今回は、世界最大の哺乳動物であるザトウクジラのパフォーマンスをご紹介します。ザトウクジラは、その巨大さと美しさから、多くの人々を魅了しています。彼らが泳ぐ姿やジャンプする様子は、まるで夢のような体験です。
私たちは、彼らとの共存ができるように、彼らの生態系保全に向けた取り組みを行う必要があります。是非、あなたもザトウクジラのパフォーマンスに興味を持っていただければ幸いです。
Humpback whale
ザトウクジラって?
ザトウクジラ(学名: Physeter macrocephalus)は、世界中の海に生息する哺乳類の一種で、最大の歯鯨類の一つです。彼らは体長約12〜18メートルに成長することができ、体重は40〜50トンに達することがあります。
ザトウクジラは、全長の3分の1を占める非常に大きな頭部が特徴的です。彼らの頭部には、スプーツと呼ばれる器官があり、その中には千数百本の歯が収まっています。また、彼らの上下の顎には、フジツボに似た痕跡や刻まれた模様がありますが、隆起ではありません。
ザトウクジラの胸びれは、他のヒゲクジラ類のように長くはありません。ザトウクジラの背びれもなく、全体的には平たく、細長い体型をしています。彼らは、非常に大きな体と極端な深度で潜水することができる能力があることで知られています。
ヒゲクジラの一種“ザトウクジラ”
クジラは、86種に分類され、そのうち13種がひげ鯨、73種が歯鯨と分類されます。ザトウクジラは、ひげ鯨の一種であり、沖縄近海で観察された7種のうちの1種です。ひげ鯨は、プランクトンや小魚などをヒゲ板で濾し取って餌を摂取します。
海水をヒゲ板の間から排出し、餌だけを飲み込むことができるため、非常に効率的な餌の取り方をすることができます。
名前の由来は琵琶法師
ザトウクジラの和名の由来については、座頭と呼ばれる琵琶法師が演奏する琵琶の形状に似ているという説があります。座頭とは、琵琶法師の頭にかぶる帽子のことで、ザトウクジラの丸い頭部がこの帽子に似ていることから名付けられたとされています。
また、ザトウクジラの学名「Physeter macrocephalus」は、「大きな頭部を持つクジラ」という意味です。さらに、「メガプテラ(Megaptera)」という学名は、英語で「大きな翼」という意味で、ザトウクジラの巨大な胸びれに由来しています。
意外と短い?ザトウクジラの寿命
ザトウクジラの寿命は、一般的には45歳から50歳程度と考えられています。成熟したメスは、通常は3年ごとに妊娠し、妊娠期間はおよそ1年です。
出産後、母親は通常1年から2年間子育てを行い、授乳を続けます。ザトウクジラの繁殖力は比較的低く、成熟したメスが妊娠することができる期間は、年齢に応じて短くなります。また、繁殖年齢に達する前に、捕鯨やその他の要因によって命を落とすこともあります。
母乳で子育てをする哺乳類
ザトウクジラは、哺乳類に属する動物であり、赤ちゃんを出産してからは母乳を与え、子育てを行います。ザトウクジラの子供は、生後数か月間母親の乳を飲み、成長していきます。ザトウクジラの母乳は、高脂肪で栄養価が非常に高く、成長のために必要な栄養素を豊富に含んでいます。
女手ひとつで育てられる
ザトウクジラは、暖かい海水が多い温帯や熱帯の海域で子供を出産することが一般的です。授乳期間は、生後約5ヶ月間であり、この期間中に母親のミルクを飲んで成長します。子育ては、メスの役割であり、オスは全く子育てを行いません。また、メスは出産後、通常1年から2年間、子育てを行います。
また、母親は子供を保護するために、様々な方法を使用します。例えば、母親は子供を常に近くに置き、危険が迫ると一緒に逃げたり、攻撃してきた敵から子供を守るために自ら攻撃を行うことがあります。
この期間中は、子供を守るために、危険が迫ると母親は攻撃を行ったり、子供を常に近くに置いたりすることがあります。一方、オスは子育てには関わらず、独自の行動をとることが一般的です。
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哺乳類なので肺で呼吸!潜る前に空気を吸い込んでから!!
クジラは哺乳類であるため、空気を肺で呼吸します。彼らは鼻孔を頭頂部に持ち、通常は表面に上がって呼吸を行います。潜水すると、水圧が上昇し、肺の中の空気が圧縮されます。このため、クジラは肺の中の空気を、気管支や鼻道といった気管系の軟骨性供給管に送り込むことができます。クジラは、他の哺乳類と比較して非常に大きな肺を持っており、一度の呼吸で肺の中の空気の85%をガス交換することができます。また、クジラは長時間水中に潜っているため、息を止めて潜水することができます。しかし、息を止めている間は酸素が徐々に消費されるため、潜水時間は限られています。
子供のザトウクジラは、水中に潜る時間が5分から15分程度であり、成長して大人になると、45分程度の時間を水中に潜ることができます。また、ザトウクジラは、長時間水中に潜って酸素を消費するため、長い間息を止めることができます。最大で90分間以上も息を止めることができることが知られています。
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肺呼吸でも陸では生活はできない
クジラは陸上にあがると、身体の重さにより内臓が圧迫されて呼吸困難を起こすことがあります。クジラは、水中では浮力があり、身体の重さを支えることができますが、陸上では浮力がなくなり、自分の重さが直接身体にかかってしまいます。また、クジラは肋骨や胸壁が柔らかく、胸骨の連結も弱いため、陸上で身体を支えることができません。これらの理由から、クジラは陸上にあがることはできず、陸に打ち上げられた場合は、救助が必要になります。
実は“祖先”は陸で生活していた
クジラの最初の祖先は、約5000万年前の古第三紀に、古代地中海の河口付近の水辺で生活していたと考えられています。彼らは陸上で生活しており、今のカバのような環境下で暮らしていたとされています。その後、彼らは餌を求めて水中に進入し、徐々に水に適応するようになりました。進化の過程で、彼らは水中に生息するようになり、完全に水生の生活に適応するようになっていきました。これは、化石の研究から明らかになっています。今日では、クジラは水中での生活に特化して進化しており、陸上では生活することができません。
performance of humpback whales
圧巻のパフォーマンスの数々
ザトウクジラは、時に海上で様々な行動を見せてくれます。
クジラといえばまずは潮吹き!
クジラは、人間と同様に肺で呼吸を行います。彼らの鼻孔は、頭頂部にあり、通常は表面に上がって呼吸を行います。潮吹きは、クジラが呼吸をするために必要な空気を吐き出すときに発生します。クジラが鼻孔から水面に出たときに、口を閉じて鼻孔から空気を吐き出すと、高さ数メートルに及ぶ噴水が上がります。このように、潮吹きはクジラの呼吸の一部であり、クジラが水面に浮上して呼吸をするために必要なものです。
海面に浮上して息継ぎ「ブロー」
ザトウクジラは、鼻孔が頭頂部にあります。彼らは通常、水面に浮上して鼻孔から空気を吸い込みます。そして、鼻孔から息を吐き出すことで呼吸を行います。晴れて風のない日には、クジラが息を吐き出す「ブロー(潮吹き)」が6mもの高さにまで上がることがあり、離れた場所からでも見ることができます。ザトウクジラの潮吹きは、彼らの象徴的な行動の一つであり、多くの人々を魅了しています。
潮吹きは吐き出す息の時に発生する水蒸気
クジラの潮吹きで上がっているのは、海水ではなく、クジラの肺の中で温められた息が勢いよく海面上に排出された際に急激に冷やされて発生する水蒸気です。この水蒸気が白い霧のように見え、クジラの潮吹きとして知られています。この現象は、寒い日に私たちが吐いた息が白く見える原理と同じです。
見逃せないのが潜るその瞬間!
彼らは、体を水面から突き出し、しばらくその状態を維持します。そして、次の瞬間には、大きな尾びれを上げて水中に潜っていきます。その姿は迫力満点であり、多くの人々を魅了しています。
「ペダンクルアーチ」
背ビレがはっきりと見え、最後のブロー(息継ぎ)の後、クジラは水面高く身体をアーチ状にしながら潜水を開始する間際に見られる行動をペダンクルアーチと言います。
「フルークアップ・フルークダウン」
クジラが潜水する前に尾びれを水面に出し、水流を作るようなポーズを「フリック(fluke)」または「フルーク(fluke)」と呼びます。この行動は、クジラが潜水から浮上するときに体勢を整え、水を押し出すことで浮力を増やし、浮上する際の抵抗を減らすために行われると考えられています。フルークアップは腹側の模様を見せるとき、フルークダウンは見せない時を表します。また、この行動は、クジラ同士がコミュニケーションをする際にも用いられることがあります。
大迫力!ザトウクジラの大ジャンプ!!
「ブリーチ」とは、ザトウクジラが水面から飛び出すようにして飛び跳ねる行動のことを指します。水中から突然大きく跳び上がり、空中でしばらく滞空した後、水面に落下する様子は圧巻の迫力で、多くの人々を驚嘆させます。この行動は、クジラがコミュニケーションをとるためや、体表に付着している寄生生物を落とすため、あるいは身体をスッキリとさせるためなど、様々な理由が考えられています。また、クジラのブリーチは、その大きな体を空中で支えるために必要なエネルギーが膨大なため、身体を鍛えるための運動としても機能していると考えられています。
ブリーチング
ブリーチングは、背中から落ちる背面型、腹から落ちる腹打ち型のほか、横方向へジャンプして弧を描きながら落ちていく横飛び型など、多様な形態が存在します。理由については、多くの仮説が存在していますが、はっきりとした理由はまだ解明されていません。寄生虫の除去や、求愛行動、コミュニケーション、体のスッキリさせるためなど、様々な理由が考えられています。ただし、ザトウクジラのブリーチングは、クジラの大きな身体を空中で支えるために必要なエネルギーが膨大なため、身体を鍛えるための運動としても機能しているとされています。
バーン!!おもいっきり海面を叩きつける
スラップは、ぴしゃりという動作や言葉を用いてうつ事を意味する。
ヘッド・スラップ
ヘッドスラップは、ザトウクジラが獲物を狩るときや、メスが求愛行動をするときに見られる行動です。体の約3分の1を水面上に出し頭を叩きつけることで水中の響きを増幅させ、獲物を探知するために使うことができます。また、求愛行動では、メスがオスに興味を示すためにヘッドスラップをすることがあります。その際、オスは自分の大きさや力強さをアピールすることで、メスを誘います。
「ペクトラル・フィン・スラップ(ペックスラップ)」
クジラの遊びとして、胸ビレでピシャリと叩きつける行動をペクトラル・フィン・スラップといいます。この行動は、マギング中や、クジラたちがリラックスしている時などに見られます。胸ビレは約5mもあり、全長の3分の1を占めるため、かなりの迫力があります。
「テイル・スラップ」
「テールスラップ」とは、高く持ち上げた尾ビレを海面に叩きつける行動です。この行動によって想像以上のド派手な音と水しぶきが上がります。何度も繰り返すことでかなり迫力があります。この行動は自分の居場所を知らせ、他のクジラを威嚇する行動としても知られています。
「ペダンクル・スラップ」
テールスラップとペダンクルスラップとは、クジラの攻撃的な行動の一つである。テールスラップは尾ヒレの上下の運動を行うもので、ペダンクルスラップは尾ヒレの上下左右の運動を行うものである。ザトウクジラなどでは、繁殖期の雄が雌をめぐる闘いの中でこの行動を見せる事が多く、接近したシャチに向けて見せる事もある。
海面で逆立ち
尾びれを海面に突き出し、母鯨が逆立ちして休んでいる周りで小鯨が遊んでいる様子は、たまに見られる。母クジラは潜るわけでもテイルスラップするわけでもなく、ただ海面に逆立ちのまま。
「セーリング」
「セイリング」と呼ばれる行動を特徴としています。これは、尾びれを高く水面に出して、比較的長い時間をかけて行う行動で、風をつかむように見えるためそう呼ばれています。その理由は不明ですが、遊びなのかもしれません。この行動はザトウクジラでは珍しいがミナミセミクジラではよく見かける。
海の中でダンス♪「メイティング(求愛行動)」
ザトウクジラの求愛行動は、一夫多妻かつ一婦多夫型の組み合わせで行われます。発情期のメスを狙うオスは多数で、水面を胸ビレで叩いたり、仰向けになったり、頭を上にそらせてそのまま沈んでいく(ヘッドアップ)などの求愛行動を取ります。また、獲得争い、テリトリー争いなどが激しくなり、1頭のメスを数頭のオスが追いかけるブロー行動もあり、アクティブな求愛行動(メイティング)を行います。求愛が成功するとオスとメスが縦に並んで泳ぎ、胸ビレや尾ビレで叩き合いながら、共に深くもぐりそのまま互いのおなかをくっつけあって浮上し、水面から胸ビレあたりまで姿を現した後、共に水面へと倒れこむしぐさも見られます。
今から私ザトウクジラが……歌います!!
ザトウクジラのオスは、低い周波数で繰り返される音やメロディを使ってメスを引きつけるための歌をうたうことが知られています。
これらの歌は、「ソング」と呼ばれ、数km離れたところでも聴くことができ、繁殖期に単独で行動しているオスのみが歌い、何時間も続くこともあります。このオスを「シンガー」と呼んでいます。
ザトウクジラの歌は、唸り声や鳴き声などが「単位」として組み合わされて「句」が作られ、それを繰り返し歌うことで「旋律」を構築し、さらに、複数の「旋律」が組み合わされて最終的な「楽曲」となるという規則性があります。
他のクジラとは異なり、繁殖する地域によって歌い方にも特徴があると言われており、歌を真似して繁殖を成功させようとするクジラもいるそうです。
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周囲の安全ヨシ!
ザトウクジラは、海上でもある程度の視力を持っているとされています。これは、彼らが海上で、目の位置まで頭部を突き出し、他所を伺うようにすることから明らかになっています。
「スパイホップ」
「スパイホップ」という動きは、水面からにょきっと顔を出し、30~180度グルりと体を回転させながら沈んでいくものです。ブリーチのように勢いよく海面にでるのではなく、静かに海面に顔が出てきて、位置の確認や周りの状況を把握しながら沈んでいくのだと思われます。
見れたらラッキー!!?魚を一網打尽!!
エンガルフフィーディングとは、ザトウクジラが口を大きく開いて大量の水とともにエサ生物を飲み込む行動の事。
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「バブルネットフィーディング」
ザトウクジラは、“バブルネットフィーディング”という独特の漁を行うことで知られています。
みんなで協力して泡で魚の群れを取り囲む
数頭から数十頭の群れを成し、魚の群れを円を描くようにまわりながら泡を吐き出して一ヶ所に追い込みます。その上で、ヒレを使いながら取り囲み、魚群の下から一匹の鯨が大きな声を発しパニックになった魚を追い上げます。また、別の鯨が泡を出して旋回し、バブルネットを作り、魚の群れを閉じ込め、最後には全ての鯨が大きな口をあけて海面へと飛び出し、一気に捕食するのです。
ザトウクジラ休憩中!「フリッパーフロップ」
フリッパーフロップは、リラックスしている時に見られる行動です。両胸鰭を空中に出してぶらぶらとゆするとともに、両手を上にあげバタバタさせます。