日本の音楽シーンに大きな衝撃を与えた若手歌手、Ado。彼女は17歳最後の日に発表したメジャーデビュー曲「うっせぇわ」で、一躍有名となりました。
以来、「ギラギラ」と「踊」を含む数々の楽曲が人気を博し、彼女の名前は今や全国区に知れ渡っています。しかし、Adoは匿名性の高い歌い手として活動しており、素顔はあまり知られていません。
今回は、その彼女の素顔にも迫りながら、彼女の音楽と人となりについて探ってみましょう。
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Ado (born October 24, 2002)
新時代の歌い手「Ado」
2021年の音楽シーンに大きなインパクトを与えたチェンジメーカー、Adoは、ボーカロ文化圏における「歌い手=ボーカリスト」の革命児として登場しました。
17歳最後の日である2020年10月23日にメジャーデビュー曲「うっせぇわ」を発表し、国民的ヒットを記録。その結果、2021年の流行語大賞にも選ばれ、Adoの名前は広く知られるようになりました。
代表曲「うっせぇわ」が圧倒的な人気を誇る一方で、2021年2月にリリースされた「ギラギラ」も評判が高く、累計ストリーム数が5000万回を突破し、日本レコード協会からゴールド認定を受けました。YouTubeに投稿されたMVは6000万回以上再生されています。
また、4月にリリースされた「踊」も人気で、ストリーム数は3000万回以上を記録し、日本レコード協会からシルバー認定を受けています。そのMVの再生回数も6000万回以上と好調です。
「ギラギラ」と「踊」のMVは、株式会社BitStarが発表した「2021年上半期動画再生数ランキング」でも高い評価を受けており、1位はYOASOBIの「怪物」でしたが、Adoが2位(「ギラギラ」)と3位(「踊」)を占める結果となりました。
顔出しなしで一気にスターダムに駆け上がる!
19歳で一気にスターダムにのし上がったAdoは、匿名性の高い歌い手というスタイルを選びました。彼女にとって、それは自身に対する自信の欠如とコンプレックスが大きな要因でした。
勉強も運動も苦手で、特別人気者でも面白い人でもなかったため、顔出しをして活動することは最初から考えられませんでした。しかし、歌い手の人たちは顔も本名も明かさずに活動できることに魅力を感じ、自分にも何かできるかもしれないと思えたからです。
実際、Adoの素顔はライブで目撃されたことがあります。ステージ上で歌う彼女の顔は照明が落とされ、見えない演出になっていますが、最前列のお客さんの中には「いま顔が見えた!」という瞬間があるそうです。彼女は色白で、元欅坂46の平手友梨奈さんのような雰囲気の女性だと言われています。
背景にはアカウント名・ニックネームで呼び合うネットカルチャー
「ネット発のアーティスト」は、主にボーカロイド(ボカロ)を使用した楽曲制作が多く、制作者であるボカロPはニックネームや下の名前の愛称などで活動するのが主流です。クラシック音楽とは異なり、本名フルネームで活動する人が少ないという文化があります。
例えば、Adoの「うっせぇわ」では、クレジットに「Music & Lyrics & Arrangement」に加えて、「Movie」「Mix」「Image Director」が連なります。ビジュアルもセットにした楽曲制作と考えれば、歌い手が素顔を晒す必然性はなくなります。
2000年代以降に生まれた世代は、物心のつく頃にはすでにSNSが存在し、メディアリテラシー教育を学校で学んでいます。本名や所属先をTwitterのプロフィールに記載しないよう指導されたり、Instagramにクラスの集合写真を掲載する際はモザイクが必須になるような作法が小中学生のうちから一般的です。
かつて「本名・素顔非公開」というと、神秘性やミステリアスなイメージがありましたが、2020年代の本名非公開アーティストは、むしろ本名ではないことによる親近感が生まれています。
YouTubeのコメント欄を見ると、大半の人のアカウント名がニックネーム(ハンドルネーム)になっており、その中の一人としてアーティストも同じようなニックネームを名乗っているのです。
このような文化の変化により、本名や素顔を公開しないネット発アーティストに対する親近感が強まっていると言えます。
匿名が生む神秘性
Adoのように顔を出さずに活動することは、確かに神秘性を保つ効果があります。神秘性と言えば、1990年代の「ビーイング系」の歌手たちがテレビ出演を控えていた印象があります。
2022年には、ZARDのデビュー30周年記念のライブが東京と大阪で開かれ、大黒摩季、DEENの池森秀一、FIELD OF VIEWの浅岡雄也ら豪華な顔ぶれが集まりました。90年代には、彼らがミリオンヒットを連発し、カラオケとの相性が良い歌いやすい派手な曲が多かったことがブームを生み出しました。
現在はカラオケに代わって、ネット上での歌唱映像公開が人気となっており、コロナ禍がこの傾向を加速させています。歌いたくなる曲が支持される状況は90年代と似ていますが、楽曲の難易度が高くなり、それを歌いこなす側の技術も向上しているのが今の特徴と言えます。
名前の由来は狂言?「アドとシテ」
Adoは、自身の名前が狂言の役回りである「シテ」や「アド」からインスピレーションを受けていることを明かしています。彼女が小学生の時に狂言について学び、「アド」という響きがカッコいいと感じたことが、芸名の由来となっています。
Adoが歌い手としてこれまで歌ってきた曲は、ボカロPが提供した作品であり、実体験ではなく物語を演じる役回りであることを強調しています。Adoという名前で脇役を意味する「アド」を選んだことで、彼女は楽曲を通して物語の一部として演じる立場を表現しているのです。
ある日の小学校の国語の授業が柿山伏という狂言について知る授業だったんですけど、とりあえず教科書をぼ~っと読み漁っていたら、シテ と アド という2つの単語が目にとまったんです。そこでアドを取りました……授業の内容を理解して取ったわけではなく、ただ単純に響が良くて取りました……
— Ado (@ado1024imokenp) January 4, 2020
Adoが語るボカロ愛!
Adoは、2021年を振り返りながら、自分自身が他人の人生を代わりに生きているかのような経験をしていた。
それでも彼女は、自分自身がボーカロイド・シーンの一員であり続けることを崩さず、代表的存在であるつもりはなく、あくまで自分をきっかけにボーカロイドや歌い手の文化を広めることができたらと思っていることを明かしていた。
彼女は、ボカロそのものが好きで、特に初音ミクや鏡音リン・レンなどのボカロキャラクターが大好きだと話し、彼らの声を調教しているボカロPさんたちが素晴らしいと讃えていた。ボカロPさんたちは、自由にボカロの声を表現することができ、そのため、ボカロが本当に生きているかのように聞こえることに感動していた。
初音ミクを上手に表現できている曲を聴くと、「初音ミクうまっ! うわー!」と声を出してしまうほど、ボカロに熱い思いを抱いていた。また、彼女は、自分がボカロの文化を広めるきっかけになっていることに誇りを感じていた。
Adoは、ボカロ曲を自分の声で歌う際、以前はこう歌ってみようというリファレンスを持っていたが、最近ではボカロの声質に合わせたり、本家の世界観に合わせて歌うようにしていると語る。
しかし、そうとはいっても、すごく考えているわけではなく、感覚と思考が半々でやっているとのこと。
ミクがこう歌っているけど、ここのフレーズは私も遊んで表現しようかなとか、歌詞の心情に合わせて声を切なくしたり、怒って聴こえるようにしたりしているそうです。結果としては、自分なりの表現を追求しているようです。
変幻自在の歌声でボカロ曲を歌いこなす!
Adoの魅力は、素顔が公開されておらず実態が謎に包まれていることもありますが、何よりもその卓越した歌唱力にあります。人間が歌うことを前提に作られていないボーカロイド曲も見事に歌いこなす彼女は、力強い低音から鋭い高音まで幅広い声域を自在に操ります。さらに、多重人格のように声色を切り替えて歌詞の世界観を豊かに表現することができるのも、彼女の大きな魅力の一つです。
Ado History
Ado誕生ストーリー
幼い頃から内気なタイプであったAdoは、人前に出ることが苦手な性格でした。
中学生の時フリーホラーゲームの実況とマインクラフトの実況とニコニコ技術部の動画しか見てなかった
— Ado (@ado1024imokenp) April 8, 2021
Adoは誰かの青春になれるかしら でも私の青春って言ったら、ボカロと歌い手とニコニコ動画とうごメモとアニメと〇〇プロジェクトだから、まずは私がプロジェクトを……始めるしか……
— Ado (@ado1024imokenp) October 16, 2020
幼い頃の憧れはディズニープリンセス!
Adoさんは、幼い頃からディズニープリンセスに憧れを持っていました。彼女が音楽に触れるきっかけは、3、4歳の頃に父親のレコードやディズニーのCD・DVDを聴くことでした。彼女は父親が音楽好きだったことから影響を受けたと考えています。
ディズニープリンセスの作品には、劇中で歌が披露されるシーンが多くあります。その美しい歌声や昔ながらのクラシカルな雰囲気、オーケストラの音色、アニメーションが音楽に合わせて動く様子に魅了されていました。
ディズニープリンセスのいいところは「結婚しろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」って叫んだら大体みんな結婚してくれる
— Ado (@ado1024imokenp) January 3, 2021
小学校時代の夢は漫画家かイラストレーター!!
Adoは、小学生の頃に漫画家やイラストレーターになることを夢見ていました。しかし、彼女は自分が目立つ存在ではなく、地味で内気な性格だったと振り返ります。クラスでは絵を描くことが好きで、趣味が合う友達と話す程度で、目立つ人たちを避けていたそうです。
学校では、絵を描くことが大好きで、自由帳に絵をたくさん描いていたと言います。彼女はイラストレーターになりたいと思っていたが、同じ学校に上手な絵を描く子がいて、その子たちの絵を見て自分の絵が劣っていると感じ、劣等感を抱いていたことがありました。
パソコンでニコニコ動画を視聴!そこでボカロにハマる!
小学1年生の頃、Adoは従妹の家で「悪ノ娘」と「悪ノ召使」の二次創作動画を見せてもらい、ボカロに興味を持ち始めました。当時、彼女の周りではボカロがあまり流行っていなかったが、偶然ボカロが好きな子と出会い仲良くなりました。
その子との出会いは、カゲロウプロジェクトのファイルを持ち歩いているのを見かけたことがきっかけでした。当時はボカロを楽しむには主にニコニコ動画を見るしかなく、小学1年生のAdoさんもインターネットの世界に飛び込んでボカロに触れていたと言います。
彼女はニコニコ動画のコメントや特有の空気感、妙なところで盛り上がる様子が大好きだと語ります。
ボカロ曲を人が歌っているのを聴いて歌の世界へ!
そんなAdoさんが音楽に興味を持ち始めたのは2014年で、小学校6年生の時でした。彼女は高音で早口のボカロ曲を歌いこなす歌い手の存在を知り、自分も歌い手になりたいと思うようになりました。
ニンテンドー3DSでニコ動を視聴
Adoは、2012年2月にニンテンドー3DSでニコニコ動画が視聴できるようになったとき、すぐにそのソフトを利用し始めました。
彼女は3DSの小さい画面からニコニコ動画を開き、「顔がわからないのにこんなに歌を聴いてもらえる人がいるんだ」と感動していました。彼女はボカロ曲や歌い手について、楽しいソフト『うごくメモ帳』を通じて知りました。
Adoが憧れていた歌い手には、そらるさん、まふまふさん、After the Rain(そらるさんとまふまふさんのユニット)、りぶさん、ウォルピスカーターさん、96猫さん、天月さん、伊東歌詞太郎さんなど、たくさんの歌い手がいました。
特にカゲロウプロジェクトの楽曲が高音であり、その音域の声を出したくて、何十回も部屋で練習していたといいます。
歌い手に憧れた理由は、顔も名前もわからない状態で、歌だけで人々を魅了している点にありました。歌い手は、今の彼女のアイコンのように、キャラクターのイラストが自分として認識されることが多いです。
アニメやボカロが好きだった彼女にとって、このスタイルにも強い憧れがありました。彼女は、何もできない自分でも、姿を見せず声だけで人を魅了する「歌い手」という活動ができるのではないかと考えていました。
3DSでピコピコニコニコ動画を見て、うごくメモ帳で謎の歌ってみたみたいなものを投稿していた頃が、黒歴史でもあるけどめちゃくちゃ楽しかった
— Ado (@ado1024imokenp) September 24, 2021
歌い手としての初投稿!「君の体温」の歌ってみた動画
2017年1月10日にニコニコ動画にボカロ楽曲「君の体温」の歌ってみた動画を投稿し、歌い手としての活動を始めたAdo。彼女は中学2年生のときに初めて歌ってみた動画を投稿しました。
小学6年生の頃から歌い手に憧れていたため、できることならすぐにでも始めたい気持ちがあったものの、動画投稿をしている周囲の人はいなかったし、パソコンの知識も独学で学んでいたため、気づいたら中学2年生になっていました。
Adoは、インターネット上に自らの歌を投稿することに対して躊躇や不安は全くなく、歌い手やボカロPの動画を見ることが大好きで、ネット上のその世界に触れると元気になれると話しています。
彼女は元々歌うこと自体は好きでしたが、あまり人前に出るタイプではなく、歌い手の活動を始めてから今のような状況になっていることに、自分でも驚いています。
歌い手として活動を始めた当初、Adoは様々な妄想をしていました。ニコニコ超会議やニコニコ超パーティーに出演してみたい、有名な歌い手さんと話してみたい、ネットの番組にゲストとして呼ばれたいなど。また、ライブをしたいという思いもありました。彼女にとって、声だけでたくさんの人を楽しませる歌い手さんの活動はとても魅力的で、そういった人たちと同じような人になりたいという思いがあったといいます。
独学で自分の歌い方を作り上げた!
Adoは多くのボカロの歌い手に刺激を受け、何度も何度も楽しく歌い続けるうちに、感情を発動させる現在の歌い方になりました。彼女はすべて独学で学んだといいます。ボイストレーニングに行ったこともあるそうですが、続かず、身近な人から歌い方について指摘されたこともありましたが、彼女は自分の歌い方を貫きました。
特に、歌詞をありのまま表現したいという思いが強く、例えば怒っているフレーズであれば、がなり声を使ってさらに怒りを表現できる歌い方にするなど、感情を大切にして歌っています。
初投稿に「君の体温」を選んだのはゲームに収録していたから!
Adoは、幼い頃からゲームが大好きで、ニンテンドーDSを中心に任天堂のゲームをプレイしていました。彼女は小学3年生のころ『ポケットモンスターブラック・ホワイト』にハマり、友達と通信対戦を楽しんでいました。また、アーケードゲームもプレイしており、周りと比べてもゲーム好きだったと思われます。
その後、3DSの『初音ミク and Future Stars Project mirai』に出会い、そのゲームに収録されていた「君の体温」(クワガタP)にインスパイアされ、ニコニコ動画に初投稿をしました。Adoさんにとって、このゲームは非常に大切なタイトルであると言えます。
さらにAdoは、ゲームを通じて様々な経験を積み重ねてきたことが、現在の彼女につながっていると話しています。リズムゲームで出会った多くの楽曲が彼女の音楽のインスピレーションになっていることはもちろんのこと、『Project mirai』との出会いが彼女の歌い手としての活動を始めるきっかけとなりました。
また、フリーホラーゲームやストーリー性のあるゲームに触れることで、人々の心をつかむ物語やキャラクターを自分でも作りたいという思いが生まれたと言っていました。
“自宅のクローゼット”で録音をスタート!
Adoがニコニコ動画に『歌ってみた』動画を投稿し、音楽活動をスタートした際、最初は自分の部屋で録音を行っていましたが、中学3年生か高校1年生の頃にクローゼットでの録音に切り替えたそうです。
部屋での録音時に反響音が気になったことや、雑誌で見た歌い手さんがクローゼットで録音しているという記事が切り替えるきっかけとなったようです。防音効果を期待し、クローゼットでの録音を試みました。
最初は服に囲まれながら歌っていたそうですが、高校3年生の春頃に防音材を購入し、クローゼットに貼り付けた上で、大量の服をかけた状態で録音を行っていました。反響を止めることが目的でしたが、イメージ的にも良いと感じていたと語っています。
— Ado (@ado1024imokenp) February 5, 2021
Ado特有の歌声表現のきっかけ「キライ・キライ・ジガヒダイ!」
Adoが表現力豊かな歌声に気づいたのは、「キライ・キライ・ジガヒダイ!」という和田たけあきさんの曲を歌ったときだそうです。その曲で、がなるような声や激しい地声を使い始め、自分に合っていると感じたそうです。投稿した時に何かが掴めた感じがあったと語っています。
和田たけあきさんは、悪意やネガティブな感情をストレートに表現するボカロPです。「キライ・キライ・ジガヒダイ!」の歌詞が自分の心情と重なると感じ、その曲が何らかの扉を開くきっかけとなりました。
Adoさんは一人で活動し、再生回数が伸びないことや孤独を感じることがあったため、その歌詞に深く共感できたそうです。根暗で人にズカズカ行くタイプではなく、自我が肥大したようなわがままな気持ちも持っていたので、その部分も共感できたと話しています。
「金木犀 feat. Ado」注目されたきっかけの曲
Adoが注目を集めるきっかけとなったのは、2019年12月23日に配信されたくじらさんの楽曲「金木犀 feat. Ado」への参加でした。この曲でAdoさんの歌声が広く認知され、彼女の人気が急上昇しました。
この度、私が歌わせて頂いた金木犀のストリーミング配信が決定致しました……!とても嬉しいです…🌼 https://t.co/fCUT9YJxQe
— Ado (@ado1024imokenp) December 23, 2019
遅くなりましたが…金木犀400万回再生!ありがとうございます……!!https://t.co/hfploZ0tW6
— Ado (@ado1024imokenp) May 8, 2020
おはスタで金木犀流れたんですね……ついに……地上波デビュー……
— Ado (@ado1024imokenp) May 26, 2020
金木犀/flower
『金木犀』は、2019年12月に公開されたくじらのオリジナル曲で、VOCALOIDのflowerが歌っているバージョンと、Adoさんがフィーチャリングしたバージョンの2曲が同時に公開されました。この曲がきっかけで、Adoさんの歌声が多くの人に広まり、彼女の人気が急上昇しました。
2020年10月にリリースされたくじらのファーストフルアルバム『眠れない夜にカーテンをあけて』には、flowerが歌うボカロバージョンと、Adoさんが歌うバージョンの2曲が収録されています。これにより、ファンは両バージョンを楽しむことができ、Adoさんの表現力の豊かさが改めて評価されました。
「シカバネーゼ feat. Ado」一気にAdo知名度が広がる!
その後もAdoさんは、様々なクリエイターとコラボレーションし、彼らの楽曲に参加していました。2020年3月に発表されたjon-YAKITORYの「シカバネーゼ feat. Ado」は、Spotifyの国内バイラルチャートで1位を獲得し、彼女の知名度がさらに急速に上昇しました。
ボカロP「jon-YAKITORY」
2019年に公開された曲であるjon-YAKITORYの「シカバネーゼ」は、もともとボカロ曲として制作されていました。しかし、作曲家のjon-YAKITORYはAdoの歌声に魅了され、彼女に依頼してAdo版の制作が行われました。この曲のダークな世界観とミクスチャーロックが、Adoの歌声と相まって一石を投じたような効果をもたらし、シーンに新たな風を巻き起こしました。
Adoの歌声は、YouTubeやSpotifyなどのストリーミングサービス、さらにはTikTokなどで広がり、LINEミュージックのリアルタイムランキングでも人気が可視化されました。この新たな才能は、ボカロ文化圏だけでなく、J-POPやロック文化圏にアンテナを張っているミュージックラバーたちにも発見され、その存在はさらに広がっていくこととなりました。
jon-YAKITORI 様のシカバネーゼを歌わせていただきました。是非聴いてください…… https://t.co/QDw1fFT0dk
— Ado (@ado1024imokenp) March 29, 2020
ポニーキャニオンの企画アルバムに参加!
2020年5月に、Adoはポニーキャニオンの企画アルバム「PALETTE4」に参加しました。このアルバムには、syudouの楽曲「コールボーイ」と獅子志司の楽曲「絶え間なく藍色」の2曲でAdoさんが歌唱しています。これらの曲は配信限定でリリースされ、彼女の才能をさらに多くのリスナーに広めることになりました。
今回、ポニーキャニオン様からお誘いいただき
— Ado (@ado1024imokenp) May 6, 2020
・コールボーイ(syudou様)
・絶え間なく藍色(獅子志司様)
の2曲を歌わせていただきました。夢みたいです…気になった方はぜひフルで聴いてくださいね…… pic.twitter.com/J16cqlOYHj
芸能事務所(クラウドナイン)に所属!
その後もAdoは、初めての歌い手としてボカロPの楽曲で多くのファンを魅了してきました。その実力と魅力が認められ、2020年6月14日には株式会社クラウドナインに正式に所属することが発表されました。
株式会社クラウドナインにAdo(@ado1024imokenp )が所属する事になりました。
— 千木良卓也 (@chigira_takuya) June 14, 2020
これからも当社アーティスト達をよろしくお願いします。
プロフィールhttps://t.co/UsciGMDk6u
YouTubehttps://t.co/sIZOAUA5ga pic.twitter.com/ucVNCyVCa4
こういうことになったらしいです(^~^) よろしくお願いします…
— Ado (@ado1024imokenp) June 14, 2020
Adoさんこの度は事務所入り本当におめでとうございます😭😭あまりにもうれしいこのファン心をどう表現しようかと思ったところ結局私に出来るのはFAだと思ったので…!好きって言っていただけて本当に嬉しいです励みです…😂💕見ていただいてありがとうございました!
— ORIHARA (@ewkkyorhr) June 21, 2020
きっかけはシンガーソングライター「みゆはん」がAdoの歌声に心酔
Adoの所属事務所への移籍の背後には、シンガーソングライターの「みゆはん」が関与していました。みゆはんがネット上でAdoの歌声に出会い、その才能と魅力に心を打たれました。感動したみゆはんは自身の所属事務所を通じてAdoに接触し、「直接会いたい」という希望を伝えました。この出会いがキッカケとなり、Adoは後に株式会社クラウドナインに所属することとなったのです。
ありがとう😭💕Adoちゃんはあたしも羨ましいなって思うぐらい才能もすっごいあるから自信持って👊世の中見返してやろうぜ(👊 ˙-˙ )
— みゆはん (@bknb_mew) October 14, 2019
ついにAdoがメジャーデビュー!!!
2020年10月15日、ボカロシーンから飛び出し、その独特な歌声で人々の心を掴んでいたAdoがユニバーサルミュージックからのメジャーデビューを発表しました。そのデビューのきっかけは、意外な形での連絡から始まったことが明かされました。Adoによれば、レコード会社から直接TwitterのDMを通じてオファーが入ったそうで、彼女自身、初めはその連絡を「詐欺ではないか?」と疑っていたとのこと。
メジャーデビューへのカウントダウンとして、10月8日からYouTubeのストーリー機能やTwitterを活用し、毎日20時に新しい情報をファンに向けて発信していきました。そして、メジャーデビューを正式にアナウンスした際のツイートは、1日だけで約3万のいいねと約5000回のリツイートを記録し、多くのファンからの温かい祝福と期待の声が寄せられました。
「今までの自分を覆したい」
Adoは、自身が「表に出るタイプの人間ではなかった」と語るほど、内向的な性格を持っていたようです。彼女の音楽活動初期には、動画の再生回数が伸び悩む時期もあり、その中で彼女を支えたのは、過去の経験や自分自身への挑戦心からくる「今までの自分を覆したい」という強い意志でした。
学校の先生から「コミュニケーション能力がない」と指摘されたこともあり、それによって「私って本当にダメな人間なのか」と自己評価が低くなる瞬間もあったようです。しかし、このような否定的な意見や自身の限界を受け入れず、それを逆手に取るような気持ちで挑戦を続けることで、彼女の魅力や才能は徐々に人々の目に触れるようになりました。
この逆境を乗り越える経験が、彼女の芯の強さや持続するエネルギーの源となっており、その情熱と才能がレコード会社の関係者の目に留まることとなり、彼女の音楽キャリアの大きなターニングポイントとなりました。
デビュー曲「うっせわ」
10月23日に配信リリースとなるAdoのデビュー曲「うっせぇわ」。この楽曲の作詞・作曲、そして編曲は、ボカロシーンでその独自性と才能で知られるボカロP、syudouが手掛けています。
イラストレーター「ORIHARA」がAdoのイメージディレクターに就任!
アーティスト写真の裏には、アーティストの魅力や世界観を最大限に引き出す役割があります。Adoの場合、彼女がリスペクトするアーティスト、ORIHARAがその役割を担い、YouTubeやTwitterのアイコンなどでの絵も手掛けてきた経緯がある。今回、Adoのメジャーデビューを機に、ORIHARAはさらにイメージディレクターとしての役割を果たすこととなり、Adoのアーティストとしての一貫したイメージやブランドを築く手助けをしています。
一方、今作のジャケット写真はWOOMAが手掛けたもので、彼の持つユニークな作風が「うっせぇわ」という楽曲のテーマやメッセージと完璧にマッチしています。ジャケットに描かれた女性の姿は、まるでAdoが心の中の不満やフラストレーションを大声で叫び出しているかのような強烈なイメージを持っており、これにより楽曲の内容やAdoのアーティストとしての立ち位置がより一層際立っています。
株式会社クラウドナインにORIHARA(@ewkkyorhr)が所属する事になりました。https://t.co/dNyOLnP5Y8
— 千木良卓也 (@chigira_takuya) July 7, 2021
当社初のイラストレーターです。
今後ともよろしくお願いします。 pic.twitter.com/c5RTzwvVhA
コロナ禍の逆境からメジャーデビューの道を切り開いた!
Adoは高校生のころ、自らの未来を悩みながら考えていた。「私、将来、どうなるんだろう?」と自問自答していたものの、自分の内向的な性格やコンプレックスから、社会人として普通に働く姿を全く想像できませんでした。そんな彼女が唯一確信していたのは、歌い手としての活動を続け、何か印象的なことを成し遂げたいという思い。
そして、あるYouTubeライブ中に100~200人の視聴者に向けて、18歳までにZepp DiverCityでワンマンライブを行うという野望を大胆にも宣言しました。
しかし、Adoの夢である18歳でZepp DiverCityでのワンマンは、新型コロナウイルスの到来により、突如として遠のいてしまいました。
Adoは「夢が達成できないのではないか」という不安と戦いながら、その中で新たなチャンスを掴むことになります。ある日、事務所から「他に望みは?」との問いかけがあり、その答えとして「メジャーデビューを果たしたい」と返答した。
これが決定的なきっかけとなり、Adoはレコード会社との本格的な交渉を始めることとなります。そして、その結果メジャーデビュー曲「うっせぇわ」が生まれることとなりました。
Adoは誰かの青春になれるかしら でも私の青春って言ったら、ボカロと歌い手とニコニコ動画とうごメモとアニメと〇〇プロジェクトだから、まずは私がプロジェクトを……始めるしか……
— Ado (@ado1024imokenp) October 16, 2020
10/23デビュー曲
— Ado (@ado1024imokenp) October 14, 2020
うっせぇわ
詞曲・編曲 : syudou
ジャケット:WOOMA
SpotifyとApple Musicのpre-save/pre-addをしてもらえるとAdoが喜びます………
配信日に勝手にライブラリに追加される機能だそうです………https://t.co/ZdOBreWaex
ああ…いよいよ私はデビューするんですね………その次の日は誕生日なんですね……全部あっという間すぎてもはやわけがわかりません……なにしてたんだろう去年
— Ado (@ado1024imokenp) October 22, 2020
でもメジャーデビューする瞬間空中にいるとして……その次の日は誕生日だから……どうしようかな……またジャンプしようかな……
— Ado (@ado1024imokenp) October 22, 2020
ボカロシーンの流れを汲んだ大ヒット曲!「うっせわ」 ── 初音ミクと辿めぐるJ-POPとボーカロイドの歴史⑨