伝説の英雄「ヴォイテク伍長」彼はなんと「本物の熊」──ポーランドで語り継がれている“嘘みたいな本当の話”
Wojtek
ヴォイテク
第2次世界大戦中、ポーランド軍には信じられない「兵士」がいた──。それは、親と離れ離れになったヒグマの子どもだ。熊の「ヴォイテク(Wojtek)」は、イランでポーランド軍に発見された。発見時は独りぼっちの子熊だったが、後に軍の第22弾薬補給中隊に配属され、家族のように扱われた。
動画:第2次大戦時ポーランド軍に配属されたヒグマの物語、アニメ映画に/AFPBB News.2019
ポーランド軍と子熊の出会い
(前略)ポーランドの若いふたりの兵士はパレスチナの山岳地帯で子グマが入った袋を抱えたイラン人の少年と出会います。
兵士になったクマ ヴォイテク/株式会社汐文社
兵士らは食べ物やチョコレートやスイスナイフなどと交換でクマをもらい受けると、ヴォイテクと名付けて飼うことにした。
ヴォイテク:戦争に行った兵隊クマ。御褒美は大好物のビール(ポーランド軍)/ガラパイヤ.2018
Movie deal secured to tell the tale of Wojtek, Edinburgh’s beloved soldier bear who fought in WWII https://t.co/AHwgmqPcMY pic.twitter.com/nJDJB9hQCC
— STV News (@STVNews) January 3, 2017
小さな子熊は兵士を癒した
ヴォイテクは部隊マスコットとして愛され、人間性を奪う過酷な戦場にあって兵士たちの精神を支えた。
児童書 『兵士になったクマ ヴォイテク』/産経ニュース.2015
Private Wojtek of the 22nd Artillery Transport Division of the Polish Armed Forces was a Syrian brown bear.
— BBC World Service (@bbcworldservice) December 28, 2018
Hear his story from the teenage soldier who fought alongside him during World War Two. https://t.co/NSstScq9Jc pic.twitter.com/WHRpsogGlH
Wojtek the bear served with Polish soldiers in World War 2, helping to move crates of ammunition and raise morale. In order to provide for his rations he was enlisted as a soldier with the rank of private, and later promoted to corporal. pic.twitter.com/N0VOlJfArM
— Quite Interesting Facts (@qikipedia) August 30, 2018
ウォッカやタバコが大好物
幼いヴォイテクは始めのうちは食べ物をうまくのみ込むことができず、兵士たちは薄めたコンデンスミルクをハンカチに染み込ませ、ウォッカ瓶に入れて飲ませました。その時のウォッカ瓶に数滴残っていたアルコールがミルクに混ざったため、その後ヴォイテクはお酒(特にビール)を好むようになったのでは、と兵士たちは後に考えるようになったとのこと。(中略)ほかにタバコも大好物という(後略)
ビールとタバコが大好物、第二次世界大戦で活躍したポーランド軍の勇敢なクマ「ヴォイテク二等兵」/GIGAZINE.2010
Captivating stories of Polish #WW2 soldier bear Wojtek and other extraordinary animals throughout #history. https://t.co/tZmaueh1QR pic.twitter.com/vmEGb8PyoT
— Polish Embassy UK 🇵🇱 (@PolishEmbassyUK) November 29, 2016
そんなある日……問題が起きた
当時、ヴォイテクがいた部隊はエジプトに滞在していたのですが、モンテ・カッシーノの戦いに参加するためにエジプトから航路でイタリアに向かう事となります。
伍長の階級を持つクマの兵士「ヴォイテク」!第二次世界大戦で英雄となったヒグマとは!/Gunfire.サバゲーアーカイブ.2018
動物はこの先に連れて行けない
(前略)船で動物を輸送することは禁止されていたため、ヴォイテクを連れて行きたいポーランド兵たちは、あるアイデアを実行した(後略)
クマの兵士のヴォイテク/月の光で澄み渡る .2017
Read the heartwarming story of Polish #WW2 soldier bear Wojtek in @TIME magazine. https://t.co/uef0Ra903H pic.twitter.com/FAXu6SQwhl
— Polish Embassy UK 🇵🇱 (@PolishEmbassyUK) April 20, 2017
.@TIME on Wojtek, the bear who became #WW2 hero https://t.co/S1K3m8fud3 pic.twitter.com/LbIXdFa4bF
— Poland.pl (@Poland) April 20, 2017
いや熊じゃない“ヴォイテク伍長”だ!
(全略)ヴォイテクをどうしても連れていきたかったポーランド軍は乗船名簿にヴォイテクの事を「ヴォイテク伍長」とまるで人間であるかのように記載して乗船させようとしたのです。
伍長の階級を持つクマの兵士「ヴォイテク」!第二次世界大戦で英雄となったヒグマとは!/Gunfire.サバゲーアーカイブ.2018
さすがにバレてしまったが
しかし残念ながらこの作戦はヴォイテク伍長が受け付けに現れない事が理由で、あっさりとバレてしまいます。
伍長の階級を持つクマの兵士「ヴォイテク」!第二次世界大戦で英雄となったヒグマとは!/Gunfire.サバゲーアーカイブ.2018
なんと、正式にポーランド兵士に!
(前略)カイロの最高司令部に相談したところ、ポーランドの第2軍団司令官のアンデルス将軍によってヴォイテクは正式に部隊に採用されることとなり、ヴォイテクは認識番号も与えられ、タバコを買うお金も支給され、ついに本物の兵士となった(後略)
クマの兵士のヴォイテク/月の光で澄み渡る .2017
(前略)第22弾薬補給中隊の一員としてアレクサンドリア港から船に乗り、ローマ解放のためのモンテ・カッシーノの戦いへと向かいます。
ヴォイテク:戦争に行った兵隊クマ。御褒美は大好物のビール(ポーランド軍)/ガラパイヤ.2018
Battle of Monte Cassino
モンテ・カッシーノの戦い
第二次世界大戦のヨーロッパ戦線の中でも激戦地のひとつがイタリアのモンテカッシーノの修道院のある丘をめぐる戦いです。
WW.II ドイツ軍降下猟兵 モンテカッシーノの戦い1944年 (プラモデル)/HOBBY SEARCH
まさに激戦地
1月から5月まで行われた戦いで、連合軍は、歴史的聖域としてドイツ軍さえ保護しようとしていたモンテ・カッシーノ修道院を爆撃しながらも、苦戦を強いられた。
国を失った軍人/東亜日報.2019
4回目にポーランド軍が参戦
第4回攻撃には、ヴワディスワフ・アンデルス大将の決断により、1943年から1944年にかけてイタリアに投入されていた第2ポーランド軍団が、加わりました。
〈モンテ・カッシーノの戦い〉75周年/ポーランド 広報文化センター
#OnThisDay in 1944: The Allies’ hard-fought victory at Monte Cassino: https://t.co/WPSy2TKVVx #Poland pic.twitter.com/0FCGxS2LdZ
— Poland.pl (@Poland) May 18, 2016
Photo: Polish troops fight in Monte Cassino May 1944. Recent BBC program w/#Poland & UK vets – http://t.co/iw6eXZz0s5 pic.twitter.com/FGNh0PPEMn
— Aquila Polonica (@polandww2) January 22, 2014
第22中隊 ヴォイテク伍長の活躍
この戦いで、第22中隊は弾薬の補給に追われていた。
第二次大戦中ポーランドはクマも徴兵していた!本当にあった驚きと感動の物語!!/Haru.edamame.2017
(前略)激戦となったモンテ・カッシーノの戦いでは砲弾が飛び交うなか一度も弾薬箱を落とすことなく補給任務にあたったシリアヒグマのヴォイテク(後略)
ビールとタバコが大好物、第二次世界大戦で活躍したポーランド軍の勇敢なクマ「ヴォイテク二等兵」/GIGAZINE.2010
Do you know the story about Wojtek? Wojtek was a bear that was adopted and then served with the Polish 22nd Artillery Supply Company in WWII, and fought at Montecasino. The bear was even promoted from Private to Corporal, carrying munitions in the field! 🐻🧡 pic.twitter.com/zNAYwifEP9
— Dominika Walker (@dominika_walker) February 12, 2020
Monument of Wojtek the Bear, soldier like no other, #WW2 to be unveiled on 7 Nov. #Edinburgh https://t.co/qCV4sYiILz pic.twitter.com/heqfFmm7zJ
— Polska (@Polska) November 6, 2015
一つ運び終えると、「他のは?」と右足を出しさらなる弾薬を求め、足場の悪い山道でも弾薬箱を落とすことはない。さらには、人間の兵士一人では持てないほど重い弾薬箱も、軽々と運んでいたそうだ
第二次大戦中ポーランドはクマも徴兵していた!本当にあった驚きと感動の物語!!/Haru.edamame.2017
ポーランド軍の勝利
(前略)第2ポーランド軍団の勝利に終わりました。これは、イタリアのモンテ・カッシーノ丘のベネディクト会修道院を守護するドイツ軍部隊に対する、連合国軍の4度目の攻撃にあたります。ポーランド兵士の勝利によって、ドイツ軍防御線が破られ、連合軍によるローマ解放への道が開かれました。
〈モンテ・カッシーノの戦い〉75周年/ポーランド 広報文化センター
部隊のマークがヴォイテクの絵
中隊のマークは砲弾を運ぶクマの絵になった。
くまの兵隊 ヴォイテク二等兵/うみうまのつれづれブログ.2011
Wojtek the bear with artillery shell: Emblem of 22nd Artillery Supply Company#history #WW2 #Poland pic.twitter.com/rHa852VE1Z
— myrmekochoria (@myrmekochoria) February 15, 2020
A Syrian brown bear called Wojtek was a corporal in the polish army during WWII. This is his company’s emblem. pic.twitter.com/RCQzozvaCL
— Mostafa (@M33Elkady) January 17, 2019
第二次世界大戦の後、動物園へ
第二次大戦が終わり、軍がスコットランドに移り。しばらくは付近の住民の人気ものになったけど、はて軍隊はずっとこうしてるわけにもいかないしどうしよう。で、「ポーランド本国が自由になるまで」エディンバラ動物園に引き取られることになった。
兵隊クマ・ヴォイテクの話/音源雑記帖.2012
(前略)ヴォイテクは21年の天寿を全うするまで結局はエディンバラの動物園にいた。
兵隊クマ・ヴォイテクの話/音源雑記帖.2012
Wojtek the soldier bear (enlistee of Pol 2 Corps in #WW2) Edinburgh memorial reaches milestone http://t.co/zRpnCEwr6m pic.twitter.com/xqNCG9rpqv
— Aquila Polonica (@polandww2) October 27, 2014
Polish legends
今もポーランドで愛され続けている
Wojtek returns: ‘The bear who fought for our freedom and yours’ http://t.co/zGFDG924ZC #wojtekbus pic.twitter.com/ZfXJAU9GaL
— STV Edinburgh (@STVEdinburgh) November 12, 2014
W Szkocji po raz pierwszy obchodzono w sobotę…”Dzień Wojtka”! Nie, nie chodzi tu o imieniny Wojtka, lecz o wyjątkową uroczystość upamiętniającą niesamowitego bohatera II WŚ – Wojtek the Bear! 🐻♥#PolishBritishStory pic.twitter.com/c0zJ63NcAm
— UK in Poland 🇬🇧🇵🇱 (@ukinpoland) October 23, 2018
Orphaned as a cub and rescued by Polish soldiers, Wojtek the bear was raised by the 22nd Artillery Supply Company while on campaign and became famous for his incredible strength, docile nature, and hilariously anthropomorphic antics. https://t.co/IAUWA3hnXW
— Atlas Obscura (@atlasobscura) February 4, 2020