《日本三大桜》推定樹齢1,800〜2,000年!!神話の時代から現代に花を咲かせる神秘の桜「山高神代桜」

《日本三大桜》推定樹齢1,800〜2,000年!!神話の時代から現代に花を咲かせる神秘の桜「山高神代桜」

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桜は、底知れぬ魅力をもっています。けっこう知っているつもりでも、どのように育ち、咲き、実をつけ、枯れるのかをあらためて見ていくと、想像もしなかった事実や歴史に出合えるでしょう。そこで本書では、生き物としての桜を20年以上研究している著者が、その知られざる面を中心に、50のトピックスにまとめました。現地調査やDNA分析、歴史的資料とともに「科学的な謎解き」を楽しみつつ、「新しい桜の見方」に触れられる1冊です。(「BOOK」データベースより)

ZINDAI SAKURA

 日本三大桜「山高神代桜」

GreenNova TV/YouTube

山高神代桜(やまたかじんだいざくら)は山梨県 北杜市大津山 實相寺(実相寺)境内にそびえる桜です。

福島県の三春滝桜・ 岐阜県の根尾谷淡墨桜・山梨県の山高神代桜と並んで、日本三大桜としても知られています。

山高神代桜を守り伝えてきた寺「大津山 實相寺」

kazusajin/YouTube

大津山實相寺は、山梨県北杜市にある古刹で、山高神代桜を守り伝えてきました。寺院は日蓮宗の総本山である身延山久遠寺の直末寺として、南北朝時代の永和元年(1375年)に日應上人によって開創されました。日應上人は身延山第五世法主の日台上人の弟子であり、山内の塔頭・鏡円坊の第四世を歴任しました。

永禄四年(1561年)に武田信玄から永代祈願所として寄進を受け、寺院は現在の場所に移転しました。境内地は武田家支流の一条氏の城跡であり、その末裔である山高氏の領地でした。山高氏は後に旗本となり、朱印状が送られて寺領が安堵されました。江戸時代には、大伽藍を有する日蓮宗の道場として栄えました。

現在も大津山實相寺は、山高神代桜とともに多くの人々に親しまれており、その歴史と伝統が継承されています。

日本で最古・最大級の歴史を見守るエドヒガン!!

Yamataka Jindai Sakura

山高神代桜は、樹高約10.3m、根回り約11.8mは日本で最古・最大級のエドヒガンザクラです。

推定樹齢1,800〜2,000年!!

推定樹齢が1,800年から2,000年とも言われる非常に古い桜の木で、その長い歴史の中で、折れたり割れたりしても立ち上がり、立ち直り、約二千年間花を咲かせ続けてきました。

その美しさと持続性は、人々に感動を与え、尊敬の念を抱かせます。山高神代桜は、日本の桜の象徴であり、自然の力と生命力を表しています。観光客が訪れるだけでなく、地元住民にも大切にされているこの桜は、日本の文化や伝統を引き継ぐ重要な存在です。

見頃は毎年4月上旬から中旬

ウェザーニュース/YouTube

山高神代桜の見頃は、毎年4月上旬から中旬にかけてです。開花後、満開の状態が続く期間はおおよそ1週間から10日前後とされています。ただし、気象条件や年によって開花時期や見頃が変動することがあるため、訪問前に最新の情報を確認することがおすすめです。

山梨県北杜市の実相寺境内にある山高神代桜は、春の訪れを感じさせる美しい桜の花が楽しめる観光名所として知られており、多くの観光客が訪れます。花見のシーズンには、地元のイベントやお祭りも開催されることがありますので、桜を楽しみながら、地域の文化も体験できることが魅力です。

名前は神話の時代から!!

山高神代桜に関する伝説では、西暦24年に日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東夷征定の折りにこの地に留まり、記念にこの桜を手植えしたとされています。この伝説が山高神代桜の名前の由来となっていると言われています。

日本武尊は、古代日本の英雄であり、日本神話にも登場する人物です。

「妙法桜」とも呼ばれる

山高神代桜には、鎌倉時代に日蓮聖人が訪れた際のエピソードも伝えられています。日蓮聖人は、この地を訪れたときに、桜の衰えを見て憂い、樹勢回復を祈願しました。その結果、桜は再生し、見事な姿に戻ったとされています。この伝説にちなんで、山高神代桜は「妙法桜」とも呼ばれています。

日蓮聖人は、日蓮宗の開祖であり、日本の仏教に大きな影響を与えた人物です。

天然記念物第1号に指定!

1922年(大正11年)に、山高神代桜は国の天然記念物第1号に指定されました。

そして、同時に指定を受けた根尾谷淡墨桜・三春滝桜とともに「日本の三大桜」と呼ばれるようになりました。

また、当時の山高神代桜は、高さ13.6m、枝張り東西27.0m、南北30.6m、高さ1.5m地点の幹回りは10.6m、の巨木でした。

「新日本名木百選」

Japan Landscape Hunter/YouTube

平成2年(1990年)には、山高神代桜は「新日本名木百選」にも指定されました。これは、日本の名木を選定し、保護や活用に役立てることを目的としたプロジェクトで、山高神代桜もその価値が認められました。

幾度となく自然災害に遭遇しても、山高神代桜は生き延びてきました。最盛期の大きさに比べると現在は小さくなったものの、高さ約10メートル、東方に太く力強い枝を伸ばし、周囲約12メートルもあります。それらを支える幹の姿からは、「生命」を感じさせてくれます。

神代桜だけじゃない!?様々な貴重な桜が咲く!!

古賀茂/YouTube

實相寺境内には、神代桜以外にも全国各地の有名な桜の「子孫木」が植えられており、それらもまた美しい景観を提供しています。これらの桜は、それぞれの名所からもたらされた子孫であり、様々な種類の桜が見られることが寺の魅力の一つとなっています。

以下は、實相寺に植えられているいくつかの名桜の子孫です。

  1. 臥龍桜の子桜 – 福島県会津若松市にある臥龍桜の子孫で、古くから親しまれている桜の一つです。
  2. 身延山久遠寺しだれ桜の子桜 – 山梨県南巨摩郡身延町にある身延山久遠寺のしだれ桜の子孫で、枝垂れる美しい姿が特徴的です。
  3. 淡墨桜の子桜 – 岐阜県本巣市にある淡墨桜の子孫で、日本三大桜の一つに数えられています。
  4. 地涌の桜(宇宙ザクラ) – 宇宙に旅立ち、地球に戻った神代桜の子孫。無重力の影響を受けた桜の木がどのように成長するか、今後の展開が注目されています。

これらの名桜の子孫が一堂に会する實相寺は、桜の美しさを楽しむことができる貴重な場所として、多くの人々に愛されています。

桜と水仙のコントラストが美しすぎる…。
RAB TONIKS/YouTube

神代桜の見頃と同じ時期に、約8万本のラッパ水仙も咲き誇ります。足元に広がる鮮やかな黄色と、頭上に咲く桜の薄紅色が美しいコントラストを作り出し、春の訪れを感じさせてくれる光景です。この時期は、自然の美しさが一堂に会し、訪れる人々に感動と癒しを提供します。

宇宙にいった桜!!「宇宙ザクラ」

地涌の桜(宇宙ザクラ)は、神代桜の子孫であり、宇宙に旅立ち、地球に戻ったという特別な経験を持つ桜です。

2008年に日本の宇宙飛行士若田光一さんとともにスペースシャトルに乗り、国際宇宙ステーション「きぼう」で過ごしました。神代桜の種を地元の小学生が採取した118粒の種子が、約8ヶ月間の間、無重力の空間を旅行し、2009年7月に宇宙飛行士・若田光一さんと共に地球に帰還しました。

その後、地球に戻った種子を植えたところ、2粒が無事発芽し、そのうちの一粒が實相寺境内に植えられ、現在では花を咲かせるまでに成長しました。無重力の影響を受けた桜の木が、どのように花を咲かせるのか、今後の成長が楽しみです。

地涌の桜(宇宙ザクラ)は、その特別な経験を持つことから、實相寺を訪れる人々にとって、興味深い存在となっています。

復興の願いを込めて!宇宙桜を植えるプロジェクトを実施

東日本大震災が起きた2011年3月11日、岩手県大槌町は甚大な被害を受けました。津波によって被害を受けた同町立図書館の蔵書は泥にまみれてしまい、その中から発見されたのが日本画家の中島千波さんが描いた神代桜の版画でした。修復を試みたものの汚れがひどく、断念せざるを得ませんでした。

この経緯を耳にした中島千波さんが、同じ版画の寄付を申し出、2012年に満開の神代桜の下で贈呈式が行われました。また、神代桜の種子から育てた苗木も大槌町の復興・街づくり活動を行う団体「おらが大槌夢広場」に寄贈し、大槌町との交流が続いています。

さらに、一般財団法人ワンアースの「きぼうの桜」プロジェクトとして、東日本大震災で津波被害にあった地域に、宇宙桜(超長命で巨大化する日本各地の名桜の直系樹)を点々と植えました。これらの桜は、千年後まで風化しない復興のシンボルとして願いを込められています。神代桜の種子や苗木は、復興と再生のシンボルとして、被災地への支援や希望の象徴となっているのです。

神代桜の子桜たちは日本全国へ!そして世界に広がる!!

神代桜の子桜は、日本全国だけでなく、世界各地に植えられており、人々の心をつなぐ「縁」を築いています。国交記念事業などの機会に、神代桜の苗木が贈呈され、ハンガリー、オーストリア、イタリアバチカン、イタリアサンマリノ、ポーランド、オーストラリア、ベトナム、台湾など、世界各地に「絆の種」が広がっています。

平成20年には、オーストリアのザルツブルク出身の指揮者カラヤンの生誕百年記念事業で、彼が愛した桜の植樹が計画され、他の三大桜の苗木とともに神代桜の苗木がオーストリアに渡りました。

山高神代桜を救え!「樹勢回復プロジェクト」

神代桜の樹勢衰退は、過去700年前にさかのぼるとされ、回復を目指す試みは昭和時代にも行われましたが、劇的な改善は見られませんでした。昭和10年頃までは、樹勢は安定していましたが、その後枯れ始め、昭和34年には台風で被害を受けました。昭和59年には、樹勢衰退に伴い屋根付きの櫓が架けられました。

平成13年(2001年)には、樹勢回復調査検討委員会が組織され、根元周りの石積みと盛土が行われたことが判明しました。しかし、盛土によって酸素供給が乏しくなり、ネコブセンチュウが繁殖し、瀕死の状態に陥りました。

樹勢回復工事が平成15年(2003年)から始まり、根元周りの土を入れ替えて根圏環境を改善しました。その結果、平成16年(2004年)には新枝が伸び、葉の枚数が増え、根の発根量も増加し、樹勢回復が認められました。保護用の屋根は平成18年(2006年)に撤去されました。

平成20年(2008年)から21年(2009年)にかけて、本桜を含む14種の花の種が宇宙での無重力状態の影響を調べるため、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」に滞在させられました。帰還後発芽したのはわずか2粒で、うち1本が宇宙桜として公開され、2010年(平成22年)に発芽し、2012年(平成24年)春に初開花しました。

宇宙桜の2世樹は、東日本大震災からの復興のシンボル「きぼうの桜」として、岩手県洋野町、福島県楢葉町、福島県浪江町、富岡町、福島県飯舘村、宮城県名取市に贈呈・植樹されています。

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桜は、底知れぬ魅力をもっています。けっこう知っているつもりでも、どのように育ち、咲き、実をつけ、枯れるのかをあらためて見ていくと、想像もしなかった事実や歴史に出合えるでしょう。そこで本書では、生き物としての桜を20年以上研究している著者が、その知られざる面を中心に、50のトピックスにまとめました。現地調査やDNA分析、歴史的資料とともに「科学的な謎解き」を楽しみつつ、「新しい桜の見方」に触れられる1冊です。(「BOOK」データベースより)
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