《地球温暖化》地球温暖化の最悪シナリオ!ホットハウス・アースがもたらす人類滅亡の未来

気候変動がもたらす「ホットハウス・アース」シナリオについて、オーストラリアのシンクタンクが報告書を公表しました。

2050年までに地球全体の平均気温が3度以上上昇した場合、人類の文明は終焉に向かう可能性があると予測され、世界中で熱波や水不足などの深刻な環境問題が発生すると警告されています。

記事では、ホットハウス・アースシナリオにおける異常気象や海面上昇の影響に加え、気候変動に関する専門家の見解やパリ協定の目標についても解説しています。

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地球温暖化を「逆転」させる具体的な方法を示した、世界が注目する唯一の書。 食品の生産から消費まで、再生可能エネルギー、環境保全型農業、電気自動車、教育、水、森林、ネットゼロエネルギービルをカバー。 水素-ホウ素核融合、ハイパーループ、微生物農業、スマートグリッド、二酸化炭素の直接空気回収など、20の革新的な技術も紹介。 世界13の言語に翻訳! NEWYORK TIMESベストセラー。(「山と溪谷社」より)

Hot House Earth

人類滅亡のシナリオ

World Economic Forum/YouTube

2019年5月、豪メルボルンの独立系シンクタンク「ブレイクスルー(Breakthrough-National Center for Climate Restoration)」が、今後30年の気候変動にまつわるセキュリティリスクをシナリオ分析した結果を報告した。

報告書には、2050年には地球全体の気温が3度以上上昇した場合、以下のようなシナリオが予測されています。

  • 55%以上の世界人口が、年に20日以上の熱波にさらされ、生命に危険が及ぶ
  • 食料生産量が大幅に減少し、水不足が深刻化する
  • 10億人以上が他の地域への移住を余儀なくされる
  • 経済活動が鈍化し、多数の企業が倒産する
  • 政府の機能が弱体化し、治安が悪化する
  • 戦争やテロ活動などの紛争が頻発する

このようなシナリオが実現した場合、人類の文明は終焉に向かう可能性があるとされています。

人類は生存不可能「ホットハウス・アース・シナリオ」

これは「ホットハウス・アース・シナリオ」と呼ばれ、地球全体の平均気温が3度以上上昇することで、人口の55%にあたる約35億人が20日以上の間、生命に危険が及ぶような熱波に襲われると予測されています。

生態系が崩壊・・・致命的な災害が頻発

ホットハウス・アース・シナリオが現実になると、世界中の生態系が崩壊し、海洋生物が絶滅し、熱帯雨林が荒廃するなどの深刻な環境問題が発生すると予測されています。また、北アメリカでは野火、熱波、干ばつが頻発し、アジアを流れる大河が干上がり、20億人以上が水不足に苦しむことになります。

食の危機!農業が困難な状況に……。人々は移住するしかなくなる

メキシコと中央アメリカの降雨量が半分に減少すると、農業にとっては非常に困難な状況となります。加えて、エルニーニョ現象と同じようなの気候が常態化、危険な熱波が100日以上も続くことになり、移住を余儀なくされる人々が10億人以上に上ると予測されています。

もうどうしようもない……。政治はパニック状態に陥る

報告書は、このようなシナリオが現実になれば、世界は混乱に陥り、人類文明が終焉に向かう可能性があることを示しています。その結果、世界の安全保障に対する脅威が増大し、政治的なパニックが引き起こされる可能性があると述べています。

古の地球!恐竜が繁栄した時代は「ホットハウス・アース」だった!

中生代は、約2億5200万年前から約6600万年前までの間にあたり、温暖な「ホットハウス・アース」と呼ばれていました。この時期には、恐竜が繁栄し、植物相も豊かでした

約6600万年前には、大規模な天体衝突が地球に衝撃を与え、恐竜の絶滅をもたらしました。この衝突によって大量の塵やガスが大気中に放出され、気候変動が引き起こされました。その後、地球の気候は徐々に「アイスハウス」へと移行し、最終的に現在のような寒冷な時代が約260万年前から始まりました。

中生代は、恐竜が繁栄していた温暖な時代である「ホットハウス・アース」と呼ばれていました。しかし、約6600万年前に恐竜が絶滅したことをきっかけに、気候は寒冷化へと向かい、現在のような寒冷な時代が約260万年前に始まり、氷河期と間氷期のサイクルが現れるようになりました。

私たち人類が生きてきた時代は「アイスハウス・アース」

人類が誕生し、進化し、文明を築いてきた時代は、おおよそ「アイスハウス・アース」の時代にあたります。

南極と北極がある

「アイスハウス・アース」は、氷河期と間氷期のサイクルが特徴的で、氷床が南極や北極に存在します。人類の歴史の大部分は、最後の数百万年において地球が「アイスハウス・アース」あったことによります。

人類が誕生し、進化し、文明を築いてきた時代は、「アイスハウス・アース」にあたります。「アイスハウス・アース」は、氷河期と間氷期のサイクルが特徴的で、氷床が南極や北極に存在します。

現代人であるホモ・サピエンスは、おおよそ30万年前に出現しました。その頃はまだ氷河期であり、氷河が広範囲に広がっていました。その後、氷河期と間氷期が繰り返され、現在は間氷期にあたります。間氷期は、相対的に温暖な気候で、人類にとって農業や文明の発展に適した環境が整いました。

温暖化の暴走!!このままだと「ホットハウス・アース」と化す!!

現在の状況では、炭素排出量の削減が十分に進まない場合、気候変動の悪影響が顕著に現れると予測されています。2030年までに地球の平均気温が1.5度上昇し、2050年には3度以上上昇する可能性があります。このような温度上昇が続くと、地球温暖化が加速し、極端な気象現象が増加します。例えば、猛暑、干ばつ、洪水、台風やハリケーンのの頻度や勢力が上昇すると予測されています。

さらに、海面上昇も進行し、低地の沿岸部や島々が浸水し、多くの人々が避難を余儀なくされる可能性があります。その結果、地球は「ホットハウス・アース」と呼ばれる高温の状態に陥ることが懸念されています。

ヨハン・ロックストローム博士の提言

スウェーデン出身の気鋭の環境学者ロックストローム博士は、ストックホルム・レジリエンス・センターの所長およびストックホルム大学で環境科学の教授、2004 ~ 2012年までストックホルム環境研究所の所長を務めている。

WIRED/YouTube
地球が持続可能な状態の限界値「プラネタリー・バウンダリー」

ヨハン・ロックストローム博士らは、地球が持続可能で安定した状態を保つために守るべき9つの重要な限界を提案しています。

これらの限界は、「プラネタリー・バウンダリー」と呼ばれ、気候変動や生物多様性の損失、土地や水の使い方、海洋の酸性化、大気の汚染、オゾン層の破壊、物質循環などに関係しています。

限界を超えると「ホットハウス・アース」に戻る

これらの限界を越えてしまうと、地球の環境が大きく悪化し、人類の生活にも深刻な影響が出る恐れがあります。これにより、地球が過去の温暖な状態(ホットハウス・アース)へ戻り、破滅的な結果がもたらされる可能性があります。その原因として、海が吸収している熱の量が減少し、氷が融けることで、太陽光をより吸収しやすい状態が生じる自己強化型のフィードバックメカニズムが働くことが考えられます。

動き出したらもう止まらない!「フィードバック」

ホットハウス説では、地球が極度の温暖化に陥ると、自然界の様々な現象(フィードバック)が働き出し、温暖化をさらに加速させると考えられています。たとえば、氷が解けると海面が上昇し、地球の表面が変化することで反射される太陽光の量が変わります。これにより、地球の温度が上昇し、さらに氷が解けるという循環が起こると考えられています。

温暖化を加速させる10のフィードバック

ホットハウス説では、以下のようなフィードバックが考えられています。

  1. 永久凍土の融解によるメタンやCO2の放出
  2. 海底のメタンハイドレートからのメタン放出
  3. 陸上と海洋の生態系によるCO2吸収の減少
  4. アマゾン熱帯雨林の大規模な枯死
  5. 北方林の大規模な枯死
  6. 湿地帯からのメタン放出
  7. 海洋循環の変化による二酸化炭素の放出
  8. 酸素の減少による微生物の代謝変化
  9. 酸素欠乏による海洋生態系の変化
  10. 地球上の白色部分(氷や雪)の減少による地球の反射率の低下

未来の人類を左右する…。今がギリギリの時

ヨハン・ロックストローム博士によると、今この地点は2度の上昇を起こす逆転のスイッチを押してしまうギリギリの地点だという。

これらのフィードバックが起こる原因となる気温上昇が一定の臨界点を超えると、それらの要素が急激に進行することになります。そのような要素は「臨界点(ティッピングポイント)」と呼ばれ、それを超えるともう止まらないと考えられてる。

この臨界点の考え方は、気候変動の専門家たちによって20年前に提唱されました。

NowThis Earth/YouTube
一つの現象がドミノ倒しのように連鎖していく可能性

地球には多くの臨界点があり、それらが連鎖してホットハウス・アースに突入する可能性が指摘されています。

2度の気温上昇では、グリーンランドや北極海の氷が減少し、さらに温暖化が進む。気温が4度上昇すると、アマゾンの熱帯雨林が枯れ、大量の二酸化炭素が放出される。さらに、気温が5度以上上昇すると、東南極の氷が溶け、今度は海面が最大60メートル上昇する可能性があるといわれている。

臨界点を超えると元に戻らない

このように臨界点を超えると、地球の状態が急激に悪化し、元に戻すことができなくなります。これは、20回耐えた森の大木が、21回目の打撃でついに倒れるような状況と例えられます。

臨海を越えた先にある未来が「ホットハウス・アース」

「ホットハウス・アース」という行く末が予想される温暖化の効果として、産業革命前より平均気温が摂氏4度から5度高くなり、海抜が10~60メートルも上がるということがあります。また、異常気象の増加により、灼熱の赤道直下の土地は無人化し、人類はひたすら南極か北極を目指すはめになる可能性もあります。

過去120万年の間で最高値の気温になる!!

研究によると、ホットハウス・アース期に入ると、地球の気温は過去120万年で最も高い水準に達することになります。これにより、極地での氷床や氷河の融解が加速し、海水面が上昇し、海洋の酸性化も進むことが予想されています。

手遅れ!?最善を尽くしても回避不可能の可能性

地球の平均気温は、産業革命前から10年で0.17℃ずつ上がり、今では1℃上昇しています。これは主に化石燃料の燃焼によるCO2排出が原因です。

2015年のパリ協定で、気温上昇を2℃以下に抑えることが目標になり、できれば1.5℃までに抑えることが求められています。さらに、世界中で温室効果ガス排出をゼロにすることが目標です。

しかし、「ホットハウス・アース」の危険性を警告したヨハン・ロックストローム博士は、2℃までの上昇を抑えても、地球が「ホットハウス・アース」になるのを防ぐことは難しいと言っています。

彼は、炭素排出量を減らしても、自然要因が温暖化を加速させる可能性があると説明しています。例えば、最近の熱波や森林火災は、気温が1度上昇したことと関連があると言われています。同じような連鎖反応が、地球温暖化を悪化させる方向に進んでしまうかもしれません。

人類滅亡のカウントダウン

気候変動を元の状態に戻すための時間は、ほとんどなくなっていると言っても過言ではありません。それにも関わらず、温室効果ガス排出をゼロにするまでには最低でも30年かかると研究者たちは述べています。

しかし、今でも被害を減らすために行動することはできます。私たちが取るべき対策は明確で、時間が切迫しています。エクセター大学のティム・レントン所長は、「50年後、今の状況をどう振り返るのでしょうか。何世代にもわたる持続可能で健康な未来を築けたはずだと後悔するのでしょうか」と言っています。

ティム・レントン所長は、限りある化石燃料を使い続けることや、地球の終わりを受け入れるような行動を止めるべきだと主張し続けています。

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地球温暖化を「逆転」させる具体的な方法を示した、世界が注目する唯一の書。 食品の生産から消費まで、再生可能エネルギー、環境保全型農業、電気自動車、教育、水、森林、ネットゼロエネルギービルをカバー。 水素-ホウ素核融合、ハイパーループ、微生物農業、スマートグリッド、二酸化炭素の直接空気回収など、20の革新的な技術も紹介。 世界13の言語に翻訳! NEWYORK TIMESベストセラー。(「山と溪谷社」より)

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