障害を超えた合唱団「ホワイトハンドコーラス」── スラムから世界に羽ばたいたオーケストラ ④

「ホワイトハンドコーラス」は、障害を持つ人々で構成される合唱団で、音楽を通じて障壁を乗り越え、世界に向けてその才能を発信しています。

この合唱団の活動は、障害がある人々が社会の中で活躍できる場を提供し、音楽の普遍的な魅力が人々を結びつける力を証明しています。

被災した子どもたちの未来に音楽を!エル・システマジャパンが灯した希望の光 ── スラムから世界に羽ばたいたオーケストラ ③ 
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この映像は、そのベネズエラから招待された約1200人のメンバーが、世界一の音楽祭で活躍する場面が収録されています。ベネズエラ国立児童交響楽団の指揮を務めたのは、ベルリン・フィルの首席指揮者サー・サイモン・ラトル。ラトルもまた、子供たちへの音楽指導に力を注いでおり、この「エル・システマ」の活動にも賛同しています。(「HMB&BOOKS」データベースより)

White Hand Chorus

障害を超えた合唱団「ホワイトハンドコーラス

El Sistema Connect/YouTube

「ホワイトハンドコーラス」(White Hands Choir)は、ベネズエラの音楽教育プログラム「エル・システマ」の一環として、1995年に同国で設立されました。

このコーラスは、特に聴覚障害者や聴覚に障害のある子どもたちを対象としており、音楽を通じて彼らの自信や社会性を向上させることを目的としています。

手話と歌の融合

「ホワイトハンドコーラス」は、聴覚障害のある子どもたちが中心となる「サイン隊」と、視覚障害のある子どもたちが中心となる「声隊」が共演する、独特のコーラス活動です。

サイン隊は手話で歌詞を表現し、その際に白い手袋を着用することから、「ホワイトハンドコーラス」という名前が生まれました。

このホワイトハンドコーラスは、障害を持つ子どもたちに音楽を通じて自己表現の場を提供するだけでなく、彼らが互いに協力し、共に美しい音楽を創り出すことを目指しています。

その躍動感溢れるパフォーマンスは、ザルツブルク音楽祭で絶賛されるなど、世界的な評価を受けています。

ホワイトハンドコーラスからは、プロのボーカルアンサンブル「ララ・ソモス」も生まれており、このような活動を通じて、障害を持つ子どもたちが音楽の世界で才能を開花させ、社会に貢献する機会を得ることができています。

SalzburgerFestspiele/YouTube

ボーカルアンサンブル「ララ・ソモス」

「ララ・ソモス」は、ベネズエラのエル・システマ特別教育プログラムに所属する楽団で、メンバーはそれぞれが困難を抱えながらも、卓越した音楽性を持つグループです。

英語で「We are Lara」という意味を持つ「Lara Somos」は、ベネズエラのララ州を指します。

エル・システマの創設者である故ホセ・アントニオ・アブレウ博士と、世界的に活躍する指揮者グスターボ・ドゥダメルの出身地であり、エル・システマの活動はこの地から始まりました。

視覚障害者を中心としたララ・ソモスは、障害のある子ども向けのプログラムから生まれました。

彼らの演奏は、合唱と白い手袋をはめて手話で歌詞を表現する「ホワイトハンドコーラス」、そして民族楽器の演奏が組み合わさっています。

El Sistema Connect/YouTube
幅広い音楽を演奏!

ララ・ソモスのレパートリーは、クラシックやラテンアメリカの音楽から、ベネズエラの民衆音楽・民謡・伝統音楽まで幅広く演奏します。

さらに、クラシックからジャズ、民族音楽までと幅広いジャンルにわたり、優れたアレンジによる高度なアンサンブルを披露しています。

これらの演奏を通じて、ララ・ソモスは障害を持つ子どもたちが音楽の世界で才能を開花させ、社会に貢献する機会を提供しています。

ザルツブルク音楽祭

2013年には、ララ・ソモスはザルツブルク音楽祭に招かれ、その美しいハーモニーが大変評価されました。彼らの演奏はテレビで収録され、全国で放送されるほどの注目を集めました。

これにより、ララ・ソモスの活動がさらに多くの人々に知られるきっかけとなり、音楽を通じた障害者の可能性や才能を広く伝える役割を果たしました。

El Sistema/YouTube
日本でも公演!

2017年、ララ・ソモスは日本で初来日公演を行い、その演奏が大変話題となりました。彼らの独特な魅力と高い音楽性が注目を集め、多くの人々に感銘を与えました。

その後も、ザルツブルク音楽祭に再度招聘されるなど、世界中で活躍の場を広げています。

El Sistema Japan/YouTube

日本でも結成!?「東京ホワイハトハンドコーラス」

2017年6月に日本で結成された「東京ホワイトハンドコーラス」は、聴覚障害のある子どもたちを対象にしたコーラス活動で、「手歌」を行うサイン隊と、視覚障害のある子どもたちを中心とする声隊が一緒に演奏することを目指しています。

このような活動を通じて、障害の有無にかかわらず、子どもたちが自分らしさを大切にしながら、互いに思いやりを持って共生できる社会を目指しています。

「東京ホワイトハンドコーラス」は、2017年10月に東京芸術劇場で開催された「エル・システマ・フェスティバル2017 ガラコンサート」でデビューし、その後2018年6月には、盲の子どもたちを中心とするコーラス隊「声隊」も結成されました。

2018年12月1日に開催される「エル・システマ・フェスティバル2018 ガラコンサート」では、「サイン隊」と「声隊」が初共演する予定で、その公演に向けた練習風景が取材されました。

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ホワイトハンドコーラスNIPPON

東京ホワイトハンドコーラスを母体として、2020年4月にホワイトハンドコーラスNIPPONが設立されました。

現在、約40名の子どもたちが東京と京都で活動しており、距離を超えてオンラインで練習を続けています。これまで京都での活動を経験してきたことを背景に、2020年から京都支部も本格的に始動しました。

El Sistema Japan/YouTube
ベネズエラと日本の「ホワイトハンドコーラス」の共演!!

2017年10月に開催された『エル・システマ・フェスティバル2017』では、東京芸術劇場で、「東京ホワイトハンドコーラス」、「相馬子どもコーラス」、ベネズエラから来日した「ララ・ソモス」、ホワイトハンドコーラス、被災地支援から生まれた大人の「フェローオーケストラ」など、国籍、年齢、コミュニケーション方法が異なるグループが共演しました。

それぞれの個性が音楽を通じて結びつき、一層の輝きを放つ音楽によって、ステージと客席で共創の力が実感できました。

2017年11月21日に東京芸術劇場のリハーサルルームで開催されたベネズエラ発の「ホワイト・ハンド・コーラス」のワークショップでは、白い手袋をはめ、手話に基づく手の演技で「合唱」する方法が紹介されました。

この活動の目的は、聴覚障害や自閉症などのために声を出して歌えない子供たちが、健常者と一緒に合唱を楽しめる環境を作ることです。

ワークショップには健常者を中心に22人が参加し、19人の合唱団とともにピアノ伴奏で「手歌」を体験学習しました。

白い手袋をはめた参加者たちは、指揮者の指示に従って手を動かして合唱を演じました。

ベネズエラから来日したシモン・ボリバル音楽財団のナショナルコーディネーター、レオナルド・メンデスは、「手話そのものとは異なる。歌える人も手を使って演じる。コーラスの中で手を使って演技する発想が生まれる」と語りました。

このような取り組みによって、障害の有無に関わらず、さまざまな人々が音楽を楽しむことができるようになっています。

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この映像は、そのベネズエラから招待された約1200人のメンバーが、世界一の音楽祭で活躍する場面が収録されています。ベネズエラ国立児童交響楽団の指揮を務めたのは、ベルリン・フィルの首席指揮者サー・サイモン・ラトル。ラトルもまた、子供たちへの音楽指導に力を注いでおり、この「エル・システマ」の活動にも賛同しています。(「HMB&BOOKS」データベースより)
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