東日本大震災からの復興を願い、歌い継がれる国民的名曲【上を向いて歩こう】

東日本大震災は、2011年3月11日に発生し、日本全国を震撼させました。多くの人々が命を落とし、未だに復興が続く地域もありますが、それでも多くの人々が前向きに立ち向かっています。その中で、多くの人々の心の支えとなる歌があります。それが坂本九の名曲「上を向いて歩こう」です。

この曲は、東日本大震災以降、復興を願う人々に力を与え続けています。この記事では、「上を向いて歩こう」の歴史や意義、そして復興支援イベントなど、さまざまな観点から紹介します。

3.11 東日本大震災

『上を向いて歩こう』

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「上を向いて歩こう」は、1961年に日本の歌手・坂本九が発表した楽曲で、日本のポピュラー音楽史上、非常に有名な曲の一つです。この曲は、楽曲の中で「世界は広い 」というフレーズがあり、ポジティブなメッセージが込められています。特に、2011年に発生した東日本大震災の際には、被災者を勇気づける名曲として再び注目を浴びました。震災の被害に遭った地域では、この曲が復興を目指す人々のシンボルとして取り上げられ、多くの人々に励ましを与えました。

日本中で歌われる復興ソング!

「上を向いて歩こう」は、東日本大震災後に再び注目を集め、大手企業のCMに採用されたり、テレビ番組でも取り上げられるなど、復興ソングとして再度注目されることとなりました。

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「上を向いて歩こう」プロジェクト

「上を向いて歩こうプロジェクト」は、2011年7月に神戸市で発足した、被災地支援のための活動。このプロジェクトは、土井考純さんらの呼びかけに賛同した人々が集まり、毎月11日に神戸市のどこかで「上を向いて歩こう」の合唱を行うことで、被災地の復興を願うとともに、被災者や支援者の思いを共有することを目的としています。

この活動は、神戸市をはじめ、全国各地で展開されており、筑波、岡山、奈良、栃木、船橋など、プロジェクトとして取り組むグループが増え、広がりを見せています。

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SUNTORY「希望の歌バトンリレー」

サントリーホールディングス株式会社は、東日本大震災を受けて制作した「希望の歌」を届けるCMを制作し、話題になりました。このCMは、震災の被災地で暮らす子供たちが、ピアノや合唱などの音楽を通じて、希望を見出し、未来に向けて前進していく姿を描いています。また、このCMでは、ピアノ演奏には菅野よう子さん、歌唱には松田聖子さんが参加しています。

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多くの著名人が歌をつなぐ

「希望の歌」には、矢沢永吉、竹内結子、小雪、石原さとみ、檀れい、吉高由里子、高橋克実、トミー・リー・ジョーンズなど、各商品のCMなどでおなじみの71名が出演しました。

このCMには、ギャランティーの発生しない、厚意での出演という形態が取られており、多くの人々に感動を与えるとともに、被災地支援に対する意識を高めることにも貢献しました。また、このCMの制作にあたっては、坂本龍一がピアノを演奏しており、音楽界の第一人者が参加することで、このCMの内容に深みを与えています。

CMながら、商品の宣伝を一切せず、ヘッドホンを付けた出演者たちがマイクに向かって切々と歌う姿がバトンとなってリレー形式で歌をつなぎ、最後に曲名と「SUNTORY」のロゴが入るという構成となっています。

このCMには、ギャランティーの発生しない、厚意での出演という形態が取られており、多くの人々に感動を与えるとともに、被災地支援に対する意識を高めることにも貢献しました。

8つのバージョンが作られた

この「希望の歌」には、2曲それぞれにA~Cと、30秒と60秒のバージョンが用意されており、全部で8つのバージョンが存在します。それぞれのバージョンによって、出演者や歌詞の内容に若干の違いがあり、それぞれのバージョンが放映される状況によって使い分けられています。

「少しでもたくさんの人の気持ちに絆の和を広げていくことが出来れば」

サントリーホールディングス株式会社のホームページには、「希望の歌」のバトンリレーについて、以下のようなメッセージが掲載されています。

「この度の東日本大震災により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。私たちサントリーグループは、一日も早い復興を願っています。希望の歌のバトンリレーを行うことで、少しでもたくさんの人の気持ちに絆の和を広げていくことが出来ればと思います。多くの方々にご協力いただき、心より感謝申し上げます。」

このメッセージからも、サントリーがこのCM制作を通じて、被災地への支援や復興のための一助を提供することを目的としていることが伺えます。

日本人の絆

坂本九さんの『上を向いて歩こう』と『見上げてごらん夜の星を』は、多くの日本人にとって親しみのある楽曲です。そして、このCMで、坂本九さんの楽曲が71名の出演者たちによってバトンリレーで歌われる姿は、確かに日本人の絆を感じさせるものがあります。特に、坂本九さんが亡くなってからも50年以上経過しているにもかかわらず、今なお多くの人々に愛され、その楽曲が被災地で勇気と希望を与え続けていることも、この映像から感じられます。

ベン・E.キングが贈る、日本へのエールと愛をこめた「上を向いて歩こう」

1963年に「SUKIYAKI」というタイトルで全米シングルチャートで3週連続1位を獲得し、世界各国でも異例のヒットを記録した「上を向いて歩こう」は、その普遍的な魅力で多くのアーティストに愛されています。同じ頃に大ヒットとなったスタンダード曲のひとつがソウル界のレジェンド、ベン・E.キングの「Stand by Me」です。

大ヒット曲「Stand By Me」

ベン・E.キングが歌う「Stand by Me」は、1961年に発表され、世界的な大ヒット曲となりました。この曲は、その後も多くのアーティストによってカバーされ、映画やテレビドラマ、コマーシャルなどでも使用され、今なお世界中で愛され続けています。また、1986年には、ロブ・ライナー監督による映画『スタンド・バイ・ミー』が公開され、この映画は批評家から高い評価を受け、社会現象ともなりました。

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14回に渡る来日で培った親日家の心

過去に14回もの来日を果たした親日家のベン・E.キングは、震災の影響を受けた日本に対し、「ぜひ、励ましの意味を込めて私も歌いたい」という思いから、日本語の猛特訓をしてレコーディングに臨みました。

「何年も前の曲を再レコーディングしたり、初めての挑戦で日本語で歌ったりした。自画自賛ですが、よくできたと思う。多くの時間を日本語のレッスンに費やしました」と渋めのソウルフルな声で振り返った。彼は「訪れた国には愛着を持つので、パーソナルなことと受け止めた。自分も妻も心を痛めて、知り合いの安否確認をした。9・11と同じ感覚を持っている。一生忘れることはできないけど、それを乗り越えていってほしい」と日本にエールを送りました。

ベン・E.キングはこのレコーディングに向けて、一ヶ月半もの時間をかけて日本語を猛特訓したと言われています。そして、レコーディング当日は70代という高齢にも関わらず、集中力を高めるために、5時間にわたり立ちっぱなしでヴォーカル・トラックのレコーディングに挑みました。

こうした熱意が伝わるアルバム『Dear Japan, 上を向いて歩こう』は、日本の人々に大変感謝され、心からの励ましとして受け入れられました。

ベン・E.キングは、「上を向いて歩こう」について、「私にとってのSukiyaki(「上を向いて歩こう」)はジョン・レノンが「stand by me」に込めた思いと同じだと思います。命が宿っているような曲と出会うと、その一部に関わりたくなるんです。私たちのようなソングライターは言葉とつながっている。素晴らしい意味を持つ曲は歌いたくて仕方なくなるのです。日本語で歌うことで敬意を表したい。そしてこれは非常に難しいことですが、挑戦してみたい、と思いました。挑戦は受けて立つもの、ですね。」と語っています。

売り上げは被災者へ

「Dear Japan, 上を向いて歩こう」のアルバムからの「I Miss You」の売り上げの一部は、日本赤十字社を通じて東日本大震災の被災者へ寄付された。

ベン・E.キングの想いが込められた「上を向いて歩こう」は、復興のシンボルとして、そして国際的な友情の証として、日本の人々に勇気と希望を与え続けています。

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坂本九の娘が継承する「上を向いて歩こう」の歌声

東日本大震災直後から被災地の復興ソングとして歌われている「上を向いて歩こう」を歌い、手作りのライブを届けている歌手がいます。

齋藤匠/YouTube
音楽の力で勇気と希望を与える大島花子の活動

それが坂本九の長女、大島花子です。彼女は、もし父が生きていたら、まっさきに被災地に歌を歌いに行っていたんじゃないかと語っています。

2011年の地震災害直後、坂本龍一氏の代表曲「上を向いて歩こう」が被災地の復興ソングとして歌われていた中、音楽家の大島英子さんは、自分でも何かできないかと考え、福島県内で炊き出しライブを行いました。以来、東北各地へ地道に足を運び、活動が人づてに伝わり、「大島の歌が聴きたい」という被災地からの依頼が後を絶たなかった。

大島花子は、自身が持つ音楽の力を被災地の人々に届けるために、毎年東北を中心にライブを行っています。また、震災から10年目の2021年には、坂本九の楽曲を中心にしたコンサートを開催し、被災地の方々に勇気と希望を与えました。彼女は「音楽は心の支えになる。私が歌で少しでも励ませられたら、うれしい。被災地に足を運び、歌で支えていきたい」と語っています。

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大島花子が届ける「上を向いて歩こう」と「Lumiere」のメッセージ

震災から約1週間後、生後6カ月の子がいる仙台市の友人から助けを求める連絡が大島さんに届きました。流通がストップし、粉ミルクが手に入らないという状況でした。大島さんにも2歳の男の子がおり、子どもにミルクを飲ませられない状況を想像すると、心が痛みました。ツイッターで呼びかけると、仙台市に住む知人の母親が粉ミルクを届けてくれることになり、また「郵送します」と言ってくれる人も現れました。

周りには困っている人たちがたくさんいて、何もできない自分にやりきれない気持ちを抱える人もたくさんいました。そんな中、大島さんは自分に何ができるのかと考え、自分自身を奮い立たせるような歌を作ることにしました。「小さな光でも集められたらきっと未来を照らすことができる」という思いを、遠く離れている友人に伝えたかったのです。できあがった歌が「Lumiere」でした。

チャリティーイベントで「Lumiere」を披露すると、会場にいた母親や女性たちが涙に包まれました。その後、ブログなどで話題になり、CDとして発売されることになりました。そのCD1枚(1000円)につき700円が国際NGOのジョイセフに寄付され、被災地の女性や妊産婦の支援活動に使われることになりました。

大島さんの歌や活動は、被災地の人々に希望と勇気を与え、多くの支援が集まるきっかけとなりました。音楽を通じて、彼女は被災地の人々を助け、復興への道のりを照らす光となりました。

Hanako Oshima/YouTube
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圧倒的な包容力を持つ至福の歌声に流れた一粒の涙。大島花子の4年振り、待望のセカンド・アルバムが遂に完成!プロデュース&アレンジに、桑原あい、笹子重治、西村由紀江を迎えた意欲作! (C)RS

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