【太陽光発電の問題点①】グレーゾーンで急拡大するメガソーラー!山林破壊の代償はいくら?

太陽光発電は、再生可能エネルギーの一翼として、私たちのエネルギー問題への答えのひとつとして期待されています。

しかし、その急速な拡大背景には、見過ごされがちな多くの問題が潜んでいます。

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ほんとうに役に立つ自然エネルギーと役に立たない自然エネルギーの違いとはなにか、現段階で使えるエネルギーを徹底的に検証する。(「BOOK」データベースより)

The Problem with solar power

太陽光が引き起こす深刻な問題

暗黒技研/YouTube

世界は深刻な環境問題に直面しており、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの排出を削減するため、2050年までに脱炭素社会を実現を目標に掲げ、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの拡大が進んでいます。

しかしその一方で、土砂崩れや景観への影響、生態系への懸念、土地の使用権など様々な問題が発生して、それらの問題は実際に無視できないほどの影響を与え始め、反対運動も広がっています。

東日本大震災の後、菅直人元総理(旧民主党)が主導

2011年の東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故は、日本におけるエネルギー政策の大転換点となりました。

この事故を受け、日本政府は原子力発電への依存を減らし、再生可能エネルギー、特に太陽光発電への投資と普及を加速させる方針を採りました。

当時の総理大臣であった菅直人氏(旧民主党)は、固定価格買取制度(FIT)の導入を含む一連の対策を担当しました。

このFIT制度は、太陽光発電を含む再生可能エネルギー源からの電力を一定期間、固定された価格で買い取ることを保証するものでした。

この政策は、太陽光発電の導入を促進すると同時に、新たな産業としての発展を加速させました。

しかし、旧民主党は原発事故を受けて、太陽光発電の導入を焦って導入したため、制度設計に問題がありました。

事業者はプラスに、消費者はマイナスに

その結果、太陽光発電の高い買取価格が維持され、太陽光発電事業者は大きな利益を得た一方で、消費者側は再生可能エネルギー部分をカバーするために追加の電気料金を支払わなければいけなくなりました。

ソフトバンクや京セラなどのメガソーラー事業者は、この高い買取価格を背景に大規模な太陽光発電プロジェクトを進め大きな利益を得ることになりました。

政権との関係が指摘

これらの企業は、その先見の明を皮肉を込めて称賛されました。また、当時の民主党政権からの支援を受けていたことや、政権との利害関係が指摘されることもありました。

ANNnewsCH/YouTube

「太陽光発電バブル」金に群がる悪質な業者

2012年の固定価格買取制度(FIT)導入以降の、日本における太陽光発電の急速な普及は、「太陽光発電バブル」とも呼ばれる狂乱的な市場状況を生み出しました。

太陽光発電事業の利益を狙ってさらに多くの業者が参入し始めました。

その中には、設置するための太陽光パネルの価格が下がれば下がるほど利益も大きくなるため、発電設備の建設を途中で一時停止する悪質な業者もいました。

また、勝手に人の土地で太陽光発電計画をでっち上げて国の認可を取得した後、その権利を他の事業者に転売して利益を得る、『太陽光ブローカー』というグレーゾーンで暗躍するブローカーも誕生しました。

「太陽光でマネーゲーム」発電分の権利を金融取引

初期の固定価格買取制度(FIT)の高い買取価格は、高値で発電分を売れるため「売電権」としての権利の取引を促進しました。

多くのブローカーたちが、太陽光発電プロジェクトの権利を取得し、それを高値で転売することで大きな利益を得ました。

また、実際に発電を行わずに権利だけを売却する業者も現れ始め、太陽光発電事業は実際のエネルギー供給よりも金融取引の側面が強調されるようになりました。

権利の仲介をして手数料で稼ぐ業者の出現

この市場の状況は、売電権の取引を仲介する業者にも新たなビジネスチャンスを提供しました。

このような取引の急増は、市場の非効率や不公平を生む原因となり、当初の再生可能エネルギー政策の目的から大きく逸脱していました。

税逃れ

さらに、この「太陽光発電バブル」の中で、税務上の問題も浮上しました。約200社が税務調査で申告漏れが指摘され、その結果、総額約70億円の税逃れが発覚したのです。

賄賂事件も発生

太陽光発電所の設置に関連して、賄賂事件も発生しました。

宮城県のケースでは、丸森町の公務員に対して発電事業会社「HK-ONE」の代表取締役ら3人が現金100万円を贈ろうとしたとして逮捕されました。

また、北海道新冠町の牧場「ベルモントファーム」の取締役会長が、太陽光発電所用の土地として農地を売却するために賄賂を渡そうとしたとして逮捕されました。

さらに、太陽光発電所を開発する藤崎電機グループの元顧問が、農地転用の便宜を図るために農業委員に100万円を渡したとして起訴されました。

これ以外にも、太陽光発電所の設置に関わるいくつかの賄賂事件が発覚しており、関係者が逮捕・起訴されています。

急速な成長がもたらすリスクが浮き彫りになった

この「太陽光発電バブル」は、再生可能エネルギー市場の急速な成長がもたらす潜在的なリスクと、それに対応する政策や規制の重要性を浮き彫りにしました。

外資の参入で変わる日本の太陽光市場

2017年、日本の太陽光発電市場における重要な変化が起こりました。

経済産業省は、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の電気買い取り価格に関する初の入札結果を発表し、その最安値は2016年度の売電価格より30%低いものでした。

この変化は、電力買い取り価格の見直しと市場の開放を意味し、日本の再生可能エネルギー市場は新たな段階に入りました。

外資の投資と新たな問題

この変化の中、これまでとは異なる大きな動きが見られました。それは、落札した事業者の約半数が外資系企業であったことです。

電力の高値買い取り制度の見直しにより、外国企業が日本市場で安価な部材を調達しやすくなったため、多くの外資系企業や外国の投資家が日本の太陽光発電市場に参入してきたのです。

そして、彼らは新しい市場機会として日本の再生可能エネルギー市場を捉え、積極的に投資を開始し、日本の再生可能エネルギーは順調な滑り出しを見せました。

しかし、この外資の参入は一部で環境への懸念を引き起こし始めました。特に、メガソーラーや大型風力発電所の建設に伴う自然環境への深刻な影響が問題となっています。

森林を破壊しながらの再生可能エネルギー

一部のプロジェクトでは、貴重な森林を根こそぎ破壊して発電施設を建設するケースが報告されており、この森林破壊ともいえる現状に、環境保護団体や地元住民からは強い反対の声が上がり続けています。

破壊した森林を元に戻さなくてOK「合同会社」問題

太陽光発電を利用する事業者の中には、一つの住所で複数の会社を設立するケースが珍しくありません。それが「合同会社」です。

合同会社は、2006年5月に施行された会社法によって、有限会社が廃止された際に新たに設立されたものです。

合同会社は株式会社など他の法人形態に比べて、設立手続きが簡単で、費用が安く、設立までの期間も短く済むため、多くの企業が利用しています。

合同会社側のメリットと地域住民のデメリット

合同会社の大きな特徴の一つが、事業者や投資家に利益をもたらす会社形態であるということです。

合同会社は簡単に設立・解散でき、資金調達も比較的容易です。さらに、もし倒産する場合でも出資者は出資金額だけの責任を負うだけでいいので、リスクも低く抑えられています。

事業者の逃げ得が可能

一方で、地主や地元の人々にとっては不利な面があります。

合同会社は、倒産や事故によって撤退を決断した場合簡単に撤退することができ、その時の施設の撤退費用を前もって預けることなどについては義務付けられていないため、会社側はそれを拒否することが可能です。

つまり、会社側は最悪の場合は施設を放置したまま逃げることが出来るため、これが地元の人々にとってのリスクになっています。

平地じゃなくてわざわざ山林を削って設置する理由

一般的に、山林や農地は資産価値が低いと見なされることが多いです。これは、これらの土地が商業や住宅開発に直接利用されることが少ないためです。

しかし、太陽光発電という視点から見ると、コストパフォーマンスの面で宅地よりも優れています。

土地の管理に困った地主が事業者に売却!

地主にとって山林は管理コストがかかるため、貸し出したり売却したほうがメリットがあります。一方で、事業者にとっても低コストで事業を始めれるため、両者はWin-Winの関係になっています。

放置された土地がお金を生み出す

また、山の斜面に太陽光発電設備を設置できた方がエネルギー効率がいいので、その事業者は設置した太陽光から平地よりも多くの売電収入を得られます。

これは、放置されていた土地が有効活用されているともいえます。

伐採によって保水能力が低下…。様々な問題を誘発する可能性!

山林に太陽光発電設備を設置するためには、設置場所を作るために木々を伐採しなければいけません。しかし、この伐採は山林の保水能力が低下させてしまい、以下のような問題を誘発することになります。

  • 水資源の減少
  • 土壌流出・土砂災害のリスク増加
  • 河川の水質悪化
  • 乾燥やヒートアイランド現象の悪化

建築基準法の対象外なので破壊した森林はそのまま放置

ドイツなどでは事業者に再植樹や緑地回復の義務がありますが、日本にはそのような制度がありません。これは、太陽光発電設備が建築基準法の適用外だからです。

日本の法律では、自立型の太陽光発電設備は、架台下の空間に人が立ち入らず、居住や作業などの屋内的用途に供さない限り、建築物に該当しないとされています。

グレーゾーンで設置される問題点

さらに、太陽光発電設備の基礎が不十分なまま設置する悪質な業者もいます。

自立型の太陽光発電設備は、電気事業法に基づく「電気工作物」として扱われます。これは建築物に該当しないため、建築基準法の対象外で、設置時の確認申請も必要ありません。

このため、不適切な施工が許されることがあり、太陽光業界の問題点となっています。どんなにひどい施工でも、明確に違法とは言えないことがこの業界の悲劇的な側面だといえます。

検査がないから安全性は無視

しかし、もちろん何の規制も適用されないわけではありません。太陽光発電は電気工作物として、経済産業省が管轄の「電気事業法」の規制が適用されます。

発電量によって規制が違う

電気事業法では50kW未満と50kW以上では規制が異なっており、50kW未満は「一般用電気工作物」、50kW以上は「自家用電気工作物」となります。

一見、「一般用」と「自家用」が逆に見えるかもしれませんが、法律上はまず「事業用」と「一般用」に分けられ、その中で「事業用」がさらに「電気事業用」と「自家用」に分類されます。

50kW以上の発電設備の場合はきちとした規制がある

50kW以上の太陽光発電設備を設置する場合、「保安規程の届け出」と「電気主任技術者の選任」が必要です。

また、第一種又は認定電気工事従事者が工事を行う必要があります。50kW以上の設備では、電気事業法による事故報告義務もあります。

50kW未満の発電設備は規制はなし

一方、50kW未満の太陽光発電設備では、届け出や電気主任技術者の選任、保安規程の届出、使用前自主点検、事故報告などが法律上免除されています。

この規模の設備は電気事業法で構造安全性が具体的に規定されていないため、自主的に日本工業規格(JIS C8955)を参照して安全性を確認しなさいということになっています。

50kw未満でも事故が発生しているが……野放しに近い状況

しかし、経産省は50kW未満の設備でも事故が多発していることを指摘しており、安全性が危惧されています。

もちろん、電気事業法では電気的性能と構造安全性が要求されていますが、経産省には建築基準法のような検査手続きがなく、特に小規模な発電設備においては構造安全性が確保されていない、事実上の野放し状態が続いています。

危険な場所でもメガソーラは設置できる

メガソーラーは建築基準法で建築物や工作物として扱われないため、土地利用制限がありません。

その結果、アクセスが悪かったり地質的な問題がある危険な土地でも、太陽光発電事業を通じて有効活用することが可能になっています。

日本中で相次ぐ太陽光トラブル!

2012年以降、急速に普及した太陽光発電は、不適切な設計や施工、メンテナンス、立地問題、自然破壊、そして使われなくなったパネルの放置など、全国的な問題を引き起こし始めました。

ある調査では、日本の47都道府県のうち8割が何らかの問題を抱えていることが明らかになっています。

MBS NEWS/YouTube
たれ流しの泥水

太陽光発電設備を山林などの傾斜地に設置する際は、排水処理が重要になりますが、傾斜地での設備は、林地を切り開いた場所が多いため、雨水が土地を浸食して流れ出すことは避けられません。

設置工事の伐採によって保水力をなくした造成地では、雨水が表面の土を押し流しさらに土壌が削られます。これが原因で近くの住宅地や道路、川や海に泥水が流れ込み、問題が発生しています。

命の危険…。頻発する土砂崩れ

山の木々は本来土砂崩れを防ぐ役割がありますが、その木々を切り斜面に太陽光パネルを設置すると、当然土砂崩れのリスクが高まります。

特に大雨後は地盤が緩んで、斜面での土砂崩れが起こりやすくなります。

このため、太陽光パネルが土砂崩れと共に壊れる危険性があり、実際にそのようなケースが発生しています。

住民が土砂崩れの被害に遭い、ソーラーパネルの下敷きになり死亡した事例も発生しています。

近年では地球温暖化による異常気象によって、災害級の雨が降ることが当たり前になっており、土砂崩れが頻発しています。そんな中で、斜面に設置された太陽光の危険性は大きな問題になっています。

KyodoNews/YouTube

読者の皆様へ

この問題は単なる環境問題にとどまらず、私たちの未来における持続可能性の根幹に関わるものです。

私たち一人一人がこの問題にどう向き合い、どのような解決策を模索するべきかを考えることが重要です。

太陽光発電というクリーンエネルギーの利点を享受しつつ、自然環境を守るためのバランスを見つけることが、これからの大きな課題となるでしょう。

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