超巨大積乱雲スーパーセルの正体とは?竜巻や集中豪雨を引き起こす危険な雲の特徴を解説【気象】

本記事では、天候現象の中でも特に危険な「スーパーセル」について解説します。積乱雲の中で強い上昇気流が維持され、非常に大きな雲が形成されるため、竜巻や大雨、大風を引き起こすことがあります。そのため、スーパーセルが予測された場合には速やかに安全な場所に避難することが重要です。

本記事では、スーパーセルがどのようにして発生するのか、どのような特徴があるのか、そしてスーパーセルが引き起こす竜巻や大雨、大風の危険性について詳しく解説します。また、積乱雲の発生時には雷による感電や突風による物体の飛散などの危険性もあるため、注意が必要です。

本記事を参考にして、スーパーセルに対する理解を深め、天候の変化に対する適切な対応を心がけましょう。

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アメリカ中西部の街シルバートン。この日、ゲイリーが教頭を務める高校では卒業式が行われようとしていた。一方、竜巻の撮影に執念を燃やすストーム・チェイサー・チームのメンバーで気象学者のアリソンは、シルバートンの気象状況にかつてない巨大竜巻の可能性を見出すが…。複数の巨大竜巻が合体して“超巨大竜巻”と化す未体験の超常現象を描くパニック作品。(「Oricon」データベースより)

Supercell

「スーパーセル」

Drone Business School/Vimeo

雲の世界のキング・オブ・キングス。それが「スーパーセル」です。

セルってどういう意味?

一般的に「セル」という言葉は、積乱雲の「細胞」を意味することがあります。積乱雲は、暖かく湿った空気が上昇することで形成されますが、その際に細胞状に分かれることがあります。

積乱雲の細胞は、中心部分に強い上昇気流があり、周囲に沿って下降気流が存在する構造を持ちます。このため、積乱雲を飛行機や衛星写真で見ると、細胞のような模様になっているため、「セル」と呼ばれることがあります

Cumulonimbus
スーパーなセル=スーパーセル

通常の積乱雲の中でも特に強力なものを指して「スーパーセル」と呼ぶことがあります。

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「スーパーセル」の発生条件

スーパーセルが発生する条件の一つに、大気が不安定な状態であることが挙げられます。大気が不安定な状態とは、温度や湿度などの条件が上昇気流を引き起こす状態であることを指します。

このような状態で積乱雲が発生すると、上昇気流や下降気流が発生し、積乱雲の形状が変化します。しかし、風が強く、上昇気流と下降気流がうまく分離されると、積乱雲が組織化され、スーパーセルに発達することがあります。

ANNnewsCH/YouTube

長時間猛威を奮い続ける

通常の積乱雲は30分程度で寿命を迎えますが、スーパーセルは違います。

スーパーセルでは、上昇気流が中心部分で発生し、周囲に沿って下降気流が存在します。このため、上昇気流が下降気流に干渉されることが少なく、長時間維持されることができます。また、上昇気流と下降気流がうまく分離されることで、スーパーセルの形状が安定化し、寿命が長くなるとされています。

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特徴的な形「丸天井」

スーパーセルの上昇気流は非常に強く、雨粒が地上に届く前に上空まで運ばれるため、地上には降水粒子が少ない領域が形成されます。この領域は、通常の積乱雲のような平らな天井ではなく、かまぼこ型の天井(ヴォールト)を持つことがあります。このかまぼこ型の天井を「丸天井」と呼びます。

丸天井は、スーパーセルが引き起こす豪雨や竜巻などの危険な現象と密接に関係しています。丸天井によって、地上に降り注ぐ雨量が局所的に増加することがあり、豪雨や洪水などの被害を引き起こすことがあります。また、丸天井は竜巻の形成にも関与しており、竜巻が発生する場合には、通常は丸天井が形成される領域に近づくことが多いとされています。

GR2Analyst Screenshot - 3D Reflectivity

【危険】近年の日本でも「スーパーセル」が起きている!?

地球が温暖化すると、地表付近が暖まり、上空との温度差がより大きくなるため、爆弾低気圧が発生。

爆弾低気圧は、短時間で気圧が急激に下がる現象で、スーパーセルの発生に重要な要素の一つだ。スーパーセルが発生すると、強い上昇気流や下降気流が発生し、巨大竜巻や雷雨がゲリラ的に発生することがあります。

seaveland/YouTube
日本でも警戒さてている

温暖化が日本にもたらす影響として懸念されているのは、巨大積乱雲(スーパーセル)である。気象庁気象研究所室長の加藤輝之氏は、温暖化が進んだ今世紀後半を想定し、スーパーセルの発生頻度を推計している。その結果、今までほとんど発生していなかった北海道では3倍、東北では2倍と比較的高い頻度で発生する可能性があると考えている。

https://youtu.be/us61O7_H5WQ
bluewind303/YouTube
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魅惑的な写真で世界中の人気を博す2人のストームチェイサーがとらえた荘厳でときに破壊的なストームの写真340枚をオールカラーで紹介した決定版。(「BOOK」データベースより)

Severe Weather

スーパーセルが引き起こす異常気象

Mike Olbinski/YouTube

スーパーセルは、非常に強い上昇気流や下降気流を伴う積乱雲の一種であり、竜巻や集中豪雨などの異常気象を引き起こすことがあります。

異常な天候状態「シビア・ウェザー」

「シビア・ウェザー」は、通常の天候状態とは異なる、極端な天候状態を指す言葉です。スーパーセルが引き起こす竜巻や集中豪雨などの異常気象も、「シビア・ウェザー」と呼ばれることがあります。

TEMPEST GALLERY STORM/YouTube

数キロの超強大な渦「メソサイクロン」

「メソサイクロン」は、スーパーセルや巨大な積乱雲の中の上昇気流を中心とした直径2~10キロメートルの低気圧性に回転する渦のことを指します。メソサイクロンは、竜巻や集中豪雨などの異常気象を引き起こすことがあり、特にスーパーセルを伴う場合には非常に強い影響を与えることがあります。

Mesocyclone
メソサイクロン

メソサイクロンは、スーパーセルの中で発生する低気圧性の渦を指します。スーパーセルが発生する上昇気流と下降気流の分離によって、直径2~10キロメートル程度のメソサイクロンが発生することがあります。

名称の由来は、「メソ」(中間)と「サイクロン」(低気圧)を合わせたもので、スケールが中程度であることと、低気圧性の回転を伴うことを表しています。メソサイクロンは、竜巻や集中豪雨などの異常気象を引き起こすことがあり、早期の予測や警戒が求められます。

Oliview Farm/YouTubet
様々な雲を作り出す

回転する上昇気流域(メソサイクロン)に伴って、ウォールクラウドやテールクラウド、雲底のアーチ雲や乳房雲、雲頂の多毛雲など、特徴的な形状の付随雲が現れることがあります。これらの付随雲は、スーパーセルの発生や進路を予測する上で重要な情報となります。

不気味すぎる異様な姿「ウォールクラウド(壁雲)」

壁雲は、発達した積乱雲の雲底に現れる低く垂れこめた雲のことを指します。壁雲は、スーパーセルに特によく現れ、回転する上昇気流域(メソサイクロン)が可視化した姿であるとされています。壁雲は、竜巻の発生兆候としても知られています。

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危険な気象現象が起こる前触れ

ウォールクラウドは、スーパーセルの中で回転する上昇気流と下降気流が引き起こす、特徴的な形状の付随雲の一つです。ウォールクラウドの中では、非常に強い上昇流と下降流が引き起こされ、これによって大雨や雷、突風、ひょうなどが発生することがあります。特に、ウォールクラウドが非常に強く発達している場合は、強い竜巻の発生が予想されることがあります。

テイルクラウド(尾雲)

テールクラウドは、スーパーセルの中で発生する付随雲の一つで、雲から横に長くのびた形状をしています。

Jason Montano/YouTube
気流が乱れている証拠

テイルクラウドの発生は、気流の乱れを表すものであり、テイルクラウドが断片雲として激しく上下動を繰り返している場合、突風や強い降雨などの異常気象が発生する恐れがあります。また、テイルクラウドが非常に長い場合は、スーパーセルの進路や回転の方向が変化することがあり、早期の警戒が必要です。

daryl herzmann/YouTube

巻き込まれたらまず助からない……。絶望的な超巨大竜巻

スーパーセルの中では渦が発生することがあり、積乱雲自体が回転することから竜巻を引き起こすこともあります。米国における統計調査によると、スーパーセル雷雨のうち、およそ30~50%で竜巻が発生するとされています。しかし、竜巻が発生する確率はスーパーセルのタイプや環境条件によって異なるため、予測が非常に難しい現象の一つとなっています。

Reed Timmer/YouTube
Reed Timmer/YouTube

普通に吹き荒れる台風レベル強風

スーパーセルが発生すると、局地的に非常に強い風が吹くことがあります。特に、竜巻が発生する場合や、スーパーセル雷雨が引き起こす突風の影響などが大きく、一時的に台風並みの強風が吹くことがあります。ただし、スーパーセル自体が台風と同じような広域に影響を与えることはありません。スーパーセルは局所的な現象であり、その影響範囲は数キロメートルから十数キロメートル程度とされています。

TSC Movie Channel/YouTube
ダウンバースト

ダウンバーストは、スーパーセルを含む積乱雲から急激に降り注ぐ強力な下降気流によって引き起こされます。その際、地表に達する前に空気が圧縮され、温度が急上昇して強力な風となって地上に吹き付けます。このような現象は、建物や人々に大きな被害をもたらすことがあります。また、マイクロバーストと呼ばれる小規模なダウンバーストもあり、その場合でも風速は30m/秒以上に達することがあります。

Facethewind/YouTube
ガストフロント

積乱雲が発達した際、発散する強い下降気流(ダウンバースト)と上昇気流の交差で、ガストフロント(陣風線や突風前線)が形成されます。突風は、水平の広がりが竜巻やダウンバーストよりも大きく、数十キロメートル以上に達する場合もあります。そのため、ガストフロント付近では激しい突風や雨が降り、気温が下がって涼しくなります。また、ガストフロントによって積乱雲が発達することもあります。

Canterbury Stormchaser

嵐の前兆!ドーム型の強大な雲

ドーム型の強大な雲は、スーパーセルによる壁雲や竜巻を発生させる兆候のひとつです。

Dan Robinson/YouTube
アーククラウド(アーチ雲)

ガストフロントにより発生する雲が、アーチ状に形成されることから「アーチ雲」と呼ばれますアーチ雲は、ガストフロントによって形成される特徴的な雲の一種であり、激しい天候現象を引き起こすことがあります。また、アーチ雲が現れたら、豪雨や落雷などの天候現象が起こる可能性が高いことから、注意が必要です。

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中小規模の竜巻ぐらいならどこでも発生「ガストネード」

スーパーセルが発生すると中小規模の竜巻だけでなく、ガストネードと呼ばれる突風性の旋風も発生する可能性があります。ガストネードは直径が数十メートル程度で、短時間で発生し、急激に消える特徴があります。ガストネードは竜巻と同様に危険な天候現象であり、周囲の環境や建物に被害をもたらすことがあります。

Will Wilkens/YouTube
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危険な雨「ゲリラ豪雨」

スーパーセルは非常に強い上昇気流を伴い、局地的かつ激しい降水をもたらすため、ゲリラ豪雨の要因となります。

ゲリラ豪雨は、急激な降雨が短時間で集中するため、道路の排水能力や河川の流量を超えることがあり、水害や土砂災害などの被害が生じることがあります。また、交通機関や生活インフラのストップ、住宅被害、電気やガスの停止など、生活に大きな影響を与えることもあります。ゲ

Piet Flosse/YouTube
supercell thunderstorm in montana
Brett.storm12weather/YouTube

当たったらまず無事では済まない!巨大な雹が降り注ぐ!

スーパーセルは非常に強い上昇気流を持つため、大きな雹が発生することがあります。このようなスーパーセルは「ヘイルストーム」と呼ばれることもあります。降り積もった大きな雹は、建物や車両に損害を与えるだけでなく、農作物にも被害をもたらすことがあります。

Scott McPartland – Extreme Weather Photography/YouTube

ここは地獄か!?おびただしい数の雷

強い放電活動を伴い、1つのセルから何万発もの落雷が発生することがあります。これは、上昇気流と下降気流が強く衝突し、氷の衝突によって電荷が分離されるためです。この強い放電活動は、雷災害の原因となる場合があります。

Pecos Hank/YouTube
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この雲を見たらすぐに逃げろ!「乳房雲」

「乳房雲」とは、スーパーセルの底部に現れる特徴的な雲の形状のことで、国際的には「Mammatus(マンマタス)」と呼ばれています。乳房雲は、スーパーセルの上昇気流と下降気流が衝突することで発生します。

乳房雲が発生すると、大気中の湿気が上昇し、雲が成長していきます。また、乳房雲が発生することで、雷や突風、竜巻などの天気現象が発生する可能性があります。特にアメリカでは、乳房雲がトルネードの前兆となることが多いため、注意が必要です。

Michael Berger/YouTube
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アメリカ中西部の街シルバートン。この日、ゲイリーが教頭を務める高校では卒業式が行われようとしていた。一方、竜巻の撮影に執念を燃やすストーム・チェイサー・チームのメンバーで気象学者のアリソンは、シルバートンの気象状況にかつてない巨大竜巻の可能性を見出すが…。複数の巨大竜巻が合体して“超巨大竜巻”と化す未体験の超常現象を描くパニック作品。(「Oricon」データベースより)

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