異常気象はもはや普通?地球の環境が変わる時代《地球温暖化》

かつて「異常気象」と呼ばれた現象が、今や新たな日常となりつつあります。

温室効果ガスの増加による地球温暖化は、世界中の気候パターンを変え、極端な気象変動を引き起こしています。

海面上昇、猛烈な暴風雨、長期にわたる干ばつなど、これらの変化は私たちの生活環境に深刻な影響を及ぼしています。

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北極海に眠る資源争奪戦に明け暮れる石油メジャー、治水テクノロジーを「沈む島国」に売り込むオランダ、水と農地を買い漁るウォール街のハゲタカ……壊れゆく地球すらビジネスチャンスに変わる「新しい現実」を全米注目のジャーナリストが追う。あらゆる紙誌で絶賛の嵐を巻き起こした現代の「必読書」、ついに上陸(「Books」出版書誌データベースより)

Extreme Weather 

これまでの温暖化とは違う!?急激に進む現代の温暖化!!

Bloomberg Quicktake/YouTube

現代の温暖化現象は、過去の自然な気候変動とは異なる特徴を持っています。現代の温暖化は非常に急速なペースで進行しており、過去の気候変動と比較しても、そのスピードは顕著に異なります。

過去の間氷期では、気温上昇は数千年かけて徐々に起こっていましたが、現在の温暖化は20世紀後半からその10倍もの速さで進行しています。

どんどん加速する温暖化

また、気候学者たちは、過去50年間の気温上昇速度が過去100年間の上昇速度の約2倍に相当することを示しています。

原因の一つは「温室効果ガスの増加」

温室効果ガスは地球温暖化の主要な原因のひとつで、これらのガスが大気中に存在することで地球の気温が上昇しています。温室効果ガスは以下のようなものが含まれます。

  1. 二酸化炭素(CO2)は、化石燃料の燃焼や森林破壊によって大量に排出されています。産業革命以降、二酸化炭素の排出量が急増しており、温室効果ガスの中で最も重要な役割を果たしています。
  2. メタン(CH4)は、家畜の消化過程、沼地、水田、埋立地、石炭鉱業、天然ガス産業などから排出されます。メタンは二酸化炭素よりも温室効果が強いため、少量でも気温上昇に大きな影響を与えます。
  3. 亜酸化窒素(N2O)は、肥料の使用、燃焼過程、工業活動、微生物による窒素変換などによって排出されます。亜酸化窒素も温室効果が強く、気温上昇に寄与しています。
  4. フロンガスは、冷蔵庫やエアコンなどの冷媒や、発泡剤、溶剤などとして使用されていましたが、オゾン層破壊と温室効果に関与するため、多くの国で規制されています。フロンガスには、CFC(クロロフルオロカーボン)やHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)などが含まれます。

これらの温室効果ガスが大気中に増加することで、地球の表面から放射される熱が大気中で捕捉され、地球全体の気温が上昇しています。

これを温室効果と言います。温室効果自体は自然現象であり、適度な温室効果がなければ地球は寒冷で生物が生きていくのが困難な状態になります。

太陽の熱を逃さないため!地球の温度管理には温室効果ガスが必要

地球の温室効果は、温室効果ガスが太陽からの熱エネルギーを吸収・放射することによって生じます。この適度な温室効果があるおかげで、地球上の生物が生きるのに適した環境が維持されています。

太陽からの光(短波長放射)が地球の表面に到達し、地表が熱されます。その後、地表は熱を再放出(長波長放射)しようとします。

この際、温室効果ガス(二酸化炭素、メタンなど)が長波長放射を吸収し、一部を地表に戻すことで地球の気温が上昇します。

もし温室効果がなければ、地球の平均気温はおおよそ-19℃になるとされています。これは地球上の生物にとって過酷な環境です。

しかし、適度な温室効果により、現在の地球の平均気温は約14℃に保たれており、生物が生存し、繁栄することが可能な状態が維持されています。

地球温暖化と二酸化炭素の密接な関係

二酸化炭素(CO2)は地球温暖化の主な原因とされる温室効果ガスのうち、最も大きな割合を占めています。人間活動による化石燃料の燃焼や森林破壊などによって、大量の二酸化炭素が大気中に放出されています。

二酸化炭素は赤外線を吸収し、放射する性質があります。大気中に二酸化炭素が増えると、地球の表面から放出される赤外線が増えた二酸化炭素によって吸収され、再放射されます。

この結果、地球の表面に戻る赤外線の量が増え、地球全体の気温が上昇することになります。

二酸化炭素の増加でバランスが崩壊

しかし、温室効果ガス、特に二酸化炭素の増加によって、地球のエネルギーバランスが崩れてしまった。

大気中の二酸化炭素濃度が増加することで、地球から宇宙へ放出されるはずの赤外線が、温室効果ガスによって吸収され、再放射されます。

この再放射によって、地球の表面に戻る赤外線の量が増え、地球温暖化が進行しています。

元をたどれば全ての原因は“人間”

産業革命以降、人類は化石燃料(石油、石炭、天然ガス)を大量に利用し、経済発展を遂げてきました。しかしその一方で、化石燃料の燃焼によって大量の二酸化炭素が排出され、地球温暖化が進行しています。

産業革命前の大気中の二酸化炭素濃度は約280ppmでしたが、現在は400ppmを超えており、大幅な増加が見られています。

電気を作るために二酸化炭素を排出

近年では確かに、電気自動車や家電製品など、電気を用いた技術が増えている一方で、電力供給の多くは化石燃料に依存しています。

石炭や天然ガスを燃やして発電することで、大量の二酸化炭素が排出されているのです。

森林破壊と二酸化炭素

森林は「炭素の吸収源」として機能し、光合成を通じて大気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を放出しています。森林が炭素を蓄えることで、大気中の二酸化炭素濃度を低く保ち、地球温暖化の抑制に寄与しています。

しかし、人間の活動によって森林が伐採・焼失されることで、森林が二酸化炭素を吸収する能力が低下し、さらに伐採や焼失の過程で放出される二酸化炭素も大気中に加わります。

これが地球温暖化の進行に拍車をかける要因の一つとなっています。

二酸化炭素濃度「ppm(パーツ・パー・ミリオン)」

ppm(パーツ・パー・ミリオン)は、濃度を表す単位で、1,000,000分の1を意味します。ppmは、濃度が低い場合に使用されることが一般的で、大気中の二酸化炭素濃度などを表すのに適しています。

例えば、二酸化炭素濃度が400ppmという場合、1,000,000分の400、つまり大気中に二酸化炭素分子が400個存在することを示しています。ppmは、ppb(パーツ・パー・ビリオン、10億分の1)やppt(パーツ・パー・トリリオン、兆分の1)など、他の濃度単位と共に、環境学や気候学などの分野で広く用いられています。

数千年かかるppmの上昇幅を200年で…。

過去の氷期から間氷期への遷移における二酸化炭素濃度の変化は、自然な気候変動の影響により地球システム内で炭素循環が変化した結果だと考えられています。

この自然な変化は、大気、海洋、陸域生物圏の間の炭素のやりとりによって引き起こされており、数千年をかけて二酸化炭素濃度が180ppmから280ppmへと増加しました。

しかし、産業革命以降、特に20世紀後半からの短期間で二酸化炭素濃度は急激に上昇し、280ppmから現在は400ppmを超えるレベルに達しています。

毎年大気中に二酸化炭素が貯蔵されていく

1990年代のデータに基づくと、年間の二酸化炭素排出量は、炭素換算で約64億トンでした。このうち、土地利用変化による排出量(森林伐採や焼き畑など)が約16億トンを占めています。

しかし、全ての排出された二酸化炭素が大気中に留まるわけではありません。植物や土壌が約26億トンの二酸化炭素を吸収し、さらに海洋が約22億トンを吸収しています。

これらのプロセスを通じて、大気中に蓄積される二酸化炭素量は約32億トンと推定されます。

しかも二酸化炭素は簡単には分解しない・・・。増加の一途

2000年から2005年の間に、化石燃料由来の二酸化炭素排出量は、炭素換算で年間72億トンに増加しました。

この期間において、海洋と陸上生物圏が吸収する量を差し引いた後の大気中の二酸化炭素増加量は、年間約41億トンと推定されています。

二酸化炭素は簡単に分解されない物質であり、大気中に長期間留まることができます。このため、二酸化炭素排出量が高い状態が続くと、大気中の二酸化炭素濃度は年々増加し続けることになります。

ついに二酸化炭素濃度は危険な水準(400ppm)を超える

国連環境計画(UNEP)は、世界各地の観測所で、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が危険な水準(400ppm)を超えたと報告しました。

2013年にハワイで最初にこの水準が観測され、その後、北半球や南極点でも同様の状況が確認されました。

日本の気象庁も、大気中のCO2濃度が過去最高に達し続けていることを発表しました。2014年の冬には、日本の南方海上や南東上空でも危険な水準が観測されました。

Arirang News/YouTube

それは人類にとって未知の領域

2016年には南極点でのCO2濃度が400ppmに達しました。これは過去400万年ぶりのことで、地球上で化石燃料の影響が最も少ない場所でも高い濃度が観測されたことになります。

このような高いCO2濃度は、過去に地球の気温が数度高く、海水面が20~40メートル高かった時代にしかなかったとされています。

これは地球温暖化が進行している証拠であり、環境問題への懸念がますます高まっています。

【パリ協定】このままじゃヤバい!ついに人類は立ち上がった!!

2015年にフランス・パリで開催された国連気候変動会議(COP21)で、約200か国がパリ協定に合意しました。

この協定は、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2度未満、できれば1.5度未満に抑えることを目指します。

この目標を達成するためには、大気中のCO2濃度を世界平均で約420ppm程度に抑えることが必要とされています。

2016年11月に発効し、2020年以降の気候変動対策の国際枠組みとして、先進国だけでなく発展途上国も対策に取り組むことが求められています。

UN Climate Change/YouTube
この取り組みは周回遅れ!?

しかし、2020年には大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が史上最高の410ppmに達し、2021年にはさらに上昇する可能性があります。

過去80万年では、CO2濃度が35ppm上昇するのに約1,000年かかっていたのに対し、現在は年平均で2ppm以上上昇しています。このペースが続くと、今後45年以内にCO2濃度が500ppmに達することが懸念されています。

温暖化で急増!「異常な気象による大災害」

産業革命以降、世界の平均気温はすでに約1℃上昇しており、気候変動による影響が各地で顕著に現れています。例えば、2020年に熊本県では梅雨前線豪雨が甚大な被害をもたらしました。

また、2019年には台風15号や19号が日本を襲い、2018年には西日本豪雨や台風21号が大きな被害を引き起こしました。こうした記録的な豪雨や台風が毎年のように発生しています。

このような現象の背景には、気温上昇によって大気中の水蒸気量が増加し、降水量が増えていることが一因とされています。

温暖化が進むにつれ、気温がさらに上昇し、大気中の水蒸気量が増加すると、今後も記録的な豪雨や台風などの気象災害が発生する可能性が高まります。

Interesting Engineering/YouTube
世界各地で異常気象

世界各地で異常気象が増加しており、これは気候変動が原因とされています。

2010年にはアルゼンチンで異常低温が観測され、最低気温が-10度を下回りました。また、2012年には東欧で異常寒波が発生し、凍死者が出ました。

2015年にはインドとパキスタンで熱波が発生し、数千人が死亡しました。

中国の長江流域では2016年に大雨が甚大な被害をもたらし、カリブ海では強力なハリケーンがフロリダ半島を襲いました。また、米国中西部のミシシッピ川流域で大洪水が発生し、メキシコでは雹が1m近く積もりました。

2019年6月にはヨーロッパ各国で熱波が発生し、フランスでは史上最高の45.9℃を記録しました。この熱波で、スウェーデンとデンマークで多くの人々が亡くなりました。

2019年末からのオーストラリアの森林火災は、ポルトガルの国土を上回る面積が焼失し、野生動植物の生息地が大きく失われました。

アフリカ大陸でも、砂漠化が進行し、干ばつや洪水などの異常気象が増加しています。

絶滅危機に瀕した野生動物も多く、温暖化が進むとトウモロコシの生産が減少し、病害虫やマラリアなどの伝染病が増加すると予測されています。

極地の氷が溶ける

地球温暖化により、南極の氷が溶け始め、海面が上昇しています。海面が露出すると、黒い海面が太陽の熱を吸収し、海水温度が上昇して温暖化がさらに加速します。

むしろ異常なのが普通?ついに時代はカオスに突入!!

異常気象は非常にまれな気象現象であり、短期間の大雨や暴風から数ヶ月にわたる干ばつや極端な冷夏・暖冬まで多岐にわたります。気象庁は、異常気象を「ある地域・ある時期において30年に1回以下で発生する現象」と定義しています。

平年値は10年ごとに変化し、過去30年の平均値を使用します。現在は1981~2010年の平年値を用いており、2021年からは1991~2020年の観測値を使用します。これにより、異常気象の捉え方も10年ごとに変化します。

地獄のように暑い日本の夏

近年では、夏に38℃や39℃の日最高気温が観測されることが珍しくなくなっています。かつてはこれらの高温は極端な値であり、異常気象とされました。

しかし、こうした高温が頻繁に発生するようになると、人々はそれを「異常」と感じなくなります。これは、時代の変化に伴って「正常」な値が変わってくるためです。

ウェザーニュース/YouTube
永遠に続く…?

異常気象とは、通常の気象パターンから大きく外れた、数十年に一度しか起こらないような現象を指します。

しかし、ハワイ大学のカミロ・モラ教授が2013年に発表した研究結果によれば、地球の未来はそのような異常気象が毎年のように経験される「普通の気象」に向かっている可能性があります。

モラ教授の研究チームは、世界12カ国21機関で運用されている39の気候モデルの予測結果を集めて分析しました。

その結果、温室効果ガスが現在のペースで増え続けると、地球の半数以上の地域で、2047年以降毎年継続的に1860〜2005年の間で最も暑かった年よりも暑くなることが判明しました。

つまり、過去150年間で最高気温を毎年更新し続けるという状況が予測されています。

このような状況が現実になれば、異常気象が通常の気象となり、地球上の生態系や人間の生活に大きな影響を与えることが予想されます。

熱波や干ばつ、洪水などの自然災害が頻繁に発生し、農業や水資源にも大きな悪影響を及ぼす可能性があります。また、生物多様性の喪失や感染症の拡大、経済活動の停滞など、様々な分野での問題が懸念されています。

これらの問題を回避するためには、温室効果ガスの排出量を削減し、気候変動の影響を最小限に抑えることが重要です。

持続可能なエネルギーの普及や森林保全、省エネルギー技術の開発など、さまざまな分野での取り組みが求められています。

気候変動による影響を緩和するための適応策も、より具体的かつ効果的に実施する必要があります。

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