全国各地で進む「メガソーラー」建設に対し、地元住民からは環境破壊や土砂崩れなどのリスクが指摘され、反対運動が行われています。太陽光発電所は再生可能エネルギーの普及に貢献する一方で、周辺環境への影響が懸念されます。地元住民との協議を重視し、適切な場所と条件を検討することが求められます。
グレーゾーンで進む太陽光発電設置!!山林破壊の代償はいくら?〜太陽光問題(1)〜
The Problem with solar power
「環境破壊にNO!」メガソーラー建設反対運動が全国で拡散中!
現在、大規模な太陽光発電所「メガソーラー」の建設をめぐり、全国各地で環境破壊や土砂崩れなど、防災上のリスクを懸念する地元住民たちの反対運動が行われている。
和歌山県すさみ町の太陽光発電所を再掲。別の角度の物。結構地元では有名で、暴力団関係者の暗躍とかいろいろ囁かれていました。反対運動をしていた方は村八分に近い状態となり、なかなか大変…。 pic.twitter.com/JGT3UykZ3D
— 三枝 玄太郎 (@SaigusaGentaro) July 4, 2021
【京都民報】八幡市・男山太陽光発電計画 建設反対請願を採択/八幡市議会で全会一致、規制条例制定も要求https://t.co/pCR7rHtzWM
— 鈎 裕之 (@ELECTRICDADDY) September 6, 2019
元暴力団組長が実質的に経営する大阪市の企業「コスモスエナジー」が、国宝石(いわ)清水八幡宮をいただく八幡市男山に太陽光発電施設の建設を計画…
地元住民の声は無視!着々と進む工事現場!
資源エネルギー庁の再生可能エネルギーに関する相談窓口には、2020年9月までの4年間で約600件の相談が寄せられました。そのうち、9割以上の530件が太陽光発電に関する問題で、地元の理解が得られずに事業が進められることに対する懸念が多く寄せられています。
例えば、伊豆高原では、韓国の企業「ハンファエナジージャパン」が104ヘクタール(東京ドーム20個分)の緑地を買い取り、森林の半分を伐採して12万枚の太陽光パネルを設置する計画が進行中です。この計画により、伊豆高原の美しい景観が変わってしまう恐れがあります。静岡県、伊東市、そして住民が反対していますが、業者はそれを無視して森林伐採を始めた。
行政による取り締まりができない!?
しかし、住民の反対運動が始まってから問題が明らかになっても、企業が正当な手続きを踏んでいる場合、開発を止める方法がないケースが多く存在します。
これは、企業が建築基準法、森林法、環境基本法などの法律に従っている場合、自治体に開発を中止させる権限がないためです。ある市の担当者は、「FITの認定制度は甘く、条例がなければ地域の事情を無視した事業を防ぐことができない」と不満を述べています。NPO法人環境エネルギー政策研究所の山下紀明理事は、「トラブルが起こる前に、自治体は景観など大切なものを保護できるような条例を作るべきだ」と話しています。
許可なしの森林伐採!翻弄される住民たち
現在、太陽光発電施設が山林や農地に勝手に設置されるケースが頻発しています。住民が気づかないうちに、突然太陽光パネルの工事が始まることもあります。特に、山林での太陽光発電施設設置には、森林法や県の自然公園条例などの規制があるものの、許可や届け出が必要なのは一定の規模以上の場合だけです。
「1ヘクタール以下は許可不要?」森林を犠牲にする太陽光発電設備
太陽光発電設備は、通常、基礎の上に架台を設置し、その上に太陽光パネルを据える構造で、「建築物その他の工作物」に分類されます。
そのため、地域森林計画の対象森林で1ヘクタールを超える規模の太陽光発電設備を設置しようとする場合、森林法第10条の2に基づく許可(林地開発許可)が事前に必要です。逆に言うと、1ヘクタール以下であれば許可はいらないということになります。
森林を守るために知っておきたい!“林地開発許可制度”とは?
森林は、木材生産だけでなく、災害防止や水資源の供給など、さまざまな役割を果たしています。これらの機能を保護し、森林が無計画に開発されるのを防ぐために、森林開発には事前の許可や届け出が求められます。
この仕組みを「林地開発許可制度」と呼び、開発によって失われる森林機能の低下を最小限に抑えるため、以下の4つの点について規制が設けられています。
- 災害防止:開発が土砂流出や崩壊などの災害を引き起こさないか。
- 水害防止:開発が水害を引き起こさないか。
- 水資源確保:開発が水の供給に大きな支障をもたらさないか。
- 環境保全:開発が周辺環境を大幅に悪化させないか。
太陽光発電所増加の裏側にある規制の甘さ
1ヘクタール以下の開発には許可が不要で、太陽光パネルに関しても、自然公園内で1,000平方メートル以下は届出が不要です。また、他の山林地域では面積要件がなく、一般的に500平方メートル程度の太陽光パネル設置が増えています。
さらに、農地法の許可が必要な場合でも、業者の適格性や隣接地との関係について明確な定めがないため、地元住民の反対があっても許可が出されるケースがあります。例えば鳩山町では、県が農地法上の許可基準を満たしていると判断し、地元住民の反対にもかかわらず許可が出された事例があります。
つまり、開発規模や場所によって許可や届出が不要な場合があり、地元住民の反対があっても許可が出されることがあるため、太陽光発電所が増加しているということです。
森林保護のために必要な“伐採届出制度”とは?
「伐採及び伐採後の造林の届出制度」では、森林所有者が立木を伐採する場合、事前に伐採計画と伐採後の造林計画を届け出ることが義務付けられています。また、伐採が完了したら森林の状況を報告し、造林が終わったらその状況も報告することが求められます。
(2016年の森林法改正により、2017年4月以降、伐採後の造林に関する森林の状況報告が必要になりました。さらに、2021年の森林法施行規則改正により、2022年4月以降、伐採後の森林の状況報告も求められるようになりました。2023年4月1日からは、太陽光発電施設設置を目的とした0.5ヘクタール以上の伐採面積の開発は、林地開発行為に該当し、許可が必要となりました。)
太陽光発電設備による泥水流出が地域住民を脅かす!
2014年のケースでは、桐生市で激しい雨が降り、1時間で53ミリの雨量が記録されました。桐生市菱町一丁目の太陽光発電設備の建設現場では、雨水と土砂が流れ出し、近くの道路や住宅地にも流れ込みました。
現場は「市街化調整区域」に指定されており、特定の用途以外の建物は建てられないはずですが、国の指針により太陽光発電設備は建物とみなされず、開発許可は不要で設置が可能です。また、土砂崩れの危険があるため「宅地造成工事規制区域」にも指定されています。
担当課では、事業主に許可申請を出すよう指導し、図面をチェックして工事許可を出しています。また、伐採届も提出されているため、法的な問題はありません。担当課は「適切な手続きが行われていれば、特別な理由がない限り、傾斜地であっても設置はできる」と説明しています。
太陽光発電施設の環境破壊を防止するため、自治体が動き出す!
メガソーラーや太陽光発電に関する問題は、他の地域でも発生しています。近年の自然災害の増加に伴い、太陽光パネルが強風で飛ばされたり、豪雨で斜面が崩れるなどの事例が多く見られ、二次災害や環境破壊への懸念が強まっています。このような状況を受けて、自治体は条例制定を急いでいます。
地方自治研究機構によれば、自治体への届出や同意、許可手続き、制限区域などを定めた規制条例(立地の促進だけを規定するものは除く)は、4月1日時点で146市町村と兵庫、和歌山、岡山の3県で合計149条例が制定されています。導入件数は年々増加しており、2014年には2件だったものが、2017年には19件、2019年には43件となっています。
入江県議、村原市議と共に夢前町(良い名前です)へ。
— 金田峰生 兵庫県知事候補 いのち守る兵庫に変える (@F1988Kaneda) May 22, 2020
また太陽光発電施設設置計画。これで何件目か。
予定地は住宅の裏手の急傾斜地。昨年の豪雨災害での太陽光パネル崩落災害を忘れたのか。
姫路市もまだ条例をつくっていない。
住民が反対するのは当然。
もっとまじめに再エネに取り組んで欲しい。 pic.twitter.com/Z3NiNXmXMQ
政府がメガソーラーを規制すべきだ。地球環境を守ると称して森林を破壊するのは本末転倒。
— 池田信夫 (@ikedanob) June 5, 2021
太陽光発電の建設に「待った」 規制条例が全国で急増:朝日新聞デジタル https://t.co/EqY2gXorp6
太陽光発電事業者が自治体の条例を違憲と主張して提訴
それに対して、メガソーラー建設に対する自治体の条例に対抗する動きが出てきました。建設ができなくなった事業者が、条例が違憲で無効だと主張して訴訟を起こしています。
訴訟を起こしたのは、太陽光発電事業を行うTKMデベロップメント株式会社で、埼玉県日高市を相手取り、権利確認請求を提起しました。
彼らは、日高市の条例が違憲、違法で無効だと主張しており、一律の禁止が事業者の営業の自由と土地所有者の財産権を侵害しているとしています。原告は、条例が憲法に違反すると主張しています。
これまでにも事業者が訴訟を起こすことはありましたが、条例そのものが無効だと主張するのは初めてのケースです。
環境問題と地方自治体の条例に詳しい小島弁護士は、「メガソーラー開発が環境や景観保護に問題をもたらしており、各地で市町村が条例を作ることが増えている。しかし、事業者が本格的に争うとき、その条例が適法性を持つかどうか市町村は検討する必要がある」と指摘しています。
「住民との協議を」自治体が事業者にお願い
最近、自治体はメガソーラー建設について、地域住民と事業者との協議を重視するようになってきました。埼玉県鳩山町は太陽光発電施設の設置に関する要綱を改正し、地域環境や住民と調和した事業を促しています。
改正により、町は計画内容をホームページで公表し、説明会の情報も掲載するようになりました。これにより、住民が計画段階で事業の規模や内容を把握できるようになりました。
鳩山町では、要綱を条例に格上げする声が上がっており、自治体はどのような条例が効果的か検討しています。日高市の条例が事業者から違憲、無効と提訴されたことも影響していると考えられます。
太陽光発電がもたらす新たなリスク!災害時に起こる被害とは?
巨大災害の時代、すでに太陽光が原因の被害もしています。例えば台風がもたらす強風や豪雨は、太陽光発電設備に大きな被害を与えることがあります。最悪の状況では、太陽光パネルが飛ばされ、風圧や飛んでくる物によってガラス部分にたくさんのひび割れや傷ができることがあります。
「強い台風が来るたびに心配」太陽光パネル製造業社の声
「10年前には思いもしなかった」と太陽光パネル製造業者も、台風などの自然災害によるパネルの破損リスクの増加に驚いています。例えば、2019年9月の台風15号では、千葉県市原市の水上メガソーラーのパネルが破損し、火災も発生しました。
「おい、太陽光パネルどこいった?」自然災害被害の危険性とは
自然災害が増える中で、太陽光パネルが強風で吹き飛んだり、施設のある斜面が豪雨で崩れる事例が増えており、二次災害や環境破壊への懸念が高まっています。
太陽光発電業者による自然破壊が招いた水害の恐怖
鬼怒川の水害では、太陽光発電業者が自然堤防を掘削して被害を拡大させたとされています。報道では、業者が太陽光パネルを再設置していると伝えられています。水があふれた付近には、約1キロの堤防のない区間があり、自然の土手が堤防として機能していました。
しかし、太陽光発電事業者がパネル設置のために、一部の自然堤防を掘削。このことが水害の原因となったと考えられています。
金沢大学の藤生慎助教がドローンで調査したところ、太陽光パネルと鬼怒川の間の丘陵地が約150メートルにわたって掘削され、木々も伐採されていることが確認されました。
知らなきゃ怖い!ハザードマップに載らない太陽光のリスク
ハザードマップには表示されないリスクも存在します。洪水や土砂災害が起こった地域では、大規模な伐採や太陽光発電所(メガソーラー)の建設、地形や地質を無視した土地利用、古いため池の放置などがあります。
廃棄量急増、太陽光パネルの未来に暗雲?
震災後の政府支援策で、太陽光発電設備は過去5年間で約6倍増加しました。今後は寿命を迎えるパネルが増え、2040年には廃棄量が80万トンになる見込みです。これは、全国の処分場に埋め立てられる量の約8%です。
太陽光パネルの“埋もれたリスク” 放置される事業用パネル
建物に設置された太陽光パネルは、建物の撤去と同時に廃棄されることが一般的です。また、借地で行われる事業用太陽光発電は、借地期間終了時に現状復帰が求められるため、放置される可能性は低いとされています。
しかし、問題となるのは、事業者が所有する土地で行われる事業用太陽光発電です。事業が終了していても、コストがかかる廃棄処理をせず、パネルが放置される可能性があります。
責任の所在が不明に….。転売が引き起こす太陽光問題
2022年には、FIT制度に代わってFIP制度が導入され、発電事業者が電力市場で売電を行い、市場価格に基づく補助金を受け取ります。市場原理の導入で、中小規模の発電業者には厳しい環境が予想され、倒産する業者が増える可能性があります。また、太陽光発電業者の中には、経営難を理由に設備を転売するケースも多く、転売が繰り返されるうちに所有者が不明になり、責任の所在がわからなくなることもあります。
太陽光パネルがたどる最悪の未来は放置から不法投棄
FIT制度がスタートして以降、太陽光発電が急増したものの、発電事業終了後に放置・不法投棄される懸念が生じています。
【危険な廃棄物】太陽光パネルの有害物質に注意!
不法投棄が問題となる大きな理由は、太陽光発電パネルに含まれる有害物質です。パネルには、鉛やセレン、カドミウムなどの有害物質が使われていることがあります。これらの物質は、災害時だけでなく、古いパネルが大量に廃棄される際にも問題になります。安価で大量に導入された中国製などのパネルは、有害物質の有無を明らかにしていないことが多く、業者も危険性を十分に認識していないため、適切な処分が行われていません。
太陽光発電事業者の廃棄費用不足が問題化
2019年12月の報告によると、太陽光発電事業者の20%以下が廃棄費用を積み立てているだけで、多くの事業者が費用を積み立てていません。政府は2018年から積立金の努力義務を訴えてきましたが、改善されない状況が続いています。
太陽光発電事業者に新たな義務!積立金制度の導入
そのため、2021年には「積立金を強制的に行う制度」を導入する計画を発表しました。対象は、FIT法が適用される10kW以上の太陽光発電設備です。
発電事業者が倒産した場合でも、積立金は条件付きで保護され、債権者が簡単に取り戻せないようになっています。これにより、発電設備が交換・廃棄されるまで資金が確保されることが期待されます。
電気事業法改正により、小規模発電設備も事故報告対象に!
また、2021年4月に電気事業法が改正され、10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備や20kW未満の風力発電設備は、事故報告の対象に追加されました。これにより、問題の発見や対策がより効果的に行われることが期待されます。
事業者倒産後も積立金は設備の交換・廃棄にまわされる
発電事業者が倒産した場合にも、積立金の取り戻しには条件を課しているため、債権者の都合で取り戻すことはできず、発電設備が交換・廃棄されるまで確保できるとしている。