「テクノ法要」という新しい仏教の形について、福井市にある浄土真宗本願寺派・照恩寺の朝倉行宣住職が提唱したことを紹介します。このイベントでは、プロジェクションマッピングやレーザービームなどの最新技術を活用し、テクノミュージックに合わせてお経を唱えます。
また、光の演出に重点が置かれ、極楽浄土の光の世界を現代風に再現しています。この取り組みは、伝統を尊重しながらも、現代の感性に合った新しい仏教の形を生み出し、若者をはじめとした多くの人々に注目されています。
Techno memorial services
ノリノリの音楽と法要がMIX!「テクノ法要」
「テクノ法要」というジャンルは、近年になって提唱された、仏教とテクノミュージックを組み合わせたイベント形式のことを指します。
浄土真宗本願寺派・照恩寺の朝倉行宣住職が提唱
福井市にある浄土真宗本願寺派・照恩寺の朝倉行宣住職が提唱している。
地域の人に愛される寺「照恩寺」
照恩寺は、1628年に開基された歴史ある寺院で、地域の人々に愛される寺院です。
参拝客には観光客も多く訪れます。また、福井市内の寺院の中でも比較的規模が大きく、本堂や庫裡、多宝塔などの建築物が美しく、多くの人々から愛されています。
テクノ法要とは!?
「テクノ法要」は、テクノミュージックに合わせてお経を唱える、新しいスタイルの法要です。プロジェクションマッピングやレーザービームなどの最新技術を活用し、お経の文字や仏像を映像化して演出することで、若者たちにも興味を持ってもらおうという試みです。
「テクノ法要」の素晴らしい点は、単に美しい映像だけでなく、プロジェクターを使って御文の色が変わるなどの工夫が施されていることです。朝倉さんの思いである、みなさんと一緒にお勤めをしたいという気持ちが、それを表現している。
若い頃していたDJやライブ照明
福井市にある浄土真宗本願寺派・照恩寺の朝倉行宣住職は、若い頃にDJやライブ照明の仕事をしていたという経歴を持っています。この経験が、彼の提唱するテクノ法要に大きな影響を与えています。
DJやライブ照明の仕事を通じて、朝倉行宣住職はエンターテインメントの力を理解し、それを伝統的な仏教の法要に取り入れることで、若者たちに仏教の教えを身近に感じてもらう試みを開始しました。
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「宗教離れを止めるため」
照恩寺の住職、朝倉行宣さんは、参拝者が減少していることを深く憂慮していました。主にお年寄りが参拝者の中心であったが、亡くなったり体調の都合で参拝できなくなっているため、仏教の将来が心配でした。最近ではお年寄り以外の世代から『仏教』や『お寺』への関心が薄れ、照恩寺に限らず、全国的にお寺の参拝者が減少している状況が続いています。
「仏教らしくとは?」仏教の伝統について疑問を投げかける
「お寺らしさ」と「坊さんらしさ」について考えると、実はそれらは固定概念に過ぎないことがわかります。朝倉行宣さんは、お寺の飾り付けでろうそくが電球に変わっているのを見て、光がお供えであれば、電球でもろうそくでも変わらないという考えに至りました。
仏具のキラキラした飾り付けやお勤めのお経のメロディーは、誰かが作ったものであり、自然にあったものではありません。それらは唱名という形で作られ、音楽として世代を超えて継承されてきました。そこで朝倉行宣さんは、「今の技術でやったらどうなるだろう?」と素朴に考えました。
朝倉行宣さんは、「今の技術でやったらどうなるだろう?」という素朴な疑問から、仏教とテクノミュージックを組み合わせたテクノ法要を提唱しました。これにより、伝統を尊重しながらも、現代の感性に合った新しい仏教の形が生まれ、若者をはじめとした多くの人々に注目されることとなりました。
テクノ法要のイメージは「極楽浄土」
「テクノ法要」では、プロジェクション・マッピングや舞台照明が駆使されており、光の表現に重点が置かれています。この光の演出は、極楽浄土が光に満ちた美しい世界であることを視覚的に表現することを目的としています。
プロジェクション・マッピングは、建物やオブジェクトに映像を映し出す技術で、立体的な映像表現が可能です。これにより、お寺の空間が極楽浄土のような幻想的な世界へと変貌します。舞台照明は、光の色や強さを調整することで、空間の雰囲気を演出する効果があります。
伝統と現代技術の融合
伝統的な仏教寺院の内装は、金色の装飾や鳳凰やハスの花などの精巧な彫刻が施されており、これらは当時の最高の技術を駆使して浄土を表現した結果であると言えます。これらの装飾や彫刻は、美しさや格式を表現するだけでなく、極楽浄土がどのような世界であるかを具体的に表現するものでもあります。
朝倉行宣住職は、私たちが「伝統」として大切にしている装飾や彫刻などの伝統的な要素にとらわれることが、極楽浄土をイメージすることを忘れてしまう原因の一つだと指摘しました。そこで彼は、「それならば現代の技術を使って仏教が考える浄土の光の世界を表現しよう」という考えに至りました。
朝倉住職が現代技術を駆使して再現する、極楽浄土の光のイメージ
浄土とは仏様の世界のことであり、それぞれの仏様がそれぞれの浄土を持っているとされています。その中でも、阿弥陀如来の浄土が最高とされています。「阿弥陀」という言葉には、無限の光や無限の時間を表す意味があり、阿弥陀如来自体が光そのものであると考えられています。また、阿弥陀如来の浄土には、青い光、赤い光、白い光、黄色い光など、さまざまな色の光が放たれており、それが世界を形成しているとされています。このように、仏教の思想においては、光がとても重要な役割を持っていると考えられています。
そこで朝倉行宣住職は、「テクノ法要」において、現代の技術を使って、浄土の光の世界を表現しました。プロジェクション・マッピングや舞台照明を駆使し、青い光や赤い光、白い光、黄色い光など、さまざまな色の光が放たれる極楽浄土のイメージを現代風に再現しました。また、お経にテクノのリズムを乗せることで、『極楽浄土は光の世界』を表現し、参加者たちに仏教の教えを身近に感じさせることができるようになりました。
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YMOが導いた朝倉住職のテクノへの興味
朝倉行宣住職は、中学生の頃にYMO(Yellow Magic Orchestra)というグループに出会い、音楽に興味を持つようになりました。彼はYMOの音楽を通じて、ロックやクラシック、民族音楽など、ジャンルにとらわれない様々な素晴らしい音楽に触れることができました。
YMOは、1970年代後半から1980年代にかけて、テクノポップやエレクトロニック・ミュージックを代表するグループで、メンバーには坂本龍一、高橋幸宏、細野晴臣がいました。このグループが朝倉さんのテクノへの興味を持たせるきっかけとなり、後にテクノ法要を考える際にも影響を与えました。
細野晴臣さんに関して、朝倉行宣住職はその精神性の中に仏教を感じており、これがテクノ法要を実現する上でのアイデアや視点に影響を与えたと言えます。細野さんの音楽や精神性が、朝倉さんにとって仏教と音楽の架け橋となったのです。
Perfumeのライブ演出に影響を受ける
朝倉行宣住職は、のPerfumeのライブ演出に強く魅了され、影響を受けたと述べています。Perfumeは広島県出身のテクノポップグループで、独特な世界観やライブ演出で人気を博しています。特に、最新の映像技術や照明を駆使した演出は、朝倉住職がテクノ法要を実現する上で大きなインスピレーションを得るきっかけとなりました。
朝倉住職が住職を継承してから、お寺の行事に自分の思いを反映しやすくなり、その想いが一層強まったのは、Perfumeの「Dream Land」という曲のパフォーマンスを観たことがきっかけです。この曲の歌詞は、阿弥陀様の気持ちを歌っているかのように感じられるもので、幻想的なステージングも含め、朝倉住職にとって理想的な形を示していたのです。
perfumeのライブに参戦すると、ムービングヘッドやレーザーでの演出に挑戦したくなる。。。#テクノ法要
— 朝倉行宣(テクノ法要) (@gyosen_asakura) November 19, 2018
東京行きの新幹線で、名古屋でのperfume live 参戦の予習中♬ pic.twitter.com/e9DQ8HsUgL
— 朝倉行宣(テクノ法要) (@gyosen_asakura) November 5, 2018
テクノ法要の魅力が世界的に広がる
テクノ法要は、その斬新さや独自性により、国内だけでなく海外でも注目を集めています。アメリカのバーニングマンやフランスのFestival Dharma Technoなど、世界的な音楽フェスティバルに参加し、多くの人々にその魅力を広めています。
これらの海外の音楽フェスティバルでの参加は、テクノ法要が文化や宗教の違いを超えて、多様なバックグラウンドを持つ人々に支持される理由を示しています。その独特の演出や、伝統と革新を融合させたアプローチが、国境を越えて魅力的に映ることで、さらに多くの人々がテクノ法要に触れる機会を得ることができています。
バーニングマンでのテクノ法要。
— 朝倉行宣(テクノ法要) (@gyosen_asakura) September 4, 2018
広大な干上がった湖でこんなベタ凪は珍しいらしい。
手を合わせて見入る人。音に合わせて踊る人。自由に感じていただいて幸せです。
これを実現出来たのもたくさんの仲間のおかげ。 pic.twitter.com/C4ec6Pktnz
テクノ法要の成功、新しい仏教文化の創造を示す証拠
朝倉行宣住職は、テクノ法要の照明をバージョンアップするために、クラウドファンディングで寄付を募り、期限内に目標の30万円を達成しました。これは、テクノ法要が多くの人々から支持されている証拠であり、現代の人々が新しい形の仏教文化に関心を持っていることを示しています。
朝倉住職は、「テクノ法要もネットを使った資金集めも、ふざけているように思われるかもしれないが、仏教の将来を真剣に考えた上での取り組み。過去にとらわれていては何も始まらない」と語っています。これは、伝統的な仏教の枠にとらわれず、新しい試みに挑戦することで、現代の人々にも受け入れられる仏教文化を創造し続けるという、朝倉住職の強い意志と信念が表れています。
テクノ法要は、新しい技術や表現を取り入れることで、仏教の教えや精神性を現代の人々に伝える試みであり、その成功は仏教の未来に対する希望を与えています。このような革新的な取り組みを通じて、仏教は現代社会と共存し、続く世代へと受け継がれていくでしょう。