温暖化なのに冬が寒すぎる!毎年のように災害級の大雪が降る理由《地球温暖化》

温暖化で寒くなって大雪が降る、という矛盾にも聞こえる現象は、地球温暖化が進行する中で起こっています。

実は、地球温暖化は気候変動を引き起こし、一部の地域では冬の寒さが厳しくなることがあるのです。

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気候変動の実態は、思っているよりはるかに深刻だ。現状のままでは、2050年までに100都市以上が浸水し、数億人が貧困にあえぐことになる。温暖化がもたらすのは海面の上昇だけではない。殺人的な熱波、大洪水、大気汚染、経済破綻などさまざまな影響をあたえ、壊滅的な危機へと向かわせるのだ。いま何が起きているのか、気候変動により生活はどう変わるのか?近い将来に訪れる衝撃の世界をリアルにあぶりだす、話題騒然の警告の書。(「BOOK」データベースより)

Cold waves

深刻度を増す未曾有の『大寒波』

CNN/YouTube

冬に大雪が積もる荒天が続くと、SNSでは「温暖化はウソ」という一部の人たちによる投稿を見かけることがあります。

その中には、「地球温暖化で地球全体の気温が上がっているなら、冬も温暖になっているはずだろ!」というものもあります。

例えば、アメリカの保守派Webサイト「Breitbart.com」は、このような大寒波を地球温暖化のでっち上げだと主張しました。

環境活動家「アル・ゴア」への非難

ドナルド・トランプ氏は、ツイッターで「今我々はここ20年で一番の寒波を経験しているが、ほとんどの人がこのような寒さを記憶していない。これが地球温暖化?」とつぶやき、共和党上院議員テッド・クルーズは、「寒いな。アル・ゴア(第45代米副大統領は)、こんなことは起こらないと私に言ったのに」とからかいました。

そして、SNS上では、アル・ゴア氏の凍りついた写真が大量に拡散されました。

アル・ゴアとは、気候変動の問題に取り組む熱心な環境活動家の1人であり、自身の著書やドキュメンタリー映画『不都合な真実』などを通じて、地球温暖化やその影響について世界中に訴えかけてきました。

短期間の寒さと地球温暖化は無関係!

まず、地球温暖化とは、長期的に地球の気温が上昇することを指し、数十年以上の期間にわたって観測される気候変動の一つです。

そして、彼らが指摘しているのは“短期的な寒さ”ついてであり、これは天候の変動や自然現象などによって引き起こされる気象変化であるため、温暖化とは直接的な関係がありません。

これは、“短期的な暑さ”についても同じことです。

大雪は温暖化が進んでいる証拠

また、「本当に地球が温暖化してるなら雪は減るはずだ」と思っている人もいるかもしれません。

確かに地球温暖化が進むと、一般的には平均気温が上昇するため、雪が降ることが少なくなると考えられがちです。しかし、実際には大雪が降る可能性は温暖化によって高くなります。

それは、温暖化によってもたらせる雪の質に違いがあります。

HTB北海道ニュース/YouTube

災害を引き起こす大雪「豪雪」「ドカ雪」

災害レベルの大雪には「豪雪(ごうせつ)」「ドカ雪(どかゆき)」の2種類があります。

「豪雪」

豪雪は、特に多くの雪が降る地域やその状況を指します。

豪雪地帯は、冬季に大量の雪が降ることが一般的で、交通や生活に影響を与えることがあります。日本では、日本海側の地域や北海道などが豪雪地帯として知られています。

「ドカ雪」

一方、ドカ雪は、非常に短時間に大量の雪が降ることを指しています。

通常は予測が難しく、急な積雪によって交通機関や人々の生活に大きな影響を与えることがあります。ドカ雪は豪雪地帯だけでなく、他の地域でも発生するのが特徴です。

「豪雪」の「ドカ雪」違い

簡単に言えば、豪雪は一般的に雪が多い地域や状況、ドカ雪は短時間で大量の雪が降る現象です。

どちらも多くの雪が降ることを表しているためよく混同されますが、状況や地域によって使い分けられる言葉です。

地球温暖化によって「ドカ雪」が増加

近年、地球温暖化の影響により、短時間で大量の雪が降るドカ雪の現象が増加していることが指摘されており、ドカ雪の増加に伴い、雪害対策に関連する事故も増え、死者や重傷者の数が年々増加しています。

特に除雪作業中の事故増加には、雪の性質の変化(水分量の違い)やドカ雪の降り方を要因にして引き起こされています。

それだけでなく、社会的な要因も大きく影響しています。

豪雪地帯では高齢化が進み、若い人々の減少によって地域のコミュニティ力が低下。自治体の行政サービスの縮小化も、雪害対策に対する対応力の低下に拍車をかけています。

全体的には雪の降る量は減少?

このように、特定の地域では短期間で大量の雪(ドカ雪)が降る現象が増えていることから、「温暖化なのに雪がたくさん降るのはおかしい」という誤った解釈を生まれれています。

しかし現実には、地球温暖化により地球規模での雪の量は減少傾向にあります。

【ドカ雪の原因①】温暖化で水蒸気量が増加!降水量が増加

まず、温暖化によって海水面の温度が上昇すると、大気中の水蒸気量が増えます。

これは、温度が上がることで海水から蒸発する水蒸気量が増加するためです。この現象は、「クラウジウス=クラペイロンの式」とう方程式によって説明されています。

「クラウジウス=クラペイロンの式」

この式は気温が上昇すると、気圧が一定の場合、飽和水蒸気圧(空気中に存在できる水蒸気の最大量)が増加することを示すものです。

お風呂を例にとって説明すると、次のようになります。

お風呂にお湯をはり、その温度を徐々に上げていくと、湯船から立ち上る蒸気の量が増えていきます。これはお湯の温度が高くなるほど、水が蒸発しやすくなるためです。

「クラウジウス=クラペイロンの式」を使ってこの現象を説明すると、お湯の温度が上がると、その上の空気に溶け込むことができる水蒸気の量(飽和水蒸気圧)が増えるため、蒸発しやすくなるということになります。

つまり、お湯(この場合は海水)の温度が上がると、それに伴って蒸気(水蒸気)が増えるのと同じように、地球の海水温度が上がると、大気中の水蒸気の量も増えるということです。

そして、この水蒸気の増加は地球の気候に影響を与えます。

気温上昇と降水量の関係

ある研究によれば、気温が1度上昇するごとに、大気中の水蒸気量は約7%増加するとされています。これは、大気が温まることで、より多くの水分を保持できるようになるためです。

そして、この水蒸気量の増加は、世界平均で降水量の増加につながります。

WGRZ-TV/YouTube
亜熱帯の地域では降水量は減少

ただし、気候システムは非常に複雑であり、地球の全ての地域で降水量が増えるわけではありません。熱帯や高緯度地域では降水量が増えますが、むしろ亜熱帯の地域では減る傾向があります。

これは、水蒸気が上昇して凝結する際に発生する凝結熱によって、風の流れが変わり、降水パターンに影響を与えるためです。

「凝結熱」の影響

これはある気象現象によって説明ができます。

まず、大気中に水蒸気が増えると、その水蒸気が冷やされて水滴に変わります。これを「凝結」といいます。凝結の際には熱が放出されます。この放出される熱を「凝結熱」と呼びます。

凝結熱は、大気の温度を局所的に上昇させ、大気の流れ、つまり風を変化させます。この風の変化が、地球上の降水パターンに影響を与えるのです。

熱帯や高緯度地域では、多くの水蒸気が上昇し、凝結するため、凝結熱が多く発生し、これが多くの雨をもたらします。一方で、亜熱帯地域では、このようなプロセスが少ないため、降水量が減る傾向にあります。

つまり、凝結熱は大気中の水蒸気が雲や雨に変わる際に重要な役割を果たし、このプロセスが地球上の異なる地域で異なる降水パターンを生み出しているのです。

日本では小雨は減少し大雨の日が増加

日本の気象庁は、温暖化の影響を示す観測データを公表しています。それによれば、過去100年余りで1日に降る雨(日降水量)が100ミリ以上や200ミリ以上という大雨の日が増加しています。

また、1時間に50ミリ以上という短時間で大量の雨が降るケースも増えていますが、1ミリ以上の雨が降る日数は減少していると報告されています。

温暖化の影響で雪が雨に変わるため降雪量は減少

温暖化が進み気温が上がると、かつて雪として降っていたはずのものが雨に変わります。

もし地球が4°C温暖化した場合、日本の多くの場所では年間の積雪量が減少しますが、降水量自体は増えているため雪と雨を合計した量は増えます。

しかし、4°C温暖化した世界でも時には強い寒気が訪れることがあります。そんな時、山岳地域では気温が0°Cを下回るため、雪が降ります。

温暖化で増加した水蒸気が雪となり降り注ぐ

この時、温暖化によって大気中の水蒸気量が増加しているため、その水蒸気は雪となり一気に降り注ぎます。これがドカ雪が増加している要因です。

まとめると、温暖化によって平均的には雪は減っているものの、山岳地域では時々降るドカ雪が増えてしまうということです。

【ドカ雪の原因②】温暖化で蛇行した偏西風が寒気を運ぶ

日本の地域では、上空約1万メートルに西からの強い風、「偏西風」が常に吹いています。

この偏西風は、日本から北米、ヨーロッパ、モンゴルへと一周し、再び日本に戻ってくるような形で地球を巡っています。

しかし、風はもちろんただ真っ直ぐに吹くわけではありません。

ヨーロッパでは北向きに、西シベリアでは南向きに、そしてモンゴルでは再び北向きに、ぐねぐねと蛇行するような形が近年よく観測されています。

この蛇行パターンは、気候の状況によって変わるとされています。

The Telegraph/YouTube
北極圏の気温上昇!北極の冷たい空気が南に進出

「地球温暖化によって北極域の気温が上がると、偏西風が蛇行し、異常気象が増える」

このような考え方があります。実際に温暖化が進むと、北極と南側地域との温度差が縮小し、偏西風が弱くなる傾向にあります。

偏西風は、北極の冷たい空気を遮断する役割を持っていますが、その勢いが弱まると、偏西風が大きく蛇行するようになります。

その結果、北極周辺の寒気が南側に進入し、大寒波が起こる可能性が高くなります。

近年、北米各地で「スノーマゲドン(雪の最終戦争)」と呼ばれるほどの激しい寒波が頻繁に発生するようになっており、この現象も地球温暖化による影響が考えられています。

世界の気象を変化させる!「偏西風(ジェット気流)」

偏西風は南北方向に波打って流れており、南に突き出した部分は「気圧の谷」となり、地上では低気圧が発生します。逆に、北に突き出した部分は「気圧の尾根」と呼ばれ、高気圧が発生します。

偏西風の中でも、特に狭い幅で強く吹くものを「ジェット気流」と呼んでいます。

Scott Sabol/YouTube
狭い範囲で強烈な勢いで吹く偏西風=ジェット気流

ジェット気流は、一般的に「上空10,000m前後で吹く強い西風」を指します。

広く言えば偏西風そのものを指すこともありますが、特に冬季には対流圏界面付近(日本周辺では上空10,000m前後)で毎秒100mの速さに達するため、これがジェット気流と呼ばれます。

ジェット気流の速さを時速に換算すると、300km/h以上になり、新幹線にも匹敵する驚異的な速さです。台風すらも、この強烈な風の力によって進路を変えられることがあります。

寒波の要因!?寒帯ジェット気流の蛇行

北半球の北緯40度付近を流れる偏西風(寒帯ジェット気流)が南北に蛇行する際、寒波を引き起こす寒気が北から南下しやすくなります。

増加した水蒸気量+北極圏の冷たい空気 → 大雪

ジェット気流は、北極側の寒気と低緯度側の暖気の境界に位置しているため、日本周辺でジェット気流が南に大きく蛇行すると、その北側の寒気が日本に接近します。

温暖化の影響で大気中の水蒸気量が増加している中で、この寒気がプラスされることによって大雪が発生します。

読者の皆様へ

地球温暖化による気候変動は、単に暑い夏だけでなく、冬の厳しい天候も引き起こします。

このような極端な気候は、私たちの日常生活に多大な影響を及ぼし、時には災害級の大雪をもたらすこともあります。気候変動に対する深い理解と適切な対策が急務です。

私たち一人一人が環境に配慮した生活を送ること、そして持続可能な社会の構築を目指すことが重要です。地球温暖化とその複雑な影響を理解することは、未来の災害を防ぐための第一歩となります。

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気候変動の実態は、思っているよりはるかに深刻だ。現状のままでは、2050年までに100都市以上が浸水し、数億人が貧困にあえぐことになる。温暖化がもたらすのは海面の上昇だけではない。殺人的な熱波、大洪水、大気汚染、経済破綻などさまざまな影響をあたえ、壊滅的な危機へと向かわせるのだ。いま何が起きているのか、気候変動により生活はどう変わるのか?近い将来に訪れる衝撃の世界をリアルにあぶりだす、話題騒然の警告の書。(「BOOK」データベースより)

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