタル戦略を担当）など、Qアノンの陰謀論を信じる人々が存在するとされています。
さらに、マイケル・フリン氏も含まれます。彼は国防情報局長官および大統領国家安全保障顧問を歴任しました。この中には、最近国家情報長官に任命されたジョン・ラトクリフ氏も含まれています。彼は「民主党が小児性愛者と人食い人種によって支配されている」というQアノンの陰謀論を推進する少なくとも4つのアカウントをフォローしていると報じられています。
これらの情報は、ホワイトハウス内部でQアノンの陰謀論が広く受け入れられている可能性を示しています。また、これらの個人がQアノンの陰謀論を支持しているとすれば、それが彼らの政策決定にどの程度影響を与えているかについて、より詳細な調査と監視が必要になるでしょう。政策決定者が不根拠な陰謀論に影響を受けている可能性は、国家の安全と効率的なガバナンスにとって深刻な懸念事項です。
共和党内でのQAnonの支持の広がり
QAnonの陰謀論は、一部の共和党員の間で一定の支持を得ています。
2020年の選挙では、QAnon信者であるマージョリー・テイラー・グリーンがジョージア州の下院議席を獲得しました。彼女は公然と陰謀論を支持しており、予備選挙ではQAnonをある程度支持していると述べた少なくとも12人の共和党候補者を破りました。
QAnonは2020年の下院選挙で合計14人の候補者を推薦しました。これは、この陰謀論が一部の政治家や有権者に受け入れられていることを示しています。ただし、QAnonの主張が科学的根拠に欠けていることや、様々な人々を無差別に非難することから、この陰謀論が公共の議論や政策決定に悪影響を及ぼす可能性があります。
Qとの連携を公言！？「ジョー・パーキンス」の上院選挙での陰謀論への支持
オレゴン州の上院議員選挙では、QAnon信者であるジョー・パーキンス氏が共和党の予備選挙で勝利し、正式な候補者として指名されました。パーキンス氏は「私はトランプ大統領と共にある。私はQAnonと共にある。QAnonに感謝する。一緒に我が共和国を救おうではないか」と公言し、陰謀論を堅持しています。彼は自身の思想について公開しており、2020年6月には陰謀論に関連するハッシュタグとともに、「デジタルソルジャー」としての自身の立場をツイートで明らかにしました。
銃と陰謀論「ローレン・ボーバート」の二面生
一方、ローレン・ボーバートは4人の子供の母であり、銃所有権の活動家でもあります。彼女は銃をホルダーに入れずに持ち込んで食事ができるレストランを経営しており、銃愛好家の間では有名です。彼女はインターネット上で公然とアレクサンドリア・オカシオ＝コルテーズ議員ら「The Squad」を攻撃しています。
ボーバート氏は、QAnon信奉者のアン・ヴァンダースチールが司会を務めるオンラインショー「Steel Truth」に出演した際、「QAnonについては良く知っている。QAnonの理論は真実だと思っている。その理論が意味するところは、アメリカがより強く、より優れた国になることだ。そして人々が保守主義の価値に戻ることだ」と公言しました。また、彼女はQAnonの主催するYouTube番組「Patriot Soapbox」にも出演しています。
共和党とQアノン！陰謀論が政策決定に与える潜在的な影響
さらに、トランプ前大統領は2020年8月に、Qアノンの陰謀説をツイッターで投稿し、それを広めようとしていた連邦議会選挙の候補者4人をリツイートしました。その結果、それぞれのフォロワーが数十万人ずつ増加しました。
これらの事例から、Qアノンとその信奉者が共和党とアメリカの政策に影響を与えていることが明らかになります。その結果、陰謀論が一部の政策決定に影響を及ぼし、公的な政策討論の場で受け入れられる可能性があることを示しています。
Marjorie Taylor Greene
陰謀論と政治の融合「マージョリー・テイラー・グリーン」のQアノン信仰
「マージョリー・テイラー・グリーン」は2020年8月に行われたジョージア州の共和党下院予備選で勝利し、共和党の主流派に属する候補を打ち負かし当選しました。彼女は「Qアノン」と呼ばれる陰謀論を信奉することで知られています。
「将来の共和党のスター」トランプ大統領の期待を受けた共和党議員
マージョリー・テイラー・グリーン (Marjorie Taylor Greene) は、2021年にジョージア州の14番目の議会地区の代表になった下院議員で、共和党の一員です。2020年の共和党内の予備選で勝利したことで、グリーンは注目を集め、トランプ大統領から「将来の共和党のスターだ」と称賛されました。
ビジネスウーマンから下院議員へ！？グリーンの政治キャリア
マージョリー・テイラー・グリーンは1974年にウィスコンシン州ミレットに生まれました。彼女はジョージア大学を卒業後、父親の建設会社を引き継いでビジネスウーマンとして地元で認知されるようになりました。政治経験は彼女が下院議員に選出されるまでなく、彼女のリベラル派への強烈な批判とアジテーションは、多くのプロの政治家を驚かせました。
グリーンの人種差別と陰謀論への関与
2020年にアメリカ合衆国下院議員選挙に出馬し、ジョージア州の14番目の選挙区で勝利したグリーンは、人種差別、白人優先主義、反共、銃規制反対といった極端な視点を持っていると広く認識されています。彼女は特に、黒人、ラティーノ、アジア人に対する偏見が強いとされ、東部エリートやユダヤ系の富豪であるジョージ・ソロスを徹底的に批判しています。彼女はソロスを「隠れナチス」と呼び、その批判の矛先に定めてきました。
彼女の主張は、しばしばメディアからの批判を受けています。特に、彼女が信じるとされる陰謀論、例えばQアノンなどの未証明の主張は、その中でもよく取り上げられます。
政治家としての彼女の家庭と信仰
マージョリー・テイラー・グリーンは既婚で、3人の子供がいます。彼女はクロスフィットの愛好者であり、また信仰深いキリスト教徒としても知られています。
熱狂的なQアノン信者！！陰謀論の世界への没入
グリーンは、Qアノンの陰謀論を公然と支持していることで知られています。これには、エリート集団が性的目的のための児童人身売買に関与しており、前大統領のドナルド・トランプがその集団と秘密裏に戦争を展開しているという、複雑で奇異な主張が含まれています。
グリーンは2017年にソーシャルメディアにビデオを投稿し、「Qは愛国者だ。私たちは、それを確信している。悪魔を崇拝する国際的な秘密結社を根こそぎする千載一遇のチャンスだ。私は、トランプ大統領がそれを実現すると信じている」と述べるなど、熱狂的なQAnon信奉者であることを公表しています。
彼女は「アメリカを守ろう。社会主義を止めよう」をスローガンに掲げ、政界入りを果たしました。その過程で、彼女は極右陰謀論団体「Qアノン」から「公認」を受け、物質的、精神的な支援を受けてキャピトル・ヒルに進出しました。
しかし、彼女の地元では都市部に住む共和党支持者にはQAnonに対する拒否感が強い主婦層も多く、グリーン氏はこれをうまく察知しました。その結果、選挙戦が本格化するにつれて彼女は「Qアノン支持」を公に出さない戦略に切り替えました。これが、最終的に本選挙での圧勝（得票率75％）につながりました。
グリーンの陰謀論が引き起こす物議
グリーンは、過去に一連の陰謀論や未証明の主張を行ってきました。それらの主張のいくつかは大変物議を醸し出しており、一部は公然と誤りであると広く認識されています。
例えば、2001年の9月11日に起こった米同時多発テロについても誤った主張を行いました。彼女は、アメリカ国防総省に飛行機が突入したという証拠が存在しないと主張し、「9.11はフェイク」であると主張していました。しかし、この主張については後に撤回しました。
2012年12月には、コネチカット州ニュータウンのサンディフック小学校で発生した銃乱射事件を、偽装されたものであると主張しました。また、当時の下院議長であるナンシー・ペロシが銃規制を推進するために、学校での銃乱射事件を支持していると主張しており、ペロシ下院議長と元国務長官のヒラリー・クリントンの処刑を求めています。
さらに2018年2月、フロリダ州パークランドの高校で発生した銃乱射事件の生存者を執拗に追い詰め、「臆病者」と罵倒し、嫌がらせを行ったことも報告されています。
バイデン大統領への弾劾要求
2021年1月、ジョー・バイデン大統領の就任翌日に、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員（ジョージア州選出）は、バイデン大統領の弾劾を求める動議を提出しました。これは彼女がツイートで発表したもので、#ImpeachBidenNow のハッシュタグをつけて弾劾条項の提出を伝えました。
グリーン議員は別のツイートで、弾劾案の内容を概説しました。彼女が指摘したバイデン大統領の「腐敗行為」には、ウクライナでの不正収益や、権力の乱用により息子のハンター・バイデン氏がアメリカの最大の敵であるロシアと中国から資金を受け取ったとの主張が含まれていました。
なお、彼女の主張は強い反発を呼び、議会の多くのメンバーからは事実無根とされました。実際、これらの主張の多くは、ファクトチェックによって否定されています。
厳罰！過去の言動が懸念材料となり懲戒処分
2021年2月4日、米国下院はジョージア州からの新人共和党員であるマージョリー・テイラー・グリーン下院議員に対して懲戒処分を科し、彼女を二つの委員会から除外することを決定しました。これは、彼女が過去にQAnonなどの極右陰謀論を支持し拡散し、暴力を肯定する発言をしたとされることを受けたものでした。1月6日に連邦議会議事堂がトランプ前大統領の支持者によって襲撃された事件も、この決定を加速させる一因となりました。
民主党はグリーン議員の言動を問題視し、彼女を委員会から外すよう求めましたが、共和党はこれに応じなかったため、最終的に採決が行われることとなりました。
グリーン議員はその過激な言動で注目されており、登院するやいなやバイデン大統領の弾劾を主張しました。彼女のフェイスブックの過去の投稿では、暴力を助長するものも含まれており、これが報道によって取り上げられることとなりました。
物議を醸す画像投稿
例として、彼女はAR-15自動小銃を持ってポーズをとり、民主党の女性下院議員3人の顔写真と合成された画像を投稿していました。これは、キリスト教徒に対して「社会主義者たちに攻撃を仕掛ける」よう呼びかけるものでしたが、フェイスブックによって削除されました。
種差別主義的な発言が波紋を広げる
また、グリーンはフェイスブックのビデオで、人種差別主義、反イスラム、反ユダヤ主義的な考えを公然と共有していたとされます。これらの言動により、共和党のケビン・マッカーシー下院マイノリティリーダーも彼女の発言を「ぞっとする」と非難するに至りました。
過去の言葉に反省の兆し。グリーンが下院で謝罪のスピーチ
採決の数時間前、グリーンは下院でのスピーチで、過去にデマを広めたことを認め、後悔の念を示しました。10分間にわたるそのスピーチの中で、グリーン氏は「これらは過去の言葉であり、こうしたことは私の価値観を表すものではない」と述べました。彼女はまた、「私は真実ではないことを信じてしまったし、事実に疑いを抱いたり、そうした話をしたりした。今は大変後悔している」と発言し、議会選挙に出馬する前にQアノンから手を引いたと述べ、陰謀論の放棄を宣言しました。
しかしながら、彼女は自身が行った人種差別的で煽動的と広く非難されている発言については言及しなかった。さらに、2020年の大統領選挙が不正選挙で、実際にはトランプが勝利したという、広く否認されている主張を彼女が続けていることについても、この日の議会審議では言及しませんでした。
議会投票、グリーン議員の懲戒処分が可決、賛成230票で除名決定
採決の結果、賛成230票、反対199票で、グリーン議員に対する懲戒処分が可決されました。賛成票には、民主党全員の投票に加えて、共和党からも11人が賛成票を投じました。この結果により、グリーン議員は教育労働委員会と予算委員会の委員から除名されることとなりました。
グリーン議員のナチスドイツになぞらえた発言が大炎上
米疾病予防管理センター（CDC）が2021年5月13日に原則としてワクチン接種者に対するマスク着用義務を解除したのに伴い、バイデン政権もホワイトハウスでのマスク着用指針を緩和しました。しかし、下院議長のナンシー・ペロシ（民主党）は全議員がワクチン接種を受けるまでマスク着用義務を続けると発表しました。
これに対し、アメリカ共和党の下院議員であるグリーンがポッドキャスト番組のインタビューで、ペロシ氏を「精神に異常がある」と非難しました。さらにグリーン氏は、ペロシ氏が推進するマスク着用義務化を、ナチスドイツがホロコーストの時期にユダヤ人に強制した差別政策になぞらえました。彼女は、「下院本会議場でのマスク着用義務化は、ユダヤ人に黄色い星を着用させたナチスドイツと同じだ。そうやって人々を差別して（階級に分けて）、差別された人を列車に乗せてガス室に送っていた。それこそまさにナンシー・ペロシ下院議長がやろうとしていることだ」と発言しました。
このグリーン氏の発言は、インターネット上で広く共有され、多くの批判を浴びました。「マスク着用義務化の状況をホロコーストに例えるのはおかしい」「迫害されていたユダヤ人とは状況が違う」といった意見が多く、ネット上では大炎上の状態となりました。
ワクチンバッジとホロコーストの比較に批判殺到
先のマスク着用義務に対する発言に続き、グリーン下院議員は新たな物議を醸しました。この問題は、テネシー州ノックビルの食料品店が新型コロナウイルスワクチンを接種した顧客へマスク無しでの来店を許可し、接種した従業員には接種証明バッジを着用するよう要求したことから生じました。これは地元メディアで報じられていたニュースでした。
グリーン議員はこのニュースに対して自身のツイッターで「ワクチンを接種した従業員がそのロゴのバッジを着用することは、ナチスドイツ時代のホロコーストの時にユダヤ人が強制的につけさせられた黄色い星と同じようなものだ。ワクチンパスポートやマスクを強制することは、ワクチンを接種していない人への差別につながる」と再びホロコーストについて言及した投稿をしました。
米国ユダヤ人会議が激怒！グリーン議員の発言を糾弾、撤回と謝罪を迫る
米国ユダヤ人会議（AJC）は、グリーンの発言を強く非難し、謝罪と発言の撤回を要求しました。AJCは、「健康を守るための規制を、ダビデの黄色い星やガス室、その他のナチスの残虐行為になぞらえることはできない」とツイートで表明しました。そして、「このような比較は、ホロコーストの悲劇を軽視し、アメリカの政治的言論を汚染することだ。マージョリー・テイラー・グリーン議員は直ちに発言を撤回し、謝罪すべきだ」と要求しました。
グリーン議員は以前にも陰謀論に関与しており、以前、カリフォルニア州の山火事がユダヤ人の宇宙レーザーによって引き起こされたと主張するツイートをしており、これにより下院のいくつかの委員会の役職を辞任させられていました。
グリーン議員がホロコースト比喩に対し公式謝罪、言葉の傷を認識
2021年6月14日、グリーン議員は記者会見を開き、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）対策の一環としてのマスク着用義務やワクチン接種をナチス・ドイツのホロコースト（ユダヤ人大量虐殺）になぞらえた5月の発言について公式に謝罪しました。グリーンは、「自分の言葉が人々を傷つけるものだったことを認識している。このことについて、とても申し訳なく思う」と述べました。
この発言は、一部の民主党議員から問責決議の要求を引き起こし、共和党の議会上層部からも批判を受けていました。グリーン氏の謝罪は、これらの反応を受けたものと見られます。
議場でのマスク着用違反により約550万円の罰金
2021年11月4日、アメリカの共和党下院議員であるマージョリー・テイラー・グリーン氏が、議場でのマスク着用義務に繰り返し違反した結果、これまでに合計48,000ドル（約550万円）の罰金を科せられていたことが明らかになりました。
グリーン議員はこれまでに少なくとも20回のマスク着用規定違反で、48,000ドルの罰金を科せられています。「これは、グリーン議員がこれまでに違反した事例の一部にすぎない」とアメリカの政治専門メディア「The Hill」は報じています。
下院は2020年7月に議事堂内でのマスク着用を義務化しました。違反が初めて発覚した際には500ドルの罰金が課され、それ以降は違反ごとに2,500ドルの罰金が科せられる仕組みになっています。
グリーンは少なくとも1件の罰金について異議を唱えましたが、罰金は維持されました。グリーン氏がマスクを着用せずにいる様子は、11月2日にもCNNの取材班によって目撃されました。 罰金は、グリーン議員の給与から天引きされることになりました。
新型コロナウイルスのデマ拡散でTwitterアカウントが永久停止
2022年1月2日、Twitterはアメリカ共和党の下院議員、マージョリー・テイラー・グリーン氏のアカウントを新型コロナウイルスに関するデマの拡散により永久に停止しました。
同社は、新型コロナウイルスに関する誤情報の拡散について規約違反とし、違反が繰り返されるとアカウントを凍結する措置を取っています。凍結の期間は違反の深刻さや種類に応じて変わり、重大な違反が続けば永久に停止することもあります。
報道によると、グリーン議員はCOVID-19ワクチンによる死亡者数が非常に多いとの主張や、肥満や高齢者でなければCOVID-19は危険ではないといった誤情報をTwitterで繰り返し投稿していたとされます。グリーン議員がこれらの誤情報を投稿し、政府が提供している未検証のワクチン副作用報告システム（VAERS）のデータを誤解を招く形で引用したことを受けて、Twitterは彼女のアカウントを停止したのです。
複数回の停止処分を経てついに永久停止
グリーンは、過去にも複数回、Twitterからアカウントの一時停止処分を受けていました。具体的には、彼女が就任直後の2021年1月に選挙に関する誤情報を拡散したため、12時間の一時停止が科せられました。さらに、同年7月と8月には、ワクチンに関する誤報を投稿したために繰り返しアカウントが一時停止されています。
2022年1月1日、グリーン氏はアメリカ政府が運営するワクチン有害事象報告システム（VAERS）の未検証データを不適切に引用し、「COVID-19ワクチンによる大量死のデータ」としたツイートを行いました。これにより、Twitterは彼女のアカウントを永久に停止し、これが彼女が受けた5回目の制裁となりました。
Twitterの「COVID-19誤情報ポリシー」によれば、ポリシー違反が繰り返されるごとに制裁は厳しくなり、「5回以上の違反」がある場合、アカウントが永久に停止されます。
グリーン氏は、自身の言論の自由が侵害されたと主張しました。しかし、Twitterは民間企業が運営するプラットフォームであり、自身の規約を明確に定めています。にもかかわらず、彼女は不満を表明しました。
2022年1月2日の朝、グリーン氏は声明で「Twitterはアメリカの敵であり、真実を扱うことができない。それは問題ない。我々がアメリカにとって不要なものを示すことで、敵を打倒しよう」と述べました。また、彼女はFacebook上で、「シリコンバレーのカルテルがついに行動に出た。Twitterが私のアカウントを永久停止した。大手テック企業は言論の自由の敵だ。我々はそれを忘れない。私に続き、Telegramでつながりましょう」と呼びかけました。
【Qアノン陰謀論（１１）】出馬を取りやめるべき？バイデンにセクハラ疑惑！さらに陰謀論が拡散！
