ヒゲドライバーという日本のチップチューンクリエイターをご存知でしょうか?8ビット時代のコンピューターやゲーム機で使用されていたサウンドチップを用いて制作される音楽で、独特のデジタルな音色が特徴です。
ヒゲドライバーは、TVアニメ音楽やゲーム音楽を中心に活躍しており、現在のチップチューン界を牽引するミュージシャンの一人として知られています。彼の音楽的ルーツにはフォークソングが大きな影響を与えており、学生時代には「ゆず」に憧れていたそうです。
この記事では、ヒゲドライバーがどのようにしてチップチューンに出会い、どのような音楽を制作しているのかを詳しく紹介しています。興味がある方は、ぜひ一度ご覧ください。
ヒゲドライバー
チップ・チューン クリエイター「Hige Driver」
ヒゲドライバーは、日本のチップチューン(8ビットミュージック)クリエイターで、TVアニメ音楽やゲーム音楽を中心に活躍しています。チップチューンは、8ビット時代のコンピューターやゲーム機で使用されていたサウンドチップを用いて制作される音楽で、独特のデジタルな音色が特徴です。
この投稿をInstagramで見る
初めて音楽に触れたのは「ゆず」
ヒゲドライバーが現在のチップチューン界を牽引するミュージシャンになるまでの経緯は興味深いものがあります。彼が初めて購入したCDが「スピッツ」であり、学生時代に「ゆず」に憧れていたことから、彼の音楽的ルーツにはフォークソングが大きな影響を与えていることがわかります。
彼が中学2年生の頃にギターを始めたのは、モテたいという動機からでした。しかし、バンドを組もうと試みたもののメンバーが集まらず、一人でも音楽ができる方法を模索する中でDTM(デスクトップミュージック)と出会ったのです。DTMは、パソコンを使って音楽制作を行う手法で、多くのミュージシャンにとって画期的な技術です。
DTMとの出会いをきっかけに、ヒゲドライバーは音楽制作の世界にどっぷりとハマり、やがてチップチューンと出会うことになります。
テキス音楽「サクラ」を使って打ち込みで音楽制作
ヒゲドライバーが最初に使い始めた音楽制作ソフト「サクラ」は、テキスト音楽フリーソフトで、ドレミファソラシドを文字で入力することで音が鳴るという独特のシステムを持っていました。これは実際にMML(ミュージックマクロランゲージ)を使用して音楽を打ち込む方法で、プログラミング的なアプローチを取り入れた音楽制作の一形態です。
サクラはユーザーコミュニティが充実しており、ヒゲドライバーもそのコミュニティの助けを借りながら、音楽制作の技術を学んでいきました。
「ModPlug Tracker」数値で打ち込む音楽制作
次に使い始めたのは、muzieというプラットフォームで、そのタイミングで音楽制作ソフトも変更しました。「サクラ」では音色に限界を感じており、もっと生っぽい音や自分の好みの音色を使いたいと考えていたところ、ModPlug Trackerというソフトを知ったという。
ModPlug Trackerは、数値やアルファベットを入力して「打ち込む」ことで作曲を行うトラッカーソフトウェアです。ゲーム機のサウンドだけでなく、トラック数などの特徴も再現できるため、制限の中で作曲を進めることができました。
DTMソフト「Cubase」の移行!
ModPlug Trackerの自由度はDAWに比べて低く、また現在の開発があまり進んでいないため、徐々にCubaseというDAWに移行していきました。
ヒゲドライバーはVSTやソフトシンセとして、Native InstrumentsやWavesなどの製品をメインに使用しています。
インターネットに楽曲を投稿する日々を送っていましたが徐々に「muzie」や「myspace」などを中心に注目を集め、現在では数々の有名アーティストに楽曲を提供する偉大なミュージシャンとして活躍しています。人気番組「ゴットタン」のヒム子の楽曲も、彼が手がけたものです。
放送ありがとうございました!半ループしかできなかったけど、こんな感じでピコピコアルバム作ってるよ pic.twitter.com/w4dCN8xV6x
— ヒゲドライバー (@higedriver) September 12, 2018
この投稿をInstagramで見る
ルーツは2008年にニコニコ動画で発表した「Hello Windows」
チップチューンサウンドを始めたヒゲドライバーの原点は、2008年にニコニコ動画で発表した楽曲「Hello Windows」です。この楽曲は、Windows XPの効果音だけを使って作られたもので、インターネット界隈で話題となりました。結婚後、同曲の映像に「結婚おめでとう」という文字が追加され、その再生回数は170万回以上を記録しています。
この曲について「Hello Windows」は仕事の息抜きで何気なく作ったもので、たまたま受け入れられるような形になったと語っていました。この楽曲がウケたことで、彼はチップチューンというジャンルにより深く関わることとなり、今日の彼の音楽活動に繋がっています。
チップチューンのためのソフトシンセ「Magical 8bit Plug」も使用
昔のゲームを彷彿とさせるピコピコ音を再現するために、「Magical 8bit Plug」や「Synth1」といったプラグインをよく使っています。
「Magical 8bit Plug」はチップチューン制作に特化したプラグインで、矩形波(ピコピコ音)を簡単に生成できます。「Synth1」は、カスタマイズ性に優れたソフトウェアシンセサイザーで、ピコピコ音を自由にカスタマイズできます。
ヒゲドライバーさんは、「自分のチップチューン生活は、Magical 8bit Plugに支えられてきたと言っても過言ではありません。初期の曲はほぼ全てに使ってたんじゃないでしょうか。」と語っています。彼はシンプルな矩形波(ピコピコ音)でさえも、さまざまなタイプを使い分けて、用途に応じて自由にバリエーションを持たせるこだわりを持っています。
チップチューン感を出すために基本magical 8bit plugとSynth1だけで作ってみました。しかし音数を増やすと結局チップ感が薄まってしまうので、難しいですね
— ヒゲドライバー (@higedriver) October 12, 2012
@t_ayanchu cubase使える人は、トラッカーなんかやんなくても、Magical 8bit Plugとか使えばゼンゼン問題ないと思います
— ヒゲドライバー (@higedriver) November 18, 2010
アルバム「〜UP」リリースから続々とリリース開始!
ヒゲドライバーさんは、自身のアルバムシリーズに「ゲドライバー1UP」、「ヒゲドライバー2UP」、「ヒゲドライバー3UP」といったタイトルを使用しています。これらのアルバムは、彼のチップチューンをフィーチャーした作品で、ゲーム音楽や電子音楽にインスパイアされた楽曲が収録されています。
自身のアルバムシリーズに「ヒゲドライバー1UP」、「ヒゲドライバー2UP」、「コスモドライバー∞UP」といったタイトルを使用しています。これらのアルバムは、彼のチップチューンをフィーチャーした作品で、ゲーム音楽や電子音楽にインスパイアされた楽曲が収録されています。
ヒゲドライバー 10th Anniversary Best
2016年1月20日(水)に、初のベストアルバム『ヒゲドライバー 10th Anniversary Best』を発売しました。このアルバムは彼の音楽活動10周年を記念した作品で、これまでの彼のキャリアを総括するものです。
『ヒゲドライバー 10th Anniversary Best』には、過去の代表曲や人気楽曲が収録されており、彼の音楽スタイルや成長を一度に楽しむことができます。
YouTubeでは「REMEMBER THE BEAT」のミュージックビデオを公開しています。このミュージックビデオは、過去作品のジャケットイラストやビジュアルを使用しており、彼の10年間の音楽活動を振り返ることができます。
自身の作品の他にも様々な楽曲を提供
自身の作品だけでなく、リミックスワークや歌手・アイドル・ゲーム・アニメへの楽曲提供など、幅広い分野で活動しています。彼はスピード感のあるキャッチーなメロディーを得意とし、インストゥルメンタルのチップチューンから歌ものロックまで、幅広いジャンルの曲を制作しています。
この多様な活動により、さまざまなアーティストやプロジェクトに影響を与え、音楽業界で独自の地位を築いています。
一躍有名になった楽曲「回レ!雪月花」
「回レ!雪月花」は、ヒゲドライバーにとって大きな転機となった楽曲です。この楽曲は、テレビアニメ『ツキウタ。』のオープニングテーマとして使用され、ヒゲドライバーがアニソンシーンで知られるようになるきっかけとなりました。
ボカロPcosMoとのコラボ!「コスモドライバー∞UP」
「コスモドライバー」とは、ニコニコ動画で人気のクリエイターである”cosMo”と”ヒゲドライバー”がコラボレーションした音楽プロジェクトです。両者の名前を合わせて「コスモドライバー」と名付けられました。
彼らの最初のアルバムは『コスモドライバー∞UP』というタイトルで、お互いが手がけた楽曲をアレンジし、作詞・作曲を共同で行い、相手の楽曲を歌うという、完璧なコラボレーションが実現されました。
バンド結成!その名も「ヒゲドライVAN」
“ヒゲドライバー”率いる4ピース・バンド”ヒゲドライVAN”は、アニメ・ソングやアイドル楽曲、音楽ゲームのクリエイターとして活躍する”ヒゲドライバー”が率いるバンドです。”ヒゲドライVAN”は、”ヒゲドライバー”が以前から切望していたバンド活動の一環として、楽曲制作やMV制作を行うためのクラウドファンディングによる支援を行いました。
その結果、目標を大きく上回る150万円を集めることに成功し、”ヒゲドライVAN”が作る音楽への期待と信頼が証明されました。
クリエイターユニット「Heart’s Cry」
“ヒゲドライバー”は、ゆよゆっぺと共にクリエイターユニット「Heart’s Cry」としても活動しています。両者は、アニメーション制作会社SANZIGENとのコラボレーションで知られることとなった、テレビアニメ『蒼き鋼のアルペジオ』の楽曲を担当しました。その際、”ヒゲドライバー”とゆよゆっぺは、Tridentというユニットを結成し、3年以上にわたって活動を行いました。
バンドじゃないもん!/Q.人生それでいいのかい?
「バンドじゃないもん!」の5周年を記念して2017年10月に発売された「Q.人生それでいいのかい?」は、5000枚限定での発売と、発売日まで楽曲の情報を解禁しないという試みが行われた作品です。
この試みには、よくわからないものに対する価値や作り手への信頼を挙げており、注目を集めました。しかし、その背景には、ファンとの信頼感が確立されているからこそ、このような試みができたと言えます。
「Q.人生それでいいのかい?」の作曲・編曲を担当したのは、ヒゲドライバー、ゆよゆっぺらによるユニットHeart’s Cryで、バンドじゃないもん!のこれまでの楽曲にはなかった、バンドサウンド全開の楽曲に仕上がっています。この作品は、バンドじゃないもん!の新たな可能性を示した、注目すべき作品の一つと言えます。
ボカロPとしても活動を開始!!
2018年10月19日に投稿した「ボカロPになりたい」にて、ボカロPデビューを果たしました。この楽曲には、初音ミクや鏡音リン・レンなどのVOCALOID音源が使用されており、”ヒゲドライバー”のボカロPとしての才能が発揮された作品となっています。
ピコピコ作ってる裏で、ヒゲドライバー ボカロP化計画、着々と進んでいます pic.twitter.com/bssUdDgKMU
— ヒゲドライバー (@higedriver) September 29, 2018