NATURE

【アマゾン森林破壊】不毛な大地を豊かな農地に……地球の反対側の話?むしろ“日本”が深く関わっていた!〈緑の革命〉

The Brazilian Cerrado

セラード開発

日本にとって大豆が必要だった……

戦後、日本は食糧増産の掛け声の下、大豆の生産に励んだが、工業立国という方針の下、1961年に完全自由化されるとともに、生産が激減した。また、1972年には大豆需給の逼迫を受けた米国の大豆禁輸、いわゆる大豆ショックをきっかけにして、ODAによる海外での生産地開拓に力を注いだ。ブラジルにおけるセラード開発はその中心だ。

転機迎える農と食のグローバリゼーション/地域・アソシエーション研究所

田中角栄総理(日本)とガイゼル大統領(ブラジル)

1974年9月、当時の田中角栄首相がブラジルを訪問してガイゼル大統領と両国でのセラード農業開発について合意し、1979年から日本・ブラジル共同のナショナルプロジェクト「日伯セラード農業開発協力事業(プロセール事業)」が開始されました。

土光さんとブラジルのダイズ|清水純一教授|生活文化学研究室/ノートルダム清心女子大学.2019

それはブラジルの不毛の大地

Campo

 セラード地帯は2億400万ヘクタールと日本の5・5倍、ブラジル全土の24%をも占める。ポルトガル語で「閉ざされた」を意味するセラードは、かつて土壌と気候の問題から作物の育たぬ不毛の大地だった。

不毛の大地を誇りに変えたセラード開発/Sami Cultura
豊かな農地になる可能性

 「不毛の大地」と言われるものの、セラードは定期的に雨が降るし、河川の水も豊かである。知られているだけでも11,627種類の植物、199種類の哺乳動物、837種類の鳥が生息し、世界の熱帯サバンナの中で最も豊かな生物多様性を誇る

内陸に広がる豊かな農業フロンティア/神戸大学 経済経営研究所 教授 浜口 伸明氏.日経BizGate.2015

セラードはブラジル高原の平らな地形であって機械化農業に適しており、生産性が高い大規模経営のポテンシャルを持っていた。

内陸に広がる豊かな農業フロンティア/神戸大学 経済経営研究所 教授 浜口 伸明氏.日経BizGate.2015

日本の力で大規模な農地に変貌!

希望の農地へと変えたのは、日本とブラジルが官民合同で行った国家プロジェクトだった。

不毛の大地を誇りに変えたセラード開発/Sami Cultura

ブラジルは(中略)かつては穀物の輸入国でした。しかし、1980年代、日本も協力した農業開発により、ブラジルは大きく発展しました。熱帯地域で初めて、近代的穀物農業を実現させたのです。

ブラジル「セラードの奇跡」のプロセスと要因をさぐる書籍が発刊/JICA緒方研究所

今ではかつてセラードだった土地からの大豆生産量がブラジル大豆全体の6割を占めるに至っていると言われています。

4-15. ブラジルの大豆生産に果たした日本の貢献/Biglobe
トップクラスの穀物輸出国

その結果、セラードで穀物生産、畜産、養鶏等が可能になり、ブラジルは1960年代の穀物輸入国から大輸出国に変貌した。

モザンビークのプロサバンナ農業開発計画―戦略的経済協力/一般社団法人 霞関会

セラード開発は、ブラジルが世界有数の穀物生産国となったことで、世界の食料安全保障にも貢献しました。

ブラジル「セラードの奇跡」のプロセスと要因をさぐる書籍が発刊/JICA緒方研究所

「緑の革命」

転載:Marcio Carvalho/YouTube

ノーベル平和賞を受賞したノーマン・ボーローグの手による緑の革命になぞらえて、この事業は“ブラジル版緑の革命”と呼ばれることが多い。

『ブラジルの不毛の大地「セラード」開発の奇跡』 結果を出した国際協力/村上 浩.HONZ – 読みたい本が、きっと見つかる!.2012

 ブラジルに「緑の革命」を起こしたといわれるセラード農業開発。ブラジル政府が国家プロジェクトとして着手してからわずか20年余りで、不毛の大地は南半球最大の農業地帯に生まれ変わりました。

ブラジルの不毛の大地「セラード」開発の奇跡/自家焙煎珈琲まめ蔵.2016

Destruction of the Amazon

アマゾンの破壊が進行

転載:BBC/YouTube

「緑の革命」と土壌崩壊

この緑の革命を集中的に行った地域では土壌崩壊が深刻な問題となっている。

アグロエコロジーに何を学ぶか ブラジルのオルタナティブ/Alter Trade Japan(p.3)
たくさん化学肥料を土地に混ぜないといけない

セラード地域は,農作物を作るには石灰などの投入以外に大量の化学肥料が必要となる。

 世界最大の農産物輸出国に 向かうブラジル/ 農林中金総合研究所(p.9.485)

 この「緑の革命」を一言で言えば、化石燃料を畑につぎ込んで生産性を上げようというものだ。しか
し、これは持続できない。この化学肥料や農薬は化石燃料から作られるが、化石燃料はいずれ枯渇してし
まう。さらに土壌はこの投入によって崩壊してしまう。

アグロエコロジーに何を学ぶか ブラジルのオルタナティブ/Alter Trade Japan(p.3)

1970年代初頭には、「緑の革命」による一時の増産効果は翳りを見せ始め、化学肥料等資材の大量投入は農家経営を圧迫し、土壌を荒廃させ、それがまた気象災害を誘発するなど、貧困と不作を広げる結果を招いた。

破綻するグローバリズム 世界の小農に宿る「自給の思想」が未来をひらく/農文協の主張.2009
資金難から畑を放棄

 (前略)そうした技術を導入した農園ではその後借金漬けとなるケースが続出し、さらに農薬被害なども出てきて、農地放棄することも出てきました。

アグリビジネスと闘うブラジルのアグロエコロジーと世界の食料システムの危機/Alter Trade Japan.2015

畑を広げるために森林を伐採

転載:Time To Choose/YouTube

だがセラードでの大豆生産により、急速な森林破壊が起きている。

大豆による森林破壊を止められるか/SWI swissinfo.ch

JICA(国際協力機構)によると「不毛の大地は南半球最大の農業地帯に生まれ変わった」というセラード開発だが、1970年代後半からの大規模開発によって、豊かな草原の50%が失われた。

転機迎える農と食のグローバリゼーション/地域・アソシエーション研究所

環境系シンクタンクChain Reaction Researchによると、大豆の生産量が2000~17年に10%増えた結果、推定283万ヘクタールの森林が破壊された。

大豆による森林破壊を止められるか/SWI swissinfo.ch
転載:Jakob Bækhøj/YouTube

セラードにあるトカンティンス(Tocantins)の森林喪失は、2017年だけでも東京都1個分に及ぶ。2017年、トンカンティンスで活動した大豆商社最大の会社は三菱商事の子会社であるAgrex do Brasilであった

動物の餌になる大豆が森林を破壊する/Hope For Animals.2019

そして、その開発は今でも続いており、日本政府は前農水省も8月にブラジルを訪問し、農業開発にさらに関わっている。セラードの生態系の破壊は深刻であり、3ヶ月ごとにロンドン市の大きさの森林が失われている状況と言われる

アマゾン・セラード・先住民族への暴力を止めよ。事業は中止に/印鑰 智哉のブログ.2019

(前略)セラードは開発前に認識されていたような見捨てられた価値のない草地ではなく、多様な鳥類をはじめとする複雑かつ多様な生態系を有する地域である。この貴重な自然植生が面積において半分以上も破壊され、現在は生物多様性の危機に瀕するホットスポットにも指定されている。

フェアな木材を使おう/NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク(BIN) 理事、東京大学林政研究室博士課程 福代 孝良.FAIRWOOD.JP

Amazon fires

アマゾン森林火災の原因に?

印鑰氏はブラジルでの研究経験もあり、アマゾン開発をめぐる問題にくわしい。とくに、日本の政府・商社のブラジル開発への参入がアマゾン火災に深くかかわっていると指摘している。

アマゾン森林火災を印鑰智哉氏(日本の種子を守る会アドバイザー)の発言から考える/長周新聞.2020

乾燥して燃えやすくなってしまった

Agriculture in Cerrado

セラードはアマゾンの1つの水源である。

アマゾン破壊と日本(その4)アマゾン破壊への日本の関与/印鑰 智哉のブログ.2019

ところがセラードでは、樹木を伐採したことから水源の枯渇が起き始めた。地表がむき出しになり、水分は蒸発して地下水脈に水がたまらなくなった。大豆を育てるために川や地下水から大量の水をくみ上げることも追い打ちをかける。CPTのウィシニエスキー氏は「雨期に川となる場所が川にならなくなった。このまま開発が進めば毎年10の川がなくなる」と切迫する状況を訴える。

ブラジル中部を“世界屈指の農業地帯”に変えたJICAのセラード開発、その裏で先住民と小農が殺される/ganas 開発メディア.2018

セラードで農業開発が進むことで、アマゾンに供給される水が減り、アマゾンの乾燥化が進む。

アマゾン破壊と日本(その4)アマゾン破壊への日本の関与/印鑰 智哉のブログ.2019

畑を増やすために森林を伐採!そして「畑に“着火”」

https://youtu.be/0ZjCOAnmUaQ
転載:Denver7 – The Denver Channel/YouTube

熱帯雨林の開拓では、まずは余分な木を伐採し、乾燥するまで放置してから焼却する。そして“裸”になった土地で、大豆などの商品作物を育てる。こうして切り開いた農地はなぜか土地が痩せているため、焼き畑を定期的に繰り返さなければならない。

アマゾンの森林火災は“必然”だった──急速に進む恐るべき「緑の喪失」のメカニズム/WIRED.jp.2019

「焼き畑農業」は、数百年、数千年営まれてきた非常に伝統的な農業です。サッカー場半分ぐらいの広さの森を伐採して、そこに火を入れます。焼き払うことで畑の空間を作り出し、灰を肥料に使って作物を栽培するという仕組みです。3、4年もすれば地面から木々が芽吹き始めて森が再生されていくので、また畑の場所を移動しながら作っていくという、持続可能な技術でした。

南米アマゾン森林火災 苦悩する先住民族 | 国際報道2020 [特集]/NHK BS1

「アマゾンに“飛び火”」

転載:Guardian News/YouTube

アマゾンでは農地管理技術の一つとして焼畑が広く行われている。これには、大豆栽培などの集約的農業や畜産経営を目的に植生を伐採・焼却し整地することも含まれる。そもそもアマゾンでは自然火災は稀であるが、一旦焼畑が行われると隣接する森林に延焼していく傾向がある。

アマゾン熱帯林、減少の勢いが緩む一方、火災が増加/MONGABAY

牛の牧草地を作るために「アマゾンに“着火”」

転載:Mongabay/YouTube

(前略)大豆畑に追い出された牛の放牧地がアマゾンへと侵入していく。

アマゾン破壊と日本(その4)アマゾン破壊への日本の関与/印鑰 智哉のブログ.2019

アマゾンの森林伐採地域の65%余りが現在、放牧地となっている(後略)

牛肉と大豆、アマゾン森林火災に関わるブラジルの2大産業/AFPBB News
森林の伐採よりも楽に作れる

ブラジルは世界有数の食料輸出国ですが、最も貧困に苦しんでいる農家たちは、生きていくのに精一杯。家畜を育てるのに草を育てる必要があるため、木を伐採してしまいます。手っ取り早いのは、乾燥した季節に火をつける方法です。

“ブラジルのトランプ”はなぜ「野焼き」を推奨したのか? アマゾン火災でマクロン大統領と口喧嘩/モーリー・ロバートソン.FNNプライムオンライン.2019

アマゾンで今起こっている火災の主な原因はおそらく、ウシを放牧する牧場にあるのだろう。アマゾンには数千人にのぼる小規模牧場主がいる。彼らは木を伐採し、森を焼いて牧草地に変える。そのせいで、アマゾン全域は毎年、大規模な火災に繰り返し見舞われている。

密着・アマゾン放火の現場 悪循環を止める手は?/NIKKEI STYLE

ILLEGAL!

もちろん森林を焼くのは違法!

ブラジルでは乾季に森林火災が起きやすいが、森林を焼いて家畜の放牧地を違法に作るため、人為的に起こされている部分もある。

アマゾンの熱帯雨林が「記録的ペースで焼失」 サンパウロは真っ暗/BBCニュース.2019
グレーゾーン

「ブラジルでは、アマゾンの原生林を直接、農地に転換することは法律によって大きく制限されています。その法律、森林法は近年、大幅に緩和されてしまったのですが、それでも原生林を直接破壊することは犯罪行為となります。しかし、火災などで燃えてしまったあとの土地は規制の対象外なのです。(後略)」

なぜアマゾンが破壊されるのかー日本のメディアが報じない本当の理由/志葉玲.Yahoo!ニュース.2019

大統領はそれを黙認?……というかむしろ

ボルソナロ大統領は、アマゾンを重要な経済資源と位置づけ、積極的な開発を国民に呼びかけてきたのだ。

広がる森林火災 アマゾンで何が!! | 国際報道2020 [特集]/NHKBS1

これに呼応する形で同国北部の農家が耕地や農牧地を拡大するため、野焼きや違法伐採を繰り返した。今年は乾燥した気候だったため、火災が延焼しやすかったことも森林の消失を促進した。

ブラジルのアマゾン森林消失面積、11年ぶり高水準/日本経済新聞.2019
アマゾンが破壊されてるわけじゃない!
転載:Guardian News/YouTube

ボルソナロ氏は火災が故意に起こされたという主張を否定し、特に欧州諸国に対し、介入しないよう繰り返し要求。消火活動の資金や機材が不足しているにもかかわらず、国際支援を拒絶し、フランスのマクロン大統領と舌戦を繰り広げている。

アマゾン火災で世界が批判するブラジル大統領、国内では6割が支持の理由は?/ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト.2019

ボルソナロ氏は「うそつきメディアの情報とは異なり、アマゾンは破壊され燃えつくされているわけではない」と指摘。また世界各国で批判が高まった8月の森林火災についても、その多くは土地を開発する権利を持つ原住民や地元のコミュニティーが発端となったものだったとした。

ブラジル大統領、アマゾン開発の権利を擁護/THE WALL STREET JOURNAL日本版

ボルソナロ政権にとって重要なのは、肉牛(ブラジルは世界最大の牛肉輸出国で、世界の牛肉消費の20パーセントはブラジル産だ)と大豆などの穀物の価格だけなのだ。

アマゾンの熱帯雨林を、飽くなき「資本主義」が焼き尽くす/WIRED.jp
農業関係者は……

野焼きを目撃した農民は「ボルソナ政権への交代が火災発生の大きな要因だと思う。たくさんの仲間が今、野焼きで土地を広げるチャンスだと言っている」と語った。

広がる森林火災 アマゾンで何が!! | 国際報道2020 [特集]/NHKBS1

アマゾン森林火災はなるべくしてなっていた

南米のアマゾンで発生した森林火災が深刻な状況になっている。熱帯雨林であるアマゾンでは、本来なら火災は早い段階で沈静化するはずだった。それがなぜ、いまこうして燃え広がっているのか。背後には、人間による農地開発によって森林が乾燥し、植生が変化し、焼き畑が加速するという“必然”ともいえる恐るべきメカニズムが存在していた。

アマゾンの森林火災は“必然”だった──急速に進む恐るべき「緑の喪失」のメカニズム/WIRED.jp.2019