【戦争プロパガンダ①】人類の歴史は戦争の歴史……。全ては勝利のために!!切っても切れない『戦争とプロパガンダ』

本記事では、戦争とプロパガンダについて掘り下げ、第一次世界大戦や第二次世界大戦を例に挙げながら、様々な形で行われたプロパガンダの実態やその影響力について解説します。

また、現代社会においても、プロパガンダは無くならず、メディアや政府の利用・管理によって広く行われていることに触れます。戦争や紛争を起こす原因として根底にある土地争いなども取り上げ、戦争とプロパガンダがどのような形で関係しているかを考察します。

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かつて日本人はプロパガンダの達人だった!米・中・韓など怖くない!本当はすごい日本人。(「BOOK」データベースより)

The history of mankind is a history of war

人類の歴史は戦争の歴史

kolomaire/YouTube

実際の数字や統計はさまざまですが、戦争や紛争が無かった期間は歴史上極めて稀であることは確かです。これは、人類史において、権力闘争や領土問題、文化的・宗教的対立など、戦争を引き起こす要因が常に存在していることを示しています。

戦争と人類の技術発展

人類の歴史は多くの戦争で満ちており、戦争の方法や戦術は科学技術の進化に伴って変わってきました。第一次世界大戦や第二次世界大戦では、戦争が産業力や技術力の競争に直結し、それまでの戦争とは異なる規模や破壊力を持つ戦争が繰り広げられました。

第一次世界大戦では、戦車や航空機、機関銃、砲兵、毒ガスなどの新兵器が導入され、戦闘の様相を一変させました。塹壕戦が主流となり、多くの犠牲者が出ました。戦争の終結後、国際連盟が設立されるなど、戦争を回避しようとする試みが行われましたが、残念ながら成功しませんでした。

第二次世界大戦では、さらなる科学技術の進歩により、戦争が大規模化し、戦場も広がりました。航空機の飛躍的な発展により、長距離爆撃が可能となり、戦争が従来の戦場から市民にも影響を与えるようになりました。

また、核兵器が広島と長崎に投下され、非人道的な破壊力が示されました。これを受け、戦後は国際連合が設立され、核拡散防止条約(NPT)などの枠組みが作られることで、戦争の回避や抑止が試みられました。

それ以降も、冷戦時代や現代の戦争において、科学技術の進歩が戦争に影響を与え続けています。現代戦争では、ドローンやサイバー戦争などの新たな戦術や兵器が登場しており、戦争の様相が変化し続けていることが分かります。

悲劇の連鎖!過去の恨みが生む戦争のサイクル

過去の恨みや復讐心、執着心が引き継がれることで、戦争の連鎖が生まれます。これは、年を重ねた人々が持つ感情が新たな戦争を引き起こす要因となることを意味します。若者たちが戦場で犠牲になり、その経験を持つ者たちが老いていく中で、同じことが繰り返される悲しい現実が存在しています。

この負のサイクルは、次世代に対して過去の敵対関係を引き継がせることで、終わりのない争いを生み出してしまいます。若者たちは、自分たちが戦争の意味や目的を理解しないまま、命を懸けることが求められる状況に追い込まれます。

豊かな土地を求めて

かつて、豊かな土地は多くの国々にとって求心力となりました。そんな時代から、戦争が発生してきた地域は、人々が食料を求め、領地を確保するための力が働いていたことを示しています。

現代社会では、宗教の違いやイデオロギーの対立が表面的な原因とされることが多いですが、根底には土地争いがあることが大半です。

資源に恵まれた土地への憧れは、国家間の紛争だけでなく、国内の対立にもつながります。地域によっては、特定の民族や宗教グループが有利に立ちたいという動機から、他の集団に対して敵意を抱いていることもあります。

さらに、資源の独占は、経済的利益に直結するため、国家や企業によっても後押しされることがあります。つまり、戦争とは土地争いだと言えます。

報道の自由と政府のコントロール「戦争プロパガンダ」とは

近年、メディアは新聞、ラジオ、テレビ、インターネットといった多様な情報伝達方法を取り入れ、日々進化を遂げています。その中で、戦争がメディアにとって大きなマーケットとなっていることは否めません。

戦争は、メディアが活躍する場面のひとつであり、報道機関はできるだけ自由に報道を行いたいと考えますが、政府はメディアを自国に都合のいいように利用・管理することを望んでいます。

HISTORY CHANNEL/YouTube

プロパガンダの起源と現代への復活

プロパガンダという言葉は、1622年にカトリック教会によって設立された布教聖省(Congregatio de Propaganda Fide)から来ています。ラテン語の「propagare」(繁殖させる、種をまく)に由来し、その目的は非カトリック諸国でカトリック信仰を広めることでした。

1790年代から、宣伝活動の意味でも「プロパガンダ」が用いられるようになりました。

第二次世界大戦後のアメリカでは、ナチス・ドイツのゲッペルスが展開した国際宣伝戦を「プロパガンダ」と呼ぶ風潮がありました。そのため、日本でもこの言葉は好ましくない印象を持ち、敬遠されるようになりました。

しかし、1989年のベルリンの壁崩壊や湾岸戦争、イラク戦争などの国際紛争が、衛星放送やインターネットを含む情報戦の側面を持つことから、プロパガンダという言葉が再び広く使われるようになりました。

HISTORY CHANNEL/YouTube

戦争プロパガンダの起源は超大国アメリカ

プロパガンダは、日本では「世論操作」や「大衆扇動」と訳されることが多い。北朝鮮の政府広報などは、まさにそのような「プロパガンダ」活動の一例と言えるでしょう。一般的にはナチス・ドイツが発明したというイメージが強いですが、実際にはその源流はPRが生まれたアメリカにあります。

The White House

戦争プロパガンダの起源 「クリール委員会」

プロパガンダは、第一次世界大戦時にアメリカのクリール委員会によって始められた戦争プロパガンダが最初とされています。

ウィルソン大統領直轄のもと、クリール委員会は「この戦争はデモクラシーで世界平和を実現するものだ」という戦争宣伝を展開しました。この宣伝活動により、プロパガンダという言葉は、宣教・布教という語彙から一変し、悪い意味で「宣伝」という意味が付与されるようになりました。

National WWI Museum and Memorial/YouTube
戦争は国家の全てを賭けた総力戦に突入

第一次世界大戦は、多くの国々を巻き込み、一般国民の生活にも深刻な影響を与えました。この戦争は、初めての総力戦として、国家が軍事力だけでなく経済力や国民の心をも動員し、戦争に全力で取り組みました。前線の兵士に限らず、銃後の国民も戦争に動員されることで、戦争は一層広範囲にわたる影響を及ぼしました。

British Pathé/YouTube
驚異的な戦死者数の背後にある要因

第一次世界大戦は、戦争の様相を一変させる新兵器が投入されることが特徴でした。毒ガス、戦車、飛行機などの革新的な兵器が前線で使用され、戦術や戦場の状況が劇的に変化しました。これらの新兵器の登場によって、戦死者数も従来の戦争とは比較にならないほど増加しました。

ドイツとロシアはそれぞれ約170万人の戦死者を出し、最も多くの犠牲者を出した国となりました。また、フランスは136万人、オーストリアは120万人、イギリスは90万人、アメリカは12万6000人という犠牲者数が報告されています。

この戦争によって明らかとなった新兵器の影響とその犠牲は、戦争の残虐性と非人道性を一層強調することになりました。

War Archives/YouTube
国民の支持と敵対国の戦意低下を狙ったプロパガンダ

第一次世界大戦は、軍事力と経済力を投入した総力戦が展開される中、各国の国民に自国の戦争遂行への積極的な貢献が求められました。参戦国は、国民の士気を高めることに加えて、敵対国の国民の戦意を低下させることが戦略上重要であると認識し、直接参戦していない国の支持も得ようと試みました。

このような背景から、参戦国は積極的な広報宣伝活動を展開しました。これには、新聞やポスター、映画などの当時のマスメディアを用いて自国の主張を伝え、敵国の非難やデマを拡散させるプロパガンダ戦術が含まれていました。

戦争行為における不可欠な要素

プロパガンダは、戦争行為の中で中軸的な地位を占めるようになり、政府や軍の意思決定に深く関与するようになりました。外交、軍事、諜報、国内政治などの様々な分野で、プロパガンダは不可欠な要素として扱われるようになりました。

それは“心理戦争”と呼ばれた

心理戦争(Psychological Warfare)とは、敵国の戦意を低下させるためや味方の士気を高めるために、情報を操作・拡散する戦術のことです。第二次世界大戦期における心理戦争は、主にLinebargerが提唱した「ブラック・プロパガンダ」、「グレー・プロパガンダ」、「ホワイト・プロパガンダ」の三つの類型に分類されています。

  1. ホワイト・プロパガンダ:真実の情報を効果的に広めることを目的としています。公然と行われ、発信元が明確であり、情報の信憑性が高いものが含まれます。
  2. グレー・プロパガンダ:発信元が曖昧であり、情報の真偽が不確かなものです。発信元が敵国であるとの認識を避けるため、ある程度の信憑性がある情報と組み合わせられることが多いです。
  3. ブラック・プロパガンダ:嘘や不正な情報を広めることを目的としており、敵国に混乱や恐怖を与えることが狙いです。発信元は偽装され、相手に悪影響を及ぼすための情報が含まれます。
PeriscopeFilm/YouTube
嘘を発信する「ブラック・プロパガンダ」はバレると逆効果

第二次世界大戦時の英国におけるラジオ・プロパガンダは、ホワイト・プロパガンダとブラック・プロパガンダの二つのタイプに大別されました。ホワイト・プロパガンダは発信元を正確に明示し、主にBBCが担当しました。一方、ブラック・プロパガンダは発信元を偽装し、研究ユニット(Research Unit:RU)と呼ばれる放送局が担当しました。

ブラック・プロパガンダには虚偽性を見抜かれる問題がありました。特に、RUがドイツ当局に見つからずにドイツ国内からの放送であるという設定を維持することが困難でした。そのため、聴取者の説得が難しくなる問題が生じました。

「グレー・プロパガンダ」の場合はバレても言い訳ができる

これを解決するために、架空の設定を放棄しながらも発信元を明示しないグレー・プロパガンダが考案されました。ドイツや占領下の地域では外国語放送の聴取に厳しい罰則があったため、たとえ聴取者が英国からの放送であることに気づいても、発信元が明示されないグレー・プロパガンダが聴取が発覚した際の言い訳を提供する役割を果たすことができました。これにより、プロパガンダの効果を高めることができたと考えられます。

戦争プロパガンダとメディアの影響力

メディアを通じて流された戦争プロパガンダは、戦争において国民の意識形成や士気鼓舞に大きな役割を果たしました。映画、アニメ、音楽、ポスター、広告などこれらのメディアは国家や政府が戦争を支持させるための情報発信ツールとして活用されました。

プロパガンダ・リーフレット(宣伝ビラ)のタイプとその目的

戦時に作成される宣伝ビラは、英語ではプロパガンダ・リーフレット(Propaganda leaflet)と呼び、日本では中国語起源の「伝単」、または「謀略ビラ」と呼ばれます。戦時宣伝ビラは、その対象と目的から大きく三つのタイプに分かれます。

  1. 敵国の軍や市民を対象としたビラ このタイプのビラの主な目的は、敵の士気を低下させ、投降を促し、捕虜になった敵兵を慰撫することです。
  2. 敵軍が占領している地域の住民や中立国の人々を対象としたビラ 敵軍への非協力を呼びかけ、爆撃時に避難するよう呼びかけるのが主要な目的です。
  3. 敵軍の手に落ちた味方の兵士や市民を対象とするビラ このタイプのビラの目的は、味方の兵士や市民を励ますことで、彼らに希望を与えることです。

戦時宣伝ビラは、戦争の状況や目的に応じてさまざまな形で活用され、敵味方双方の心理を操る有効な手段となっています。戦時宣伝ビラは、情報戦の一環として重要な役割を果たし、戦局や戦争の結果に影響を与えることがあります。

PeriscopeFilm/YouTube
戦時期におけるプロパガンダ・ポスター

「プロパガンダ」は、政治思想の浸透や拡散を目的に実行される宣伝活動です。プロパガンダ・ポスターは、このような目的を遂行するために製作されたポスターのことを指します。戦時期の日本では、帝国政府や軍を依頼主として、大判で色鮮やかな多種多様なプロパガンダ・ポスターが大量に製作されました。

 ソ連のプロパガンダ・ポスターで特別な位置を占めていたのが軍人だ。内戦時のポスターは赤軍に加わって革命のために戦うことを呼び掛けた。後には軍の力や戦争の英雄を讃えるポスターが現れた。第二次大戦下、ロンドン大空襲に備えて作られた文字だけのポスター「平静を保ち、普段の生活を続けよ」は苦難を乗り越える気構えを醸成した。

 ソ連のプロパガンダ・ポスターで特別な位置を占めていたのが軍人だ。内戦時のポスターは赤軍に加わって革命のために戦うことを呼び掛けた。後には軍の力や戦争の英雄を讃えるポスターが現れた。第二次大戦下、ロンドン大空襲に備えて作られた文字だけのポスター「平静を保ち、普段の生活を続けよ」は苦難を乗り越える気構えを醸成した。

これらのプロパガンダ・ポスターは、国民の士気を高めるために、勝利を信じさせるメッセージや愛国心を鼓舞するイメージが描かれていました。その結果、感化された国民は戦争の続行を支持し戦い続けました。

HISTORY/YouTube
世界一有名なプロパンガンダ・ポスター

「アンクル・サム」の募兵ポスターは、アメリカで最も有名なプロパガンダポスターの一つです。このポスターに描かれた、星柄のシルクハットをかぶった目つき鋭い男性は、「アンクル・サム」と呼ばれ、アメリカ合衆国(=The United States of America)のシンボルとして広く知られています。

ポスターには、彼が直接見る者を指差し、「軍隊は君が必要だ」という言葉が添えられており、アメリカの国民を戦争に動員することを目的としていました。

このアンクル・サムのポスターが初めて登場したのは、1916年6月6日に発行されたLeslie’s Weeklyの表紙でした。こ

の時期はちょうど、アメリカが第一次世界大戦に参戦する直前であり、「いざというときのために何ができるか?」という問いかけが国民に向けられました。以降、アンクル・サムの募兵ポスターは定番化し、今日でも世界的に有名なポスターとなっています。

Uncle Sam I Want You - Poster
映画やアニメで好戦意欲を煽った「プロパガンダ映画」

戦時において映画は間接的な兵器となりました。映画というメディアは、視覚的に魅力的で感情を訴えることができるため、プロパガンダの手段として非常に効果的でした。

映画は人間の捉え方、すなわち表象を変え、理性よりも感情を刺激することで、政策や国家行事の宣伝、戦争の士気向上、思想統制などの目的に利用されました。

第二次世界大戦中、ハリウッドはアメリカの戦争遂行を支援するため、敵国であるドイツや日本への戦意を高める映画を製作しました。これらの映画は、アメリカの価値観や自由主義を強調し、敵国を悪として描くことで、アメリカ国民の団結を促し、戦争への支持を強めることを目的としていました。

また、これらの映画は映画の持つ魅力を最大限に引き出すことで、観客に対してメッセージを効果的かつ強力に伝えることができました。

戦時プロパガンダ映画は、当時の社会状況や政治情勢を反映しており、歴史的文脈を理解する上で重要な資料となっています。しかし、その一方で、これらの映画には偏見やステレオタイプが含まれていることも事実であり、その点を念頭に置くことが重要です。

Warner Bros. Entertainment/YouTube
ディズニーによるプロパガンダアニメ

ディズニー・スタジオは第二次世界大戦中に戦争プロパガンダアニメーションを制作していました。『空軍力による勝利(原題:Victory Through Air Power)』はその一つで、アメリカの空軍力と戦略爆撃の重要性を訴える作品でした。

ウォルト・ディズニーは、この作品を自らの意志で政府や軍に提供しました。映画の内容は、日本の都市への大量の爆弾投下をアニメーションで描いており、最後に星条旗がたなびくシーンで終わります。

この映画は英国のチャーチル首相にも感銘を与え、彼はアメリカのルーズヴェルト大統領との会談でこの映画を話題にしました。その後、英国軍は「ディズニー爆弾(Disney Bomb)」という爆弾を開発し、実戦で使用しました。

1945年の東京大空襲に、この映画がどの程度関与しているかは定かではありませんが、映画評論家の町山智浩氏は、その影響はゼロではないと述べています。この事実は、ディズニーが現在持つ「夢と魔法」のイメージとはかけ離れたものであり、歴史的な文脈の中で理解することが重要です。

PeriscopeFilm/YouTube
ディズニーがナチスを批判

『総統の顔(Der Fuehrer’s Face)』は、1943年に制作されたドナルドダックが主役の短編アニメーションで、ナチスドイツを批判・風刺するプロパガンダ要素が含まれています。

この作品は、ドナルドダックがナチスドイツの兵士として働く悪夢を見るというストーリーで、ナチスの象徴であるハーケンクロイツやアドルフ・ヒトラーの肖像などが登場します。

作品は、ナチスドイツの圧政やその国民の生活の厳しさを風刺するとともに、アメリカ国民に対して自由と民主主義の価値を再認識させるメッセージが込められています。

この作品は、第15回アカデミー賞のアカデミー短編アニメ賞を受賞し、戦時中のプロパガンダアニメーションとして大変な成功を収めました。

Kevin Campigotto/YouTube
日本のプロパガンダアニメ「桃太郎海の神兵」

『桃太郎の海鷲』(1943年)と『桃太郎海の神兵』(1945年)は、日本の戦時中のプロパガンダアニメーションで、瀬尾光世が演出を務めました。

『桃太郎の海鷲』は、真珠湾攻撃をモチーフにした国策アニメーションで、日本の勝利を讃え、戦意を高めるために作られました。『桃太郎海の神兵』は長らく幻の作品とされていましたが、1984年に倉庫から発見されて話題となりました。

これらの作品では、白人に対するステレオタイプを体現した登場人物が登場します。これは、戦時中のアメリカのアニメーションが日本人を人種差別的に描写していたことの裏返しであり、日本側も敵国をステレオタイプ化して描写することで、国民の敵意や闘争意欲を煽る狙いがあったと考えられます。

両国のプロパガンダアニメーションは、戦争の状況や国民の心理を映し出す鏡のような存在であり、その歴史的価値は大変高いものがあります。

Shah Jahan/YouTube
プロパガンダ音楽

プロパガンダ音楽とは、政治的、社会的、または民族的な目的や理念を宣伝し、人々の意見や感情に影響を与えることを目的として作られた音楽です。プロパガンダ音楽は歴史的に様々な形で現れており、戦争時には特にその効果が顕著に現れます。

第一次世界大戦や第二次世界大戦時には、各国で戦争を支持する音楽が作られ、愛国心を煽り、国民の士気を高める目的で広く流布されました。その中には、明るく快活な行進曲、感動的な歌、勇敢な戦士を称える歌詞の曲などが含まれます。また、プロパガンダ音楽は政治指導者や政治体制を称賛する目的で作られることもあります。

以下に、いくつかの代表的なプロパガンダ音楽を紹介します。

  1. 第一次世界大戦期の音楽:
    • “Over There”(アメリカ): ジョージ・M・コーハンが作曲し、アメリカ軍人たちが戦う姿を歌った曲。
    • “Pack Up Your Troubles in Your Old Kit-Bag”(イギリス): イギリスの兵士たちの士気を高めるために作られた曲。
  2. 第二次世界大戦期の音楽:
    • “Lili Marleen”(ドイツ): ドイツ軍や連合国軍の兵士たちに人気があり、両陣営で共感を呼んだ曲。
    • “We’ll Meet Again”(イギリス): ヴェラ・リンが歌ったこの曲は、イギリス国民に希望と慰めを与える存在となりました。
  3. 社会主義・共産主義国の音楽:
    • “国際歌”(フランス): 社会主義・共産主義の運動において国際的な賛歌として使われた曲。
    • “ソビエト連邦の歌”(ソビエト連邦): ソビエト連邦の国歌で、社会主義と団結を賛美しています。
  4. ナチス・ドイツの音楽:
    • “ホルスト・ヴェッセル歌”(ドイツ): ナチ党の党歌で、ナチス・ドイツ時代に広く歌われました。
    • “Erika”(ドイツ): ドイツの軍歌で、ドイツ兵士たちの愛国心や友情を描いています。
  5. ベトナム戦争期のプロテスト・ソング:
    • “Blowin’ in the Wind”(アメリカ): ボブ・ディランが歌った反戦歌で、ベトナム戦争に対する抗議の象徴となりました。
    • “Fortunate Son”(アメリカ): クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルが歌った曲で、ベトナム戦争への反対を訴えています。
LBB/YouTube
LBB/YouTube
SPH/YouTube

20世紀はプロパガンダの世紀

20世紀は、まさにプロパガンダが広く用いられた時代であり、映画、絵画、音楽、ポスターなどの様々な表現手法を通じて、人々の心に訴える力強いメッセージが伝えられました。世界的な政治的変革や軍事的な紛争が頻繁に起こるこの時代において、プロパガンダは国家や組織の意図を効果的に伝えるための強力なツールだったのです。

戦争はプロパガンダを駆使するハイブリット戦に突入

SNSやインターネットが発達した現代において、ハイブリッド戦や情報戦が戦争の構成要素として重要な役割を果たしています。従来の戦場での勝利だけではなく、プロパガンダや世論戦などの情報戦においても勝利しなければ、全体としての戦争の勝利は難しくなっています。

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